(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0020】
本実施形態では、本発明の保護トレイに収納される搬送容器が、物品としての卵を収容し搬送するための卵パックである例を説明する。
本実施形態の卵パックの保護ケースは、所定の形状に切り取られるとともに罫線やスリットが設けられたシート材から組み立てられた立体状の包装資材である。
【0021】
以下、[1.卵パックの構成]及び[2.保護トレイの構成]の各欄では、卵パックは、水平面に載置され状態を基準とし、保護トレイは、水平面に載置され且つ卵パックを収納した状態を基準として、保護トレイ及び卵パックの長手方向を前後方向(縦方向ともいう)Xとし、長手方向と直交する水平方向を左右方向(幅方向又は横方向ともいう)Yとし、重力の作用方向を下方とし、下方の反対方向を上方として説明する。
一方、[3.保護トレイの組立方法]の欄では、上下前後左右は図中における方向(紙面上の方向)を基準として説明する。
本実施形態の説明で使用する、「前」,「後」,「左」及び「右」は、本発明の「一対の端壁」,「一対の底片」,「一対の支持片」及び「一対の側壁」のそれぞれにおける「一方」と「他方」とを区別しやすくするなど、説明上、便宜的に使用するに過ぎず、保護トレイについて方向に関する意味づけを行うものではない。
【0022】
[1.卵パックの構成]
先ず、保護トレイに収納される卵パック(搬送容器)2の構成について
図9(a),(b),(c)を参照して説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係る卵パックの構成を示す模式図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)はそのパック本体を斜め下方から視た斜視図(蓋体は省略)である。
【0023】
卵パック2は、パルプモールドにより製作されたものである。卵パック2は、縦方向Xに延在する薄肉のヒンジ21を有し、そのヒンジ21で折り曲げることで、パック本体22の周縁のフランジ部22aと蓋体23の周縁のフランジ部23aとが合わさって箱状となる(以下、この箱状となった状態を閉状態という)。なお、ヒンジ21と各フランジ部22a,23aとは連続して形成される。
パック本体22の開口縁(ヒンジ21とは反対側の縁部)には係止片22bが設けられ、この係止片22bには係止突起22cが前後一対に設けられている。また、蓋体23には、閉状態において、前記係止突起22cと対面する箇所にそれぞれ係止孔23bが設けられている。パック本体22の係止突起22cと、蓋体23の係止孔23bとを互いに係止させることで、卵パック2の閉状態を保持できるようにしている。
【0024】
パック本体22には、一個の卵3を収容する収容部22dが縦方向X及び幅方向Yにそれぞれ複数配列されている(本実施形態では縦5列×横2列)。パック本体22の下側面(外側面)には、これらの収容部22dの各相互間を繋ぐ繋ぎ部22e,22fが形成されている。繋ぎ部22eは、縦方向Xに隣接する収容部22dの相互間を繋ぎ、繋ぎ部22fは、横方向Yに隣接する収容部22dの相互間を繋いでいる。
【0025】
卵パック2に卵3を収容するには、蓋体23を上向きに開いて展開状態とし、パック本体22の収容部22dに卵3を入れ込んだうえ、蓋体23を閉じて卵パック2を閉状態とする。このように閉状態とされた卵パック2に収容された卵3は略不動状態に固定される。
【0026】
[2.保護トレイの構成]
本発明の一実施形態としての保護トレイの構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての保護トレイの構成を、卵パックを収容していない状態において示す模式的な斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態としての保護トレイの構成を、卵パックを収容している状態において示す模式的な斜視図である。
保護トレイ(搬送容器の保護トレイ)1は、後述するように1枚の両面段ボールシート(シート材、以下、段ボールシートという)1′(
図4参照)を折り曲げて立体的に組み立てたものである。保護トレイ1は、
図1,2に示すように、天面が全体的に開放されると共に底面(底部)の中央だけが開放された、前後に長い略箱状体である。具体的には、底部10と、底部10の周縁を囲むようにして配置された鉛直姿勢の前方(一方)の端壁(以下、前壁ともいう)11,後方(他方)の端壁(以下、後壁ともいう)13,側壁12,14と、前後一対に配設された鉛直姿勢の前方(一方)の支持片(以下、前方支持片ともいう)16a及び後方(他方)の支持片(以下、後方支持片ともいう)16bとを備えて構成されている。
【0027】
前壁11,後壁13は、それぞれ、幅方向Yの寸法が高さ方向の寸法よりも僅かに長い長方形をし、各側壁12,14は、それぞれ、前壁11,後壁13の各側縁を繋ぎ、前後方向Xの寸法が高さ方向の寸法よりも大幅に長い長方形をしている。すなわち、前壁11,後壁13及び側壁12,14により規定される保護トレイ1の形状が、卵パック2に応じた一方向に長い形状となっている。
後述するように、側壁12は、外側壁12outと内側壁12inとを備えて構成され、同様に、側壁14は、外側壁14outと内側壁14inとを備えて構成されている。
底部10は、前方(一方)の底片(以下、前方底片ともいう)10aと、後方(他方)の底片(以下、後方底片ともいう)10bと、前方底片10aと後方底片10bとの相互間に形成される開口10cとを備えて構成されており、全体として前後方向Xに長い長方形をしている。前方底片10aの基端縁(前縁)は前壁11の下縁に連設され、同様に、後方底片10bの基端縁(後縁)は後壁13の下縁に連設されている。
【0028】
前方支持片16aは、その基端縁(下縁)が前方底片10aの後縁に連設され、後方支持片16bは、その基端縁(下縁)が後方底片10bの前縁に連設されている。後述するように、各支持片16a,16bはそれぞれ左右両側から側壁12,14の内側壁12in,14inにより支持されている。
【0029】
保護トレイ1は、前後方向Xに関する寸法,幅方向Yに関する寸法及び高さ寸法に関する寸法が何れも卵パック2の対応する寸法よりも大きく設定されており、
図2に示すように、卵パック2を前後左右から空間をあけつつ覆うようにして収納できるようになっている。また、収納された卵パック2を一対の支持片16a,16bにより下方から協働して支持することで、卵パック2を、前方底片10a及び後方底片10bから浮いた宙吊り状態で支持するようになっている。
【0030】
ここで、支持片16a,16bの形状について説明する。支持片16a,16bは同一の形状であるので、後方支持片16bを例に取り、
図3を参照してその形状を説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る支持片の形状を説明するための図であって、後方支持片16b及び後方底片10bを抜き出して示す背面図である。便宜的に後方支持片16bにより下方から支持された状態の卵パック2を二点鎖線で示す。
後方支持片16bは、その上部において、幅方向Yで中央に横長の長方形の切り欠き163が形成された凹形状となっている。これにより、後方支持片16bの上端面には、切り欠き163の幅方向Yで両外側に第1支持部161がそれぞれ形成されると共に、幅方向Yで中央(切り欠き163の底面)に第2支持部162が形成されることとなる。
【0031】
各第1支持部161は、後方底片10bの上面よりもΔHだけ高く設定されている。各第1支持部161は、卵パック2の外縁に形成されたフランジ部22a又はヒンジ21を下方から支持するものであり、前記のΔHは、卵パック2(収容部22d)の下面とフランジ部22a及びヒンジ21の下面との高低差Δhよりも大きめに設定されている(ΔH>Δh)。このような設定により、上述したように、卵パック2は、後方底片10bの上面に対して所定高さ(=ΔH−Δh)だけ浮いた宙吊り状態で支持されるようになっている。
【0032】
また、切り欠き163の深さはΔH1に設定されている。つまり、第2支持部162の高さは、卵パック2のフランジ部22a及びヒンジ21を下方から支持する各第1支持部161よりもΔH1だけ低めに設定されている。卵パック2の繋ぎ部22eの下面は、フランジ部22a及びヒンジ21の下面よりもΔh1だけ低めに設定されており、前記ΔH1は、このΔh1と等しく設定されている(ΔH1=Δh1)。
このような設定により、卵パック2のフランジ部22a及びヒンジ21を各第1支持部161で支持した際には、併せて、卵パック2の繋ぎ部22eが第2支持部162により下方から支持されるようになっている。
【0033】
[3.保護トレイの組立方法]
以下、
図4〜
図8を参照して、保護トレイの詳細構成の説明を絡めながら保護トレイの組立方法について説明する。
図4は、本発明の一実施形態としての保護トレイの展開図である。
図5〜
図8は、本発明の一実施形態としての保護トレイの組立方法を説明するための図である。
なお、
図5〜
図8では、
図1〜
図3に示すような卵パック2の収納時とは上下逆にして、組立途中又は組立後の保護トレイを示す。
図4〜
図8を使用した以下の説明では、
図1〜3で使用した組立状態の保護トレイ1に対して使用した符号及び名称をそのまま使用し、例えば、段ボールシート1′において、保護トレイ1の前壁11を構成する箇所については前壁11と表記する。また、上述したとおり上下前後左右は図中における方向(紙面上の方向)を基準として説明する。
【0034】
[3−1.段ボールシート1′の構成]
先ず、保護トレイ1に組み立てられる段ボールシート1′の構成について説明する。段ボールシート1′は、単一の段ボールシートから、所定の形状に切り取られると共に罫線やスリットが適宜設けられたものであり、
図4に示すように、横長の帯状のものである。段ボールシート1′は、縦方向に延在する罫線(以下「縦罫線」とも言う)Lv1〜Lv4,横方向に延在する罫線(以下「横罫線」とも言う)Lh1〜Lh6及び縦方向に延在する縦切断線Lv5〜Lv7により、接続片15,側壁14の外側壁14out及び内側壁14in,後壁13,後方底片10b,後方支持片16b,側壁12の外側壁12out及び内側壁12in,前壁11,前方底片10a及び前方支持片16aに区分されている。
各罫線Lv1〜Lv4,Lh1〜Lh6は、
図4において紙面裏側にそれぞれ形成されている。また、各罫線Lv1〜Lv4,Lh1〜Lh6には、段ボールシート1′を一層容易に折り曲げられるように、段ボールシート1′を厚み方向に貫通する短尺の切り込みKが間隔をあけて複数設けられている。なお、切り込みKは省略することもできる。
【0035】
ここで、横罫線Lh1,Lh2,Lh3,Lh4は、段ボールシート1′の縦方向のほぼ中央に左右方向全域に亘って横並びして(縦方向の位置を揃えて)連設され、左からこの順に設けられている。縦罫線Lv1,Lv2,Lv3,Lv4は、横罫線Lh1〜Lh4よりも上方において左側からこの順に設けられている。縦切断線Lv5,Lv6,Lv7は、横罫線Lh1〜Lh4よりも下方において左側からこの順に設けられ、それぞれ縦罫線Lv2,Lv3,Lv4を下方に延長するようにして形成されている。
【0036】
詳細には、横罫線Lh1〜Lh4及び縦罫線Lv1,Lv2,Lv3,Lv4によって区分されて、接続片15,側壁14の外側壁14out,後壁13,側壁12の外側壁12out及び前壁11が、左からこの順に並んで形成される。
つまり、縦罫線Lh1〜Lh4よりも上方において、縦罫線Lv1の左側に突出して接続片15が、横罫線Lh1及び縦罫線Lv1,Lv2に囲まれて外側壁14outが、横罫線Lh2及び縦罫線Lv2,Lv3に囲まれて後壁13が、横罫線Lh3及び縦罫線Lv3,Lv4に囲まれて外側壁12outが、横罫線Lh4及び縦罫線Lv4に囲まれて前壁11が形成されることとなる。
【0037】
また、横罫線Lh1〜Lh6及び縦切断線Lv5〜Lv7によって区分されて、横罫線Lh1〜Lh4よりも下方において、内側壁14in,後方底片10b,後方支持片16b,内側壁12in,前方底片10a及び前方支持片16aが形成されている。
より詳細には、横罫線Lh1を挟んで外側壁14outの反対側(下側)に、外側壁14outと略同形状の内側壁14inが、縦切断線Lv5の左側に形成されている。
【0038】
横罫線Lh2を挟んで後壁13の反対側(下側)には、縦切断線Lv5,Lv6の相互間において、後方底片10b及び後方支持片16bが上からこの順に連設されている。後方底片10bと後方支持片16bとは横罫線Lh5によって区分されている。
横罫線Lh3を挟んで外側壁12outの反対側(下側)には、外側壁12outと略同形状の内側壁12inが、縦切断線Lv6,Lv7の相互間に形成されている。
横罫線Lh4を挟んで前壁11の反対側(下側)には、縦切断線Lv7の右側において、前方底片10a及び前方支持片16aが上からこの順に連設されている。前方底片10aと前方支持片16aとは横罫線Lh6によって区分されている。
【0039】
内側壁12in,14inには、それぞれ、罫線Lh3,Lh1寄りに、厚み方向に貫通する係止孔121,141が左右に間隔をあけて一対に設けられている。
【0040】
また、前壁11の左側縁(外側壁12out側の側縁)の上部には係止孔111が設けられている。この係止孔111は、前壁11と外側壁12outとの間の罫線Lv4を上方に延設するようにして形成され、厚み方向に貫通するとともに上方に開口している。
後壁13の左右両側縁(外側壁14out,12out側の側縁)の各上部には係止孔131がそれぞれ設けられている。これらの係止孔131は、後壁13と外側壁14out,12outとの間の罫線Lv2,Lv3をそれぞれ上方に延設するようにして形成され、厚み方向に貫通するとともに上方に開口している。
接続片15の右側縁(外側壁14out側の側縁)の上部には係止孔151が設けられている。この係止孔151は、接続片15と外側壁14outとの間の罫線Lv1を上方に延設するようにして形成され、厚み方向に貫通するとともに上方に開口している。
【0041】
また、内側壁12inの両側辺下部には、左右方向に凸となる係止片122が一対に設けられている。これらの係止片122は、縦切断線Lv6,Lv7の内側壁12in側を、下側を残して切り欠くことによりそれぞれ形成される。
内側壁14inの両側辺下部には、左右方向に凸となる係止片142が一対に設けられている。右側の係止片142は、縦切断線Lv5の内側壁14in側を、下側を残して切り欠くことにより形成される。
支持片16a,16bの両側辺下部(各第1支持部161の外側の側辺)には、左右方向に凸となる係止片164がそれぞれ設けられている。
【0042】
なお、
図4の太点線の丸枠X内は、段ボールシート1′の中芯の段の方向を示している。段ボールシート1′は上述したように単一の段ボールシートから形成されたものなので、段ボールシート1′の全体において、中芯の段は
図4における横方向にむいて延びている。したがって、
図1及び
図2に示すような保護トレイ1に組み立てられた状態において、側壁12,14では、中芯の段は縦方向Xに沿った(縦方向Xに延在した)ものとなり、前壁11及び後壁13では、中芯の段は幅方向Yに沿った(幅方向Yに延在した)ものとなり、何れも水平方向に延在したものとなる。
なお、段ボールシート1′の切断面から露出する中芯については、
図1〜3,5〜8では省略している。
【0043】
[3−2.組立方法]
保護トレイ1は、段ボールシート1′を立体的に組み立てることにより構成され、
図5,
図6,
図7及び
図8の順に組み立てが進められる。
【0044】
先ず、
図4に示す段ボールシート1′を
図5に示す状態に組み立てる。具体的には、
図4において、段ボールシート1′を、横並びする縦罫線Lv1,Lv2,Lv3,Lv4において紙面裏側に向けて折り曲げると共に、前壁11の側縁の紙面裏側に、接続片15の紙面表側を係止孔151が塞がれないように接着する。これにより、段ボールシート1′は、
図5に示すような上下が開放された枠体となる。
【0045】
次いで、
図5に示す状態から
図6に示す状態に組み立てる。具体的には、
図5に示す状態から、外側壁12outの上部に連設された内側壁12inを、横罫線Lh3において、矢印A1で示すように枠体内方に向けて外側壁12outに重なるまで折り曲げる。その後、内側壁12inの一対の係止片122を、それぞれ、前壁11の係止孔111と後壁13の係止孔131とに嵌め込む。
同様に、外側壁14outの上部に連設された内側壁14inを、横罫線Lh1において、矢印A2で示すように枠体内方に向けて外側壁14outに重なるまで折り曲げる。その後、内側壁14inの一対の係止片142を、それぞれ、接続片15の係止孔151と後壁13の係止孔131とに嵌め込む。
【0046】
これにより、段ボールシート1′は、
図6に示すように、二重壁構造の側壁12,14を備えると共に上下が開放された枠体となる。すなわち、段ボールシート1′は、外側壁12outと内側壁12inとが互いに上端(
図1及び
図2に示す卵パック2の収納時における下端)で連設された側壁12と、外側壁14outと内側壁14inとが互いに上端(
図1及び
図2に示す卵パック2の収納時における下端)で連設された側壁14とを備えた枠体となる。
【0047】
次いで、
図6に示す状態から
図7に示す状態に組み立てる。具体的には、
図6に示す状態から、端壁11,13の上部に一体に連設された底片10a,10b及び支持片16a,16bを、横罫線Lh4,Lh2において、矢印A3,A4で示すように枠体内方に向けて側壁12,14の上端(
図1及び
図2に示す卵パック2の収納時における下端)までそれぞれ折り曲げる(異なる表現をすれば側壁12,14の上端と平行又は略平行となる姿勢までそれぞれ折り曲げる)。これにより、
図7に示す状態となる。
【0048】
最後に、
図7に示す状態から
図8に示す完成状態に組み立てる。具体的には、
図7に示す状態から、さらに、支持片16a,16bを、横罫線Lh6,Lh5において、矢印A5,A6で示すように枠体内方に向けて、底片10a,10bに対し垂直(略垂直を含む)になるまで折り曲げると共に各支持片16a,16bの一対の係止片164を、内側壁12in,14inの係止孔121,141に嵌め込む。これにより、
図8に示す状態となり、保護トレイ1が完成する。
【0049】
[4.作用・効果]
本発明の一実施形態の保護トレイ1によれば、卵パック2が、支持片16a,16bにより底部10から隙間をあけた宙吊り状態で支持されるので、搬送時の振動が、底部10から卵パック2へ直接入力してしまうことを抑制でき、また、卵パック2を直置きした時のように自重により卵3の底に負荷が掛かることを抑制できる。したがって、卵パック2内の卵3が割れてしまうことを効果的に抑制できる。
【0050】
さらに、底部10には、前方底片10aと後方底片10bとの間において開口10cが設けられているので、底部10より保護トレイ1に入力される搬送時の振動を、開口10cの分だけ低減することができ、一層効果的に卵パック2内の卵3が割れてしまうことを抑制できる。
加えて、開口10cの分だけ、保護トレイ1の組み立てに必要となる段ボールシート1′のサイズを低減することができるので、保護トレイ1の製造コストを低減することができる。
【0051】
また、例えば、車両による搬送時に、急ブレーキによって、卵パック2を支持する支持片16a,16bに、慣性により側壁12,14に対して相対的に移動させるような力が作用しても、各支持片16a,16bがそれぞれ側壁12,14により左右両側から支持されるので、かかる移動を抑制でき、支持片16a,16bにより、卵パック2を安定して支持することができる。したがって、一層効果的に卵パック2内の卵3が割れてしまうことを抑制できる。
【0052】
また、各支持片16a,16bがそれぞれ側壁12,14により左右両側から支持されることは、逆の言い方をすれば、各側壁12,14を支持片16a,16bが梁のように支えることとなる。卵パック2は、構造的に上下方向からの力に強い一方、水平方向(横方向)Yからの力に弱いので、保護トレイ1が幅方向Yに押されてひずむと卵パックが大きく変形してそれにより卵3が割れてしまうおそれがある。しかし、上述したように各側壁12,14が支持片16a,16bに支持されるので、各側壁12,14に対する水平方向(横方向)Yからの衝撃に関して、保護トレイ1の強度の向上ひいては卵パック2に対する保護機能の向上を図ることができる。
また、同様に、側壁12,14が、内側壁12in,14inと、外側壁12out,14outとを備えた二重壁であるので、水平方向(横方向)Yからの衝撃に関して、保護トレイ1の強度の向上ひいては卵パック2に対する保護機能の向上を図ることができる。
【0053】
支持片16a,16bは、二重壁(側壁)12,14の内側壁12in,14inに支持されているので、支持片16a,16bと内側壁12in,14inとの係止部(係止片164、係止孔121,141)を、二重壁(側壁)12,14の外側壁12out,14outにより保護することができる。また、係止部(係止片164、係止孔121,141)が外側壁12out,14outにより覆われて人目に付くことがないので、保護トレイ1の外観性を向上できる。
【0054】
卵パック2は、保護トレイ1の支持片16a,16bの第1支持部161及び第2支持部162により支持される。詳しくは、卵パック2は、第1支持部161によりフランジ部22aを支持されると共に、第2支持部162により繋ぎ部22eすなわち陥没形状の収容部22dの相互間を支持される。したがって、卵パック2が、第1支持部161により支持されることに加えて、収容部22dの相互間に差し込まれた第2支持部162により支持されるので、卵パック2をガタつくことなく安定した状態で支持することができ、卵パック2内の卵3の割れを一層効果的に抑制することができる。
【0055】
保護トレイ1の前壁11及び後壁13では、上述したように、保護トレイ1を構成する段ボールシート1′の中芯の段が幅方向Yに延在しているので、中芯の段が高さ方向に延在している場合に較べて、左右からの衝撃に関して保護トレイ1の強度を向上することができ、ひいては、左右からの衝撃に関して卵パック2に対する保護機能を向上することができる。
【0056】
また、保護トレイ1が一枚の段ボールシート1′から組み立てられるので、例えば樹脂材を成型して保護トレイを製造する場合や、複数の部品を組み付けて保護トレイを製造する場合に較べて、保護トレイを安価且つ容易に製造できる。
【0057】
[5.その他]
(1)上記一実施形態では、保護ケースに組み立てられるシート材として段ボールシートを使用したが、シート材は段ボールシートに限定されず、例えば厚紙を使用してもよい。
【0058】
(2)上記一実施形態では、一枚のシート材(段ボールシート)組み立てて保護ケースを製造したが、例えば、複数枚のシート材を組み付けて保護ケースを製造してもよいし、樹脂材を成型して保護ケースを製造してもよい。
【0059】
(3)上記一実施形態では、本発明の保護トレイに収納して保護する搬送容器として、パルプモールド製の卵パックを例示して説明したが、かかる搬送容器は、パルプモールド製の卵パックに限定されず、例えば、樹脂製の卵パックでもよいし、イチゴのような僅かな衝撃によっても傷みやすい果実を収容した樹脂トレイでもよい。