特許第6673218号(P6673218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小野薬品工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673218
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】ジヒドロナフタレン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 205/04 20060101AFI20200316BHJP
   C07D 207/16 20060101ALI20200316BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20200316BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20200316BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20200316BHJP
   A61K 31/4427 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 15/08 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 33/02 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 33/10 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 33/06 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 33/04 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 33/12 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   C07D205/04CSP
   C07D207/16
   C07D401/10
   A61K31/397
   A61K31/40
   A61K31/4427
   A61P43/00 111
   A61P25/00
   A61P31/00
   A61P37/06
   A61P35/00
   A61P25/18
   A61P25/02 101
   A61P25/28
   A61P21/00
   A61P25/22
   A61P25/08
   A61P25/20
   A61P25/24
   A61P25/16
   A61P25/14
   A61P25/06
   A61P1/00
   A61P19/02
   A61P13/12
   A61P29/00 101
   A61P3/10
   A61P21/04
   A61P5/14
   A61P7/06
   A61P1/16
   A61P7/04
   A61P17/02
   A61P9/00
   A61P17/06
   A61P17/14
   A61P3/00
   A61P25/02 103
   A61P15/08
   A61P13/10
   A61P37/02
   A61P31/12
   A61P31/04
   A61P31/10
   A61P33/00
   A61P33/02
   A61P33/10
   A61P31/14
   A61P31/18
   A61P31/20
   A61P31/22
   A61P31/06
   A61P33/06
   A61P33/04
   A61P33/12
   A61P1/04
【請求項の数】12
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2016-562671(P2016-562671)
(86)(22)【出願日】2015年12月3日
(86)【国際出願番号】JP2015084019
(87)【国際公開番号】WO2016088834
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2018年10月9日
(31)【優先権主張番号】62/087,338
(32)【優先日】2014年12月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000185983
【氏名又は名称】小野薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(72)【発明者】
【氏名】久須美 健介
(72)【発明者】
【氏名】倉田 晴登
(72)【発明者】
【氏名】長縄 厚志
(72)【発明者】
【氏名】小寺 泰代
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕一
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 洋也
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ マーク アラン
(72)【発明者】
【氏名】レイカー ジョセフ
【審査官】 谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/064757(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/020882(WO,A2)
【文献】 特表2014−518541(JP,A)
【文献】 特表2013−501074(JP,A)
【文献】 ITOH,K. et al,Synthesis and biological activities of 3-aminomethyl-1,2-dihydronaphthalene derivatives,Chemical & Pharmaceutical Bulletin,1983年,Vol.31, No.6,p.2006-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 205/04
A61K 31/397
A61K 31/40
A61K 31/4427
C07D 207/16
C07D 401/10
C07D 403/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I−1)
【化1】
[式中、R1−1は、C1〜4アルキル基、またはハロゲン原子を表し、
2−1は、C1〜3アルキル基、ハロゲン原子、またはC1〜3ハロアルキル基を表し、
は、C1〜4アルキル基を表し、
Lは、結合手、−CH−、または−O−を表し、
Zは、C1〜8アルキル基で置換されていてもよいカルボキシル基を表し、
ring1−1は、5〜7員の環状基を表し、
ring2−1は、4〜7員の含窒素飽和ヘテロ環を表し、
m−1は、1〜2の整数を表し、
nは、0〜5の整数を表し、
pは、0〜5の整数を表し、
m−1が2のとき、複数のR1−1は同じでも異なっていてもよく、
nが2以上のとき、複数のR2−1は同じでも異なっていてもよく、
pが2以上のとき、複数のRは同じでも異なってもよい。]で示される化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体。
【請求項2】
1−1が、C1〜4アルキル基である請求項1記載の化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体。
【請求項3】
ring1−1は、(1)シクロペンタン、(2)シクロヘキサン、(3)シクロヘプタン、(4)シクロペンテン、(5)ベンゼン、または(6)ピリジンである請求項1または2に記載の化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体。
【請求項4】
ring2−1が、(1)アゼチジン、(2)ピロリジン、(3)ピペリジン、または(4)パーヒドロアゼピンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体。
【請求項5】
一般式(I−1)で示される化合物が、(1)1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸、()1−{[1−メチル−6−(2−ピリジニル)−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸、()1−[(1−メチル−6−フェニル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル)メチル]−3−アゼチジンカルボン酸、または()1−{[6−(4−フルオロフェノキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸である請求項1記載の化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体。
【請求項6】
請求項1記載の一般式(I−1)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体を含有してなる医薬組成物。
【請求項7】
神経変性疾患、自己免疫疾患、感染症または癌の予防および/または治療剤である請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
神経変性疾患の予防および/または治療剤である請求項6記載の医薬組成物。
【請求項9】
神経変性疾患が、統合失調症、ビンスワンガー病、多発性硬化症、視神経脊髄炎、アルツハイマー病、認知障害、筋萎縮性側索硬化症、または脊髄小脳変性症である請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
神経変性疾患、自己免疫疾患、感染症または癌の予防および/または治療のための請求項1記載の一般式(I−1)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体。
【請求項11】
神経変性疾患、自己免疫疾患、感染症または癌の予防および/または治療剤を製造するための請求項1記載の一般式(I−1)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体の使用。
【請求項12】
1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)
【化1】
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表す。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体、またはそれらのプロドラッグ(以下、本発明化合物と略記することがある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
スフィンゴシン−1−リン酸[(2S,3R,4E)−2−アミノ−3−ヒドロキシオクタデカ−4−エニル−1−リン酸;以下S1Pと略することがある。]は細胞内でのスフィンゴ脂質の代謝回転や、細胞外での分泌性スフィンゴシンキナーゼの作用で合成される脂質であり、細胞間情報伝達物質および細胞内二次情報伝達物質として働くことが提唱されている。
【0003】
S1P受容体のうち、S1P5(EDG−8)受容体に関しては、オリゴデンドロサイト(乏突起膠細胞)およびオリゴデンドロサイト前駆細胞に高発現していることが知られており、S1P受容体を活性化すると、オリゴデンドロサイト前駆細胞をオリゴデンドロサイトへの分化誘導を促進することが明らかとなっている(非特許文献1および2参照)。オリゴデンドロサイトは、神経細胞の軸索に結合して、髄鞘(ミエリン)を形成するグリア細胞の一種である。したがって、S1P受容体の作動活性を有する化合物は、神経細胞において消失したミエリン(脱ミエリン化)の再生を促進することから、統合失調症等の神経変性疾患の治療に有用であると考えられている。
【0004】
また、S1P受容体は、ナチュラルキラー(NK)細胞にも高発現していることが知られており、S1P受容体の活性化により、NK細胞の遊走が誘導される(非特許文献3参照)ことがわかっている。
さらに、S1P受容体は、腫瘍免疫に関与することが知られているpatrolling monocyteに高発現していることから、S1P受容体の活性化により、腫瘍免疫活性化が誘導される可能性がある(非特許文献4および5参照)。
【0005】
ところで、本発明の先行技術として、以下の化合物が知られている。
S1P受容体結合能を有するジヒドロナフタレン化合物として、一般式(a)
【化2】
(式中、環Aは環状基を表し、環Bはさらに置換基を有していてもよい環状基を表し、Xは結合手または主鎖の原子数1〜8のスペーサーを表し、Yは結合手または主鎖の原子数1〜10のスペーサーを表し、naは0または1を表し、naが0の場合、maは1を表し、かつR1aは水素原子または置換基を表し、naが1の場合、maは0または1〜7の整数を表し、かつR1aは置換基(maが2以上のとき複数のR1aは同じでも異なっていてもよい。)を表す(但し、各基の定義は抜粋した)。)で示される化合物が、特に、EDG−1(S1P)およびEDG−6(S1P)受容体に特異的に結合することが開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、S1P受容体結合能を有するジヒドロナフタレン化合物として、一般式(b)
【化3】
(式中、環Aは環状基を表し、環Bはさらに置換基を有していてもよい環状基を表し、Xは結合手または主鎖の原子数1〜8のスペーサーを表し、Yは結合手または主鎖の原子数1〜10のスペーサーを表し、Zは保護されていてもよい酸性基を表し、nbは0または1を表し、nbが0の場合、mbは1を表し、かつR1bは水素原子または置換基を表し、nbが1の場合、mbは0または1〜7の整数を表し、かつR1bは置換基(mbが2以上のとき複数のR1bは同じでも異なっていてもよい。)を表す(但し、各基の定義は抜粋した)。)で示される化合物が、特に、EDG−1(S1P)、EDG−6(S1P)および/またはEDG−8(S1P)受容体に結合することが開示されている(特許文献2参照)。
【0007】
さらに、S1Pアゴニスト活性を有する化合物として、一般式(c)
【化4】
(式中、A1cは、−CX1c=、−C(X1c−、−N=、−NX1c−、−O−、−S−、または結合手を表し、;A2cは、−CX2c=、−C(X2c−、−N=、−NX2c−、−O−、または−S−を表し、;A3cは、−CX3c=、−C(X3c−、−N=、−NX3c−、−O−、−S−、または結合手を表し、;A4cは、−CX4c=、−C(X4c−、−N=、−NX4c−、−O−、−S−、または結合手を表し、;A5cは、−CX5c=、−C(X5c−、−N=、−NX5c−、−O−、または−S−を表し、;A6cは、−CX6c=、−C(X6c−、−N=、−NX6c−、−O−、−S−、または結合手を表し、;A7cは、−C(R3c)=、−(CR3cfc)−、または−NR3c−を表し、;A8cは、−C(−W−Cy)=、−C(−W−Cy)(Rfc)−、または−N(−W−Cy)−を表し、;B1cは、CH、C、またはNを表し、;B2cは、CH、C、またはNを表し、;Wは、−C(Rfcgc)−、−N(Rfc)−、−O−、−S−、−S(O)−、または−S(O)−を表し、;Cyは、シクロアルキル、アリルまたはヘテロアリル基等を表す(但し、各基の定義は抜粋した)。)で示される化合物が知られている(特許文献3参照)。
【0008】
ジヒドロナフタレン骨格を有する化合物において、そのフェニル基から環状置換基までのリンカーが、1原子以下の短いリンカーを有することを特徴とする本発明化合物が、S1P受容体に対するS1P受容体作動活性のバランスを改善させたことに関して、いずれの先行技術文献にも記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2005/020882号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/064757号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2011/017561号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ザ・ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(The Journal of Neuroscience)、第25巻、第6号、1459−1469ページ、2005年
【非特許文献2】ザ・FASEB・ジャーナル(The FASEB Journal)、第21巻、01503−1514ページ、2007年
【非特許文献3】ネイチャー・イムノロジー(Nature Immunology)、第8巻、第12号、1337−1344ページ、2007年
【非特許文献4】ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー(European Journal of Immunology)、第43巻、1667−1675ページ、2013年
【非特許文献5】サイエンス(Science)、第350巻、第6263号、985−990ページ、2015年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、S1P受容体に対するS1P受容体作動活性のバランスを改善させた化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を解決するため、S1P受容体に対するS1P受容体作動活性のバランスを改善させた化合物を見出すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに、ジヒドロナフタレン骨格を有する化合物において、そのフェニル基から環状置換基までのリンカーとして、1原子以下の短いリンカーを導入することによって、S1P受容体に対するS1P受容体作動活性のバランスを顕著に改善させることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、
[1] 一般式(I)
【化5】
[式中、Rは、C1〜4アルキル基、ハロゲン原子、C1〜4ハロアルキル基、またはC1〜4アルコキシ基を表し、
は、C1〜4アルキル基、ハロゲン原子、C1〜4ハロアルキル基、またはSF基を表し、
は、C1〜4アルキル基を表し、
Lは、結合手、−CH−、または−O−を表し、
Zは、C1〜8アルキル基で置換されていてもよい酸性基を表し、
ring1は、3〜10員の環状基を表し、
ring2は、3〜7員の含窒素ヘテロ環を表し、
mは、0〜6の整数を表し、
nは、0〜5の整数を表し、
pは、0〜5の整数を表し、
mが2以上のとき、複数のRは同じでも異なっていてもよく、
nが2以上のとき、複数のRは同じでも異なっていてもよく、
pが2以上のとき、複数のRは同じでも異なってもよい。]
で示される化合物(ただし、1−{[6−(4−ブチルフェノキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸は除く)、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体、またはそれらのプロドラッグ、
[2] Zが、(1)C1〜8アルキル基で置換されていてもよいカルボキシル基、(2)C1〜8アルキル基で置換されていてもよい水酸基、(3)C1〜8アルキル基で置換されていてもよいヒドロキサム酸基、(4)C1〜8アルキル基で置換されていてもよいスルホン酸基、(5)C1〜8アルキル基で置換されていてもよいボロン酸基、(6)C1〜8アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、(7)C1〜8アルキル基で置換されていてもよいスルファモイル基、(8)C1〜8アルキル基で置換されていてもよいスルホキシイミン基、または(9)テトラゾリル基である前記[1]に記載の化合物、
[3] Zが、C1〜8アルキル基で置換されていてもよいカルボキシル基である前記[1]または[2]に記載の化合物、
[4] ring1が、5〜7員の環状基である前記[1]〜[3]に記載の化合物、
[5] ring1が、(1)シクロペンタン、(2)シクロヘキサン、(3)シクロヘプタン、(4)シクロペンテン、(5)ベンゼン、(6)ピリジン、(7)ナフタレン、(8)インドール、または(9)ジヒドロインドールである前記[1]〜[3]に記載の化合物、
[6] mが1〜2の整数である前記[1]〜[3]に記載の化合物、
[7] 一般式(I−1)
【化6】
[式中、R1−1は、C1〜4アルキル基、またはハロゲン原子を表し、R2−1は、C1〜3アルキル基、ハロゲン原子、またはC1〜3ハロアルキル基を表し、ring1−1は、5〜7員の環状基を表し、ring2−1は、4〜7員の含窒素飽和ヘテロ環を表し、m−1は、1〜2の整数を表し、m−1が2のとき、複数のR1−1は同じでも異なっていてもよく、nが2以上のとき、複数のR2−1は同じでも異なっていてもよく、その他の記号は前記[1]と同じ意味を表す。]で示される化合物である前記[1]に記載の化合物、
[8] (1)1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸、(2)1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸、(3)1−{[1−メチル−6−(2−ピリジニル)−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸、(4)1−[(1−メチル−6−フェニル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル)メチル]−3−アゼチジンカルボン酸、または(5)1−{[6−(4−フルオロフェノキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸である前記[1]記載の化合物、
[9] 前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体、またはそれらのプロドラッグを含有してなる医薬組成物、
[10] S1P5作動剤である前記[9]記載の医薬組成物、
[11] S1P5介在性疾患の予防および/または治療剤である前記[9]記載の医薬組成物、
[12] S1P5介在性疾患が、神経変性疾患、自己免疫疾患、感染症または癌である前記[11]記載の医薬組成物、
[13] 神経変性疾患が、統合失調症、ビンスワンガー病、多発性硬化症、視神経脊髄炎、アルツハイマー病、認知障害、筋萎縮性側索硬化症、または脊髄小脳変性症である前記[12]記載の医薬組成物、
[14] 前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体、またはそれらのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、S1P介在性疾患の予防および/または治療方法、
[15] S1P介在性疾患の予防および/または治療のための前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体、またはそれらのプロドラッグ、および
[16] S1P介在性疾患の予防および/または治療剤を製造するための前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体、またはそれらのプロドラッグの使用等に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明化合物は、S1P受容体に対して高いS1P受容体選択的な作動活性を有するため、S1P介在性疾患、例えば、神経変性疾患、自己免疫疾患、感染症、癌の治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、「S1P受容体に対するS1P受容体作動活性のバランスを改善させる」とは、「S1P受容体に対するS1P受容体作動活性の選択性を高める」ことを意味する。
本発明において、ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。
【0016】
本発明において、C1〜8アルキル基とは、直鎖状または分枝鎖状のC1〜8アルキル基が含まれ、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2,3−ジメチルブチル、1−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、1−プロピルブチル、2−メチル−3−ヘキシル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1−エチル−1−メチルブチル、1−メチル−2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルブチル、1−エチル−3−メチルブチル、1,1−ジメチルペンチル、1,1,3−トリメチルブチル、1,1−ジエチルプロピル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、3−エチルペンチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル、2−プロピルペンチル、1,5−ジメチルヘキシル、1−エチル−4−メチルペンチル、1−プロピル−3−メチルブチル、1,1−ジメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルペンチル、または1,1−ジエチルブチル基が挙げられる。
【0017】
本発明において、C1〜4アルキル基とは、直鎖状または分枝鎖状のC1〜4アルキル基が含まれ、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基が挙げられる。
【0018】
本発明において、C1〜3アルキル基とは、直鎖状または分枝鎖状のC1〜4アルキル基が含まれ、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基が挙げられる。
【0019】
本発明において、C1〜4ハロアルキル基とは、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、4−ブロモブチル基を意味する。
【0020】
本発明において、C1〜3ハロアルキル基とは、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基を意味する。
【0021】
本発明において、C1〜4アルコキシ基とは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、またはtert−ブトキシ基が挙げられる。
【0022】
本発明において、酸性基とは、例えば、カルボキシル基、水酸基、ヒドロキサム酸基、スルホン酸基、ボロン酸基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホキシイミン基(−SH(=O)(=NH))、またはテトラゾリル基が挙げられる。
【0023】
本発明において、3〜10員の環状基とは、C3〜10の炭素環、または、3〜10員のヘテロ環を意味する。
【0024】
本発明において、C3〜10の炭素環とは、C3〜10の単環式または二環式炭素環であって、その一部または全部が飽和されていてもよい炭素環をいう。例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ベンゼン、ペンタレン、パーヒドロペンタレン、アズレン、パーヒドロアズレン、インデン、パーヒドロインデン、インダン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、パーヒドロナフタレンが挙げられる。
【0025】
本発明において、3〜10員のヘテロ環とは、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和された3〜10員の単環式または二環式ヘテロ環をいう。例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、パーヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、パーヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、パーヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、パーヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、パーヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、パーヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、パーヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、パーヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、またはベンゾジチアン環が挙げられる。
【0026】
本発明において、5〜7員の環状基とは、C5〜7の炭素環、または5〜7員のヘテロ環を意味する。
【0027】
本発明において、C5〜7の炭素環とは、C5〜7の単環式炭素環であって、その一部または全部が飽和されていてもよい炭素環を意味し、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、またはベンゼン環が挙げられる。
【0028】
本発明において、5〜7員のヘテロ環とは、5〜7員の不飽和ヘテロ環、または5〜7員の飽和ヘテロ環を含む。5〜7員のヘテロ環としては、例えば、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、またはチアジアゼピン環が挙げられる。
【0029】
本発明において、3〜7員の含窒素ヘテロ環とは、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、不飽和または飽和3〜7員の単環ヘテロ環のうち、必ず1個以上の窒素原子を含むものをいう。例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアゼピン、チアジアゼピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、モルホリン、チオモルホリン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、またはパーヒドロチアジアゼピン環が挙げられる。
【0030】
本発明において、4〜7員の含窒素飽和ヘテロ環とは、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和された4〜7員の単環ヘテロ環のうち、必ず1個以上の窒素原子を含むものをいう。例えば、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、ジジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、またはチオモルホリン等が挙げられる。
【0031】
本発明において、Rとしては、C1〜4アルキル基、またはハロゲン原子が好ましく、C1〜4基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0032】
本発明において、Rとしては、C1〜3アルキル基、ハロゲン原子、またはC1〜3ハロアルキル基が好ましい。
【0033】
本発明において、Zとしては、C1〜8アルキル基で置換されていてもよいカルボキシル基が好ましい。
【0034】
本発明において、ring1としては、5〜7員の環状基が好ましい。
本発明において、ring1としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンテン、ベンゼン、ピリジン、ナフタレン、インドール、またはジヒドロインドールが好ましい。
【0035】
本発明において、ring2としては、4〜7員の含窒素飽和ヘテロ環が好ましく、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはパーヒドロアゼピンがより好ましい。
【0036】
本発明において、一般式(I−1)
【化7】
[式中、R1−1は、C1〜4アルキル基、またはハロゲン原子を表し、R2−1は、C1〜3アルキル基、ハロゲン原子、またはC1〜3ハロアルキル基を表し、ring1−1は、5〜7員の環状基を表し、ring2−1は、4〜7員の含窒素飽和ヘテロ環を表し、m−1は、1〜2の整数を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。]で示される化合物がより好ましい。
【0037】
本発明において、一般式(I−1)中、R1−1としては、C1〜4アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
本発明において、一般式(I−1)中、ring1−1で表される5〜7員の環状基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンテン、ベンゼン、またはピリジンが好ましい。
本発明の別の態様として、一般式(I−1)中、ring1−1としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンテン、ベンゼン、ピリジン、ナフタレン、インドール、またはジヒドロインドールであってもよい。
【0038】
本発明において、一般式(I−1)中、ring2−1で表される4〜7員の含窒素飽和ヘテロ環としては、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはパーヒドロアゼピンが好ましい。
【0039】
本発明において、実施例に記載された化合物がより好ましく、(1)1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸、(2)1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸、(3)1−{[1−メチル−6−(2−ピリジニル)−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸、(4)1−[(1−メチル−6−フェニル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル)メチル]−3−アゼチジンカルボン酸、または(5)1−{[6−(4−フルオロフェノキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸がより好ましい。
【0040】
[異性体]
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における幾何異性体(E体、Z体、シス体、トランス体)、不斉炭素原子の存在等による光学異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。また、本発明においては、互変異性体による異性体をもすべて包含する。
また、本発明における光学異性体は、100%純粋なものだけでなく、50%未満のその他の光学異性体が含まれていてもよい。
【0041】
本発明においては、特に断わらない限り、当業者にとって明らかなように記号
【化8】
は紙面の向こう側(すなわちα配置)に結合していることを表し、
【化9】
は紙面の手前側(すなわちβ配置)に結合していることを表し、
【化10】
はα配置、β配置またはそれらの任意の比率の混合物であることを表す。
【0042】
一般式(I)で示される化合物は、公知の方法で相当する塩に変換される。塩は、水溶性のものが好ましい。また、塩は薬学的に許容される塩が好ましい。適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩、酸付加物塩(無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等)等が挙げられる。
【0043】
一般式(I)で示される化合物およびその塩は、溶媒和物に変換することもできる。溶媒和物は低毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば、水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)との溶媒和物が挙げられる。
【0044】
一般式(I)で示される化合物のN−オキシド体とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、酸化されたものを表す。また、一般式(I)で示される化合物のN―オキシド体は、さらに上記のアルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩となっていてもよい。
【0045】
また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により、一般式(I)で示される化合物に変換する化合物をいう。一般式(I)で示される化合物のプロドラッグとしては、一般式(I)で示される化合物が水酸基を有する場合、該水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、本発明化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例、一般式(I)で示される化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、イソプロピルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など);等が挙げられる。これらの化合物は公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻「分子設計」163〜198頁に記載されているような、生理的条件で一般式(I)で示される化合物に変化するものであってもよい。さらに、一般式(I)で示される化合物は同位元素(例えば、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、35S、18F、36Cl、123I、125I等)等で標識されていてもよい。
【0046】
[本発明化合物の製造方法]
本発明化合物は、公知の方法、例えば、Comprehensive Organic Transformations : A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition (Richard C. Larock, John Wiley & Sons Inc, 1999)に記載された方法、または実施例に示す方法等を適宜改良し、組み合わせて用いることで製造することができる。
【0047】
一般式(I)のうち、Lが酸素原子、ring2が4〜7員の含窒素飽和ヘテロ環である化合物、すなわち、一般式(I−A)
【化11】
(式中、ring2は、4〜7員の含窒素飽和ヘテロ環を表し、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物は、下記で示される反応工程式1によって製造することができる。
【0048】
【化12】
(式中、Xはハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基(OTf基)、またはメタンスルホニルオキシ基(OMs基)を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。)
【0049】
反応工程式1中、反応1は、一般式(A)で示される化合物と、一般式(II)で示される化合物を用いて、還元的アミノ化反応に付すことにより行うことができる。この還元的アミノ化反応は公知であり、例えば、有機溶媒(ジクロロエタン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、酢酸、テトラヒドロフラン、メタノールおよびこれらの混合物等)中、還元剤(水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム等)の存在下、0〜40℃の温度で行なわれる。
【0050】
反応工程式1中、反応2は、一般式(B)で示される化合物と、一般式(III)で示される化合物をエーテル化反応に付すことにより行うことができる。このエーテル化反応は公知であり、例えば有機溶媒(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル等)中、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ金属の水素化物(水素化ナトリウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)、リン酸塩(リン酸カリウム等)、もしくは炭酸塩(炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)またはその水溶液あるいはこれらの混合物の存在下、0〜100℃で反応させることにより行なわれる。
【0051】
一般式(I)のうち、Lが結合手、ring2が4〜7員の含窒素飽和ヘテロ環である化合物、すなわち、一般式(I−B)
【化13】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物は、下記で示される反応工程式2によって製造することができる。
【0052】
【化14】
(式中、Xはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基(OTf基)を表し、Yはボロン酸基(−B(OH)2)、またはボロン酸エステル基(−B(ORi)(ORii)(式中、RiおよびRiiはC1〜3のアルキル基を表し、RiおよびRiiは、一緒になって環を形成してもよい)、例えば、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イルなど)を表し、Xはハロゲン原子を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。)
【0053】
反応工程式2中、反応3は公知であり、一般式(B)で示される化合物を用いて、例えば、有機溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ピリジン、トリエチルアミンおよびこれらの混合物等)中、塩基(トリエチルアミン、ピリジン、N−エチル N,N−ジイソプロピルアミン等)と、トリフルオロメチル化試薬(トリフルオロメタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、N,N−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリン等)の存在下、−80〜40℃の温度で行われる。
【0054】
反応工程式2中、反応4は公知であり、一般式(C)で示される化合物を用いて、例えば、有機溶媒(1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン等)中、パラジウム触媒(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(ClPd(PPh)、酢酸パラジウム(Pd(OAc))、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(PdCl(dppf)−CHCl)等)、ホウ酸試薬(ビス(ピナコラート)ジボラン、ピナコールボラン等)の存在下、必要に応じて塩基(トリエチルアミン、ピリジン、N−エチル N,N−ジイソプロピルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム等)またはフッ素試薬(フッ化カリウム等)の存在下、室温〜100℃の温度で行われる。
【0055】
反応工程式2中、反応5は公知であり、一般式(D)で示される化合物と、一般式(IV)で示される化合物を用いて、鈴木カップリング反応に付すことにより製造することができる。この反応は公知であり、例えば、有機溶媒(トルエン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジメトキシエタン、アセトン、ジオキサン、ジメチルアセトアミド等)および水中、パラジウム触媒(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(ClPd(PPh)、酢酸パラジウム(Pd(OAc))、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(tBuP))等)の存在下、塩基(エチル化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸タリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、水酸化バリウム、フッ化テトラブチルアンモニウム等)の存在下、室温〜120℃で行うことができる。
【0056】
反応工程式1および2中、各一般式で示される化合物に保護基が存在する場合、例えば、Zが保護されている場合には、必要に応じて、脱保護反応を行うことができる。この保護基の脱保護反応は公知であり、以下の方法で行うことができる。例えば、(1)アルカリ加水分解による脱保護反応、(2)酸性条件下における脱保護反応、(3)加水素分解による脱保護反応、(4)シリル基の脱保護反応、(5)金属を用いる脱保護反応、(6)金属錯体を用いる脱保護反応等が挙げられる。
【0057】
これらの方法を具体的に説明すると、
(1)アルカリ加水分解による脱保護反応は、例えば有機溶媒(例えば、メタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)中、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0〜40℃で行なわれる。
【0058】
(2)酸条件下での脱保護反応は、例えば有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、メタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、アニソール等)中、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トシル酸等)、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(例えば、臭化水素/酢酸等)中、2,2,2−トリフルオロエタノールの存在下または非存在下、0〜100℃で行なわれる。
【0059】
(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば溶媒(例えば、エーテル系(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アルコール系(例えば、メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(例えば、ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(例えば、アセトニトリル等)、アミド系(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(例えば、パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0〜200℃で行なわれる。
【0060】
(4)シリル基の脱保護反応は、例えば水と混和しうる有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等)中、テトラブチルアンモニウムフルオライドを用いて、0〜40℃で行なわれる。また、例えば、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トシル酸等)、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(例えば、臭化水素/酢酸等)中、−10〜100℃で行なわれる。
【0061】
(5)金属を用いる脱保護反応は、例えば酸性溶媒(例えば、酢酸、pH4.2〜7.2の緩衝液またはそれらの溶液とテトラヒドロフラン等の有機溶媒との混合液)中、粉末亜鉛の存在下、必要であれば超音波をかけながら、0〜40℃で行なわれる。
【0062】
(6)金属錯体を用いる脱保護反応は、例えば有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジオキサン、エタノール等)、水またはそれらの混合溶媒中、トラップ試薬(例えば、水素化トリブチルスズ、トリエチルシラン、ジメドン、モルホリン、ジエチルアミン、ピロリジン等)、有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、2−エチルヘキサン酸等)および/または有機酸塩(例えば、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等)の存在下、ホスフィン系試薬(例えば、トリフェニルホスフィン等)の存在下または非存在下、金属錯体(例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)等)を用いて、0−40℃で行なわれる。
【0063】
また、上記以外にも、例えばT. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999に記載された方法によって、脱保護反応を行なうことができる。
【0064】
水酸基の保護基としては、例えば、メチル基、トリチル基、メトキシメチル(MOM)基、1−エトキシエチル(EE)基、メトキシエトキシメチル(MEM)基、2−テトラヒドロピラニル(THP)基、トリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、アセチル(Ac)基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ベンジル(Bn)基、p−メトキシベンジル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)基等が挙げられる。
【0065】
アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、1−メチル−1−(4−ビフェニル)エトキシカルボニル(Bpoc)基、トリフルオロアセチル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジル(Bn)基、p−メトキシベンジル基、ベンジルオキシメチル(BOM)基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)基等が挙げられる。
【0066】
水酸基、アミノ基の保護基としては、上記した以外にも容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定されない。例えば、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999に記載されたものが用いられる。
【0067】
本明細書中の各反応において、出発原料として用いた化合物、例えば、一般式(A)、(II)、(III)、または(IV)で示される化合物は公知であるか、あるいは公知の方法により容易に製造することができる。
【0068】
本明細書中の各反応において、加熱を伴う反応は、当業者にとって明らかなように、水浴、油浴、砂浴またはマイクロウェーブを用いて行なうことができる。
【0069】
本明細書中の各反応において、適宜、高分子ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール等)に担持させた固相担持試薬を用いてもよい。
【0070】
本明細書中の各反応において、反応生成物は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、イオン交換樹脂、スカベンジャー樹脂あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再結晶などの方法により精製することができる。精製は反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。
【0071】
[毒性]
本発明化合物の毒性は十分に低いものであり、医薬品として安全に使用することができる。
【0072】
[医薬品への適用]
本発明化合物は、S1P(EDG−8)受容体作動活性を有するため、S1P介在性疾患の予防および/または治療剤として有用である。S1P介在性疾患としては、神経変性疾患、自己免疫疾患、感染症、癌等が挙げられる。
また、本発明化合物は、S1P(EDG−8)受容体作動活性を有するため、腫瘍免疫活性化作用を介した、癌の予防および/または治療剤として有用である。
【0073】
本発明において、神経変性疾患としては、不安関連疾患(社会不安障害、不安神経症、強迫性障害、外傷後ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder;PTSD))、ポリグルタミン病、網膜色素変性症、神経症、けいれん、パニック障害、睡眠障害、うつ病、反応性うつ病、てんかん、パーキンソン病、パーキンソン症候群、ダウン症、統合失調症、自律神経失調症、ハンチントン病、アルツハイマー病、情動障害(うつ病性または双極性障害を含む)、認知障害、偏頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、解離性障害、筋萎縮性側索硬化症、視神経脊髄炎、視神経炎、急性散在性(播種性)脳脊髄炎、アレルギー性脳脊髄炎、マルキファーヴァ・ビニャミ(Marchiafava-Bignami)病、ビンスワンガー(Binswanger)病、進行性多巣性白質脳症、感染後脳炎、橋中心髄鞘崩壊、副腎白質萎縮症、多系統萎縮症、クラッベ(Krabbe)病、異染性白質ジストロフィー、アレキサンダー(Alexander)病、カナバン(Canavan)病、コケイン(Cockayne)症候群、ペリツェウス・メルツバッハー(Pelizaues-Merzbacher)病、フルラー(Hurler)症候群、ロウ(Lowe)症候群、脊髄損傷、横断性脊髄炎、脊髄小脳変性症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、ギラン・バレー(Guillain-Barre)症候群、フェニルケトン尿症、レフサム病(Refsum’s disease)、シャルコー・マリー・トゥース(Charcot-Marie-Tooth)病、ゴーシェ(Gaucher)病、ニーマン・ピック(Niemann-Pick)病、多発性硬化症、脆弱X染色体症候群、自閉症、不眠症、神経性咳嗽、心因性痙攣発作、心因性失神発作、書痙、痙性斜頸、ニューロパチー等が挙げられる。
【0074】
本発明において、自己免疫疾患としては、炎症性腸疾患、関節炎、ループス、リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節炎、スティル病、若年性関節炎、I型糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、オード甲状腺炎、バセドー病、シェーグレン症候群、アディソン病、オプソクローヌス−ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター病、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ヴェグナー肉芽腫、乾癬、全身性脱毛症、バーチェット病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、間質性膀胱炎、ミオトニー、外陰部痛、全身性エリテマトーデスが挙げられる。
【0075】
本発明において、感染症としては、ウイルス、細菌、真菌等に代表される1種以上の病原微生物に、体内の正常細胞が感染し増殖して発症する症状が挙げられる。上記した病原微生物には、リケッチア、クラミジア、原虫、寄生虫等も含まれる。
【0076】
本発明において、感染症に係るウイルスには、ヒト肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎、C型肝炎、A型肝炎およびE型肝炎等)、ヒトレトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV1およびHIV2等)、ヒトT細胞白血病ウイルスまたはヒトTリンパ向性ウイルス(例えば、HTLV1およびHTLV2等)、単純ヘルペスウイルス1型もしくは2型、エプスタイン・バー(EB)ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、ヒトヘルペスウイルス(例えば、ヒトヘルペスウイルス6等)、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、日本脳炎ウイルス、おたふくウイルス、インフルエンザウイルス、風邪ウイルス(例えば、アデノウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス等)、重症急性呼吸器症候群(SARS)を発症するウイルス、エボラウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器多核体(合胞体)ウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、サポウイルス、はしかウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLウイルス、デングウイルス、ハピローマウイルス、軟属腫ウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、アルボウイルス、脳炎ウイルス、ハンタウイルス、エボラウイルスが挙げられる。
【0077】
本発明において、感染症に係る細菌には、コレラ菌、サルモネラ菌、大腸菌、レジオネラ菌、炭疽菌、ヘリコバクターピロリ菌、リステリア菌、結核菌、非結核性抗酸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌、肺炎桿菌、セラチア菌、ジフテリア菌、ブルセラ菌、バルトネラ−ヘンセレ、エリジペロスリックス−ルシオパシエ、放線菌、ライム病菌、ウェルシュ菌、赤痢菌、ペスト菌、破傷風菌、エンテロバクター菌等が挙げられる。
【0078】
本発明において、感染症に係る真菌には、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ブラストミセス、コクシジオイデス、ヒストプラスマ、パラコクシジオイデス、スポロトリクスが挙げられる。
【0079】
本発明において、感染症に係る原虫には、マラリア原虫、トキソプラズマ原虫が挙げられる。
【0080】
本発明において、感染症に係る寄生虫には、赤痢アメーバ、回虫、バベシア、クリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫、鉤虫、蟯虫、住血吸虫、条虫、旋毛虫、鞭虫が挙げられる。
【0081】
本発明において、感染症に係るその他の微生物には、マイコプラズマ、スピロヘータが挙げられる。
【0082】
本発明において、癌としては、脳神経に関わる癌(例えば、小児脳腫瘍(例:神経芽細胞腫、髄芽腫、星細胞腫(幼若性毛髪様星細胞腫)、上衣腫、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍、視神経膠腫、脈絡叢乳頭腫、脳幹部神経膠腫)、成人脳腫瘍(例:成人星細胞腫、成人悪性星細胞腫、成人膠芽腫、成人脳室上衣腫、成人悪性脳室上衣腫、成人悪性乏突起細胞腫、成人髄芽腫、成人髄膜腫、成人悪性髄膜腫)、神経膠腫(例:星細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、脳幹グリオーマ)、下垂体腺腫、聴神経鞘腫、網膜芽細胞腫、ぶどう膜悪性黒色腫等)、呼吸器癌(例えば、咽頭癌(例:上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌)、喉頭癌、副鼻腔癌、肺癌(例:小細胞癌、非小細胞癌)、胸腺腫、中皮腫等)、消化器癌(例えば、食道癌、胃癌、十二指腸癌、大腸癌(例:結腸癌、直腸癌、肛門癌)等)、口腔癌(例えば、歯肉癌、舌癌、唾液腺癌等)、泌尿器癌(例えば、陰茎癌、腎盂・尿管癌、腎細胞癌、精巣(睾丸)腫瘍、前立腺癌、膀胱癌等)、女性に関わる癌(外陰癌、子宮癌(例:子宮頚部癌、子宮体部癌(子宮内膜癌))、子宮肉腫、絨毛性疾患(例:胞状奇胎、絨毛癌、胎盤部絨毛性腫瘍、存続絨毛症)、腟癌、乳癌、乳房肉腫、卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍等)、皮膚癌(例えば、メラノーマ(悪性黒色腫)(例:悪性黒子型黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、末端黒子型黒色腫、侵食性黒色腫)、菌状息肉症、有棘細胞癌、基底細胞癌、皮膚癌前駆症・表皮内癌(例:日光角化症、ボーエン病、パージェット(Paget)病)、リンパ腫様丘疹症、皮膚CD30陽性細胞未分化大細胞リンパ腫、セザリー症候群、皮膚B細胞リンパ腫等)、骨・筋肉癌(例えば、骨肉腫、軟部肉腫、横紋肉腫、滑液膜肉腫、脂肪肉腫等)、甲状腺癌、カルチノイド、肝臓癌(肝細胞癌)、肝芽腫、胆管癌、胆嚢癌、膵臓癌、膵内分泌腫瘍(例えば、インスリノーマ、ガストリノーマ、VIP産生腺腫等)、原発不明癌、遺伝性腫瘍・家族性腫瘍(例えば、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、家族性大腸ポリポーシス、遺伝性乳癌、卵巣癌症候群、リー・フラウメニ症候群、遺伝性黒色腫、ウィルムス腫瘍、遺伝性乳頭状腎細胞癌、フォン・ヒッペル−リンドウ症候群、多発性内分泌腫瘍症等)、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病・慢性骨髄増殖性疾患、成人T細胞白血病リンパ腫、慢性リンパ性白血病・小細胞性リンパ腫等)、多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症、悪性リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫、中高悪性度リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、MALT(Mucosa-Associated Lymphoid Tissue)リンパ腫、NK(ナチュラルキラー)細胞リンパ腫等)等が挙げられる。
【0083】
本発明化合物は、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または
3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬物と組み合わせて、併用薬として投与してもよい。
【0084】
本発明化合物と他の薬物の併用薬は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明化合物を先に投与し、他の薬物を後に投与してもよいし、他の薬物を先に投与し、本発明化合物を後に投与してもよい。それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
【0085】
上記併用薬により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、本発明化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
【0086】
また、本発明化合物と組み合わせる併用薬としては、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0087】
本発明化合物の神経変性疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ニコチン受容体調節薬、βアミロイドタンパク産生、分泌、蓄積、凝集および/または沈着抑制薬(例えば、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、βアミロイドタンパク凝集阻害作用薬、βアミロイドワクチン、βアミロイド分解酵素等)、脳機能賦活薬(例えば、脳代謝賦活薬、脳循環改善薬等)、ドパミン受容体作動薬(ドパミン受容体刺激薬)、ドパミン遊離促進薬(ドパミン分泌促進薬あるいはドパミン放出促進薬)、ドパミン取り込み阻害薬、ドパミン作用薬、ドパミン拮抗薬、炭酸リチウム、セロトニン作動薬、セロトニン拮抗薬(例えば、5−HT2A拮抗薬、5−HT拮抗薬、5−HT拮抗薬、5−HT拮抗薬)、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬、芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素阻害薬(DCI)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)補充薬、抗コリン薬、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬、筋萎縮性側索硬化症治療薬、高脂血症治療薬、アポトーシス阻害薬、神経再生・分化促進薬、降圧薬、糖尿病治療薬、糖尿病性合併症治療薬、抗うつ薬(例えば、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬等)、抗不安薬、抗てんかん薬、抗けいれん薬、抗攣縮薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗サイトカイン薬(例えば、TNF阻害薬、MAPキナーゼ阻害薬等)、ステロイド薬、性ホルモンまたはその誘導体(例えば、プロゲステロン、エストラジオール、安息香酸エストラジオール等)、甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン(例えば、PTH等)、カルシウムチャネル遮断薬(カルシウム拮抗薬)、カルシウム受容体拮抗薬、オピオイド受容体作動薬、N−メチル−D−2−アミノ−5−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬、VR−1受容体作動薬、神経筋接合部遮断薬、カンナビノイド−2受容体刺激薬、GABAA受容体調節薬(例えば、GABAA受容体作動薬等)、GABAB受容体調節薬、プロスタグランジン類、コレシストキニン拮抗薬、一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害薬、局所麻酔薬、神経栄養因子(例えば、ニューロトロフィン、TGF−βスーパーファミリー、ニューロカインファミリー、増殖因子等)、交感神経作動薬、副交感神経作動薬、交感神経抑制薬、プロスタグランジン受容体拮抗薬、プロスタグランジン受容体作動薬、炭酸脱水酵素阻害薬、高張浸透圧薬、血管拡張薬、代謝賦活薬、利尿薬(例えば、チアジド系利尿薬、ループ利尿薬、カリウム保持性利尿薬等)、末梢血流改善薬、免疫抑制薬、免疫グロブリン、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)/カイニン酸受容体拮抗薬、Rho−キナーゼ阻害薬、ビタミン類(例えば、ビタミンB6、ビタミンB12等)、シクロオキシゲナーゼ(COX)−2阻害薬、抗めまい薬、貧血治療薬、重金属中毒治療薬、ムスカリン受容体アゴニスト、アルドース還元酵素阻害薬、神経再生促進薬、プロテインキナーゼC(PKC)阻害薬、終末糖化産物(AGE)阻害薬、活性酸素消去薬、筋弛緩薬等が挙げられる。
【0088】
本発明化合物の自己免疫疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、免疫抑制薬、ステロイド、疾患修飾型抗リウマチ薬、エラスターゼ阻害薬、カンナビノイド−2受容体刺激薬、プロスタグランジン、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、メタロプロテアーゼ阻害薬、接着分子阻害薬、抗TNF−α製剤、抗IL−1製剤、抗IL−6製剤等の抗サイトカインタンパク製剤、サイトカイン阻害薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗CD20抗体が挙げられる。
【0089】
本発明化合物の感染症に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、抗ウイルス薬、抗生物質、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗原虫薬等が挙げられる。
【0090】
本発明化合物の癌に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗癌性抗生物質、植物性アルカロイド薬、ホルモン薬、白金化合物、抗CD20抗体、その他の抗癌剤が挙げられる。
【0091】
本発明化合物は、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。経口剤としては、例えば、内服用液剤(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤)、内服用固形剤(例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、ゼラチンカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、トローチ剤)等が挙げられる。非経口剤としては、例えば、液剤(例えば、注射剤(皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤等)、点眼剤(例えば、水性点眼剤(水性点眼液、水性懸濁点眼液、粘性点眼液、可溶化点眼液等)、非水性点眼剤(非水性点眼液、非水性懸濁点眼液等))等)、外用剤(例えば、軟膏(眼軟膏等))、点耳剤等が挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤、徐放性製剤などの放出制御剤であってもよい。これらの製剤は公知の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。
【0092】
経口剤としての内服用液剤は、例えば、有効成分を一般的に用いられる希釈剤(例えば、精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化されることにより製造される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0093】
経口剤としての内服用固形剤は、例えば、有効成分を賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(例えば、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合し、常法に従って製剤化される。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。
【0094】
非経口剤としての外用剤は公知の方法または通常使用されている処方により製造される。例えば、軟膏剤は有効成分を基剤に研和、または溶融させて製造される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(例えば、ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(例えば、ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(例えば、親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(例えば、ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(例えば、ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0095】
非経口剤としての注射剤には溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含される。注射剤は、例えば有効成分を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0096】
本発明化合物、または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1ngから1000mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1ngから10mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
【実施例】
【0097】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表す。
【0099】
NMRの箇所に示されているカッコ内は測定に使用した溶媒を示す。
【0100】
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、Advanced Chemistry Development社のACD/Name(登録商標)を用いるか、または、IUPAC命名法に準じて命名したものである。
【0101】
LC−MS/ELSDは、下記条件:
条件A:{カラム:Waters ACQUITY C18(粒子径:1.7 x 10-6 m;カラム長:30 x 2.1 mm I.D.);流速:1.0mL/min;カラム温度:40℃;移動相(A):0.1%ギ酸水溶液;移動相(B):0.1%ギ酸−アセトニトリル溶液;グラジエント(移動相(A):移動相(B)の比率を記載):[0分]95:5;[0.1分]95:5;[1.2分]5:95;[1.4分]5:95;[1.41分]95:5;[1.5分]95:5;検出器:UV(PDA)、ELSD、MS}、または
条件B{カラム:Luna C18(カラム長:250 x 4.6 mm I.D.);流速:1.0mL/min;移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液;移動相(B):0.1%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル溶液;グラジエント(移動相(A):移動相(B)の比率を記載):[0分]90:10;[0.1分]0:100;[20分]0:100;[25分];検出器:UV(PDA)、ELSD、MS}
のいずれかで行った。
【0102】
実施例1:6−(ベンジロキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン
6−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(CAS登録番号:3470−50−6)(24.3g)のアセトン(160mL)溶液に室温で臭化ベンジル(29.4mL)および炭酸カリウム(31.1g)を加え、40℃で3.5時間撹拌した。不溶物をろ去後、濃縮し、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)−ヘキサン(1:4)混合溶媒にて洗浄し、以下の物性値を有する標題化合物(34.5g)を得た。
TLC: Rf 0.38(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)。
【0103】
実施例2:7−(ベンジロキシ)−4−メチル−1,2−ジヒドロナフタレン
実施例1で製造した化合物(34.5g)のテトラヒドロフラン(THF)(300mL)溶液にメチルマグネシウムブロミド(3mol/Lジエチルエーテル溶液、55mL)を0℃で加え、室温で1時間撹拌した。反応液を0℃に冷却し、氷−飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、2mol/L 塩酸を加え室温で3時間撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、乾燥後濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(24.8g)を得た。
TLC: Rf 0.57(ヘキサン:酢酸エチル=15:1)。
【0104】
実施例3:6−(ベンジロキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルボアルデヒド
オキシ塩化リン(26.7g)に0℃でN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(60mL)を滴下し、20分撹拌した。ここに、実施例2で製造した化合物(24.8g)の塩化メチレン(60mL)溶液をゆっくり滴下し、室温で90分撹拌した。反応液を0℃に冷却し、氷にあけしばらく放置後、ヘキサン−酢酸エチル(1:2)混合溶媒にて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、乾燥後濃縮した。得られた固体をMTBEにて洗浄し、以下の物性値を有する標題化合物(19.9g)を得た。
TLC: Rf 0.50(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)。
【0105】
実施例4:6−ヒドロキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルボアルデヒド
チオアニソール(35mL)に0℃でトリフルオロ酢酸(140mL)を加え、ここに実施例3で製造した化合物(9.17g)を少しずつ加え、室温にて4時間撹拌した。反応液を氷にあけ、5mol/L 水酸化ナトリウム水溶液を加えMTBEにて洗浄した。水層に1mol/L 塩酸を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を乾燥後濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1→2:1)にて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(6.03g)を得た。
TLC: Rf 0.26(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)。
【0106】
実施例5:メチル 1−[(6−ヒドロキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)メチル]アゼチジン−3−カルボキシラート
窒素雰囲気下、実施例4で製造した化合物(2.60g)、メチル アゼチジン−3−カルボキシラート塩酸塩(3.14g)およびトリエチルアミン(6.29g)のTHF混合物を、0℃で水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(2.92g)にて処理し、得られた混合物を17時間以上かけて室温に戻した。その後、反応溶液に酢酸エチル(300mL)を注ぎ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水にて順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50−80% 酢酸エチル/ヘキサン)にて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(3.21g)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ7.10, 6.63, 6.57, 3.70, 3.58, 3.37-3.31, 2.60, 2.25-2.22, 2.07;
MS (M+H): 288。
【0107】
実施例6:メチル 1−{[6−(シクロペンチルオキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボキシラート
【化15】
【0108】
実施例5で製造した化合物(97mg)のDMF溶液(3mL)を、水素化ナトリウム(60%鉱油混合物)(14mg)を用いて処理し、窒素雰囲気下、室温で15分間撹拌した。得られた溶液をブロモシクロペンタン(49mg)で処理し、18時間撹拌した。その後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水および5%塩化リチウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20−80% 酢酸エチル/ヘキサン)にて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(51mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.17, 6.69, 6.65, 4.76-4.73, 3.70, 3.55-3.52, 3.35-3.27, 2.67, 2.26, 2.08, 1.92-1.77, 1.64-1.59;
MS (M+H): 356。
【0109】
実施例7:1−{[6−(シクロペンチルオキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
【化16】
【0110】
実施例6で製造した化合物(45mg)のメタノール溶液(3mL)を、2N水酸化ナトリウム(0.44mL)で処理し、室温で45分間撹拌した。その後、反応溶液を減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール:濃アンモニウム水=80:18:2)にて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(35mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 7.14, 6.70, 6.67, 4.80-4.77, 3.40, 3.20-3.18, 2.58, 2.16, 2.01, 1.92-1.86, 1.71-1.65, 1.60-1.55;
MS (M+H): 342。
【0111】
実施例7(1)〜7(3)
実施例5で製造した化合物、およびブロモシクロペンタンの代わりに相当する臭素化化合物を用いて、実施例6→実施例7と同様の目的の操作に付すことにより、以下の実施例化合物を得た。
【0112】
実施例7(1):1−{[6−(シクロヘプチルオキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
1H-NMR (DMSO-d6): δ 7.14, 6.69, 6.66, 4.49-4.45, 3.38, 3.18-3.17, 2.58, 2.15, 2.01, 1.96-1.90, 1.70-1.62, 1.57-1.52, 1.47-1.43;
MS (M+H): 370。
【0113】
実施例7(2):1−({1−メチル−6−[(cis−4−メチルシクロヘキシル)オキシ]−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル}メチル)−3−アゼチジンカルボン酸
1H-NMR (CD3COOD): δ 7.29, 6.78, 6.75, 4.63-4.18, 3.80, 2.71, 2.29, 2.21, 2.03-1.96, 1.63-1.36, 0.94;
MS (M+H): 370。
【0114】
実施例7(3):1−{[6−(3−シクロペンテン−1−イルオキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.77分、条件A);
MS (M+H): 340。
【0115】
実施例8:メチル 1−{[6−(4−フルオロフェノキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル]メチル}アゼチジン−3−カルボキシラート
窒素雰囲気下、実施例4で製造した化合物(300mg)、シクロヘキサノール(335mg)およびトリフェニルホスフィンのTHF混合液(5mL)を、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(DIAD)(643mg)で処理し、得られた混合物を室温で30分間撹拌した。その後、反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0−10% 酢酸エチル/ヘキサン)にて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(253mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 10.32, 7.46, 6.79, 6.74, 4.33-4.29, 2.71, 2.52-2.50, 2.00-1.98, 1.83-1.80, 1.60-1.51, 1.43-1.38。
【0116】
実施例9:(3R)−1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−ピロリジンカルボン酸
【化17】
【0117】
実施例8で製造した化合物(60mg)および(R)−ピロリジン−3−カルボン酸(51mg)のメタノール混合溶液(2mL)を、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(28mg)で処理し、得られた混合物を60℃で30分間撹拌した。その後、反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール:濃アンモニウム水=80:18:2)にて精製した後、アセトニトリル/水から凍結乾燥し、以下の物性値を有する標題化合物(63mg)を得た。
1H-NMR (CD3COOD): δ 7.28, 6.77-6.74, 4.36-4.27, 4.15, 3.94-3.30, 2.73, 2.52-2.36, 2.17, 2.00-1.95, 1.80-1.78, 1.57-1.27;
(LC-MS/ELSD):(保持時間:15.10分)。
【0118】
実施例9(1)〜9(3)
実施例4で製造した化合物またはその代わりに相当するアルデヒド誘導体、(R)−ピロリジン−3−カルボン酸の代わりに相当するカルボン酸誘導体、およびブロモシクロペンタンを用いて、実施例8→実施例9と同様の目的の操作に付すことにより、以下の実施例化合物を得た。
【0119】
実施例9(1):(3S)−1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−ピロリジンカルボン酸
1H-NMR (CD3COOD): δ 7.28, 6.77, 6.74, 4.35-4.28, 4.15, 3.90-3.32, 2.73, 2.52-2.38, 2.17, 2.01-1.95, 1.80-1.78, 1.57-1.30;
(LC-MS/ELSD):(保持時間:15.14分、条件B)。
【0120】
実施例9(2):1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
【化18】
1H-NMR (CD3COOD): δ 7.00, 6.72, 6.62, 4.61-4.19, 3.99, 3.82, 2.79, 2.31, 1.96, 1.78, 1.58-1.30;
(LC-MS/ELSD):(保持時間:14.33分)。
【0121】
実施例9(3):1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−メチル−3−ピロリジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.82分、条件A);
MS (M+H):382。
【0122】
実施例10:メチル 1−{[6−(4−フルオロフェノキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル]メチル}アゼチジン−3−カルボキシラート
実施例5で製造した化合物(162mg)および炭酸セシウム(184mg)の混合物を、0.04Mの2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオンのN−メチルピロリジノン(0.71mL)溶液で処理した後、1−フルオロ−4−ヨードベンゼン(139mg)、塩化銅(I)(14mg)で順次処理した。アルゴン雰囲気下、得られた混合物を密封し、120℃で15.5時間撹拌した。その後、反応物を室温まで冷却し、酢酸エチルを注ぎ、濃アンモニア水、水および飽和食塩水にて順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、得られた溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2−6%メタノール/塩化メチレン)にて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(68mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.22, 7.04-6.96, 6.78, 6.73, 3.71, 3.56-3.29, 2.66, 2.28, 2.10;
MS (M+H):382。
【0123】
実施例11:1−{[6−(4−フルオロフェノキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
【化19】
【0124】
実施例10で製造した化合物(61mg)のメタノール溶液(4mL)を、3M水酸化ナトリウム水溶液(0.373mL)で処理し、室温で35分間撹拌した。その後、反応物を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール:濃アンモニウム水=80:18:2)にて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(48mg)を得た。
1H-NMR (CD3COOD): δ 7.36, 7.12-7.02, 6.82-6.80, 4.64-4.20, 3.81, 2.72, 2.32, 2.23;
(LC-MS/ELSD):(保持時間:14.18分、条件B)。
【0125】
実施例11(1)〜11(3)
実施例5で製造した化合物、および1−フルオロ−4−ヨードベンゼンの代わりに相当するベンゼン誘導体を用いて、実施例10→実施例11と同様の目的の操作に付すことにより、以下の実施例化合物を得た。
【0126】
実施例11(1):1−[(1−メチル−6−フェノキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル)メチル]−3−アゼチジンカルボン酸
1H-NMR (CD3COOD): δ 7.37-7.33, 7.12, 7.04-7.02, 6.85-6.83, 4.65-4.21, 3.82, 2.72, 2.32, 2.23;
(LC-MS/ELSD):(保持時間:14.09分、条件B)。
【0127】
実施例11(2):1−{[6−(3−フルオロフェノキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
TLC:Rf 0.51 (n−ブタノール:エタノール:水=4:1:1);
1H-NMR (CD3OD) δ 7.46-7.30, 6.92-6.69, 4.28-4.11, 3.50-3.37, 2.75, 2.27, 2.24。
【0128】
実施例11(3):1−({1−メチル−6−[3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル}メチル)−3−アゼチジンカルボン酸
TLC:Rf 0.52 (クロロホルム:メタノール=3:1);
1H-NMR (CD3OD): δ 7.52, 7.40, 7.20, 6.88, 4.10-3.82, 3.38, 2.78, 2.38-2.20。
【0129】
実施例12:メチル 1−[(メチル−6−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)メチル]アゼチジン−3−カルボキシラート
実施例5で製造した化合物(5g)のジクロロメタン(35mL)溶液に、1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホンアミド(6.84g)とジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(3.45mL)を加え、室温で撹拌した。3時間後、原料が残っていたため、1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホンアミド(3.10g)とDIPEA(3.45mL)を加え、室温で1時間撹拌した。ジクロロメタンと水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→90:10)、下記物性値を有する標題化合物(6.8g)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.29, 7.08, 7.01, 3.71, 3.59-3.52, 3.41-3.27, 2.73, 2.31, 2.10。
【0130】
実施例13:メチル 1−{[1−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル]メチル}アゼチジン−3−カルボキシラート
実施例12で製造した化合物(2g)のジオキサン(20mL) 溶液にビス(ピナコラト)ジボロン(1.5g)、酢酸カリウム(1.4g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(PdCl(dppf)−CHCl)(390mg)を加え、80℃で終夜加熱撹拌した。水と酢酸エチルを加えてセライトろ過したろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで粗精製し(ジクロロメタン:メタノール=100:0→90:10)、以下の物性値を有する標題化合物(2.75g)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.67, 7.58, 7.31, 4.11-4.03, 3.75, 3.74-3.55, 2.74, 2.29, 2.18, 1.35。
【0131】
実施例14:1−({1−メチル−6−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル}メチル)−3−アゼチジンカルボン酸
【化20】
【0132】
実施例13で製造した化合物(160mg)のジオキサン(1mL)溶液に2−ブロモベンゾトリフルオライド(75mg)、2Mのリン酸化カリウム(0.4mL)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(tBuP))(23mg)を加え、90℃で終夜加熱撹拌した。これを減圧濃縮したものに、THF(1.5mL)、2Nの水酸化ナトリウム(0.7mL)を加え、室温で2時間撹拌した。2Nの塩化水素(1.1mL)を加え減圧濃縮した後、PLCシリカゲルプレートで精製し(クロロホルム:メタノール:水=50:20:1)、以下の物性値を有する標題化合物(52mg)を得た。
TLC:Rf 0.49 (n−ブタノール:エタノール:水=4:1:1);
1H-NMR (CD3OD):δ 7.76, 7.63, 7.52, 7.40, 7.35, 7.17, 7.09, 4.02-3.93, 3.90-3.78, 3.42-3.36, 2.77, 2.31, 2.24。
【0133】
実施例14(1)〜14(4)
実施例5で製造した化合物、および2−ブロモベンゾトリフルオライドの代わりに相当するハロゲン化環状化合物を用いて、実施例10→実施例11と同様の目的の操作に付すことにより、以下の実施例化合物を得た。
【0134】
実施例14(1):1−[(1−メチル−6−フェニル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル)メチル]−3−アゼチジンカルボン
LC:Rf 0.23 (n−ブタノール:エタノール:水=4:1:0.2);
1H-NMR (CD3OD): δ7.62, 7.50-7.28, 7.16, 3.57, 3.50-3.18, 2.74, 2.38-2.10。
【0135】
実施例14(2):1−({1−メチル−6−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル}メチル)−3−アゼチジンカルボン
【化21】
LC:Rf 0.47 (n−ブタノール:エタノール:水=4:1:1);
1H-NMR (CD3OD):δ 7.95-7.89, 7.67-7.63, 7.57-7.54, 7.49, 4.26-4.08, 3.42-3.35, 2.86, 2.32, 2.28。
【0136】
実施例14(3):1−{[1−メチル−6−(2−ピリジニル)−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
【化22】
TLC:Rf 0.32 (n−ブタノール:エタノール:水=4:1:1);
1H-NMR (CD3OD):δ 8.61-8.57, 7.90-7.86, 7.80, 7.74, 7.48, 7.38-7.32, 4.00-3.92, 3.88-3.79, 3.39-3.37, 2.84, 2.32, 2.24。
【0137】
実施例14(4):1−[(5’−メチル−7’,8’−ジヒドロ−1,2’−ビナフタレン−6’−イル)メチル]−3−アゼチジンカルボン酸
TLC:Rf 0.29 (クロロホルム:メタノール:=5:1);
1H-NMR (CD3OD):δ 7.94-7.84, 7.56-7.38, 7.31, 7.24, 3.93-3.84, 3.80-3.66, 3.37-3.32, 2.81, 2.34, 2.26。
【0138】
実施例15:エチル 4−(3−メトキシフェニル)−3−メチルブタノアート
1−(3−メトキシフェニル)プロパン−2−オン(CAS登録番号:3027−13−2)(15g)を、THF(1000mL)に溶かし、0℃において水素化ナトリウム(4.4g)を少量ずつ加えた。0℃のまま、15分間撹拌後に、エチル (2−ジエトキシホスホリル)アセタート(24.57g)を加え、室温に昇温して8時間撹拌した。酢酸エチルで希釈後、市水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。残渣を酢酸エチル(1000mL)に希釈し、5%パラジウム炭素(100mg)を加え、水素雰囲気下、室温において4時間撹拌した。反応液をセライトでろ過し、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、以下の物性値を有する標題化合物(5.7g)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.19, 6.75, 4.11, 3.80, 2.60, 2.49, 2.38-2.20, 2.18, 1.26, 0.94。
【0139】
実施例16:4−(3−メトキシフェニル)−3−メチルブタン酸
実施例15で製造した化合物(5.7g)をTHF(50mL)に溶かし、2N水酸化ナトリウム水溶液(24mL)を加え、室温において2時間撹拌した。同量の塩酸で中和後溶媒留去し、エタノールで希釈、ろ過することで脱塩することにより、以下の物性値を有する標題化合物(4.7g)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.18, 6.72, 3.80, 2.62, 2.50, 2.50-2.10, 0.98。
【0140】
実施例17:6−メトキシ−3−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン
実施例16で製造した化合物(4.7g)をジクロロメタン(120mL)に溶かし、DMF(10μL)を加えた。0℃においてオキサリルクロライド(2.9g)を滴下した。反応溶液を室温に昇温し、2時間撹拌後、溶媒留去し、4−(3−メトキシフェニル)−3−メチルブタノイル クロライドを得た。この化合物をそのままジクロロメタン(120mL)に溶解し、0℃において塩化アンモニウム(3.74g)を加えた。反応溶液を室温に昇温し、4時間撹拌した。反応溶液を氷水にあけ、有機層を分離した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、以下の物性値を有する標題化合物(3.6g)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 8.00, 6.82, 6.69, 3.86, 2.85, 2.75-2.60, 2.40-2.22, 1.12。
【0141】
実施例18:1−(6−メトキシ−3−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)エタノン
実施例17で製造した化合物(1g)をメタノール(100mL)に溶解し、0℃において水素化ホウ素ナトリウム(398mg)を加えた。反応溶液を室温へ昇温し、2時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で粗精製し、そのまま次の反応に用いた。粗精製物をDMF(100mL)に溶解し、オキサリルクロライド(2.2g)を加えた。反応溶液を60℃に加熱し、8時間撹拌した。その後反応溶液を氷水に加え、5分間撹拌後、有機層を分離した。有機層は飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1→5:1)で精製し、以下の物性値を有する標題化合物(299mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 9.57, 7.30-7.24, 6.82-6.78, 3.85, 3.08, 2.65, 0.92。
【0142】
実施例19:6−ヒドロキシ−3−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド
実施例18で製造した化合物(299mg)をジクロロメタン(100mL)に溶解し、0℃において三臭化ホウ素(815mg)を滴下した。そのまま3時間攪拌した後、反応溶液を氷水に加え、5分間撹拌後、有機層を分離した。有機層は飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、以下の物性値を有する標題化合物(200mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 9.57, 7.18, 6.72, 3.08, 2.60, 0.94。
【0143】
実施例20:メチル 1−[(6−ヒドロキシ−3−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)メチル]アゼチジン−3−カルボキシラート
実施例19で製造した化合物(200mg)をDMF(40mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.15mL)を加え、メチル アゼチジン−3−カルボキシラート塩酸塩(161mg)を加えた。室温において、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(225mg)を加え、そのまま室温で8時間撹拌した。酢酸エチルで希釈後水洗し、さらに有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去した。アミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1→1:1)で精製し、以下の物性値を有する標題化合物(121mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 6.84, 6.58, 6.21, 3.80-3.22, 3.08, 2.80, 2.50-2.30, 0.90。
【0144】
実施例21:1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
【化23】
【0145】
実施例20で製造した化合物(30mg)およびシクロヘキサノール(10mg)を用いて、実施例6と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物(7.7mg)を得た。
TLC:Rf 0.22 (クロロホルム:メタノール=3:1);
1H-NMR (CD3OD): δ 6.96, 6.68, 6.36, 4.28, 4.0-3.80, 3.80-3.60, 3.45-3.10, 2.98, 2.58, 2.38, 1.96, 1.78, 1.62-1.28, 0.92。
【0146】
実施例21(1)〜21(2)
実施例17で製造した化合物の代わりに相当する環状ケトン化合物、メチル アゼチジン−3−カルボキシラート塩酸塩およびシクロヘキサノールを用いて、実施例18→実施例19→実施例20→実施例21と同様の目的の操作に付すことにより、以下の実施例化合物を得た。
【0147】
実施例21(1):1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−1,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
1H-NMR (CD3COOD): δ 7.30, 6.85, 4.60-4.00, 3.95, 3.80, 3.00, 2.50, 2.20, 1.95, 1.80, 1.50, 1.30, 1.85;
MS (M+H): 370。
【0148】
実施例21(2):1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−1,5−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
1H-NMR (CD3COOD): δ 7.20, 6.79, 4.62, 4.32, 4.19, 3.80, 2.71, 2.29, 2.20, 2.17, 1.94, 1.78, 1.58, 1.40;
MS (M-H): 368。
【0149】
実施例22:メチル 1−{[6−(1H−インドール−1−イル)−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル]メチル}アゼチジン−3−カルボキシラート
実施例12で製造した化合物(89mg)、インドール(60mg)、炭酸セシウム(194mg)および4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(37mg)の混合物の1,4−ジオキサン溶液(1mL)に、アルゴンを5分間吹き込み、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(19mg)で処理し、アルゴンで密封した後、100℃で1日間撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、ろ過し、得られたろ液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.5−2% メタノール/酢酸エチル)で精製した。得られた残渣を、酢酸エチル/ヘプタンの溶液に置換することにより、標題化合物(34mg)を得た。得られた化合物は精製することなく、次の反応に用いた。
【0150】
実施例23:1−{[6−(1H−インドール−1−イル)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
実施例22で製造した化合物(33mg)を用いて、実施例7と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物(22mg)を得た。
1H-NMR (CD3COOD):δ 7.64-7.56, 7.46-7.43, 7.38, 7.20, 7.12, 6.66, 4.66-4.12, 3.84, 2.87, 2.41, 2.31;
(LC-MS/ELSD):(保持時間:14.65分、条件B)。
【0151】
実施例24:6−ブロモ−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンおよび5−ブロモ−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの混合物
6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(10g)および三臭化テトラブチルアンモニウム(29.7g)の塩化メチレン(250mL)およびメタノール(150mL)の混合溶液を、1.5時間室温で撹拌した。その後、反応溶液をMTBEを用いて希釈し、水および飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、得られたろ液を減圧下濃縮した後、溶液をヘプタンに置換することにより、標題化合物(14.7g)を得た。得られた化合物は精製することなく、次の反応に用いた。
【0152】
実施例25:6−フルオロ−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンおよび5−フルオロ−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの混合物
窒素雰囲気下、実施例24で製造した化合物(6.85g)のTHF溶液に、−78℃で2.5Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(12.5mL)を滴下し、−78℃で15分間撹拌した。反応溶液をN−フルオロベンゼンスルホンアミド(9.84g)のTHF溶液(30mL)で処理した後、−78℃で30分間撹拌した。その後、水(20mL)を用いて慎重に処理し、得られた混合物を室温に戻した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、得られた溶液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10−50% 塩化メチレン/ヘキサン)を用いて精製し、標題化合物(3.98mg)を得た。得られた化合物はさらなる精製を行うことなく、次の反応に用いた。
【0153】
実施例26:7−フルオロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オンおよび5−フルオロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン
実施例25で製造した化合物(3.97g)の氷酢酸(36mL)の混合物に、0℃で三酸化クロム(5.06g)の氷酢酸(36mL)溶液および水(18mL)を滴下し、得られた混合物を15分以上かけて室温に戻した。その後、反応溶液を減圧下濃縮し、得られた混合物を酢酸エチルに注ぎ、水および飽和炭酸水素ナトリウムで順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、得られた溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0−20% 酢酸エチル/ヘキサン)を用いて精製し、7−フルオロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(1.11g)を得た。残りの分画は減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン)を用いて精製し、5−フルオロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(851mg)を得た。各標題化合物の物性値は以下の通り。
7−フルオロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン;
1H-NMR (CDCl3):δ 7.72, 6.75, 3.94, 2.91, 2.60, 2.13。
5−フルオロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン;
1H-NMR (CDCl3):δ 7.86, 6.92, 3.95, 2.96, 2.61, 2.13。
【0154】
実施例27:8−フルオロ−7−メトキシ−4−メチル−1,2−ジヒドロナフタレン
実施例26で製造した5−フルオロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(839mg)のTHF溶液に、0℃で3.0Mの臭化メチルマグネシウムのジエチルエーテル(1.44mL)を滴下し、得られた混合物を0℃で30分間撹拌した後、1時間以上かけて室温に戻した。反応溶液をさらなる3.0Mの臭化メチルマグネシウムのジエチルエーテル(1.44mL)で処理し、室温で2時間撹拌した。その後、反応溶液を酢酸エチルおよびシリカで処理し、得られた混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0−30% 酢酸エチル/ヘキサン)を用いて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(496mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.94, 6.76, 5.76, 3.88, 2.80, 2.25-2.21, 2.02。
【0155】
実施例28:5−フルオロ−6−メトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド
実施例27で製造した化合物(493mg)のDMF溶液(4mL)に、0℃でオキシ塩化リン(1.28g)を滴下し、得られた混合物を70℃で40分間撹拌した。その後、反応溶液を氷に注ぎ、30分間静置した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水および5%塩化リチウム溶液で順次洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、得られた溶液を減圧下濃縮した。水層は一晩静置した後、酢酸エチルで抽出し、有機層は、硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液を上記の各層の残渣と混合して、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0−30% 酢酸エチル/ヘキサン)を用いて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(270mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 10.33, 7.31, 6.86, 3.93, 2.79, 2.52-2.48。
【0156】
実施例29:5−フルオロ−6−ヒドロキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド
実施例28で製造した化合物(267mg)を、実施例19と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物(241mg)を得た。得られた化合物は精製を行うことなく、次の反応に用いた。
【0157】
実施例30:6−(シクロヘキシルオキシ)−5−フルオロ−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド
実施例29で製造した化合物(100mg)およびシクロヘキサノール(102mg)を用いて、実施例8と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物(39mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 10.33, 7.25, 6.87, 4.32, 2.78, 2.51-2.49, 2.00, 1.83, 1.63-1.57, 1.41-1.32。
【0158】
実施例31:1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−5−フルオロ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
実施例30で製造した化合物(38mg)、アゼチジン−3−カルボン酸(27mg)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(17mg)のメタノール溶液(100mL)を60℃で45分間反応させた。その後、反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール:濃アンモニア水=80:18:2)を用いて精製した後、アセトニトリル/水で凍結乾燥させることにより、以下の物性値を有する標題化合物(36mg)を得た。
1H-NMR (CD3COOD):δ 7.11, 6.90, 4.63-4.20, 3.81, 2.77, 2.32, 2.21, 1.99-1.91, 1.84-1.80, 1.61-1.55, 1.43-1.40;
(LC-MS/ELSD):(保持時間:15.00分、条件B)
【0159】
実施例31(1):1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−7−フルオロ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
実施例26で製造した7−フルオロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(1.10g)、シクロヘキサノール(154mg)およびアゼチジン−3−カルボン酸(18mg)を用いて、実施例31と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物(31mg)を得た。
1H-NMR (CD3COOD):δ 7.13, 6.87, 4.67-4.19, 3.81, 2.69, 2.32, 2.19, 1.98-1.95, 1.80, 1.60-1.53, 1.43-1.38;
(LC-MS/ELSD):(保持時間:14.96分、条件B)
【0160】
実施例32:6−ホルミル−5−メチル−7,8−ジヒドロナフタレン−2−イル トリフルオロメタンスルホナート
実施例4で製造した化合物(3.0g)のジクロロメタン(30mL)溶液に、DIPEA(3.2mL)とN,N−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリン(6.3g)を加え、室温で4時間撹拌した。水とジクロロメタンを加えて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→85:15)、以下の物性値を有する標題化合物(4.82g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 10.37, 7.60, 7.19, 7.13, 2.80, 2.59-2.51。
【0161】
実施例33:6−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−5−メチル−7,8−ジヒドロナフタレン−2−イル] トリフルオロメタンスルホナート
実施例32で製造した化合物(2.78g)のトルエン(30mL)溶液にエチレングリコール(2.42mL)とp−トルエンスルホン酸一水和物(83mg)を加え、130℃で5時間加熱撹拌した。1Nの水酸化ナトリウム(45mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮した後、残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→85:15)、以下の物性値を有する標題化合物(2.52g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.35, 7.10, 7.04, 5.82, 4.13-3.96, 2.77, 2.32, 2.14。
【0162】
実施例34:2−[6−(シクロヘキシルメチル)−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル]−1,3−ジオキソラン
実施例33で製造した化合物(230mg)をTHF(3mL)とN−メチルピロリドン(NMP)(0.6mL)に溶解し、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)(Fe(acac))(45mg)と臭化シクロヘキシルメチルマグネシウム(0.5M THF溶液、1.5mL)を加え、室温で撹拌した。30分後、再び臭化シクロヘキシルメチルマグネシウム(0.5M THF溶液、1.5mL)を加え室温で撹拌した。2時間後、Fe(acac)(22mg)と臭化シクロヘキシルメチルマグネシウム(0.5M THF溶液、1.5mL)を加え、さらに室温で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→90:10)、以下の物性値を有する標題化合物(155mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.46, 7.23, 6.99, 5.85, 4.15-3.94, 2.73, 2.56-2.43, 2.29, 2.14, 1.74-1.47, 1.25-1.11, 1.04-0.84。
【0163】
実施例35:メチル 1−{[6−(シクロヘキシルメチル)−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル]メチル}アゼチジン−3−カルボキシラート
実施例34で製造した化合物(155mg)およびメチル アゼチジン−3−カルボキシラート塩酸塩(83mg)を用いて、実施例20と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物(104mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.19, 6.98, 6.90, 3.71, 3.58-3.51, 3.40-3.25, 2.69, 2.44, 2.28, 2.11, 1.74-1.60, 1.57-1.42, 1.24-1.10, 1.02-0.85。
【0164】
実施例36:1−{[6−(シクロヘキシルメチル)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸
【化24】
【0165】
実施例35で製造した化合物(100mg)を用いて、実施例7と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物(77mg)を得た。
1H-NMR (CD3OD):δ 7.29, 7.00, 6.94, 4.29-4.12, 3.52-3.30, 2.73, 2.44, 2.33-2.22, 1.79-1.44, 1.32-1.13, 1.05-0.83;
MS (M-H):353。
【0166】
以下に生物学的実験例を示し、これらの実験方法に基づいて、本発明化合物の効果を確認した。
【0167】
生物学的実験例1:[33P]−S1PのS1P(EDG−8)への結合に対する本発明化合物の阻害作用の測定
ヒトS1P(EDG−1)またはヒトS1P遺伝子をそれぞれ過剰発現させたチャイニーズハムスターオーバリー(CHO)細胞膜画分を用いて、膜各分1mg protein/mLを使用し、96穴アッセイプレート内で反応した。各ウェルにBinding Buffer(50mmol/L、Tris pH7.5、5mmol/L、MgCl2、0.5%BSA、Complete EDTA free(1 tablet/50mL))で希釈したvehicle(DMSO)溶液または2倍濃度のリガンド溶液100μLとBinding Bufferで希釈した50μLの0.16nmol/L [33P]−S1P(American Radiolabeled Chemicals社製)を加えた後、膜画分溶液(50μL)を加えて室温で60分反応させた。反応後、96穴UNIFILTERを用いて吸引ろ過し、洗浄バッファー(50mmol/L、Tris pH7.5、0.5% BSA)(150mL)で洗浄した後、60℃で45分間乾燥させた。MicroScint(商品名)20(50μL/well)を加えて、プレートをTopSeal-Aでカバーした後、TopCount(Perkin Elmer社製)で放射活性を計測した。
【0168】
[結果]
本発明化合物は、[33P]−S1PのS1PまたはS1Pへの結合に対して、以下の表に示す阻害活性(IC50値)を示した。また、比較化合物Aとして、特許文献1の実施例31(69)に記載の1−{[6−(4−ブチルフェノキシ)−1−メチル−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸 塩酸塩を用いた。その結果、比較化合物Aは、S1PおよびS1P受容体作動活性を共に有しているのに対して、本発明化合物は、いずれもS1P受容体に対するS1P受容体作動活性のバランスを改善させることがわかった。
【0169】
【表1】
【0170】
生物学的実施例2:細胞内cyclic AMP産生濃度をモニターすることによる本発明化合物のS1P受容体アゴニスト活性の評価
ヒトS1P(EDG−1)またはヒトS1P(EDG−8)遺伝子をそれぞれ過剰発現させたCHO細胞を、10%FBS(ウシ胎児血清)、ペニシリン/ストレプトマイシンおよびジェネティシン(0.25mg/mL)含有のHam’sF12培地(GIBCO BRL社製)で培養した。培養した細胞から培地を除去し、リン酸緩衝生理食塩水で1回洗浄し、Buffer(20mmol/L HEPES、0.1若しくは0.2% BSA、1mmol/L IBMXおよび50μmol/L forskolinを含むHanks’ balanced salt solution)で希釈したvehicle(DMSO)溶液または化合物溶液を、37℃にて30分間処置した。その後、リン酸緩衝生理食塩水で1回洗浄し、cAMP測定キット(GEヘルスケア株式会社)を用いて、細胞の溶解及び溶解液中のcyclic AMP濃度を測定した。
【0171】
[結果]
その結果、本発明化合物は、S1P受容体に対する選択的なS1P受容体作動活性を有していることが分かった。例えば、実施例21で製造した化合物は、S1P受容体に対するEC50値が9991.8nMであったに対し、S1P受容体に対するEC50値は0.2nMであった。
【0172】
[製剤例]
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に10mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸…100g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) … 20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) … 10g
・微結晶セルロース … 870g
【0173】
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・1−{[6−(シクロヘキシルオキシ)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレニル]メチル}−3−アゼチジンカルボン酸…200g
・マンニトール … 20g
・蒸留水 … 50L
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明化合物は、選択的なS1P受容体作動活性を有するため、S1P介在性疾患、例えば、神経変性疾患等の治療に有用である。