特許第6673401号(P6673401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673401
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】加工システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20200316BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20200316BHJP
   B23Q 7/14 20060101ALI20200316BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   B23Q7/04 M
   B23Q11/00 N
   B23Q7/04 J
   B23Q7/14
   B25J13/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-110108(P2018-110108)
(22)【出願日】2018年6月8日
(65)【公開番号】特開2019-209454(P2019-209454A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2019年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 純
(72)【発明者】
【氏名】鶴原 隆
(72)【発明者】
【氏名】工藤 加寿弘
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−080042(JP,A)
【文献】 特開2005−118930(JP,A)
【文献】 特開平08−243891(JP,A)
【文献】 特開平03−170281(JP,A)
【文献】 特開平02−311240(JP,A)
【文献】 特開2016−168661(JP,A)
【文献】 特開2018−024094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00 − 7/18
B23Q 11/00
B25J 13/00
B24B 41/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに加工を行う加工部と、前記加工部による加工中の前記ワークにクーラントを供給するためのクーラント供給部とを有し、前記ワークの加工及び洗浄を行う加工装置と、
前記ワークを支持するための治具の状態を、前記ワークをクランプしたクランプ状態と、前記ワークのクランプを解除した解除状態とに切り替えるクランプ状態切替装置と、
前記ワーク及び前記治具の少なくとも一方を搬送するロボットと、
前記ワークをクランプした前記治具を前記加工装置に搬入するように前記ロボットを制御する搬入制御部と、
前記ワークをクランプした前記治具を前記加工装置から搬出して前記クランプ状態切替装置に搬送するように前記ロボットを制御する搬出制御部と、
前記ワークをクランプした前記治具の状態を前記クランプ状態から前記解除状態に切り替えるように前記クランプ状態切替装置を制御する解除制御部と、
前記ワークをクランプしていた前記治具を当該ワークから分離した状態で前記加工装置内に配置するように前記ロボットを制御する分離配置制御部と、
前記ワークから分離した状態で前記加工装置内に配置された前記治具に、前記クーラント供給部により前記クーラントを供給するように前記加工装置を制御する治具洗浄制御部と、を備える加工システム。
【請求項2】
前記分離配置制御部は、前記ワークをクランプしていた前記治具と、当該ワークとを分離して前記加工装置内及び前記加工装置外にそれぞれ配置するように前記ロボットを制御する、請求項1記載の加工システム。
【請求項3】
前記治具から分離して前記加工装置外に配置された前記ワークを洗浄するように前記ロボットを制御するワーク洗浄制御部を更に備える、請求項2記載の加工システム。
【請求項4】
前記分離配置制御部は、
前記ワークを前記解除状態で支持した前記治具を前記加工装置に搬入するように前記ロボットを制御する再搬入制御部と、
前記治具を前記加工装置内に残して前記ワークを前記加工装置から搬出するように前記ロボットを制御する分離搬出制御部と、を有する、請求項2又は3記載の加工システム。
【請求項5】
前記治具から分離して前記加工装置外に配置された前記ワークを前記加工装置に搬入して前記解除状態の前記治具に設置するように前記ロボットを制御する再設置制御部と、
前記ワークを前記解除状態で支持した前記治具を前記加工装置から搬出して前記クランプ状態切替装置に搬送する再搬出制御部と、
前記ワークを支持した前記治具の状態を前記解除状態から前記クランプ状態に切り替えるように前記クランプ状態切替装置を制御する再クランプ制御部と、を更に備える請求項4記載の加工システム。
【請求項6】
前記治具にクランプされた前記ワークに前記加工装置による加工とは別の後加工を行うように前記ロボットを制御する後加工制御部を更に備え、
前記搬入制御部は、他のワークをクランプした他の治具を前記加工装置に搬入するように前記ロボットを制御することを更に実行し、
前記後加工制御部は、前記加工装置が前記他のワークに加工を行っている期間において、前記治具にクランプされた前記ワークに後加工を行うように前記ロボットを制御する、請求項5記載の加工システム。
【請求項7】
前記加工装置が前記他のワークに加工を行っている期間において、後加工後の前記ワークをクランプした前記治具を前記クランプ状態から前記解除状態に切り替えるように前記クランプ状態切替装置を制御する再解除制御部と、
前記加工装置が前記他のワークに加工を行っている期間において、前記解除状態の前記治具を前記クランプ状態切替装置に残して後加工後の前記ワークを当該治具から分離するように前記ロボットを制御する再分離制御部と、
前記加工装置が前記他のワークに加工を行っている期間において、後加工後の前記ワークから分離して前記クランプ状態切替装置に残った前記治具に更なる洗浄を行うように前記ロボットを制御する後洗浄制御部と、を更に備える、請求項6記載の加工システム。
【請求項8】
搬送対象が前記治具であるか、前記ワークであるかに応じて、前記治具の搬送用のツールと前記ワークの把持用のツールとを持ち替えるように前記ロボットを制御するツールチェンジ制御部を更に備える、請求項1〜7のいずれか一項記載の加工システム。
【請求項9】
前記加工装置は、前記加工部による加工中の前記ワークの姿勢を変更するための姿勢変更部を更に有し、
前記治具洗浄制御部は、前記姿勢変更部により前記治具を回転させながら前記クーラント供給部により前記治具に前記クーラントを供給するように前記加工装置を制御する、請求項記載の加工システム。
【請求項10】
前記分離配置制御部は、前記加工装置による加工が前記治具と前記ワークとの間の空間に加工屑を進入させる加工を含まない場合には、前記ワークをクランプしていた前記治具を当該ワークから分離した状態で前記加工装置内に配置するように前記ロボットを制御することを実行しない、請求項1〜のいずれか一項記載の加工システム。
【請求項11】
前記治具は、油圧により前記ワークをクランプするように構成され、
前記クランプ状態切替装置は、クランプ用の油圧を前記治具に付加することで前記解除状態を前記クランプ状態に切り替え、クランプ用の油圧を前記治具から解放することで前記クランプ状態を前記解除状態に切り替えるように構成されている、請求項1〜10のいずれか一項記載の加工システム。
【請求項12】
ワークに加工を行う加工部と、前記加工部による加工中の前記ワークにクーラントを供給するためのクーラント供給部とを有する加工装置に、前記ワークをクランプした治具を搬入するようにロボットを制御することと、
前記ワークをクランプした前記治具を前記加工装置から搬出してクランプ状態切替装置に搬送するように前記ロボットを制御することと、
前記ワークをクランプした前記治具の状態を、前記ワークをクランプしたクランプ状態から、前記ワークのクランプを解除した解除状態に切り替えるように前記クランプ状態切替装置を制御することと、
前記ワークをクランプしていた前記治具を当該ワークから分離した状態で前記加工装置内に配置するように前記ロボットを制御することと、
前記ワークから分離した状態で前記加工装置内に配置された前記治具に、前記クーラント供給部により前記クーラントを供給するように前記加工装置を制御することと、を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加工テーブルを備えた加工機と、切粉回収ハンドを備えるロボットと、ワークの加工により加工テーブル上の切粉堆積量に応じて切粉の回収が必要であるか否かを判定し、切粉の回収が必要である場合には、加工の完了後にロボットを動作させて切粉を切粉回収ハンドにより回収する制御部と、を備える加工機システムが開示されている。また、特許文献1には、ロボットの先端部に移動可能に設けられた清掃ブラシを更に備え、制御部が、ロボットによってワークを加工テーブルの固定治具から取り外してから、清掃ブラシによって固定治具を清掃する加工機システムも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-168661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、加工屑の堆積抑制と、生産効率との両立に有効な加工システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る加工システムは、ワークの加工及び洗浄を行う加工装置と、ワークを支持するための治具の状態を、ワークをクランプしたクランプ状態と、ワークのクランプを解除した解除状態とに切り替えるクランプ状態切替装置と、ワーク及び治具の少なくとも一方を搬送するロボットと、ワークをクランプした治具を加工装置に搬入するようにロボットを制御する搬入制御部と、ワークをクランプした治具を加工装置から搬出してクランプ状態切替装置に搬送するようにロボットを制御する搬出制御部と、ワークをクランプした治具の状態をクランプ状態から解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置を制御する解除制御部と、ワークをクランプしていた治具を当該ワークから分離した状態で加工装置内に配置するようにロボットを制御する分離配置制御部と、ワークから分離した状態で加工装置内に配置された治具を洗浄するように加工装置を制御する治具洗浄制御部と、を備える。
【0006】
本開示の他の側面に係る制御方法は、ワークをクランプした治具を加工装置に搬入するようにロボットを制御することと、ワークをクランプした治具を加工装置から搬出してクランプ状態切替装置に搬送するようにロボットを制御することと、ワークをクランプした治具の状態を、ワークをクランプしたクランプ状態から、ワークのクランプを解除した解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置を制御することと、ワークをクランプしていた治具を当該ワークから分離した状態で加工装置内に配置するようにロボットを制御することと、ワークから分離した状態で加工装置内に配置された治具を洗浄するように加工装置を制御することと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、加工屑の堆積抑制と、生産効率との両立に有効な加工システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】加工システムの構成を例示する図である。
図2】加工装置の構成を例示する図である。
図3】治具の保持爪の駆動機構を例示する図である。
図4】クランプ状態切替装置の構成を例示する図である。
図5】ロボットの構成を例示する図である。
図6】フォークの構成を例示する図である。
図7】後加工ツールの構成を例示する図である。
図8】集塵装置の構成を例示する図である。
図9】後加工ステージの構成を例示する図である。
図10】制御システムの機能上の構成を例示するブロック図である。
図11】治具とワークとの間の空間に加工屑を進入させる加工を例示する図である。
図12】制御システムのハードウェア構成を例示するブロック図である。
図13】制御システムが実行する制御手順を例示するフローチャートである。
図14】制御システムが実行する制御手順を例示するフローチャートである。
図15】制御システムが実行する制御手順を例示するフローチャートである。
図16】制御システムが実行する制御手順を例示するフローチャートである。
図17】制御手順の変形例を示すフローチャートである。
図18】制御手順の変形例を示すフローチャートである。
図19】制御手順の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
〔加工システム〕
本実施形態に係る加工システム1は、加工装置によるワークの加工に加え、加工装置へのワークの搬入・搬出を繰り返し自動実行するシステムである。
【0011】
図1に示すように、加工システム1は、加工装置100と、パレット10と、クランプ状態切替装置200と、ロボット400と、集塵装置500と、後加工ステージ600と、反転台40と、制御システム700とを備える。以下、各部の構成を詳細に説明する。
【0012】
加工装置100はワーク20の加工及び洗浄を行う。パレット10は、加工装置100による加工の対象となる複数のワーク20を支持する。図示のように、加工システム1は複数のパレット10を備えていてもよい。
【0013】
クランプ状態切替装置200は、加工装置100内においてワーク20を支持するための治具300の状態を、ワーク20をクランプしたクランプ状態と、ワーク20のクランプを解除した解除状態とに切り替える。図示のように、加工システム1は複数(例えば二台)のクランプ状態切替装置200を備えていてもよい。
【0014】
ロボット400は、ワーク20及び治具300の少なくとも一方を搬送する。集塵装置500は、加工後のワーク20に付着していた加工屑を集める。後加工ステージ600は、加工装置100による加工とは別の後加工を行うためにワーク20を保持する。
【0015】
反転台40は、ロボット400によるワーク20の持ち直しに際して、ワーク20を仮置きするための台である。ロボット400によるワーク20の持ち直しが必要となる場合としては、ロボット400によるワーク20の保持姿勢を反転させる場合等が挙げられる。
【0016】
制御システム700は、加工装置100、クランプ状態切替装置200、ロボット400、集塵装置500及び後加工ステージ600を制御する。以下、加工装置100、クランプ状態切替装置200、ロボット400、集塵装置500、後加工ステージ600及び制御システム700の構成を詳細に説明する。
【0017】
(加工装置)
加工装置100は、例えばワーク20に対して切削加工を行う。切削加工用の加工装置100の具体例としては、マシニングセンタ、NC旋盤等が挙げられる。また、加工装置100は、ワーク20の洗浄も行う。ここでの「洗浄」は、ワーク20の表面から加工屑を除去することを意味する。潤滑・冷却用のクーラントの供給によっても、ワーク20の表面の加工屑は除去される。従って、潤滑・冷却用のクーラントの供給も「洗浄」に含まれる。
【0018】
例えば加工装置100は、図2に示すように、治具300と、治具保持部150と、加工部110と、クーラント供給部120と、配置変更部130と、姿勢変更部140とを有する。
【0019】
治具保持部150は、ワーク20をクランプするための治具300をエアチャック等により着脱自在に保持する。換言すると、治具保持部150は、治具300を介してワーク20を保持する。このため、治具保持部150を変更することなく、治具300のみを変更することで多品種のワーク20を保持することが可能となっている。また、治具保持部150に対し治具300を着脱自在であるため、治具300の変更も容易である。
【0020】
治具300は、ワーク20をクランプしたクランプ状態と、ワーク20のクランプを解除した解除状態とを切り替えるように構成されている。例えば治具300は、油圧によりワーク20をクランプするように構成されており、油圧の付加及び解放によってクランプ状態と解除状態とを切り替えることが可能となっている。例えば治具300は、ベース301と、複数のクランプ部302とを有する。ベース301はワーク20を支持する。複数のクランプ部302は、ベース301が支持するワーク20をベース301上にクランプ(固定)する。
【0021】
図3に示すように、複数のクランプ部302のそれぞれは、保持爪310と、シリンダ部320とを有する。保持爪310は、リンク機構を介してベース301に接続されており、ワーク20をベース301側に押し付ける保持位置(図3の(a)参照)と、ベース301から離れたワーク20を解放する解放位置(図3の(b)参照)との間で可動となっている。
【0022】
シリンダ部320は、保持位置と解放位置との間で、油圧により保持爪310を移動させる。例えばシリンダ部320は、ベース301に設けられベース301の上面に開口した収容穴321と、収容穴321に収容されたプランジャ322とを有し、収容穴321内の油圧によってプランジャ322をベース301上に出没させる。
【0023】
治具300は、複数のクランプ部302のシリンダ部320に対する油圧の付加及び解放を可能にするために、加減圧口金350と、圧力伝達管路340と、加減圧バルブ351とを更に有する。加減圧口金350は、油圧の付加及び解放を行うための口金である。圧力伝達管路340は、各シリンダ部320の収容穴321と加減圧口金350とを接続する管路であり、油圧を発生させるための駆動油を導く。加減圧バルブ351は、加減圧口金350内の駆動油の流路を開閉する。
【0024】
加減圧口金350に対する油圧の付加及び解放は、加工装置100外に設置されたクランプ状態切替装置200(後述)によって行われる。このため、加減圧口金350に対する油圧の付加及び解放を加工装置100内で行う必要はない。このことは、加工装置100の簡素化又は小型化に寄与する。
【0025】
なお、治具300は、油圧の付加及び解放とは別の手法によってクランプ状態及び解除状態を切り替えるように構成されていてもよい。例えば治具300は、ボルトを締め込むか緩めるかによってクランプ状態及び解除状態を切り替えるように構成されていてもよい。
【0026】
図2に戻り、加工部110は、治具保持部150が保持する治具300にクランプされたワーク20(以下、加工装置100の説明においては単に「ワーク20」という。)に加工を行う。例えば加工部110は、ツール保持部111と、回転駆動部112と、昇降駆動部113とを有する。
【0027】
ツール保持部111は、治具保持部150の上方において、加工用の工具115を保持する。工具115の具体例としては、ドリル、エンドミル及びフライスカッター等の切削工具が挙げられる。回転駆動部112は、電動モータ等を動力源とし、工具115と共にツール保持部111を回転させる。昇降駆動部113は、電動モータ等を動力源とし、工具115と共にツール保持部111を昇降させる。
【0028】
クーラント供給部120は、少なくとも加工部110による加工中のワーク20にクーラントを供給する。クーラントは、加工中のワーク20の潤滑及び冷却等のための流体である。クーラントの具体例としては、切削油等の液体が挙げられる。クーラントは気体であってもよい。例えばクーラント供給部120は、ノズル121と、クーラント供給源122と、ポンプ123と、バルブ124とを有する。ノズル121は、ワーク20に向けてクーラントを吐出する。ノズル121から吐出されたクーラントは、ワーク20に加え治具300にも供給される。クーラント供給源122は、ノズル121に吐出用のクーラントを供給する。ポンプ123は、クーラント供給源122からノズル121にクーラントを圧送する。バルブ124は、ポンプ123からノズル121へのクーラントの流路を開閉する。
【0029】
配置変更部130は、加工部110による加工中のワーク20の位置を変更する。配置変更部130は、例えば電動モータなどを動力源にして治具保持部150を水平方向に移動させ、工具115に対するワーク20の相対位置を調節する。
【0030】
姿勢変更部140は、加工部110による加工中のワーク20の姿勢を変更する。例えば姿勢変更部140は、電動モータ等を動力源にして治具保持部150を回転させ、工具115に対するワーク20の相対姿勢を調節する。姿勢変更部140は、少なくとも一軸線(例えば鉛直軸線)まわりに治具保持部150を回転させるように構成されていてもよく、互いに交差する二以上の軸線まわりに治具保持部150を回転させるように構成されていてもよい。
【0031】
(クランプ状態切替装置)
クランプ状態切替装置200は、治具300の状態を、上記クランプ状態と上記解除状態とに切り替える。クランプ状態切替装置200は、クランプ用の油圧を治具300に付加することで解除状態をクランプ状態に切り替え、クランプ用の油圧を治具300から解放することでクランプ状態を解除状態に切り替えるように構成されていてもよい。例えばクランプ状態切替装置200は、図4に示すように、治具保持部210と加減圧部220とを有する。
【0032】
治具保持部210は、例えばエアチャック等により治具300を着脱自在に保持する。加減圧部220は、治具保持部210により保持された治具300に対し油圧の付加又は解放を行う。例えば加減圧部220は、口金接続部223と、シリンダ221とを有する。
【0033】
口金接続部223は、加減圧口金350に接続されて加減圧バルブ351を開く。シリンダ221は、圧力伝達管路222を介して口金接続部223に接続され、駆動油の吐出又は吸引を行う。シリンダ221が駆動油を吐出すると、圧力伝達管路222、口金接続部223、加減圧口金350及び圧力伝達管路340を介して駆動油がシリンダ部320に送り込まれる。これにより、シリンダ部320に油圧が付加される。シリンダ221が駆動油を吸引すると、圧力伝達管路222、口金接続部223、加減圧口金350及び圧力伝達管路340を介して駆動油がシリンダ部320から吸い出される。これにより、シリンダ部320の油圧が解放される。
【0034】
なお、治具300が、ボルトによってクランプ状態及び解除状態を切り替えるように構成されている場合、クランプ状態切替装置200は、ボルトを締め込むか緩めるかによってクランプ状態と解除状態とを切り替えるように構成されていてもよい。
【0035】
(ロボット)
図5に示すように、ロボット400は、例えば6軸の垂直多関節ロボットであり、基部410と、ツール保持部420と、多関節アーム430とを有する。基部410は、ロボット400の作業エリアにおいて例えば床面に設置されている。多関節アーム430は、基部410及びツール保持部420を接続する。多関節アーム430は複数の関節を有し、当該複数の関節の動作角度を変更することで基部410に対するツール保持部420の位置及び姿勢を変更する。
【0036】
例えば多関節アーム430は、旋回部431と、第一アーム432と、第二アーム433と、手首部434と、アクチュエータ451,452,453,454,455,456とを有する。旋回部431は、鉛直な軸線Ax1まわりに旋回可能となるように、基部410の上部に設けられている。すなわち多関節アーム430は、軸線Ax1まわりに旋回部431を旋回可能とする関節441を有する。
【0037】
第一アーム432は、軸線Ax1に交差(例えば直交)する軸線Ax2まわりに揺動可能となるように旋回部431に接続されている。すなわち多関節アーム430は、軸線Ax2まわりに第一アーム432を揺動可能とする関節442を有する。なお、ここでの交差とは、所謂立体交差のように、互いにねじれの関係にある場合も含む。以下においても同様である。
【0038】
第二アーム433は、軸線Ax1に交差する軸線Ax3まわりに揺動可能となるように、第一アーム432の端部に接続されている。すなわち多関節アーム430は、軸線Ax3まわりに第二アーム433を揺動可能とする関節443を有する。軸線Ax3は軸線Ax2に平行であってもよい。
【0039】
手首部434は、旋回アーム435及び揺動アーム436を有する。旋回アーム435は、第二アーム433の中心に沿って第二アーム433の端部から延出しており、第二アーム433の中心に沿う軸線Ax4まわりに旋回可能である。すなわち多関節アーム430は、軸線Ax4まわりに旋回アーム435を旋回可能とする関節444を有する。
【0040】
揺動アーム436は、軸線Ax4に交差(例えば直交)する軸線Ax5まわりに揺動可能となるように旋回アーム435の端部に接続されている。すなわち多関節アーム430は、軸線Ax5まわりに揺動アーム436を揺動可能とする関節445を有する。
【0041】
ツール保持部420は、揺動アーム436の中心に沿う軸線Ax6まわりに旋回可能となるように、揺動アーム436の端部に接続されている。すなわち多関節アーム430は、軸線Ax6まわりにツール保持部420を旋回可能とする関節446を有する。
【0042】
アクチュエータ451,452,453,454,455,456は、例えば電動モータを動力源とし、多関節アーム430の複数の関節441,442,443,444,445,446をそれぞれ駆動する。例えばアクチュエータ451は、軸線Ax1まわりに旋回部431を旋回させ、アクチュエータ452は軸線Ax2まわりに第一アーム432を揺動させ、アクチュエータ453は軸線Ax3まわりに第二アーム433を搖動させ、アクチュエータ454は軸線Ax4まわりに旋回アーム435を旋回させ、アクチュエータ455は軸線Ax5まわりに揺動アーム436を揺動させ、アクチュエータ456は軸線Ax6まわりにツール保持部420を旋回させる。すなわちアクチュエータ451〜456は、関節441〜446をそれぞれ駆動する。
【0043】
ツール保持部420は、ロボット400の作業内容に応じて、複数種類のツールいずれかを着脱自在に保持する。例えばツール保持部420は、電磁式又は機械式の着脱機構によってツールを保持する。ツール保持部420は、ツールにガスを供給するためのガス供給源421と、ガス供給源421から供給されるガスの流路を開閉するバルブ422とを有してもよい。
【0044】
ツール保持部420が保持する複数種類のツールは、少なくとも、ワーク20を保持するためのハンド460と、治具300を支持するためのフォーク470とを含む。複数種類のツールは、ワーク20に対して後加工(加工装置100による加工とは別の加工)を行うための後工程ツール480を更に含んでもよい。ハンド460は、本体461と、複数の指部462とを有する。
【0045】
複数(例えば二本)の指部462は、ワーク20の配置領域を囲む(又は挟む)ように配置され、それぞれ本体461に接続されている。本体461はツール保持部420に装着され、例えば電動モータを駆動源として複数の指部462を駆動する。本体461は、ワーク20を把持する際に複数の指部462を互いに近付け、ワーク20を解放する際に複数の指部462を互いに遠ざける。
【0046】
図6の(a)に示すように、フォーク470は、装着部472と、フォーク本体471とを有する。装着部472はツール保持部420に装着される。フォーク本体471は、装着部472からツール保持部420の逆側に突出し、搬送対象の治具300の下に差し込まれる。
【0047】
図6の(b)に平面図として示すように、フォーク本体471は、装着部472からツール保持部420の逆側に突出したすくい根474と、すくい根474から更に突出した複数(例えば二本)のすくい473とを有する。
【0048】
図7に示すように、後工程ツール480は、例えば加工装置100により加工されたワーク20のバリ取りを行うためのツールである。例えば後工程ツール480は、ツール本体481と、装着部483と、保持部482と、ブローノズル484とを有する。ツール本体481は、バリ取り用のチップ485と、チップ485を回転させる回転駆動部486とを含む。装着部483はツール保持部420に装着される。保持部482は、装着部483からツール保持部420の逆側に突出し、ツール本体481を保持する。ブローノズル484は、ガス供給源421により供給されたガスを、ツール本体481による加工対象側に吐出する。
【0049】
ツール保持部420により保持されないときに、ハンド460、フォーク470及び後工程ツール480は、基部410の周囲に設けられたツール保管部491,492,493(図1参照)にそれぞれ配置される。
【0050】
上述したロボット400の構成はあくまで一例である。ロボット400は、基部410に対するツール保持部420の位置及び姿勢を多関節アーム430により変更する限りいかに構成されていてもよい。例えばロボット400は、上記6軸の垂直多関節ロボットに冗長軸を追加した7軸のロボットであってもよい。
【0051】
(集塵装置)
集塵装置500は、ハンド460に保持されたワーク20にガスを吹き付けることによって、当該ワーク20に付着していた加工屑を落下させて回収する。図8に示すように、集塵装置500は、例えば集塵容器510と、排気ファン520と、複数のブローノズル540と、ガス供給源550と、バルブ560とを有する。
【0052】
集塵容器510は、上方に開口しており、ワーク20から落下した加工屑を収容する。排気ファン520は、集塵容器510内の気体を排気ダクト530に送り出すことによって、上方から集塵容器510内に下降する気流を形成する。複数のブローノズル540は、集塵容器510内に設けられ、それぞれワーク20に吹き付けるためのガスを吐出する。ガス供給源550は、複数のブローノズル540にガスを供給する。バルブ560は、ガス供給源550から複数のブローノズル540へのガスの流路を開閉する。
【0053】
(後加工ステージ)
後加工ステージ600は、ロボット400が後工程ツール480を用いてワーク20の後加工を行う際に、治具300を介して当該ワーク20を保持する。図9に示すように、後加工ステージ600は、例えば治具保持部610と、旋回駆動部630と、傾動駆動部620とを有する。
【0054】
治具保持部610は、ワーク20をクランプした治具300をエアチャック等により着脱自在に保持する。旋回駆動部630は、例えば電動モータ等を動力源として治具保持部610を旋回させ、これによりワーク20を旋回させる。例えば旋回駆動部630は、治具保持部610が保持する治具300のベース301に垂直な軸線まわりに治具保持部610を旋回させる。傾動駆動部620は、水平な軸線周りに旋回駆動部630を回転させ、これによりワーク20を傾ける。
【0055】
(制御システム)
制御システム700は、ワーク20をクランプした治具300を加工装置100に搬入するようにロボット400を制御することと、ワーク20をクランプした治具300を加工装置100から搬出してクランプ状態切替装置200に搬送するようにロボット400を制御することと、ワーク20をクランプした治具300の状態を、ワーク20をクランプしたクランプ状態から、ワーク20のクランプを解除した解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200を制御することと、ワーク20をクランプしていた治具300を当該ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置するようにロボット400を制御することと、ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置された治具300を洗浄するように加工装置100を制御することと、を実行するように構成されている。
【0056】
例えば制御システム700は、図10に示すように、ロボット400を制御するロボットコントローラ710と、加工装置100を制御する加工装置コントローラ740と、プログラマブルロジックコントローラ730(以下、「PLC730」と記載する。)とを有する。
【0057】
PLC730は、ロボットコントローラ710及び加工装置コントローラ740に対する指令と、クランプ状態切替装置200、集塵装置500及び後加工ステージ600に対する指令とを生成する。
【0058】
なお、ロボット400及びロボットコントローラ710はロボットシステム30を構成する。すなわち加工システム1は、ロボット400及びロボットコントローラ710を有するロボットシステム30を備えている。
【0059】
例えばロボットコントローラ710は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、設置制御部711と、搬入制御部712と、搬出制御部713と、分離配置制御部714と、ワーク洗浄制御部715と、再設置制御部716と、再搬出制御部717と、後加工制御部718と、再分離制御部719と、後洗浄制御部721と、ツールチェンジ制御部722とを有する。
【0060】
設置制御部711は、治具300がクランプ状態切替装置200に配置された状態にて、加工対象のワーク20をパレット10から当該治具300上に搬送するようにロボット400を制御する。搬入制御部712は、ワーク20をクランプした治具300をクランプ状態切替装置200から加工装置100に搬入するようにロボット400を制御する。搬出制御部713は、ワーク20をクランプした治具300を加工装置100から搬出してクランプ状態切替装置200に搬送するようにロボット400を制御する。
【0061】
分離配置制御部714は、加工装置100がワーク20に加工を行う際に当該ワーク20をクランプしていた治具300を、当該ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置するようにロボット400を制御する。分離配置制御部714は、加工装置100がワーク20に加工を行う際に当該ワーク20をクランプしていた治具300と、当該ワーク20とを分離して加工装置100内及び加工装置100外にそれぞれ配置するようにロボット400を制御してもよい。
【0062】
例えば分離配置制御部714は、より細分化された機能モジュールとして、再搬入制御部723と分離搬出制御部724とを有する。再搬入制御部723は、ワーク20を解除状態で支持した治具300をクランプ状態切替装置200から加工装置100に搬入するようにロボット400を制御する。分離搬出制御部724は、ワーク20を解除状態で支持していた治具300を加工装置100内に残して当該ワーク20を加工装置100から搬出するようにロボット400を制御する。
【0063】
分離配置制御部714は、加工装置100による加工が治具300とワーク20との間の空間に加工屑を進入させる加工を含まない場合には、ワーク20をクランプしていた治具300を当該ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置するようにロボット400を制御することを実行しなくてもよい。
【0064】
図11は、治具300とワーク20との間の空間に加工屑を進入させる加工を例示する図である。ワーク20は端面21と、端面21に開口した穴22とを有している。ワーク20は、端面21をベース301に向けた状態で治具300に保持されている。このため、穴22が、治具300とワーク20との間の空間となっている。このような状態にて、工具115を穴22内に到達させる加工を実行すると、穴22内に加工屑が進入することとなる。
【0065】
図10に戻り、ワーク洗浄制御部715は、治具300から分離して加工装置100外に配置されたワーク20を洗浄するようにロボット400を制御する。ここでの「洗浄」も、ワーク20の表面から加工屑を除去することを意味する。ワーク20を洗浄するようにロボット400を制御することは、必ずしもロボット400自体によって洗浄を実行させることに限られない。例えば、ロボット400とは別の装置が洗浄を実行する場合において、当該洗浄用の位置にワーク20を保持するようにロボット400を制御することも、ワーク20を洗浄するようにロボット400を制御することに含まれる。
【0066】
具体的に、ワーク洗浄制御部715は、集塵装置500の複数のブローノズル540から吐出されたガスが吹き付けられる位置にワーク20を搬送し、当該位置にワーク20を保持するようにロボット400を制御する。ワーク洗浄制御部715は、ワーク20の姿勢を変更することで、ガスに晒される箇所を変更するようにロボット400を制御してもよい。
【0067】
再設置制御部716は、治具300から分離して加工装置100外に配置されたワーク20を加工装置100に搬入して解除状態の治具300に設置するようにロボット400を制御する。再搬出制御部717は、ワーク20を解除状態で支持した治具300を加工装置100から搬出してクランプ状態切替装置200に搬送する。
【0068】
後加工制御部718は、治具300にクランプされたワーク20に加工装置100による加工とは別の後加工を行うようにロボット400を制御する。例えば後加工制御部718は、ワーク20をクランプした治具300をクランプ状態切替装置200から後加工ステージ600に搬送した後、当該治具300が後加工ステージ600に保持された状態にて、当該ワーク20にバリ取り加工を行うようにロボット400を制御する。ワーク20に後加工を行うようにロボット400を制御することは、必ずしもロボット400自体によって後加工を実行させることに限られない。例えば、ロボット400とは別の装置が後加工を実行する場合において、当該装置にワーク20を搬送するようにロボット400を制御することも、ワーク20に後加工を行うようにロボット400を制御することに含まれる。後加工制御部718は、加工装置100が他のワーク20に加工を行っている期間において、治具300にクランプされたワーク20に後加工を行うようにロボット400を制御してもよい。
【0069】
再分離制御部719は、加工装置100が他のワーク20に加工を行っている期間において、解除状態の治具300をクランプ状態切替装置200に残して後加工後のワーク20を当該治具300から分離するようにロボット400を制御する。再分離制御部719は、解除状態の治具300から分離したワーク20をパレット10に返送するようにロボット400を制御してもよい。
【0070】
後洗浄制御部721は、加工装置100が他のワーク20に加工を行っている期間において、後加工後のワーク20から分離してクランプ状態切替装置200に残った治具300に更なる洗浄を行うようにロボット400を制御する。ここでの「洗浄」は、治具300の表面から加工屑を除去することを意味する。例えば後洗浄制御部721は、後工程ツール480のブローノズル484から吐出されるガスを治具300に吹き付けるようにロボット400を制御する。治具300を洗浄するようにロボット400を制御することは、必ずしもロボット400自体によって洗浄を実行させることに限られない。例えば、ロボット400とは別の装置が洗浄を実行する場合において、当該洗浄用の位置に治具300を保持するようにロボット400を制御することも、治具300を洗浄するようにロボット400を制御することに含まれる。
【0071】
ツールチェンジ制御部722は、ロボット400の作業内容に応じて、上記複数種類のツールを持ち替えるようにロボット400を制御する。例えばツールチェンジ制御部722は、搬送対象が治具300であるか、ワーク20であるかに応じて、治具300の搬送用のフォーク470とワーク20の把持用のハンド460とを持ち替えるようにロボット400を制御する。
【0072】
ツールチェンジ制御部722は、ロボット400の作業内容が治具300の搬送であるか、ワーク20の搬送であるか、後加工の実行であるかに応じて、ハンド460と、フォーク470と、後工程ツール480とを持ち替えるようにロボット400を制御してもよい。例えば、ハンド460をフォーク470に持ち替えるようにロボット400を制御することは、ハンド460をツール保管部491に搬送してツール保持部420によるハンド460の保持を解除するようにロボット400を制御することと、ツール保管部492のフォーク470を保持し得る位置にツール保持部420を配置するようにロボット400を制御することと、ツール保持部420によりフォーク470を保持させるようにロボット400を制御することとを含む。フォーク470を後工程ツール480に持ち替える場合、ハンド460を後工程ツール480に持ち替える場合、フォーク470をハンド460に持ち替える場合、後工程ツール480をフォーク470に持ち替える場合、後工程ツール480をハンド460に持ち替える場合についても同様である。
【0073】
加工装置コントローラ740は、機能モジュールとして、加工制御部741と、治具洗浄制御部742とを有する。加工制御部741は、治具300にクランプされたワーク20に加工部110による加工を行うように加工装置100を制御する。加工制御部741は、姿勢変更部140により治具300の姿勢を変更しながら、ワーク20に加工部110による加工を行うように加工装置100を制御してもよい。ここでの「姿勢を変更しながら」は、必ずしも治具300の姿勢変更と、ワーク20への加工とが同時に行われることを意味するわけではない。「姿勢を変更しながら」は、治具300の姿勢変更と、ワーク20への加工とを交互に繰り返すような場合も含んでいる。
【0074】
治具洗浄制御部742は、ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置された治具300を洗浄するように加工装置100を制御する。例えば治具洗浄制御部742は、クーラント供給部120により治具300にクーラントを供給するように加工装置100を制御する。治具洗浄制御部742は、姿勢変更部140により治具300を回転させながらクランプ状態切替装置200により治具300にクーラントを供給するように加工装置100を制御してもよい。
【0075】
PLC730は、機能モジュールとして、クランプ制御部732と、解除制御部733と、再クランプ制御部734と、再解除制御部735と、ステージ制御部736と、集塵制御部737と、シーケンス管理部731とを有する。
【0076】
クランプ制御部732は、加工装置100による加工対象のワーク20を支持した治具300の状態を解除状態からクランプ状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200を制御する。解除制御部733は、加工装置100による加工後のワーク20をクランプした治具300の状態をクランプ状態から解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200を制御する。再クランプ制御部734は、ワーク20を支持した洗浄後の治具300の状態を解除状態からクランプ状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200を制御する。再解除制御部735は、加工装置100が他のワーク20に加工を行っている期間において、後加工後のワーク20をクランプした治具300をクランプ状態から解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200を制御する。
【0077】
集塵制御部737は、ロボット400が洗浄対象のワーク20を集塵装置500に配置するタイミングに合わせて、排気ファン520を動作させ、複数のブローノズル540からワーク20にガスを吹き付けるように集塵装置500を制御する。
【0078】
ステージ制御部736は、ロボット400が後加工対象のワーク20をクランプした治具300を後加工ステージ600に配置するタイミングに合わせて、治具保持部610により治具300を保持させるように後加工ステージ600を制御する。また、ステージ制御部736は、ロボット400が当該ワーク20の後加工を実行するのに合わせて傾動駆動部620及び旋回駆動部630によりワーク20の姿勢を変更するように後加工ステージ600を制御する。
【0079】
シーケンス管理部731は、ロボットコントローラ710の各機能モジュールと、加工装置コントローラ740の各機能モジュールと、PLC730の上記各機能モジュールとによる制御が予め設定された順序で実行されるように、各機能モジュールによる制御の実行タイミングを管理する。
【0080】
図12は、制御システム700のハードウェア構成を例示するブロック図である。制御システム700は、回路800を有する。回路800は、プロセッサ801と、メモリ802と、ストレージ803と、モータドライバ804と、入出力ポート805とを有する。ストレージ803は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、ワーク20をクランプした治具300を加工装置100に搬入するようにロボット400を制御することと、ワーク20をクランプした治具300を加工装置100から搬出してクランプ状態切替装置200に搬送するようにロボット400を制御することと、ワーク20をクランプした治具300の状態を、ワーク20をクランプしたクランプ状態から、ワーク20のクランプを解除した解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200を制御することと、ワーク20をクランプしていた治具300を当該ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置するようにロボット400を制御することと、ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置された治具300を洗浄するように加工装置100を制御することと、を制御システム700に実行させるためのプログラムを記憶している。
【0081】
記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ802は、ストレージ803からロードしたプログラム及びプロセッサ801による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ801は、メモリ802と協働して上記プログラムを実行することで、回路800の各機能モジュールを構成する。モータドライバ804は、プロセッサ801からの指令に従って、ロボット400及び加工装置100の各アクチュエータに駆動信号を出力する。入出力ポート805は、プロセッサ801からの指令に従って、クランプ状態切替装置200、集塵装置500及び後加工ステージ600との間で電気信号の入出力を行う。
【0082】
より具体的に、回路800は、ロボットコントローラ710を構成する回路810と、加工装置コントローラ740を構成する回路830と、PLC730を構成する回路820とを含んでいる。
【0083】
回路810は、一つ又は複数のプロセッサ811と、メモリ812と、ストレージ813と、モータドライバ814と、通信ポート815とを有する。ストレージ813は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、ロボットコントローラ710の各機能モジュールとしての処理をロボットコントローラ710に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ812は、ストレージ813の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ811による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ811は、メモリ812と協働して上記プログラムを実行することで、回路810の各機能モジュールを構成する。モータドライバ814は、プロセッサ811からの指令に従って、ロボット400の各アクチュエータに駆動信号を出力する。通信ポート815は、プロセッサ811からの指令に従って、加工装置コントローラ740及びPLC730との間で情報通信を行う。
【0084】
回路830は、一つ又は複数のプロセッサ831と、メモリ832と、ストレージ833と、モータドライバ834と、通信ポート835とを有する。ストレージ833は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、加工装置コントローラ740の各機能モジュールとしての処理を加工装置コントローラ740に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ832は、ストレージ833の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ831による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ831は、メモリ832と協働して上記プログラムを実行することで、回路830の各機能モジュールを構成する。モータドライバ834は、プロセッサ831からの指令に従って、加工装置100の各アクチュエータに駆動信号を出力する。通信ポート835は、プロセッサ831からの指令に従って、ロボットコントローラ710及びPLC730との間で情報通信を行う。
【0085】
回路820は、一つ又は複数のプロセッサ821と、メモリ822と、ストレージ823と、入出力ポート824と、通信ポート815とを有する。ストレージ823は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、PLC730の各機能モジュールとしての処理をPLC730に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ822は、ストレージ823の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ821による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ821は、メモリ822と協働して上記プログラムを実行することで、回路820の各機能モジュールを構成する。入出力ポート824は、プロセッサ821からの指令に従って、クランプ状態切替装置200、集塵装置500及び後加工ステージ600との間で電気信号の入出力を行う。通信ポート825は、プロセッサ821からの指令に従って、ロボットコントローラ710及びPLC730との間で情報通信を行う。
【0086】
〔制御方法〕
続いて、制御方法の一例として、制御システム700が実行する制御手順を例示する。この制御手順は、ワーク20をクランプした治具300を加工装置100に搬入するようにロボット400を制御することと、ワーク20をクランプした治具300を加工装置100から搬出してクランプ状態切替装置200に搬送するようにロボット400を制御することと、ワーク20をクランプした治具300の状態を、ワーク20をクランプしたクランプ状態から、ワーク20のクランプを解除した解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200を制御することと、ワーク20をクランプしていた治具300を当該ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置するようにロボット400を制御することと、ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置された治具300を洗浄するように加工装置100を制御することと、を含む。
【0087】
以下、より詳細な制御手順を例示する。この手順においては、二台のクランプ状態切替装置200と、二つの治具300とを用いる。そこで、便宜上二台のクランプ状態切替装置200をクランプ状態切替装置200A,200Bとして区別し、二つの治具300を治具300A,300Bとして区別する。
【0088】
図13に示すように、制御システム700は、まずステップS01を実行する。ステップS01では、ツールチェンジ制御部722が、ツール保持部420によりハンド460を保持するようにロボット400を制御する。ステップS01の開始時に、ツール保持部420がフォーク470を保持している場合、ツールチェンジ制御部722は、フォーク470をツール保管部492に搬送してツール保持部420によるフォーク470の保持を解除するようにロボット400を制御する。ステップS01の開始時に、ツール保持部420が後工程ツール480を保持している場合、ツールチェンジ制御部722は、後工程ツール480をツール保管部493に搬送してツール保持部420による後工程ツール480の保持を解除するようにロボット400を制御する。その後ツールチェンジ制御部722は、ツール保管部491のハンド460を保持し得る位置にツール保持部420を配置し、ツール保持部420によりハンド460を保持させるようにロボット400を制御する。
【0089】
制御システム700は、次に、ステップS02,S03,S04を実行する。ステップS02では、設置制御部711が、治具300Aがクランプ状態切替装置200Aに配置され、治具300Bがクランプ状態切替装置200Bに配置された状態にて、加工対象のワーク20をパレット10から当該治具300A上に搬送するようにロボット400を制御する。ステップS03では、クランプ制御部732が、治具300Aの状態を解除状態からクランプ状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200Aを制御する。ステップS04では、ツールチェンジ制御部722が、ハンド460をフォーク470に持ち替えるようにロボット400を制御する。より具体的には、ツールチェンジ制御部722は、ハンド460をツール保管部491に搬送してツール保持部420によるハンド460の保持を解除するようにロボット400を制御する。その後、ツールチェンジ制御部722は、ツール保管部492のフォーク470を保持し得る位置にツール保持部420を配置し、ツール保持部420によりフォーク470を保持させるようにロボット400を制御する。
【0090】
制御システム700は、次に、ステップS05,S06,S07,S08を実行する。ステップS05では、搬入制御部712が、治具300Aをクランプ状態切替装置200Aから加工装置100に搬入するようにロボット400を制御する。ステップS06では、加工制御部741が、治具300Aにクランプされたワーク20に加工部110による加工を行うように加工装置100を制御する。ステップS06における加工は治具300Aとワーク20との間の空間に加工屑を進入させる加工を含まない。ステップS07では、搬出制御部713が、治具300Aを加工装置100から搬出してクランプ状態切替装置200Aに搬送するようにロボット400を制御する。ステップS08では、解除制御部733が、治具300Aの状態をクランプ状態から解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200Aを制御する。上述したように、ステップS06における加工は治具300Aとワーク20との間の空間に加工屑を進入させる加工を含まない。このため、分離配置制御部714は、治具300Aを当該ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置するようにロボット400を制御することを実行しない。
【0091】
図14に示すように、制御システム700は、次にステップS11を実行する。ステップS11では、ツールチェンジ制御部722が、フォーク470をハンド460に持ち替えるようにロボット400を制御する。より具体的には、ツールチェンジ制御部722は、フォーク470をツール保管部492に搬送してツール保持部420によるフォーク470の保持を解除するようにロボット400を制御する。その後、ツールチェンジ制御部722は、ツール保管部491のハンド460を保持し得る位置にツール保持部420を配置し、ツール保持部420によりハンド460を保持させるようにロボット400を制御する。
【0092】
制御システム700は、次に、ステップS12,S13を実行する。ステップS12では、設置制御部711が、治具300A上のワーク20をハンド460により把持し、治具300B上に移動させるようにロボット400を制御する。この際、設置制御部711は、ワーク20の上下を反転させるようにロボット400を制御する。ワーク20の上下を反転させる際に、ツール保持部111は、反転台40にワーク20を仮置きしてハンド460による持ち直しを行わせるようにロボット400を制御してもよい。ステップS13では、クランプ制御部732が、治具300Bの状態を解除状態からクランプ状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200Bを制御する。
【0093】
制御システム700は、次に、ステップS14,S15,S16,S17を実行する。ステップS14では、ツールチェンジ制御部722が、ハンド460をフォーク470に持ち替えるようにロボット400を制御する。より具体的には、ツールチェンジ制御部722は、ハンド460をツール保管部491に搬送してツール保持部420によるハンド460の保持を解除するようにロボット400を制御する。その後、ツールチェンジ制御部722は、ツール保管部492のフォーク470を保持し得る位置にツール保持部420を配置し、ツール保持部420によりフォーク470を保持させるようにロボット400を制御する。ステップS15では、搬入制御部712が、治具300Bをクランプ状態切替装置200Bから加工装置100に搬入するようにロボット400を制御する。ステップS16では、加工制御部741が、治具300Bにクランプされたワーク20に加工部110による加工を行うように加工装置100を制御する。ステップS16における加工は治具300Bとワーク20との間の空間に加工屑を進入させる加工を含む。ステップS17では、搬出制御部713が、治具300Bを加工装置100から搬出してクランプ状態切替装置200Bに搬送するようにロボット400を制御する。
【0094】
図15に示すように、制御システム700は、次にステップS21を実行する。ステップS21では、解除制御部733が、治具300Bの状態をクランプ状態から解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200Bを制御する。上述したように、ステップS16における加工は治具300Bとワーク20との間の空間に加工屑を進入させる加工を含む。このため、分離配置制御部714は、以下に示すように、治具300Bを当該ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置するようにロボット400を制御することを実行する。
【0095】
制御システム700は、次に、ステップS22,S23,S24を実行する。ステップS22では、再搬入制御部723が、治具300Bをクランプ状態切替装置200Bから加工装置100に搬入するようにロボット400を制御する。ステップS23では、ツールチェンジ制御部722が、フォーク470をハンド460に持ち替えるようにロボット400を制御する。より具体的には、ツールチェンジ制御部722は、フォーク470をツール保管部492に搬送してツール保持部420によるフォーク470の保持を解除するようにロボット400を制御する。その後、ツールチェンジ制御部722は、ツール保管部491のハンド460を保持し得る位置にツール保持部420を配置し、ツール保持部420によりハンド460を保持させるようにロボット400を制御する。ステップS24では、分離搬出制御部724が、治具300Bを加工装置100内に残して当該ワーク20を加工装置100から搬出するようにロボット400を制御する。
【0096】
制御システム700は、次に、ステップS25を実行する。ステップS25では、ワーク洗浄制御部715が、治具300から分離して加工装置100外に配置されたワーク20を洗浄するようにロボット400を制御する。例えばワーク洗浄制御部715は、集塵装置500の複数のブローノズル540から吐出されたガスが吹き付けられる位置にワーク20を搬送し、当該位置にワーク20を保持するようにロボット400を制御する。その後、当該位置にワーク20が配置されるタイミングに合わせ、集塵制御部737は、排気ファン520を動作させ、複数のブローノズル540からワーク20にガスを吹き付けるように集塵装置500を制御する。ワーク洗浄制御部715は、ワーク20の姿勢を変更することで、ガスに晒される箇所を変更するようにロボット400を制御してもよい。ワーク20の洗浄が完了すると、集塵制御部737は、排気ファン520の動作、及び複数のブローノズル540からのガスの吐出を停止させるように集塵装置500を制御する。一方、治具洗浄制御部742は、ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置された治具300を洗浄するように加工装置100を制御する。
【0097】
制御システム700は、次に、ステップS26,S27,S28を実行する。ステップS26では、再設置制御部716が、ワーク20を加工装置100に搬入して解除状態の治具300Bに設置するようにロボット400を制御する。ステップS27では、ツールチェンジ制御部722が、ハンド460をフォーク470に持ち替えるようにロボット400を制御する。より具体的には、ハンド460をツール保管部491に搬送してツール保持部420によるハンド460の保持を解除するようにロボット400を制御する。その後、ツールチェンジ制御部722は、ツール保管部492のフォーク470を保持し得る位置にツール保持部420を配置し、ツール保持部420によりフォーク470を保持させるようにロボット400を制御する。ステップS28では、再搬出制御部717が、治具300Bを加工装置100から搬出してクランプ状態切替装置200Bに搬送するようにロボット400を制御する。
【0098】
図16に示すように、制御システム700は、次にステップS31,S32を実行する。ステップS31では、再クランプ制御部734が、治具300Bの状態を解除状態からクランプ状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200Bを制御する。ステップS32では、後加工制御部718が、治具300Bをクランプ状態切替装置200Bから後加工ステージ600に搬送するようにロボット400を制御する。その後、ステージ制御部736が、治具300Bを治具保持部610により保持させるように後加工ステージ600を制御する。
【0099】
制御システム700は、次にステップS33,S34を実行する。ステップS33では、ツールチェンジ制御部722が、フォーク470を後工程ツール480に持ち替えるようにロボット400を制御する。より具体的には、ツールチェンジ制御部722は、フォーク470をツール保管部492に搬送してツール保持部420によるフォーク470の保持を解除するようにロボット400を制御する。その後、ツールチェンジ制御部722は、ツール保管部493の後工程ツール480を保持し得る位置にツール保持部420を配置し、ツール保持部420により後工程ツール480を保持させるようにロボット400を制御する。ステップS34では、後加工制御部718が、治具300Bにクランプされたワーク20にバリ取り加工を行うようにロボット400を制御する。このとき、ステージ制御部736が、ロボット400が当該ワーク20の後加工を実行するのに合わせて傾動駆動部620及び旋回駆動部630によりワーク20の姿勢を変更するように後加工ステージ600を制御する。
【0100】
制御システム700は、次にステップS35,S36,S37,S38を実行する。ステップS35では、ツールチェンジ制御部722が、後工程ツール480をフォーク470に持ち替えるようにロボット400を制御する。より具体的には、ツールチェンジ制御部722は、後工程ツール480をツール保管部493に搬送してツール保持部420による後工程ツール480の保持を解除するようにロボット400を制御する。その後、ツールチェンジ制御部722は、ツール保管部492のフォーク470を保持し得る位置にツール保持部420を配置し、ツール保持部420によりフォーク470を保持させるようにロボット400を制御する。ステップS36では、ステージ制御部736が、治具保持部610による治具300Bの保持を解除させるように後加工ステージ600を制御する。その後、後加工制御部718が、治具300Bを後加工ステージ600からクランプ状態切替装置200Bに搬送する。ステップS37では、再解除制御部735が、治具300Bをクランプ状態から解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200Bを制御する。ステップS38では、ツールチェンジ制御部722が、フォーク470をハンド460に持ち替えるようにロボット400を制御する。より具体的には、ツールチェンジ制御部722は、フォーク470をツール保管部492に搬送してツール保持部420によるフォーク470の保持を解除するようにロボット400を制御する。その後、ツールチェンジ制御部722は、ツール保管部491のハンド460を保持し得る位置にツール保持部420を配置し、ツール保持部420によりハンド460を保持させるようにロボット400を制御する。
【0101】
制御システム700は、次にステップS39,S41,S42を実行する。ステップS39では、再分離制御部719が、治具300Bをクランプ状態切替装置200Bに残して後加工後のワーク20を当該治具300Bから分離し、パレット10に返送するようにロボット400を制御する。ステップS41では、ツールチェンジ制御部722が、ハンド460を後工程ツール480に持ち替えるようにロボット400を制御する。より具体的には、ツールチェンジ制御部722は、ハンド460をツール保管部491に搬送してツール保持部420によるハンド460の保持を解除するようにロボット400を制御する。その後、ツールチェンジ制御部722は、ツール保管部493の後工程ツール480を保持し得る位置にツール保持部420を配置し、ツール保持部420により後工程ツール480を保持させるようにロボット400を制御する。ステップS42では、後洗浄制御部721が、クランプ状態切替装置200Bに残った治具300Bに更なる洗浄を行うようにロボット400を制御する。例えば後洗浄制御部721は、後工程ツール480のブローノズル484から吐出されるガスを治具300Bに吹き付けるようにロボット400を制御する。以上で一つのワーク20に対する加工用の制御手順が完了する。
【0102】
制御システム700は、一つのワーク20(以下、「先のワーク20」という。)に対する加工用の制御手順の途中で、他のワーク20(以下、「次のワーク20」という。)に対する加工用の制御を開始するように構成されていてもよい。
【0103】
図17に示すように、先のワーク20に対するステップS12が完了した後に、先のワーク20のステップS13に並行して次のワークのステップS02を実行してもよい。すなわち、先のワーク20が治具300Aから治具300Bに移された後、治具300Bの状態が解除状態からクランプ状態に切り替えられるのに並行して、設置制御部711が次のワーク20をパレット10から当該治具300A上に搬送するようにロボット400を制御する。この場合、既にツール保持部420がハンド460を保持した状態にてステップS02が実行されるので、ステップS01を省略可能である。
【0104】
図18に示すように、先のワーク20に対するステップS16の実行中に、次のワーク20に対するステップS01〜S04を実行してもよい。この場合、ステップS01の省略はできないが、ステップS16における加工の待機時間を有効活用することができる。
【0105】
図19に示すように、ステップS28の後、先のワーク20に対するステップS31に並行して次のワーク20に対するステップS05を実行し、次のワーク20に対するステップS06の実行中に先のワーク20に対するステップS32〜S42を実行してもよい。すなわち、治具300Bにクランプされた先のワーク20に後加工を行うようにロボット400を制御することと、治具300Bをクランプ状態切替装置200Bに残して後加工後の先のワーク20を当該治具300Bから分離するようにロボット400を制御することと、後加工後の先のワーク20から分離してクランプ状態切替装置200Bに残った治具300Bに更なる洗浄を行うようにロボット400を制御することと、を加工装置100が次のワーク20に加工を行っている期間に実行するように構成されていてもよい。この場合、次のワークに対するステップS07の実行の前に、制御システム700は、ステップS51を実行する。ステップS51では、ツールチェンジ制御部722が、後工程ツール480をフォーク470に持ち替えるようにロボット400を制御する。
【0106】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、加工システム1は、ワーク20の加工及び洗浄を行う加工装置100と、ワーク20を支持するための治具300の状態を、ワーク20をクランプしたクランプ状態と、ワーク20のクランプを解除した解除状態とに切り替えるクランプ状態切替装置200と、ワーク20及び治具300の少なくとも一方を搬送するロボット400と、ワーク20をクランプした治具300を加工装置100に搬入するようにロボット400を制御する搬入制御部712と、ワーク20をクランプした治具300を加工装置100から搬出してクランプ状態切替装置200に搬送するようにロボット400を制御する搬出制御部713と、ワーク20をクランプした治具300の状態をクランプ状態から解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200を制御する解除制御部733と、ワーク20をクランプしていた治具300を当該ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置するようにロボット400を制御する分離配置制御部714と、ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置された治具300を洗浄するように加工装置100を制御する治具洗浄制御部742と、を備える。
【0107】
この加工システム1は、ワーク20と治具300とをセットで取り扱う構成を備える。従って、一種類の加工装置100を多品種のワーク20の加工に適用可能であるため、生産効率に寄与する。しかしながら、ワーク20と治具300とをセットで取り扱う構成の場合、ワーク20と治具300との間に入った加工屑が治具300に残って堆積する可能性がある。これに対し、加工システム1では、ワーク20から分離した状態にて治具300を洗浄する制御が追加されている。このため、ワーク20及び治具300の間に残った加工屑が除去されるので、加工屑の堆積が抑制される。従って、加工屑の堆積抑制と、生産効率との両立に有効である。
【0108】
分離配置制御部714は、ワーク20をクランプしていた治具300と、当該ワーク20とを分離して加工装置100内及び加工装置100外にそれぞれ配置するようにロボット400を制御してもよい。この場合、治具300の洗浄中に、ワーク20に他の作業を実行することができる。従って、生産効率を更に向上させることができる。
【0109】
加工システム1は、治具300から分離して加工装置100外に配置されたワーク20を洗浄するようにロボット400を制御するワーク洗浄制御部715を更に備えていてもよい。この場合、治具300とワーク20を同時進行で洗浄できる。従って、生産効率を更に向上させることができる。
【0110】
分離配置制御部714は、ワーク20を解除状態で支持した治具300を加工装置100に搬入するようにロボット400を制御する再搬入制御部723と、治具300を加工装置100内に残してワーク20を加工装置100から搬出するようにロボット400を制御する分離搬出制御部724と、を有していてもよい。この場合、加工後のワーク20と、当該ワーク20をクランプしていた治具300とを分離して加工装置100外及び加工装置100内にそれぞれ配置すること(以下、「分離配置」という。)を、一台のロボットで効率よく実行することができる。従って、生産効率を更に向上させることができる。
【0111】
一例として、ワーク20を治具300Aから分離した後に治具300Bを加工装置100に搬入して分離配置を行う場合、フォーク470をハンド460に持ち替えることと、ハンド460によりワーク20を搬送して反転台40に仮置きすることと、ハンド460をフォーク470に持ち替えることと、治具300Bを加工装置100に搬入することと、フォーク470をハンド460に持ち替えることと、反転台40のワーク20をハンド460に把持させることと、の六つの手順が必要となる。これに対し、再搬入制御部723及び分離搬出制御部724によれば、ワーク20を解除状態で支持した治具300Bを加工装置100に搬入することと、フォーク470をハンド460に持ち替えることと、治具300Bを加工装置100内に残してワーク20を加工装置100から搬出することと、の三つの手順で分離配置を行うことができる。従って、生産効率を更に向上させることができる。
【0112】
加工システム1は、治具300から分離して加工装置100外に配置されたワーク20を加工装置100に搬入して解除状態の治具300に設置するようにロボット400を制御する再設置制御部716と、ワーク20を解除状態で支持した治具300を加工装置100から搬出してクランプ状態切替装置200に搬送する再搬出制御部717と、ワークを支持した治具300の状態を解除状態からクランプ状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200を制御する再クランプ制御部734と、を更に備えていてもよい。この場合、洗浄後のワーク20を治具300に再クランプさせることを一台のロボット400で効率よく実行することができる。従って、生産効率を更に向上させることができる。
【0113】
加工システム1は、治具300にクランプされたワーク20に加工装置100による加工とは別の後加工を行うようにロボット400を制御する後加工制御部718を更に備え、搬入制御部712は、他のワーク20をクランプした他の治具300を加工装置100に搬入するようにロボットを制御することを更に実行し、後加工制御部718は、加工装置100が他のワーク20に加工を行っている期間において、治具300にクランプされたワーク20に後加工を行うようにロボット400を制御してもよい。この場合、加工装置100が他のワーク20に加工を行っている期間と、更なる加工の期間とが重複する。従って、生産効率を更に向上させることができる。
【0114】
加工システム1は、加工装置100が他のワーク20に加工を行っている期間において、後加工後のワーク20をクランプした治具300をクランプ状態から解除状態に切り替えるようにクランプ状態切替装置200を制御する再解除制御部735と、加工装置100が他のワーク20に加工を行っている期間において、解除状態の治具300をクランプ状態切替装置に残して後加工後のワーク20を当該治具300から分離するようにロボット400を制御する再分離制御部719と、加工装置100が他のワーク20に加工を行っている期間において、後加工後のワーク20から分離してクランプ状態切替装置200に残った治具300に更なる洗浄を行うようにロボット400を制御する後洗浄制御部721と、を更に備えていてもよい。この場合、更なる加工による加工屑を、他のワーク20の加工中に除去する。従って、生産効率の低下を抑制しつつ、より確実に加工屑の堆積を抑制することができる。
【0115】
加工システム1は、搬送対象が治具300であるか、ワーク20であるかに応じて、治具300の搬送用のツールとワーク20の把持用のツールとを持ち替えるようにロボット400を制御するツールチェンジ制御部722を更に備えていてもよい。この場合、一台のロボット400を、治具300の搬送及びワーク20の搬送の両方に効率的に活用することができる。
【0116】
加工装置100は、ワーク20に加工を行う加工部110と、加工部110による加工中のワーク20にクーラントを供給するためのクーラント供給部120とを有し、治具洗浄制御部742は、クーラント供給部120により治具300にクーラントを供給するように加工装置100を制御してもよい。この場合、加工用のクーラントを治具300の洗浄に有効活用。従って、装置構成を簡素化することができる。
【0117】
加工装置100は、加工部110による加工中のワーク20の姿勢を変更するための姿勢変更部140を更に有し、治具洗浄制御部742は、姿勢変更部140により治具を回転させながらクーラント供給部120により治具300にクーラントを供給するように加工装置100を制御してもよい。この場合、加工用の姿勢変更部140を洗浄にも有効活用することができる。従って、装置構成を複雑化させることなく洗浄効率を向上させることができる。
【0118】
分離配置制御部714は、加工装置100による加工が治具300とワーク20との間の空間に加工屑を進入させる加工を含まない場合には、ワーク20をクランプしていた治具300を当該ワーク20から分離した状態で加工装置100内に配置するようにロボット400を制御することを実行しなくてもよい。この場合、生産効率を更に向上させることができる。
【0119】
治具300は、油圧によりワーク20をクランプするように構成され、クランプ状態切替装置200は、クランプ用の油圧を治具300に付加することで解除状態をクランプ状態に切り替え、クランプ用の油圧を治具300から解放することでクランプ状態を解除状態に切り替えるように構成されていてもよい。この場合、クランプ状態及び解除状態の迅速な切り替えが可能となる。従って、生産効率を更に向上させることができる。
【0120】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0121】
1…加工システム、20…ワーク、100…加工装置、110…加工部、120…クーラント供給部、140…姿勢変更部、200…クランプ状態切替装置、300,300A,300B…治具、400…ロボット、712…搬入制御部、713…搬出制御部、714…分離配置制御部、715…ワーク洗浄制御部、716…再設置制御部、718…後加工制御部、719…再分離制御部、721…後洗浄制御部、722…ツールチェンジ制御部、723…再搬入制御部、724…分離搬出制御部、733…解除制御部、734…再クランプ制御部、735…再解除制御部、742…治具洗浄制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19