特許第6672872号(P6672872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672872
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】操作レバー
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/56 20060101AFI20200316BHJP
   B66C 23/44 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   B66C13/56
   B66C23/44 A
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-30467(P2016-30467)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2017-145140(P2017-145140A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】渥美 雅士
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特許第2647592(JP,B2)
【文献】 特開平11−36368(JP,A)
【文献】 特開2000−233891(JP,A)
【文献】 特開2007−62989(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3221676(JP,U)
【文献】 特開2000−318975(JP,A)
【文献】 特開平8−99794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00−15/06
B66C 23/00−23/94
G05G 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回動軸線を中心として回動することにより当該回動軸線と直交する仮想平面上を揺動することができる基台と、
当該基台に設けられ、上記回動軸線を中心とする円周方向に操作されることにより上記基台を揺動させる棒状のハンドルと、
当該ハンドル及び上記基台の間に介在され、上記ハンドルの軸方向と上記仮想平面とのなす角度を調整可能に、上記ハンドルを上記基台に連結する連結機構とを備えた操作レバー。
【請求項2】
上記連結機構は、
上記ハンドルの基端部を回動可能に支持する支持部と、
上記ハンドルの回動を規制して当該ハンドルと上記仮想平面とがなす角度を調整する回動規制部とを有する請求項1に記載の操作レバー。
【請求項3】
上記支持部は、
上記基台に設けられ、上記ハンドルの基端部を保持する保持フレームと、
上記保持フレームに配置され、上記ハンドルの基端部を上記保持フレームに対して回動自在に支持する支持ピンとを有し、
上記回動規制部は、
上記基台及び保持フレームの少なくとも一方と上記ハンドルの基端部とに形成され、互いに係合する一対の係合部を有し、
上記係合部は、上記ハンドルの基端部が上記保持フレームに対して回動された複数の回動角度において互いに係合する請求項2に記載の操作レバー。
【請求項4】
上記係合部は、上記支持ピンの中心軸を中心とする円周方向に沿って上記基台に並設された複数の係合溝と、
上記ハンドルの基端部に設けられ、当該基端部が回動することにより上記係合溝に選択的に係合する突起とを有する請求項3に記載の操作レバー。
【請求項5】
上記係合部は、
上記保持フレームと上記基端部とが対向する各対向面に、互いに係合するように形成されている請求項3に記載の操作レバー。
【請求項6】
上記保持フレームは、上記基端部を挟み込む一対の壁を有する請求項3から5のいずれかに記載の操作レバー。
【請求項7】
上記基台は、上記回動軸線を中心とする円形の貫通孔を有する請求項1から6のいずれかに記載の操作レバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両搭載用クレーンその他の作業装置の操作レバーに関し、特に1台の作業装置に複数の操作レバーが設けられている場合の当該操作レバーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両搭載用クレーンは、ブームの伸縮・起伏等の操作のための操作レバー装置を備えている。この操作レバー装置は、一般に複数の操作レバーを有する(たとえば、特許文献1参照)。これら操作レバーは、一定の方向に沿って並んで配置されている。同文献は、各操作レバーが作動リンク(「フォーク」とも称される。)に支持されており、各作動リンクが上下に並んで(積層状に)配置されている点を開示している。各作動リンクは、上下方向に沿って配置された縦軸に支持され、水平方向に回動自在となっている。操作者が操作レバーを水平方向に操作することにより、作動リンクも同方向に回動する。
【0003】
この操作レバー装置では、複数の作動リンクが積層状に配置されているため、各作動リンク同士の間隔が小さい。そのため、各操作レバーが互いに平行に延びるように作動リンクに支持されると、操作レバー同士が接近して操作者がレバーを操作しづらい。そのため、各操作レバーの端部(操作者が把持する把持部)が上下方向に離間するように、各操作レバーは、それぞれ異なる角度で屈曲されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2647592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すなわち、操作レバー装置は、形状の異なる複数の操作レバーを備えることとなる。そのため、操作レバー装置を構成する部品種類が増加し、操作レバー装置の製造において、在庫管理を含めた部品の管理が複雑化する。また、従来の操作レバー装置では、操作レバーは、作動リンクに溶接される。そのため、溶接に伴って生じる歪みを解消する工程が必要となり、操作レバーの組立工程も複雑化する。その結果、操作レバーの製造コストが増大する。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造及び管理にかかるコストを低減することができる操作レバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る操作レバーは、所定の回動軸線を中心として回動することにより当該回動軸線と直交する仮想平面上を揺動することができる基台(「フォーク」とも称される。)と、当該基台に設けられ、上記回動軸線を中心とする円周方向に操作されることにより上記基台を揺動させる棒状のハンドルと、当該ハンドル(「操作レバー」とも称される。)及び上記基台の間に介在され、上記ハンドルの軸方向と上記仮想平面とのなす角度を調整可能に、上記ハンドルを上記基台に連結する連結機構とを備える。
【0008】
この構成によれば、ハンドルは、連結機構を介して基台に連結され、上記基台に対するハンドルの角度が調整される。具体的には、上記ハンドルの軸方向と上記仮想平面とのなす角度が調整される。これにより、上記基台に同一形状の複数のハンドルが密に並設された場合であっても、各ハンドルの把持部(作業者が把持する部分)の位置は、互いに離反するように調整される。
【0009】
(2) 好ましくは、上記連結機構は、上記ハンドルの基端部を回動可能に支持する支持部と、上記ハンドルの回動を規制して当該ハンドルと上記仮想平面とがなす角度を調整する回動規制部とを有する。
【0010】
この構成によれば、連結機構の支持部によりハンドルの基端部が回動可能に支持されることで、ハンドルの基端部が上記基台に対して所望の角度に位置される。そして、連結機構の回動規制部によりハンドルの角度が調整されることで、ハンドルの基端部が所望の角度で固定される。
【0011】
(3) 好ましくは、上記支持部は、上記基台に設けられ、上記ハンドルの基端部を保持する保持フレームと、上記保持フレームに配置され、上記ハンドルの基端部を上記保持フレームに対して回動自在に支持する支持ピンとを有する。上記回動規制部は、上記基台及び保持フレームの少なくとも一方と上記ハンドルの基端部とに形成され、互いに係合する一対の係合部を有する。上記係合部は、上記ハンドルの基端部が上記保持フレームに対して回動された複数の回動角度において互いに係合する。
【0012】
この構成によれば、保持フレームに配置された支持ピンがハンドルの基端部を支持することにより、ハンドルの基端部が保持フレームに対して回動自在に支持される。そして、基台及び保持フレームの少なくとも一方に形成された係合部とハンドルの基端部に形成された係合部とが互いに係合することにより、ハンドルの基端部の角度が決定される。
【0013】
(4) 上記係合部は、上記支持ピンの中心軸を中心とする円周方向に沿って上記基台に並設された複数の係合溝と、上記ハンドルの基端部に設けられ、当該基端部が回動することにより上記係合溝に選択的に係合する突起とを有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、基台に並設された複数の係合溝と、ハンドルの基端部に設けられた突起とが選択的に係合されることにより、ハンドルの基端部の角度が決定される。
【0015】
(5) 上記係合部は、上記保持フレームと上記基端部とが対向する各対向面に、互いに係合するように形成されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、保持フレームにおけるハンドルの基端部との対向面に形成された係合部と、ハンドルの基端部における保持フレームとの対向面に形成された係合部とが互いに係合することにより、ハンドルの基端部の角度が決定される。
【0017】
(6) 好ましくは、上記保持フレームは、上記基端部を挟み込む一対の壁を有する。
【0018】
上記構成によれば、保持フレームは、ハンドルの基端部を両側から保持する。そのため、基台にハンドルをより強固に固定することができる。
【0019】
(7) 好ましくは、上記基台は、上記回動軸線を中心とした円形の貫通孔を有する。
【0020】
上記構成によれば、円柱形状の回動軸を貫通孔に挿通させることにより、基台を回動軸線を中心に回動させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、同一形状の複数の操作レバーが基台に並設されたとしても、操作レバーの把持部の位置が互いに離反される。したがって、操作レバーを構成する部品の種類が低減され、操作レバーの製造及び管理にかかるコストが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本実施形態に係る操作レバー装置30を備えた車両搭載型クレーン10の側面図である。
図2図2は、操作レバー装置30を備えた車両搭載型クレーン10の背面図である。
図3図3は、操作レバー装置30を示す正面図である。
図4図4は、操作レバー装置30における積層状態の操作レバー31を示す斜視図である。
図5図5は、水平に回動操作される操作レバー31の動作を説明するための平面図である。
図6図6は、操作レバー31を示す斜視図である。
図7図7は、操作レバー31を示す図であり、(A)は平面図、(B)は背面図、(C)は底面図である。
図8図8は、操作レバー31の連結機構60を示す図であり、(A)は断面斜視図、(B)は断面正面図である。
図9図9は、変形例1に係る操作レバー31の連結機構100を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は断面斜視図、(C)は断面正面図である。
図10図10は、変形例2に係る操作レバー31の連結機構110を示す図であり、(A)はフォーク32の斜視図、(B)はハンドル41の基端部56の斜視図及び平面図、(C)はフォーク32とハンドル41とが連結された状態における平面図である。
図11図11は、その他の変形例に係る操作レバー31の連結機構60を示す図であり、(A)はフォーク32及びハンドル41の基端部56の断面斜視図、(B)はフォーク32及びハンドル41の基端部56の断面正面図である。
図12図12は、その他の変形例に係る操作レバー31の連結機構60を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施形態は、本発明の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0024】
[車両搭載型クレーン10]
【0025】
図1及び図2は、車両搭載型クレーン10の左側面図及び背面図である。
【0026】
この車両搭載型クレーン10は、作業車両に架装され、当該作業車両のエンジンを駆動源とする油圧機構により駆動される。図1において、参照符合8で示される方向が車両搭載型クレーン10が搭載された作業車両の走行方向であり、当該方向が前後方向8と定義される。また、参照符合7で示される方向が上下方向7(一般に鉛直方向)と定義され、当該上下方向7及び前後方向8と直交する方向が左右方向9と定義される。
【0027】
本実施形態に係る車両搭載型クレーン10は、メインビーム11と、ジャッキ12と、旋回台13と、旋回ポスト14と、ブーム15と、起伏シリンダ16と、ウインチ17と、ワイヤロープ18と、フック19とを主に備える。
【0028】
車両搭載型クレーン10は、メインビーム11が上記作業車両のフレーム上に固定されている。断面が矩形の箱状に形成されたメインビーム11内には、左右方向9に延びるスライドビームが配置され、スライドビームに支持されたジャッキ12が伸長し接地することにより、車両の安定が確保される。旋回台13は、メインビーム11に設けられ、上下方向7に沿う回動中心軸の周りに回転可能となっている。旋回ポスト14は、旋回台13に立設されており、旋回台13と一体になって回転する。ブーム15は、旋回ポスト14の上端に設けられている。ブーム15の基端部15Aが旋回ポスト14に起伏中心ピンを介して連結されており、起伏動作が可能となっている。
【0029】
ブーム15は、ベースブーム21、中間ブーム22及びトップブーム23を備えている。中間ブーム22及びトップブーム23は、ベースブーム21内に入れ子式に格納される。これにより、ブーム15は伸縮可能に構成されている。起伏シリンダ16は、ブーム15を起伏させるためのものである。ブーム15は伸縮シリンダを内蔵しており、伸縮シリンダが伸縮することによりブーム15が伸縮する。ウインチ17は、旋回ポスト14の内部に設けられている。ウインチ17は、ワイヤロープ18を繰り出し又は繰り込みするものである。ワイヤロープ18は、ブーム15の先端部15Bに巻き掛けられて垂下しており、その先端にフック19が設けられている。ウインチ17が所定方向に回転されることにより、ワイヤロープ18がウインチ17に巻き込まれ、フック19が上昇する。ウインチ17が反所定方向に回転されることにより、ワイヤロープ18がウインチ17から繰り出され、フック19が下降する。
【0030】
[操作レバー装置30]
【0031】
図3は、操作レバー装置30を示す正面図であり、図4は、操作レバー装置30における積層状態の操作レバー31を示す斜視図であり、図5は、水平に回動操作される操作レバー31の動作を説明するための平面図である。
【0032】
車両搭載型クレーン10は、油圧回路により油圧駆動され、この油圧回路を操作するための操作レバー装置30を備えている。操作レバー装置30は、ブーム15の伸縮、ブーム15の起伏、ウインチ17の回転、旋回台13の旋回、ジャッキ12の伸縮を操作するためのものである。操作レバー装置30は、ブーム伸縮操作レバー31Aと、ブーム起伏操作レバー31Bと、ウインチ操作レバー31Cと、旋回操作レバー31Dと、ジャッキ操作レバー31E,31Fとを備え、総称して操作レバー31と称することがある。
【0033】
図3に示されるように、上記各操作に対応する操作レバー31は、それぞれ車両搭載型クレーン10の左右両側に一本ずつ備えられている。操作レバー31の基端部56(図5参照)に、後述するフォーク32(特許請求の範囲に記載された「基台」に相当)が備えられている(図4参照)。フォーク32は、上下方向7に延びる回動軸33(特許請求の範囲に記載された「所定の回動軸線」に相当)に回動可能に備えられている。左右に配置された一対のフォーク32は、ロッド34により連結され、図5に示されるように、一方の操作レバー31が回動操作されると、対応する他方の操作レバー31が連動して回動する。これにより、オペレータは、車両の左右どちら側からでも操作可能になっている。
【0034】
[操作レバー31]
【0035】
図6は、操作レバー31を示す斜視図である。図7は、操作レバー31の平面図、背面図及び底面図である。図8は、操作レバー31の断面図であり、後述される連結機構60を示している。
【0036】
図6及び図7に示されるように、操作レバー31は、フォーク32とハンドル41とを備える。以下の操作レバー31の説明には、車両の左側に備えられる操作レバー31が水平方向に回動されていない状態(回動についてニュートラルな位置にある状態)を用いる。
【0037】
[フォーク32]
【0038】
フォーク32は、本体部42と保持フレーム43とを備える。本体部42は、上板44と下板45と側板46とを備える。上板44は、前後方向8及び左右方向9に拡がる略矩形板状を有している。下板45は、上板44と間隔を空けて上板44の下方に位置し、前後方向8及び左右方向9に拡がる略矩形板状を有している。側板46は、上下方向7及び前後方向8に拡がる略矩形板状を有し、短手方向の端縁を、上板44の側端縁47と下板45の側端縁48とに架設されている。保持フレーム43については、後述する。
【0039】
フォーク32は、上板44と下板45とに、上下方向7に貫通する回動軸挿通孔51を備え、上記回動軸33が挿通される。これにより、フォーク32は、回動軸33を中心にして水平方向に回動可能である。
【0040】
[ハンドル]
【0041】
図7に示されるように、ハンドル41は、本体部54と把持部55と基端部56とを備える。本体部54は、真直な円柱形状を有し、当該円柱形状の軸線方向に延びている。把持部55は、本体部54の一方の端部であり、把手57が取り付けられている。把手57は、操作者がハンドル41の把持部55を把持しやすいように設けられている。基端部56は、本体部54の他方の端部に形成されており、平板形状を有している。基端部56の詳細については、後述する。
【0042】
[連結機構60]
【0043】
操作レバー31は、連結機構60を備えている。ハンドル41は、連結機構60を介してフォーク32と連結される。この連結機構60により、ハンドル41は、フォーク32に対する姿勢が変化するようになっている。すなわち、図8が示すように、フォーク32の上板44の上面(特許請求の範囲に記載された「仮想平面」に相当)と、ハンドル41の本体部54とのなす角度が調整される。
【0044】
連結機構60は、支持部61と回動規制部62とを有する。支持部61は、保持フレーム43とボルト63(特許請求の範囲に記載された「支持ピン」に相当)とハンドル41の基端部56とで構成される。保持フレーム43は、前板65と後板66(特許請求の範囲に記載された「一対の壁」に相当)とから構成される。前板65及び後板66は、フォーク32の側板46に、側板46に対して上板44及び下板45が位置する側と反対側に設置されている。前板65及び後板66は、側板46に対して垂直に延び、上下方向7及び左右方向9に拡がる半楕円形の平板形状をなし、間隔を空けて位置している。前板65及び後板66は、ボルト挿通孔67を備える。ボルト挿通孔67は、前板65と後板66とを前後方向8に貫通する円形の貫通孔である。前板65のボルト挿通孔67の内周には雌ねじが形成されている。ボルト63は、後板66のボルト挿通孔67から前板65のボルト挿通孔67に向かって挿通され、前板65のボルト挿通孔67と螺合される。
【0045】
ハンドル41は、ボルト挿通孔68を備える。ボルト挿通孔68は、ハンドル41の基端部56の平板形状を貫通するする円形の貫通孔である。ボルト挿通孔68には、ボルト63が挿通可能である。
【0046】
回動規制部62は、フォーク32とハンドル41の基端部56とに形成され、互いに噛み合う一対のギア71A,71Bである。フォーク32のギア71Aは、フォーク32の側板46における保持フレーム43の前板65と後板66との間に位置している。ギア71Aは、ボルト挿通孔67の中心軸線72(図8(B)参照)を中心とした仮想内周面73(図8(B)参照)上にギア歯を有する内歯ギアである。ハンドル41の基端部56のギア71Bは、基端部56の端面に位置している。ギア71Bは、ボルト挿通孔68の中心軸線72を中心とした仮想外周面74(図8(B)参照)上にギア歯を有する外歯ギアである。
【0047】
ハンドル41の基端部56が保持フレーム43の前板65と後板66とに挟まれ、ボルト挿通孔67の中心軸線72とボルト挿通孔68の中心軸線72とが一致した状態で、フォーク32のギア71Aとハンドル41のギア71Bとが嵌合される。ギア71Aとギア71Bは、共に同一の中心軸線72を中心とした仮想内周面73又は仮想外周面74に形成されているので、ボルト挿通孔67の中心軸線72とボルト挿通孔68の中心軸線72とが一致した状態でギア71Aとギア71Bとは嵌合する。そのため、ギア71Aとギア71Bとが所望の相対的角度で嵌合することができ、その状態で、ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とにボルト63が挿通され、前板65と螺合されることにより、フォーク32に対して所望の角度でハンドル41が固定される。
【0048】
[本実施形態の作用効果]
【0049】
以上のように、ハンドル41が操作されることにより、フォーク32は、回動軸33を中心として揺動する。連結機構60により、フォーク32に対するハンドル41の角度が調整される。これにより、フォーク32に同一形状の複数のハンドル41が密に並設された場合であっても、各ハンドル41の把持部55の位置は、互いに離反するように調整される。したがって、同一形状の複数のハンドル41が並設されたとしても、把持部55の位置が互いに離反される(図3参照)。その結果、操作レバー31を構成する部品の種類が低減され、操作レバー31の製造及び管理にかかるコストが抑制される。
【0050】
本実施形態では、連結機構60の支持部61によりハンドル41の基端部56が回動可能に支持されることで、ハンドル41の基端部56がフォーク32に対して所望の角度に位置される。そして、連結機構60の回動規制部62によりハンドル41の角度が決定されることで、ハンドル41の基端部56が所望の角度で固定される。すなわち、連結機構60の構造がきわめて簡単である。
【0051】
図7及び図8が示すように、ボルト63が保持フレーム43のボルト挿通孔67とハンドル41のボルト挿通孔68とに挿通されることにより、ハンドル41の基端部56が保持フレーム43に対して回動自在に支持される。そして、フォーク32に形成されたギア71Aとハンドル41の基端部56に形成されたギア71Bとが互いに噛み合うことにより、ハンドル41の基端部56の角度が決定される。このように、本実施形態では、連結機構60がより簡単で、ハンドル41の位置決めが確実である。
【0052】
保持フレーム43は、前板65と後板66とを有し、保持フレーム43の前板65と後板66とでハンドル41の基端部56を挟み込み、基端部56を前後方向8の両側から保持する。そのため、フォーク32にハンドル41をより強固に固定することができる。
【0053】
フォーク32は円柱形状の回動軸33が挿通される円形の回動軸挿通孔51を有するので、回動軸33を中心にフォーク32を簡単に回動させることができる。
【0054】
[変形例1]
【0055】
図9は、本実施形態の変形例1に係る操作レバー31の連結機構100を示しており、(A)(B)は斜視図、(C)は断面図である。
【0056】
上記連結機構60(図8参照)に代えて、図9に示される連結機構100が採用されてもよい。連結機構100は、上記連結機構60と同様に支持部101と回動規制部102とを有する。支持部101の構成は、支持部61と略同一である。本変形例の説明において、図8に示される操作レバー31と同一の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
回動規制部102は、フォーク32の側板46に形成された複数の貫通孔103(特許請求の範囲に記載された「係合溝」に相当)と、ハンドル41の基端部56に形成された1つの突起104とにより構成される。フォーク32の側板46は、少なくとも保持フレーム43の前板65と後板66との間において、側板46の左面がボルト挿通孔67の中心軸線72を中心とした仮想内周面105上に位置するように形成されている。貫通孔103は、フォーク32の側板46における前板65と後板66の間に形成されている。貫通孔103は、ボルト挿通孔67の中心軸線72と直交する方向に側板46を貫通している。複数の貫通孔103は、中心軸線72を中心とする周方向に間隔を空けて配置されている。貫通孔103は、ハンドル41の突起104が嵌合可能な内面形状、例えば長方形に形成されている。
【0058】
ハンドル41の基端部56に形成された突起104は、基端部56の端面からハンドル41の軸方向に突出している。突起104は、フォーク32の貫通孔103に嵌合可能な断面形状(例えば長方形)を有している。
【0059】
ハンドル41の基端部56が保持フレーム43の前板65と後板66とに挟まれ、ボルト挿通孔67の中心軸線72とボルト挿通孔68の中心軸線72とが一致された状態で、フォーク32の貫通孔103のいずれかにハンドル41の突起104が嵌合される。各貫通孔103は、中心軸線72を中心とした仮想内周面105に沿って形成されているので、ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とが位置合わせされた状態で突起104と所望の貫通孔103とが嵌合する。ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とにボルト63が挿通され、前板65と螺合されることにより、フォーク32に対して所望の角度でハンドル41が固定される。
【0060】
このように、本変形例では、保持フレーム43に配置されたボルト63がハンドル41の基端部56を貫通することにより、ハンドル41の基端部56が保持フレーム43に対して回動自在に支持される。そして、フォーク32の側板46に並設された複数の貫通孔103と、ハンドル41の基端部56に設けられた突起104とが選択的に係合されることにより、ハンドル41の基端部56の角度が決定される。
【0061】
本変形例のフォーク32は、本体部42と保持フレーム43とが、塑性変形可能な1枚の平板(例えば金属板)から板金プレス加工により形成されることができる。そのため、フォーク32を簡易な加工で製造することができる。この方法でフォーク32を製造する場合、保持フレーム43の前板65は、フォーク32の側板46に半楕円形の切り込みが入れられて、この半楕円形部分が左後方に折り曲げられることにより形成される。そのため、フォーク32の側板46には半楕円形の貫通孔106が形成される。
【0062】
[変形例2]
【0063】
図10は、本実施形態の変形例2に係る操作レバー31の連結機構110を示す図である。図8に示される連結機構60に代えて、図10に示される連結機構110が採用されてもよい。図10に示される連結機構110は、図8に示される連結機構60と同一の支持部61を有している。本変形例の説明において、図8に示される操作レバー31と同一の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
回動規制部111は、フォーク32の保持フレーム43とハンドル41の基端部56に形成された4面の嵌合面112A,112B,113A,113B(特許請求の範囲に記載された「係合部」に相当)により構成される。各嵌合面112A,112B,113A,113Bは、フェースギアの形状をしている。嵌合面112Aは、保持フレーム43の前板65の後面に形成されている。嵌合面113Aは、保持フレーム43の後板66の前面に形成されている。嵌合面112A,113Aは、ボルト挿通孔67の中心軸線72を中心としてボルト挿通孔67の周囲にそれぞれ位置している。嵌合面112Bは、ハンドル41の基端部56の前面に形成されている。嵌合面113Bは、ハンドル41の基端部56の後面に形成されている。嵌合面112B,113Bは、ボルト挿通孔68の中心軸線72を中心としてボルト挿通孔68の周囲にそれぞれ位置している。
【0065】
ハンドル41の基端部56が保持フレーム43の前板65と後板66とに挟まれる。ボルト挿通孔67の中心軸線72とボルト挿通孔68の中心軸線72とが一致された状態で、ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とにボルト63が挿通され、ナット64が締められる。これにより、二対の嵌合面112A,112B,113A,113Bがそれぞれ嵌合する。すなわち、嵌合面112Aと嵌合面112Bとが嵌合し、嵌合面113Aと嵌合面113Bとが嵌合する。
【0066】
ボルト63及びナット64で締められる以前において、嵌合面112Aと嵌合面112Bの間、及び嵌合面113Aと嵌合面113Bとの間に隙間があると、ハンドル41の基端部56が保持フレーム43の前板65と後板66との間に挿入されやすい。嵌合面112A,112B,113A,113Bは、中心軸線72を中心に形成されているので、ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とが位置合わせされた状態で二対の嵌合面112A,112B,113A,113Bがそれぞれ嵌合する。そのため、ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とにボルト63が挿通され、ナット64が締め付けられることにより、フォーク32に対して所望の角度でハンドル41が固定される。
【0067】
本変形例では、保持フレーム43に配置されたボルト63がハンドル41の基端部56を貫通することにより、ハンドル41の基端部56が保持フレーム43に対して回動自在に支持される。そして、嵌合面112A,112B,113A,113Bが互いに噛み合うことにより、ハンドル41の基端部56の角度が決定される。
【0068】
本変形例のフォーク32は、変形例1におけるフォーク32と同様に、本体部42と保持フレーム43とが、塑性変形可能な1枚の平板(例えば金属板)から板金プレス加工により形成されることができる。
【0069】
[その他の変形例]
【0070】
前述の実施形態及び変形例では、保持フレーム43は、前板65及び後板66を有していたが、前板65又は後板66のいずれか一方のみを有していてもよい。
【0071】
また、ボルト63は、前板65のボルト挿通孔67に形成された雌ねじと螺合されてもよいし、ナット64と螺合されてもよい。ボルト63がナット64と螺合される場合は、ボルト挿通孔67に雌ねじが形成されている必要はない。また、ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とを固定する手段はボルトでなくてもよい。例えば、ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とにピンが挿通された後、ボルト挿通孔67の径より大きくなるようにピンの両端が変形されて、ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とが固定されてもよい。
【0072】
また、図9に示される回動規制部62において、フォーク32の貫通孔103は、貫通していない凹部であってもよい。また、各貫通孔103を仕切る壁107(図9参照)は、前板65と後板66との間において連続して延びている必要はない。すなわち、前板65の後面から後方に突出する突起、又は、後板66の前面から前方に突出する突起であってもよい。
【0073】
また、回動規制部62がボルト挿通孔であってもよい。この場合、例えば、ハンドル41の基端部56に、ボルト挿通孔68の他に、回動規制部62としてのボルト挿通孔を備える。また、保持フレーム43に、ボルト挿通孔67の他に、回動規制部62として、複数のボルト挿通孔を有する。この複数のボルト挿通孔は、ボルト挿通孔67の中心軸線72を中心とする円周上に中心が位置するように当該円周上に離間させて複数配置される。ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とを一致させた上で、ハンドル41における回動規制部62としてのボルト挿通孔を、保持フレーム43における回動規制部62としての複数のボルト挿通孔のいずれかと一致させる。そして、二対のボルト及びナットで2カ所のボルト挿通孔が締められることにより、フォーク32に対して所望の角度でハンドル41が固定される。
【0074】
また、図11及び図12に示されるように、回動規制部62は、ハンドル41の基端部56においてボルト挿通孔68の中心軸線72と平行な方向(図11及び図12において前方)に突出した凸部121(図12参照)と、保持フレーム43の前板65の後面において前方に陥没した複数の凹部122(特許請求の範囲に記載された「係合溝」に相当)であってもよい。凹部122は、ボルト挿通孔67の中心軸線72を中心とする円周上に離間して配置される(図11(B)参照)。図12に示されるように、ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とを一致させた上で、ハンドル41における回動規制部62としての凸部121を、保持フレーム43における回動規制部62としての複数の凹部122のいずれかに嵌合させる。そして、ボルト挿通孔67の内周に形成された雌ねじに対してボルト63が螺号されることにより、フォーク32に対して所望の角度でハンドル41が固定される。前述の実施形態では、保持フレーム43が後板66(図7(C)参照)を有していたが、図12に示されるように、本変形例において上記後板66を有さない構成が採用される。後板66がないため、ボルト挿通孔67とボルト挿通孔68とを一致させた後、ハンドル41の基端部56が前方に移動されて、ハンドル41の凸部121が保持フレーム43の凹部122に挿入されたときに、当該基端部56と後板66との間に隙間が発生することが回避される。そのため、保持フレーム43とハンドル41の基端部56とがボルト63によって、より確実に固定される。
【0075】
また、前述の実施形態においては、ハンドル41の基端部56におけるギア71Bのギア歯の数より、フォーク32におけるギア71Aのギア歯の数の方が多かったが、ギア71Aのギア歯の数は、ギア71Bのギア歯の数と同数であってもよいし、ギア71Bのギア歯の数より少なくてもよい。同様に前述の回動規制部62としてのボルト挿通孔は、ハンドル41の基端部56に複数形成されていてもよい。
【0076】
また、ボルト挿通孔は角穴であり、角穴のボルト挿通孔に角柱形状のピンが挿通されてもよい。
【符号の説明】
【0077】
31・・・操作レバー
32・・・フォーク(基台)
33・・・回動軸
41・・・ハンドル
43・・・保持フレーム
51・・・回動軸挿通孔
56・・・基端部
60・・・連結機構
61・・・支持部
62・・・回動規制部
63・・・ボルト(支持ピン)
65・・・前板(壁)
66・・・後板(壁)
71A,71B・・・ギア
103・・・貫通孔(係合溝)
104・・・突起
122・・・凹部(係合溝)
112A,112B,113A,113B・・・嵌合面(係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12