特許第6672843号(P6672843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672843
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】油圧センサモジュール
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20200316BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   G01L19/00 101
   F16H61/00
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-17201(P2016-17201)
(22)【出願日】2016年2月1日
(65)【公開番号】特開2017-138113(P2017-138113A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2019年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118496
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 耕三
(74)【代理人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大澤 朝華
(72)【発明者】
【氏名】若林 弘宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊晃
(72)【発明者】
【氏名】立田 洋
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−020539(JP,U)
【文献】 特開2015−215068(JP,A)
【文献】 特開平06−180263(JP,A)
【文献】 実開昭50−074357(JP,U)
【文献】 米国特許第02950895(US,A)
【文献】 特開2006−208088(JP,A)
【文献】 特開2001−289723(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0016966(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 19/00
F16H 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に油路が設けられたバルブボディに油圧を検出するセンサ部が取り付けられた油圧センサモジュールであって、 前記センサ部の下面に密着固定された柱状の取付部材と、 前記バルブボディに設けられ、前記取付部材が嵌め込まれる凹部と、 前記バルブボディに設けられ、少なくとも端部が前記取付部材の径方向に延び、前記凹部に繋がる前記油路と、 前記取付部材に設けられ、前記油路と繋がり、前記取付部材の軸を中心として径方向に放射状に複数設けられた横穴と、 前記取付部材に設けられ、前記横穴から軸方向上方に延び、前記センサ部の下面に達する縦穴と、 前記取付部材の外周面全周又は前記凹部の内周面全周であって、前記横穴を挟んで、軸方向の上側および下側に設けられた上側溝部および下側溝部と、 前記上側溝部および前記下側溝部に配置された環状のシール部材と、 を備える油圧センサモジュール。
【請求項2】
前記上側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積と、前記下側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積とが等しい請求項1に記載の油圧センサモジュール。
【請求項3】
前記上側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積が、前記下側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積より大きい請求項1に記載の油圧センサモジュール。
【請求項4】
前記上側のシール部材の径は、前記下側のシール部材の径より大きく、 前記取付部材は、 前記下側溝部が設けられた小径部と、 前記上側溝部が設けられた大径部と、 を有し、 前記凹部の内周面には、段差が設けられ、前記段差よりも前記凹部の軸方向上側の内径が、前記下側のシール部材の外径より大きい請求項3に記載の油圧センサモジュール。
【請求項5】
前記凹部の内周面には、周方向に沿った内周溝が設けられ、 前記内周溝は、周方向の少なくとも一部において前記バルブボディの油路と接続され、前記横穴と前記バルブボディの油路とを繋ぐ請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の油圧センサモジュール。
【請求項6】
前記取付部材の外周面において、前記上側溝部と前記下側溝部との間に設けられ、前記バルブボディの油路と繋がる溝部を備え、 前記横穴は、その一端の開口が前記溝部の底面に設けられ、前記溝部と繋がっている請求項4に記載の油圧センサモジュール。
【請求項7】
前記取付部材は、 前記大径部の軸方向上側に設けられ、前記大径部および前記凹部の径より径が大きい拡径部を有し、 前記凹部の内周面には、前記バルブボディの油路の一端となる開口が設けられ、 軸方向において、前記拡径部の下端から前記横穴までの距離と、前記バルブボディ上端から前記油路の開口までの距離とが等しくされ、 前記拡径部の下端が前記凹部の上端に載っている請求項4に記載の油圧センサモジュール。
【請求項8】
前記凹部は、前記段差より軸方向上側の径が前記大径部の外径と等しく、前記段差より軸方向下側の径が前記小径部の外径と等しく、 前記バルブボディの油路の一端である開口は、前記凹部の内周面の、前記段差より軸方向上側に設けられ、 前記溝部は、前記大径部に、軸方向において、当該大径部の下端から前記段差と前記開口との距離だけ離れて設けられ、 前記大径部の下端が前記段差に載っている請求項6に記載の油圧センサモジュール。
【請求項9】
前記取付部材内部に設けられ、前記横穴から軸方向下側に延びる下側穴を備え、 前記縦穴の径が、前記下側穴の径より大きい請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の油圧センサモジュール。
【請求項10】
前記横穴は、前記取付部材の中心軸から径方向に2箇所以上設けられている請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の油圧センサモジュール。
【請求項11】
前記縦穴は、前記センサ部側で前記センサ部に向かって拡がる漏斗形状を有する請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の油圧センサモジュール。
【請求項12】
内部に油路が設けられたバルブボディに油圧を検出するセンサ部が取り付けられた油圧センサモジュールであって、 前記センサ部の下面に密着固定された柱状の取付部材と、 前記バルブボディに設けられ、前記取付部材が嵌め込まれる凹部と、 前記バルブボディに設けられ、少なくとも端部が前記取付部材の径方向に延び、前記凹部に繋がる前記油路と、 前記取付部材に設けられ、前記油路と繋がり、前記取付部材の側面から軸方向に向けて延びる横穴と、 前記取付部材に設けられ、前記横穴から軸方向上方に延び、前記センサ部の下面に達する縦穴と、 前記取付部材の外周面全周又は前記凹部の内周面全周であって、前記横穴を挟んで、軸方向の上側および下側に設けられた上側溝部および下側溝部と、 前記上側溝部および前記下側溝部に配置された環状のシール部材と、
前記上側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積が、前記下側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積より大きい前記取付部材と、
前記取付部材は、
前記下側溝部が設けられた小径部と、
前記上側溝部が設けられた大径部と、
を有し、
前記凹部の内周面には、段差が設けられ、前記段差よりも前記凹部の軸方向上側の内径が、前記下側のシール部材の外径より大きく、
前記取付部材は、
前記大径部の軸方向上側に設けられ、前記大径部および前記凹部の径より径が大きい拡径部を有し、
前記凹部の内周面には、前記バルブボディの油路の一端となる開口が設けられ、
軸方向において、前記拡径部の下端から前記横穴までの距離と、前記バルブボディ上端から前記油路の開口までの距離とが等しくされ、
前記拡径部の下端が前記凹部の上端に載っている油圧センサモジュール。
【請求項13】
内部に油路が設けられたバルブボディに油圧を検出するセンサ部が取り付けられた油圧センサモジュールであって、 前記センサ部の下面に密着固定された柱状の取付部材と、 前記バルブボディに設けられ、前記取付部材が嵌め込まれる凹部と、 前記バルブボディに設けられ、少なくとも端部が前記取付部材の径方向に延び、前記凹部に繋がる前記油路と、 前記取付部材に設けられ、前記油路と繋がり、前記取付部材の側面から軸方向に向けて延びる横穴と、 前記取付部材に設けられ、前記横穴から軸方向上方に延び、前記センサ部の下面に達する縦穴と、 前記取付部材の外周面全周又は前記凹部の内周面全周であって、前記横穴を挟んで、軸方向の上側および下側に設けられた上側溝部および下側溝部と、 前記上側溝部および前記下側溝部に配置された環状のシール部材と、
前記上側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積が、前記下側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積より大きい前記取付部材と、
前記取付部材は、
前記下側溝部が設けられた小径部と、
前記上側溝部が設けられた大径部と、
を有し、
前記凹部の内周面には、段差が設けられ、前記段差よりも前記凹部の軸方向上側の内径が、前記下側のシール部材の外径より大きく、
前記取付部材の外周面において、前記上側溝部と前記下側溝部との間に設けられ、前記バルブボディの油路と繋がる溝部を備え、
前記横穴は、その一端の開口が前記溝部の底面に設けられ、前記溝部と繋がっており、
前記凹部は、前記段差より軸方向上側の径が前記大径部の外径と等しく、前記段差より軸方向下側の径が前記小径部の外径と等しく、 前記バルブボディの油路の一端である開口は、前記凹部の内周面の、前記段差より軸方向上側に設けられ、 前記溝部は、前記大径部に、軸方向において、当該大径部の下端から前記段差と前記開口との距離だけ離れて設けられ、 前記大径部の下端が前記段差に載っている油圧センサモジュール。
【請求項14】
内部に油路が設けられたバルブボディに油圧を検出するセンサ部が取り付けられた油圧センサモジュールであって、 前記センサ部の下面に密着固定された柱状の取付部材と、 前記バルブボディに設けられ、前記取付部材が嵌め込まれる凹部と、 前記バルブボディに設けられ、少なくとも端部が前記取付部材の径方向に延び、前記凹部に繋がる前記油路と、 前記取付部材に設けられ、前記油路と繋がり、前記取付部材の側面から軸方向に向けて延びる横穴と、 前記取付部材に設けられ、前記横穴から軸方向上方に延び、前記センサ部の下面に達する縦穴と、 前記取付部材の外周面全周又は前記凹部の内周面全周であって、前記横穴を挟んで、軸方向の上側および下側に設けられた上側溝部および下側溝部と、 前記上側溝部および前記下側溝部に配置された環状のシール部材と、前記取付部材内部に設けられ、前記横穴から軸方向下側に延びる下側穴を備え、 前記縦穴の径が、前記下側穴の径より大きい油圧センサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧センサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動変速機には、変速機構を制御するため、コントロールバルブ機構が設けられている。コントロールバルブ機構には、油圧センサ、油圧スイッチなどの電子部品が装着されており、コントロールバルブ機構は、バルブにおけるオイル室内の油圧を制御することで変速機構を制御する。例えば、油圧センサによりオイル室内の油圧を計測し、計測した油圧に応じた油圧制御により変速機構が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002− 12097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧センサによりオイル室内の油圧等を計測する場合には、オイル室と外部との密閉構造が要求される。このため、コントロールバルブ機構への油圧センサの取付構造としては、オイル室が密閉される構造が必要となる。
【0005】
さらに、油圧センサに高圧の油圧が加わることもあるため、油圧による荷重に耐えられる高強度な取付構造が必要となる。このため、高強度にしようとして取付構造として補強する部材を設けるなどにより取付構造が大型化し、また重量化してしまうという問題があった。特に、油圧センサを高圧が発生するCVT等に搭載する場合、取付構造の大型化、重量化が顕著である。
【0006】
上記のような、コントロールバルブ機構への取付構造として高強度な密閉構造を要する点、および、取付構造の大型化、重量化の問題点は、油圧スイッチなど油圧を検出する電子部品にも当てはまる問題である。以下では、部品としての油圧センサ、油圧スイッチなど油圧を検出する電子部品を総称して「油圧センサ」と呼ぶ。
【0007】
本発明は、大型化、重量化せずに小型化および軽量化を図ることのできる取付構造を有する油圧センサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の油圧センサモジュールは、内部に油路が設けられたバルブボディに油圧を検出するセンサ部が取り付けられた油圧センサモジュールであって、次のような構成を備えることを特徴とする。
(1)前記センサ部の下面に密着固定された柱状の取付部材。
(2)前記バルブボディに設けられ、前記取付部材が嵌め込まれる凹部。
(3)前記バルブボディに設けられ、少なくとも端部が前記取付部材の径方向に延び、前記凹部に繋がる前記油路。
(4)前記取付部材に設けられ、前記油路と繋がり、前記取付部材の軸を中心として径方向に放射状に複数設けられた横穴。
(5)前記取付部材に設けられ、前記横穴から軸方向上方に延び、前記センサ部の下面に
達する縦穴。
(6)前記取付部材の外周面全周又は前記凹部の内周面全周であって、前記横穴を挟んで
、軸方向の上側および下側に設けられた上側溝部および下側溝部。
(7)前記上側溝部および前記下側溝部に配置された環状のシール部材。
本発明の一態様は、上述の油圧センサモジュールあって、前記上側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積と、前記下側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積とが等しいことを特徴とする。
本発明の一態様は、上述の油圧センサモジュールあって、前記上側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積が、前記下側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積より大きいことを特徴とする。
本発明の一態様は、上述の油圧センサモジュールあって、前記上側のシール部材の径は、前記下側のシール部材の径より大きく、前記取付部材は、前記下側溝部が設けられた小径部と、前記上側溝部が設けられた大径部とを有し、前記凹部の内周面には、段差が設けられ、前記段差よりも前記凹部の軸方向上側の内径が、前記下側のシール部材の外径より大きいことを特徴とする。
本発明の一態様は、上述の油圧センサモジュールあって、前記凹部の内周面には、周方向に沿った内周溝が設けられ、前記内周溝は、周方向の少なくとも一部において前記バルブボディの油路と接続され、前記横穴と前記バルブボディの油路とを繋ぐことを特徴とする。
本発明の一態様は、上述の油圧センサモジュールあって、前記取付部材の外周面において、前記上側溝部と前記下側溝部との間に設けられ、前記バルブボディの油路と繋がる溝部を備え、前記横穴は、その一端の開口が前記溝部の底面に設けられ、前記溝部と繋がっていることを特徴とする。
本発明の一態様は、上述の油圧センサモジュールあって、前記取付部材は、前記大径部の軸方向上側に設けられ、前記大径部および前記凹部の径より径が大きい拡径部を有し、前記凹部の内周面には、前記バルブボディの油路の一端となる開口が設けられ、軸方向において、前記拡径部の下端から前記横穴までの距離と、前記バルブボディ上端から前記油路の開口までの距離とが等しくされ、前記拡径部の下端が前記凹部の上端に載っていることを特徴とする。
本発明の一態様は、上述の油圧センサモジュールあって、前記凹部は、前記段差より軸方向上側の径が前記大径部の外径と等しく、前記段差より軸方向下側の径が前記小径部の外径と等しく、前記バルブボディの油路の一端である開口は、前記凹部の内周面の、前記段差より軸方向上側に設けられ、前記溝部は、前記大径部に、軸方向において、当該大径部の下端から前記段差と前記開口との距離だけ離れて設けられ、前記大径部の下端が前記段差に載っていることを特徴とする。
本発明の一態様は、上述の油圧センサモジュールあって、前記取付部材内部に設けられ、前記横穴から軸方向下側に延びる下側穴を備え、前記縦穴の径が、前記下側穴の径より大きいことを特徴とする。
本発明の一態様は、上述の油圧センサモジュールあって、前記横穴は、前記取付部材の中心軸から径方向に2箇所以上設けられていることを特徴とする。
本発明の一態様は、上述の油圧センサモジュールあって、前記縦穴は、前記センサ部側で前記センサ部に向かって拡がる漏斗形状を有することを特徴とする。
本発明の一態様は、内部に油路が設けられたバルブボディに油圧を検出するセンサ部が取り付けられた油圧センサモジュールであって、前記センサ部の下面に密着固定された柱状の取付部材と、前記バルブボディに設けられ、前記取付部材が嵌め込まれる凹部と、前記バルブボディに設けられ、少なくとも端部が前記取付部材の径方向に延び、前記凹部に繋がる前記油路と、前記取付部材に設けられ、前記油路と繋がり、前記取付部材の側面から軸方向に向けて延びる横穴と、前記取付部材に設けられ、前記横穴から軸方向上方に延び、前記センサ部の下面に達する縦穴と、前記取付部材の外周面全周又は前記凹部の内周面全周であって、前記横穴を挟んで、軸方向の上側および下側に設けられた上側溝部および下側溝部と、前記上側溝部および前記下側溝部に配置された環状のシール部材と、前記上側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積が、前記下側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積より大きい前記取付部材と、前記取付部材は、前記下側溝部が設けられた小径部と、前記上側溝部が設けられた大径部とを有し、前記凹部の内周面には、段差が設けられ、前記段差よりも前記凹部の軸方向上側の内径が、前記下側のシール部材の外径より大きく、前記取付部材は、前記大径部の軸方向上側に設けられ、前記大径部および前記凹部の径より径が大きい拡径部を有し、前記凹部の内周面には、前記バルブボディの油路の一端となる開口が設けられ、軸方向において、前記拡径部の下端から前記横穴までの距離と、前記バルブボディ上端から前記油路の開口までの距離とが等しくされ、前記拡径部の下端が前記凹部の上端に載っていることを特徴とする。
本発明の一態様は、内部に油路が設けられたバルブボディに油圧を検出するセンサ部が取り付けられた油圧センサモジュールであって、前記センサ部の下面に密着固定された柱状の取付部材と、前記バルブボディに設けられ、前記取付部材が嵌め込まれる凹部と、前記バルブボディに設けられ、少なくとも端部が前記取付部材の径方向に延び、前記凹部に繋がる前記油路と、前記取付部材に設けられ、前記油路と繋がり、前記取付部材の側面から軸方向に向けて延びる横穴と、前記取付部材に設けられ、前記横穴から軸方向上方に延び、前記センサ部の下面に達する縦穴と、前記取付部材の外周面全周又は前記凹部の内周面全周であって、前記横穴を挟んで、軸方向の上側および下側に設けられた上側溝部および下側溝部と、前記上側溝部および前記下側溝部に配置された環状のシール部材と、前記上側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積が、前記下側のシール部材により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積より大きい前記取付部材と、前記取付部材は、前記下側溝部が設けられた小径部と、前記上側溝部が設けられた大径部とを有し、前記凹部の内周面には、段差が設けられ、前記段差よりも前記凹部の軸方向上側の内径が、前記下側のシール部材の外径より大きく、前記取付部材の外周面において、前記上側溝部と前記下側溝部との間に設けられ、前記バルブボディの油路と繋がる溝部を備え、前記横穴は、その一端の開口が前記溝部の底面に設けられ、前記溝部と繋がっており、前記凹部は、前記段差より軸方向上側の径が前記大径部の外径と等しく、前記段差より軸方向下側の径が前記小径部の外径と等しく、前記バルブボディの油路の一端である開口は、前記凹部の内周面の、前記段差より軸方向上側に設けられ、前記溝部は、前記大径部に、軸方向において、当該大径部の下端から前記段差と前記開口との距離だけ離れて設けられ、前記大径部の下端が前記段差に載っていることを特徴とする。
本発明の一態様は、内部に油路が設けられたバルブボディに油圧を検出するセンサ部が取り付けられた油圧センサモジュールであって、前記センサ部の下面に密着固定された柱状の取付部材と、前記バルブボディに設けられ、前記取付部材が嵌め込まれる凹部と、前記バルブボディに設けられ、少なくとも端部が前記取付部材の径方向に延び、前記凹部に繋がる前記油路と、前記取付部材に設けられ、前記油路と繋がり、前記取付部材の側面から軸方向に向けて延びる横穴と、前記取付部材に設けられ、前記横穴から軸方向上方に延び、前記センサ部の下面に達する縦穴と、前記取付部材の外周面全周又は前記凹部の内周面全周であって、前記横穴を挟んで、軸方向の上側および下側に設けられた上側溝部および下側溝部と、前記上側溝部および前記下側溝部に配置された環状のシール部材と、前記取付部材内部に設けられ、前記横穴から軸方向下側に延びる下側穴を備え、前記縦穴の径が、前記下側穴の径より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、シール部材で凹部の密閉性を確保した上で、各シール部材の間に横穴が配置されているので、横穴内面には、パスカルの原理により一様な圧力が加わる。そして、この横穴は、取付部材の側面から軸方向に向けて延びるので、横穴内面の軸方向上側に加わる圧力と、その下側に加わる圧力とが相殺され、取付部材に加わる荷重を相殺することができる。従って、センサ部をバルブボディに取り付けるための取付構造が大型化、重量化することなく、小型化および軽量化した油圧センサモジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る油圧センサモジュールの断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る油圧センサモジュールの変形例1の断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る油圧センサモジュールの変形例2の断面図である。
図4図4は、第2実施形態に係る油圧センサモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.第1実施形態]
[1.1 概略構成]
以下、本発明の第1実施形態について、図1を参照して説明する。本明細書において軸とは、取付部材の長手方向に沿った中心軸をいい、単に周方向あるいは軸方向と言った場合は、中心軸の周方向あるいは中心軸の軸方向を示す。単に径方向と言った場合は、中心軸と直交する方向を示す。軸方向の一方側を「上」と呼び、他方側を「下」と呼ぶ。なお、上下方向は、説明の便宜上定めるものであり、重力方向に一致する必要はない。
【0012】
本実施形態の油圧センサモジュールは、センサ部1を備える。センサ部1は、油圧を検出する油圧センサである。なお、センサ部1は、所定の油圧を検出してオン又はオフを切り換える、ダイヤフラム等を備えた油圧スイッチなどの電子部品としても良い。センサ部1の下面には円柱状の取付部材2が密着固定されており、センサ部1は取付部材2を介してコントロールバルブ機構の一部材であるバルブボディ3に装着される。すなわち、バルブボディ3には、凹部31が設けられており、この凹部31に取付部材2が嵌め込まれることで、センサ部1がバルブボディ3に搭載される。なお、必須の構成ではないが、図1に示すように、センサ部1にフランジを備えた樹脂キャップ5を被せて、樹脂キャップ5をバルブボディ3にネジ6およびスペーサ7を介して固定し、樹脂キャップ5を介してセンサ部1を固定しても良い。
【0013】
バルブボディ3には、少なくとも端部が取付部材2の径方向に延び、凹部31に繋がる油路32が設けられている。本実施形態では、油路32は、取付部材2の軸上から外れた位置において取付部材2の軸方向に延び、かつ、その端部は、取付部材2の径方向中心軸側に向かって延びている。また、取付部材2には、油路32とセンサ部1の下面とを繋ぐ穴部20が設けられている。このため、バルブボディ3の油路32から供給された油が穴部20を介してセンサ部1下面に達し、センサ部1によって油圧を検出することができる。
【0014】
[1.2 詳細構成]
本実施形態の油圧センサモジュールの各構成について、詳細に説明する。円柱状の取付部材2は、例えばアルミニウム、ステンレスなどの金属、又は高度の高い樹脂で構成された部材であり、小径部21、大径部22、拡径部23を有している。各部21〜23は、この順で軸方向下側から上側に配置され、各部21〜23の径がそれぞれ異なっている。小径部21は、各部21〜23において最も外径が小さい部分であり、大径部22は、小径部21の軸方向上側に設けられ、小径部21の径よりも径が大きい。拡径部23は、大径部22の軸方向上側に設けられ、大径部22および凹部31の径より径が大きい。このため、拡径部23の下端は凹部31の上縁と接触している。
【0015】
取付部材2には、上記の通り、油路32とセンサ部1の下面とを繋ぐ穴部20が設けられている。穴部20は、横穴24と縦穴25とを有する。横穴24は、取付部材2内部に設けられ、油路32と繋がり、取付部材2の側面から軸方向に向けて延びる穴である。本実施形態では、横穴24は、取付部材2の軸を中心として径方向に放射状に複数設けられている。ここでは、横穴24は、取付部材2の軸から径方向に4箇所設けられ、周方向に90度ずつ等間隔に配置されている。
【0016】
縦穴25は、横穴24と繋がり、取付部材2の軸上に軸方向に延びる穴である。縦穴25は、センサ部1の下面に達している。縦穴25は、取付部材2内部において、小径部21、大径部22、拡径部23にわたって設けられている。縦穴25は、横穴24と繋がっていれば良く、横穴24より下側に延びている必要は必ずしもないが、本実施形態では、横穴24から軸方向下側に延びる下側穴25aが設けられている。但し、下側穴25aが取付部材2の下端まで延びて貫通することはない。取付部材2が樹脂で構成される場合には、下側穴25aを設けると良い。取付部材2を例えば射出成型などにより樹脂で作製する場合の、成形性の安定化と軽量化を図るためである。取付部材2が金属で構成される場合、下側穴25aを設けることで軽量化を図ることができる。大径部22における縦穴25の径は、下側穴25aの径より大きく、拡径部23における縦穴25は、センサ部1側でセンサ部1に向かって漏斗状に拡がっている。
【0017】
小径部21の外周面全周には、横穴24より軸方向下側に下側溝部21aが設けられ、大径部22の外周面全周には、横穴24より軸方向上側に上側溝部22aが設けられている。各溝部21a、22aには、環状のシール部材41、42が配置されている。シール部材41、42は、例えば弾性を有するゴム製のOリングである。以下では、下側溝部21aに配置されたシール部材41を「下側シール部材41」と称し、上側溝部22aに配置されたシール部材42を「上側シール部材42」と称する場合がある。
【0018】
下側シール部材41と上側シール部材42とは径が異なっており、上側シール部材42の方が下側シール部材41よりも径が大きい。換言すれば、上側シール部材42により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積は、下側シール部材41により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積より大きい。
【0019】
凹部31は、バルブボディ3において取付部材2が嵌め込まれる箇所である。このため、凹部31の形状は、取付部材2の形状に倣った形状を有している。凹部31の底面、すなわち、軸方向と直交する下面には凹部31とバルブボディ3の外部と繋ぐ穴34が設けられている。取付部材2が凹部31に嵌め込まれた際の空気をバルブボディ3外部に逃がすことで凹部31下側における空気圧を下げ、取付部材2の挿入性を高めるためである。凹部31の径は、軸方向上側が大きく、軸方向下側が小さい。すなわち、凹部31の内周面には、段差31aが設けられている。段差31aよりも凹部31の軸方向下側の内径は、小径部21の外径と等しい。段差31aよりも凹部31の軸方向上側の内径は、大径部22の外径と等しく、下側シール部材41の外径より大きい。
【0020】
各溝部21a、22aにシール部材41、42が配置された状態で、取付部材2が凹部31に挿入されると、下側シール部材41は段差31より下側の凹部31の内周面に押圧され、上側シール部材42は、段差より上側の凹部31の内周面に押圧され、穴部20および油路32が密閉される。
【0021】
本実施形態では、油路32は、バルブボディ3内部において取付部材2の軸上から外れて軸方向に延び、その端部が屈折しており、取付部材2の径方向中心軸側に延びている。凹部31の内周面には、周方向に沿って内周溝31bが設けられている。すなわち、内周溝31bは、周方向の少なくとも一部においてバルブボディ3の油路32と接続されており、横穴24と油路32とを繋いでいる。具体的には、凹部31の内周面には、油路32の一端となる開口が設けられ、当該開口が内周溝31bと接続されている。このため、油路31の油は当該開口、内周溝31bを介して横穴24、縦穴25に供給され、センサ部1の下面に達する。
【0022】
図1に示すように、凹部31に取付部材2が挿入された状態では、軸方向において、拡径部23の下端から横穴までの距離と、バルブボディ3上端から油路32の開口までの距離とは等しくされており、拡径部23の下端が凹部31の上端に載っている。
【0023】
[1.3 作用]
上記のような構成を有する第1実施形態の作用について説明する。まず、油路32の油の供給について説明すると、油路32の油は、上記開口を介して凹部31の内周面全周に設けられた内周溝31bに供給される。そして、周方向に90度ずつ等間隔に配置された横穴24を通って取付部材2の側面から軸に向けて油が流れ、縦穴25に供給される。油が軸中心において分流する。すなわち、一方が下側穴25aに供給され、他方が軸方向上側に供給される。そして軸方向上側に流れた油はセンサ部1の下面に達し、センサ部1により油圧が検出される。
【0024】
このように、バルブボディ3の油路32の油は穴部20を介してセンサ部1に供給される。ここで、各シール部材41、42により、凹部31の密閉性が確保されている。すなわち、下側シール部材41と上側シール部材42との間に横穴24が配置されているので、横穴24内面には、パルカルの原理により一様な圧力が加わる。そのため、横穴24内の各面に加わる荷重はその受圧面積に依存する。特に、横穴24内の軸方向上側の面と軸方向下側の面における受圧面積は、各シール部材41、42の囲う、軸方向に直交する平面への投影面積に依存する。
【0025】
本実施形態では、横穴24は取付部材2の側面から軸に向けて延びるので、横穴24の内面の軸方向上側に加わる圧力と、横穴24の内面の軸方向下側に加わる圧力とが相殺され、取付部材2に加わる荷重が相殺される。すなわち、取付部材2に加わる軸方向の荷重は、上側シール部材42により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積と、下側シール部材41により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積との差分に応じた分だけで済む。このため、過大な取付構造を不要とすることができる。
【0026】
[1.4 効果]
(1)本実施形態の油圧センサモジュールは、内部に油路32が設けられたバルブボディ3に油圧を検出するセンサ部1が取り付けられた油圧センサモジュールであって、センサ部1の下面に密着固定された柱状の取付部材2と、バルブボディ3に設けられ、取付部材2が嵌め込まれる凹部31と、バルブボディ3に設けられ、少なくとも端部が取付部材2の径方向に延び、凹部31に繋がる油路32と、取付部材2に設けられ、油路32と繋がり、取付部材2の側面から軸方向に向けて延びる横穴24と、取付部材2に設けられ、横穴24から軸方向上方に延び、センサ部1の下面に達する縦穴25と、取付部材2の外周面全周であって、横穴24を挟んで、軸方向の上側および下側に設けられた上側溝部22aおよび下側溝部21aと、上側溝部22aおよび下側溝部21aに配置された環状のシール部材41、42と、を備えるようにした。
【0027】
これにより、シール部材41、42で凹部31の密閉性を確保した上で、各シール部材41、42の間に横穴24が配置されているので、横穴24内面には、パスカルの原理により一様な圧力が加わる。そして、この横穴24は、取付部材2の側面から軸方向に向けて延びるので、横穴24内面の軸方向上側に加わる圧力と、その下側に加わる圧力とが相殺され、取付部材2に加わる荷重を相殺することができる。従って、センサ部1をバルブボディ3に取り付けるための取付構造が大型化、重量化することなく、小型化および軽量化を図った油圧センサモジュールを得ることができる。
【0028】
(2)上側シール部材42により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積を、下側シール部材41により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積より大きくした。これにより、取付部材2に加わる荷重は、上側シール部材42と下側シール部材41の投影面積差分で済むので、過大な取付構造を不要とし、油圧センサモジュールの小型化および軽量化を図ることができる。
【0029】
(3)上側シール部材42の径を、下側シール部材41の径より大きくし、取付部材2は、下側溝部21aが設けられた小径部21と、上側溝部22aが設けられた大径部22と、を有し、凹部31の内周面には、段差31aが設けられ、段差31aよりも凹部31の軸方向上側の内径を、下側シール部材41の外径より大きくした。
【0030】
これにより、凹部31の上部の径が下側シール部材41の径より大きくされているので、取付部材2を凹部31に上側から嵌め込む際に、下側シール部材41が凹部31の上縁および凹部31の内周面上部と擦れず、下側シール部材41がすり切れるなどの損傷を受けることを防止することができる。また、取付部材2を凹部31へ嵌め込む際、入り口となる凹部31の上部が取付部材2の小径部21の外径より大きいので挿入しやすく、取付部材2の凹部31への作業性を向上させることができる。
【0031】
(4)凹部31の内周面には、周方向に沿った内周溝31bが設けられ、内周溝31bは、周方向の少なくとも一部においてバルブボディ3の油路32と接続され、横穴24とバルブボディ3の油路32とを繋ぐようにした。これにより、内周溝31bを介してバルブボディ3の油路32と横穴24とを繋ぐことができるので、横穴24の向きを気にして取り付ける必要性がなくなる。このため、取付部材2を凹部31に嵌め込む際の作業性を向上させることができる。例えば、本実施形態では、横穴24は、取付部材2の軸を中心として90度ずつ等間隔に4箇所設けられているが、特に、凹部31の内周面全周に内周溝31bを設けることで、取付部材2の外周面に形成される横穴24の一端の開口が軸周りのどの向きにあっても内周溝31bと接続される。従って、作業性を向上させることができる。
【0032】
(5)取付部材2は、大径部22の軸方向上側に設けられ、大径部22および凹部31の径より径が大きい拡径部23を有し、凹部31の内周面には、バルブボディ3の油路32の一端となる開口が設けられ、軸方向において、拡径部23の下端から横穴24までの距離と、バルブボディ3上端から油路32の開口までの距離とが等しくされ、拡径部23の下端が凹部31の上端に載るようにした。これにより、取付部材2の凹部31への嵌め込みの際に拡径部23が凹部31上端に載るとともに、自動的に横穴24と油路32の開口と高さが一致するので、高さを一致させる等の調整をする必要がなく、作業性を向上させることができる。
【0033】
(6)取付部材2内部に設けられ、横穴24から軸方向下側に延びる下側穴25aを備え、大径部22における縦穴25の径を、下側穴25aの径より大きくした。これにより、下側溝部21aおよび上側溝部22aの寸法精度を向上させ、各シール部材41、42による密閉性を高めることができる。例えば、取付部材2が樹脂からなる場合、大径部22、小径部21のように肉厚が異なると、樹脂が冷却されることで収縮し形状にバラツキが生じ得るが、小径部21に下側穴25aを設けるとともに、大径部22に下側穴25aより大きい縦穴25を設けることで、取付部材2の形状のバラツキを防止し、各溝部21a、22bの寸法精度を向上させることができる。
【0034】
(7)横穴24は、取付部材2の中心軸から径方向に2箇所以上設けるようにした。これにより、取付部材2を凹部31に挿入した際の空気抜けを良くすることができる。
【0035】
(8)縦穴25は、センサ部1側でセンサ部1に向かって拡がる漏斗形状を有するようにした。これにより、センサ部1の受圧面積が大きくなるので、センサ部1によって縦穴25から加わる油圧の微妙な変化を検出することができる。
【0036】
[1.5 第1実施形態の変形例]
第1実施形態の変形例1、2について、図2図3を用いて説明する。各変形例は、第1実施形態と基本構成は同じである。よって、第1実施形態と異なる点のみを説明し、第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
(変形例1)
図2に示すように、横穴24、縦穴25の構成が異なっている。すなわち、横穴24は、取付部材2の軸に対して斜めに延びている。ここでは、取付部材2の軸に対して斜め上側に向かって延びているが、取付部材2の軸に対して斜め下側に向かって延びていても良い。図2では横穴24は一箇所のみ設けているが、空気抜けを良くするため複数箇所設けても良い。また、縦穴25は、横穴24と繋がっている箇所より下側に下側穴25aが設けられていない。
【0038】
図2に示すように、取付部材2は、拡径部23より下側に、外径が軸方向において一定である径部26を有している。径部26の外周面全周には、径部26の軸方向下側に下側溝部26aが設けられ、径部26の軸方向上側に上側溝部26bが設けられている。これら径部26a、26bは、横穴24を挟んで配置されている。下側溝部26aには下側シール部材41が配置され、上側溝部26bには上側シール部材42が配置されている。すなわち、本変形例の取付部材2は、第1実施形態における小径部21と大径部22の径を等しくし、各溝部21a、22aの外径も等しくした構成を有する。このため、本変形例では、下側シール部材41と上側シール部材42との外径が等しい。
【0039】
そのため、上側シール部材42により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積と、下側シール部材41により囲まれた部分の、軸方向に直交する平面への投影面積とが等しい。これにより、取付部材2に加わる荷重が0になり、センサ部1をバルブボディ3に押さえつけるなどの構造自体が不要となるので、油圧センサモジュールの小型化および軽量化を図ることができる。
【0040】
すなわち、横穴24内部の油圧は、パスカルの原理により、横穴24内面に一様に加わる。本変形例では各シール部材41、42の径を等しくすることにより、横穴24内の上側の面を介して上向きに加わる力と、横穴24内の下側の面を介して下向きに加わる力とが相殺され、取付部材2に加わる荷重は0となる。従って、特別な取付構造を不要とし、油圧センサモジュールの小型化および軽量化を図ることができる。
【0041】
(変形例2)
図3に示すように、変形例2のバルブボディ3の油路33は、取付部材2の軸に対して直角方向に延びており、その一端が横穴24と繋がっている。すなわち、第1実施形態の油路32は、取付部材2の軸方向に延び、途中で取付部材2の径方向に屈折して径方向軸側に延びていたが、図3に示すように、少なくとも凹部31周辺において取付部材2の軸に向かって延びていれば良い。このように、横穴24に接続される油路32の端部が、取付部材2の軸上に延びるのではなく、当該軸に向かって延びていれば、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0042】
[2.第2実施形態]
[2.1 構成]
第2実施形態について、図4を用いて説明する。第2実施形態は、第1実施形態と基本構成は同じである。よって、第1実施形態と異なる点のみを説明し、第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
図4に示すように、第2実施形態では、取付部材2の外周面全周において、上側溝部22aと下側溝部21aとの間に溝部27が設けられている。溝部27は、バルブボディ3の油路32と繋がっている。また、溝部27は横穴24とも繋がっている。すなわち、横穴24の一端の開口が溝部27の底面に設けられている。溝部27の底面とは、溝部27の奥の部分の面であり、取付部材2の軸側の面をいう。
【0044】
バルブボディ3の油路32は、少なくとも端部が軸方向に対して直角に延びており、油路32の一端である開口は、凹部31の内周面の段差31aより軸方向上側に設けられている。溝部27は、大径部22に、軸方向において、大径部22の下端から段差31aと油路32の開口との距離だけ離れて設けられている。このため、取付部材2を凹部31に嵌め込んだ状態では、大径部22の下端が段差31aに載った状態となる。
【0045】
[2.2 作用・効果]
(1)本実施形態では、取付部材2の外周面において、上側溝部22aと下側溝部21aとの間に設けられ、バルブボディ3の油路32と繋がる溝部27を備えた。横穴24は、その一端の開口が溝部27の底面に設けられ、溝部27と繋がるようにした。
【0046】
これにより、溝部27を介してバルブボディ3の油路32が横穴24と繋がるので、横穴24の一端の開口と、バルブボディ3の油路32の開口とを位置合わせする必要がない。すなわち、バルブボディ3の油路32から供給された油は、溝部27に充填され、横穴24へと供給されるので、取付部材2の軸周りの向き、すなわち横穴24の向きを気にしてバルブボディ3に取り付ける必要性がなくなる。その結果として、作業性を向上させることができる。
【0047】
また、溝部27は取付部材2の外周面に設けられるため、外側から加工することが可能である。すなわち、第1実施形態のように、凹部31の内周面に内周溝31bを設けてバルブボディ3の油路32と横穴24とを繋げる方法を採ることもできるが、バルブボディ3の内側を加工するよりも、取付部材2の外側を加工する方が、加工性が良いという利点がある。
【0048】
(2)第1実施形態と同様に、凹部31は、段差31aより軸方向上側の径が大径部22の外径と等しく、段差31aより軸方向下側の径が小径部21の外径と等しい。また、バルブボディ3の油路32の一端である開口は、凹部31の内周面の、段差31aより軸方向上側に設けられ、溝部27は、大径部22に、軸方向において、当該大径部22の下端から段差31aと油路32の開口との距離だけ離れて設けられ、大径部22の下端が段差31aに載るようにした。
【0049】
これにより、溝部27とバルブボディ3の油路32の開口との、軸方向における位置合わせをすることができる。大径部22の下端が凹部31の段差31aに載るまで取付部材2を凹部31に差し込むことで、溝部27とバルブボディ3の油路32の開口とを繋げることができるので、取付作業が簡易になり、作業性を向上させることができる。
【0050】
[3.他の実施形態]
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。以下、その一例を示す。
【0051】
例えば、第1実施形態、その変形例1、2および第2実施形態では、下側溝部21a、上側溝部22aを取付部材2の外周面全周に設けたが、バルブボディ3の内周面全周に設けても良い。このようにしても、取付部材2内の穴部20の密閉性を確保することができ、上記実施形態、変形例と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1…センサ部、2…取付部材、20…穴部、21…小径部、21a…下側溝部、22…大径部、22a…上側溝部、23…拡径部、24…横穴、25…縦穴、25a…下側穴、26…径部、26a…下側溝部、26b…上側溝部、27…溝部、3…バルブボディ、31…凹部、31a…段差、31b…内周溝、32…油路、33…油路、34…穴、41…下側シール部材、42…上側シール部材、5…樹脂キャップ、6…ネジ、7…スペーサ
図1
図2
図3
図4