特許第6673513号(P6673513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6673513
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/424 20140101AFI20200316BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20200316BHJP
   A63F 13/71 20140101ALI20200316BHJP
   A63F 13/792 20140101ALI20200316BHJP
   A63F 13/215 20140101ALI20200316BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20200316BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20200316BHJP
   G06Q 30/04 20120101ALI20200316BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20200316BHJP
   G10L 17/00 20130101ALI20200316BHJP
【FI】
   A63F13/424
   A63F13/79
   A63F13/71
   A63F13/792
   A63F13/215
   G06F3/16 630
   G06F3/16 640
   G06Q50/10
   G06Q30/04
   G10L15/00 200H
   G10L17/00 200C
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-57755(P2019-57755)
(22)【出願日】2019年3月26日
【審査請求日】2019年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガゲームス
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】鳥谷尾 好浩
(72)【発明者】
【氏名】大塚 公二
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 駿矢
【審査官】 前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−007917(JP,A)
【文献】 特表2016−524751(JP,A)
【文献】 特開2015−057096(JP,A)
【文献】 再公表特許第2015/068699(JP,A1)
【文献】 特開2001−224851(JP,A)
【文献】 再公表特許第98/002223(JP,A1)
【文献】 声紋認証(音声認証)とは?仕組みと精度、問題点をまとめてみた,bouncy[online],2018年 5月11日,[2019年10月23日検索],URL,https://bouncy.news/11713
【文献】 [Destiny2]Amazon Alexaスキルに「ゴースト」が登場!声で装備も変更できる(海外),GameFavo[online],2017年11月30日,[2019年10月24日検索],URL,https://gamefavo.com/news/destiny/dst2-ghost-skill/
【文献】 Destiny 2 Ghost Skill - Gear,YouTube[online][video],2017年11月29日,[2019年10月24日検索],URL,https://www.youtube.com/watch?v=OgOeJFDuzRc
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F13/00−13/98
A63F 9/24
G06F 3/16
G06Q30/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤによる操作装置に対する操作に基づいて、ゲームの進行を制御するゲーム制御部と、
プレイヤを識別するプレイヤIDと前記プレイヤの声の特徴情報である音声特徴情報を対応づけて格納するプレイヤ情報格納部と、
プレイヤから、プレイヤIDを取得するID取得部と、
プレイヤから、音声指示を受け付ける音声取得部と、
前記取得されたプレイヤIDに対応づけられる音声特徴情報と前記音声指示の音声特徴情報の適合性を判定する音声確認部と、
ゲームコマンドの実行にともなって課金処理を実行するコスト処理部と、を備え、
前記音声取得部は、プレイヤが前記操作装置によりキャラクタを操作中であっても、操作と並行して音声指示によるゲームコマンドを受け付け可能であり、
前記ゲーム制御部は、音声特徴情報が適合したことを条件として、受け付けられた音声指示により指定されるゲームコマンドの一種である有償コマンドを実行させ、
前記コスト処理部は、前記有償コマンドが実行されるとき、課金処理を実行し、
前記ゲーム制御部は、音声特徴情報の適合に加えてプレイヤからの確認指示がなされたことを条件として前記有償コマンドを実行するか、または、前記有償コマンドの実行開始後にプレイヤからキャンセルコマンドが入力されたときには前記有償コマンドの実行を中止することを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
前記音声取得部は、起動コマンドを指定する第1の音声指示と、有償コマンドを指定する第2の音声指示を受け付け、
前記音声確認部は、前記第1の音声指示の音声特徴情報に基づいて適合性を判定し、
前記ゲーム制御部は、音声特徴情報が適合し、かつ、前記第1の音声指示が受け付けられた上で前記第2の音声指示が受け付けられたことを条件として、前記有償コマンドを実行することを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記音声取得部は、有償コマンドを指定する第2の音声指示と無償コマンドを指定する第3の音声指示を受け付け、
前記コスト処理部は、音声指示により受け付けられたゲームコマンドが有償コマンドまたは無償コマンドのいずれであるかを判定し、有償コマンドの実行であることを条件として課金処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項4】
複数種類のゲームコマンドをプレイヤに提示するコマンド提示部、を更に備え、
前記音声取得部は、前記提示された複数種類のゲームコマンドに対し、プレイヤから音声による選択を受け付け、
前記ゲーム制御部は、前記選択されたゲームコマンドを実行させることを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記コマンド提示部は、前記複数種類のゲームコマンドの提示に際して、各ゲームコマンドの実行にともなう対価を提示することを特徴とする請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記コマンド提示部は、画面表示および音声出力の双方または一方により、前記複数種類のゲームコマンドをプレイヤに提示することを特徴とする請求項4または5に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記ゲーム制御部は、音声により所定単語の発話が検出されたとき、プレイヤから前記確認指示が受け付けられたと判定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記ゲームは、複数のプレイヤにより実行されるマルチプレイゲームであり、
前記有償コマンドは、他のプレイヤを指定する第1情報と、前記ゲームにおける処理を示す第2情報を含み、
前記ゲーム制御部は、前記有償コマンドを実行するときには、前記第1情報により指定されるプレイヤを対象として前記第2情報により指定される処理を実行することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のゲームシステム。
【請求項9】
前記有償コマンドは、キャラクタを指定する第1情報と、前記ゲームにおける処理を示す第2情報を含み、
前記ゲーム制御部は、前記有償コマンドを実行するときには、前記第1情報に指定されるキャラクタに対して前記第2情報により指定される処理を実行させることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のゲームシステム。
【請求項10】
プレイヤからアドバイスを求める所定の音声指示を取得したときには、複数のゲームコマンドのうち、プレイヤが選択可能なゲームコマンドをプレイヤに提示するコマンド提示部、を更に備えることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のゲームシステム。
【請求項11】
プレイヤによる操作装置に対する操作に基づいて、クレーンゲームの進行を制御するゲーム制御部と、
プレイヤを識別するプレイヤIDと前記プレイヤの声の特徴情報である音声特徴情報を対応づけて格納するプレイヤ情報格納部と、
プレイヤから、プレイヤIDを取得するID取得部と、
プレイヤから、音声指示を受け付ける音声取得部と、
前記取得されたプレイヤIDに対応づけられる音声特徴情報と前記音声指示の音声特徴情報の適合性を判定する音声確認部と、
コマンドの実行にともなって課金処理を実行するコスト処理部と、を備え、
前記音声取得部は、プレイヤが前記操作装置によりクレーンを操作中であっても、操作と並行して音声指示を受け付け可能であり、
前記ゲーム制御部は、音声特徴情報が適合したことを条件として、有償コマンドとして移動後のクレーンを逆方向に所定量だけ戻し、
前記コスト処理部は、前記有償コマンドが実行されるとき、課金処理を実行し、
前記ゲーム制御部は、音声特徴情報が適合に加えてプレイヤからの確認指示がなされたことを条件として前記有償コマンドを実行するか、または、前記有償コマンドの実行開始後にプレイヤからキャンセルコマンドが入力されたときには前記有償コマンドの実行を中止することを特徴とするゲームシステム。
【請求項12】
プレイヤによる操作装置に対する操作に基づいて、ゲームの進行を制御するゲーム制御部と、
プレイヤからゲームコマンドの一種である有償コマンドを指定する音声指示を受け付ける音声取得部と、
有償コマンドの実行にともなって課金処理を実行するコスト処理部と、
前記有償コマンドを指定する音声指示が受け付けられたとき、前記有償コマンドの実行にともなう対価をプレイヤに提示する意思確認部と、を備え、
前記音声取得部は、プレイヤが前記操作装置によりキャラクタを操作中であっても、操作と並行して音声指示によるゲームコマンドを受け付け可能であり、
前記ゲーム制御部は、前記プレイヤから対価に対する確認指示が受け付けられたことを条件として前記有償コマンドを実行させ、前記有償コマンドの実行開始後にプレイヤからキャンセルコマンドが入力されたときには前記有償コマンドの実行を中止することを特徴とするゲームシステム。
【請求項13】
プレイヤから、プレイヤIDを取得する機能と、
プレイヤから、プレイヤが操作装置によりキャラクタを操作中であっても、操作と並行して音声指示によるゲームコマンドを受け付ける機能と、
前記取得されたプレイヤIDに対応づけられる音声特徴情報と前記音声指示の音声特徴情報の適合性を判定する機能と、
ゲームの進行を制御する機能と、
音声特徴情報の適合に加えてプレイヤからの確認指示がなされたことを条件として、受け付けられた音声指示により指定される、ゲームコマンドの一種である有償コマンドを実行させるか、または、前記有償コマンドの実行開始後にプレイヤからキャンセルコマンドが入力されたときに前記有償コマンドの実行を中止する機能と、
前記有償コマンドが中止されることなく実行されるとき、課金処理を実行する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とするゲームプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータゲームにおける音声コマンドの入力技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
ワンプレイごとに料金を徴収するアーケードゲーム機(業務用ゲーム装置)は、40年以上の歴史を誇る。近年におけるアーケードゲーム機においては電子マネーによる料金徴収方法が普及している(特許文献1参照)。
【0003】
また、音声によってゲームの進行を変化させる技術も広く知られている。たとえば、競馬ゲームに関する特許文献2は、音声認識により、通常実況モードから特定実況モードに変更させることができる(段落[0073])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4631705号公報
【特許文献2】特開2003−210832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、プレイヤが操作桿から手を離せないときでも音声指示により多様なコマンドを入力できる仕組みは、ゲームの可能性を広げる有望技術であると考えている。近年では、音声認識技術の向上により、スマートスピーカーなど「声をつかって操作するデバイス」も社会に浸透しつつある。
【0006】
本発明者らは、更に、音声指示によるコマンド(以下、「音声コマンド」ともよぶ)のの実行あたって対価を支払う方式を検討した。この場合、プレイヤ本人ではなく、プレイヤの周りにいる他のユーザの声を音声コマンドと認識してしまうと、プレイヤにとって著しく不利益になりかねない。
【0007】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、音声コマンド、特に、有償の音声コマンドの精確な実行を実現するための技術、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様におけるゲームシステムは、プレイヤによる操作装置に対する操作に基づいて、ゲームの進行を制御するゲーム制御部と、プレイヤを識別するプレイヤIDとプレイヤの声の特徴情報である音声特徴情報を対応づけて格納するプレイヤ情報格納部と、プレイヤから、プレイヤIDを取得するID取得部と、プレイヤから、音声指示を受け付ける音声取得部と、取得されたプレイヤIDに対応づけられる音声特徴情報と音声指示の音声特徴情報の適合性を判定する音声確認部と、コマンドの実行にともなって課金処理を実行するコスト処理部と、を備える。
ゲーム制御部は、プレイヤによる操作装置の操作中であっても、音声特徴情報が適合したことを条件として、ゲームの実行中において受け付けられた音声指示により指定される有償コマンドを実行させる。コスト処理部は、有償コマンドが実行されるとき、課金処理を実行する。
【0009】
本発明の別の態様におけるゲームシステムは、ゲームの進行を制御するゲーム制御部と、プレイヤを識別するプレイヤIDとプレイヤの声の特徴情報である音声特徴情報を対応づけて格納するプレイヤ情報格納部と、プレイヤから、プレイヤIDを取得するID取得部と、音声指示の受付期間を設定する受付期間設定部と、受付期間において、プレイヤから音声指示を受け付ける音声取得部と、取得されたプレイヤIDに対応づけられる音声特徴情報と音声指示の音声特徴情報の適合性を判定する音声確認部と、コマンドの実行にともなって課金処理を実行するコスト処理部と、を備える。
音声取得部は、受付期間においては、プレイヤがゲームの操作装置を使用中であってもプレイヤからの音声指示を受け付ける。ゲーム制御部は、音声特徴情報が適合したことを条件として、音声指示により指定される有償コマンドを実行させる。コスト処理部は、有償コマンドが実行されるとき、課金処理を実行する。
【0010】
本発明の別の態様におけるゲームシステムは、ゲームの進行を制御するゲーム制御部と、ゲームのプレイ中であっても、プレイヤから有償コマンドを指定する音声指示を受け付ける音声取得部と、有償コマンドの実行にともなって課金処理を実行するコスト処理部と、有償コマンドを指定する音声指示が受け付けられたとき、有償コマンドの実行にともなう対価をプレイヤに提示する意思確認部と、を備える。
ゲーム制御部は、プレイヤから対価に対する確認指示が受け付けられたことを条件として有償コマンドを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プレイヤは、業務用ゲーム機の操作部の操作中であっても、音声コマンド、特に、有償の音声コマンドをより確実に実行させやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ゲームシステムのハードウェア構成図である。
図2】ゲーム装置と音声入力装置の機能ブロック図である。
図3】ゲーム支援装置の機能ブロック図である。
図4】音声情報テーブルのデータ構造図である。
図5】口座テーブルのデータ構造図である。
図6】対価テーブルのデータ構造図である。
図7】起動コマンドの実行によりゲームコマンドを受け付け可能となるまでの処理過程を示すシーケンス図である。
図8】ゲームコマンドの実行過程を示すフローチャートである。
図9】コマンド提案画面の画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態においては、プレイヤは、ゲームのプレイ中に音声コマンドを入力する。すなわち、プレイヤは、手足だけでなく、声でもゲームの進行を制御できる。
【0014】
本実施形態における音声コマンドは「起動コマンド」と「ゲームコマンド」に分類できる。ゲームコマンドは、「救援を求める」「弾薬補充」「アイテム購入」など、ゲームの進行に関わる音声コマンドである。起動コマンドは、ゲームコマンドの入力に先立って合図として入力される音声コマンドである。起動コマンドは、たとえば、「オーケー」「ハロー」「これから指令を与える」のような所定の単語または文章として登録される。プレイヤは、起動コマンドの入力でゲーム装置に合図をしたあと、続けて、ゲームコマンドを入力する。
【0015】
ゲームコマンドは、更に、「有償コマンド」と「無償コマンド」に分類できる。有償コマンドは実行の対価として課金される。一方、無償コマンドは課金不要にて実行できる。
【0016】
プレイヤの声の特徴(以下、「音声特徴情報」とよぶ)は、プレイヤごとにあらかじめ登録されている。起動コマンドが入力されるとき、起動コマンドの発話音声における音声特徴情報と、プレイヤにあらかじめ対応づけられている音声特徴情報が比較され、プレイヤ本人による起動コマンドの発声であるかを確認する。プレイヤ本人からの起動コマンドであれば、続いて入力されるゲームコマンドが受け付けられる。プレイヤ以外の発声による起動コマンドであれば、ゲームコマンドは受け付けられない。このような音声認証により、ゲーム装置のそばにいる第三者の音声をあやまって正式なゲームコマンドと認識してしまうリスクを減らすことができる。
【0017】
図1は、ゲームシステム100のハードウェア構成図である。
ゲームシステム100においては、ゲーム支援装置102に対して、複数の店舗108a、108b・・・108n(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「店舗108」と総称する)と、複数の携帯端末104a、104b、・・・104n(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「携帯端末104」と総称する)がインターネット106を介して接続される。また、ゲーム支援装置102は決済装置114とも接続される。決済装置114は、クレジットカード会社または銀行が運営するサーバである。
【0018】
本実施形態における携帯端末104は、スマートフォンを想定している。携帯端末104は、タブレット端末やラップトップPCであってもよい。携帯端末104とインターネット106は無線接続されるが、有線接続されてもよい。
【0019】
店舗108は、遊園地やゲームセンターなどが想定される。店舗108においては、複数のゲーム装置110a〜110f(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「ゲーム装置110」と総称する)と中継装置112が専用回線により接続される。ゲーム装置110は「サテライト」とよばれる業務用ゲーム装置、いわゆる、アーケードゲーム機である。中継装置112は「ターミナル」とよばれ、1以上のゲーム装置110のゲームプレイの支援・補助を行うための装置である。中継装置112とインターネット106は有線接続されるが、無線接続されてもよい。
なお、中継装置112は、ルータ等を介して他の種類のゲーム装置と共通に用いられ、店舗外との通信を行う店舗サーバ装置として機能してもよい。
【0020】
各ゲーム装置110は、音声入力装置116と接続される。音声入力装置116は対話型の音声操作に対応し、プレイヤから入力された音声を解釈する一般的なスマートスピーカーである。ゲーム装置110が音声入力装置116の機能を内蔵してもよいが、本実施形態においてはゲーム装置110と音声入力装置116は別々の装置として構成されるものとして説明する。
【0021】
中継装置112は、ゲーム装置110におけるゲームプレイ結果をリプレイ(動画再生)する、複数のゲームプレイの結果からランキングを作成する、ゲームにおいて使用可能なカード(アイテム)を提供する、などの既知の支援機能を有する。一般的には、中継装置112は、ゲームの演出や分析などゲーム装置110におけるゲームプレイの興趣をいっそう高めるための処理として支援処理を実行する。
【0022】
プレイヤはゲームカードを保有する。ゲームカードには、あらかじめカードID(以下、「CID」ともよぶ)が登録されている。ゲーム支援装置102においては、カードIDとプレイヤID(以下、「PID」ともよぶ)が対応づけられる。カードIDはゲームカードを識別するIDであり、プレイヤIDはプレイヤを識別するIDである。中継装置112は、各ゲーム装置110において読み取られるカードIDにより、どのゲーム装置110で誰がプレイしているかを把握できる。
なお、カードIDとプレイヤIDを共通化してもよいが、本実施形態においてはカードIDとプレイヤIDを対応づけることにより、カードIDにより実質的にプレイヤを識別できるように構成されている。
【0023】
ゲーム支援装置102は、プレイヤの起動コマンドの音声特徴情報に基づいてプレイヤの本人認証を行う。また、ゲーム支援装置102は、決済装置114との間でゲーム装置110の利用料金の決済を行う。
【0024】
ゲーム装置110への支払い方法は、プリチャージされたICカードによるプリペイ方式と、クレジットカードまたは口座引き落としによるポストペイ方式の2種類である。プレイヤは、ゲームの開始に際してプリペイ方式とポストペイ方式のいずれかを選択する。
【0025】
プリペイ方式を選択するときには、プレイヤは、ゲーム装置110のカードリーダにプリペイドカード(ICカード)を載せておき、いつでも精算ができるようにしておく。
【0026】
ポストペイ方式を利用するためには、プレイヤは事前に決済装置114に対してクレジットカードを契約し、ゲーム支援装置102にプレイヤIDと口座番号もしくはクレジットカード番号を登録しておく。ゲーム支援装置102は、プレイヤごとにプレイヤIDと口座番号を対応づけてリスト化しておく。また、プレイヤは、ゲーム支援装置102にカードID、プレイヤIDおよび音声特徴情報を登録しておく。具体的には、プレイヤは、携帯端末104からプレイヤIDおよび声を入力することにより、ゲーム支援装置102においてプレイヤIDと音声特徴情報を対応づけて登録する。
【0027】
プレイヤは、ゲームをプレイするときには、ゲームカードをゲーム装置110にかざす。このとき、NFC規格(Near Field Communication)などの既知の近距離通信技術にて、ゲーム装置110はゲームカードからカードIDを読み取る。ゲーム装置110は、中継装置112を介してゲーム支援装置102にゲームを識別するためのIDであるゲームID(以下、「GID」ともよぶ)とともに、カードIDおよびゲーム機を特定するための機体IDを送信する。
【0028】
音声入力装置116に起動コマンド(音声コマンド)が入力されたときには、ゲーム装置110は起動コマンドの音声特徴情報をカードIDと共に、中継装置112を介してゲーム支援装置102に送信する。ゲーム支援装置102は、受信した音声特徴情報とカードIDに紐づけられている登録済みの音声特徴情報を照合して声の認証(音声認証)を実行する。音声認証に成功したとき、すなわち、プレイヤ本人による起動コマンドであると確認できたとき、ゲーム装置110から続いて有償コマンド(ゲームコマンド)が入力されたときには有償コマンドの対価を決済装置114に決済させる。有償コマンドの課金処理の詳細は後述する。プリペイ方式が選択されたときには、ゲーム装置110はプリペイドカード(ICカード)から有償コマンドの対価を精算する。
【0029】
図2は、ゲーム装置110と音声入力装置116の機能ブロック図である。
音声入力装置116とゲーム装置110の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
図3に示すゲーム支援装置102の機能ブロックについても同様である。
【0030】
(音声入力装置116)
音声入力装置116は、音声取得部128、解釈部130および音声出力部154を含む。
音声取得部128は、音声を取得する。解釈部130は、取得した音声を解釈し、音声情報を文字情報に変換する。また、解釈部130は、音声から音声特徴情報を抽出する。音声出力部154は、ゲーム装置110から指定された文字情報を音声情報として出力する。
【0031】
(ゲーム装置110)
ゲーム装置110は、ユーザインタフェース処理部120、データ処理部122、通信部124およびデータ格納部126を含む。
ユーザインタフェース処理部120は、ジョイスティック(操縦桿)およびボタンを介してプレイヤからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。通信部124は、インターネット106を介してゲーム支援装置102等との通信処理を担当する。データ格納部126はゲームプログラム等の各種データを格納する。データ処理部122は、ユーザインタフェース処理部120や通信部124により取得されたデータ、データ格納部126に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部122は、ユーザインタフェース処理部120、通信部124およびデータ格納部126のインタフェースとしても機能する。
【0032】
ユーザインタフェース処理部120は、入力部132と出力部134を含む。
入力部132は、プレイヤからの各種入力を受け付ける。出力部134は、音声および画像等の各種情報を出力する。
【0033】
入力部132は、操作部136、ID取得部138およびコマンド取得部140を含む。
操作部136は、ジョイスティック等の操作装置を介して、プレイヤからのゲームに対する操作を受け付ける。ID取得部138は、ゲームカードからカードIDを取得する。上述したように、カードIDを取得できればプレイヤIDを特定できるため、カードIDの取得はプレイヤIDの取得と実質的に同じである。コマンド取得部140は、音声入力装置116の解釈部130から文字情報として変換された音声コマンドを受け付ける。また、コマンド取得部140は、音声入力装置116から音声特徴情報も取得する。
【0034】
通信部124は、ゲーム支援装置102等の外部装置にデータを送信する送信部150と、データを受信する受信部152を含む。
【0035】
データ処理部122は、ゲーム制御部142、コスト処理部144、コマンド提示部146および意思確認部148を含む。
ゲーム制御部142は、ゲームの進行を制御する。ゲーム制御部142は、外部のゲームサーバと連携してゲームの進行を制御してもよい。コスト処理部144は、プレイ料金の課金のほか、有償コマンドの実行にともなう課金処理を実行する。コマンド提示部146は、ゲーム状況またはプレイヤからの求めに応じて、プレイヤが選択可能な音声コマンド(ゲームコマンド)を提示する。意思確認部148は、有償コマンドの実行に際して、プレイヤに対する意思確認を行う。
【0036】
図3は、ゲーム支援装置102の機能ブロック図である。
ゲーム支援装置102は、通信部156、データ処理部158およびデータ格納部160を含む。
通信部156は、インターネット106を介してゲーム装置110等との通信処理を担当する。データ格納部160は各種データを格納する。データ処理部158は、通信部156により取得されたデータ、データ格納部160に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部158は、通信部156およびデータ格納部160のインタフェースとしても機能する。
【0037】
通信部156は、ゲーム装置110等の外部装置にデータを送信する送信部162とデータを受信する受信部164を含む。
【0038】
送信部162は、決済要求部166と許否通知部168を含む。
決済要求部166は、決済装置114に対してポストペイ方式による料金の決済を要求する。許否通知部168は、ゲーム装置110に対して、有償コマンドの実行可否を通知する。
受信部164は、決済受信部170を含む。決済受信部170は、決済装置114から決済可否の通知を受信する。
【0039】
データ処理部158は、音声確認部172、プレイヤ管理部174および決済処理部176を含む。
音声確認部172は、起動コマンド(音声コマンド)の音声特徴情報に基づいて声の認証を行う。プレイヤ管理部174は、店舗108およびゲーム装置110ごとに、どの店舗108のどのゲーム装置110においてどのプレイヤが何のゲームをプレイしているかを含めてプレイヤに関する各種情報を統括的に管理する。なお、プレイヤ管理部174は、各ゲーム装置110がどの店舗108に設置されているかについての情報をあらかじめ保有している。決済処理部176は、ポストペイによる課金処理を実行する。
【0040】
データ格納部160は、プレイヤ情報格納部178を含む。プレイヤ情報格納部178は、プレイヤ情報を格納する。本実施形態におけるプレイヤ情報とは、プレイヤの年齢や性別等の属性を示す情報、ゲームの進捗状態を示す情報、プレイヤの音声特徴情報等を含む。
【0041】
図4は、音声情報テーブル180のデータ構造図である。
音声情報テーブル180は、ゲーム支援装置102のプレイヤ情報格納部178にプレイヤ情報の一部として格納される。音声情報テーブル180においては、カードID(CID)、プレイヤID(PID)および音声特徴情報を識別する音声ID(以下、「VID」ともよぶ)が対応づけられる。VIDごとに音声特徴情報が対応づけられる。音声特徴情報は、プレイヤの声の個性を示す情報であり、声の高さや大きさ、アクセントのくせなど声の周波数特性に基づく既知の音声特徴量(特徴ベクトル)であればよい。
【0042】
プレイヤ管理部174は、プレイヤ登録時において、カードID(CID)、プレイヤID(PID)および音声特徴情報の音声ID(VID)を対応づけて音声情報テーブル180に登録する。図4においては、カードID=C01のゲームカード(以下、「ゲームカード(C01)」のように表記する)を有するプレイヤ(P03)は、音声特徴情報(V03)を登録している。
【0043】
プレイヤ(P03)が起動コマンドを音声入力するとき、ゲーム装置110はCIDとともに起動コマンドから抽出された音声特徴情報をゲーム支援装置102に送信する。ゲーム支援装置102の音声確認部172は、起動コマンドから得られた音声特徴情報と、CID(PID)にあらかじめ対応づけられている音声特徴情報(マスタ情報)の類似度を計算し、類似度が所定の閾値以上であるときプレイヤ本人による発話であると判定する(音声認証)。音声認証は既存の音声認証技術の応用により実現される。
【0044】
図5は、口座テーブル182のデータ構造図である。
口座テーブル182は、プレイヤ情報格納部178にプレイヤ情報の一部として格納される。口座テーブル182は、プレイヤIDと口座番号もしくはクレジットカード番号を対応づける。口座テーブル182の口座番号は、ゲームシステム100にプレイヤ登録するときにプレイヤからの申告に基づいて登録される。
【0045】
ゲームのプレイ料金をポストペイ方式にて支払うとき、または、有償コマンドの課金をポストペイ方式で行うとき、プレイヤ管理部174は利用料金を特定する。決済要求部166は、口座テーブル182を参照し、プレイヤIDに対応する口座番号もしくはクレジットカード番号を指定して、決済装置114に対して利用料金の決済を要求する。決済装置114は、決済を実行できたとき、または、利用料金分の残高が確認できたとき決済確認をゲーム支援装置102に送信する。決済受信部170は、決済確認を受信する。
【0046】
図6は、対価テーブル190のデータ構造図である。
対価テーブル190は、ゲーム装置110のデータ格納部126に格納される。対価テーブル190は、ゲームコマンド(音声コマンド)と、ゲームコマンドの実行にともなう対価を対応づける。図6に示す対価テーブル190は、あるゲーム装置110において実行されるあるゲームに対応して、そのゲームにおける各種のゲームコマンドの実行対価を示す。
【0047】
ゲームコマンドは、コマンドID(以下、「CMID」とも表記する)により識別される。ゲームコマンド(CM01)は、たとえば、「弾倉を交換する」を意味する。ゲームコマンド(CM01)の対価は「20円」である。プレイヤがゲームの実行中に「弾倉を交換して」と発話したとき、ゲーム装置110の解釈部130はこれを「処理:交換」「対象:弾倉」と解釈する。ゲーム装置110のコマンド取得部140は、この解釈された情報に基づいて、ゲームコマンド(CM01)が音声入力されたと解釈する。
【0048】
コスト処理部144は、次に、対価テーブル190を参照して、ゲームコマンド(CM01)の対価を特定する。プレイヤがプリペイ方式を選択しているときには、コマンド提示部146はプリペイドカード(ICカード)から対価の「20円」を減算する。
【0049】
ポストペイ方式が選択されているときには、ゲーム装置110のコスト処理部144はゲーム支援装置102の決済処理部176に対して「20円」の口座からの引き落としを指示する。いずれにしても20円の支払いが可能であることを条件として、ゲーム制御部142はゲームコマンド(CM01)を実行する。
【0050】
同様にして、ゲームコマンド(CM02)の対価は「10円」である。また、ゲームコマンド(CM03)の対価は「0円」である。ゲームコマンド(CM02)は有償コマンドであり、ゲームコマンド(CM03)は無償コマンドである。また、ゲームコマンド(CM04)の対価は「3個の石」である。ここでいう「石」とはゲーム内通貨の一種である。このように、有償コマンドの対価は現金(リアルマネー)であってもよいし、仮想通貨であってもよいし、ゲーム内だけで通用するゲーム内通貨であってもよい。
なお、起動コマンドは対価不要である。
【0051】
図7は、起動コマンドの実行によりゲームコマンドを受け付け可能となるまでの処理過程を示すシーケンス図である。
プレイヤは、ゲームの開始に際して、ゲームカードによりCIDを読み取らせる(S10)。ID取得部138はCIDを読み取り、送信部150はCIDとゲーム装置110の機体IDを中継装置112に送信する(S12)。中継装置112は、CIDと機体IDをゲーム支援装置102に送信する(S14)。ゲーム支援装置102のプレイヤ管理部174は、プレイヤ管理情報を更新する(S16)。ここでいうプレイヤ管理情報は、どのゲーム装置110で誰がプレイしているかを管理するための情報である。
【0052】
プレイヤは、ゲーム中にゲームコマンドを音声入力するためには、ゲームコマンドの入力に先立って起動コマンドを音声入力する(S20)。コマンド取得部140は、起動コマンドとその音声特徴情報を音声入力装置116から取得する(S22)。ゲーム装置110の送信部150は、CIDとともに音声特徴情報を中継装置112に送信する(S24)。中継装置112は、CIDと音声特徴情報をゲーム支援装置102に送信する(S26)。
【0053】
中継装置112の音声確認部172は、CIDにあらかじめ対応づけられる音声特徴情報(マスタ情報)を、音声情報テーブル180を参照して特定し、S26において受信した起動コマンドの音声特徴情報と照合する(S28)。ここでは、音声特徴情報が適合し、本人確認がとれたとする。
【0054】
許否通知部168は、音声により本人確認ができたことを示す許可通知を、中継装置112を介してゲーム装置110に送信する(S30,S32)。ゲーム装置110のコマンド取得部140は、ゲームコマンドの受付状態に設定する(S34)。本実施形態においては、起動コマンドによる本人確認がとれてから5秒間を受付期間として設定する。受付期間の設定方法はこれに限られないが他の方法については後述する。
【0055】
図8は、ゲームコマンドの実行過程を示すフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、音声入力が検出されたときに実行される。音声入力装置116の音声取得部128は音声指示を検出し、解釈部130は音声指示の内容を解析するとともに音声特徴情報を抽出し、コマンド取得部140は解析結果を取得する(S40)。起動コマンドのときには(S41のY)、図7に示した確認処理(S20〜S34)を実行する(S58)。
【0056】
起動コマンドではなく(S41のN)、ゲームコマンドでもなければ(S42のN)、特段の処理は実行されない。ゲームコマンドであっても受付期間中でなければ(S42のY,S44のN)、ゲームコマンドは実行されない。
【0057】
ゲームコマンドであって(S42のY)、受付期間中であれば(S44のY)、ゲーム制御部142は対価テーブル190を参照して有償コマンドであるか無償コマンドであるかを判定する(S46)。無償コマンドであれば(S46のN)、ゲーム制御部142は無償コマンド(ゲームコマンド)をすぐに実行する(S56)。
【0058】
有償コマンドの場合には(S46のY)、意思確認部148は意思確認表示を行う(S48)。具体的には、有償コマンドの対価を画面に示す。意思確認部148は、音声入力装置116の音声出力部154から音声により有償コマンドの対価をプレイヤに伝えてもよい。プレイヤは、意思確認に対して「承認」または「拒否」を音声指示する。
【0059】
プレイヤが有償コマンドの実行を拒否したときには(S50のN)、いいかえれば、有償コマンドを実行しようとしたものの翻意したときには、有償コマンド(ゲームコマンド)は実行されない。なお、S50においては対価の支払が可能か否かも確認し、支払が不可能であるときにも有償コマンドは実行されない。プリペイ方式のときにはICカードに対価分のチャージがなされているかをチェックする。ポストペイ方式のときには口座残高を確認する。
【0060】
プレイヤが有償コマンドの実行を承認し、かつ、対価の支払が可能であるときには(S50のY)、ゲーム制御部142は有償コマンドを実行する(S52)。コスト処理部144は、有償コマンドの実行にともなう対価の支払い処理である課金処理を実行する(S54)。
【0061】
図9は、コマンド提案画面200の画面図である。
コマンド提示部146は、ゲーム状況に応じてプレイヤに1以上のゲームコマンドを提案することもある。たとえば、三次元戦闘ゲームにおいて、プレイヤが操作するキャラクタの後方に敵キャラクタが回り込んだとする。このような特定のゲーム条件が成立したとき、コマンド提示部146はコマンド提案画面200を表示させることにより、プレイヤが選択できる行動(ゲームコマンド)を提案する。
【0062】
コマンド提示部146は、上記のゲーム条件に対して「(A)味方のキャラクタAに救援を要請する(有償:20円)」「(B)味方のキャラクタBに救援を要請する(有償:30円)」「(C)煙幕を張るために煙玉を使う(有償:50円)」「(D)迎撃態勢をとる(無償)」という4つの案を示す。プレイヤは、各ゲームコマンド(オプション)を比較しながら最適なゲームコマンドを音声入力する。このときには、プレイヤが起動コマンドをいったん入力したあとにゲームコマンドを音声入力する。コマンド提案画面200が表示されたときには、コマンド提案画面200が表示されてから所定時間以内であれば、起動コマンドを入力しなくてもゲームコマンドを音声入力できるとしてもよい。
【0063】
以上、実施形態に基づいて、ゲームシステム100を説明した。
本実施形態によれば、プレイヤは、ジョイスティック等を握って手が離せないときでも、ゲームコマンドを音声入力できる。このとき、起動コマンド(音声コマンド)の音声特徴情報に基づいて本人確認を行うため、プレイヤの周りにいる第三者の発言がゲームコマンドと誤認識されてゲームの進行が乱されるのを防ぐことができる。特に、ゲームコマンドが有償コマンドであるときには、第三者の発言によってプレイヤに課金されてしまう事態を防ぐ必要性が高い。
【0064】
プレイヤは、手足に加えて、声でもゲームの進行を制御できるため、ゲームの興趣をいっそう深めることができる。たとえば、銃器で撃ち合いをするガンゲームの場合、両手がふさがっているときでも「弾倉の交換」や「NPC(Non Player Character)による援護射撃」等の依頼ができる。プレイヤは銃撃戦を続けながら各種の音声指示を出すことができる。このとき、データ処理部122は「弾倉交換は20円かかりますよ」のように意思確認をする。プレイヤは有償コマンドの対価を確認した上で有償コマンドを実行するため、プレイヤが納得した上で有償コマンドに課金できる。
【0065】
また、コマンド提示部146がゲーム場面に応じてさまざまなゲームコマンドを提案することにより、プレイヤにはゲームを適切に進めやすくなる。一般的には、アーケードゲームの上級者は、ゲームに多くのお金を投資した結果としてその技量を高めている。このため、上級者が満足するような難易度の高いゲームや難易度の高いステージは初心者には敷居が高くなることもある。本実施形態におけるゲームシステム100によれば、アーケードゲームに習熟していないプレイヤであっても、有償コマンドによってゲームを有利に進めることができる。初心者でも有償コマンドを使いこなすことにより難しいゲームを楽しみやすくなると考えられる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0067】
携帯端末104とゲーム支援装置102、音声入力装置116、中継装置112およびゲーム装置110によりゲームシステム100が構成されるとして説明したが、ゲーム支援装置102の機能の一部はゲーム装置110や中継装置112により実現されてもよいし、ゲーム装置110や中継装置112の機能の一部がゲーム支援装置102に割り当てられてもよい。また、ゲーム支援装置102やゲーム装置110、中継装置112以外の第3の装置が、これらの装置の機能の一部を担ってもよい。
【0068】
図2図3において説明したゲーム装置110、音声入力装置116、中継装置112およびゲーム支援装置102の各機能の集合体は大局的には1つの「ゲームシステム」として把握することも可能である。1つまたは複数のハードウェアに対して、本発明を実現するために必要な複数の機能をどのように配分するかは、各ハードウェアの処理能力やゲームシステム100に求められる仕様等に鑑みて決定されればよい。
【0069】
[変形例]
ゲーム装置110は音声入力装置116の機能を内蔵してもよい。
【0070】
本実施形態においては、起動コマンドの音声特徴情報に基づいて音声認証するとして説明した。これに限らず、ゲームコマンドの音声特徴情報に基づいて音声認証をしてもよいし、起動コマンドとゲームコマンド双方の音声特徴情報に基づいて音声認証をしてもよい。
【0071】
有償コマンドの音声特徴情報については音声認証を実行し、無償コマンドの音声特徴情報については音声認証を実行しないとしてもよい。
【0072】
本実施形態においては、プレイヤは起動コマンドを音声入力し、起動コマンドにつづけてゲームコマンドを入力するとして説明した。起動コマンドに限らず、たとえば、プレイヤがゲーム装置110の所定ボタンを押したとき、プレイヤが所定のジェスチャーをしたことをゲーム装置110のカメラ(図示せず)により画像認識したときなど、ゲームコマンドを音声入力するための合図は任意に設定可能である。たとえば、プレイヤがウィンクをしたとき、ウィンクをしてから5秒以内にゲームコマンドを受け付けるとしてもよい。
【0073】
ゲーム装置110のデータ処理部122は、ゲームの状況に応じて、受付期間を設定する受付期間設定部(図示せず)を備えてもよい。受付期間設定部は、たとえば、「後方に敵が出現」「キャラクタの体力値が半減」などのさまざまなゲーム条件が成立したとき、受付期間を自動的に設定してもよい。プレイヤは、受付期間内であることを条件としてエームコマンドを音声入力する。ゲームコマンドの受付期間を限定することにより、他社の音声をゲームコマンドと誤解してしまうリスクを減らすことができる。
【0074】
ゲーム装置110の出力部134は、受付期間通知部(図示せず)を備えてもよい。受付期間通知部は、受付期間が設定されたとき、画面にテキストまたはマークを表示させて受付期間中であることをプレイヤに通知する。受付期間通知部は、音声入力装置116から音声にて受付期間中であることをプレイヤに通知してもよい。
【0075】
プレイヤは、受付期間が設定されたときには、起動コマンドを音声入力したあとにゲームコマンドを音声入力する。あるいは、受付期間が設定されたときには起動コマンドを入力することなくゲームコマンドを音声入力してもよい。この場合には、ゲームコマンドの音声特徴情報に基づいて音声認証をするとしてもよい。
【0076】
本実施形態においては、起動コマンド等の音声特徴情報により、音声認証をするとして説明した。変形例として音声認証を実行しないとしてもよい。たとえば、「弾倉交換」という有償コマンドを音声入力したとき、データ処理部122は「20円で弾倉を交換しますがいいですか?」とプレイヤの意思を再確認する。このときにプレイヤが「オーケー」「いいよ」など承諾の意思を示す所定の単語を発話したときには、音声認証を実行しなくても、本人の意思確認は取れているものとして有償コマンドを実行してもよい。また、上述した「オーケー」などの所定単語自体を用いて、再度、音声認証をしてもよい。
【0077】
ゲームコマンドとしてはさまざまなものが考えられる。たとえば、戦場で戦うアクションゲームの場合、「X部隊(対象語)、援護して(依頼)」「Y部隊(対象語)、右側に来て(依頼)」のように、依頼内容と、依頼の対象者を指定してゲームコマンドを入力してもよい。
【0078】
また、「援護して(依頼)」のように依頼内容だけの抽象的なゲームコマンドを入力してもよい。このときには、ゲーム制御部142は、プレイヤを援護可能なNPCを選択して、プレイヤの所在地点に急行させてもよい。
【0079】
コマンド提示部146は、上記状況において、プレイヤを援護可能なNPCを複数提示してもよい。たとえば、「航空部隊なら1,000円」「迫撃砲部隊なら300円」「ミサイル部隊なら700円」「救援ヘリコプタならコマンド提案画面200円」のように、依頼を実行する対象に応じて対価を提示してもよい。上記の場合、「航空部隊ならもっとも早く到着する」「迫撃砲部隊は強力だが到着はもっとも遅くなる」「救援ヘリコプタが来れば戦場から離脱できる」など、コマンド提示部146は救援に来る部隊やキャラクタの特性についてもプレイヤに説明してもよい。
【0080】
ゲームコマンドにより、回復薬などのアイテムを購入できてもよい。また、マルチプレイゲームの場合、「回復薬をプレイヤBに渡して」というゲームコマンドを「回復薬(対象物)」、「プレイヤB(対象者)」「渡す(依頼)」として解釈し、プレイヤ間での取引を行ってもよい。回復薬のようなアイテムに限らず、ゲーム内通貨を他のプレイヤに融通してもよい。
【0081】
レースゲームにおいて、ゲームコマンドにより、ニトロ(一時的な加速をするためのアイテム)を購入できてもよい。また、レースゲームで、プレイヤの車が先頭の車から所定距離以上引き離されたとき、コマンド提示部146はプレイヤにニトロの使用を提案してもよい。この場合、レース技量に劣るプレイヤであっても、有償でニトロを購入することにより上級者と互角に渡り合える可能性がある。
【0082】
コマンド提示部146は、プレイヤからアドバイスを求められたときにゲームコマンドを提案してもよい。たとえば、ロールプレイングゲームで左右に分かれ道があるとき、プレイヤは「どっちの道がいいと思う?」と発話する。このとき、コマンド提示部146は、有償にてアドバイスを提供してもよい。
【0083】
また、アクションゲームでピンチになったとき「どうすればいい」のようにアドバイスを求め、コマンド提示部146は「援護をよぶべき」「右に走れ」のように戦闘状況に基づいてアドバイスをしてもよい。コマンド提示部146は、「どうすればいい」のような曖昧な質問に対して、プレイヤのチャンスを拡大する、あるいは、リスクを減らす上で最適と思われる行動を提案してもよい。上記の例の場合、たとえば、プレイヤが操作するキャラクタにとって右方向にもっとも敵数が少ないとき「右に走れ」とアドバイスしてもよい。また、プレイヤが操作するキャラクタと、敵キャラクタの走行能力を比較し、敵キャラクタの走行能力がプレイヤのキャラクタよりも高いときには「援護をよぶべき」というアドバイスを提供してもよい。
【0084】
クレーンゲームの場合、通常、クレーンはx方向とy方向の2方向に動かすことができるが、いったん移動したクレーンを戻すことはできない。プレイヤは、有償コマンドとして、「少しだけ戻して」と音声入力したとき、たとえば、10円程度の低額にてクレーンを少し(たとえば、3センチメートル)だけ戻すというサービスをしてもよい。このような制御方法によれば、クレーンゲームに不慣れなプレイヤであっても、少額を追加課金することで景品獲得機会を広げることができる。また、プレイヤが「これで大丈夫かな」と質問したときには、コマンド提示部146は「たぶん大丈夫」「ちょっと戻した方がいいかも」のようにアドバイスをしてもよい。コマンド提示部146は、クレーンゲームの景品載置領域の上方からクレーンと景品の位置関係を特定し、クレーンと景品の位置のずれを補正可能な方向とプレイヤに提案してもよい。
【0085】
本実施形態における課金処理は、主として、プリペイ方式またはポストペイ方式にて金銭(リアルマネー)を支払う処理であるとして説明したが課金処理はこれに限られる必要はない。有償コマンドの対価として仮想通貨を支払ってもよいし、アイテムやゲーム内通貨などゲームにおいてプレイヤが保有するリソースを対価としてもよい。
【0086】
コマンド提示部146は、複数のゲームコマンドを提示する必要はなく、1つのゲームコマンドを提示してもよい。たとえば、コマンド提示部146は「救援を呼びますか?」のように1つだけゲームコマンドを提示し、プレイヤに選択させてもよい。
【0087】
本実施形態においては、ゲームカードのカードIDにプレイヤIDを対応づけるとして説明した。変形例として、プレイヤの生体情報をプレイヤIDと対応づけてもよい。まず、あらかじめプレイヤの顔画像とプレイヤID、音声特徴情報を対応づけておく。プレイヤがゲーム装置110でゲームをプレイするとき、ゲーム装置110はプレイヤを撮影して顔画像を取得し、顔画像をゲーム支援装置102に送信する。ゲーム支援装置102のプレイヤ管理部174は、顔画像に基づいてプレイヤIDを特定する。ゲーム支援装置102は、ゲーム装置110に特定したプレイヤIDを通知する。
【0088】
プレイヤが起動コマンドを入力したときには、プレイヤIDとともに音声特徴情報を送信し、ゲーム支援装置102は音声認証を実行する。このような制御方法によれば、プレイヤはゲームカードを持参しなくても、有償コマンドの実行が可能となる。
【0089】
プレイヤIDと生体情報の双方により、プレイヤIDを特定してもよい。なお、生体情報としては、顔画像のほかにも、声紋、掌紋、指紋、虹彩などさまざまなものを応用可能である。
【0090】
本実施形態においては、ポストペイ方式の場合、ゲームのプレイ料金および有償コマンドの対価を毎回引き落とすとして説明した。変形例として、これらの課金額はたとえば1ヶ月ごとにまとめて引き落とすとしてもよい。具体的には、ゲーム支援装置102の決済処理部176は課金が発生するごとにプレイヤごとに課金額を台帳データに登録しておく。そして、月末にプレイヤの口座から累計の課金額を引き落とすとしてもよい。
【0091】
有償コマンドの実行をキャンセルするゲームコマンドを用意してもよい。たとえば、ゲームコマンド(CM01)の実行指示の直後に、「いまのなし」「キャンセル」などの所定の言葉をプレイヤが発生したとき、ゲーム制御部142はゲームコマンド(CM01)の実行を中止してもよい。コスト処理部144は、このときゲームコマンド(CM01)の課金処理を中止してもよいし、課金処理を実行済みのときにはゲームコマンド(CM01)の対価の一部または全部をプレイヤに還付してもよい。
【0092】
たとえば、プレイヤが救援ヘリコプタを要請したとする。その直後にプレイヤがキャンセルをしたとき、救援ヘリコプタは救援に向かうことなく引き返す。また、回復薬を購入・使用した直後にキャンセルをしたとする。このときには、ゲーム制御部142は、プレイヤの体力値を回復薬の使用前の状態に戻すとしてもよい。
【0093】
プレイヤはあらかじめ課金限度額を設定してもよい。たとえば、ワンプレイで1,000円まで、1ヶ月に3万円までのように課金限度額を設定する。プレイヤ管理部174はプレイヤごとの課金限度額を登録しておく。プレイヤが有償コマンドを実行するとき、決済処理部176は累計課金額が課金限度額を超過するときには有償コマンドを実行不可と判定してもよい。
【0094】
課金限度額はプレイヤの属性に応じて設定してもよい。たとえば、未成年のプレイヤには課金限度額が設定され、成年のプレイヤには課金限度額を設定しないとしてもよい。このほか、ワンプレイあたり実行可能な有償コマンドの回数を制限してもよい。このような制御方法によれば、ゲームに夢中になって有償コマンドを連発しすぎることにより課金額が過度に大きくならないように制御できる。
【0095】
本実施形態においては、アーケードゲームを対象として説明した。しかし、ゲームシステム100は、家庭用ゲーム機やスマートフォン、パーソナルコンピュータなどを対象として実現されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
100 ゲームシステム、102 ゲーム支援装置、104 携帯端末、106 インターネット、108 店舗、110 ゲーム装置、112 中継装置、114 決済装置、116 音声入力装置、120 ユーザインタフェース処理部、122 データ処理部、124 通信部、126 データ格納部、128 音声取得部、130 解釈部、132 入力部、134 出力部、136 操作部、138 ID取得部、140 コマンド取得部、142 ゲーム制御部、144 コスト処理部、146 コマンド提示部、148 意思確認部、150 送信部、152 受信部、154 音声出力部、156 通信部、158 データ処理部、160 データ格納部、162 送信部、164 受信部、166 決済要求部、168 許否通知部、170 決済受信部、172 音声確認部、174 プレイヤ管理部、176 決済処理部、178 プレイヤ情報格納部、180 音声情報テーブル、182 口座テーブル、190 対価テーブル、200 コマンド提案画面
【要約】
【課題】ゲーム機において、有償にて音声によりゲームコマンドを入力する。
【解決手段】ゲーム支援装置102は、プレイヤを識別するプレイヤIDとプレイヤの声の特徴情報である音声特徴情報を対応づけて格納する。ゲーム装置110は、プレイヤからプレイヤID(カードID)を取得し、音声指示も取得する。ゲーム支援装置102は、取得されたプレイヤIDに対応づけられる音声特徴情報と音声指示の音声特徴情報の適合性を判定する。ゲーム装置110は、音声特徴情報が適合したことを条件として、ゲームの実行中において受け付けられた音声指示により指定される有償コマンドを実行させ、前記有償コマンドが実行されるとき、課金処理を実行する。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9