(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の課題に鑑み、本開示は抜枠造型ラインにおける重錘載置設備及び重錘載置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本開示の一形態は、抜枠造型ライン上の鋳型に重錘を載置する重錘載置設備であって、前記重錘を下降させて前記鋳型の上に載置させる重錘昇降装置と、前記重錘昇降装置における前記重錘の下降方向の減速位置を決定する減速位置決定装置と、を具備しており、前記重錘昇降装置における前記重錘の下降速度は、下降を開始してから前記減速位置に到達するまでの第一下降速度と、前記減速位置から前記鋳型の上に載置されるまでの第二下降速度と、を含み、前記第二下降速度は、前記第一下降速度よりも低速である。
【0009】
減速位置決定装置は、重錘昇降装置における重錘の下降方向の減速位置を決定する。重錘は重錘昇降装置によって、鋳型の上に載置するために下降される。この際、重錘の下降速度は、下降を開始してから減速位置まで到達するまでの区間(第一区間)と、減速位置から鋳型の上に載置されるまでの区間(第二区間)とで、異なるように設定される。第二区間の重錘の下降速度(第二下降速度)は、重錘を載置した時の衝撃で鋳型が崩壊しない程度の速度に設定される。つまり、第一区間の重錘の下降速度(第一下降速度)は、第二下降速度よりも速い速度で設定される。
【0010】
本形態によれば、第一下降速度で重錘を下降させる区間を設定することにより、第二下降速度で重錘を下降させる時間を短くすることが可能となる。よって、本形態によれば、重錘の下降を開始してから重錘を鋳型の上に載置させるまでのサイクルタイムを短くすることができる。
【0011】
一実施形態では、重錘載置設備は、前記重錘昇降装置の上流に配置される、ジャケットを前記鋳型の側面に被せるジャケット昇降装置を更に具備してもよい。前記減速位置決定装置は、前記ジャケット昇降装置に配設されてもよい。この形態によれば、重錘昇降装置の上流に具備しているジャケット昇降装置が動作している際に減速位置決定装置が動作し、重錘昇降装置における重錘の下降方向の減速位置を決定することができる。
【0012】
一実施形態では、前記減速位置決定装置は、前記重錘昇降装置に配設される、光により前記鋳型の上面までの距離を計測する光計測手段を具備してもよい。前記光計測手段は、該光計測手段から放射された光が、前記鋳型の上面に垂直に当たるように配設されてもよい。この場合、重錘昇降装置に備えられている光計測手段により、重錘昇降装置から鋳型の上面までの距離が計測される。そして、計測された距離を基に、減速位置決定装置により減速位置が決定される。この形態によれば、鋳型の上面までの距離の計測と重錘の減速位置の決定とを、光計測手段という一つの装置で行うことができる。
【0013】
一実施形態では、前記減速位置決定装置は、前記ジャケット昇降装置に対して相対的に昇降可能である第一検出体と、前記ジャケット昇降装置と共に昇降し、前記第一検出体を検出する第一近接スイッチと、を具備してもよい。前記第一近接スイッチは、異なる前記鋳型の高さに対応する複数の近接スイッチを備えていてもよい。
【0014】
一実施形態では、前記重錘昇降装置は、前記減速位置を検知する減速位置検知装置を具備してもよい。前記減速位置検知装置は、前記重錘昇降装置の昇降動作に伴って昇降する第二検出体と、前記重錘昇降装置に装着され、前記第二検出体を検出する第二近接スイッチと、を具備してもよい。前記第二近接スイッチは、異なる前記鋳型の高さに対応する複数の近接スイッチを備えていてもよい。近接スイッチは交換が容易であるため、破損等の不具合時に迅速な対応が可能となる。よって、この形態によれば整備性に優れた重錘載置設備となる。
【0015】
一実施形態では、前記減速位置決定装置は、前記鋳型の高さ方向に延伸している棒部材を更に具備してもよい。前記棒部材の上端には、前記第一検出体が配設されており、前記棒部材の下端は前記ジャケットに形成されている鍔部に当接可能に配置されていてもよい。この形態によれば、簡便な構造で減速位置の決定が可能となる。
【0016】
一実施形態では、前記第一検出体は、前記鋳型の高さ方向に延伸しており、下端が開口している円筒形状でもよい。仮に第一検出体の形状を上端が開口している円筒形状とすると、第一検出体の内部に鋳物砂が入ってしまう。また、第一検出体の形状を円柱形状とすると、第一検出体の材料費用が高額になってしまう。この形態によれば、第一検出体は、内部に鋳物砂が入ることなく、且つ、材料費用を安く抑えることが可能となる。
【0017】
本開示の他の形態は、上述した抜枠造型ライン上の鋳型に重錘を載置する方法であって、前記ジャケット昇降装置により、前記ジャケットを下降させて前記鋳型の側面に被せるジャケット被せ工程と、前記減速位置決定装置により、前記重錘昇降装置における前記重錘の下降方向の前記減速位置を決定する減速位置決定工程と、前記重錘昇降装置により、前記減速位置まで前記重錘を前記第一下降速度で下降させる第一重錘下降工程と、前記重錘昇降装置により、前記減速位置から前記鋳型に前記重錘を載置するまで、前記重錘を前記第二下降速度で下降させる第二重錘下降工程と、を有する。この重錘載置方法では、第一検出体と第一近接スイッチとによって重錘の減速位置が決定され、その減速位置で重錘の下降速度が低下し、重錘が鋳型の上に載置される。このため、この重錘載置方法は、任意の高さを有する鋳型の上に重錘を載置することができる。なお、この重錘載置方法においては、各工程を順番に実施してもよいし、2つ以上の工程を同時に実施してもよい。
【0018】
本開示のさらに他の形態は、上述した抜枠造型ライン上の鋳型に重錘を載置する方法であって、前記光計測手段により、該光計測手段から前記鋳型の上面までの距離を計測する計測工程と、前記計測工程で計測された距離に基づいて、前記重錘昇降装置における前記重錘の下降方向の減速位置を決定する減速位置決定工程と、前記重錘昇降装置により、前記減速位置まで前記重錘を前記第一下降速度で下降させる第一重錘下降工程と、前記重錘昇降装置により、前記減速位置から前記鋳型に前記重錘を載置するまで、前記重錘を前記第二下降速度で下降させる第二重錘下降工程と、を有する。この重錘載置方法では、光計測手段によって計測した距離に基づいて重錘の減速位置が決定され、その減速位置で重錘の下降速度が低下し、重錘が鋳型の上に載置される。このため、この重錘載置方法は、任意の高さを有する鋳型の上に重錘を載置することができる。なお、この重錘載置方法においては、各工程を順番に実施してもよいし、2つ以上の工程を同時に実施してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示の種々の側面及び実施形態によれば、重錘昇降装置によって重錘を下降する際、第一下降速度で下降する第一区間と第二下降速度で下降する第二区間を設定しているため、全区間を第二下降速度で下降する場合と比べて、重錘の下降を開始してから重錘を鋳型の上に載置させるまでのサイクルタイムを短くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
重錘載置設備の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。以下の説明において上下左右方向は特に断りのない限り図中における方向を指す。なお、本発明は本実施形態の構成に限られず、必要に応じて適宜変更することができる。また、各実施形態における鋳型とは、特に断りのない限り、鋳物砂によって作成され、上枠と下枠が合わさったものを指す。
【0022】
(第一実施形態)
図1に、第一実施形態における抜枠造型ライン1の全体構成を示す。
図1に示すように、注湯ライン2と冷却ライン3とが図中のX軸方向に沿って平行に配置され、その両端に定盤台車移送設備(プッシャー装置、クッション装置及びトラバーサー)4が配置される。これにより、鋳型8を載せて搬送する定盤台車9が循環できる。抜枠造型ライン1は、定盤台車9を一定時間ごとにピッチ送りするコンベヤにより構成されている。そして、抜枠造型機10は、抜枠造型機10で造型された鋳型8が搬入位置11から注湯ライン2に搬入できるように配置されている。ジャケット昇降装置5と重錘昇降装置6とを備えている重錘載置設備7は、注湯ライン2と冷却ライン3とを跨ぐように配置されている。
図1中に記す矢印は、定盤台車9及び定盤台車9上に載置している鋳型8の進行方向を示している。
【0023】
図2に、第一実施形態における重錘載置設備7の平面図を示す。注湯ライン2と冷却ライン3を跨ぐように、重錘載置設備7の設備フレーム20が配置されている。設備フレーム20には、シリンダ21と連結フレーム22とが配置されている。連結フレーム22は、ジャケット昇降装置5と重錘昇降装置6とを一体とするように固定している。連結フレーム22によって固定されているジャケット昇降装置5と重錘昇降装置6とは、シリンダ21の動作により設備フレーム20上に沿って移動する(図中のY軸方向)。そして、注湯ライン2上及び冷却ライン3上で停止することができるように構成されている。
【0024】
図3に、第一実施形態における重錘載置設備7の構造を示す。具体的には、注湯ライン2上に位置したときのジャケット昇降装置5と、冷却ライン3上に位置したときの重錘昇降装置6とを、それぞれ右側面から視た構造を示す。
【0025】
ジャケット昇降装置5は、昇降シリンダ14とフレーム15とジャケット昇降爪16とを備えている。昇降シリンダ14は、フレーム15に接続される。ジャケット昇降爪16は、フレーム15に設けられる。昇降シリンダ14によって、ジャケット昇降装置5のフレーム15及びジャケット昇降爪16は上下方向に移動することができる(図中のZ軸方向)。ジャケット12には、鍔部12aが形成されている。ジャケット12を持ち上げる際、ジャケット昇降爪16は、鍔部12aに係合し、係合した状態で上昇する。これにより、ジャケット昇降装置5は、冷却ライン3上の鋳型8に被せられたジャケット12を持ち上げることができる。そして、ジャケット昇降装置5は、シリンダ21の動作により図中のY軸方向へ移動し、注湯ライン2上の鋳型8に、冷却ライン3にて持ち上げたジャケット12を降ろして被せることができる。
【0026】
図3に示すように、ジャケット昇降装置5は減速位置決定装置30を備えている。
図5に、減速位置決定装置30の構造を示す。減速位置決定装置30は、棒部材31と、第一検出体32と、第一近接スイッチ33a、33b、33cとを備えている。ジャケット昇降装置5におけるフレーム15の上部には第一フレーム34が配設されている。第一フレーム34には第一近接スイッチ33a、33b、33cが、それぞれ異なる高さの部分に配設されている。第一近接スイッチ33a、33b、33cは、相互に影響しない程度に離間している。3つの第一近接スイッチは、上から第一近接スイッチ33a、33b、33cの順番で配置されている。
【0027】
棒部材31は、ジャケット昇降装置5の上下方向(鋳型8の高さ方向)に延伸するように配設される(図中のZ軸方向)。棒部材31の一端には、第一検出体32が取り付けられている。第一検出体32は、その一端が開口している円筒形状を有している。第一検出体32は、
図8に示すように、第一検出体32の開口が下になるように棒部材31に取り付けられる。第一検出体32の高さの幅(図中のZ軸方向の長さ)は、第一近接スイッチ33aと33cとの離間距離よりも長く設定される。そして、ジャケット昇降装置5がジャケット12を昇降している際、棒部材31の他端と鍔部12aとが当接される。
【0028】
3つの第一近接スイッチはそれぞれ、第一検出体32が昇降して同じ高さに位置するとき、信号をシーケンサ(図示せず)に送信する。
【0029】
ジャケット昇降装置5の動作時の、減速位置決定装置30の動きを以下に示す。まず、ジャケット昇降装置5が冷却ライン3上の鋳型8に被せられたジャケット12を持ち上げてから、注湯ライン2上の鋳型8にジャケット12を被せるまでの、減速位置決定装置30の動きを示す(
図5参照)。3つの第一近接スイッチそれぞれは、第一フレーム34に配設されている。第一フレーム34は、ジャケット昇降装置5のフレーム15に配設されている。そのため、3つの第一近接スイッチは、ジャケット昇降装置5と共に移動する。第一検出体32が取り付けられている棒部材31は、ジャケット12に当接している。ジャケット12はジャケット昇降装置5によって下降する。そのため、第一検出体32もジャケット昇降装置5と共に移動する。よって、3つの第一近接スイッチと第一検出体32との位置関係は変わらない。なお、この場合、第一検出体32は3つの第一近接スイッチよりも低い高さに位置している。このため、3つの第一近接スイッチはいずれも第一検出体32を検出しない。
【0030】
次に、ジャケット昇降装置5が注湯ライン2上の鋳型8にジャケット12を被せてから、注湯ライン2上で下がりきるまでの、減速位置決定装置30の動きを示す。3つの第一近接スイッチは、先の説明と同様、ジャケット昇降装置5と共に移動(下降)する。一方、第一検出体32が取り付けられている棒部材31は、ジャケット12に当接している。ジャケット12は、鋳型8に被さっているため下降しない。そのため、第一検出体32はジャケット昇降装置5と共に移動(下降)しない。よって、第一検出体32は、3つの第一近接スイッチ側から観察すると、高さが上昇しているように見える。このように、第一検出体32は、ジャケット昇降装置5に対して相対的に昇降可能である。そして、
図6に示すように、ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下がりきった時(ジャケット昇降爪16が下降限界位置に位置した時)、第一検出体32が初期位置から移動した高さ距離A1に応じて、3つの第一近接スイッチが第一検出体32を検出し、信号をシーケンサに送信する。第一検出体32の高さ距離A1は、ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が注湯ライン2上で下降限界位置に位置した時における、鍔部12a下端からジャケット昇降爪16上面までの距離A2との距離と、等しい。
【0031】
第一近接スイッチが第一検出体32を検出するためには、第一近接スイッチと第一検出体32とがある程度の距離近づく必要がある。このため、第一近接スイッチが第一検出体32を検出できる距離となるように、第一近接スイッチと第一検出体32とが配置される。本実施形態において、第一検出体32は円筒形状である。このため、第一検出体32が棒部材31を中心に回転したとしても、第一検出体32と第一近接スイッチとが接触しない。そして、第一検出体32が棒部材31に取り付けられる際、第一検出体32の開口が下になるように取り付けられる。このため、第一検出体32の中に鋳砂等の不純物が入らない。さらに、第一検出体32の上部に、鋳砂等の不純物が通り抜けることが可能な孔を設けてもよい。これにより、第一検出体32の上に不純物が積もってしまうことを防ぐことができる。
【0032】
さらに、本実施形態においては、棒部材31及び第一検出体32がフレーム15に対して必要以上に下がらないように、棒部材31にストッパ35が設けられている。
【0033】
図3に示すように、重錘載置設備7における重錘昇降装置6は、昇降シリンダ17とフレーム18と重錘昇降爪19とを備えている。昇降シリンダ17は、フレーム18に接続される。重錘昇降爪19は、フレーム18に設けられる。重錘昇降装置6のフレーム18及び重錘昇降爪19は、昇降シリンダ17によって上下方向に移動することができる(図中のZ軸方向)。重錘13を持ち上げる際、重錘昇降爪19は、重錘13に係合し、係合した状態で上昇する。これにより、重錘昇降装置6は、冷却ライン3上の鋳型8上面に載置された重錘13を持ち上げることができる。重錘昇降装置6は、シリンダ21の動作により図中のY軸方向へ移動し、注湯ライン2上の鋳型8上面に、冷却ライン3にて持ち上げた重錘13を載置することができる。
【0034】
図4に示すように、重錘昇降装置6は減速位置検知装置37を備えている。
図7に、減速位置検知装置37の構造を示す。減速位置検知装置37は、第二検出体38と、第二近接スイッチ36a、36b、36c、36dとを備えている。第二近接スイッチ36a、36b、36c、36dは、それぞれ異なる高さに配設されている。第二近接スイッチ36a、36b、36c、36dは、相互に影響しない程度に離間している。4つの第二近接スイッチは、上から第二近接スイッチ36a、36b、36c、36dの順番で配置されている。そして、4つの第二近接スイッチは、第二フレーム39に配設される。第二フレーム39は、
図4に示すように、設備フレーム20に配設される。このように、第二近接スイッチ36a、36b、36c、36dは、重錘昇降装置6に装着されている。
【0035】
第二検出体38は、重錘昇降装置6による重錘13の昇降に合わせて昇降する、重錘側ガイドピン40の上部に配設される。そして、4つの第二近接スイッチそれぞれは、第二検出体38が昇降して同じ高さに位置すると、信号をシーケンサ(図示せず)に送信する。
【0036】
次に、第一実施形態の重錘載置設備7による重錘載置方法の一例を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態において、鋳型8における上枠と下枠の高さは同一であるものとする。上枠の外周下部と、下枠の外周上部は、共にテーパー形状であり、上枠と下枠が合わさることにより、鋳型8の外周中央は一つのテーパー形状となる。
【0037】
(工程1:ジャケット被せ工程)
予めジャケット昇降装置5により、冷却ライン3上の鋳型8に被せられたジャケット12が外され、注湯ライン2上の鋳型8の上に移動される。注湯ライン2上の鋳型8の上に移動したジャケット12は、ジャケット12における鍔部12aとジャケット昇降装置5におけるジャケット昇降爪16とを係合させたまま下降し、鋳型8の上に被せられる。このジャケット被せ工程では、3つの第一近接スイッチと第一検出体32とは、ジャケット昇降装置5と共に移動しているため、位置関係は変わらない。なお、本実施形態において、ジャケット12の内周はテーパー形状となっており、鋳型8の外周とジャケット12の内周とが合わさるため、ジャケット12が鋳型8に被さる。ジャケット12が鋳型8に被さる際、ジャケット12の高さ中央が、鋳型8における上枠と下枠との合わせ面に位置するものとする。
【0038】
(工程2:減速位置決定工程)
ジャケット昇降装置5によってジャケット12が鋳型8に被せられた後、ジャケット昇降爪16は鍔部12aから離れ、下降限界位置まで下降し続ける。ここで下降限界位置とは、ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下降しきった時の位置を示す。ジャケット昇降爪16が鍔部12aから外れて下降限界位置に到達するまでの間、3つの第一近接スイッチはジャケット昇降装置5と共に下降し続ける。一方、第一検出体32は、棒部材31を介して鋳型8に被せられているジャケット12に当接しているため、変位しない。よって、3つの第一近接スイッチから第一検出体32を観察すると、第一検出体32が上昇するように見える。
【0039】
図8に、減速位置決定装置30の拡大図を示す。ジャケット12が鋳型8に被さる前の、第一検出体32の上端高さを高さβとする。本実施形態において、第一近接スイッチ33a、33b、33cは、高さβからそれぞれ、距離Da、Db、Dcだけ離れた高さに位置している。ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下降限界位置に到達したときにおいて、3つのそれぞれの第一近接スイッチ33a、33b、33cと、第一検出体32とが、同じ高さに位置するとき、信号をシーケンサに送信する。本実施形態において、距離Da>距離Db>距離Dcとする。
【0040】
図9に、ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下降限界位置に到達した状態における、ジャケット昇降装置5とジャケット12の位置関係を示す。この
図9を基に、重錘昇降装置6における重錘13の下降方向の減速位置決定方法を説明する。ここでは、3つの異なる高さである、高さH、N、Lを有する鋳型8H、8N、8Lに重錘13を載置する場合における、重錘13の減速位置を決定する方法をそれぞれ説明する。定盤台車9上に鋳型8が載置されていない場合における、重錘13の減速位置の決定方法も併せて説明する。減速位置とは、第一下降速度で下降している重錘13が、減速を開始する位置である。
図9において、下降限界におけるジャケット昇降爪16の上面高さを下降限界高さαとしている。そして、上記3つの異なる高さは、高さH>N>Lの順で低く設定される。
【0041】
まず、
図9の(A)に示す、鋳型8Hに重錘13を載置する場合における、減速位置決定工程でのジャケット昇降装置5と減速位置決定装置30との動作を説明する。ジャケット昇降爪16は、鍔部12aから外れてから下降限界位置に到達するまでの間に、距離hだけ下降する。一方、第一検出体32は、3つの第一近接スイッチから観察すると、高さβから、ジャケット昇降爪16と同様、距離hだけ上昇する。ここで、距離hは
図8における距離Daよりも長い。つまり、第一検出体32の上端は、ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下降限界位置に到達したとき、第一近接スイッチ33aよりも上に位置することになる。
【0042】
3つの第一近接スイッチに対して、第一検出体32が高さβから距離hだけ上昇すると、3つの第一近接スイッチ33a、33b、33cの高さは全て、第一検出体32の上端と下端の範囲内に収まるように位置する。ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下降限界位置に到達したとき、3つの第一近接スイッチ33a、33b、33cそれぞれが、第一検出体32を検出し、信号をシーケンサに送信する。以上のように信号をシーケンサに送信することで、鋳型8Hに重錘13を載置するときの、重錘13の減速位置を決定する。
【0043】
次に、
図9の(B)に示す、鋳型8Nに重錘13を載置する場合における、減速位置決定工程でのジャケット昇降装置5と減速位置決定装置30との動作を説明する。ジャケット昇降爪16が鍔部12aから外れてから下降限界位置に到達するまでの間に、第一検出体32は、鋳型8Hにおける説明と同様、3つの第一近接スイッチから観察すると、高さβから距離nだけ上昇する。ここで、距離nは、
図8における距離Dbより長く距離Daより短い。つまり、第一検出体32の上端は、第一近接スイッチ33aと33bの間に位置することになる。
【0044】
3つの第一近接スイッチに対して、第一検出体32が高さβから距離nだけ上昇すると、2つの第一近接スイッチ33b、33cの高さが、第一検出体32の上端と下端の範囲内に収まるように位置する。よって、ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下降限界位置に到達したとき、2つの第一近接スイッチ33b、33cがそれぞれ、第一検出体32を検出し、信号をシーケンサに送信する。以上のように信号をシーケンサに送信することで、鋳型8Nに重錘13を載置するときの、重錘13の減速位置を決定する。
【0045】
次に、
図9の(C)に示す、鋳型8Lに重錘13を載置する場合における、減速位置決定工程でのジャケット昇降装置5と減速位置決定装置30との動作を説明する。ジャケット昇降爪16が鍔部12aから外れてから下降限界位置に到達するまでの間に、第一検出体32は、鋳型8Hにおける説明と同様、3つの第一近接スイッチから観察すると、高さβから距離lだけ上昇する。ここで、距離lは、
図8における距離Dcより長く距離Dbより短い。つまり、第一検出体32上端は、第一近接スイッチ33bと33cの間に位置することになる。
【0046】
3つの第一近接スイッチに対して、第一検出体32が高さβから距離lだけ上昇すると、1つの第一近接スイッチ33cの高さが、第一検出体32の上端と下端の範囲内に収まるように位置する。よって、ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下降限界位置に到達したとき、1つの第一近接スイッチ33cが、第一検出体32を検出し、信号をシーケンサに送信する。以上のように信号をシーケンサに送信することで、鋳型8Lに重錘13を載置するときの、重錘13の減速位置を決定する。
【0047】
最後に、
図9の(D)に示す、鋳型8が定盤台車9の上に存在しない場合における減速位置決定工程における、ジャケット昇降装置5と減速位置決定装置30との動作を記載する。ジャケット昇降爪16が鍔部12aから外れてから下降限界位置に到達するまでの間に、第一検出体32は、鋳型8Hにおける説明と同様、3つの第一近接スイッチから観察すると、高さβから、距離eだけ上昇する。ここで、距離eは、距離Dcよりも短い。つまり、第一検出体32上端は、第一近接スイッチ33cより下に位置することになる。
【0048】
3つの第一近接スイッチに対して、第一検出体32が高さβから距離eだけ上昇しても、3つの第一近接スイッチの高さはいずれも、第一検出体43の上端よりも高い位置に位置する。よって、ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下降限界位置に到達したとき、3つの第一近接スイッチはいずれも第一検出体32を検出せず、信号をシーケンサに送信しない。減速位置決定工程において第一近接スイッチから信号をシーケンサに送信しないことにより、重錘13の減速位置を決定する。なお、鋳型8が定盤台車9の上に存在しない場合、
図9の(D)に示すように、ジャケット12は定盤台車9の上に直接載置される。
【0049】
ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下降限界に到達した後、鋳型8やジャケット12に接触しないように、ジャケット昇降装置5を再び上昇する。その後、ジャケット昇降装置5は、シリンダ21によって、冷却ライン3上に移動する。そして、定盤台車9上に載置された鋳型8が、連続する鋳型群の状態で、定盤台車移送設備4により1ピッチ分(1鋳型分)ずつ、間欠搬送される。なお、上記4つの異なる距離は、距離h>n>l>eの順で短くなる。ジャケット昇降装置5のジャケット昇降爪16が下降限界位置に到達した際、ジャケット昇降爪16と鍔部12aは、上記いずれの場合においても接触しない。
【0050】
(工程3:第一重錘下降工程)
重錘昇降装置6により、冷却ライン3上の鋳型8に載せられた重錘13が持ち上げられ、注湯ライン2上の鋳型8の上に移動される。その後、重錘13は鋳型8に向けて下降する。この時の重錘昇降装置6の下降速度を第一下降速度とする。第一下降速度は、後述する第二下降速度よりも高速である。なお、第一下降速度は、重錘昇降装置6への負荷や、重錘13を下降してから第二下降速度に減速するまでの時間を考慮して設定する。重錘昇降装置6による重錘13の昇降動作を行うとき、重錘13と第二検出体38とは一緒に昇降動作を行う。
【0051】
(工程4:第二重錘下降工程)
重錘昇降装置6の減速位置は、3つの第一近接スイッチによってシーケンサに送信された信号によって設定される。本実施形態において、3つの異なる高さである、高さH、N、Lを有する鋳型8H、8N、8Lについて、減速位置を設定する流れを説明する。定盤台車9上に鋳型8が載置されていない場合(ジャケット12のみが載置されている場合)について、減速位置を設定する流れを説明する。なお、重錘昇降装置6が重錘13を下降させる前の第二検出体38の高さを、高さγとする。第二近接スイッチ36a、36b、36c、36dが第二検出体38を検出することが可能な位置であり、第二検出体38が第二近接スイッチ36a、36b、36c、36dと同じ高さとなる位置をそれぞれ、位置P1、P2、P3、P4とする。
【0053】
図10に、重錘昇降装置6の減速位置を示す。表1に、第一実施形態における、第一近接スイッチにより送信される信号と第二検出体38の位置との関係を示す。表1における「第一近接スイッチにより送信される信号の有無」欄は、減速位置決定工程で、3つの第一近接スイッチ33a、33b、33cが、信号をシーケンサに送信するか否かを、鋳型種類(鋳型高さ)毎に記載している。ここで、「○」は減速位置決定工程において信号を送信しており、「×」は信号を発信していないことを示す。「第二検出体の位置」欄は、重錘昇降装置6が減速を開始する時の、第二検出体38の位置を示す。
【0054】
表1に示すとおり、鋳型高さによって、第一近接スイッチからシーケンサに向けて送信される信号の種類が異なり、その信号の種類に対応した、第二検出体38の減速位置を予め設定している。具体的には、3つの第一近接スイッチ33a、33b、33cがシーケンサへ信号を送信したときは、第二近接スイッチ36aが第二検出体38を検出すると(第二検出体38が位置P1に位置すると)、重錘昇降装置6が減速を開始する。2つの第一近接スイッチ33b、33cがシーケンサへ信号を送信したときは、第二近接スイッチ36bが第二検出体38を検出すると(第二検出体38が位置P2に位置すると)、重錘昇降装置6が減速される。そして、1つの第一近接スイッチ33cがシーケンサへ信号を送信したときは、第二近接スイッチ36cが第二検出体38を検出すると(第二検出体38が位置P3に位置すると)、重錘昇降装置6が減速を開始する。減速位置決定工程において第一近接スイッチがシーケンサへ信号を送信しないときは、第二近接スイッチ36dが第二検出体38を検出すると(第二検出体38が位置P4に位置すると)、重錘昇降装置6が減速を開始する。なお、減速位置は、P1>P2>P3>P4の順で高い位置に設定される。減速位置が高い位置に設定されるほど、第一下降速度で下降する区間は短くなる。
【0055】
減速を開始した重錘昇降装置6は、その後、重錘13を鋳型8若しくはジャケット12に載置するまで、第二下降速度で下降を続ける。ここで第二下降速度は、第一下降速度よりも低速である。第二下降速度は、重錘13を鋳型8に載置した際の衝撃で、鋳型8が崩壊しない程度の速度であれば、任意に設定可能である。
【0056】
第二下降速度を維持したままで重錘昇降装置6が重錘13を鋳型8(若しくはジャケット12)の上に載置した後、重錘昇降装置6は一定距離下がって停止する。そして、鋳型8や重錘13に接触しないように、重錘昇降装置6は再び上昇する。その後、上記工程を繰り返すために、重錘昇降装置6はシリンダ21によって冷却ライン3の上に移動する。
【0057】
次に、第一実施形態における、第一近接スイッチ33a、33b、33c及び第二近接スイッチ36a、36b、36c、36dの、高さ位置の設定方法について説明する。
【0058】
本実施形態において、鋳型8における上枠と下枠の高さは同一であり、且つ、ジャケット12の高さ中央は、上枠と下枠との合わせ面に位置している。前述したとおり、鍔部12aの下面から下降限界高さαまでの距離と、減速位置決定工程において第一検出体32が高さβから上昇する距離は同一である。そのため、減速位置決定工程において、鋳型8の高さの値が大きいほど、鍔部12aの下面から下降限界高さαまでの距離が長くなり、第一検出体32が高さβから上昇する距離も長くなる。
【0059】
一方、鋳型8の高さの値が大きいほど、重錘昇降装置6の減速位置は高い位置である必要がある。以上のことを踏まえて、第一近接スイッチ33a、33b、33c及び第二近接スイッチ36a、36b、36c、36dの、高さ位置の設定方法を以下に記載する。なお、第一近接スイッチ33a、33b、33c及び第二近接スイッチ36a、36b、36c、36dは共に、相互に影響しない程度に離間させる。
【0060】
まず、3つの第一近接スイッチの高さ位置の設定方法を記載する。予め、抜枠造型機10によって造型可能な鋳型のうち、高さ最大の鋳型8Mと高さ最小の鋳型8mについて減速位置決定工程を行い、第一検出体32の上端高さ位置を確認する。これらの第一検出体32の上端高さを、
図8において、PM及びPmと示す。そして、上端高さPM、Pmの範囲内に、2つの第一近接スイッチ33a、33bを配置する。なお、鋳型8Mの高さをH+と、鋳型8mの高さをL−と設定する。
【0061】
ジャケット12が鋳型8に被さっておらず、定盤台車9に載置されている場合についても、同様に減速位置決定工程を行い、第一検出体32の上端高さ位置を確認する。この第一検出体32の上端高さを、
図8において、Pnと示す。そして、上端高さPmとPnの範囲内に、1つの第一近接スイッチ33cが配置される。なお、本実施形態において、第一近接スイッチ33a、33cの中間位置に、第一近接スイッチ33bが配置される。しかし、3つの第一近接スイッチ33a、33b、33cは、前述した範囲内であれば、任意の位置に配置可能である。減速位置決定工程において、第一検出体32が距離Daだけ上昇するときの鋳型を、鋳型高さM+を有する鋳型8Daとし、第一検出体32が距離Dbだけ上昇するときの鋳型を、鋳型高さL+を有する鋳型8Dbとする。
【0062】
次に、4つの第二近接スイッチの高さ位置の設定方法を記載する。まず、第二近接スイッチ36aの位置は、鋳型8Mに重錘13を載置する際に、第二下降速度で載置することができるように設定する。具体的には、鋳型高さH+を有する鋳型8Mに重錘13を載置する瞬間における第二検出体38の位置から、第一下降速度から第二下降速度まで減速するために必要な距離だけ上の位置が位置P1となるように、第二近接スイッチ36aの位置を設定する。
【0063】
第二近接スイッチ36bの位置は、鋳型8Daに重錘13を載置する際に、第二下降速度で載置することができるように設定する。具体的には、鋳型高さM+を有する鋳型8Daに重錘13を載置する瞬間における第二検出体38の位置から、第一下降速度から第二下降速度まで減速するために必要な距離だけ上の位置が位置P2となるように、第二近接スイッチ36bの位置を設定する。
【0064】
そして、第二近接スイッチ36cの位置は、鋳型8Dbに重錘13を載置する際に、第二下降速度で載置することができるように設定する。具体的には、鋳型高さL+を有する鋳型8Dbに重錘13を載置する瞬間における第二検出体38の位置から、第一下降速度から第二下降速度まで減速するために必要な距離だけ上の位置が位置P3となるように、第二近接スイッチ36cの位置を設定する。
【0065】
第二近接スイッチ36dの位置は、ジャケット12に重錘13を載置する際に、第二下降速度で載置することができるように設定する。具体的には、ジャケット12に重錘13を載置する瞬間における第二検出体38の位置から、第一下降速度から第二下降速度まで減速するために必要な距離だけ上の位置が位置P4となるように、第二近接スイッチ36dの位置を設定する。
【0066】
表1に、鋳型高さと第二検出体38の減速位置との関係をまとめる。表1に記載している鋳型高さについて、高さHは高さM+からH+の範囲内に、高さMは高さL+からM+の範囲内に、高さLは高さL−からL+の範囲内に、それぞれ設定される。以上のように、減速位置は、重錘13を載置する鋳型の高さを考慮して決定される。さらに、第一下降速度から第二下降速度まで重錘昇降装置の下降速度を減少させる際の、重錘昇降装置6への機械的負荷も考慮して、減速位置を決定してもよい。
【0067】
なお、本実施形態において、上端高さPM,Pmの範囲内に、2つの第一近接スイッチ33a、33bを配置したが、これに限らず、1つ若しくは3つ以上の第一近接スイッチを配置しても良い。この場合、上記第二近接スイッチの高さ位置の設定方法に基づいて、上記4つ以外の第二近接スイッチを配置しても良い。
【0068】
本実施形態によれば、重錘昇降装置6によって重錘13を下降してから鋳型8に載置するまでの工程が、第一下降速度で重錘13を下降する第一重錘下降工程と、第二下降速度で重錘13を下降する第二重錘下降工程と、に分けられている。この構成により、任意の高さを有する鋳型8を崩さずに重錘13を載置する速度であり、第一下降速度より低速である、第二下降速度による重錘13の下降時間を、最小限に留めることが可能となるので、工程時間が短縮される。
【0069】
本実施形態によれば、減速位置決定装置30によって、注湯ライン2に流れてくる鋳型8毎に、第一下降速度から第二下降速度へ変更する位置である減速位置を決定している。この構成により、注湯ライン2に流れてくる鋳型8毎に減速位置を決定しているため、注湯ライン2に異なる高さを有する鋳型が流れてきても対応可能となる。つまり、本実施形態によれば、重錘を載置させる鋳型の高さを任意に設定できるため、鋳型の高さの変化に対応できる。
【0070】
本実施形態によれば、減速位置決定装置30及び減速位置検知装置37は共に、複数の近接スイッチを備えている。近接スイッチは、容易に取り外しを行うことができるため、破損等の不具合が発生したとき、交換等の対応を迅速に行うことができる。
【0071】
(第二実施形態)
次に、別の形態の重錘載置設備の一例として、減速位置決定装置として光計測手段を備える重錘載置設備を、第二実施形態として説明する。なお、以下の説明では第一実施形態との変更点について説明する。本実施形態では光計測手段としてレーザーセンサを用いる。
【0072】
第二実施形態において、重錘載置設備107は重錘昇降装置106を備えており、注湯ラインと冷却ラインとを跨ぐ形で配置されている。重錘昇降装置106から見て注湯ラインの上流側には、ジャケット昇降装置105が、注湯ラインと冷却ラインとを跨ぐ形で配置されている。ジャケット昇降装置105は、減速位置決定装置30を備えていないこと以外は、第一実施形態におけるジャケット昇降装置5と同様の構成である。
【0073】
図11に、第二実施形態における重錘昇降装置106の構成を示す。重錘昇降装置106は、昇降シリンダ(図示せず)とフレーム118と重錘昇降爪119と枠体150とを備えている。枠体150は筒形状であり、昇降シリンダは枠体150に囲まれるように配設されている。昇降シリンダは、フレーム118に接続される。重錘昇降爪119は、フレーム118に設けられる。重錘昇降装置106のフレーム118と重錘昇降爪119とは、昇降シリンダによって上下方向に移動することができる(図中のZ軸方向)。重錘13を持ち上げる際、重錘昇降爪119は、重錘13の下面に係合し、係合した状態で上昇する。これにより、重錘昇降装置106は、冷却ライン上の鋳型8上面に載置された重錘13を持ち上げることができる。重錘昇降装置106は、注湯ライン上の鋳型8上面に、冷却ラインにて持ち上げた重錘13を載置することができる。枠体150は重錘昇降装置106と一体になっており、重錘昇降装置106と共に昇降シリンダによって、上下方向に移動する。
【0074】
図11に示すように、重錘昇降装置106は、減速位置決定装置として2つのレーザーセンサ130を備えている。2つのレーザーセンサ130は枠体150に取り付けられており、水平面(鋳型の上面)に対して垂直にレーザー光を放射するように配置している。レーザーセンサ130は、鋳型8から反射されたレーザー光を受信することにより、レーザーセンサ130から鋳型8までの距離を連続的に測定することが可能である。そして測定した距離を、随時シーケンサ(図示せず)に送信する。
【0075】
次に、第二実施形態の重錘載置設備107による重錘載置方法の一例を、図面を参照して説明する。予め、ジャケット昇降装置105により、ジャケット12が、注湯ライン上の鋳型8に被せられている。そして、ジャケット12を被っている鋳型8が、重錘昇降装置106の下に位置している。
【0076】
重錘昇降装置106により、冷却ライン上の鋳型8に載せられた重錘13が持ち上げられ、注湯ライン上の鋳型8に移動される。その後、重錘昇降装置106によって重錘13を下降する。2つのレーザーセンサ130がそれぞれ、鋳型8の上面に向けてレーザー光を垂直に放射し、レーザーセンサ130から鋳型8上面までの距離の計測を開始する(計測工程)。この計測工程では、重錘昇降装置106により重錘13の下降が開始されてから鋳型8の上に載置されるまで連続的に距離を計測しており、その計測結果をシーケンサに送信している。なお、重錘昇降装置106が重錘13を下降しているとき、2つのレーザーセンサ130は枠体150に取り付けられているため、重錘昇降装置106と共に移動する。一方、鋳型8は注湯ライン上に載置されている。そのため、レーザーセンサ130は時間経過と共に鋳型8に近づいていく。
【0077】
重錘昇降装置106を第一下降速度から第二下降速度への減速を開始するときの、レーザーセンサ130から鋳型8上面までの距離PSが、予め設定されている。重錘昇降装置106による重錘13の下降中に、レーザーセンサ130によって連続的に計測されている距離が距離PSになったとき、重錘昇降装置106の減速位置を決定し、減速を開始する(減速位置決定工程)。なお、重錘昇降装置106による重錘13の下降工程は、下降を開始してから減速位置まで、第一下降速度で下降する工程(第一重錘下降工程)と、減速位置から鋳型8に載置されるまで、第二下降速度で下降する工程(第二重錘下降工程)とに分けられる。第二実施形態における距離PSは、第一下降速度から第二下降速度への減速距離等を考慮して、任意に設定される。
【0078】
2つのレーザーセンサ130が連続的に計測している距離の内、小さい値の方が距離PSになったとき、重錘昇降装置106の減速を開始するように設定する。片方のレーザーセンサ130から放射されるレーザー光が、鋳型8上面における湯口に当たっている場合を考慮するためである。
【0079】
定盤台車上に鋳型8が載置されていない場合(ジャケット12のみが載置されている場合)、レーザーセンサ130から放射されるレーザー光は定盤台車に当たる。この場合、重錘13の下降が開始するときのレーザーセンサ130による計測距離は、定盤台車上に鋳型8が載置されている場合と比較して、著しく長くなる。この場合、シーケンサは、定盤台車上にジャケット12のみが載置されていると判断する。そして重錘13の減速位置を、ジャケット12の鍔部12aの上面から、第一下降速度から第二下降速度まで減速するために必要な距離だけ上の位置とする。
【0080】
重錘13を鋳型8の上(若しくはジャケット12上)に載せた後、重錘昇降装置106は一定距離下がって停止する。そして、鋳型8や重錘13に接触しないように、重錘昇降装置106は上昇する。その後、工程を繰り返すために、重錘昇降装置106は冷却ラインの上に移動する。
【0081】
本実施形態によれば、第一実施形態と異なり、減速位置決定装置が2つのレーザーセンサ130のみであり、減速位置検知装置を有さない。そのため、簡便な設備構成とすることが可能となる。