(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本開示の実施形態に係る空気調和機の室内機1を添付図面を参照して説明する。本実施形態の室内機1は、洗面所やキッチンなどの狭い空間の冷暖房に適した低能力室内機である。具体的には、本実施形態の室内機1の定格冷房能力は、0.8kwである。
【0019】
図1は、本開示の第1実施形態の空気調和機の室内機1を斜め下方から見た斜視図である。室内機1は、天井埋め込み型の室内機である。
【0020】
図1を参照すると、本実施形態の空気調和機の室内機1は、ケーシング本体10と、ケーシング本体10の下側に取り付けられた矩形状のパネル11と、パネル11に着脱可能に取り付けられたグリル12とを備えている。ケーシング本体10、パネル11、及びグリル12で室内機1のケーシングを構成している。
【0021】
ケーシング本体10は、下方が開口した箱状であり、図示しない天井に設けられた設置用開口に挿入されて設置されている。
【0022】
パネル11の長手方向の一方には、パネル11の短辺に沿って延在する吹出口11aが設けられている。また、パネル11の吹出口11aには、フラップ20が回動可能に取り付けられている。
図1では、フラップ20により吹出口11aが閉じられた状態を示す。
【0023】
また、室内機1は、ドレンソケット21と、配管接続部22,23とを備える。ドレンソケット21と、配管接続部22,23とは、ケーシング本体10から突出するように設けられている。ドレンソケット21は、外部からドレンホース(図示せず)が接続されている。また、配管接続部22,23は、外部から冷媒配管(図示せず)が接続されている。
【0024】
図2は、パネル11(
図1に示す)やドレンパン62(
図3に示す)などを外した状態の室内機1の下面図である。
図2において、
図1と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0025】
図2を参照すると、本実施形態の室内機1は、回転軸Rを中心に回転するターボファン100と、ターボファン100の回転軸Rの径方向における外側に配置されたコの字形状の熱交換器30と、熱交換器30の両端を連結する円弧状の仕切板40とを備える。熱交換器30の一端には、配管接続部22,23が接続されている。
【0026】
ターボファン100と熱交換器30との間の回転軸Rの径方向における距離Lは、回転軸Rの周方向に不均一な分布を有している。
【0027】
図3は、
図2のIII−III線に沿った断面図である。
図3において、
図1及び
図2と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0028】
図3を参照すると、室内機1は、ケーシング本体10内に、ターボファン100を駆動するモータ50と、ターボファン100に空気を案内するベルマウス60と、ベルマウス60とグリル12との間に配置されたフィルタ61とを備える。また、室内機1は、ケーシング本体10内かつ熱交換器30と仕切板40の下側にドレンパン62を備える。
【0029】
本実施形態のモータ50は、インナーロータ型のモータである。モータ50は、回転軸Rを中心に回転し、ターボファン100と連結されたシャフト51と、シャフト51と連結されたロータ52と、ロータ52を回転軸Rの径方向における外側から囲むように配置されたステータ53とを備える。モータ50のロータ52とステータ53とは、回転軸Rの軸方向に直交する方向から見て、ターボファン100と重ならないように配置されている。
【0030】
(ターボファン)
以下、本実施形態に係るターボファン100について添付の図面を参照して説明する。
【0031】
図4は、本実施形態に係るターボファン100の斜視図である。
図4では、シュラウド120の嵌合凹部122(
図5に示す)は、省略されている。
【0032】
図4を参照すると、ターボファン100は、回転軸Rを中心に回転する略円板形状の主板110と、主板110から回転軸Rの軸方向に間隔を開けて配置された円環状のシュラウド120と、主板110とシュラウド120との間に設けられた複数(本実施形態では7つ)の羽根部材130とを備える。主板110と、シュラウド120と、複数の羽根部材130とは、同軸状に配置されている。
【0033】
図5は、本実施形態に係るターボファン100の分解斜視図である。
図5において、
図4と同一の構成部には同一参照番号を付している。本実施形態のターボファン100の主板110と、シュラウド120と、羽根部材130とは、熱可塑性樹脂を用いて個別に射出成形された部材である。
【0034】
図5を参照すると、主板110は、板状の本体部111と、本体部111の中央部に立設された円錐台状の凸部112とを備える。
【0035】
主板110の本体部111は、環状部111aと、羽根部材130が嵌合可能な嵌合部111bとを備える。嵌合部111bは、回転軸Rの周方向に等間隔に羽根部材130の個数(本実施形態では7つ)だけ主板110の本体部111の周縁部に設けられている。嵌合部111bに羽根部材130が嵌合して溶着されることで、
図4に示すように、主板110の本体部111には、複数の羽根部材130が配置される。
【0036】
主板110の凸部112は、本体部111と接続する円錐面部112aと、円錐面部112aに接続する頂面部112bとを備える。凸部112の頂面部112bには、回転軸Rの軸方向に延びる突起部112cが立設されている。また、主板110の凸部112には、モータ50のシャフト51(
図3に示す)を固定するためのボス113が設けられている。
【0037】
本実施形態のシュラウド120は、吸込口121と、羽根部材130が嵌合可能な嵌合凹部122が設けられている。嵌合凹部122は、回転軸Rの周方向に等間隔に羽根部材130の個数(本実施形態では7つ)だけシュラウド120の周縁部に設けられている。また、嵌合凹部122は、異なる差込深さを有するように階段状に形成されている。
【0038】
羽根部材130は、板状の部材であり、風を押し出す正圧面130aと、正圧面130aの反対面である負圧面130bとを有する。羽根部材130は、主板110に設けられた嵌合部111bと嵌合可能に構成された主板側端部131と、シュラウド120に設けられた嵌合凹部122と嵌合可能に構成されたシュラウド側端部132とを備える。羽根部材130は、主板側端部131の後端縁131aが、回転軸Rの径方向において、主板110から突出するように主板110に取り付けられる(
図4参照)。また、本実施形態の羽根部材130は、シュラウド側端部132の後端縁132aが、シュラウド120の外周縁120aに接続されるように、シュラウド120に取り付けられる。
【0039】
図6は、ターボファン100の下面図である。
図6において、
図4及び
図5と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0040】
図6を参照すると、主板110(
図4に示す)の最大径D1は、シュラウド120の吸込口121の内径D2よりも大きく、かつ、羽根部材130の最大径D3よりも小さい。
【0041】
主板110の最大径D1とは、回転軸Rを中心に主板110を回転させたときの、主板110の最外周部の軌跡である仮想円VAの直径である。本実施形態のように、主板110が略円板状である場合、主板110の最大径D1は、主板110の直径と一致する。
【0042】
同様に、羽根部材130の最大径D3とは、回転軸Rを中心に羽根部材130を回転させたときの、羽根部材130の最外周部の軌跡である仮想円VBの直径である。
【0043】
図7は、
図6のVII−VII線に沿った断面図である。
図7に示す断面は、回転軸Rを含む平面に沿った断面である。
図2において、
図4から
図6と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0044】
図7を参照すると、主板110の本体部111の環状部111aは、回転軸Rを含む平面に沿った断面において、回転軸Rと交差する方向に延びる。本実施形態では、本体部111の環状部111aは、回転軸Rに直交する方向に延びている。すなわち、回転軸Rと本体部111の環状部111aが延びる方向とがなす角度θ1は、90°である。
【0045】
回転軸Rを含む平面に沿った断面において、回転軸Rと凸部112の円錐面部112aが延びる方向とがなす角度θ2は、回転軸Rと本体部111の環状部111aが延びる方向とがなす角度θ1よりも小さい。
【0046】
図3を参照すると、熱交換器30は、第1熱交換部30aと、第1熱交換部30aに連なる第2熱交換部30bとを備える。第1熱交換部30aは、回転軸Rの軸方向において、ターボファン100の主板110に対して、シュラウド120の側に延在している。第2熱交換部30bは、回転軸Rの軸方向において、ターボファン100の主板110に対して、シュラウド120の反対側に延在している。
【0047】
本実施形態では、ターボファン100と熱交換器30との間の回転軸Rの径方向における距離Lは、前述したように、回転軸Rの周方向において不均一な分布を有している。本実施形態の空気調和機の室内機1は、距離Lのうちの最小の距離Aの、熱交換器30の第2熱交換部30bの回転軸Rの軸方向における寸法Bに対する比A/Bが、
0<A/B<1
の条件を満たすように、構成されている。
【0048】
本実施形態のように、室内機1が低能力室内機である場合には、距離Lのうちの最小の距離Aの上限値は、60mm程度である。
【0049】
上記実施形態のターボファン100によれば、主板110の最大径D1を適切な範囲(D2<D1)に設定することで、シュラウド120の吸込口121から吸い込まれた空気が主板110に案内されて遠心方向に吹き出されるため、ターボファン100としての送風性能の低下を抑制できる。一方で、主板110の最大径D1を適切な範囲(D1<D3)に設定することで、ターボファン100からの吹出空気の一部を、回転軸Rに直交する平面に対して回転軸Rの軸方向における吸込口121とは反対側に傾いた方向(以下、「斜め方向」という)に吹き出すことができる。
【0050】
主板110の最大径D1がシュラウド120の吸込口121の内径D2よりも小さい場合では、シュラウド120の吸込口121から吸い込まれた空気の一部は、主板110に案内されることなく、ターボファン100から吹き出される。このため、回転軸Rに交差する方向に吹き出す空気の風量が低下し、ターボファン100としての送風性能が低下する。また、主板110の最大径D1が羽根部材130の最大径D3よりも大きい場合では、ターボファン100は、上記斜め方向に吹き出される吹出空気の風量を増加できない。
【0051】
上記実施形態のターボファン100によれば、羽根部材130は、主板側端部131の後端縁131aが主板110から回転軸Rの径方向外側に突出するように主板110に取り付けられているため、上記斜め方向に吹き出される吹出空気の風量を増加できる。
【0052】
上記実施形態のターボファン100によれば、回転軸Rを含む平面に沿った縦断面において、主板110の本体部111の環状部111aは、回転軸Rに直交する方向に延びる。これにより、シュラウド120の吸込口121から吸い込まれた空気は、主板110の本体部111の環状部111aによって、遠心方向に案内される。このため、ターボファン100としての送風性能を確保できる。
【0053】
また、本実施形態のように、室内機1が低能力室内機である場合には、製品サイズを小さくする必要があるため、熱交換器や仕切板のようなターボファンの周囲を囲む構成要素と、ターボファンとの間の距離が小さい。このような低能力室内機に、吹出空気を遠心方向に吹き出す一般的なターボファンを搭載した場合には、ターボファンから吹き出される吹出空気が熱交換器に到達するまでに十分に拡散されず、吹出空気が熱交換器の一部のみを通過するため、通風抵抗や空調性能について問題がある。また、ターボファンから吹き出されて熱交換器に到達する吹出空気の平均風速が大きくなるため、ターボファンの周囲の圧力が増加し、ターボファンの回転数に応じた離散周波数騒音が生じるという問題がある。
【0054】
上記実施形態の空気調和機の室内機1によれば、ターボファン100は、吹出空気の一部を上記斜め方向に吹き出すことができる。このため、ターボファン100からの吹出空気は、ターボファン100の回転軸Rの径方向における外側に配置された熱交換器30の第1熱交換部30aを通過するとともに、第2熱交換部30bを通過する。すなわち、第2熱交換部30bを通過する風量が増大する。これにより、ターボファン100からの吹出空気が熱交換器30全体を通過する風の偏りが小さくなって通風抵抗を低減でき、熱交換器30と吹出空気との熱交換を促進できるので、空調性能を向上できる。
【0055】
上記実施形態の空気調和機の室内機1によれば、ターボファン100は、吹出空気の一部を上記斜め方向に吹き出すことができるため、吹出空気を回転軸Rの軸方向に分散することができる。これにより、ターボファン100から吹き出される吹出空気の平均風速を低減し、ターボファン100の周囲の圧力の増加を抑制でき、ターボファン100の回転数に応じた離散周波数騒音を抑制できる。
【0056】
以下に説明する第2実施形態では、第1実施形態と同一ないし同様の要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。さらに、第2実施形態では、特に言及する点を除いて、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0057】
[第2実施形態]
本実施形態のターボファン100は、主板の形状を除いて第1実施形態のターボファン100と同一の構成をしている。
【0058】
図8は、本実施形態に係るターボファン100の斜視図である。
図8において、
図1から
図7と同一の構成部には同一参照番号を付している。
図8では、シュラウド120の嵌合凹部122(
図5に示す)は、省略されている。
【0059】
図8を参照すると、本実施形態のターボファン100の主板210は、羽根部材130の主板側端部131の後端縁131aが接続する部分において回転軸Rの径方向外側に凸となる形状を有している。
【0060】
図9は、本実施形態の主板210の平面図である。
図9では、羽根部材130を模式的に2点鎖線で示す。
図9において、
図1から
図8と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0061】
以下、主板210を、
図9に示すように、羽根部材130のそれぞれの正圧面130aに隣接する第1部分210aと、羽根部材130のそれぞれの負圧面130bに隣接する第2部分210bとに分けて考える。ここで、回転軸Rの周方向に隣接する2つの羽根部材130の間における主板210の第1部分210aと第2部分210bとの間の境界は、回転軸Rの周方向に隣接する2つの羽根部材130の中間位置を表す仮想的な中間線Gである。主板210の第1部分210aの最小半径RAは、主板210の第2部分210bの最小半径RBよりも大きい。ここで、主板210の第1部分210aの最小半径RAは、主板210の第1部分210aにおける、回転軸Rから主板210の外形までの最小の距離である。同様に、主板210の第2部分210bの最小半径RBは、主板210の第2部分210bにおける、回転軸Rから主板210の外形までの最小の距離である。
【0062】
本実施形態のように、主板210の外形が円形でない場合には、主板210の最大径D1とは、前述したように、回転軸Rを中心に主板210を回転させたときの、主板210の最外周部210cの軌跡である仮想円VAの直径である。
【0063】
上記実施形態によれば、羽根部材130の正圧面130a側と比較して、送風性能への寄与が少ない羽根部材130の負圧面130b側から、回転軸Rに直交する平面に対して回転軸Rの軸方向における吸込口121とは反対側に傾いた方向(斜め方向)に吹出空気を吹き出せる。このため、ターボファン100としての送風性能の低下を抑制しつつ、上記斜め方向に吹き出される吹出空気の風量を増加できる。
【0064】
[第3実施形態]
本実施形態のターボファン100は、羽根部材の形状を除いて第1実施形態のターボファン100と同一の構成をしている。
【0065】
図10は、本実施形態のターボファン100の斜視図である。
図10では、シュラウド120の嵌合凹部122(
図5に示す)は、省略されている。
【0066】
図10を参照すると、本実施形態の羽根部材330は、主板側端部331の後端縁331aが、主板110の外周縁に一致するように、主板110に取り付けられている。
【0067】
本実施形態のターボファン100は、第1実施形態のターボファン100と同様の作用効果を奏する。
【0068】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0069】
例えば、上記第1〜第3実施形態では、羽根部材は7つであったが、羽根部材の数はこれに限定されない。
【0070】
また、本開示に係るターボファンは、空気調和機の室内機以外に適用されてもよい。
【0071】
本開示に係るターボファンを駆動するモータは、インナーロータ型に限定されず、アウターロータ型のモータであってもよい。