(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による温水洗浄便座装置の一実施形態について説明する。温水洗浄便座装置1は、水道配管3(
図2参照)から導入した洗浄水を噴出することにより、人体を洗浄する洗浄機能を有するものである。温水洗浄便座装置1は、
図1に示すように腰掛式便器2に取り付けられている。温水洗浄便座装置1は、本体部10、便座20および便座20を覆う便蓋30を備えている。便座20および便蓋30の外郭は、例えばポリプロピレン等の絶縁材料によって形成されている。
【0011】
本体部10は、ケーシング10a、洗浄ユニット40(
図2参照)および制御装置50(
図2参照)を備えている。
ケーシング10aは、中空の箱状に形成されている。ケーシング10aは、例えばポリプロピレン等の絶縁材料によって形成されている。ケーシング10aは、便座20および便蓋30を回動可能に保持する。ケーシング10aは、洗浄ユニット40および制御装置50を収容する。
【0012】
洗浄ユニット40は、人体の局部の洗浄を行うものである。洗浄ユニット40は、
図2に示すように、給水バルブ41、温水タンク42、第一接続ホース43、接地部材44、第二接続ホース45、および、ノズル装置46を備えている。
【0013】
給水バルブ41は、水道配管3(本発明の給水源に相当)に取り付けられた分岐水栓3aに、洗浄水が流れる第一洗浄水路L1を介して接続されている。分岐水栓3aは、水道配管3に流れる上水を洗浄水として第一洗浄水路L1に導出する。第一洗浄水路L1は、例えば給水ホースである。
【0014】
給水バルブ41は、第一洗浄水路L1からの洗浄水を温水タンク42に供給するものである。給水バルブ41は、給水ホース(第一洗浄水路L1)と温水タンク42との間に洗浄水が流れる第二洗浄水路L2を構成する。給水バルブ41と温水タンク42とは、ホース等を介さずに直接接続されている。給水バルブ41は、ストレーナ41a、逆止弁41b、定流量弁41c、止水電磁弁41dおよびリリーフバルブ41eを備えている。
【0015】
ストレーナ41aは、上水に含まれるゴミ等を除去するものである。逆止弁41bは、分岐水栓3aから温水タンク42への洗浄水の流れを許容するが、逆方向の流れを規制するものである。定流量弁41cは、第二洗浄水路L2に流れる洗浄水の流量を一定に維持するものである。
【0016】
止水電磁弁41dは、開状態である場合に洗浄水の流れを許容し、閉状態である場合に洗浄水の流れを規制する電磁弁である。また、止水電磁弁41dは、通電されている場合に開状態となり、非通電である場合に閉状態となるノーマルクローズ型の電磁弁である。リリーフバルブ41eは、水道配管3から供給された洗浄水を排出することにより、温水タンク42およびノズル装置46に供給される洗浄水の圧力を抑制するように調節するものである。
【0017】
温水タンク42は、給水バルブ41からの洗浄水を貯留し、かつ、加熱するものである。温水タンク42は、人体の局部の洗浄時に加熱された洗浄水(温水)を導出する。温水タンク42は、タンク部42a、加熱ヒータ42b、温度センサ42c、および、導出ポート42dを備えている。
【0018】
タンク部42aは、給水バルブ41からの洗浄水を内部に導入し、かつ、貯留するものである。タンク部42aは、例えばポリプロピレン等の絶縁材料によって中空の箱状に形成されている。
【0019】
加熱ヒータ42bは、タンク部42aに貯留された洗浄水を、制御装置50から送信される制御信号にしたがって加熱するものである。加熱ヒータ42bは、シーズヒータである。加熱ヒータ42bは、
図3に示すように、筒状に形成された導電性を有する銅管のシース42b1、シース42b1の内部に設けられた発熱体42b2、発熱体42b2とシース42b1とを絶縁する絶縁体42b3、および、発熱体42b2の両端に電気的にそれぞれ接続された複数の端子42b4を備えている。発熱体42b2は、例えばニッケルクロムにより形成されたヒータ線である。絶縁体42b3は、例えば酸化マグネシウム粉末である。
【0020】
加熱ヒータ42bは、シース42b1の外表面が洗浄水に直接接触するように、タンク部42aに貯留された洗浄水に浸漬されてタンク部42aに配置されている。これによって、発熱体42b2が通電されることにより発生した熱が絶縁体42b3を介してシース42b1の外表面に伝達して、洗浄水が加熱される。
【0021】
温度センサ42cは、タンク部42aに貯留された洗浄水の温度を検出するものである。温度センサ42cは、検出結果を制御装置50に送信する。導出ポート42dは、タンク部42aの上端部にタンク部42aと一体的に設けられ、タンク部42aに貯留された洗浄水を導出するものである。
【0022】
第一接続ホース43(本発明の接続部材に相当)は、
図2に示すように、温水タンク42の導出ポート42dと接地部材44とを接続し、洗浄水が流れる第三洗浄水路L3を構成するものである。第一接続ホース43は、例えばシリコンゴム等の絶縁材料にて形成された管状のホースである。
【0023】
第一接続ホース43は、
図4に示すように、円管状に形成されるとともに、内径を所定の大きさDにて一定に設定され、かつ、軸線方向に沿った長さLが後述する所定長さLs以上となるように設定されている。第一接続ホース43の長さLは、導出ポート42dおよび接地部材44との取付部位を除いた、洗浄水が流れる洗浄水路として機能する部位における第一接続ホース43の軸線方向に沿った長さである。
【0024】
接地部材44は、温水洗浄便座装置1の接地を行うものである。接地部材44は、
図4に示すように、本体部材44a、導電部材44bおよびアース線44cを備えている。
本体部材44aは、筒状に形成され、内部に洗浄水が流れるものである。本体部材44aは、例えばポリプロピレン等の絶縁材料によって形成されている。
【0025】
導電部材44bは、洗浄水に接触可能に設けられている。導電部材44bは、具体的には、導電部材44bの一部が本体部材44aの内部に面するように本体部材44aに液密に設けられている。導電部材44bは、例えばアルミニウム等の導電性材料にて形成されている。導電部材44bは、具体的には、制御装置50に実装された半導体素子51に固定された放熱部材52である(後述する)。
【0026】
アース線44cは、一端が導電部材44bに接続され、他端が接地されたものである。アース線44cの一端は、アースねじ(図示なし)によって、導電部材44bに電気的に接続されている。アース線44cは、他端がケーシング10aの外部に露出するように設けられている。アース線44cの他端は、家屋等に設けられた接地極(図示なし)に電気的に接続されることにより接地される。アース線44cの他端は、通常、温水洗浄便座装置1が腰掛式便器2に取り付けられる時に接地極に接続される。
【0027】
このように、温水洗浄便座装置1が接地部材44によって接地されることにより、加熱ヒータ42bが、温水タンク42に貯留された洗浄水および第一接続ホース43および接地部材44を流れる洗浄水を介して、導電部材44b、アース線44cおよび接地極と電気的に直列に接続される。これにより、加熱ヒータ42bが漏電した場合、加熱ヒータ42bからの漏洩電流が接地極(ひいては地中)に流れる(詳細は後述する)。
【0028】
また、洗浄ユニット40は、抵抗体をさらに備えている。抵抗体は、加熱ヒータ42bと導電部材44bとを電気的に直列に接続するように設けられ、所定の電気抵抗値を有するものである。抵抗体は、具体的には、加熱ヒータ42bと導電部材44bとの間を接続する第一接続ホース43および第一接続ホース43に流れる洗浄水によって構成される。すなわち、抵抗体は、例えば、後述するおしり洗浄が行われる場合に、第一接続ホース43に洗浄水が流れたときに構成される。
【0029】
抵抗体の所定の電気抵抗値は、加熱ヒータ42bが漏電し、かつ、温水タンク42から第一接続ホース43および接地部材44に洗浄水が流れた場合に、アース線44cを流れる電流値が所定電流値Is以下となるように設定されている。所定電流値Isは、人体に対して有害な生理的影響の無い電流値である。所定電流値Isは、例えば10mAである。人体を流れる電流値が10mA以下である場合、一般的に、通電時間にかかわらず、人体に対する有害な生理的影響が無い。抵抗体の所定の電気抵抗値の設定方法については、後述する。
【0030】
第二接続ホース45は、
図2に示すように、接地部材44とノズル装置46とを接続し、洗浄水が流れる第四洗浄水路L4を構成するものである。第二接続ホース45は、例えばシリコンゴム等にて形成された管状のホース(
図4参照)である。
【0031】
ノズル装置46は、第二接続ホース45からの洗浄水を人体の局部に向けて噴出することにより、人体の局部を洗浄するものである。ノズル装置46は、切替バルブ46a、おしり洗浄を行う洗浄水を噴出するおしりノズル46b、および、ビデ洗浄を行う洗浄水を噴出するビデノズル46cを備えている。また、ノズル装置46は、切替バルブ46aとおしりノズル46bとを接続して洗浄水が流れる第五洗浄水路L5、および、切替バルブ46aとビデノズル46cとを接続して洗浄水が流れる第六洗浄水路L6を備えている。
【0032】
切替バルブ46aは、第二接続ホース45(第四洗浄水路L4)からの洗浄水を、制御装置50からの制御信号にしたがって第五洗浄水路L5および第六洗浄水路L6の一方に選択して導出するものである。
【0033】
給水ホース(第一洗浄水路L1)、給水バルブ41(第二洗浄水路L2)、温水タンク42(タンク部42a,導出ポート42d)、第一接続ホース43(第三洗浄水路L3)、接地部材44、第二接続ホース45(第四洗浄水路L4)およびノズル装置46は、洗浄水が流れる洗浄水路を構成する。また、給水ホース、給水バルブ41、温水タンク42、第一接続ホース43、接地部材44、第二接続ホース45およびノズル装置46の順に洗浄水が流れる。上述したように、温水タンク42に加熱ヒータ42bが配置され、かつ、接地部材44に導電部材44bが配置されているため、導電部材44bは、洗浄水路において、加熱ヒータ42bより下流側に配置されている。
【0034】
制御装置50は、温水洗浄便座装置1を統括制御するものである。制御装置50は、少なくとも加熱ヒータ42bをオンオフ制御する(後述する)。また、制御装置50は、加熱ヒータ42bをオンオフ制御するための半導体素子51(例えばトライアック等のスイッチング素子)が実装されている。半導体素子51には、放熱部材52が接触して固定されている。放熱部材52は、半導体素子51の放熱を行うもの(ヒートシンク)である。
【0035】
次に、上述した温水洗浄便座装置1の一般的な動作について説明する。温水洗浄便座装置1の待機状態(おしり洗浄およびビデ洗浄が行われていない状態)においては、制御装置50は、温度センサ42cによって検出された洗浄水の温度が所定温度(例えば40℃)となるように、加熱ヒータ42bをオンオフ制御する。なお、温水洗浄便座装置1の待機状態は、温水タンク42から洗浄水が導出されないため、洗浄水が第一接続ホース43および接地部材44の本体部材44aを流れない。よって、このとき、加熱ヒータ42bと導電部材44bとが電気的に接続されていない。
【0036】
おしり洗浄を行うためのスイッチ(図示なし)がオンされた場合、制御装置50は、おしり洗浄を行う。制御装置50は、具体的には、止水電磁弁41dを開状態にするとともに、第四洗浄水路L4と第五洗浄水路L5とを接続するように切替バルブ46aを制御する。これにより、分岐水栓3aから第一洗浄水路L1を介して給水バルブ41に洗浄水が導入される。続けて、洗浄水の圧力が定流量弁41cおよびリリーフバルブ41eによって調整されるとともに、洗浄水が温水タンク42に導入される。これにより、温水タンク42に貯留された洗浄水が押し出されるように導出ポート42dから導出される。
【0037】
さらに、洗浄水が第一接続ホース43、接地部材44および第二接続ホース45を介して切替バルブ46aに導入される。洗浄水が接地部材44を流れる際に、洗浄水と導電部材44bとが接触する。この時、加熱ヒータ42bと導電部材44bとが洗浄水を介して電気的に直列に接続する。そして、洗浄水が切替バルブ46aから第五洗浄水路L5、および、おしりノズル46bを介して噴出されることにより、おしり洗浄が行われる。
【0038】
上述したおしり洗浄が行われている場合に、おしり洗浄を停止させるスイッチ(図示なし)がオンされた場合、制御装置50は、おしり洗浄を停止する。制御装置50は、具体的には、止水電磁弁41dを閉状態にする。これにより、温水洗浄便座装置1が待機状態に戻る。
【0039】
次に、加熱ヒータ42bの漏電が発生した場合における温水洗浄便座装置1の動作について説明する。加熱ヒータ42bの漏電は、加熱ヒータ42bの劣化等による絶縁体42b3の絶縁破壊の発生によって、発熱体42b2とシース42b1とが短絡して、発熱体42b2を流れる電流が漏洩電流としてシース42b1に漏れて流れることにより発生する。
【0040】
加熱ヒータ42bは、温水タンク42に貯留された洗浄水に浸漬されているため、加熱ヒータ42bの漏電が発生した場合に、漏洩電流が洗浄水に流れる。さらに、この場合において、おしり洗浄が行われたとき、上述したように、加熱ヒータ42bと導電部材44bとが洗浄水を介して電気的に直列に接続される。また、導電部材44bは、アース線44cを介して接地極に接続されている。よって、おしり洗浄が行われたとき、加熱ヒータ42bからの漏洩電流は、洗浄水を介して、抵抗体、導電部材44bおよびアース線44cを通って接地極(ひいては地中)に流れる。また、このときの漏洩電流の電流値は、抵抗体によって、上述したように所定電流値Is以下となる。
【0041】
次に、アース線44cの他端が接地極に接続されていない場合において、加熱ヒータ42bが漏電したときについて説明する。このときにおいて、加熱ヒータ42bと導電部材44bとが洗浄水を介して電気的に接続され、かつ、使用者がアース線44cの他端に接触した際、加熱ヒータ42bからの漏洩電流が洗浄水を介して、抵抗体、導電部材44b、アース線44c、および、使用者の人体を通って地中に流れる場合があると考えられる。この場合、加熱ヒータ42bと地中との間の電気抵抗値が、上述したアース線44cの他端が接地されているときに比べて使用者の人体の電気抵抗値分だけ増加している。よって、この場合、使用者の人体を流れる電流値は、所定電流値Isより小さくなる。したがって、使用者に有害な生理的影響は無い。
【0042】
また、アース線44cの他端が接地極に接続されていない場合において、加熱ヒータ42bが漏電したとき、使用者がおしりノズル46bから噴出する洗浄水を介して感電することが考えられる。おしりノズル46bからの洗浄水の噴出は、洗浄水路において抵抗体を構成する第一接続ホース43より下流側にて行われるため、使用者の人体を流れる電流値は、所定電流値Isより小さくなる。よって、このときにおいても、使用者に有害な生理的影響は無い。
【0043】
次に、抵抗体の所定の電気抵抗値の設定方法について説明する。所定の電気抵抗値の設定を行う際、アース線44cの他端が接地極に接続され、加熱ヒータ42bが漏電し、かつ、第一接続ホース43および接地部材44に洗浄水が流れたときを前提とする。
【0044】
第一接続ホース43が上述したように絶縁材料にて形成されているため、抵抗体における導体は洗浄水のみである。また、第一接続ホース43に洗浄水が流れる場合、第一接続ホース43の内部に洗浄水が満たされている。よって、抵抗体の電気抵抗値Rは、第一接続ホース43の流路断面積Aおよび第一接続ホース43の長さLによって定まる。すなわち、抵抗体の電気抵抗値Rは、式(1)によって与えられる。ρは電気抵抗率である。電気抵抗率ρは、導体の物質の電流の通りにくさを表す物性値である。
[数1]
R=ρ×L/A ・・・(1)
【0045】
ここで、物質の電流の通りやすさを表す物性値である導電率κは、電気抵抗率ρと逆数の関係にある。よって、抵抗体の導電率κは、式(2)によって表すことができる。
[数2]
κ=1/ρ ・・・(2)
【0046】
また、オームの法則から式(3)が与えられる。Vは抵抗体の両端にかかる電圧値、Iは、電圧値Vに応じて抵抗体に流れる電流値である。
[数3]
V=R×I ・・・(3)
【0047】
さらに、式(1)、式(2)および式(3)から式(4)が導出される。
[数4]
I=κ×V×A/L ・・・(4)
【0048】
ここで、導電率κは、洗浄水の水質、洗浄水の圧力および洗浄水の温度によって変動する。これらを考慮して、導電率κを式(5)のようにする。κ
tは洗浄水の温度がt℃であるときの導電率、Cpは、圧力換算係数である。
[数5]
κ=Cp×κ
t ・・・(5)
【0049】
洗浄水の水質については、水道法第4条の規定に基づいた「水質基準に関する省令」で規定された水質基準から、導電率κが最大となる水質とする。具体的には、電解質である塩化ナトリウムの濃度を最大濃度200ppmとした水道水が洗浄水として設定される。また、洗浄水の温度は、上述したように所定温度(40℃)となるように制御されているため、洗浄水の温度が所定温度(40℃)であるときの導電率κ
40を算出する。
【0050】
IEC規格には、塩化ナトリウム溶液の温度が25℃である場合の塩化ナトリウム溶液の濃度と導電率との関係が示されている(IEC規格番号IEC 60746−3のNaCl表)。よって、塩化ナトリウムの濃度が200ppm、かつ、温度が25℃であるときの洗浄水の導電率κ
25は、IEC規格から導出可能である。具体的には、導電率κ
25は41.35mS/mである。
【0051】
さらに、洗浄水の導電率κは、JIS規格(JIS規格番号:JIS K0101)から、洗浄水の温度が1℃変化した場合、2%変化するものとする。これらによって、塩化ナトリウムの濃度が200ppm、かつ、温度がt℃の洗浄水の導電率κ
tは、導電率κ
25を基準として式(6)によって表すことができる。
[数6]
κ
t=κ
25×(1+0.02(t−25)) ・・・(6)
よって、上述した導電率κ
25の値および式(6)から導電率κ
40が導出される。具体的には、導電率κ
40は、53.76mS/mとなる。
【0052】
また、本実施形態の温水洗浄便座装置1において、洗浄水路を流れる洗浄水に最大圧力が作用した場合(例えば、おしり洗浄の水勢が最大の場合)の導電率κは、洗浄水に大気圧のみが作用する場合に比べて、およそ1.3倍となる。よって、安全率を考慮して圧力換算係数Cpを1.5とする。
【0053】
さらに、加熱ヒータ42bが漏電した場合、加熱ヒータ42bにかかる電圧と同じ電圧が抵抗体にかかるとする。加熱ヒータ42bにかかる電圧は、例えば100Vである。よって、Vを100、Cpおよび導電率κ
40を上述した値として、式(4)および式(5)から式(7)が導出される。
[数7]
I=1.5×53.76×100×A/L ・・・(7)
【0054】
ここで、第一接続ホース43の長さLを所定長さLsに設定した場合、加熱ヒータ42bの漏電時にアース線44cに流れる電流値を所定電流値Isとする。また、加熱ヒータ42bの漏電時において、アース線44cに流れる電流値と抵抗体に流れる電流値とが等しいこと、および式(7)から、式(8)が導出される。
[数8]
Is=1.5×53.76×100×A/Ls ・・・(8)
【0055】
さらに、所定電流値Isが10mAであることから、Isを10として、式(8)から式(9)が導出される。
[数9]
Ls=8.06×10
2×A ・・・(9)
【0056】
また、流路断面積Aは、第一接続ホース43の内径である所定の大きさDから算出される。よって、式(9)を満たすように、所定の大きさDおよび所定長さLsを設定する。具体的には、所定の大きさDが3mmに設定された場合、所定長さLsが5.7mmに設定される。そして、第一接続ホース43の内径が所定の大きさDに、かつ、長さLが所定長さLsに設定された場合、加熱ヒータ42bが漏電し、かつ、洗浄水路に洗浄水が流れたときに、アース線44cを流れる電流値が所定電流値Isとなる。
【0057】
よって、第一接続ホース43の内径が所定の大きさD、かつ、第一接続ホース43の長さLが所定長さLs以上に設定された場合、抵抗体の電気抵抗値が、第一接続ホース43の長さLが所定長さLsである場合の電気抵抗値以上となる。したがって、この場合、加熱ヒータ42bが漏電し、かつ、洗浄水路に洗浄水が流れた場合に、アース線44cを流れる電流値が所定電流値Is以下となる。このように第一接続ホース43の内径が所定の大きさDに、および、第一接続ホース43の長さLが所定長さLs以上に設定されることによって、所定の電気抵抗値が設定される。
【0058】
本実施形態によれば、温水洗浄便座装置1は、水道配管3から導入した洗浄水を噴出することにより、人体を洗浄する洗浄機能を有する。温水洗浄便座装置1は、洗浄水が流れる洗浄水路と、洗浄水路(温水タンク42)に設けられ、洗浄水を加熱する加熱ヒータ42bと、洗浄水路における加熱ヒータ42bより下流側にて洗浄水に接触可能に設けられ、導電性を有する導電部材44bと、一端が導電部材44bに接続され、他端が接地されたアース線44cと、加熱ヒータ42bと導電部材44bとを電気的に直列に接続するように設けられ、所定の電気抵抗値を有する抵抗体と、を備えている。所定の電気抵抗値は、加熱ヒータ42bが漏電し、かつ、洗浄水路に洗浄水が流れた場合に、アース線44cを流れる電流値が所定電流値Is以下となるように設定されている。
【0059】
これによれば、導電部材44bがアース線44cの一端に接続され、かつ、アース線44cの他端が接地されている場合において、洗浄水を加熱する加熱ヒータ42bが漏電したとき、洗浄水および導電部材44bを介してアース線44cに流れる電流値が、加熱ヒータ42bと導電部材44bとを電気的に直列に接続する抵抗体によって所定電流値Is以下となる。また、洗浄水路において、アース線44cの一端を接続された導電部材44bが加熱ヒータ42bより下流側に設けられている。よって、アース線44cの他端が接地されていない場合において、加熱ヒータ42bが漏電したとき、使用者がアース線44cの他端に接触、または、洗浄水路を通って噴出された洗浄水に使用者が接触した際に、使用者に流れる電流値を所定電流値Is以下とすることができる。したがって、漏電遮断器を搭載しない温水洗浄便座装置1において、洗浄水を加熱する加熱ヒータ42bの接地が行われていない場合においても、加熱ヒータ42bの漏電により使用者が感電したときに、使用者に流れる電流値を抑制することができる。
【0060】
また、抵抗体は、洗浄水路における加熱ヒータ42bと導電部材44bとの間を接続する第一接続ホース43と、第一接続ホース43を流れる洗浄水と、によって構成される。
これによれば、抵抗体を比較的簡便に形成することができる。
【0061】
また、第一接続ホース43は、管状に形成されるとともに、内径を所定の大きさDに設定され、かつ、軸線方向に沿った長さLを所定長さLs以上に設定されている。
これによれば、抵抗体の所定の電気抵抗値を比較的簡便に設定することができる。
【0062】
また、導電部材44bは、加熱ヒータ42bを少なくとも制御する制御装置50に実装された半導体素子51の放熱を行う放熱部材52である。
これによれば、新たに追加する部品の点数を抑制しつつ、導電部材44bを構成することができる。よって、温水洗浄便座装置1の低コスト化を図ることができる。
【0063】
なお、上述した実施形態において、温水洗浄便座装置の一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、導電部材44bは、放熱部材52であるが、これに代えて、例えば切替バルブ46aの金属部にしても良い。また、導電部材44bを、温水洗浄便座装置1が新たに備える金属等の導電性部材とするようにしても良い。
【0064】
また、上述した実施形態において、温水タンク42が洗浄水を貯留しているが、これに代えて、温水タンク42が洗浄水を貯留しないようにしても良い。この場合、例えばおしり洗浄が行われたとき、洗浄水が加熱ヒータ42bと接触する際に、洗浄水の温度が所定温度となるようにしても良い。なお、この場合、加熱ヒータ42bをセラミックヒータにて構成するようにしても良い。
【0065】
また、上述した実施形態において、第一接続ホース43の内径は、所定の大きさDを一定とするように形成されているが、これに代えて、内径が変化するように形成するようにしても良い。また、第一接続ホース43は、絶縁材料にて形成されているが、これに代えて、導電性材料にて形成するようにしても良い。
【0066】
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、第一接続ホース43の形状や個数、本体部材44aの形状、導電部材44bを構成する部材、加熱ヒータ42bの形状を変更しても良い。