(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記読取り装置によって前記行先階と共に読み取られた属性情報が一般利用者と異なるときには、前記判断処理にて一致しないと判断した場合でも、判断対象となった前記行先階の登録を受け付ける受付処理を実行すると共に、前記属性情報を読み取った前記読取り装置の設置階に停止可能な前記乗りかごを前記行先階まで移動させる搬送処理を実行する、請求項1〜3の何れかに記載のエレベータの制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、提案されている従来のエレベータでは、エスカレータの乗り口に呼び登録装置が設置されるため、当該呼び登録装置は、エレベータへの搭乗口から離れた位置に配されることになる。このため、利用者は、呼び登録装置で行先階を登録してから、通知されたロビー階の搭乗口に到達するまでに時間を要し、延いてはエレベータに乗り遅れる虞があった。乗り遅れた利用者は、呼び登録装置の設置箇所まで戻り、行先階を登録し直さなければならず、利用者にとっては不便であった。
【0006】
そこで本発明の目的は、複数の乗りかごを備えたエレベータにおいて、利用者を行先階まで円滑に輸送することを可能にする技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベータの制御システムは、複数の乗りかごを有する搬送部を備えたエレベータに適用可能であり、乗りかごごとの停止階の設定が可能である。制御システムは、読取り装置と、制御装置と、を備える。読取り装置は、停止階のうちの少なくとも1つの階に設置され、記録媒体から行先階を読み取る。制御装置は、読取り装置によって読み取られた行先階が、当該読取り装置の設置階への停止が可能な乗りかごに設定されている停止階の何れかと一致した場合、当該行先階の登録を受け付ける。
【0008】
上記制御システムによれば、利用者は、自身の行先階に応じて、読取り装置の設置階へ向かい、搭乗口の近くで読取り装置を通じて行先階を登録することができる。よって、利用者は、行先階を登録してから時間を殆ど要さずに搭乗口に到達することができ、従って、エレベータに乗り遅れることがない。
【0009】
具体的には、次の様な構成が好ましい。制御装置には、乗りかごごとの停止階の設定が停止階情報として入力される。制御装置は、抽出処理と、判断処理と、受付処理と、を実行する。先ず、制御装置は、行先階を読み取った読取り装置の設置階への停止が可能な乗りかごを、停止階情報に基づいて抽出する(抽出処理)。次に、制御装置は、読取り装置によって読み取られた行先階が、抽出処理にて抽出した乗りかごに設定されている停止階の何れかに一致するか否かを、停止階情報に基づいて判断する(判断処理)。そして、制御装置は、判断処理にて一致すると判断したとき、判断対象となった行先階の登録を受け付ける(受付処理)。
【0010】
上記制御システムにおいて、制御装置は、判断処理にて一致しないと判断したとき、判断対象となった行先階を受け付けないことが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、読取り装置の設置階と、当該読取り装置に読み取らせた行先階との両方に、同じ乗りかごを停止させることが可能であるか否かが判断される。そして、両方の階に停止させることが可能であると判断されたとき、判断対象となった行先階の登録が受け付けられる。即ち、利用者が、行先階の登録を行おうとしている搭乗階(読取り装置の設置階)から当該行先階まで、エレベータを利用して移動できる場合のみ、行先階の登録が受け付けられる。よって、意図する行先階に到達できないにも拘わらず利用者が搭乗してしまうといった誤搭乗を防止することができる。
【0012】
上記制御システムにおいて、制御装置は、行先階の登録の受付けがない場合、読取り装置の設置階に乗りかごを停止させた状態で搬送部を待機させる待機状態へ移行してもよい。そして、制御装置は、自身が待機状態であるときには、判断処理にて一致しないと判断した場合でも、判断対象となった行先階の登録を受け付ける受付処理を実行すると共に、上記設置階に停止中の乗りかごを行先階まで移動させる搬送処理を実行してもよい。
【0013】
上記構成によれば、他の利用者がなく搬送部が待機している場合には、エレベータに搭乗するための搭乗階(読取り装置の設置階)の選択を利用者が誤った場合でも、行先階の登録が受け付けられ、当該利用者は、その階から行先階まで円滑に移動することができる。即ち、利用者にとって、他のエレベータやエスカレータ等を用いて別の搭乗階へ移動する必要がなくなる。
【0014】
上記制御システムにおいて、制御装置は、読取り装置によって行先階と共に読み取られた属性情報が一般利用者と異なるときには、判断処理にて一致しないと判断した場合でも、判断対象となった行先階の登録を受け付ける受付処理を実行すると共に、属性情報を読み取った読取り装置の設置階に停止可能な乗りかごを行先階まで移動させる搬送処理を実行してもよい。ここで、属性情報は、一般利用者、車椅子利用者、VIP、台車等を運搬する利用者など、記録媒体の所有者に関する情報である。
【0015】
上記構成によれば、利用者が一般利用者と異なる場合には、その利用者の行先階に対応した搭乗階が別の階である場合でも、行先階の登録が受け付けられ、当該利用者は、登録が受け付けられた階から行先階まで円滑に移動することができる。即ち、利用者にとって、他のエレベータやエスカレータ等を用いて別の搭乗階へ移動する必要がなくなる。
【0016】
上記制御システムにおいて、エレベータは、何れもが上記搬送部と同じである第1搬送部及び第2搬送部を備えていてもよい。この場合、停止階情報において、乗りかごごとの停止階の設定が、第1搬送部及び第2搬送部の各々に関連付けられており、且つ、第1搬送部と第2搬送部とで、読取り装置が設置される同じ階への停止が可能なそれぞれの乗りかごに対応付けられる停止階の設定が互いに異なっていてもよい。又、制御装置は、次の様な処理を実行してもよい。制御装置は、抽出処理において、停止階情報に基づき、行先階を読み取った読取り装置の設置階への停止が可能な乗りかごを、対応する第1搬送部又は第2搬送部に関連付けて抽出する。そして、制御装置は、上述した判断処理にて一致すると判断したとき、受付処理を実行すると共に、通知処理を更に実行する。具体的には、制御装置は、第1搬送部及び第2搬送部のうち、判断対象となった行先階と一致する停止階が設定されている乗りかごを有するものの情報を、読取り装置の設置階で通知する(通知処理)。
【0017】
上記構成によれば、利用者は、読取り装置の設置階のうち、意図する行先階(即ち、自身が所有している記録媒体に記録されている行先階)に到達できる設置階がどの階であるのかを意識することなく、読取り装置の設置階へ向かうことができる。そして、何れの設置階へ向かったとしても、その階でエレベータに搭乗して、意図する行先階に到達することができる。
【0018】
上記制御システムは、ダブルデッキ型のエレベータに適用することができる。具体的には、上記搬送部は、乗りかごを2つ有したものであり、読取り装置は、2つの乗りかごが同時に停止する2つの停止階の各々に設置される。そして、停止階情報において、最下階を1階としたときの当該1階から最上偶数階までの停止階のうちの読取り装置の設置階を除いた停止階については少なくとも、偶数階が、上段の乗りかごの停止階として設定されると共に、奇数階が、下段の乗りかごの停止階として設定される。或いは、停止階情報において、最下階を1階としたときの3階から最上奇数階までの停止階のうちの読取り装置の設置階を除いた停止階については少なくとも、奇数階が、上段の乗りかごの停止階として設定されると共に、偶数階が、下段の乗りかごの停止階として設定される。
【0019】
上記制御システムにおいて、制御装置は、行先階の登録受付け数をカウントし、当該登録受付け数に基づいて、搬送部への乗車人数を制限してもよい。この構成によれば、利用者が搬送部に乗る前に別の搬送部が必要であるか否かを判断することができる。よって、混雑時であっても、利用者を円滑に輸送することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の乗りかごを備えたエレベータにおいて、利用者を行先階まで円滑に輸送することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の制御システムを適用することが可能なエレベータの一例を示した概念図である。
図1に示される様に、エレベータは、昇降路R内を上下に移動するダブルデッキ型の搬送部1を備えており、当該搬送部1は、下段の乗りかご2Aと、上段の乗りかご2Bと、を有している。一例として、搬送部1は、乗りかご2A及び2Bを外かご101で支持した構成を有する。
【0023】
ダブルデッキ型のエレベータは、上下に隣接する2つの停止階のそれぞれに乗りかご2A及び2Bを同時に停止させることが可能となる様に、外かご101内において乗りかご2A及び2Bの位置を調整する位置調整機構(不図示)を備えている。この位置調整機構は、乗りかご2A及び2Bの互いの位置を近接離間させる機構であってもよいし、それぞれの位置を互いに独立に調整する機構であってもよい。
【0024】
エレベータでは、通常、ロビー階等、建物への出入り等により人が集中し易い階が、メイン搭乗階として設定される。特にダブルデッキ型のエレベータでは、上下に隣接する何れか2つの階がメイン搭乗階Fm1及びFm2として用いられる。一例として、建物の地上1階と地上2階とがそれぞれメイン搭乗階Fm1及びFm2として用いられる。尚、メイン搭乗階Fm1及びFm2には、地上1階と地上2階とに限らず、例えば、地下1階と地上1階とが用いられてもよいし、地上2階と地上3階とが用いられてもよい。
【0025】
そして、ダブルデッキ型のエレベータでは、2つのメイン搭乗階Fm1及びFm2間の行き来が可能となる様に、これらのメイン搭乗階Fm1及びFm2を繋ぐエスカレータ103(
図2参照)が、エレベータの近くに設けられていることが好ましい。
【0026】
尚、ダブルデッキ型のエレベータは、2つの乗りかご2A及び2Bを備えたものであれば、上記の構成に限定されない種々の構成に変形されてもよい。又、本発明の制御システムは、ダブルデッキ型のエレベータに限らず、3つ以上の乗りかごを備えたマルチデッキ型のエレベータにも適用することができる。
【0027】
以下、本発明の制御システムをダブルデッキ型のエレベータに適用した実施形態について、具体的に説明する。
【0028】
[1]第1実施形態
ダブルデッキ型のエレベータでは、輸送効率を向上させるべく、乗りかご2A及び2Bごとに停止階の設定が異なっていることが好ましい。ここで、乗りかご2A及び2Bのそれぞれに設定される停止階は、利用者を乗降させるための停止階である。本実施形態では、地上1階と地上2階とがそれぞれメイン搭乗階Fm1及びFm2として用いられ、下段の乗りかご2Aの停止階が、地上1階(メイン搭乗階Fm1)を含む奇数階に設定され、上段の乗りかご2Bの停止階が、地上2階(メイン搭乗階Fm2)を含む偶数階に設定されている。即ち、本実施形態では、メイン搭乗階Fm1及びFm2のそれぞれに乗りかご2A及び2Bが同時に停止する様に設定されると共に、下段の乗りかご2Aと上段の乗りかご2Bとで停止階が重ならない様に設定されている。尚、乗りかご2A及び2Bごとの停止階の設定は、適宜変更することが可能であり、例えば一部の停止階が重なった設定であってもよい。
【0029】
図2は、第1実施形態に係る制御システムを示した概念図である。
図2に示される様に、制御システムは、読取り装置3A及び3Bと、制御装置4と、を備える。制御装置4は、登録処理部41と、搬送処理部42と、を含む。
【0030】
読取り装置3Aは、地上1階(メイン搭乗階Fm1)において、エレベータへの搭乗口Em1近傍に設置される。読取り装置3Bは、地上2階(メイン搭乗階Fm2)において、エレベータへの搭乗口Em2近傍に設置される。即ち、本実施形態では、読取り装置3A及び3Bは、乗りかご2A及び2Bが同時に停止するメイン搭乗階Fm1及びFm2のそれぞれに設置される。
【0031】
読取り装置3A及び3Bは何れも、磁気カードやIC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体5から情報を読み取る読取り部31を有する。記録媒体5には、少なくとも行先階の情報が記録されており、読取り装置3A及び3Bは、読取り部31を通じて、記録媒体5から少なくとも行先階の情報を読み取る。記録媒体5には、行先階の情報に限らず、当該記録媒体5の所有者に関する情報(一般利用者、車椅子利用者、VIP、台車等を運搬する利用者などの属性情報)が記録されていてもよく、その場合、読取り装置3A及び3Bは、読取り部31を通じて、行先階の情報と共に属性情報を読み取ってもよい。
【0032】
尚、読取り部31による記録媒体5からの情報の読取り方法は、接触式のものであってもよいし、NFC(Near Field Communication)等の近距離通信で情報を読み取る非接触式のものであってもよく、特に限定されるものではない。又、記録媒体5は、カード状のものに限らず、スティック状やチップ状のものであってもよい。更に、本発明において、「記録媒体」には、読取り装置3A及び3Bとの近距離通信(NFC等)が可能なスマートフォン等の携帯情報端末が含まれる。
【0033】
読取り装置3A及び3Bの各々で読み取られた行先階の情報は、これを読み取った読取り装置の設置階(メイン搭乗階Fm1又はFm2)の情報と共に、制御装置4に入力される。これらの情報が制御装置4に入力されると、登録処理部41が、入力された行先階及び設置階を用いて、当該行先階の登録を受け付けるか否かを判断する。具体的には、登録処理部41は、入力された行先階及び設置階を、乗りかご2A及び2Bごとに設定された停止階と照合することにより、当該行先階の登録を受け付けるか否かを判断する。
【0034】
上記判断のための照合に際し、乗りかご2A及び2Bごとの停止階の設定が、停止階情報Isとして登録処理部41に入力される。
図3は、本実施形態の制御システムで使用することが可能な停止階情報Isを示した概念図である。
図3に示される様に、本実施形態の停止階情報Isでは、下段の乗りかご2Aの停止階が、地上1階(メイン搭乗階Fm1)を含む奇数階に設定され、上段の乗りかご2Bの停止階が、地上2階(メイン搭乗階Fm2)を含む偶数階に設定されている。尚、停止階情報Isは、外部からの通信によって制御装置4に入力されてもよいし、記憶部(不図示)に記憶されたものを制御装置4が読み出すことで当該制御装置4に入力されてもよい。
【0035】
そして、登録処理部41は、照合の結果、判断対象になっている行先階が、当該行先階と共に入力された設置階(即ち、当該行先階を読み取った読取り装置の設置階)への停止が可能な乗りかごに設定されている停止階の何れかと一致した場合、当該行先階の登録を受け付ける。一方、上記停止階の何れとも一致しなかった場合、登録処理部41は、行先階の登録を受け付けない。
【0036】
具体例として、地上1階(メイン搭乗階Fm1)に設置された読取り装置3Aで読み取られた行先階が奇数階であった場合、設置階である地上1階には下段の乗りかご2Aが停止可能であり、又、当該乗りかご2Aには停止階として奇数階が設定されているので、登録処理部41は、照合の結果、一致すると判断し、読取り装置3Aで読み取られた行先階の登録を受け付ける。一方、読取り装置3Aで読み取られた行先階が偶数階であった場合、その行先階は、下段の乗りかご2Aに設定されている停止階(奇数階)とは異なるので、登録処理部41は、照合の結果、一致しないと判断し、読取り装置3Aで読み取られた行先階の登録を受け付けない。
【0037】
又、地上2階(メイン搭乗階Fm2)に設置された読取り装置3Bで読み取られた行先階が偶数階であった場合、設置階である地上2階には上段の乗りかご2Bが停止可能であり、又、当該乗りかご2Bには停止階として偶数階が設定されているので、登録処理部41は、照合の結果、一致すると判断し、読取り装置3Bで読み取られた行先階の登録を受け付ける。一方、読取り装置3Bで読み取られた行先階が奇数階であった場合、その行先階は、上段の乗りかご2Bに設定されている停止階(偶数階)とは異なるので、登録処理部41は、照合の結果、一致しないと判断し、読取り装置3Bで読み取られた行先階の登録を受け付けない。
【0038】
登録処理部41が行う上記処理について、より詳細に説明する。
図4は、登録処理部41の構成を概念的に示したブロック図である。
図4に示される様に、登録処理部41は、抽出処理部411と、判断処理部412と、受付処理部413と、を含む。尚、
図5は、以下で説明する一連の処理を示したフローチャートである。登録処理部41が行う一連の処理は、CPU(Central Processing Unit)やマイクロコンピュータ等の処理装置により行うことができる。又、当該一連の処理は、対応するプログラムを制御装置4に実行させることにより、実現されてもよい。そして、その様なプログラムは、読取り可能な状態で携帯型メモリ(例えば、フラッシュメモリ等)に記憶されてもよいし、制御システムが備える記憶部(不図示)に記憶されてもよい。後述する他の実施形態においても同様である。
【0039】
読取り装置3A及び3Bの各々で読み取られた行先階の情報と、これを読み取った読取り装置の設置階(メイン搭乗階Fm1又はFm2)の情報と、が登録処理部41に入力されると、先ず、抽出処理部411が、停止階情報Isに基づいて、乗りかご2A及び2Bの中から、入力された設置階への停止が可能な乗りかごを抽出する(抽出処理。
図5のステップS11)。
【0040】
次に、判断処理部412が、入力された行先階(即ち、判断対象になっている行先階)が、抽出処理部411で抽出された乗りかごに設定されている停止階の何れかに一致するか否かを、停止階情報Isに基づいて判断する(判断処理。
図5のステップS12)。具体的には、判断処理部412は、停止階情報Isを参照することにより、入力された行先階と、抽出処理部411で抽出された乗りかごに設定されている停止階と、の照合を行う。
【0041】
そして、ステップS12にて判断処理部412が「一致する(Yes)」と判断したとき、受付処理部413が、判断対象となった行先階の登録を受け付ける(受付処理。
図5のステップS13)。このとき、受付処理部413は、行先階の登録を受け付けたことを、当該行先階を読み込んだ読取り装置に受付信号を送信することにより、当該読取り装置を通じて利用者に報知してもよい。尚、利用者への報知は、読取り装置において、画面表示、ランプ点灯、音による報知等の手段により実現することができる。
【0042】
一方、ステップS12にて判断処理部412が「一致しない(No)」と判断したとき、受付処理部413は、判断対象となった行先階の登録を受け付けない(エラー処理。
図5のステップS14)。このとき、受付処理部413は、行先階の登録を受け付けなかったことを、当該行先階を読み込んだ読取り装置にエラー信号を送信することにより、当該読取り装置を通じて利用者に報知してもよい。尚、利用者への報知は、読取り装置において、画面表示、ランプ点灯、音による報知等の手段により実現することができる。
【0043】
受付処理部413が行先階の登録を受け付けた場合、登録された行先階(以下、「登録行先階」と称す)と、当該行先階を読み取った読取り装置の設置階(即ち、当該行先階と共に受付処理部413に入力された設置階。以下、「呼び登録階」と称す)と、に基づいて、搬送処理部42が、搬送部1の動作を制御する。
【0044】
具体的には、搬送処理部42は、停止階情報Isに基づいて、呼び登録階に、その階に対応する乗りかごを停止させる。尚、本実施形態では、メイン搭乗階Fm1及びFm2のそれぞれに乗りかご2A及び2Bが同時に停止する様に設定されているため、呼び登録階が地上1階(メイン搭乗階Fm1)及び地上2階(メイン搭乗階Fm2)の何れの場合であっても、それらの階のそれぞれに乗りかご2A及び2Bが同時に停止することになる。
【0045】
そして、搬送処理部42は、呼び登録階に乗りかごを停止させた後、当該乗りかご側のドアを呼び登録階側のドアと共に開く。これにより、行先階の登録を行った利用者の搭乗が可能になる。利用者の搭乗後、搬送処理部42は、乗りかご側のドアを呼び登録階側のドアと共に閉める。その後、搬送処理部42は、搬送部1を登録行先階へ向けて移動させ、上記利用者が搭乗した乗りかごを登録行先階に停止させる。この様にして、利用者は、エレベータを利用して、登録を行った行先階まで円滑に移動することができる。
【0046】
本実施形態の制御システムによれば、利用者は、自身の行先階に応じて、メイン搭乗階Fm1及びFm2の何れかへ向かい、搭乗口Em1又はEm2の近くで、読取り装置3A又は3Bを通じて行先階を登録することができる。よって、利用者は、行先階を登録してから時間を殆ど要さずに搭乗口に到達することができ、従って、エレベータに乗り遅れることがない。その結果、ダブルデッキ型のエレベータにおいて、利用者を行先階まで円滑に輸送することが可能になる。
【0047】
又、本実施形態の制御システムによれば、読取り装置の設置階と、当該読取り装置に読み取らせた行先階との両方に、同じ乗りかごを停止させることが可能であるか否かが判断される。そして、両方の階に停止させることが可能であると判断されたとき、判断対象となった行先階の登録が受け付けられる。即ち、利用者が、行先階の登録を行おうとしているメイン搭乗階から当該行先階まで、エレベータを利用して移動できる場合のみ、行先階の登録が受け付けられる。よって、意図する行先階に到達できないにも拘わらず利用者が搭乗してしまうといった誤搭乗を防止することができる。その結果、ダブルデッキ型のエレベータにおいて、より円滑に利用者を行先階まで輸送することが可能になる。
【0048】
尚、上記制御装置4が行う制御のうち、読み取った行先階の登録を受け付けるか否かの判断(即ち、登録処理部41が行う処理)は、本実施形態で説明した様に読取り装置3A及び3Bとは別に設けられた制御装置4で一元的に行われる場合に限らず、読取り装置3A及び3Bの各々が登録処理部41を備えることで、読取り装置3A及び3Bのそれぞれで個別に行われてもよい。
【0049】
又、上記制御システムの各部構成は、地上1階と地上2階とがメイン搭乗階Fm1及びFm2に用いられる場合に限らず、地上(2n−1)階と地上(2n)階とがメイン搭乗階Fm1及びFm2に用いられる場合にも適用することができる(nは、1以上の整数。以下、同様)。他の例として、上記制御システムの各部構成は、地上2階と地上3階とがメイン搭乗階Fm1及びFm2である場合の様に、地上(2n)階と地上(2n+1)階とがメイン搭乗階Fm1及びFm2である場合にも、適用することができる。この場合、停止階情報Isにおいて、下段の乗りかご2Aの停止階が、メイン搭乗階Fm1を含む偶数階に設定され、上段の乗りかご2Bの停止階が、メイン搭乗階Fm2を含む奇数階に設定される。
【0050】
更なる他の例として、上記制御システムの各部構成は、地下1階と地上1階とがメイン搭乗階Fm1及びFm2である場合の様に、地下階を含む場合にも、適用することができる。この場合、次の様に把握することができる。即ち、停止階情報Isにおいて、停止階として設定されている最下階を1階として、下段の乗りかご2Aの停止階が、メイン搭乗階Fm1を含む奇数階に設定され、上段の乗りかご2Bの停止階が、メイン搭乗階Fm2を含む偶数階に設定される。或いは、停止階情報Isにおいて、停止階として設定されている最下階を1階として、下段の乗りかご2Aの停止階が、メイン搭乗階Fm1を含む偶数階に設定され、上段の乗りかご2Bの停止階が、メイン搭乗階Fm2を含む奇数階に設定される。この様な把握によれば、停止階の設定に関して、地下階を含む場合と含まない場合との両方を網羅することができる。
【0051】
上記の把握の下で、ダブルデッキ型のエレベータを考えると、エレベータの停止階数が奇数であった場合、下段の乗りかご2Aの停止階を奇数階に設定し、上段の乗りかご2Bの停止階を偶数階に設定したのでは、奇数階である最上階に下段の乗りかご2Aを停止させることができなくなる。又、下段の乗りかご2Aの停止階を偶数階に設定し、上段の乗りかご2Bの停止階を奇数階に設定したのでは、奇数階である最下階に上段の乗りかご2Bを停止させることができなくなる。
【0052】
そこで、本実施形態の制御システムを、停止階数が奇数であるダブルデッキ型のエレベータに適用する場合、当該エレベータは、次の様な構成を有することが好ましい。即ち、
図6(A)に示される様に、停止階として設定されている最上階の直上に、上段の乗りかご2Bを到達させるためのダミー階Fdを設ける。或いは、
図6(B)に示される様に、停止階として設定されている最下階の直下に、下段の乗りかご2Aを到達させるためのダミー階Fdを設ける。
【0053】
本実施形態の制御システムを、停止階数が奇数であるダブルデッキ型のエレベータに適用する場合、停止階情報Isにおいて、乗りかご2A及び2Bごとの停止階の設定を以下の様に変更してもよい(
図7(A)及び(B)参照)。
【0054】
一例として、
図7(A)に示される様に、停止階として設定される最下階を1階としたときの当該1階から最上偶数階までの停止階について、下段の乗りかご2Aの停止階を奇数階に設定し、上段の乗りかご2Bの停止階を偶数階に設定する。更に、奇数階である最上階については、上段の乗りかご2Bの停止階として設定する。尚、上段の乗りかご2Bが最上階(奇数階)に停止したときに下段の乗りかご2Aが配される最上偶数階については、当該下段の乗りかご2Aの停止階として設定してもよいし(
図7(A)参照)、その様な設定をしなくてもよい。
【0055】
他の例として、
図7(B)に示される様に、停止階として設定される最下階を1階としたときの3階から最上奇数階(即ち、最上階)までの停止階について、下段の乗りかご2Aの停止階を偶数階に設定し、上段の乗りかご2Bの停止階を奇数階に設定する。更に、奇数階である1階については、下段の乗りかご2Aの停止階として設定し、偶数階である2階については、上段の乗りかご2Bの停止階として設定する。尚、上段の乗りかご2Bが3階に停止したときに下段の乗りかご2Aが配される2階については、当該下段の乗りかご2Aの停止階として設定してもよいし(
図7(B)参照)、その様な設定をしなくてもよい。
【0056】
更に、本実施形態で説明した登録処理等の制御は、混雑が予想される通勤時間帯等、利用者を効率良く輸送することが求められる時間帯にのみ、実行されてもよい。
【0057】
[2]第2実施形態
上記第1実施形態の制御システムにおいて、制御装置4の搬送処理部42は、行先階の登録の受付けがない場合、搬送部1に対して待機処理を実行してもよい。具体的には、搬送処理部42は、読取り装置3A及び3Bの設置階(即ち、メイン搭乗階Fm1及びFm2)に乗りかご2A及び2Bを停止させた状態で、搬送部1を待機させる。これにより、制御装置4は、搬送部1を待機させた待機状態へ移行する。
【0058】
そして、制御装置4が待機状態であるときには、制御装置4の登録処理部41は、判断処理部412にて「一致しない(No)」と判断された場合でも、判断対象となった行先階の登録を受け付ける受付処理を実行してもよい。
【0059】
図8は、第2実施形態において登録処理部41が実行する一連の処理を示したフローチャートである。
図8に示される様に、第1実施形態で説明したステップS12(判断処理)にて判断処理部412が「一致しない(No)」と判断したとき、登録処理部41は、ステップS14(エラー処理)の実行前に、制御装置4が待機状態であるか否かを判断する(ステップS21)。そして、ステップS21にて登録処理部41が「待機状態でない(No)」と判断したとき、第1実施形態と同様、受付処理部413によってエラー処理(ステップS14)が実行される。一方、ステップS21にて登録処理部41が「待機状態である(Yes)」と判断した場合には、受付処理部413により、行先階の登録を受け付ける受付処理が実行される(ステップS22)。
【0060】
そして、ステップS22にて行先階の登録が受け付けられた場合、登録行先階と呼び登録階とに基づいて、搬送処理部42が、呼び登録階に停止中の乗りかごを登録行先階まで移動させる搬送処理を実行する。
【0061】
具体的には、搬送処理部42は、呼び登録階に停止中の乗りかご側のドアを呼び登録階側のドアと共に開く。これにより、行先階の登録を行った利用者の搭乗が可能になる。利用者の搭乗後、搬送処理部42は、乗りかご側のドアを呼び登録階側のドアと共に閉める。その後、搬送処理部42は、搬送部1を登録行先階へ向けて移動させ、上記利用者が搭乗した乗りかごを登録行先階に停止させる。
【0062】
本実施形態の制御システムによれば、他の利用者がなく搬送部1が待機している場合には、エレベータに搭乗するためのメイン搭乗階Fm1又はFm2の選択を利用者が誤った場合でも、行先階の登録が受け付けられ、そのメイン搭乗階から行先階まで円滑に移動することができる。即ち、利用者にとって、他のエレベータやエスカレータ等を用いて別のメイン搭乗階へ移動する必要がなくなる。
【0063】
尚、第2実施形態の他の例として、制御装置4が待機状態であるときに限らず、読取り装置によって行先階と共に読み取られた属性情報(車椅子利用者、VIP、台車等を運搬する利用者など)が一般利用者と異なる場合において、判断処理部412にて「一致しない(No)」と判断された場合にも、制御装置4の登録処理部41は、判断対象となった行先階の登録を受け付ける受付処理を実行してもよい。即ち、
図8のステップS21において、登録処理部41は、制御装置4が待機状態であるか否かを判断することに代えて、属性情報が一般利用者と異なるか否かを判断する。そして、ステップS21にて「異なる(Yes)」と判断され、ステップS22にて行先階の登録が受け付けられた場合、登録行先階と呼び登録階(属性情報を読み取った読取り装置の設置階)とに基づいて、搬送処理部42が、呼び登録階に停止可能な乗りかごを行先階まで移動させる搬送処理を実行する。
【0064】
これにより、利用者が一般利用者と異なる場合には、その利用者の行先階に対応したメイン搭乗階が別の階である場合でも、行先階の登録が受け付けられ、当該利用者は、登録が受け付けられた階から行先階まで円滑に移動することができる。即ち、利用者にとって、他のエレベータやエスカレータ等を用いて別のメイン搭乗階へ移動する必要がなくなる。
【0065】
尚、ステップS21において、制御装置4が待機状態であるか否かの判断と、属性情報が一般利用者と異なるか否かの判断と、が両方ともに実行され、何れかにおいて「Yes」と判断されたとき、受付処理部413により、行先階の登録を受け付ける受付処理が実行されてもよい。
【0066】
車椅子利用者、VIP、台車等を運搬する利用者など、一般利用者とは異なる者が所有する記録媒体5には、行先階からメイン搭乗階へ戻る際の降車階が記録されていてもよい。この場合、降車階は、行先階に設置された読取り装置で読み取られて登録される。この様な降車階の登録により、利用者を、その属性に応じた所望の階で降車させることが可能になる。例えば、メイン搭乗階のうち、他のエレベータやエスカレータを利用せずに建物から出ることができる階で、利用者を降車させることができる。
【0067】
[3]第3実施形態
図9は、本発明の制御システムが適用されたエレベータの他の例を示した概念図である。
図9に示される様に、エレベータは、何れもが搬送部1と同じダブルデッキ型である第1搬送部11及び第2搬送部12を備えていてもよい。尚、エレベータは、ダブルデッキ型の搬送部1を2つ備えたものに限らず、3つ以上備えたものであってもよい。以下では、便宜上、本発明の制御システムを、搬送部1を2つ備えたエレベータに適用した実施形態について説明する。
【0068】
本実施形態では、停止階情報Isにおいて、乗りかご2A及び2Bごとの停止階の設定が、第1搬送部11と第2搬送部12とで互いに異なっていることが好ましい。
【0069】
図10は、本実施形態の制御システムで使用することが可能な停止階情報Isの一例を示した概念図である。
図10に示された停止階情報Isでは、第1搬送部11について、下段の乗りかご2Aの停止階が、地上1階(メイン搭乗階Fm1)を含む奇数階に設定され、上段の乗りかご2Bの停止階が、地上2階(メイン搭乗階Fm2)を含む偶数階に設定されている。又、第2搬送部12について、下段の乗りかご2Aの停止階が、地上1階(メイン搭乗階Fm1)と、メイン搭乗階Fm1及びFm2並びに最上階を除く停止階のうちの偶数階と、に設定され、上段の乗りかご2Bの停止階が、地上2階(メイン搭乗階Fm2)及び最上階と、メイン搭乗階Fm1及びFm2並びに最上階を除く停止階のうちの奇数階と、に設定されている。
【0070】
即ち、第1搬送部11及び第2搬送部12の何れにおいても、メイン搭乗階Fm1及びFm2のそれぞれに乗りかご2A及び2Bが同時に停止する様に設定されており、且つ、メイン搭乗階Fm1及びFm2並びに最上階を除く停止階については、第1搬送部11と第2搬送部12とで、乗りかご2A及び2Bごとの停止階の設定が逆になっている。
【0071】
尚、第2搬送部12において、上段の乗りかご2Bが最上階(2n階)に停止したときに下段の乗りかご2Aが配される最上階の直下階(2n−1階)については、当該下段の乗りかご2Aの停止階として設定されてもよいし(
図10参照)、その様な設定がされなくてもよい。又、第2搬送部12において、上段の乗りかご2Bが地上3階に停止したときに下段の乗りかご2Aが位置する地上2階については、当該下段の乗りかご2Aの停止階として設定されてもよいし(
図10参照)、その様な設定がされなくてもよい。更に、第2搬送部12において、最上階(2n階)については、乗りかご2A及び2Bの何れにおいても停止階から除外されてもよい(即ち、停止階として設定されなくもよい)。
【0072】
図11は、本実施形態の制御システムで使用することが可能な停止階情報Isの他の例を示した概念図である。この例では、最上階(2n階)の直上にダミー階Fd(
図6(A)参照)が設けられていることが前提されており、停止階情報Isでは、第2搬送部12について、下段の乗りかご2Aの停止階が、地上1階(メイン搭乗階Fm1)と、メイン搭乗階Fm1及びFm2を除く停止階のうちの偶数階と、に設定され、上段の乗りかご2Bの停止階が、地上2階(メイン搭乗階Fm2)と、メイン搭乗階Fm1及びFm2を除く停止階のうちの奇数階と、に設定されている。この停止階情報Isによれば、下段の乗りかご2Aが最上階に停止したとき、上段の乗りかご2Bがダミー階Fdに到達することになる。
【0073】
上述した停止階の設定は、エレベータの停止階数が偶数である場合に限らず、当該停止階数が奇数である場合にも適宜適用することができる。又、上述した停止階の設定は、次の様に把握することができる。即ち、第1搬送部11及び第2搬送部12において、それぞれの乗りかご2Aは、読取り装置3Aが設定される同じメイン搭乗階Fm1への停止が可能な乗りかごである。又、それぞれの乗りかご2Bは、読取り装置3Bが設定される同じメイン搭乗階Fm2への停止が可能な乗りかごである。更に、停止階情報Isにおいて、乗りかご2A及び2Bごとの停止階の設定が、第1搬送部11及び第2搬送部12の各々に関連付けられており、且つ、第1搬送部11と第2搬送部12とで、メイン搭乗階Fm1への停止が可能な乗りかご2Aに対応付けられる停止階の設定が互いに異なり、メイン搭乗階Fm2への停止が可能な乗りかご2Bに対応付けられる停止階の設定も互いに異なっている。
【0074】
この様な停止階情報Isを用いて、制御装置4の登録処理部41は、次の様な処理を実行することが好ましい。尚、
図12は、第3実施形態における登録処理部41の構成を概念的に示したブロック図であり、登録処理部41は、通知処理部414を更に含む。又、
図13は、第3実施形態において登録処理部41が実行する一連の処理を示したフローチャートである。
【0075】
読取り装置3A及び3Bの各々で読み取られた行先階の情報と、これを読み取った読取り装置の設置階(メイン搭乗階Fm1又はFm2)の情報と、が登録処理部41に入力されると、先ず、抽出処理部411が、停止階情報Isに基づいて、入力された設置階への停止が可能な乗りかごを、対応する第1搬送部11又は第2搬送部12に関連付けて抽出する(抽出処理。
図13のステップS31)。
【0076】
次に、判断処理部412が、入力された行先階(即ち、判断対象になっている行先階)が、抽出処理部411で抽出された乗りかごに設定されている停止階の何れかに一致するか否かを、停止階情報Isに基づいて判断する(判断処理。
図13のステップS32)。そして、判断処理部412は、「一致する(Yes)」と判断できる場合、案内信号を、判断対象となった行先階を読み取った読取り装置又はその設置階へ向けて出力する。ここで、案内信号には、第1搬送部11及び第2搬送部12のうち、判断対象となっている行先階と一致する停止階が設定されている乗りかごを有するものの情報が含まれている。
【0077】
一例として、地上1階(メイン搭乗階Fm1)に設置されている読取り装置3Aで行先階の読取りが実行され、当該行先階が偶数階(本実施形態では、地上4階以上)である場合について考える。この場合、ステップS31では、下段の乗りかご2Aが、第1搬送部11及び第2搬送部12の各々に関連付けて抽出される。そして、ステップS32では、判断処理部412は、停止階情報Is(
図10参照)のうち、第1搬送部11の乗りかご2Aについての停止階の設定と、第2搬送部12の乗りかご2Aについての停止階の設定と、を参照することにより、入力された行先階が、参照した停止階の何れかと一致するか否かを判断する。
【0078】
そして、停止階情報Isでは、第2搬送部12の乗りかご2Aの停止階が偶数階に設定されているので、上記の例の場合、判断対象となっている行先階(偶数階)は、停止階情報Isにおいて参照された停止階の1つに一致することになる。よって、判断処理部412は、ステップS32にて「一致する(Yes)」と判断することになる。このとき、判断処理部412は、第2搬送部12の情報を含んだ案内信号を、読取り装置3A又はその設置階(メイン搭乗階Fm1)へ向けて出力する。
【0079】
ステップS32にて判断処理部412が「一致する(Yes)」と判断したとき、受付処理部413が、判断対象となった行先階の登録を受け付ける(受付処理。
図13のステップS33)。これと共に、通知処理部414が、判断処理部412から出力された案内信号に基づいた通知を、判断対象となった行先階を読み取った読取り装置の設置階において利用者に対して行う(通知処理。
図13のステップS34)。
【0080】
具体的には、通知処理部414は、判断処理部412から出力された案内信号に基づき、行先階の登録を行った利用者に対し、第1搬送部11及び第2搬送部12のうちの何れに搭乗すべきかを通知する。このときの通知は、読取り装置において、画面表示によって行われてもよいし、矢印や数字等の形状を呈したランプの点灯によって行われてもよい。又、読取り装置やその設置階に設けられたスピーカ等から音声を発することで、通知が行われてもよい。
【0081】
一方、ステップS32にて判断処理部412が「一致しない(No)」と判断したとき、受付処理部413は、判断対象となった行先階の登録を受け付けない(エラー処理。
図13のステップS35)。このとき、受付処理部413は、行先階の登録を受け付けなかったことを、当該行先階を読み込んだ読取り装置にエラー信号を送信することにより、当該読取り装置を通じて利用者に報知してもよい。尚、利用者への報知は、読取り装置において、画面表示、ランプ点灯、音による報知等の手段により実現することができる。
【0082】
本実施形態の制御システムによれば、利用者は、意図する行先階(即ち、自身が所有している記録媒体5に記録されている行先階)に到達できるメイン搭乗階がどの階であるのかを意識することなく、読取り装置3A又は3Bの設置階へ向かうことができる。そして、何れの設置階(メイン搭乗階Fm1及びFm2)へ向かったとしても、その階でエレベータに搭乗して、意図する行先階に到達することができる。その結果、より円滑に利用者を行先階まで輸送することが可能になる。
【0083】
尚、本実施形態の制御システムの各部構成は、搬送部1を2つ備えたエレベータに限らず、3つ以上備えたエレベータにも適用することができる。
【0084】
[4]第4実施形態
図14は、第4実施形態に係る制御システムを示した概念図である。
図14に示される様に、制御システムは、第1〜第3実施形態で説明した構成に加えて、利用者の通過を規制又は制限する搭乗ゲート6A及び6Bを更に備えていてもよい。
【0085】
搭乗ゲート6Aは、地上1階(メイン搭乗階Fm1)において、エレベータへの搭乗口Em1近傍に読取り装置3Aと共に設置される。搭乗ゲート6Aは、開閉フラップ、回転バー、回転扉、開閉扉などを備えたものであり、読取り装置3Aを介して行先階の登録が受け付けられた利用者の通過のみを許容する。尚、搭乗ゲート6Aは、読取り装置3Aと一体に構成されていてもよい。
【0086】
搭乗ゲート6Bは、地上2階(メイン搭乗階Fm2)において、エレベータへの搭乗口Em2近傍に読取り装置3Bと共に設置される。搭乗ゲート6Bは、搭乗ゲート6Aと同様、開閉フラップ、回転バー、回転扉、開閉扉などを備えたものであり、読取り装置3Bを介して行先階の登録が受け付けられた利用者の通過のみを許容する。尚、搭乗ゲート6Bは、読取り装置3Bと一体に構成されていてもよい。
【0087】
本実施形態の制御システムにおいて、制御装置4は、制限処理部43を更に含んでいることが好ましい(
図14参照)。制限処理部43は、読取り装置3A及び3Bのそれぞれで読み取った行先階の登録受付け数NrA及びNrBを個別にカウントし、当該登録受付け数NrA及びNrBに基づいて、搬送部1の乗りかご2A及び2Bへの乗車人数を制限する。
【0088】
具体的には、制限処理部43は、登録受付け数NrAが所定値NtAより小さいか否かを判断し、「小さくない」と判断した場合、読取り装置3Aでの記録媒体5の読取りを一時的に中断し、搭乗ゲート6Aにおいて利用者の通過を制限する。又、制限処理部43は、登録受付け数NrBが所定値NtBより小さいか否かを判断し、「小さくない」と判断した場合、読取り装置3Bでの記録媒体5の読取りを一時的に中断し、搭乗ゲート6Bにおいて利用者の通過を制限する。その後、搬送部1の出発により、制限処理部43は、登録受付け数NrA及びNrBをリセットすると共に、一時的に中断した読取り装置3A又は3Bでの記録媒体5の読取りを再開させる。
【0089】
従来のエレベータでは、搬送部である乗りかごに荷重センサが搭載されており、当該荷重センサで検出される重量が所定値を超えたとき、乗車人数の超過が利用者に通知されていた。そして、その乗りかごに乗れなかった利用者は、当該乗りかごが利用者を輸送して戻ってくるのを待つか、複数の搬送部を備えたエレベータでは別の搬送部を呼ばなければならなかった。一方、本実施形態の制御システムによれば、利用者が搬送部1に乗る前に別の搬送部1が必要であるか否かを判断することができる。よって、混雑時であっても、利用者を円滑に輸送することが可能になる。
【0090】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。