(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブッシュの前記中空部に前記シャフト本体の前記テーパ部が嵌め込まれた状態で、前記シャフト本体に対する前記ブッシュの軸線方向の位置を決める第2位置決め部(340、130、150)を備える請求項1ないし4のいずれか1つに記載の圧縮機。
前記溝部は、前記シャフト本体の軸線方向一方側および軸線方向他方側に形成されている第1、第2の側面(321、322)と、前記第1、第2の側面の間に形成されている底面とを有し、
前記径方向内側に近づくほど前記第1、第2の側面の間の距離が小さくなるように前記第1の側面に対して前記第2の側面が傾斜している請求項6に記載の圧縮機。
前記ハウジング内に配置されて、前記ブッシュのうち軸線方向他方側に対して回転自在に支持されて、前記シリンダのうち軸線方向一方側開口部を塞ぐように形成されて、かつ前記シリンダとともに回転する第1サイドプレート(25a)を備え、
前記ハウジングには、前記ブッシュのうち軸線方向一方側を支持する第1支持部(110)が設けられており、
前記第1支持部および前記第1サイドプレートの間には、前記冷媒室に連通する第1隙間(200)が形成されており、
前記ブッシュには、前記潤滑油分離機構で高圧冷媒から分離された潤滑油を前記ブッシュおよび前記第1サイドプレートの間に供給する第1潤滑油経路(102)が設けられており、
前記第1潤滑油経路のうち前記ブッシュおよび前記第1サイドプレートの間に連通される第1給油開始位置(102a)が前記第1隙間に対してオフセットしている請求項10に記載の圧縮機。
前記第1サイドプレートには、それぞれ、前記第1隙間側から軸線方向他方側に凹んで、かつ径方向に亘って形成される複数の溝(410)が放射状に並べられている請求項11に記載の圧縮機。
前記ブッシュの外周面のうち前記第1給油開始位置よりも軸線方向他方側は、軸線方向に延びる平面(102d)を有して断面がD字状に形成されて前記ブッシュと前記第1サイドプレートとの間に前記第1給油開始位置から供給される潤滑油を流す潤滑油流路を形成する請求項11に記載の圧縮機。
前記第2サイドプレートには、それぞれ、前記第2隙間側から軸線方向一方側に凹んで、かつ径方向に亘って形成される複数の溝(410)が放射状に並べられている請求項19に記載の圧縮機。
前記シャフト本体の外周面のうち前記第2給油開始位置よりも軸線方向一方側は、軸線方向に延びる平面を有して断面がD字状に形成されて前記シャフト本体と前記第2サイドプレートとの間に前記第2給油開始位置から供給される潤滑油を流す潤滑油流路を形成する請求項19に記載の圧縮機。
前記分解工程では、前記シャフト本体のうち前記ブッシュに対して軸線方向他方側に形成されている段部(311)と前記ブッシュとの間に形成されている溝部(162)が治具によって掴まれた状態で前記治具によって前記シャフト本体から前記ブッシュを外して前記シャフト本体および前記ブッシュを分解する請求項27に記載の圧縮機の製造方法。
前記分解工程では、前記ブッシュに形成されている溝部(161a、161b)が治具によって掴まれた状態で前記治具によって前記シャフト本体から前記ブッシュを外して前記シャフト本体および前記ブッシュを分解する請求項27に記載の圧縮機の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
本実施形態について、
図1〜
図9を参照して説明する。本実施形態では、シリンダ回転型圧縮機1を、車両用空調装置にて車室内へ送風される送風空気を冷却する蒸気圧縮式の冷凍サイクルに適用した例について説明する。以下、シリンダ回転型圧縮機1は、単に圧縮機1と呼ぶことがある。
【0024】
圧縮機1は、冷凍サイクルの冷媒を吸入して圧縮して吐出する機能を担っている。本実施形態では、冷凍サイクルの冷媒が圧縮対象となる流体に相当している。なお、本実施形態の冷凍サイクルでは、冷媒としてHFC系冷媒(例えば、R134a)が採用されている。また、冷媒には、圧縮機1の摺動部位を潤滑する潤滑油である冷凍機油が混入されている。冷凍機油の一部は冷媒と共にサイクルを循環する。
【0025】
以下、圧縮機1の基本的な構成および基本的な作動を説明した後に、本実施形態の圧縮機1の特徴的な構成について説明する。
図1に示すように、圧縮機1は、その外殻を形成するハウジング10の内部に、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機構20、および圧縮機構20を駆動する電動モータ30が収容された電動圧縮機として構成されている。
【0026】
本実施形態のハウジング10は、複数の金属製部材を組み合わせることによって構成されている。本実施形態のハウジング10は、内部に略円柱状の空間を形成する密閉容器構造となっている。
【0027】
具体的には、ハウジング10は、有底円筒状(すなわち、カップ状)のメインハウジング11、メインハウジング11の開口部を閉塞する有底円筒状のサブハウジング12、およびサブハウジング12の開口部を閉塞する円板状の蓋部材13を有している。ハウジング10は、メインハウジング11、サブハウジング12、および蓋部材13が組み合わされることによって、密閉容器構造となっている。
【0028】
メインハウジング11およびサブハウジング12は、圧縮機構20および電動モータ30を収納する空間としての冷媒室10aを構成する。サブハウジング12および蓋部材13は、駆動回路30aを収納する空間10bを構成する。
【0029】
なお、メインハウジング11、サブハウジング12、および蓋部材13の当接部には、各当接部からの冷媒漏れを防止するために、Oリング等からなる図示しないシール部材が配設されている。
【0030】
メインハウジング11の側面には、圧縮機構20にて圧縮された冷媒をハウジング10の外部へ吐出する吐出口11aが形成されている。この吐出口11aは、図示しない冷凍サイクルの凝縮器の冷媒流れ上流側に接続されている。
【0031】
また、サブハウジング12の側面には、ハウジング10の外部から圧縮機構20にて圧縮する冷媒を吸入する吸入ポート12aが形成されている。この吸入ポート12aは、冷凍サイクルの蒸発器の冷媒流れ下流側に接続されている。
【0032】
さらに、サブハウジング12と蓋部材13との間には、吸入ポート12aから吸入された冷媒を、圧縮機構20の作動室Vaおよび作動室Vbへ導くためのハウジング側吸入通路13aが形成されている。
【0033】
また、蓋部材13には、サブハウジング12側の面と反対側の面(すなわち、外側に露出する面)には、電動モータ30へ供給する電力を制御する駆動回路30aが取り付けられている。
【0034】
電動モータ30は、固定子であるステータ31を有している。ステータ31は、金属性の磁性材料で形成された円筒状のステータコア31a、およびステータコア31aに巻き付けられたステータコイル31bによって構成されている。
【0035】
ステータ31は、メインハウジング11の内周面に圧入、焼嵌め、ボルト締め等の手段によって固定されている。ステータ31は、圧縮機構20のシリンダ21の外周側に配置されている。
【0036】
ステータコイル31bは、サブハウジング12に配設されている密封端子30bを介して駆動回路30aに接続されている。密封端子30bは、冷媒室10a、10bの間を密閉するハーメチックシール端子である。
【0037】
電動モータ30は、密封端子30bを介して、駆動回路30aからステータコイル31bに電力が供給されると、ステータ31の内周側に配置されたシリンダ21を回転させる回転磁界を発生させる。
【0038】
シリンダ21は、金属性の磁性材料で形成された円筒状の部材である。シリンダ21は、後述するロータ22aおよびロータ22bとの間に、圧縮機構20の作動室Va、Vbを形成する部材である。
【0039】
図1、
図2の断面図に示すように、シリンダ21には、複数の永久磁石32が埋め込まれている。複数の永久磁石32は、それぞれ、シリンダ21の周方向に並べられている。
シリンダ21の複数の永久磁石32には、ステータ31から生じる回転磁界に基づいて軸線C1を中心として回転する回転力が発生する。これにより、シリンダ21は、電動モータ30の回転子としての機能を兼ね備えることになる。
【0040】
このように、本実施形態の圧縮機1では、電動モータ30の回転子と圧縮機構20のシリンダ21が一体成形物として構成されている。もちろん、電動モータ30の回転子と圧縮機構20のシリンダ21とを別部材で構成し、圧入等の手段によって一体化させてもよい。
【0041】
次に、前述のシリンダ21を含む圧縮機構20について説明する。本実施形態の圧縮機構20は、圧縮機構部20a、20bで構成されている。圧縮機構部20a、20bの基本的構成は、互いに同等である。また、圧縮機構部20a、20bは、ハウジング10の内部で冷媒流れに対して並列的に接続されている。
【0042】
さらに、圧縮機構部20a、20bは、
図1に示すように、シリンダ21の軸線C1の軸線方向に並んで配置されている。本実施形態では、圧縮機構部20a、20bのうち、メインハウジング11の底面側に配置されるものを圧縮機構部20aとし、サブハウジング12側に配置されるものを圧縮機構部20bとしている。
【0043】
また、各図面では、圧縮機構部20bの構成部材のうち、圧縮機構部20aの同等の構成部材に対応するものの符号を、末尾のアルファベットを「a」から「b」へ変更して示している。例えば、圧縮機構部20bの構成部材のうち、圧縮機構部20aのロータ22aに対応する第2ロータについては、「22b」という符号を付している。
【0044】
このため、圧縮機構部20aは、シリンダ21、ロータ22a、ベーン23a、シャフト本体24A等によって構成されている。圧縮機構部20bがシリンダ21、ロータ22b、ベーン23b、シャフト本体24A等によって構成されている。
【0045】
本実施形態の圧縮機構部20aおよび圧縮機構部20bは、共通のシリンダ21およびシャフト本体24Aを含んで構成されている。具体的には、
図1に示すように、シリンダ21およびシャフト本体24Aは、メインハウジング11の底面側の一部が圧縮機構部20aを構成しており、サブハウジング12側の一部が圧縮機構部20bを構成している。
【0046】
シリンダ21は、前述の如く、電動モータ30の回転子として、軸線C1を中心として回転するとともに、内部に圧縮機構部20aの作動室Vaおよび圧縮機構部20bの作動室Vbを形成する円筒状の部材である。
【0047】
シリンダ21には、その軸線方向一方側に開口する開口部を閉塞するサイドプレート25aがボルト締め等の手段によって固定されている。また、シリンダ21には、その軸線方向他方側に開口する開口部を閉塞するサイドプレート25bが同様の手段によって固定されている。サイドプレート25a、25bは、シリンダ21の両端部に開口する開口部を閉塞する閉塞部材を構成している。
【0048】
サイドプレート25a、25bは、シリンダ21の軸線C1に直行する方向へ広がる円板状部、および円板状部の中心部に配置されて軸線C1の軸線方向に突出するボス部を有している。さらに、サイドプレート25a、25bのそれぞれのボス部には、軸線C1の軸線方向に貫通する貫通穴250a、250bが形成されている。
【0049】
これらの貫通穴250a、250bには、シャフト本体24Aが挿入されている。これにより、シリンダ21は、サイドプレート25a、25bを介してシャフト本体24Aに対して回転自在に支持されている。
【0050】
本実施形態のシリンダ21の内部は、円板状の中間サイドプレート25cが配置されている。シリンダ21の内部は、中間サイドプレート25cによって作動室Vaおよび作動室Vbに区画されている。なお、本実施形態では、中間サイドプレート25cが、シリンダ21の軸線方向の略中央部に配置されている。
【0051】
続いて、シャフト本体24Aは、ブッシュ24Bとともに、シリンダ21に固定されたサイドプレート25a、25b、25c、およびロータ22a、22bを回転自在に支持する略円筒状のシャフト24を構成する。
【0052】
シャフト本体24Aの軸線方向一方側端部、および他方側端部は、それぞれ、ハウジング10のメインハウジング11およびサブハウジング12に固定されている。ブッシュ24Bは、シャフト本体24Aの軸線方向一方側端部に嵌め込まれている。ブッシュ24Bの具体的な構造について後述する。従って、シャフト本体24Aおよびブッシュ24Bは、ハウジング10に対して回転することはない。
【0053】
また、シャフト本体24Aの軸線方向中央部には、軸線方向他方側端部よりも外径寸法の小さい偏心部24cが設けられている。この偏心部24cの回転中心軸は、シリンダ21の軸線C1に対して偏心した偏心軸C2となっている。つまり、偏心部24cは、偏心軸C2を軸心とする柱状に形成されている。
【0054】
シャフト本体24Aの偏心部24cには、図示しない軸受け機構を介して、ロータ22aおよびロータ22bが回転自在に支持されている。本実施形態では、ロータ22a、22bが共通する偏心軸C2を中心として回転するように、ロータ22aの偏心軸とロータ22bの偏心軸とが一致して配置されている。
【0055】
シャフト本体24Aの内部には、
図1に示すように、吸入ポート12aに連通して、外部から流入した冷媒を作動室Va、Vb側へ導くためのシャフト側吸入通路24dが形成されている。シャフト本体24Aの外周面には、シャフト側吸入通路24dを流通する冷媒を流出させる複数(例えば、4つ)の第1、第2シャフト側出口穴240a、240bが開口している。本実施形態では、シャフト側吸入通路24dが、外部から流体を供給する供給通路を構成している。
【0056】
続いて、ロータ22aは、シリンダ21の内部に配置されてシリンダ21の軸線C1の軸線方向に延びる円筒状部材である。ロータ22aは、シャフト本体24Aの偏心部24cに回転自在に支持されている。このため、ロータ22aは、シリンダ21の軸線C1に対して偏心した偏心軸C2を中心として回転する。
【0057】
ロータ22aの軸線方向長さは、
図1に示すように、シャフト本体24Aおよびシリンダ21の圧縮機構部20aを構成する部位の軸線方向長さと略同等の寸法に形成されている。また、ロータ22aの外径寸法は、シリンダ21の内部に形成される円柱状空間の内径寸法よりも小さく形成されている。本実施形態のロータ22aの外径寸法は、
図1に示すように、ロータ22aの外周面225aとシリンダ21の内周面21aが1箇所の近接部C3で近接するように設定されている。この点については後で詳述する。
【0058】
ロータ22aと中間サイドプレート25cとの間、およびロータ22aとサイドプレート25aとの間には、動力伝達機構251aが配置されている。
【0059】
動力伝達機構251aは、ロータ22aがシリンダ21と同期して連動回転するように、シリンダ21からロータ22aへ回転駆動力を伝達するものである。
【0060】
本実施形態の動力伝達機構251aは、特許文献1においてシリンダとローラとが等速回転させるように連結する伝導機構と同等の機構で構成されている。すなわち、動力伝達機構251aは、ロータ22aの中間サイドプレート25c側の面に形成された複数の円形状の第1穴部と、中間サイドプレート25cからロータ22a側に向かって突出する複数の駆動ピンとで構成されている。各駆動ピンは、ロータ22a側へ向かって軸線方向に突出して、それぞれ第1穴部に嵌め込まれている。このことは、ロータ22aとサイドプレート25aとの間に設けられる動力伝達機構251aについても同様である。
【0061】
ロータ22aの外周面225aには、
図2に示すように、軸線方向の全域に亘って内周側へ凹んだ溝部222aが形成されている。溝部222aには、後述するベーン23aが摺動可能に嵌め込まれている。
【0062】
溝部222aは、偏心軸C2の軸線方向に直交する断面おいて、ロータ22aの径方向に対して傾斜した方向に延びる形状に形成されている。このため、溝部222aに嵌め込まれたベーン23aは、ロータ22aの径方向に対して傾斜した方向に変位する。
【0063】
また、ロータ22aには、
図3に示すように、溝部222aと同様に径方向に対して傾斜して延びると共に、ロータ22aの外周面225a側と内周面226a側とを連通させるロータ側吸入通路224aが形成されている。
【0064】
ロータ側吸入通路224aの流体流出口は、溝部222aの回転方向直後に開口している。これにより、外部からシャフト側吸入通路24dへ流入した冷媒は、ロータ側吸入通路224a側へ導かれる。
【0065】
ベーン23aは、ロータ22aの外周面225aとシリンダ21の内周面21aとの間に形成される作動室Vaを、冷媒を吸入する第1吸入空間Va_IN、および冷媒を圧縮する第1圧縮空間Va_OUTに仕切る板状の仕切部材である。
【0066】
ベーン23aの軸線方向長さは、ロータ22aの軸線方向長さと略同等の寸法に形成されている。さらに、ベーン23aの外周側端部は、シリンダ21の内周面21aに対して摺動可能に配置されている。
【0067】
また、サイドプレート25aには、
図1に示すように、作動室Vaで圧縮された冷媒をハウジング10の内部空間へ吐出させる吐出穴252aが形成されている。さらに、サイドプレート25aには、作動室Vaの第1圧縮空間Va_OUTの冷媒圧力が所定の吐出圧力を超えた際に、吐出穴252aを開放する第1吐出弁26aが設けられている。
【0068】
本実施形態の第1吐出弁26aは、例えば、ハウジング10の内部空間の冷媒が、吐出穴252aを介して作動室Vaへ逆流してしまうことを抑制するリード弁で構成されている。
【0069】
次に、圧縮機構部20bについて説明する。前述の如く、圧縮機構部20bの基本的構成は、圧縮機構部20aと同様である。従って、ロータ22bは、
図1に示すように、シャフト本体24Aおよびシリンダ21の圧縮機構部20bを構成する部位の軸線方向長さと略同等の寸法の円筒状部材で構成されている。
【0070】
さらに、ロータ22bの偏心軸C2とロータ22aの偏心軸C2は、一致している。このため、ロータ22bの外周面225bとシリンダ21の内周面21aは、ロータ22aと同様に、
図2に示す近接部C3で近接している。
【0071】
ロータ22bと中間サイドプレート25cとの間、およびロータ22bとサイドプレート25aとの間には、シリンダ21からロータ22bへの回転駆動力を伝達する動力伝達機構251bが設けられている。動力伝達機構251bは、動力伝達機構251aと同様に、ロータ22bには、複数の駆動ピンが嵌め込まれる複数の円形状の第2穴部が形成されている。この第2穴部にも、第1穴部と同様のリング部材が嵌め込まれている。
【0072】
また、ロータ22bの外周面225bには、
図2の破線で示すように、軸線方向の全域に亘って内周側へ凹んだ溝部222bが形成されている。溝部222bには、ベーン23bが摺動可能に嵌め込まれている。
【0073】
溝部222bは、溝部222aと同様に、偏心軸C2の軸線方向に直交する断面において、ロータ22bの径方向に対して傾斜した方向に延びる形状に形成されている。
【0074】
また、ロータ22bには、
図3の破線で示すように、溝部222bと同様に径方向に対して傾斜して延びると共に、ロータ22bの外周面225b側と内周面226b側とを連通させるロータ側吸入通路224bが形成されている。
【0075】
ベーン23bは、ロータ22bの外周面225bとシリンダ21の内周面21aとの間に形成される作動室Vbを、冷媒を吸入する第2吸入空間Vb_IN、および冷媒を圧縮する第2圧縮空間Vb_OUTに仕切る板状の仕切部材である。ベーン23bの軸線方向長さは、ロータ22bの軸線方向長さと略同等の寸法に形成されている。さらに、ベーン23bの外周側端部は、シリンダ21の内周面21aに対して摺動可能に配置されている。
【0076】
また、サイドプレート25bには、作動室Vbにて圧縮された冷媒をハウジング10の内部空間へ吐出させる吐出穴252bが形成されている。さらに、サイドプレート25bには、作動室Vbの第2圧縮空間Vb_OUTの冷媒圧力が所定の吐出圧力を超えた際に、吐出穴252bを開放する吐出弁26bが設けられている。本実施形態の吐出弁26bは、ハウジング10の内部空間の冷媒が、吐出穴252bを介して作動室Vbへ逆流してしまうことを抑制するリード弁で構成されている。
【0077】
本実施形態の圧縮機構部20bは、
図3の破線で示すように、ベーン23b、ロータ側吸入通路224b、吐出穴252b等の構成要素が、圧縮機構部20aの構成要素に対して、略180°位相のずれた位置に配置されている。
【0078】
次に、本実施形態のシャフト本体24Aおよびブッシュ24Bの構造の詳細について
図5を参照して説明する。
【0079】
シャフト本体24Aは、軸線方向他方側の径方向寸法よりも軸線方向一方側の径方向寸法が小さくなるように形成されている。
【0080】
シャフト本体24Aの軸線方向一方側には、軸線方向一方側端部24aに向かうほど径方向寸法が小さくなるテーパ部300が設けられている。シャフト本体24Aのうちテーパ部300に対して軸線方向他方側には、偏心部24cが設けられている。このため、偏心部24cのうちテーパ部300側には、端面310が設けられている。端面310は、
軸線方向一方側に露呈する面部であって、ブッシュ24Bを軸線C1の軸線方向他方側から支える基部を構成する。
【0081】
ブッシュ24Bには、軸線C1の軸線方向に貫通する空間としての中空部301aが設けられている。このことにより、ブッシュ24Bは、軸線C1を中心とする径方向寸法が軸線方向の他方側から一方側に近づくほど小さくなる内周面301を形成することになる。内周面301は、ブッシュ24Bのうち中空部301aを形成する面である。
テーパ部300の外周面には、径方向内側に凹む凹部320が設けられている。一方、ブッシュ24Bの内周面301には、径方向内側に凹む凹部335が設けられている。凹部335は、軸線C1の軸線方向他方側に開口されている。
【0082】
テーパ部300の外周面の凹部320とブッシュ24Bの内周面の凹部335とが対向して位置決めキー330が嵌め込まれる領域を構成する。位置決めキー330がテーパ部300の凹部320とブッシュ24Bの凹部335とに接触してシャフト本体24Aに対してブッシュ24Bが軸線C1を中心として回転することを規制する。つまり、位置決めキー330がシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの回転方向の位置を決める位置を決め部の役割を果たす。
【0083】
テーパ部300のうち凹部320に対して軸線方向一方側には、径方向内側に凹む凹部323が設けられている。凹部323は、テーパ部300において軸線C1を中心とする周方向に亘って設けられている。凹部323は、ブッシュ24Bに対して軸線方向一方側において径方向外側に開口している。
【0084】
凹部323には、ウエッジリング340が嵌め込まれている。ウエッジリング340は、軸線C1を中心とするC状に形成されているリングである。
【0085】
具体的には、ウエッジリング340は、径方向内側の厚み寸法K2よりも径方向外側の厚み寸法K1の方が徐々に大きくなるように形成されている。ウエッジリング340のうち径方向内側は凹部323に嵌め込まれて、ウエッジリング340のうち径方向外側はブッシュ24Bを軸線方向一方側から支える。このことにより、ウエッジリング340は、シャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線方向の位置を決めるC状のくさびの役割を果たす。
【0086】
次に、本実施形態の圧縮機1の基本的な作動について
図6を参照して説明する。
【0087】
図6は、圧縮機1の作動状態を説明するために、シリンダ21の回転に伴う作動室Vaの変化を連続的に示した説明図である。なお、
図6のシリンダ21の各回転角度θに対応する断面図では、
図2と同等の断面図におけるロータ側吸入通路224a、およびベーン23a等の位置を実線で示している。また、
図6では、各回転角度θにおけるロータ側吸入通路224b、およびベーン23bの位置を破線で示している。さらに、
図6では、図示の明確化のため、シリンダ21の回転角度θ=0°に対応する断面図に、各構成部材の符号を付し、他の断面図における各構成部材の符号を省略している。なお、
図6では、近接部C3とベーン23aの外周側先端部が重なっている状態におけるシリンダ21の回転角度θを0°としている。
【0088】
図6に示すように、シリンダ21の回転角度θが0°の状態では、ベーン23aの回転方向前方側に最大容積の第1圧縮空間Va_OUTが形成されると共に、ベーン23aの回転方向後方側に最小容積の第1吸入空間Va_INが形成される。なお、第1吸入空間Va_INは、作動室Vaにおける容積を拡大させる行程となっている空間である。また、第1圧縮空間Va_OUTは、作動室Vaにおける容積を縮小させる行程となっている空間である。
【0089】
そして、シリンダ21の回転角度θが0°から増加すると、
図6の回転角度θ=45°〜315°に示すように、シリンダ21、ロータ22a、およびベーン23aが変位することで、第1吸入空間Va_INの容積が増加する。
【0090】
これにより、サブハウジング12に形成された吸入ポート12aから吸入された冷媒が、ハウジング側吸入通路13a→シャフト側吸入通路24dの第1シャフト側出口穴240a→ロータ側吸入通路224aの順に流れて、第1吸入空間Va_INへ流入する。
【0091】
この際、ベーン23aには、ロータ22aの回転に伴う遠心力が作用するので、ベーン23aの外周側端部がシリンダ21の内周面に押しつけられて当接する。これにより、作動室Vaは、ベーン23aによって、第1吸入空間Va_INと第1圧縮空間Va_OUTとに区画された状態が維持される。
【0092】
そして、シリンダ21の回転角度θが360°に達すると(すなわち、回転角度θ=0°に戻ると)、第1吸入空間Va_INが最大容積となる。さらに、シリンダ21の回転角度θが360°から増加すると、第1吸入空間Va_INとロータ側吸入通路224aとの連通が遮断される。これにより、ベーン23aの回転方向前方側に、第1圧縮空間Va_OUTが形成される。
【0093】
さらに、シリンダ21の回転角度θが360°から増加すると、
図6の回転角度θ=405°〜675°に点ハッチングで示すように、ベーン23aの回転方向前方側に形成された第1圧縮空間Va_OUTの容積が縮小する。
【0094】
これにより、第1圧縮空間Va_OUTの冷媒圧力が上昇する。そして、第1圧縮空間Va_OUTの冷媒圧力が、ハウジング10の内部空間の冷媒圧力以上の吐出圧力に達すると、第1吐出弁26aが開弁する。これにより、第1圧縮空間Va_OUTの冷媒が吐出穴252aを介してハウジング10の内部空間へ吐出される。
【0095】
なお、上記の作動説明では、圧縮機構部20aの作動態様の明確化のため、シリンダ21の回転角度θが0°から720°まで変化する間の作動室Vaの変化を説明した。実際には、シリンダ21の回転角度θが0°から360°まで変化する際に説明した冷媒の吸入行程と、シリンダ21の回転角度θが360°から720°まで変化する際に説明した冷媒の圧縮行程とが、シリンダ21が1回転する際に同時に行われる。
【0096】
また、圧縮機構部20bは、圧縮機構部20aと同様に作動して、冷媒の圧縮および吸入が行われる。圧縮機構部20bでは、ベーン23b等が、圧縮機構部20aのベーン23a等に対して、180°位相のずれた位置に配置されている。すなわち、本実施形態では、第2圧縮空間Vb_OUTの冷媒圧力が吐出圧力に到達するシリンダ21の回転角度θが、第1圧縮空間Va_OUTの冷媒圧力が吐出圧力に到達するシリンダ21の回転角度θに対して、180°ずれている。
【0097】
従って、第2圧縮空間Vb_OUTでは、第1圧縮空間Va_OUTに対して、180°位相のずれた回転角度で冷媒の圧縮および吸入が行われる。圧縮機構部20bからハウジング10の内部空間へ吐出された冷媒は、圧縮機構部20aから吐出された冷媒と合流し、ハウジング10の吐出口11aから吐出される。
【0098】
次に、本実施形態の組み立て工程について
図7を参照して説明する。
【0099】
まず、準備工程において、メインハウジング11、サブハウジング12、蓋部材13、シャフト本体24A、ブッシュ24B、ロータ22a、22b、ベーン23a、23b、およびシリンダ21等を別々に用意する(ステップ100)。
【0100】
次の工程で、シャフト本体24Aのテーパ部300の凹部320に位置決めキー330を嵌め込む。この位置決めキー330がテーパ部300の凹部320に嵌め込まれた状態で、シャフト本体24Aのテーパ部300をブッシュ24Bの中空部301aに差しこんで、端面310にテーパ部300を接触させる(ステップ110)。
【0101】
この際に、位置決めキー330がブッシュ24Bの凹部335の内壁に接触した状態になる。これにより、位置決めキー330がシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの回転方向の位置を決めることができる。
【0102】
このとき、ブッシュ24Bの凹部323にウエッジリング340を嵌め込む。この際、ウエッジリング340が弾性変形した状態で、ブッシュ24Bがウエッジリング340および偏心部24cの端面310の間に挟まれた状態となる。このことにより、シャフト本体24Aとブッシュ24Bとが一体化された状態で、シャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線C1の軸線方向の位置を決めることができる。
【0103】
次の工程で、ブッシュ24Bの外形を切削等により成形してシャフト本体24Aの軸線C1にブッシュ24Bの軸線を一致させる(ステップ120)。このことにより、シャフト24が成形されることになる。
【0104】
次の工程で、シャフト24を分解して、ブッシュ24B、ウエッジリング340、シャフト本体24A、および位置決めキー330を別々に配置する(ステップ130)。
【0105】
次の工程で、シャフト本体24Aの軸線方向一方側をロータ22a、22bのそれぞれの貫通穴に嵌め込んでロータ22a、22bをシャフト本体24Aの偏心部24cに固定する(ステップ140)。
【0106】
次の工程で、シャフト本体24Aのテーパ部300の凹部320に位置決めキー330を嵌め込んで、この位置決めキー330がテーパ部300の凹部320に嵌め込まれた状態で、シャフト本体24Aのテーパ部300をブッシュ24Bの中空部301aに差し込む(ステップ150)。
【0107】
この際に、位置決めキー330がブッシュ24Bの凹部335内に填り込んで位置決めキー330がシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの回転方向の位置を決めることができる。
【0108】
これに加えて、ブッシュ24Bの凹部330にウエッジリング340を嵌め込む。この際、ウエッジリング340が弾性変形した状態で、シャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線C1の軸線方向の位置を決めることができる。
【0109】
このことにより、ロータ22a、22bがシャフト24に固定された状態になる。
【0110】
次の工程で、ロータ22a、22bの溝部222a、222bにベーン23a、23bを嵌め込んだ状態で、シリンダ21内にロータ22a、22b、およびベーン23a、23bを貫通させて、サイドプレート25a、25b、25cをシリンダ21に固定する。このことにより、圧縮機構部20a、20bの組み立てが完成する。
【0111】
さらに、圧縮機構部20a、20bおよびステータ31をメインハウジング11内に収納して、メインハウジング11にサブハウジング12を組み付ける。この際に、シャフト24Aの軸線方向一方側をメインハウジングの凹部11cに嵌め込む。
【0112】
シャフト24Aの軸線方向他方側をサブハウジング12の凹部11dに嵌め込む。これに加えて、駆動回路30a等をサブハウジング12内を収納してサブハウジング12を蓋部材13で閉じた状態でサブハウジング12に対して蓋部材13を固定する。このことにより、圧縮機1の組み立てが完成する(ステップ160)。
【0113】
以上説明した本実施形態によれば、圧縮機1において、シャフト24は、シャフト本体24Aおよびブッシュ24Bを備える。シャフト本体24Aは、軸線C1の軸線方向に延びるように形成されているシャフト本体であって、軸線方向一方側に設けられて軸線方向一方側端部24aに向かうほど径方向寸法が小さくなるテーパ部300を有し、軸線方向他方側の径方向寸法よりも軸線方向一方側の径方向寸法が小さくなるように形成されている。ブッシュ24Bは、軸線C1を中心とする径方向寸法が軸線方向の他方側から一方側に近づくほど小さくなる内周面301を有して中空部301aを形成する。
【0114】
本実施形態の圧縮機1の製造方法は、シャフト本体24Aのテーパ部300をブッシュ24Bの中空部301aに嵌め込んでシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの回転方向の位置を位置決めキー330によって決める第1位置決め工程(ステップ110)と、
シャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの回転方向の位置を位置決めキー330が決めた状態で、シャフト本体24Aのテーパ部300の軸線にブッシュ24Bの軸線を一致させるようにシャフト本体24Aおよびブッシュ24Bを加工する加工工程(ステップ120)と、加工工程の後にシャフト本体24Aおよびブッシュ24Bを分解してから、シャフト本体24Aの軸線方向一方側をロータ22a、22bの貫通穴に嵌める嵌合工程(ステップ140)と、シャフト本体24Aをロータ22a、22bの貫通穴に嵌めた状態で、シャフト本体24Aのテーパ部300をブッシュ24Bの中空部に嵌め込んでシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの回転方向の位置を位置決めキー330によって位置決める第2位置決め工程(S150)と、を備える。
【0115】
したがって、シャフト本体24Aとブッシュ24Bとを分解する前の同軸度に、シャフト本体24Aにブッシュ24Bを再度組み付けた後の同軸度を近づけることができる。よって、シャフト本体24Aおよびブッシュ24Bを一旦分解してから、シャフト本体24Aのテーパ部300の軸線にブッシュ24Bの軸線を一致させた状態を再現させることができる。
【0116】
以上により、シャフト本体24Aにブッシュ24Bを再度組み付けた後において、同軸度の再現性を確保させるようにした圧縮機1を提供することができる。シャフト24の同軸度とは、シャフト本体24Aの軸線とブッシュ24Bの軸線とが如何に近い状態で有るかを示す度合いである。
【0117】
本実施形態のシリンダ回転型圧縮機1の製造工程では、第1位置決め工程および第2位置決め工程において、位置決めキー330によってシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの回転方向の位置を決めるとともに、ウエッジリング340によってシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線方向の位置を決める。これにより、シャフト本体24Aのテーパ部300の軸線にブッシュ24Bの軸線を一致させた状態を高い精度で再現させることができる。
【0118】
本実施形態では、シャフト本体24Aのうち軸線方向の他方側の外径寸法をD1とし、 シャフト本体24Aのうちロータ22a、22bを回転自在に支持する偏心部24cの外径寸法をD2とする。シャフト本体24Aの軸線と偏心部24cの軸線との間の距離をdとし、ブッシュ24Bの外径寸法をD3とすると、D1≧D2+2×d、かつD3≧D2+2×d、D1=D3を満たしている。
【0119】
一方、
図8Aに示すように、D1<D2+2×d、かつD3<D2+2×dを満たしている場合には、サイドプレート25bとシャフト本体24Aとを組み付ける際には、シャフト本体24Aの軸線方向一方側をサイドプレート25bに挿入しようとしても、
シャフト本体24Aの軸線方向他方側がサイドプレート25bに当たり、サイドプレート25bの貫通穴250bにシャフト本体24Aを貫通させることができない。したがって、シャフト本体24Aをその軸線方向他方側からサイドプレート25bの貫通穴250bに貫通させることが必要となる。このため、サイドプレート25bとシャフト本体24Aとを組み付ける方法の自由度が低い。
【0120】
これに対して、本実施形態では、D1≧D2+2×d、かつD3≧D2+2×d、D1=D3を満たしている(
図8B参照)。したがって、シャフト本体24Aをその軸線方向一方側、或いは軸線方向他方側からサイドプレート25bの貫通穴250bに貫通させることができる。このため、サイドプレート25bとシャフト本体24Aとを組み付ける方法の自由度を高くすることができる。
【0121】
(第1実施形態の第1変形例)
上記第1実施形態では、シャフト本体24Aのテーパ部300がブッシュ24Bのうち中空部301aを形成する内周面に対して軸線方向に亘って接触する例について説明したが、第1変形例では、
図9に示すように、テーパ部300がブッシュ24Bのうち中空部301aを形成する内周面のうち軸線方向他方側124および軸線方向一方側126に接触する。
【0122】
第1変形例では、ブッシュ24Bのうち中空部301aを形成する内周面のうち内周面のうち軸線方向他方側124および軸線方向一方側126の内径寸法は、中間部125の内径寸法よりも、小さくなっている。
【0123】
これにより、テーパ部300がブッシュ24Bのうち中空部301aを形成する内周面のうち軸線方向他方側124および軸線方向一方側126の間の中間部125に対して非接触になっている。
【0124】
このため、テーパ部300がブッシュ24Bの内周面のうち軸線方向他方側124および軸線方向一方側126を塑性変形させることで、馴染めせて、再組み付け時の軸のシャフト本体24Aのテーパ部300の軸線とブッシュ24Bの軸線との間のずれを最小限にすることができる。
【0125】
(第1実施形態の第2変形例)
上記第1実施形態では、シャフト本体24Aのテーパ部300がブッシュ24Bのうち中空部301aを形成する内周面に対して直接、接触する例について説明したが、第2変形例では、
図10に示すように、ブッシュ24Bのうち中空部301aを形成する内周面123に膜127を配置し、テーパ部300が膜127を介してブッシュ24Bのうち中空部301aを形成する内周面123に接触させる。
【0126】
膜127の材料としては、テーパ部300やブッシュ24Bよりも柔らかい材料が用いられる。テーパ部300やブッシュ24Bの材料をステンレス鋼とした場合には、膜127の材料としては、銅やアルミニウムを用いることができる。
【0127】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、ウエッジリング340によってシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線方向の位置を決める例について説明したが、これに代えて、ボルトおよび雄ねじによってシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線方向の位置を決める本第2実施形態について説明する。
【0128】
図11は本実施形態のシリンダ回転型圧縮機1の断面図、
図12は
図11中シャフト24のうちブッシュ24Bの周辺の部分拡大図である。
【0129】
本実施形態のシャフト本体24Aには、テーパ部300から軸線方向一方側に突起する雄ねじ128が設けられている。ブッシュ24Bには、中空部301aに対して軸線方向一方側に配置されて、かつオスねじ128を貫通させてなる貫通穴部131aを形成する側壁131が設けられている。ナット130が、側壁131に対して軸線方向一方側に配置されて側壁131を軸線方向他方側に押した状態でオスねじ128に締結されていることにより、シャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線方向の位置を決める。
【0130】
なお、本実施形態において、シャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線方向の位置を決める構造以外は、上記実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0131】
(第2実施形態の第1変形例)
上記第2実施形態では、シャフト本体24Aに雄ねじ128を形成した例について説明したが、これに代えて、シャフト本体24Aのテーパ部300に雌ネジ151を形成して、雌ネジ151と雄ネジ150とによってシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線方向の位置を決める第1変形例について説明する。
【0132】
図13は本第1変形例に係るシリンダ回転型圧縮機1の断面図である。
図13において
雌ネジ151および雄ネジ150以外の構成は、
図11と同じであるため、その説明を省略する。
【0133】
本第1変形例の雌ネジ151は、シャフト本体24Aのテーパ部300の軸線方向一方側端面から軸線方向他方側に凹む穴部に形成されている。雄ネジ150は、頭部150aが側壁131を軸線方向他方側に押した状態で貫通穴部131aを貫通して雌ねじ151に締結されていることにより、シャフト本体24Aに対するブッシュ23Bの軸線方向の位置を決める。
【0134】
(第2実施形態の第2変形例)
本第2変形例のブッシュ24Bでは、
図14に示すように、上記第1実施形態のブッシュ24Bの外周に軸線を挟んで平行に形成されている面140a、140bが形成されている。面140a、140bは、治具がブッシュ24Bを掴む回転止め部となる。
【0135】
このため、雄ネジ128(或いは、雄ネジ150、雌ネジ151)を用いてシャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線方向の位置を決める工程(ステップ150)において、治具が面140a、140bを掴むことによりブッシュ24Bが回転することを止めることができる。したがって、ブッシュ24Bが回転することを止めた状態で、雄ネジ128(或いは、雄ネジ150、雌ネジ151)を用いてシャフト本体24Aに対してブッシュ24Bを固定することができる。これにより、シャフト本体24Aに対するブッシュ24Bの軸線方向の位置を容易に決めるができる。
【0136】
さらに、シャフト本体24Aおよびブッシュ24Bを分解する工程(ステップ130)において、雄ネジ150を雌ねじ151から外す際に、治具がブッシュ24Bを掴んでブッシュ24Bが回転することを止めた状態にすることができる。これにより、雄ネジ150をブッシュ24Bから容易に外すことができる。
【0137】
(第2実施形態の第3変形例)
本第3変形例では、ブッシュ24Bにおいて、
図15Aに示すように、回転止め部としての面140a、140bに代えて、治具が掴む溝部161a、161bが形成されている。溝部161a、161bは、ブッシュ24Bの外周において軸線を挟んで平行に形成されている。
【0138】
このため、上記第2実施形態の第2変形例と同様に、シャフト本体24Aおよびブッシュ24Bを分解する工程(ステップ130)において、雄ネジ150を雌ねじ151から外す際に、治具160によってブッシュ24Bを掴んでブッシュ24Bが回転することを止めた状態にすることができる。これにより、雄ネジ150をブッシュ24Bから容易に外すことができる。
【0139】
(第2実施形態の第4変形例)
上記第3変形例では、
図15Bに示すように、ブッシュ24Bの外周に溝部161a、161bを設けた例について説明したが、これに代えて、本第4変形例では、シャフト本体24Aの段部311とブッシュ24Bとの間に溝162を形成する。
【0140】
シャフト本体24Aの段部311は、シャフト本体24Aのうちブッシュ24Bに対して軸線方向他方側に形成されてテーパ部300の基部となる部位である。溝162は、軸線を中心とする環状に形成されている。溝162は、治具160Aによって掴まれる回転止め部となる。
【0141】
(第3実施形態)
本第3実施形態では、上記第1実施形態のシリンダ回転型圧縮機1において、吐出口252a、252bから吐出された高圧冷媒から潤滑油を分離する潤滑油分離機構400を追加した例について
図16〜
図20Aを参照して説明する。
【0142】
図16に示すように、潤滑油分離機構400は、メインハウジング11に対して軸線方向一方側に配置されている。潤滑油分離機構400に対して天地方向下側には、潤滑油分離機構400で高圧冷媒から分離される潤滑油を一時的に貯める貯油室415が形成されている。
【0143】
メインハウジング11に対して天地方向下側には、潤滑油分離機構400から貯油室415を通して供給される潤滑油を貯める貯油室411が形成されている。
【0144】
メインハウジング11のうち軸線方向一方側の蓋部には、貯油室411からの潤滑油をブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25aの内周面との間に供給する潤滑油供給路101が形成されている。メインハウジング11のうち軸線方向一方側の蓋部とは、メインハウジング11のうち軸線方向一方側の開口部を塞ぐ蓋部である。
【0145】
ここで、ブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25aの内周面とは、それぞれ、摺動面を構成する。ブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25aの内周面とは、それぞれ、潤滑油によって潤滑される。ブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25aの内周面との間は、作動室Vaに連通している。
【0146】
ブッシュ24Bには、潤滑油供給路101からの潤滑油をブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25aの内周面との間に供給する潤滑油供給路102が設けられている。
【0147】
サブハウジング12には、貯油室411からの潤滑油をシャフト本体24Aのうち軸線方向他方側の外周面とサイドプレート25bの内周面との間に供給する潤滑油供給路103が形成されている。
【0148】
シャフト本体24Aには、潤滑油供給路103からの潤滑油をシャフト本体24Aのうち軸線方向他方側の外周面とサイドプレート25bの内周面との間に供給する潤滑油供給路104が形成されている。
【0149】
ここで、シャフト本体24Aのうち軸線方向他方側の外周面とサイドプレート25bの内周面とは、それぞれ、摺動面を構成する。シャフト本体24Aのうち軸線方向他方側の外周面とサイドプレート25bの内周面とは、それぞれ、潤滑油によって潤滑される。シャフト本体24Aのうち軸線方向他方側の外周面とサイドプレート25bの内周面との間は、作動室Vbに連通している。
【0150】
なお、
図16において、潤滑油分離機構400、貯油室415、411、潤滑油供給路101、102、103、104以外の構成は、
図1と同様であるため、その説明を省略する。
【0151】
このように構成される本実施形態では、圧縮機構部20a、20bは、それぞれ、吸入ポート12a、シャフト側吸入通路24dを通して作動室Va、Vbに吸入して作動室Va、Vbで圧縮して高圧冷媒を吐出穴252a、252bから冷媒室10aに吐出する。高圧冷媒は、冷媒室10aから吐出口11bを通して潤滑油分離機構400に流れる。
【0152】
潤滑油分離機構400は、吐出口11bからの高圧冷媒から潤滑油を除いて、この潤滑油が除かれた冷媒を吐出口11aからコンデンサに供給する。
【0153】
一方、潤滑油分離機構400において吐出口11bからの高圧冷媒から分離された潤滑油は、貯油室415を通して貯油室411に流れる。この貯油室411に流れた潤滑油は、潤滑油供給路101、102、ブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25aの内周面との間を通して作動室Vaに流れる。これにより、ブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25aの内周面とはそれぞれ潤滑される。
【0154】
また、貯油室411からの潤滑油は、潤滑油供給路103、104、ブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25bの内周面との間を通して作動室Vbに流れる。これにより、ブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25bの内周面とはそれぞれ潤滑される。
【0155】
ここで、圧縮機構部20a、20bが支持部110、120の間の中間に位置するときには、支持部110とサイドプレート25aとの間の隙間200と、支持部120とサイドプレート25bとの間の隙間210とは、それぞれ、同じ程度となる(
図17参照)。
【0156】
このとき、サイドプレート25aには、吐出口11a、11bから吐出される高圧冷媒の冷媒圧力(以下、吐出圧力Yaという)がスラスト力として軸線方向他方側に作用する。一方、サイドプレート25bには、吐出圧力Yaがスラスト力として軸線方向一方側に作用する。このため、サイドプレート25aに作用する吐出圧力Yaとサイドプレート25bに作用する吐出圧力Yaとが打ち消しあう。このため、支持部110とサイドプレート25aとの間の隙間200と、支持部120とサイドプレート25bとの間の隙間210とは、それぞれ、同じ程度となる状態が維持される。
【0157】
一方、シリンダ回転型圧縮機1の圧縮機構部20a、20bが振動などによって軸線方向一方側に移動すると、支持部110とサイドプレート25aとの間の隙間200が小さくなり、支持部120とサイドプレート25bとの間の隙間210が大きくなる(
図18参照)。
【0158】
このとき、支持部110とサイドプレート25aとの間には潤滑油の油膜が形成される。このため、サイドプレート25aには、吐出圧力Yaと潤滑油の圧力(以下、油圧力Pmという)との合成圧力Ybがスラスト力として軸線方向他方側に作用する。
【0159】
ここで、油圧力Pmは、潤滑油分離機構400、貯油室415、411、潤滑油供給路101〜104で生じる圧力損失が起因して、吐出圧力Yaよりも低い。このため、合成圧力Ybは、吐出圧力Yaよりも低い。したがって、サイドプレート25aに作用するスラスト力としての吐出圧力Ybの方が、サイドプレート25bに作用するスラスト力としての吐出圧力Yaよりも低い。このため、支持部110とサイドプレート25aとの間の隙間200が小さくなり、かつ支持部120とサイドプレート25bとの間の隙間210が大きい状態が維持される。
【0160】
このため、支持部110とサイドプレート25aとの間の摩擦力が大きくなり、動力損失が大きくなる。
【0161】
これに対して、本実施形態では、潤滑油供給路102のうち、ブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25aの内周面との間に接続される給油開始位置102a(
図18参照)が、隙間200に対して軸線方向にオフセットしている(
図19参照)。
図19では、給油開始位置102aが隙間200から距離Lb分離れている例を示している。
【0162】
したがって、潤滑油供給路102からの潤滑油が隙間200に到達し難くなる。このため、潤滑油供給路102からの潤滑油の油圧力が隙間200に到達し難くなり、隙間200が小さくなった状態でも、サイドプレート25aに作用するスラスト力としての圧力Ybは、吐出圧力Yaに近い値となる。
【0163】
よって、隙間200が小さく、かつ隙間210が大きい状態であっても、サイドプレート25aに作用するスラスト力と、サイドプレート25bに作用するスラスト力との差が小さくなる。これにより、支持部110とサイドプレート25aとの間の摩擦力が小さくなり、動力損失が小さくなる。
【0164】
本実施形態では、潤滑油供給路104のうち、シャフト本体24Aの外周面とサイドプレート25bの内周面との間に接続される給油開始位置104a(
図18参照)が、隙間210に対して軸線方向にオフセットしている。したがって、潤滑油供給路102からの潤滑油が隙間210に到達し難くなる。
【0165】
このため、潤滑油供給路102からの潤滑油の油圧力が隙間210に到達し難くなり、隙間210が小さくなった状態でも、サイドプレート25bに作用するスラスト力としての圧力Ybは、吐出圧力Yaに近い値となる。このため、隙間200が大きく、かつ隙間210が小さい状態であっても、サイドプレート25bに作用するスラスト力と、サイドプレート25bに作用するスラスト力との差が小さくなる。これにより、支持部120とサイドプレート25aとの間の摩擦力が小さくなり、動力損失が小さくなる。
【0166】
以上説明した本実施形態によれば、潤滑油供給路102のうち給油開始位置102aが、隙間200に対して軸線方向にオフセットしている。このため、潤滑油供給路102からの潤滑油が隙間200に到達し難くなる。このため、隙間200が大きく、かつ隙間210が小さい状態であっても、サイドプレート25a、25bに作用するスラスト力の差が小さくなる。
【0167】
一方、潤滑油供給路104のうち給油開始位置104aが、隙間210に対して軸線方向にオフセットしている。したがって、潤滑油供給路102からの潤滑油が隙間210に到達し難くなる。このため、隙間200が大きく、かつ隙間210が小さい状態であっても、サイドプレート25a、25bに作用するスラスト力の差が小さくなる。
【0168】
以上により、支持部110(或いは、120)とサイドプレート25a(或いは、25b)との間の摩擦力が小さくなり、動力損失が小さくなる。
【0169】
(第3実施形態の第1変形例)
本第1変形例では、上記第3実施形態のサイドプレート25aの内周面とブッシュ24Bの外周面との間の隙間において、給油開始位置102aよりも軸線方向他方側の断面積は、給油開始位置102aよりも軸線方向一方側の断面積よりも、大きくなっている。
【0170】
具体的には、ブッシュ24Bのうち給油開始位置102aよりも軸線方向他方側は、
図20A、
図20Bに示すように、軸線方向に延びる面102dが外周面に形成されて断面がD字状に形成されている。このため、ブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25aの内周面との間に給油開始位置102aから供給される潤滑油を流す潤滑油流路が形成される。したがって、ブッシュ24Bの外周面とサイドプレート25aの内周面との間に潤滑油を良好に供給することができる。一方、
図20A、
図20Cに示すように、ブッシュ24Bのうち給油開始位置102aよりも軸線方向他方側は、断面が円形に形成されている。
【0171】
以上により、サイドプレート25aの内周面とブッシュ24Bの外周面との間の隙間において、給油開始位置102aよりも軸線方向一方側の断面積は、給油開始位置102aよりも軸線方向他方側の領域102cの断面積よりも、小さくなっている。したがって、給油開始位置102aからサイドプレート25aの内周面とブッシュ24Bの外周面との間の隙間を通して隙間200に潤滑油の圧力が伝わり難くなる。よって、サイドプレート25aに対してスラスト力として作用する圧力を吐出圧力Yaに近づけることができる。
【0172】
さらに、本第1変形例では、シャフト本体24Aの外周面のうち給油開始位置104aよりも軸線方向一方側は、軸線方向に延びる平面を有して断面がD字状に形成されてシャフト本体24Aとサイドプレート25bとの間に給油開始位置104aから供給される潤滑油を流す潤滑油流路を形成する。一方、シャフト本体24Aの外周面のうち給油開始位置104aよりも軸線方向他方側は、断面が円形状に形成されている。
【0173】
これにより、サイドプレート25bの内周面とシャフト本体24Aの外周面との間の隙間において、給油開始位置104aよりも軸線方向他方側の領域の断面積は、給油開始位置104aよりも軸線方向一方側の領域の断面積よりも、小さくなっている。
【0174】
つまり、サイドプレート25bの内周面とシャフト本体24Aの外周面との間の隙間において、給油開始位置104aよりも軸線方向一方側の領域の断面積は、給油開始位置104aよりも軸線方向他方側の領域の断面積よりも、大きくなっている。
【0175】
したがって、給油開始位置104aからサイドプレート25bの内周面とシャフト本体24Aの外周面との間の隙間を通して隙間210に潤滑油の圧力が伝わり難くなる。よって、サイドプレート25bに対してスラスト力として作用する圧力を吐出圧力Yaに近づけることができる。
【0176】
(第4実施形態)
本第4実施形態では、
図21A、
図21Bに示すように、上記第1実施形態のシリンダ回転型圧縮機1のサイドプレート25aにおいて、隙間200側から軸線方向他方側に凹んで径方向外側に開口する複数の溝410が設けられている。
【0177】
本実施形態の複数の溝410は、
図21Bに示すように、軸線を中心とする放射状に並べられている。このため、隙間210が大きくなり、かつ隙間200が狭くなった状態でも、複数の溝410に対して冷媒室10aからの潤滑油が入り込む。このため、サイドプレート25aに対してスラスト力として潤滑油の油圧力Yaが作用される。
【0178】
本実施形態のサイドプレート25bにおいて、隙間210側から軸線方向一方側に凹んで径方向外側に開口する複数の溝(図示省略)が設けられている。サイドプレート25bの複数の溝は、軸線を中心とする放射状に並べられている。このため、隙間200が大きくなり、かつ隙間210が狭くなった状態でも、複数の溝に対して冷媒室10aからの潤滑油が入り込む。したがって、サイドプレート25bに対してスラスト力として潤滑油の油圧力Yaが作用される。
【0179】
(第5実施形態)
上記第4実施形態では、サイドプレート25aの複数の溝410を放射状に並べた例について説明したが、これに代えて、複数の溝410を回転方向に並べて、かつ複数の溝410を回転方向に傾けるようにした第5実施形態について
図22A、
図22Bを参照して説明する。
【0180】
本実施形態のサイドプレート25aにおいて、複数の溝410aのそれぞれのうち径方向内側よりも、複数の溝410aのそれぞれのうち径方向外側が回転方向に位置するように複数の溝410aが形成されている。このため、サイドプレート25aの回転に伴って、複数の溝410aの径方向内側に対して冷媒室10aからの吐出冷媒が入り易く安くなる。よって、サイドプレート25aに対して複数の溝410aの径方向内側で吐出圧力Yaがスラスト力として作用され易くなる。
【0181】
本実施形態のサイドプレート25bにおいて、複数の溝を回転方向に並べて、かつ複数の溝のそれぞれのうち径方向内側よりも、複数の溝のそれぞれのうち径方向外側が回転方向に位置するように複数の溝が形成されている。このため、サイドプレート25bの回転に伴って、複数の溝の径方向内側に対して冷媒室10aからの吐出冷媒が入り易くなる。よって、サイドプレート25bに対して複数の溝410aの径方向内側で吐出圧力Yaがスラスト力として作用され易くなる。
【0182】
(第5実施形態の第1変形例)
上記第5実施形態では、サイドプレート25aにおいて複数の溝410を回転方向に傾けるようにした例について説明したが、これに代えて、第1変形例では、
図23に示すように、サイドプレート25aにおいて、複数の溝410bを回転方向に並べて、かつ複数の溝410bをそれぞれ「く」の字状で、回転方向後側に凸になるように形成する。
【0183】
この場合、複数の溝410bのそれぞれにおいて凸となる部位に冷媒室10aからの吐出冷媒が入り易くなる。よって、サイドプレート25aに対して複数の溝410bのうち凸となる部位(具体的には、径方向中央側)に吐出圧力Yaがスラスト力として作用され易くなる。
【0184】
第1変形例では、サイドプレート25bにおいて複数の溝を回転方向に並べて、かつ複数の溝をそれぞれ「く」の字状で、回転方向後側に凸になるように形成する。この場合、複数の溝のそれぞれにおいて凸となる部位に冷媒室10aからの吐出冷媒が入り易くなる。よって、サイドプレート25bに対して複数の溝のうち凸となる部位(具体的には、径方向中央側)に吐出圧力Yaがスラスト力として作用され易くなる。
【0185】
(第6実施形態)
本第6実施形態では、
図24に示すように、上記第1実施形態のサイドプレート25aの内周面260には、溝420がシャフト本体24Aの軸線を中心とする螺旋状に形成されている。
【0186】
溝420は、潤滑油供給路102から供給される潤滑油をサイドプレート25aおよびブッシュ24Bの間の隙間のうち軸線方向他方側に案内する。このため、サイドプレート25aおよびブッシュ24Bの間を軸線方向に亘って潤滑させることができる。
【0187】
本実施形態では、サイドプレート25bの内周面には、溝がシャフト本体24Aの軸線を中心とする螺旋状に形成されている。溝は、潤滑油供給路104から供給される潤滑油をサイドプレート25bおよびシャフト本体24Aの間の隙間のうち軸線方向一方側に案内する。このため、サイドプレート25bおよびシャフト本体24Aの間を軸線方向に亘って潤滑させることができる。
【0188】
(第6実施形態の第1変形例)
上記第6実施形態では、サイドプレート25aの内周面260に、1つの溝420が螺旋状に形成されている例について説明したが、これに代えて、本第1変形例では、
図25に示すように、サイドプレート25aの内周面260には、2つの溝420、421がシャフト本体24Aの軸線を中心とする螺旋状に形成されている。
【0189】
(第7実施形態)
本第7実施形態では、
図26A、
図26Bに示すように、上記第1実施形態のブッシュ24Bのうち給油開始位置102aよりも軸線方向一方側501において、潤滑油供給路102が径方向外側で軸線方向に亘って開口されている。
【0190】
このため、支持部110とブッシュ24Bとの間に潤滑油供給路102からの潤滑油を供給することができる。したがって、支持部110とブッシュ24Bとの間に潤滑油の油膜を形成して、潤滑油供給路101と隙間200との間をシールすることができる。
【0191】
本実施形態のシャフト本体24Bの潤滑油供給路104が径方向外側で軸線方向に亘って開口されている。このため、支持部120とシャフト本体24Aとの間に潤滑油供給路103からの潤滑油を供給することができる。したがって、支持部120とシャフト本体24Aとの間に潤滑油の油膜を形成して、潤滑油供給路103と隙間210との間をシールすることができる。
【0192】
(第7実施形態の第1変形例)
本第1変形例では、
図27A、
図27Bに示すように、ブッシュ24Bのうち給油開始位置102aよりも軸線方向一方側501において、潤滑油供給路102に連通して、かつ周方向に亘って開口する溝部520が設けられている。
【0193】
溝部520は、潤滑油供給路102からの潤滑油を支持部110とブッシュ24Bとの間に供給する潤滑油通路を構成する。このため、支持部110とブッシュ24Bとの間に潤滑油供給路102からの潤滑油を確実に供給することができる。したがって、支持部110とブッシュ24Bとの間に潤滑油の油膜を確実に形成して、潤滑油供給路101と隙間200との間を精度良くシールすることができる。
【0194】
本第1変形例のシャフト本体24Bのうち給油開始位置104aよりも軸線方向他方側には、潤滑油供給路104に連通して、かつ周方向に亘って開口する溝部が設けられている。このため、支持部120とシャフト本体24Aとの間に潤滑油供給路103からの潤滑油を確実に供給することができる。したがって、支持部120とシャフト本体24Aとの間に潤滑油の油膜を確実に形成して、潤滑油供給路103と隙間210との間を確実にシールすることができる。
【0195】
(他の実施形態)
(1)第1〜第7実施形態および各変形例において、シリンダ回転型圧縮機1を車両用空調装置に適用した例について説明したが、これに代えて、車両用空調装置以外の設置型の空調装置、飛行機や列車などの移動体用空調装置、あるいは、各種の冷凍サイクル装置にシリンダ回転型圧縮機1を適用してもよい。
【0196】
(2)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0197】
(まとめ)
上記第1〜第7実施形態、各変形例、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、冷媒室(10a)を構成するハウジング(10)と、ハウジング内に配置されて、ハウジングに支持されているシャフト(24)と、ハウジング内に配置されて筒状に形成されて、かつシャフトに対して回転自在に支持されて第1軸線(C1)を中心として回転するシリンダ(21)と、ハウジング内に配置されて、シャフトに対して回転自在に支持されて、第1軸線に対して偏心した第2軸線(C2)を中心として回転するロータ(22a、22b)と、シリンダとロータとを連結してシリンダとロータとを同期して回転させる伝導機構(251a、251b)と、シリンダの内周面とロータの外周面との間の作動室(Va、Vb)を仕切るベーン(23a、23b)と、を備え、シャフトには、冷媒が流れる吸入冷媒流路(24d)が設けられており、ロータには、吸入冷媒流路からの冷媒を作動室に導く導入冷媒流路(224a、224b)が設けられており、
シリンダとロータとベーンとが回転することにより作動室を変形させて吸入冷媒流路および導入冷媒流路を通して作動室に冷媒を吸入させて作動室で圧縮して高圧冷媒を冷媒室を通して吐出口(11a)から吐出する圧縮機であって、
シャフトは、第1軸線の軸線方向に延びるように形成されているシャフト本体であって、軸線方向一方側に設けられて軸線方向一方側端部(24a)に向かうほど径方向寸法が小さくなるテーパ部(300)を有し、軸線方向他方側の径方向寸法よりも軸線方向一方側の径方向寸法が小さくなるように形成されているシャフト本体(24A)と、ハウジング内に配置されて、第1軸線を中心とする径方向寸法が軸線方向の他方側から一方側に近づくほど小さくなる内周面(301)を有して中空部(301a)を形成するブッシュ(24B)と、ブッシュの中空部にシャフト本体のテーパ部が嵌め込まれた状態で、シャフト本体に対するブッシュの回転方向の位置を決める第1位置決め部(330)と、を備える。
【0198】
第2の観点によれば、シャフト本体のテーパ部の外周面には、径方向内側に凹む第1凹部(320)が設けられており、ブッシュの内周面には、第1凹部に対向して、かつ径方向外側に凹む第2凹部(335)が設けられており、第1位置決め部は、第1凹部と第2凹部とによって形成される領域内に配置されて、シャフト本体に対するブッシュの回転方向の位置を決める。
【0199】
これにより、シャフト本体に対するブッシュの回転方向の位置を良好に決めることができる。
【0200】
第3の観点によれば、シャフト本体のうち軸線方向の他方側に形成されて第1軸線を中心とする円柱状に形成されている軸線方向他方側部位の外径寸法をD1とし、シャフト本体のうち軸線方向他方側部位およびテーパ部の間に配置されて第1軸線を軸線とするように形成されている偏心部(24c)の外径寸法をD2とし、第1軸線と第2軸線との間の距離をdとし、ブッシュの外径寸法をD3とすると、D1>D2+2×d、かつD3>D2+2×dを満たしている。
【0201】
第4の観点によれば、D1=D3である。
【0202】
第5の観点によれば、ブッシュの中空部にシャフト本体のテーパ部が嵌め込まれた状態で、シャフト本体に対するブッシュの軸線方向の位置を決める第2位置決め部(340、130、150)を備える。
【0203】
これにより、シャフト本体とブッシュとを分解する前の同軸度に、シャフト本体にブッシュを再度組み付けた後の同軸度をより一層近づけることができる。
【0204】
第6の観点によれば、シャフト本体のテーパ部の外周には、径方向内側に凹む溝部(323)を形成しており、第2位置決め部は、溝部内に嵌め込まれて、ブッシュの軸線方向一方側に接触してシャフト本体に対するブッシュの軸線方向の位置を決めるC字状のくさび(340)を構成している。
【0205】
第7の観点によれば、溝部は、シャフト本体の軸線方向一方側および軸線方向他方側に形成されている第1、第2の側面(321、322)と、第1、第2の側面の間に形成されている底面(323)とを有し、径方向内側に近づくほど第1、第2の側面の間の距離が小さくなるように第1の側面に対して第2の側面が傾斜している。
【0206】
第8の観点によれば、シャフト本体のうちテーパ部に対して軸線方向一方側には、テーパ部から軸線方向一方側に突起するように形成されているオスねじ(128)が設けられており、ブッシュには、中空部に対して軸線方向一方側に配置されて、かつオスねじを貫通させてなる貫通穴部(131a)を形成する側壁(131)が設けられており、第2位置決め部は、側壁に対して軸線方向一方側に配置されて側壁を軸線方向他方側に押した状態で雄ねじに締結されていることにより、シャフト本体に対するブッシュの軸線方向の位置を決めるナット(130)を構成する。
【0207】
これにより、シャフト本体に対するブッシュの軸線方向の位置を良好に決めることができる。
【0208】
第9の観点によれば、シャフト本体のテーパ部には、軸線方向一方側に凹んで軸線方向他方側に開口されている穴部内に形成されている雌ねじ部(151)が設けられており、ブッシュには、中空部に対して軸線方向他方側に配置されて、かつ軸線方向に貫通されている貫通部(131a)を形成する側壁(131)が設けられており、第2位置決め部は、頭部が側壁を軸線方向一方側に押した状態で貫通部を貫通して雌ねじ部に締結されていることにより、シャフト本体に対するブッシュの軸線方向の位置を決める雄ネジ(150)を構成する。
【0209】
これにより、シャフト本体に対するブッシュの軸線方向の位置を良好に決めることができる。
【0210】
第10の観点によれば、吐出口から吐出された高圧冷媒から潤滑油を分離する潤滑油分離機構(400)を備える。
【0211】
第11の観点によれば、ハウジング内に配置されて、ブッシュのうち軸線方向他方側に対して回転自在に支持されて、シリンダのうち軸線方向一方側開口部を塞ぐように形成されて、かつシリンダとともに回転する第1サイドプレート(25a)を備え、ハウジングには、ブッシュのうち軸線方向一方側を支持する第1支持部(110)が設けられており、第1支持部および第1サイドプレートの間には、冷媒室に連通する第1隙間(200)が形成されており、ブッシュには、潤滑油分離機構で高圧冷媒から分離された潤滑油をブッシュおよび第1サイドプレートの間に供給する第1潤滑油経路路(102)が設けられており、第1潤滑油経路路のうちブッシュおよび第1サイドプレートの間に連通される第1給油開始位置(102a)が第1隙間に対してオフセットしている。
【0212】
これにより、第1給油開始位置からの潤滑油の油圧が第1隙間に到達し難くなる。
【0213】
第12の観点によれば、第1潤滑油経路路は、ブッシュおよび第1サイドプレートの間を通して作動室に連通しており、ブッシュおよび第1サイドプレートの間において第1給油開始位置よりも軸線方向他方側の断面積は、第1給油開始位置よりも軸線方向一方側の断面積よりも大きくなっている。
【0214】
第13の観点によれば、第1サイドプレートには、それぞれ、第1隙間側から軸線方向他方側に凹んで、かつ径方向に亘って形成される複数の溝(410)が放射状に並べられている。
【0215】
これにより、複数の溝に対して潤滑油が入り込む。このため、第1サイドプレートに対してスラスト力として潤滑油の油圧力Yaが作用される。
【0216】
第14の観点によれば、第1サイドプレートには、それぞれ、第1隙間側から軸線方向他方側に凹んで、かつ径方向に亘って形成される複数の溝(410a)が周方向に並べられており、複数の溝は、それぞれ、径方向内側よりも径方向外側が回転方向前側に位置するように傾斜している。
【0217】
第15の観点によれば、第1サイドプレートには、それぞれ、第1隙間側から軸線方向他方側に凹んで、かつ径方向に亘って形成される複数の溝(410b)が周方向に並べられており、複数の溝は、それぞれ、回転方向前側に突起するくの字状に形成されている。
【0218】
第16の観点によれば、第1サイドプレートのうちブッシュの外周面に摺動する内周面には、螺旋状に形成されて、かつ第1潤滑油経路路からの潤滑油を流す溝(420、421)が形成されている。
【0219】
第17の観点によれば、ブッシュの外周面のうち第1給油開始位置よりも軸線方向他方側は、軸線方向に延びる平面(102d)を有して断面がD字状に形成されてブッシュと第1サイドプレートとの間に第1給油開始位置から供給される潤滑油を流す潤滑油流路を形成する。
【0220】
第18の観点によれば、ブッシュのうち第1給油開始位置よりも軸線方向一方側は、第1潤滑油経路路に連通して、かつ周方向に亘って開口して第1潤滑油経路路からの潤滑油をブッシュと第1支持部との間に供給する潤滑油通路(520)が設けられている。
【0221】
第19の観点によれば、ハウジングには、シャフト本体のうち軸線方向他方側を支持する第2支持部(120)が設けられており、ハウジング内のうち第2支持部に対して軸線方向一方側に配置されて、シャフト本体に対して回転自在に支持されて、シリンダのうち軸線方向他方側開口部を塞ぐように形成されて、かつシリンダとともに回転する第2サイドプレート(25b)を備え、第2支持部および第2サイドプレートの間には、冷媒室に連通する第2隙間(210)が形成されており、シャフト本体には、潤滑油分離機構で高圧冷媒から分離された潤滑油をシャフト本体および第2サイドプレートの間に供給する第2潤滑油経路路(104)が設けられており、第2潤滑油経路路のうちシャフト本体および第2サイドプレートの間に連通される第2給油開始位置(104a)が第2隙間に対してオフセットしている。
【0222】
第20の観点によれば、第2潤滑油経路路は、シャフト本体および第2サイドプレートの間を通して作動室に連通しており、ブッシュおよび第2サイドプレートの間において第2給油開始位置よりも軸線方向一方側の断面積は、第2給油開始位置よりも軸線方向他方側の断面積よりも大きくなっている。
【0223】
第21の観点によれば、第2サイドプレートには、それぞれ、第2隙間側から軸線方向一方側に凹んで、かつ径方向に亘って形成される複数の溝(410)が放射状に並べられている。
【0224】
第22の観点によれば、第2サイドプレートには、それぞれ、第2隙間側から軸線方向一方側に凹んで、かつ径方向に亘って形成される複数の溝(410a)が放射状に並べられており、複数の溝は、それぞれ、径方向内側よりも径方向外側が回転方向前側に位置するように傾斜している。
【0225】
第23の観点によれば、第2サイドプレートには、それぞれ、第2隙間側から軸線方向一方側に凹んで、かつ径方向に亘って形成される複数の溝(410b)が周方向に並べられており、複数の溝は、それぞれ、回転方向前側に突起するくの字状に形成されている。
【0226】
第24の観点によれば、第2サイドプレートのうちシャフト本体の外周面に摺動する内周面には、螺旋状に形成されて、かつ第2潤滑油経路路からの潤滑油を流す溝(420、421)が形成されている。
【0227】
第25の観点によれば、シャフト本体の外周面のうち第2給油開始位置よりも軸線方向一方側は、軸線方向に延びる平面を有して断面がD字状に形成されてシャフト本体と第2サイドプレートとの間に第2給油開始位置から供給される潤滑油を流す潤滑油流路を形成する。
【0228】
第26の観点によれば、シャフト本体のうち第2給油開始位置よりも軸線方向他方側には、第2潤滑油経路路に連通して、かつ周方向に亘って開口して第2潤滑油経路路からの潤滑油をシャフト本体と第2支持部との間に供給する第2潤滑油通路が設けられている。
【0229】
第27の観点によれば、冷媒室(10a)を構成するハウジング(10)と、ハウジング内に配置されて、ハウジングに支持されているシャフト(24)と、ハウジング内に配置されて筒状に形成されて、かつシャフトに対して回転自在に支持されて第1軸線(C1)を中心として回転するシリンダ(21)と、ハウジング内に配置されて、シャフトに対して回転自在に支持されて、第1軸線に対して偏心した第2軸線(C2)を中心として回転するロータ(22a、22b)と、シリンダとロータとを連結してシリンダとロータとを同期して回転させる伝導機構(251a、251b)と、シリンダの内周面とロータの外周面との間の作動室(Va、Vb)を仕切るベーン(23a、23b)と、を備え、シャフトには、冷媒が流れる吸入冷媒流路(24d)が設けられており、ロータには、吸入冷媒流路からの冷媒を作動室に導く導入冷媒流路(224a、224b)が設けられており、
シリンダとロータとベーンとが回転することにより作動室を変形させて吸入冷媒流路および導入冷媒流路を通して作動室に冷媒を吸入させて作動室で圧縮して高圧冷媒を冷媒室を通して吐出口(11a)から吐出する圧縮機の製造方法であって、シャフトは、
第1軸線の軸線方向に延びるように形成されているシャフト本体であって、軸線方向他方側に設けられて軸線方向他方側端部(24a)に向かうほど径方向寸法が小さくなるテーパ部(300)を有し、軸線方向一方側の径方向寸法よりも軸線方向他方側の径方向寸法が小さくなるように形成されているシャフト本体(24A)と、第1軸線を中心とする径方向寸法が軸線方向の一方側から他方側に近づくほど小さくなる内周面(301)を有して中空部(301a)を形成するブッシュ(24B)と、を備え、シャフト本体のテーパ部をブッシュの中空部に嵌め込んでシャフト本体に対するブッシュの回転方向の位置を位置決め部(330)によって決める第1位置決め工程(S110)と、シャフト本体に対するブッシュの回転方向の位置を第1位置決め部が決めた状態で、シャフト本体のテーパ部の第1軸線にブッシュの軸線を近づけるようにシャフト本体およびブッシュを加工する加工工程(S120)と、加工工程の後にシャフト本体およびブッシュを分解する分解工程(S130)と、分解工程の後で、シャフト本体をロータの貫通穴に嵌めた状態で、シャフト本体のテーパ部をブッシュの中空部に嵌め込んでシャフト本体に対するブッシュの回転方向の位置を位置決める第2位置決め工程(S150)と、を備える。
【0230】
第28の観点によれば、シャフト本体に対するブッシュの回転方向の位置を位置決めるとともに、シャフト本体に対するブッシュの軸線方向の位置を位置決める第3位置決め工程(S150)を備える。
【0231】
第29の観点によれば、第3位置決め工程では、ブッシュのうち回転止め部(140a、140b)を治具が掴んで治具によってシャフト本体に対してブッシュが回転することを止めた状態で、シャフト本体に対するブッシュの軸線方向の位置を位置決める。
【0232】
第30の観点によれば、分解工程では、シャフト本体のうちブッシュに対して軸線方向他方側に形成されている段部(311)とブッシュとの間に形成されている溝部(162)が治具によって掴まれた状態で治具によってシャフト本体からブッシュを外してシャフト本体およびブッシュを分解する。
【0233】
第31の観点によれば、分解工程では、ブッシュに形成されている溝部(161a、161b)が治具によって掴まれた状態で治具によってシャフト本体からブッシュを外してシャフト本体およびブッシュを分解する。