(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室外機を現地に据付けた後、室外熱交換器に不具合が発生し、室外熱交換器を交換する場合があった。室外熱交換器を交換する場合、室外熱交換器の上に配置される部品やケーシングの支柱を1つずつ外していく作業が必要であり、作業が非常に困難であった。
【0005】
本開示の目的は、室外熱交換器のメンテナンスの作業を容易に行えるようにすることで
ある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、ケーシング(2)内に冷媒回路の構成部品(3,4,5,10)が配置された空気調和装置の室外機であって、
上記ケーシング(2)は、
上下方向に延在する複数の下部支柱(23)を備え、該下部支柱(23)で囲われた下部スペース(S1)に熱交換器(10)と圧縮機(3)とが配置される下部ケーシング(20)と、
上下方向に延在する複数の上部支柱(33)を備え、該上部支柱(33)で囲われた上部スペース(S2)にファン(7)が配置される上部ケーシング(30)と、
上記下部ケーシング(20)と上記上部ケーシング(30)とを連結するように上記下部支柱(23)と上記上部支柱(33)に設けられた連結部(50)と、を備え、
上記連結部(50)は、上記上部支柱(33)および上記下部支柱(23)のいずれか一方が有する突出部(51)と、上記突出部(51)を上記上部支柱(33)及び上記下部支柱(23)のもう一方に接合するための接合部(55)とを備え、
上記下部支柱(23)は、その上端に、上記上部ケーシング(30)が載置される載置面(57)を有し、
上記上部ケーシング(30)は側面パネル(36)を有し、
上記下部支柱(23)の載置面(57)に上記側面パネル(36)の下端面が載置されることを特徴とする空気調和装置の室外機。
【0007】
第1の態様では、上部ケーシング(30)は、下部支柱(23)の上端の載置面(57)に上部ケーシング(30)の側面パネル(36)を載せた状態で下部ケーシング(20)に固定され、上記載置面(57)が側面パネル(36)を介して荷重を支持する。
【0008】
第2の態様は、
第1の態様において、
上記突出部(51)は、上記上部支柱(33)が上記上部ケーシング(30)の下面から下方へ突出する部分により構成され、
上記接合部(55)は、上記下部支柱(23)の上端部により構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2の態様では、下部ケーシング(20)が有する下部支柱(23)に、上部ケーシング(30)が有する上部支柱(33)の突出部(51)が連結部(50)で連結される。この
第2の態様では、下方へ突出する突出部(51)を有する上部ケーシング(30)を下部ケーシング(20)に載置して、上部ケーシング(30)を下部ケーシング(20)に容易に連結でき、逆に上部ケーシング(30)を下部ケーシング(20)から容易に取り外せる。
【0010】
本開示の
第3の態様は、
第1または第2の態様において、
上記上部ケーシング(30)の側面パネル(36)は、該上部ケーシング(30)の側面を覆う四角形状の側板(36a)と、該側板(36a)にその下辺で連接する下縁部(36c)とを有していることを特徴とする。
【0011】
第3の態様では、下部支柱(23)の上端の載置面(57)に上部ケーシング(30)の側面パネル(36)の下縁部(36c)を載せた状態で下部ケーシング(20)に固定され、上記載置面(57)が側面パネル(36)の下縁部(36c)を介して荷重を支持する。
【0012】
本開示の
第4の態様は、
第1から第3の態様の何れか1つにおいて、
上記ケーシング(2)は、上記上部ケーシング(30)と上記下部ケーシング(20)にまたがって装着される前板(41〜44)を有していることを特徴とする。
【0013】
第4の態様では、下部ケーシング(20)に上部ケーシング(30)を取り付けて1つのケーシング(2)を構成した後に、前面パネルを装着することによりケーシング(2)の開口部分が塞がれる。この前面パネルを取り外すと、下部ケーシング(20)から上部ケーシング(30)にわたる広い開口が現れ、メンテナンスなどに用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この実施形態は、空気調和装置の室外機(1)に関するものである。この空気調和装置は、例えば1台の室外機(1)に複数台の室内機(図示せず)が連絡配管で接続されて構成されるマルチタイプの空気調和装置である。この空気調和装置の室外機(1)は、例えば、複数台が屋外に並べて設置され、それぞれに複数台の室内機が接続される。
【0017】
本実施形態の室外機(1)が設けられる空気調和装置は、例えばオフィス等の室内空間の冷房と暖房を行う。なお、空気調和装置が空気調和を行う対象空間は、オフィスや住宅などの居室内空間に限られず、物品を保管する倉庫内の空間や、物品を取り扱う作業用空間(例えば、クリーンルーム)などであってもよい。
【0018】
〈室外機の全体構造〉
図1は、この実施形態の室外機(1)を正面側から視た斜視図であり、
図2は、室外機(1)を背面側から視た斜視図である。この室外機(1)は、正面側から視て右側に位置する第1ユニット(1A)と左側に位置する第2ユニット(1B)とを備え、第1ユニット(1A)と第2ユニット(1B)が一体的に構成されている。
【0019】
この空気調和装置の室外機(1)は縦型直方体のケーシング(2)を備え、このケーシング(2)の内部に冷媒回路の構成部品が収容されている。上記ケーシング(2)は、下部ケーシング(20)と、上部ケーシング(30)と、前面パネル(40)とを備え、これらが組み合わされて構成されている。上部ケーシング(30)は下部ケーシング(20)の上に固定されている。前面パネル(40)は、上部ケーシング(30)の上端部から下部ケーシング(20)の下端部までのほぼ全体を覆う縦長の4枚のプレート材(前板)で構成されている。前面パネル(40)は、上部ケーシング(30)と下部ケーシング(20)にまたがって装着されている。
【0020】
このケーシング(2)は、詳細は後述するが、下部ケーシング(20)と上部ケーシング(30)とを連結するための連結部(50)を備えている。
【0021】
上記室外機(1)には、圧縮機(3)、室外熱交換器(10)、室外膨張弁(図示せず)、アキュムレータ(4)、オイルセパレータ(5)などの冷媒回路の構成機器と、冷媒回路を制御するための電子部品が収容された制御機器(電装品ボックス(6))などの部品が設けられている。なお、上記室内機には、室内膨張弁、室内熱交換器などの機器が設けられる。
【0022】
上記室外熱交換器(10)は下部ケーシング(20)に設けられている。
図3は、室外熱交換器(10)を省略した状態で室外機(1)の内部の概略構造を示す斜視図、
図4は
図3のIV−IV線概略断面図である。室外熱交換器(10)は、
図2,
図4に示すように、第1ユニット(1A)に設けられる第1室外熱交換器(10a)と、第2ユニット(1B)に設けられる第2室外熱交換器(10b)とを含んでいる。各室外熱交換器(10)は、板状の3面の熱交換部(11)と、各熱交換部(11)の間の折り曲げ部(12)とを有し、平面視がU字状(「コ」の字状)に形成されている。
【0023】
各室外熱交換器(10)は、板状の3面の熱交換部(11)のうちの1面(後述する第1室外熱交換器(10a)の右側面及び第2室外熱交換器(10b)の左側面:
図4参照)が、後述する下部ケーシング(20)の右側面および左側面に近接して設置されている。上記各室外熱交換器(10)が下部ケーシング(20)の右側面および左側面に近接して設置されている面は、ケーシングの背面側の下部支柱(23)の真後ろから見たときに、
図4に示すように、下部ケーシング(20)の背面側に位置する後述する下部支柱(23)と重なっている。すなわち、室外熱交換器(10)を下部ケーシング(20)の背面側からスライドしてケーシングの外に取り外す場合、下部ケーシング(20)の背面側に位置する下部支柱(23)を取り外す必要があることになる。
【0024】
この室外熱交換器(10)は、詳細は省略するが、互いに平行に配置されて水平方向にのびる複数の扁平管の端部がヘッダ集合管(13)に接続された熱交換器であり、扁平管には多数のフィンが小さなピッチで取り付けられている。各室外熱交換器(10)は、扁平管が2列に配列された複数列型の熱交換器である。各室外熱交換器(10)は、それぞれ、ヘッダ集合管(13)が上下方向に沿った向きとなるように上記ケーシング(2)に装着されている(
図5参照)。
【0025】
上記室外機(1)には、上記圧縮機(3)として、第1圧縮機(3a)と第2圧縮機(3b)(各圧縮機(3)はカバーで覆われているため
図3では図示していない)が設けられており、それぞれ、下部ケーシング(20)に固定されている。アキュムレータ(4)やオイルセパレータ(5)、及び電装品ボックス(6)などの部品も下部ケーシング(20)に装着されている。
【0026】
上部ケーシング(30)には、空気を上向きに吹き出すように、回転の中心軸が上下方向にのびるファン(7)が収容されている。図示していないが、ファン(7)の下方にはファンモータが設けられている。ファン(7)を回転させると、上記ケーシング(2)の外部から室外熱交換器(10)を通って空気が下部ケーシング(20)内に吸い込まれ、吸い込まれた空気がファン(7)によって上部ケーシング(30)から上向きに吹き出される。
【0027】
〈下部ケーシング〉
図5は、下部ケーシング(20)を正面側から視た斜視図である。
図5には室外熱交換器(10)は示しているが、圧縮機(3)やその他の部品は省略している。下部ケーシング(20)は、長方形のベース部材(22)と、その四隅に立てられて上下方向に延在する4本の下部支柱(23)とを有している。ベース部材(22)と各下部支柱(23)とで囲まれた下部スペース(S1)(第1下部スペース(S1a)及び第2下部スペース(S1b))に、上記室外熱交換器(10)や圧縮機(3)などの部品が配置されている。
【0028】
上記ベース部材(22)は、室外機(1)の左右方向に凹凸が連続する底板(22a)と、底板(22a)の前縁部及び後縁部に固定された長尺の基礎脚(22b)と、底板(22a)の左右の側縁部に固定されたサイドステー(22c)とを有している。下部支柱(23)は、下部ケーシング(20)の部分拡大図である
図6に示すように、基礎脚(22b)とサイドステー(22c)に対して複数のビス(26)で固定されている。
【0029】
下部ケーシング(20)には、ベース部材(22)の前縁部の中央と後縁部の中央に、それぞれ、前面側支持板(24)と背面側支持板(25)とが設けられている。また、第1室外熱交換器(10a)及び第2室外熱交換器(10b)の外側の端部は、熱交換器連結部材(14)を介して上記下部支柱(23)に固定されている。
【0030】
以上説明したように、本実施形態では、下部ケーシング(20)は、上記の各構成部品が一体に組まれた構成のユニット(後述する下部ユニット(2A))として構成されている。
【0031】
〈上部ケーシング〉
図7は、上部ケーシング(30)を正面側から視た斜視図、
図8は、上部ケーシングの側面パネルを外側から視た斜視図、
図9は、上部ケーシングの側面パネルを内側から視た斜視図である。また、
図10は、上部ケーシングを正面方向から視た中央断面図、
図11は、上部ケーシングを側面方向から視た要部断面図である。
【0032】
上部ケーシング(30)には、上記第1ユニット(1A)と第2ユニット(1B)の両側で該上部ケーシング(30)内の下端部に設けられた2つのファンモータ支持台(31)にファンモータ(8)が固定され、各ファンモータ(8)の出力軸に上記ファン(7)が装着されている。ファン(7)の周囲には、その内側を空気が下から上へ流れるベルマウス(9)が設けられている。
【0033】
上部ケーシング(30)は、枠材(32a)と吹出グリル(32b)とから構成された天板(32)と、その四隅から下方にのびる4本の上部支柱(33)とを有している。天板(32)と上部支柱(33)とで囲まれた上部スペース(S2)(第1上部スペース(S2a)及び第2上部
スペース(S2b))に、上記ファン(7)やファンモータなどの部品が配置されている。
【0034】
上部ケーシング(30)の正面側と背面側には、それぞれ、左右の上部支柱(33)の下端部分同士を連結する横長補強部材であるステー(34)が設けられている(背面側のステー(34)は図示省略)。上部ケーシング(30)の左右方向の中央部には、上記枠材(32a)の前面部分とその下方のステー(34)との間、及び枠材(32a)の背面部分とその下方のステー(34)との間に、中央支柱(35)が接続されている。
【0035】
正面側のステー(34)と背面側のステー(34)は、それぞれ、断面がC形形状の部材(いわゆるチャンネル部材)である。正面側のステー(34)と背面側のステー(34)は、それぞれ、長手方向(室外機(1)の幅方向)に2分割されていて、正面側及び背面側とも、2本のステー(34)が室外機(1)の中央で連結されている。正面側のステー(34)と背面側のステー(34)は、室外機(1)の中央部において、
図7,
図10に示すように補強用のステー連結材(34a)で連結されている。
【0036】
上記ファンモータ支持台(31)は、
図11に示すように、正面側のステー(34)と背面側のステー(34)の鉛直面に対し、各ステー(34)の下部の内面側で固定されている。また、ベルマウス(9)は、チャンネル形状になった各ステー(34)の上面に締結されている。したがって、ファン(7),ファンモータ(8),ベルマウス(9)及びファンモータ支持台(31)は、天板(32)(吹出グリル(32b)),各上部支柱(33),各ステー(34),ステー連結材(34a),及び中央支柱(35)などの枠組みになる部材とともに、ケーシング(30)と一体になっている。
【0037】
上部ケーシング(30)は、左右の側面に装着される側面パネル(36)と、背面に装着される2枚の背面パネル(37)とを有し、側面パネル(36)もケーシングと一体に構成されている。上部ケーシング(30)の前面は、上述したように上部ケーシング(30)と下部ケーシング(20)にまたがって装着される前面パネル(前板)(40)により開口部が塞がれる。
【0038】
上部ケーシング(30)の側面パネル(36)は、
図8,
図9に示すように、上部ケーシング(30)の側面を覆う四角形状の側板(36a)と、該側板(36a)にその上辺で連接する上縁部(36b)と、該側板(36a)にその下辺で連接する下縁部(36c)と、該側板(36a)にその前辺で連接する前縁部(36d)と、該側板(36a)にその後辺で連接する後縁部(36e)とを有する浅いトレイ状の部材である。この側面パネル(36)には、側板(36a)の前後の端部の下側部分にボルト挿入孔(36f)が形成され、ボルト挿入孔(36f)の周囲は、取付ボルト(38)の頭部が側板(36a)より突出しないように形成された底面を有する凹陥部(36g)になっている。各凹陥部(36g)の底面は前縁部(36d)と後縁部(36e)にまでのびていて、前縁部(36d)と後縁部(36e)の両方に、上記凹陥部(36g)の深さに相当する段差が形成されている。なお、
図8,
図9は、平面部分と曲面部分との境界部などを、作図の便宜上、直線で表している。
【0039】
以上説明したように、本実施形態では、上部ケーシング(30)は、上記の各構成部品が一体に組まれた構成のユニット(後述する上部ユニット(2B))として構成されている。
【0040】
〈前面パネル〉
前面パネル(40)は、
図1の右側から左側へ向かって配置された、第1前板(41)、第2前板(42)、第3前板(43)、及び第4前板(44)を有している。前面パネル(40)には、連絡配管を通す配管用の開口や点検用の開口、及びカバープレートなどが設けられている。
【0041】
上述したように、前面パネル(40)の第1前板(41)、第2前板(42)、第3前板(43)、及び第4前板(44)は、それぞれが下部ケーシング(20)の下端から上部ケーシング(30)の上端までを覆う縦長のプレートである。この縦長のプレートを1枚取り外せば、下部スペース(S1)における圧縮機(3)などの機器や電装品ボックス(6)などの部品のうちの必要なものにアクセスでき、しかもファン(7)やファンモータにもアクセスできる。
【0042】
〈ケーシングの組み立て構造〉
上記下部ケーシング(20)には、内部に室外熱交換器(10)や圧縮機(3)などの冷媒回路構成部品と電装品ボックス(6)が収容され、下部ケーシング(20)と各種部品により下部ユニット(2A)が構成されている。一方、上記上部ケーシング(30)には、内部にファンモータやファン(7)などの機械部品が収容され、上部ケーシング(30)と各種部品により上部ユニット(2B)が構成されている。
【0043】
本実施形態では、
図13に示すように、下部ケーシング(20)と上部ケーシング(30)を連結するため、上記連結部(50)が設けられている(図はケーシング(2)の背面側の連結部(50)を示す)。この連結部(50)は、下部ケーシング(20)と上部ケーシング(30)の四隅に、それぞれ同じ構造で設けられている。
【0044】
連結部(50)として、上部ケーシング(30)の下端の四隅には後述する突出部(51)が設けられている。この突出部(51)を用いて上部ケーシング(30)を下部ケーシング(20)に取り付けるため、上部ケーシング(30)は、例えば天井クレーン等を用いて下部ケーシング(20)に取り付けられる。
【0045】
〈連結部(50)の構造〉
上記連結部(50)は、具体的には、上部支柱(33)の下端部を下部支柱(23)の上端部に連結するように構成されている。まず、上部支柱(33)の下端部には、上部ケーシング(30)の下面から下方へ突出する突出部(51)が形成されている。下部支柱(23)の上端部は、下部ケーシング(20)の上面とほぼ同一面、またはそれよりすこし下方に設けられており、かつ下部ケーシング(20)の上端部分に位置している。この下部支柱(23)の上端部は、上部支柱(33)の突出部(51)が締結ボルト(59)で接合される接合部(55)(
図14参照)になっている。そして、上記連結部(50)は、上部支柱(33)が有する上記突出部(51)と、該突出部(51)を下部支柱(23)に接合するための上記接合部(55)とで構成されている。
【0046】
下部支柱(23)は、
図16に示すように、下部第1平面(56a)、下部第2平面(56b)、下部第1接合面(56c)、下部第2接合面(56d)、及び下部斜面(56e)を有し、下部第1平面(56a)と下部第2平面(56b)の間に下部斜面(56e)が連接し、下部第1平面(56a)及び下部第2平面(56b)に対して下部第1接合面(56c)及び下部第2接合面(56d)がそれぞれケーシング(2)の奥側へ窪んだ位置に設けられた一体の部材である。
【0047】
この下部支柱(23)の接合部(55)には、その上端面に、上部ケーシング(30)が載置される載置面(57)が設けられている。この載置面(57)は、上記下部第1平面(56a)と下部第2平面(56b)と下部斜面(56e)の上端部をケーシング(2)の内側へ折り曲げることで形成されている。下部支柱(23)に形成されている上記載置面(57)には、
図15に示すように、上記側面パネル(36)の下端面である上記下縁部(36c)が載置される。
【0048】
上記突出部(51)は、下部第2平面(56b)に対してケーシング(2)の内側でかつ下部第2平面(56b)と平行な上部第1平面(52a)と、下部第1平面(56a)に対してケーシング(2)の内側で且つ下部第1平面(56a)と平行な上部第2平面(52b)と、上部第1平面(52a)に連接するとともに下部第1接合面(56c)に接合される上部第1接合面(52c)と、上部第2平面(52b)に連接するとともに下部第2接合面(56d)に接続される上部第2接合面(52d)とが一体に形成された部材である。上部第1平面(52a)、上部第2平面(52b)、上部第1接合面(52c)、及び上部第2接合面(52d)は、互いにほぼ直角に折り曲げ形成された部分である。この突出部(51)の下端は、天井クレーン等で吊り下げた上部ケーシング(30)を下部ケーシング(20)に取り付けるときに、上部支柱(33)の突出部(51)を下部支柱(23)の接合部(55)に挿入しやすくするために、先細のテーパ部(53)を有している。
【0049】
上部支柱(33)の突出部(51)と下部支柱(23)の接合部(55)は、
図14と、その要部正面図である
図17及び要部側面図である
図18に示すように、締結ボルト(59)により固定されている。この締結ボルト(59)を通すため、上部支柱(33)の突出部(51)と下部支柱(23)の接合部(55)には、ボルト取付穴(59a)が形成されている。この締結ボルト(59)により、上部ケーシング(30)が下部ケーシング(20)に固定される。逆に、締結ボルト(59)を外せば、上部ケーシング(30)を下部ケーシング(20)から分離することができる。
【0050】
なお、
図14〜
図16において、下部支柱(23)の上端から上方へ突出している傾斜面は、下部支柱(23)への上部支柱(33)への挿入をガイドする取り付け安定部として形成されている。
【0051】
また、上記締結ボルト(59)を除き、上部ケーシング(30)を下部ケーシング(20)に取り付けるボルトは基本的にケーシング(2)の前面または背面に設けられている。
【0052】
−ケーシング(2)の組み立て作業とメンテナンス作業−
この実施形態では、下部ユニット(2A)と上部ユニット(2B)を別々に組み立てて、その後に下部ユニット(2A)及び上部ユニット(2B)を一体にしてから前面パネル(40)を装着することで、室外機(1)の組み立てを行う。
【0053】
まず、下部ユニット(2A)では、下部ケーシング(20)内に室外熱交換器(10)や圧縮機(3)などの冷媒回路構成部品を収容し、下部ケーシング(20)と各種部品により下部ユニット(2A)の組み立て作業を行う。一方、上部ユニット(2B)では、上部ケーシング(30)内にファンモータやファン(7)などの機械部品を収容し、上部ケーシング(30)と各種部品により上部ユニット(2B)の組み立て作業を行う。
【0054】
上部ケーシング(30)は、
図12において、天井クレーン等で吊り下げられた状態で下部ケーシング(20)の上方に配置され、徐々に下降させて上部支柱(33)の下端部を下部支柱(23)の上端部に挿入することで1つのケーシング(2)として組み立てる。このとき、上部ケーシング(30)の下面から下方へ突出する突出部(51)を、下部支柱(23)の上端部である接合部(55)に位置を合わせながら作業を行い、その後、下部支柱(23)の接合部(55)と上部支柱(33)の突出部(51)を締結ボルト(59)で締結する(
図14,
図15参照)。
【0055】
図12において、一体化された下部ケーシング(20)及び上部ケーシング(30)に対して電装品ボックス(6)と前面パネル(40)が取り付けられる。また、上部ケーシング(30)には背面パネル(37)も取り付けられる。なお、背面パネル(37)は、可能であれば、上部ユニット(2B)を単体のユニットとして組み立てるときに、上部ケーシング(30)に取り付けておいてもよい。
【0056】
本開示の目的である室外熱交換器(10)のメンテナンスを行う場合は、以下の作業を行う。まず、前面パネル(40)をケーシング(2)から取り外す。次に、上部ケーシング(30)の側面パネル(36)と背面パネル(37)を取り外す。側面パネル(36)を取り外す場合は、側面パネル(36)に凹陥部(36g)を設けて該凹陥部(36g)の前縁または後縁をケーシング(2)の前面側または背面側に開放しているので、例えば複数台の室外機(1)が狭いクリアランスで並べて設置されている場合でも、
図19に示すように、凹陥部(36g)の取付ボルト(38)にケーシング(2)の前面側または背面側からスパナなどの工具(58)でアクセスし、取付ボルト(38)を容易に緩めることができる。
【0057】
前面側の取付ボルト(38)と背面側の取付ボルト(38)をケーシング(2)から抜き出すと、上部ケーシング(30)の側面パネル(36)をケーシング(2)から取り外すことができる。側面パネル(36)を取り外すと、連結部(50)の側面側の締結ボルト(59)には上方からアクセスできるので、この締結ボルト(59)も容易に取り外すことができる。
【0058】
締結ボルト(59)を取り外した後、上部ケーシング(30)をクレーン等により持ち上げることで下部ケーシング(20)から分離する。この実施形態では、下部支柱(23)と上部支柱(33)を締結する8箇所のボルト(59)を外すだけで、室外熱交換器(10)の上方に配置されるファン(7)及びファンモータ(8)周りの部品を含む上部ケーシング(30)を下部ケーシング(20)から容易に取り外すことができる。
【0059】
上部ケーシング(30)が下部ケーシング(20)から取り外されると、下部ケーシング(20)の上方は解放されるので、冷媒配管から切り離された状態の室外熱交換器(10)を持ち上げることで、室外熱交換器(10)をケーシング(2)から上方へ引き上げて取り外すことができる。
【0060】
また、上部ケーシング(30)を取り外すことにより、下部ケーシング(20)の下部支柱(23)にかかっていた荷重がなくなるため、基礎脚(22b)とサイドステー(22c)に締結している複数のビス(26)を取り外すことで、下部支柱(23)も容易に下部ケーシング(20)から取り外すことができる。特に、下部ケーシング(20)の背面側に設置される下部支柱(23)と背面側支持板(25)を取り外すことで、室外熱交換器(10)を背面側から外側へスライドして下部ケーシング(20)から取り外すことができ、室外熱交換器(10)を上方へ引き上げなくてよくなるため、さらに容易にメンテナンスすることが可能となる。
【0061】
−実施形態の効果−
この実施形態によれば、上記室外機(1)は、上記ケーシング(2)が、上下方向に延在する複数の下部支柱(23)で囲われた下部スペース(S1)に熱交換器(10)と圧縮機(3)とが配置される下部ケーシング(20)と、上下方向に延在する複数の上部支柱(33)で囲われた上部スペース(S2)にファン(7)が配置される上部ケーシング(30)と、上記下部支柱(22)と上記上部支柱(33)とを連結するための連結部(50)とを備えている。
【0062】
上部支柱(33)は、その下端部に、上記上部ケーシング(30)の下面から下方へ突出する突出部(51)を備え、上記下部支柱(23)の接合部(55)と、上記上部支柱(33)の突出部(51)とが連結されて、上部ケーシング(30)が下部ケーシング(20)に固定されるように構成されている。
【0063】
この実施形態によれば、下方へ突出する突出部(51)を有する上部ケーシング(30)を下部ケーシング(20)に載置し、下部ケーシング(20)に設けられている下部支柱(23)に、上部ケーシング(30)に設けられている上部支柱(33)の突出部(51)を連結部(50)で連結することにより、1つのケーシング(2)が形成される。このように、下部ケーシング(20)に上部ケーシング(30)を上から載せることで連結ないし組み立てを行えるので、室外熱交換器(10)を交換する場合、上部ケーシング(30)を下部ケーシング(20)から取り外すだけで、室外熱交換器(10)の上方に設けられる各種部品を外せるので、室外熱交換器(10)にアクセスすることが可能となり、メンテナンスの作業を容易に行える。
【0064】
また、突出部(51)の下端に先細のテーパ部(53)を形成し、上部支柱(33)の突出部(51)を下部支柱(23)の接合部(55)に挿入しやすくしているので、天井クレーン等で吊り下げた上部ケーシング(30)を、下部ケーシング(20)に装着する作業が容易に行える。
【0065】
この実施形態によれば、下部ユニット(2A)と上部ユニット(2B)を互いに別々に並行して製造し、その後に下部ユニット(2A)と上部ユニット(2B)を組み付けることで1台の室外機(1)を製造できる。したがって、1台の室外機を、1つのケーシング内にすべての部品を装着するこれまでの一般的な製造の仕方に比べて、製造時間を短縮できる。
【0066】
この実施形態によれば、下部支柱(23)の上端に、上部ケーシング(30)が載置される載置面(57)が形成され、より具体的には、上部ケーシング(30)に装着される側面パネル(36)の下端面である下縁部(36c)が載置される載置面(57)が形成されている。したがって、下部支柱(23)の上端に上部ケーシング(30)を容易に載せて支持できるし、上部ケーシング(30)から作用する荷重を十分に支持する構造を容易に実現できる。
【0067】
また、下部支柱(23)と上部支柱(33)は複数の折り曲げ部分を有する断面形状であり、座屈しにくい特性を有する。そして、この下部支柱(23)と上部支柱(33)を利用して上記連結部(50)を構成し、下部第1接合面(56c)と上部第1接合面(52c)を締結ボルト(59)で締結し、下部第2接合面(56d)と上部第2接合面(52d)を締結ボルト(59)で締結しているので、上部ケーシング(20)を下部ケーシング(30)に強固に取り付ける構成を容易に実現できる。
【0068】
また、上記連結部(50)の構成に関し、本実施形態では、上部ケーシング(30)の側面パネル(36)に、四角形状の側板(36a)と、その下辺に連接する下縁部(36c)とを設け、この下縁部(36c)を上記載置面(57)に載せるようにしているので、下部支柱(23)に支持される部分(側面パネル(37))が、上部ケーシング(30)に固定された部分ではなく上部ケーシング(30)から取り外し可能な部分になる。そして、側面パネル(36)を取り外すと、連結部(50)の側面側の締結ボルト(59)に上方からアクセスできるので、この締結ボルト(59)も容易に取り外すことができる。したがって、本実施形態によれば、複数の室外機(1)が並べて設置される場合であっても、室外機(1)の設置やメンテナンスを容易に行える。
【0069】
室外熱交換器(10)の交換時などの室外機(1)のメンテナンスに関し、これまでの一
般的な室外機を20mm程度の狭いクリアランスで並べて配置する場合、ケーシングの側面のボルトが室外機の中心付近に設けられていたため、上記クリアランスだと狭くてボルトを取り外すのが困難で、作業が非常に困難であった。これに対して、本実施形態では、ケーシング(2)の四隅に設けられている支柱(23,33)を利用して連結部(50)を構成することにより、締結ボルト(59)がケーシング(2)の前面や背面から容易に工具(スパナ)の届く範囲に位置することになり、締結ボルト(59)の着脱を容易に行える。また、上記締結ボルト(59)を外せば他の側面のボルトには上方から上記クリアランスに工具を差し込んでボルトを容易に着脱できるし、他のボルトはケーシング(2)の前面または背面に設けられているので、作業を容易に行える。
【0070】
本実施形態では、上記ケーシング(2)が、上部ケーシング(30)と下部ケーシング(20)にまたがって装着される前板(41〜44)を前面パネル(40)として有している。この構成では、下部ケーシング(20)に上部ケーシング(30)を取り付けて1つのケーシング(2)を構成した後に、前面パネル(40)を装着することによりケーシング(2)の開口部分が塞がれる。この前面パネルを取り外すと、下部ケーシング(20)から上部ケーシング(30)にわたる広い開口が現れるので、その点でもメンテナンス作業を容易に行える。
【0071】
また、前面パネル(40)が上部ケーシング(30)と下部ケーシング(20)にまたがって装着されているため、ケーシング(2)の強度を向上させる効果も有している。
【0072】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0073】
−第1変形例−
上記実施形態では、左右に配置された第1ユニット(1A)と第2ユニット(1B)とが一体になった室外機(1)について説明したが、本開示の室外機(1)は1つのユニットのみからなるものであってもよい。つまり、上記実施形態では、室外機(1)を2つの室外熱交換器(10a,10b)が設けられた構成としているが、室外機(1)は、1つの室外熱交換器(10)のみからなる構成にしてもよい。その場合、室外熱交換器の台数や大きさは、求められる室外熱交換器の能力に応じて定めればよい。
【0074】
−第2変形例−
上記実施形態では、平面視がU字型(「コ」の字型)の熱交換器(10)を有する室外機(1)を説明したが、ケーシング(2)が、圧縮機(3)や熱交換器(10)が収容される下部ケーシング(20)と、ファン(7)が収容される上部ケーシング(30)とを連結部(50)で連結する構成になっている限り、室外熱交換器(10)の形状や配置は変更してもよい。例えば、第1ユニット(1A)を1つだけ有する室外機(1)において、3枚の板状の熱交換器をケーシング(2)の3つの側面に配置してもよいし、1つの折り曲げ部を有するL形の熱交換器と板状の熱交換器を組み合わせて配置しても
よい。
【0075】
−
第3変形例−
上記実施形態では、前面パネル(40)が下部ケーシング(20)の下端部から上部ケーシング(30)の上端部までを覆うように、下部ケーシング(20)と上部ケーシング(30)にまたがる部材として形成しているが、前面パネル(40)を上下に分割し、それぞれを下部ケーシング(20)と上部ケーシング(30)に取り付けるようにしてもよい。
【0076】
−
第4変形例−
上記実施形態では、上部ケーシング(30)に突出部(51)を設け、下部ケーシング(20)に突出部(51)が接合される接合部(55)を設けているが、逆に、下部ケーシング(20)に上方へ突出する突出部(図示せず)を設け、上部ケーシング(30)に接合部(55)を設けてもよい。
【0077】
上記実施形態では、上記突出部(51)が上部ケーシング(30)から下方へ突出する構成において、上記接合部(22)は下部支柱(23)の端部であって下部ケーシング(20)よりも上方へ突出しない構成にしているが、この接合部(55)も下部ケーシング(20)から上方へ突出していてもよい。この構成では、上部ケーシング(30)には接合部(55)を受ける開口が形成される。この構成でも、上記と同様に突出部と接合部の位置関係を逆にして、突出部を下部ケーシング(20)に設け、接合部を上部ケーシング(30)に設けてもよい。また、突出部と接合部の組み合わせは、上記実施形態や変形例で説明した構成に限らず、適宜変更してもよい。
【0078】
上記実施形態では、
図16に示すように、上部支柱(33)と下部支柱(23)の接合面(52c,56c)(52d,56)同士を重ね合わせて締結ボルト(59)で連結する構成になっているが、上部支柱(33)と下部支柱(23)の一方を他方に挿入し、締結部材を用いて連結する構成にしてもよい。
【0079】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。