(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1〜
図3を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
図2及び
図3は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。本実施形態では、電子部品として積層コンデンサC1を例に説明する。
【0017】
積層コンデンサC1は、
図1に示されるように、直方体形状の素体2と、素体2の外表面に配置される外部電極5及び外部電極7と、絶縁層ILと、を備えている。外部電極5と外部電極7とは、離間している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。外部電極5,7は、端子電極でもある。
【0018】
素体2は、その外表面として、互いに対向している一対の端面2a,2bと、互いに対向している一対の第一側面2c,2dと、互いに対向している一対の第二側面2e,2fと、を有している。本実施形態では、一対の端面2a,2bが対向している方向(第一方向D1)が素体2の長手方向であり、一対の第一側面2c,2dが対向している方向(第二方向D2)が素体2の幅方向であり、一対の第二側面2e,2fが対向している方向(第三方向D3)が素体2の高さ方向である。
【0019】
一対の第一側面2c,2dは、一対の端面2a,2bの間を連結するように第一方向D1に延びている。一対の第一側面2c,2dは、第三方向D3にも延びている。一対の第二側面2e,2fは、一対の端面2a,2bの間を連結するように第一方向D1に延びている。一対の第二側面2e,2fは、第二方向D2にも延びている。
【0020】
素体2は、一対の第二側面2e,2fが対向している方向(第三方向D3)に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体2では、複数の誘電体層の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する。)が第三方向D3と一致する。各誘電体層は、例えば誘電体材料(BaTiO
3系、Ba(Ti,Zr)O
3系、又は(Ba,Ca)TiO
3系などの誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体2では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。第二方向D2が上記積層方向であってもよい。素体2は、セラミック材料からなる。
【0021】
積層コンデンサC1は、
図2及び
図3に示されるように、複数の内部電極11と、複数の内部電極13と、を備えている。内部電極11,13は、積層電子部品の内部導体として通常用いられる導電性材料(たとえば、Ni又はCuなど)からなる。内部電極11,13は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。内部電極11,13は、素体2内に配置されている内部導体として機能する。
【0022】
内部電極11と内部電極13とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されている。すなわち、内部電極11と内部電極13とは、素体2内において、第二方向D2に間隔を有して対向するように交互に配置されている。
【0023】
各内部電極11は、
図3にも示されるように、主電極部11aと、接続部11bと、を含んでいる。接続部11bは、主電極部11aの一辺(一方の短辺)から延び、端面2aに露出している。内部電極11は、端面2aに露出し、端面2b、一対の第一側面2c,2d、及び一対の第二側面2e,2fには露出していない。主電極部11aと、接続部11bとは、一体的に形成されている。
【0024】
主電極部11aは、第一方向D1を長辺方向とし、第二方向D2を短辺方向とする長方形状を呈している。接続部11bは、主電極部11aの端面2a側の端部から端面2aまで延びている。接続部11bは、端面2aに露出した端部で、外部電極5に接続されている。
【0025】
各内部電極13は、
図2にも示されるように、主電極部13aと、接続部13bと、を含んでいる。主電極部13aは、第三方向D3で素体2の一部(誘電体層)を介して主電極部11aと対向している。接続部13bは、主電極部13aの一辺(一方の短辺)から延び、端面2bに露出している。内部電極13は、端面2bに露出し、端面2a、一対の第一側面2c,2d、及び一対の第二側面2e,2fには露出していない。主電極部13aと、接続部13bとは、一体的に形成されている。
【0026】
主電極部13aは、第一方向D1を長辺方向とし、第二方向D2を短辺方向とする長方形状を呈している。接続部13bは、主電極部13aの端面2b側の端部から端面2bまで延びている。接続部13bは、端面2bに露出した端部で、外部電極7に接続されている。
【0027】
外部電極5は、第一方向D1に見て、素体2における端面2a側の端部に位置している。外部電極5は、端面2aに配置されている電極部分5aと、一対の第一側面2c,2dにそれぞれ配置されている電極部分5bと、一対の第二側面2e,2fにそれぞれ配置されている電極部分5cと、を有している。すなわち、外部電極5は、五つの面2a,2c,2d,2e,2fに形成されている。
【0028】
互いに隣り合う電極部分5a,5b,5c同士は、素体2の稜線部において接続されており、電気的に接続されている。電極部分5aと電極部分5bとは、端面2aと各第一側面2c,2dとの間の稜線部において、接続されている。電極部分5aと電極部分5cとは、端面2aと各第二側面2e,2fとの間の稜線部において、接続されている。電極部分5bと電極部分5cとは、第一側面2c,2dと第二側面2e,2fとの間の稜線部において、接続されている。
【0029】
電極部分5aは、各接続部11bの端面2aに露出した部分をすべて覆うように配置されており、接続部11bは、外部電極5に直接的に接続される。すなわち、接続部11bは、主電極部11aと電極部分5aとを接続している。これにより、各内部電極11は、外部電極5に電気的に接続される。
【0030】
電極部分5bは、対応する第一側面2c,2dにおける、端面2a寄りの一部に位置している。電極部分5cは、対応する第二側面2e,2fにおける、端面2a寄りの一部に位置している。電極部分5b,5cの第一方向D1での長さ(幅)は、電極部分5aの第二方向D2での長さ(幅)よりも小さい。したがって、各電極部分5b,5cの面積は、電極部分5aの面積よりも小さい。
【0031】
外部電極7は、第一方向D1に見て、素体2における端面2b側の端部に位置している。外部電極7は、端面2bに配置それている電極部分7aと、一対の第一側面2c,2dにそれぞれ配置されている電極部分7bと、一対の第二側面2e,2fにそれぞれ配置されている電極部分7cと、を有している。すなわち、外部電極7は、五つの面2b,2c,2d,2e,2fに形成されている。
【0032】
互いに隣り合う電極部分7a,7b,7c同士は、素体2の稜線部において接続されており、電気的に接続されている。電極部分7aと電極部分7bとは、端面2bと各第一側面2c,2dとの間の稜線部において、接続されている。電極部分7aと電極部分7cとは、端面2bと各第二側面2e,2fとの間の稜線部において、接続されている。電極部分7bと電極部分7cとは、第一側面2c,2dと第二側面2e,2fとの間の稜線部において、接続されている。
【0033】
電極部分7aは、各接続部13bの端面2bに露出した部分をすべて覆うように配置されており、接続部13bは、外部電極7に直接的に接続される。すなわち、接続部13bは、主電極部13aと電極部分7aとを接続している。これにより、各内部電極13は、外部電極7に電気的に接続される。
【0034】
電極部分7bは、対応する第一側面2c,2dにおける、端面2b寄りの一部に位置している。電極部分7cは、対応する第二側面2e,2fにおける、端面2b寄りの一部に位置している。電極部分7b,7cの第一方向D1での長さ(幅)は、電極部分7aの第二方向D2での長さ(幅)よりも小さい。したがって、各電極部分7b,7cの面積は、電極部分7aの面積よりも小さい。
【0035】
外部電極5,7は、
図2及び
図3に示されるように、第一電極層21、第二電極層23、及び第三電極層25をそれぞれ有している。すなわち、電極部分5a,5b,5cと電極部分7a,7b,7cとが、第一電極層21、第二電極層23、及び第三電極層25をそれぞれ含んでいる。第三電極層25は、外部電極5,7の最外層を構成している。
【0036】
第一電極層21は、導電性ペーストを素体2の表面に付与して焼き付けることにより形成されている。第一電極層21は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結して形成された焼結金属層である。すなわち、第一電極層21は、素体2に形成された焼結金属層である。本実施形態では、第一電極層21は、Cuからなる焼結金属層である。第一電極層21は、Niからなる焼結金属層であってもよい。このように、第一電極層21は、Cu又はNiを含んでいる。導電性ペーストには、Cu又はNiからなる粉末に、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。
【0037】
第二電極層23は、第一電極層21上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第二電極層23は、第一電極層21上にNiめっきにより形成されたNiめっき層である。第二電極層23は、Snめっき層、Cuめっき層、又はAuめっき層であってもよい。このように、第二電極層23は、Ni、Sn、Cu、又はAuを含んでいる。
【0038】
第三電極層25は、第二電極層23上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第三電極層25は、第二電極層23上にSnめっきにより形成されたSnめっき層である。第三電極層25は、Cuめっき層又はAuめっき層であってもよい。このように、第三電極層25は、Sn、Cu、又はAuを含んでいる。
【0039】
積層コンデンサC1は、他の電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品など)に、ハンダ実装される。積層コンデンサC1では、一対の第二側面2e,2fのうちの一つの第二側面が、他の電子機器に対向する実装面とされる。本実施形態では、第二側面2eが実装面とされる。
【0040】
絶縁層ILは、素体2の一対の端面2a,2b及び一対の第一側面2c,2dを囲むように、素体2上と外部電極5,7上とに配置されている。絶縁層ILは、電極部分5a,7aを覆っている絶縁層部分ILa、電極部分5b,7bを覆っている絶縁層部分ILb、及び、第一側面2c,2dにおける電極部分5b,7bから露出している露出領域を覆っている絶縁層部分ILcを有している。絶縁層部分ILaと絶縁層部分ILbと絶縁層部分ILcとは、一体的に形成されている。電極部分5c,7cと、第二側面2e,2fにおける電極部分5c,7cから露出している露出領域とは、絶縁層ILから露出している。
【0041】
絶縁層ILは、電気絶縁性を有する材料(たとえば、絶縁性樹脂又はガラスなど)からなる。本実施形態では、絶縁層ILは、絶縁性樹脂からなる。絶縁層ILは、たとえば、絶縁性樹脂コーティング剤を付与して固化させることにより形成される。絶縁性樹脂コーティング剤の付与には、スクリーン印刷法又はスプレーコーティング法などを用いることができる。
【0042】
絶縁性樹脂コーティング剤としては、熱硬化型の絶縁性樹脂コーティング剤を用いることができる。たとえば、プリント基板のソルダーレジストとして用いられる金属酸化物顔料を用いた熱硬化性エポキシ樹脂塗料が使用可能である。金属酸化物顔料を用いた、シリコーン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料、フェノール樹脂系塗料、ユリア樹脂系塗料、メラミン樹脂系塗料、アミノ樹脂系塗料、不飽和ポリエステル樹脂系塗料、ジアリルフタレート樹脂系塗料、ポリウレタン樹脂系塗料、ポリイミド樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、スピラン樹脂系塗料、熱硬化性アクリル樹脂系塗料、熱硬化性メタクリル樹脂系塗料、又は熱硬化性共重合樹脂系塗料などの耐熱性樹脂塗料も使用可能である。アクリル化エポキシ樹脂系又はアクリル化された合成ゴム系などのフォトレジストとして用いられるレジスト材料も、熱硬化性を有しており、絶縁性樹脂コーティング剤として使用可能である。
【0043】
これらの絶縁性樹脂塗料には、有機顔料又は無機顔料を適度に添加することにより、絶縁層ILに着色性又は不透明性を付与することが好ましい。着色性の有機顔料としては、多環顔料系のフタロシアニン系顔料又はアントラキノン系顔料、もしくは、アゾ化合物のジアゾ顔料などが挙げられる。無機顔料としては、金属酸化物又はカーボンブラックなどが挙げられる。上述した金属酸化物の顔料に屈折率の大きい顔料を用いることで、絶縁層ILに適度な光散乱性を付与し、実質的な不透明性を付与してもよい。
【0044】
絶縁性樹脂コーティング剤として、熱硬化型の絶縁性樹脂コーティング剤の代わりに、紫外線硬化型の絶縁性樹脂コーティング剤を用いてもよい。たとえば、プリント基板のソルダーレジストとして用いられる金属酸化物顔料を用いたアクリル化エポキシ樹脂系塗料が使用可能である。金属酸化物顔料を用いた、アクリル化シリコーン樹脂系塗料、アクリル化フッ素樹脂系塗料、アクリル化フェノール樹脂系塗料、アクリル化ポリウレタン樹脂系塗料、アクリル化油系塗料、アクリル化アルキド樹脂系塗料、アクリル化ポリエステル系塗料、アクリル化ポリエーテル系塗料、アクリル化スピラン樹脂系塗料、又はアクリル化共重合樹脂系塗料などが使用可能である。上記塗料は、メタクリル化されたものであってもよい。金属酸化物顔料を用いた、不飽和ポリエステル樹脂系塗料又はポリエン−ポリチオール系塗料なども使用可能である。
【0045】
これらの耐熱性樹脂塗料には、有機顔料又は無機顔料を適度に添加することにより、絶縁層ILに着色性、若しくは不透明性を付与することが好ましい。着色性の有機顔料としては、多環顔料系のフタロシアニン系顔料又はアントラキノン系顔料、もしくは、アゾ化合物のジアゾ顔料などが挙げられる。無機顔料としては、金属酸化物又はカーボンブラックなどが挙げられる。上述した金属酸化物の顔料に屈折率の大きい顔料を用いることにより、絶縁層ILに適度な光散乱性を付与し、実質的な不透明性を付与してもよい。
【0046】
絶縁性樹脂コーティング剤として、熱硬化型の絶縁性樹脂コーティング剤を紫外線硬化型の絶縁性樹脂コーティング剤に導入したものを用いてもよい。耐熱性塗料として用いられる、金属酸化物顔料が用いられた、ルイス酸塩及びエポキシ樹脂系塗料、酸発生剤及び酸硬化アミノアルキッド樹脂系塗料、又は、上記熱硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の各種樹脂を、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤各種に導入したものを用いることができる。アクリル化エポキシ樹脂系フォトレジスト又はアクリル化された合成ゴム系フォトレジストも使用可能である。
【0047】
続いて、積層コンデンサC1の実装構造100について説明する。
図4〜
図6に示されるように、積層コンデンサC1は、電子機器(たとえば、回路基板又は他の電子部品など)EDにはんだ実装されている。積層コンデンサC1は、第二側面2eが実装面として電子機器EDに対向するように配置されている。電子機器EDには、間隔を有して一対のランド導体L1,L2が配置されている。ランド導体L1には、外部電極5が接続されている。ランド導体L2には、外部電極7が接続されている。
【0048】
積層コンデンサC1がはんだ実装される場合、溶融したはんだが外部電極5,7(電極部分5a,5b,7a,7b)と絶縁層IL(絶縁層部分ILa,ILb)との間を濡れ上がる。濡れ上がったはんだが固化することにより、
図5及び
図6に示されるように、電極部分5a,5b,7a,7bと絶縁層部分ILa,ILbとの間にはんだフィレットSFが形成される。これにより、外部電極5,7とランド導体L1,L2とがはんだフィレットSFにより接合される。
【0049】
図5に示されるように、積層コンデンサC1の実装構造100では、外部電極5,7の電極部分5a,7aと絶縁層部分ILaとの間において第二側面2e側に位置するはんだフィレットSFの厚みが、外部電極5,7の電極部分5a,7aと絶縁層部分ILaとの間において第二側面2f側に位置するはんだフィレットSFの厚みよりも大きい。
図5に示す例では、はんだフィレットSFは、第二方向D2から見て、第二側面2f側から第二側面2e側に向かって厚みが連続的に大きくなっている。
【0050】
図6に示されるように、積層コンデンサC1の実装構造100では、外部電極5,7の電極部分5b,7bと絶縁層部分ILbとの間において第二側面2e側に位置するはんだフィレットSFの厚みが、外部電極5,7の電極部分5b,7bと絶縁層部分ILbとの間において第二側面2f側に位置するはんだフィレットSFの厚みよりも大きい。
図6に示す例では、はんだフィレットSFは、第一方向D1から見て、第二側面2f側から第二側面2e側に向かって厚みが連続的に大きくなっている。
【0051】
図5及び
図6に示されるように、絶縁層部分ILa及び絶縁層部分ILbは、第二側面2f側から第二側面2e側に向かって、すなわち電子機器ED側に向かって位置が広がっている。これにより、はんだが入り込む量が多くなるため、はんだフィレットSFの厚みが大きくなり、実装強度を確保できる。更に、はんだフィレットSFの厚みが大きい第二側面2e側においても絶縁性を確保できる。また、絶縁層部分ILa及び絶縁層部分ILbは、はんだフィレットSFの厚みの小さい第二側面2f側においては、第二側面2e側よりも位置が内側であるため、隣接する積層コンデンサC1と接触し難い。したがって、積層コンデンサC1の実装構造100では、積層コンデンサC1を狭隣接かつ高密度で実装することができる。
【0052】
はんだフィレットSFにより、第二側面2eに配置されている電極部分5c,7cだけでなく、電極部分5a,5b,7a,7bも電子機器EDに物理的に接続される。このため、積層コンデンサC1の電子機器EDへの実装強度が向上する。
【0053】
電極部分5a,5b,7a,7bと絶縁層部分ILa,ILbとの間に形成されるはんだフィレットSFのサイズは、絶縁層ILを備えていない積層コンデンサがはんだ実装される際に形成されるはんだフィレットのサイズよりも小さい。したがって、積層コンデンサC1の実装構造100では、積層コンデンサC1を狭隣接かつ高密度で実装することができる。
【0054】
積層コンデンサC1の実装構造100では、外部電極5,7の電極部分5a,5b,7a,7bと絶縁層部分ILa,ILbとの間において第二側面2e側に位置するはんだフィレットSFの厚みが、外部電極5,7の電極部分5a,5b,7a,7bと絶縁層部分ILa,ILbとの間において第二側面2f側に位置するはんだフィレットSFの厚みよりも大きいので、ランド導体L1,L2と接触するはんだフィレットSFの面積が大きくなる。これにより、積層コンデンサC1の実装構造100では、ランド導体L1,L2とはんだフィレットSFとの接触面積が確保されるため、積層コンデンサC1の実装強度が向上する。
【0055】
積層コンデンサC1がはんだ実装される場合、溶融したはんだが外部電極5,7と絶縁層ILとの間を濡れ上がる。このとき、絶縁層部分ILa,ILbは、溶融したはんだが入り込むことにより、外側に広がる。これにより、絶縁層部分ILa,ILbは、はんだフィレットSFの形状に合わせて、はんだフィレットSFを覆う。したがって、積層コンデンサC1の実装構造100では、第二側面2e側に位置するはんだフィレットSFも絶縁層IL(絶縁層部分ILa,ILb)で覆われるため、はんだフィレットSFの厚みが大きくなっている構成においても、絶縁性を確保できる。
【0056】
絶縁層ILは樹脂を含んでいるので、絶縁層ILが弾性を有する。したがって、絶縁層ILの内側から絶縁層ILに作用する応力が、絶縁層ILの弾性変形によって吸収される。このため、絶縁層ILの強度が低下するのを確実に防ぐことができる。
【0057】
次に、
図7〜
図9を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサC2の構成を説明する。
図7は、本変形例に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
図8及び
図9は、本変形例に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。本変形例でも、電子部品として積層コンデンサC2を例に説明する。
【0058】
積層コンデンサC2は、
図7に示されるように、積層コンデンサC1と同様に、素体2と、外部電極5及び外部電極7と、絶縁層ILと、を備えている。外部電極5は、電極部分5aと、電極部分5bと、電極部分5cと、を有している。外部電極7は、電極部分7aと、電極部分7bと、電極部分7cと、を有している。
【0059】
絶縁層ILは、一対の端面2a,2b及び一対の第一側面2c,2dだけでなく、第二側面2fを囲むように、素体2上と外部電極5,7上とにわたって配置されている。絶縁層ILは、絶縁層部分ILa、絶縁層部分ILb、絶縁層部分ILc、第二側面2fに配置されている電極部分5c,7cを覆っている絶縁層部分ILd、及び、第二側面2fにおける電極部分5c,7cから露出している露出領域を覆っている絶縁層部分ILeを有している。絶縁層部分ILaと絶縁層部分ILbと絶縁層部分ILcと絶縁層部分ILdと絶縁層部分ILeとは一体的に形成されている。本変形例では、第二側面2eに配置されている電極部分5c,7c及び第二側面2eにおける電極部分5c,7cから露出している露出領域が、絶縁層ILから露出している。
【0060】
続いて、積層コンデンサC2の実装構造110について説明する。
図10及び
図11に示されるように、積層コンデンサC2は、電子機器EDにはんだ実装されている。積層コンデンサC2は、第二側面2eが実装面として電子機器EDに対向するように配置されている。電子機器EDには、間隔を有して一対のランド導体L1,L2が配置されている。ランド導体L1には、外部電極5が接続されている。ランド導体L2には、外部電極7が接続されている。外部電極5,7とランド導体L1,L2とは、はんだフィレットSFにより接合されている。
【0061】
積層コンデンサC2の実装構造110では、積層コンデンサC1の実装構造100と同様に、外部電極5,7と絶縁層ILとの間にはんだフィレットSFが形成されるので、積層コンデンサC2の電子機器への実装強度が向上する。
【0062】
図10に示されるように、積層コンデンサC2の実装構造110では、外部電極5,7の電極部分5a,7aと絶縁層部分ILaとの間において第二側面2e側に位置するはんだフィレットSFの厚みが、外部電極5,7の電極部分5a,7aと絶縁層部分ILaとの間において第二側面2f側に位置するはんだフィレットSFの厚みよりも大きい。
図10に示す例では、はんだフィレットSFは、第二方向D2から見て、第二側面2f側から第二側面2e側に向かって厚みが連続的に大きくなっている。
【0063】
図11に示されるように、積層コンデンサC2の実装構造110では、外部電極5,7の電極部分5b,7bと絶縁層部分ILbとの間において第二側面2e側に位置するはんだフィレットSFの厚みが、外部電極5,7の電極部分5b,7bと絶縁層部分ILbとの間において第二側面2f側に位置するはんだフィレットSFの厚みよりも大きい。
図11に示す例では、はんだフィレットSFは、第一方向D1から見て、第二側面2f側から第二側面2e側に向かって厚みが連続的に大きくなっている。
【0064】
積層コンデンサC2の実装構造110では、外部電極5,7の電極部分5a,5b,7a,7bと絶縁層部分ILa,ILbとの間において第二側面2e側に位置するはんだフィレットSFの厚みが、外部電極5,7の電極部分5a,5b,7a,7bと絶縁層部分ILa,ILbとの間において第二側面2f側に位置するはんだフィレットSFの厚みよりも大きいので、ランド導体L1,L2と接触するはんだフィレットSFの面積が大きくなる。これにより、積層コンデンサC2の実装構造110では、ランド導体L1,L2とはんだフィレットSFとの接触面積が確保されるため、積層コンデンサC2の実装強度が向上する。
【0065】
図10及び
図11に示されるように、絶縁層部分ILa及び絶縁層部分ILbは、第二側面2f側から第二側面2e側に向かって、すなわち電子機器ED側に向かって位置が広がっている。これにより、はんだが入り込む量が多くなるため、はんだフィレットSFの厚みが大きくなり、実装強度を確保できる。更に、はんだフィレットSFの厚みが大きい第二側面2e側においても絶縁性を確保できる。また、絶縁層部分ILa及び絶縁層部分ILbは、はんだフィレットSFの厚みの小さい第二側面2f側においては、第二側面2e側よりも位置が内側であるため、隣接する積層コンデンサC2と接触し難い。したがって、積層コンデンサC2の実装構造110では、積層コンデンサC2を狭隣接かつ高密度で実装することができる。
【0066】
積層コンデンサC2の実装構造110では、積層コンデンサC2における素体2の第二側面2fが絶縁層部分ILeに覆われているため、溶融したはんだが第二側面2fにまで濡れ上がることをより一層抑制できる。
【0067】
次に、
図12を参照して、本実施形態に係る電子部品装置ECDの構成を説明する。
図12は、本実施形態に係る電子部品装置を示す平面図である。
【0068】
図12に示されるように、電子部品装置ECDは、複数の積層コンデンサC1と、電子機器EDと、を備えている。
【0069】
複数の積層コンデンサC1は、電子機器EDに、行列状にはんだ実装されている。行方向で隣り合う積層コンデンサC1では、端面2a,2b同士が対向している。列方向で隣り合う積層コンデンサC1では、第一側面2c,2d同士が対向している。複数の積層コンデンサC1の行方向での間隔P1が、複数の積層コンデンサC1の列方向での間隔P2よりも小さい。
【0070】
各積層コンデンサC1では、絶縁層IL、特に、絶縁層部分ILaの強度が低下するのが防がれている。したがって、電子部品装置ECDでは、列方向に比して、行方向での更なる狭隣接高密度実装を実現できる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0072】
電子部品装置ECDは、複数の積層コンデンサC1の代わりに、複数の積層コンデンサC2を備えていてもよい。電子部品装置ECDは、それぞれ複数の積層コンデンサC1と積層コンデンサC2とを備えていてもよい。
【0073】
本実施形態では、積層コンデンサC1,C2の外部電極5,7が電極部分5a,5b,5c,7a,7b,7cを備える形態を一例に説明したが、外部電極5,7は、少なくとも電極部分5a,7aを備えていればよい。
【0074】
本実施形態では、電子部品が積層コンデンサC1,C2である例を説明したが、本発明はこれに限られない。本発明は、積層コンデンサ以外の電子部品(たとえば、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、又は積層複合部品など)にも適用できる。