(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672855
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】車載計器
(51)【国際特許分類】
B60R 16/033 20060101AFI20200316BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20200316BHJP
H02J 9/00 20060101ALI20200316BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
B60R16/033 C
B60R16/033 B
H02J9/06
H02J9/00 120
H02J7/34 G
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-22268(P2016-22268)
(22)【出願日】2016年2月8日
(65)【公開番号】特開2017-140888(P2017-140888A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金子 千冬
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正好
【審査官】
小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−020619(JP,A)
【文献】
特開2005−129036(JP,A)
【文献】
特開平04−024145(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0013175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/033
H02J 7/34
H02J 9/00
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両情報を表示する表示手段と、
CPUと揮発性メモリと不揮発性メモリを有し、前記表示手段に前記車両情報を表示させる制御回路と、
外部電源を変圧し前記表示手段および前記制御回路に電源を供給するコンバータと、
前記外部電源が遮断されたときに前記外部電源に代わって前記コンバータに電源を供給するバックアップ電源と、を備えた車載計器であって、
前記コンバータの電源供給元の切り替わりを検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記外部電源から前記バックアップ電源への切り替わりが検出されると、前記表示手段への電源供給を遮断する遮断手段と、を設けた、
ことを特徴とする車載計器。
【請求項2】
前記表示手段は光源を含む警告灯である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載計器。
【請求項3】
前記制御回路が前記検出手段を有し、
前記検出手段は、前記外部電源の電圧降下、または、前記外部電源とは異なる他の電源の電圧降下によって前記バックアップ電源への切り替わりを検出する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載計器。
【請求項4】
前記バックアップ電源は、前記外部電源と前記コンバータの間に設けられて前記外部電源によって蓄電する電解コンデンサであり、
前記バックアップ電源は、前記外部電源が遮断されたときに前記揮発性メモリに保持されている内容を50〜150ミリ秒保持できる所定の静電容量を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車載計器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ電源を備えた車載
計器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車載装置として、特許文献1に開示されたものがある。この車載装置は、負荷回路がバックアップ電源で電源供給される駆動時間を長くするため、負荷回路に供給される電圧が所定値未満となったときに昇圧回路を駆動するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−210511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された車載装置においては、バックアップ電源によって駆動すべき負荷回路の規模が大きくなるとバックアップ電源によって駆動できる時間が短くなる、という課題がある。
【0005】
本発明の目的は、バックアップ電源を備えた車載装置のバックアップ電源による駆動時間の長時間化に寄与することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載
計器は、
車両情報を表示する表示手段と、
CPUと揮発性メモリと不揮発性メモリを有し、前記表示手段に前記車両情報を表示させる制御回路と、
外部電源を変圧
し前記表示手段および前記制御回路に電源を供給するコンバータと、
前記外部電源が遮断されたときに前記外部電源に代わって前記コンバータに電源を供給するバックアップ電源と、を備えた車載
計器であって、
前記コンバータの電源供給元の切り替わりを検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記外部電源から前記バックアップ電源への切り替わりが検出されると、
前記表示手段への電源供給を遮断する遮断手段と、を設けた。
【0007】
また、本発明に係る車載装置の
前記表示手段は光源を含む警告灯である、
ように構成することが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る車載装置の
前記制御回路が前記検出手段を有し、
前記検出手段は、前記外部電源の電圧降下、または、前記外部電源とは異なる他の電源の電圧降下によって前記バックアップ電源への切り替わりを検出する、
ように構成することが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る車載装置の
前記バックアップ電源は、前記外部電源と前記コンバータの間に設けられて前記外部電源によって蓄電する電解コンデンサであり、
前記バックアップ電源は、
前記外部電源が遮断されたときに前記揮発性メモリに保持されている内容を50〜150ミリ秒保持できる所定の静電容量を有する、
ように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バックアップ電源を備えた車載装置のバックアップ電源による駆動時間の長時間化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態の電気的構成を示す図。
【
図2】本発明の第2実施形態の電気的構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態である車載装置M1を
図1を参照して以下に説明する。
【0014】
車載装置M1は、バッテリ電源(外部電源)Bから電源を供給され、イグニッションスイッチに連動して供給されるイグニッション電源(他の電源)IGの電圧によってイグニッションスイッチがオンされたことを検出している間、車両の走行速度やエンジン回転数などの各種車両情報を表示する車両のインストルメントパネルに搭載される計器である。
【0015】
車載装置M1は、コンバータ1と、負荷回路2a,2bと、バックアップ電源3と、NPN型トランジスタ(検出手段)4と、電界効果トランジスタ(遮断手段)5と、を備える。
【0016】
コンバータ1は、入力された直流電源を所定の電圧に変圧して安定的な直流電源を供給するDC/DCコンバータである。コンバータ1は、例えば、PWM(パルス幅変調)方式やPFM(パルス周期変調)方式で駆動するスイッチングレギュレータで構成される。
【0017】
コンバータ1は、バッテリ電源Bから供給される8〜16Vの電源を5Vに変圧して負荷回路(第1負荷回路)2aと負荷回路(第2負荷回路)2bに電源を供給する。
【0018】
負荷回路2aは、例えば、CPUと、CPUが動作させるプログラムを格納するROM(不揮発性メモリ)と、CPUが演算した結果を格納するRAM(揮発性メモリ)と、時間を計時するタイマと、各種入出力ポートと、を有するマイクロコントローラなどの車載装置を統括して制御する制御手段である。負荷回路2aは、図示しないコントローラエリアネットワーク(CAN)などの車載LANと接続するCANトランシーバIC回路を備えており、車両の走行速度やエンジン回転数などの各種車両情報を入力する。負荷回路2aは、イグニッション電源IGが入力され、イグニッションスイッチがオンされている間、負荷回路2bに各種車両情報を表示させる。
【0019】
負荷回路2bは、例えば、LEDなどの光源と、透明電極膜が形成された一対の透光性基板に液晶層を封入した液晶セルの前後両面に偏光板を貼着した液晶表示パネルと、を一体にした薄膜トランジスタ型カラー液晶モジュールなどの表示手段である。負荷回路2bは、負荷回路2aから制御されて各種車両情報を画像表示する。
【0020】
バックアップ電源3は、バッテリ電源Bが遮断されるとバッテリ電源Bに代わってコンバータ1に電源を供給する。バックアップ電源3は、例えば、コンバータ1とバッテリ電源Bとの間に設けられた電解コンデンサであり、バッテリ電源Bが供給されている間は所定の静電容量の電荷を蓄え、バッテリ電源Bが遮断されると蓄えた電荷をコンバータ1に放出する。バックアップ電源3は、バッテリ電源Bが瞬断した際に負荷回路2aのRAM(揮発性メモリ)に保持されている内容を保持できる所定の静電容量を有する。この所定の静電容量は、例えば50〜150ミリ秒の間、負荷回路2aが駆動できる静電容量のものとする。
【0021】
検出手段4は、コンバータ1の電源供給元の切り替わりを検出する検出器である。検出手段4は、例えば、ベース端子にイグニッション電源IGが接続され、エミッタ端子にグランドに接続されたNPN型トランジスタである。検出手段4は、イグニッション電源IGがオンされている間はコレクタ端子に電流が流れる。イグニッション電源IGは、バッテリ電源Bの遮断に伴って電圧が降下することから、コンバータ1の電源供給元がバッテリ電源Bからバックアップ電源3に切り替わると、コレクタ端子に電流が流れなくなる。このように、検出手段4は、イグニッション電源IGの電圧変化によって、コンバータ1の電源供給元の切り替わりを検出する。
【0022】
遮断手段5は、検出手段4がコンバータ1の電源供給元の切り替わりを検出した結果に応じて、コンバータ1から負荷回路2bへの電源供給をオン/オフさせる遮断回路である。遮断手段5は、例えば、ソース端子にコンバータ1が接続され、ドレイン端子に負荷回路2bが接続され、ゲート端子に検出手段4のコレクタ端子に接続された電界効果トランジスタである。遮断手段5のゲート端子に検出手段4のコレクタ端子からの電流が流れている間は、コンバータ1から負荷回路2bへの電源供給がされ、遮断手段5のゲート端子に検出手段4のコレクタ端子からの電流が流れなくなると、コンバータ1から負荷回路2bへの電源供給が遮断される。この遮断手段5は、電界効果トランジスタに限らず、種々のスイッチング回路で構成することができる。
【0023】
上述したように、第1実施形態である車載装置M1は、外部電源Bを変圧するコンバータ1と、コンバータ1から電源を供給される第1負荷回路2aおよび第2負荷回路2bと、外部電源Bが遮断されたときに外部電源Bに代わってコンバータ1に電源を供給するバックアップ電源3と、を備えた車載装置であって、コンバータ1の電源供給元の切り替わりを検出する検出手段4と、検出手段4によって外部電源Bからバックアップ電源3への切り替わりが検出されると、第2負荷回路2bへの電源供給を遮断する遮断手段5と、を設けた。
このように構成することで、バックアップ電源3に切り替わるときに第2負荷回路2bの電気的接続が遮断されるので、バックアップ電源3が蓄えた電荷が第2負荷回路2bによって消費されない。そのため、バックアップ電源3による車載装置の駆動時間の長時間化に寄与できる。
特に、バッテリ電源Bが瞬断した際や車両のクランキング時におけるバッテリ電源Bの電圧降下の際に、少ない静電容量のバックアップ電源3で、第1負荷回路2aのRAM(揮発性メモリ)の内容を保持できるため、安価な構成で車載装置M1のシステムの電気的堅牢性を高めることができる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の車載装置M2を
図2を参照して以下に説明する。なお、以下の説明においては、第1実施形態の車載装置M1との差異を説明する。
【0025】
車載装置M2の負荷回路2aは、入力されたイグニッション電源IGの電圧によって、コンバータ1の電源供給元がバッテリ電源Bまたはバックアップ電源3であるかを判断する。負荷回路2aは、コンバータ1の電源供給元がバッテリ電源Bであるときは、遮断手段5のゲート端子に電流を流して、コンバータ1から負荷回路2bに電源が供給されるように制御する。負荷回路2aは、コンバータ1の電源供給元がバックアップ電源3であるときは、遮断手段5のゲート端子に電流を流さず、コンバータ1から負荷回路2bへの電源供給が遮断されるように制御する。
【0026】
上述した第2実施形態である車載装置M2のように、負荷回路2aである制御手段によって、コンバータ1の電源供給元がバッテリ電源Bからバックアップ電源3に切り替わったこと検出してもよい。
この構成においては、負荷回路2aが検出手段4の機能を兼ねるため、車載装置の低廉化に寄与する。
【0027】
本発明は、上記の第1、第2実施形態(図面の内容も含む)によって限定されるものではない。本発明の主旨に従う範囲で、上記の実施形態に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができる。
【0028】
上述した第1実施形態の車載装置M1や第2実施形態の車載装置M2においては、検出手段4はイグニッション電源(他の電源)IGの電圧降下によってバックアップ電源3への切り替わりを検出した。本発明の検出手段4は、これに限らず、バッテリ電源(外部電源)Bの電圧降下によって検出する、ように構成してもよい。
この場合、負荷回路2bの構成によってはイグニッションスイッチがオフされている期間における暗電流が高くなりやすいが、バックアップ電源3への切り替わりを正確に検出できる。
【0029】
また、負荷回路2aをマイクロコントローラなどの車載装置を統括して制御する制御手段とし、負荷回路2bを薄膜トランジスタ型カラー液晶モジュールなどの表示手段としたが、これに限定されない。
負荷回路2aは、少なくとも車載装置を統括して制御する制御手段を含むものであればよく、負荷回路2bの消費電力が大きいほど、バックアップ電源3による車載装置の駆動時間の長時間化に寄与できる。
【0030】
例えば、遮断手段5によって電源供給が遮断される負荷回路2bは、各種車両情報を表示する警告灯の光源となるLEDや、各種車両情報を指示する指針を回転させるステッピングモータや、指針が指示する指標が形成された文字板の照明光源となるLED、あるいは、各種車両情報を音の吹鳴によって報知するスピーカなどでもよい。
【0031】
また、第2負荷回路は、各種車両情報を第1負荷回路2aに入力する回路であってもよい。例えば、負荷回路2aのマイクロコントローラに車載LANの信号を入出力するためのCANトランシーバIC回路である。
【0032】
また、車載装置が虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置である場合は、虚像の表示位置を調整するための駆動回路を負荷回路2bとすることが好ましい。この虚像の表示位置を調整するための駆動回路は、例えば、平面鏡や凹面鏡を回動させるステッピングモータである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、車両に搭載される車載装置に好適である。
【符号の説明】
【0034】
M1,M2 :車載装置
B :バッテリ電源(外部電源)
IG :イグニッション電源(他の電源)
1 :コンバータ
2a :第1負荷回路
2b :第2負荷回路
3 :バックアップ電源
4 :検出手段
5 :遮断手段