(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記アクチュエータ駆動装置は、切換弁5を切り換えても、排気圧とアキュムレータ圧力との差が小さくなるまでは、駆動側圧力室3内の高圧空気が大気に放出されないので、複動シリンダ装置1の復帰に必要な推力が得られるまでに時間がかかるという問題がある。また、排気圧とアキュムレータ圧力との圧力差が大きい間は、回収弁10の入口ポート10aを回収ポート10bに連通させ、排気圧とアキュムレータ圧力との圧力差が小さくなったときに入口ポート10aを排出ポート10cに連通させるという複雑な構造の回収弁10を必要とする。
【0006】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、排出圧力を再利用して流体圧シリンダを復帰させることで省エネルギー化を図りつつ、復帰に必要な時間を可及的に短縮することを目的とする。また、排出圧力を再利用して流体圧シリンダを復帰させるための回路を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る流体圧シリンダの駆動方法は、駆動工程と復帰工程とを有する。駆動工程では、一方のシリンダ室に流体供給源から流体を供給するとともに、他方のシリンダ室から流体を少なくとも外部に排出する。復帰工程では、一方のシリンダ室に蓄積された流体の一部を他方のシリンダ室に向けて供給しつつ、一方のシリンダ室に蓄積された流体の他の一部を少なくとも外部に排出する。
【0008】
また、本発明に係る流体圧シリンダの駆動装置は、複動型の流体圧シリンダの駆動装置であって、切換弁と、流体供給源と、排出口と、供給用チェック弁とを備える。この場合、切換弁の第1位置では、一方のシリンダ室が流体供給源に連通するとともに、他方のシリンダ室が少なくとも排出口に連通する。切換弁の第2位置では、一方のシリンダ室が供給用チェック弁を介して他方のシリンダ室に連通するとともに、一方のシリンダ室が少なくとも排出口に連通する。
【0009】
上記の流体圧シリンダの駆動方法及び駆動装置によれば、一方のシリンダ室に蓄積された流体が他方のシリンダ室に向けて供給されると同時に外部に排出される。このため、他方のシリンダ室の流体圧が増加するとともに、一方のシリンダ室の流体圧が急速に減少し、流体圧シリンダの復帰に必要な時間を可及的に短縮することができる。また、複雑な構造の回収弁を必要とせず、供給用チェック弁等の簡単な回路構成を設けるだけでよいので、流体圧シリンダを復帰させるための回路を簡素化することができる。
【0010】
上記の流体圧シリンダの駆動装置において、切換弁と排出口との間に第1絞り弁が設けられていると好適である。これによれば、外部に排出される流体の量を制限することができ、省エネルギー化を充分に図ることができる。
【0011】
上記第1絞り弁は、可変絞り弁であることが好ましい。これによれば、一方のシリンダ室に蓄積された流体を他方のシリンダ室に向けて供給する量と、一方のシリンダ室に蓄積された流体を外部に排出する量との割合を調整することができる。
【0012】
また、上記の流体圧シリンダの駆動装置において、他方のシリンダ室と切換弁との間に第1タンクが設けられていることが好ましい。これによれば、一方のシリンダ室から排出される流体を他方のシリンダ室と繋がる第1タンクに蓄積しておくことができ、復帰工程時、他方のシリンダ室の容積が増大する際にその圧力が低下することを可及的に抑えることができる。
【0013】
上記第1タンクの容積は、変動する一方のシリンダ室の容積の最大値の概ね半分であることが好ましい。これによれば、一方のシリンダ室に蓄積された流体を他方のシリンダ室に向けて供給する際に他方のシリンダ室の流体圧を迅速に増加させる作用と、他方のシリンダ室の容積が増大する際にその圧力の低下を抑制する作用とのバランスを適正にすることができる。
【0014】
また、上記駆動装置では、第1タンクを具備する構成に代えて、供給用チェック弁から切換弁を挟んで他方のシリンダ室に至る配管の容積を、駆動装置内の他の配管の容積よりも大きくしてもよい。これによれば、供給用チェック弁から切換弁を挟んで他方のシリンダ室の入口に至るまでの配管内の容積を充分に確保できるので、第1タンクを省略することが可能となる。この場合でも、第1タンクを設けた場合と同様の効果が容易に得られる。
【0015】
また、上記駆動装置は、切換弁に対して排出口と並列に接続される第2タンクをさらに備えてもよい。この場合、第1位置において、他方のシリンダ室は、切換弁を介して排出口と第2タンクとに連通する。また、第2位置において、一方のシリンダ室は、供給用チェック弁及び切換弁を介して他方のシリンダ室に連通するとともに、切換弁を介して排出口と第2タンクとに連通する。
【0016】
これによれば、排出口から外部に排出される流体の一部を第2タンクに蓄積するので、第2タンクに蓄積する分だけ駆動装置における流体の消費量が削減される。この結果、駆動装置のさらなる省エネルギー化を実現することができる。
【0017】
この場合、切換弁と第2タンクとの間に蓄圧用チェック弁を設けると、第2タンクに一旦蓄積された流体が排出口を介して外部に排出することを阻止することができる。
【0018】
また、切換弁と排出口との間に第2絞り弁を設け、第2絞り弁及び排出口を切換弁に対して第2タンクと並列に接続することが好ましい。これによれば、第1絞り弁を設けた場合と同様に、外部に排出される流体の量を制限して、省エネルギー化を充分に図ることができる。
【0019】
この場合、第2絞り弁が可変絞り弁であれば、切換弁から排出される流体の第2タンクへの供給量と、排出口を介して外部に排出される量との割合を容易に調整することができる。
【0020】
また、上記駆動装置において、流体を噴射する噴射機構がカプラを介して第2タンクに接続されていると好適である。これによれば、第2タンクに蓄積された流体がカプラを介して噴射機構に供給されるので、該噴射機構は、例えば、外部の対象物に向けて流体を噴射することが可能となる。
【0021】
また、上記駆動装置は、第2位置において、一方のシリンダ室から供給用チェック弁及び切換弁を介して他方のシリンダ室に、一方のシリンダ室に蓄積された流体の一部を供給する際に、第2タンクに蓄積された流体を他方のシリンダ室に供給する第1流体供給機構をさらに備えることが好ましい。これによれば、一方のシリンダ室から他方のシリンダ室に供給される流体の圧力が低下した場合、第2タンクから第1流体供給機構を介して他方のシリンダ室に流体が供給される。この結果、流体圧シリンダを確実に、かつ、効率よく復帰させることができる。
【0022】
上記駆動装置は、流体供給源から第2タンクに流体を供給する第2流体供給機構をさらに備えることが好ましい。これによれば、第2タンクに蓄積された流体を利用する場合に、該流体の圧力の低下を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る流体圧シリンダの駆動方法及び駆動装置によれば、一方のシリンダ室に蓄積された流体が他方のシリンダ室に向けて供給されると同時に外部に排出される。このため、他方のシリンダ室の流体圧が増加するとともに、一方のシリンダ室の流体圧が急速に減少し、流体圧シリンダの復帰に必要な時間を可及的に短縮することができる。また、供給用チェック弁等の簡単な回路構成を設けるだけでよく、複雑な構造の回収弁を必要としないので、流体圧シリンダを復帰させるための回路を簡素化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る流体圧シリンダの駆動方法について、それを実施する流体圧シリンダ駆動装置との関係で好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0026】
[1.本実施形態の構成]
図1に示すように、本発明の実施形態に係る流体圧シリンダ駆動装置20は、複動型のエアシリンダ(流体圧シリンダ)22に適用され、切換弁24、高圧エア供給源(流体供給源)26、排気口(排出口)28、チェック弁(供給用チェック弁)30、絞り弁(第1絞り弁)32、エアタンク(第1タンク)34及び所定の配管からなる。
【0027】
エアシリンダ22は、シリンダ本体36の内部に往復摺動自在に配設されたピストン38を有する。一端部がピストン38に連結されたピストンロッド40の他端部は、シリンダ本体36から外部に延びる。エアシリンダ22は、ピストンロッド40の押し出し時(伸長時)に図示しないワークの位置決め等の仕事を行い、ピストンロッド40の引き込み時には仕事をしない。シリンダ本体36は、ピストン38によって区画される二つのシリンダ室、すなわち、ピストンロッド40と反対側に位置するヘッド側シリンダ室(一方のシリンダ室)42及びピストンロッド40と同じ側に位置するロッド側シリンダ室(他方のシリンダ室)44を有する。
【0028】
切換弁24は、第1ポート46ないし第5ポート54を有し、
図2に示す第1位置と
図1に示す第2位置との間で切り換え可能な電磁弁として構成される。第1ポート46は、配管によりヘッド側シリンダ室42に繋がるとともにチェック弁30の上流側に繋がっている。第2ポート48は、配管によりエアタンク34を介してロッド側シリンダ室44に繋がっている。第3ポート50は、配管により高圧エア供給源26に繋がっている。第4ポート52は、配管により絞り弁32を介して排気口28に繋がっている。第5ポート54は、配管によりチェック弁30の下流側に繋がっている。
【0029】
図1に示すように、切換弁24が第2位置にあるときは、第1ポート46と第4ポート52とが繋がり、かつ、第2ポート48と第5ポート54とが繋がる。
図2に示すように、切換弁24が第1位置にあるときは、第1ポート46と第3ポート50とが繋がり、かつ、第2ポート48と第4ポート52とが繋がる。切換弁24は、非通電時はばねの付勢力により第2位置に保持され、通電時に第2位置から第1位置に切り換わる。なお、切換弁24に対する通電又は非通電は、図示しない上位装置であるPLC(Programmable Logic Controller)から切換弁24への通電指令の出力(通電)又は通電停止指令の出力(非通電)によって行われる。
【0030】
チェック弁30は、切換弁24の第2位置において、ヘッド側シリンダ室42からロッド側シリンダ室44に向かうエアの流れを許容し、ロッド側シリンダ室44からヘッド側シリンダ室42に向かうエアの流れを阻止する。
【0031】
絞り弁32は、排気口28から排出されるエアの量を制限するために設けられており、エアの排出流量を調整することができるよう、通路面積を変更可能な可変絞り弁として構成されている。
【0032】
エアタンク34は、ヘッド側シリンダ室42からロッド側シリンダ室44に向けて供給されるエアを蓄積するために設けられている。エアタンク34を設けることで、ロッド側シリンダ室44の容積を実質的に大きくすることができる。エアタンク34の容積は、例えば、ピストンロッド40が最大位置まで伸長したときのヘッド側シリンダ室42の容積(変動するヘッド側シリンダ室42の容積の最大値)の約半分に設定されている。
【0033】
[2.本実施形態の動作]
本実施形態に係る流体圧シリンダ駆動装置20は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、
図1及び
図2を参照しながら、その作用(動作)(本実施形態に係るエアシリンダ22の駆動方法)について説明する。なお、
図1に示すように、ピストンロッド40が最も引き込まれた状態を初期状態とする。
【0034】
この初期状態において、切換弁24に通電し、切換弁24を第2位置(
図1参照)から第1位置(
図2参照)に切り換えると、高圧エア供給源26から高圧エアがヘッド側シリンダ室42に供給されるとともに、ロッド側シリンダ室44のエアが絞り弁32を介して排気口28から排出される駆動工程が行われる。駆動工程では、
図2に示すように、ピストンロッド40は最大位置まで伸長し、大きな推力でその位置に保持される。
【0035】
ピストンロッド40が伸長してワークの位置決め等の作業が行われた後、切換弁24への通電を停止すると、切換弁24が第1位置から第2位置に切り換わり、復帰工程が行われる。復帰工程では、ヘッド側シリンダ室42に蓄積されたエアの一部がチェック弁30を通ってロッド側シリンダ室44に向けて供給され、それと同時に、ヘッド側シリンダ室42に蓄積されたエアの他の一部が絞り弁32を介して排気口28から排出される。このとき、ロッド側シリンダ室44に向けて供給されるエアは、主にエアタンク34に蓄積される。ピストンロッド40の引き込みが始まる前は、ロッド側シリンダ室44と配管通路とを含めてチェック弁30からロッド側シリンダ室44までの間にエアが存在し得る領域のうち最も大きな空間を占めるのはエアタンク34であるからである。その後、ヘッド側シリンダ室42のエア圧が減少し、ロッド側シリンダ室44のエア圧が上昇して、ロッド側シリンダ室44のエア圧がヘッド側シリンダ室42のエア圧よりも所定以上大きくなると、ピストンロッド40の引き込みが始まる。そして、ピストンロッド40が最も引き込まれた初期状態に復帰する。
【0036】
上記一連の動作におけるヘッド側シリンダ室42のエア圧P1、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2及びピストンストロークを測定したところ、
図3に示す結果が得られた。以下、
図3を参照しながら、流体圧シリンダ駆動装置20の動作原理(駆動工程及び復帰工程)を詳細に説明する。なお、
図3において、エア圧のゼロ点は、エア圧が大気圧に等しいことを示し、ピストンストロークのゼロ点は、ピストンロッド40が最も引き込まれた位置にあることを示す。
【0037】
先ず、流体圧シリンダ駆動装置20の動作原理のうち、駆動工程について説明する。切換弁24に通電指令が出される時刻t1において、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1は大気圧に等しく、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2は大気圧より若干大きくなっている。
【0038】
切換弁24に通電指令が出された後、切換弁24が第2位置(
図1参照)から第1位置(
図2参照)に切り換わると、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1が上昇を開始する。時刻t2において、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1がピストン38の静止摩擦抵抗に打ち勝つ分だけロッド側シリンダ室44のエア圧P2を上回り、ピストンロッド40の押し出し方向(
図2の左方向)への移動が始まる。その後、時刻t3において、ピストンロッド40は最大限まで伸長する。ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1はさらに上昇した後に一定となり、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2は下降して大気圧と等しくなる。なお、時刻t2と時刻t3の間で、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1が一時的に下降し、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2が一時的に上昇しているのは、ヘッド側シリンダ室42の容積が増加し、ロッド側シリンダ室44の容積が減少したことに起因すると考えられる。
【0039】
次に、流体圧シリンダ駆動装置20の動作原理のうち、復帰工程について説明する。時刻t4において切換弁24への通電停止指令が出され、切換弁24が第1位置から第2位置に切り換わると、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1が下降し始めるとともに、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2が上昇し始める。ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1がロッド側シリンダ室44のエア圧P2に等しくなると、チェック弁30の作用により、ヘッド側シリンダ室42のエアがロッド側シリンダ室44に向けて供給されなくなり、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2の上昇が止まる。一方、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1は下降し続け、時刻t5において、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2がピストン38の静止摩擦抵抗に打ち勝つ分だけヘッド側シリンダ室42のエア圧P1を上回り、ピストンロッド40の引き込み方向(
図1の右方向)への移動が始まる。
【0040】
ピストンロッド40が引き込み方向へ移動を始めると、ロッド側シリンダ室44の容積が増加するため、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2は下降するが、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1はそれより大きな割合で下降するので、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2がヘッド側シリンダ室42のエア圧P1を上回る状態は継続する。一旦移動を始めたピストン38の摺動抵抗は静止状態でのピストン38の摩擦抵抗よりも小さいので、ピストンロッド40の引き込み方向への移動は支障なく行われる。なお、ピストンロッド40の引き込み時には、エアタンク34内のエア圧も、ピストン38に対する引き込み力(押圧力)として利用されることは勿論である。
【0041】
そして、時刻t6において、ピストンロッド40が最も引き込まれた状態に復帰する。このとき、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1は大気圧に等しく、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2は大気圧より若干大きい。次の切換弁24への通電指令がなされるまでこの状態が維持される。
【0042】
[3.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係るエアシリンダ22の駆動方法及び流体圧シリンダ駆動装置20によれば、ヘッド側シリンダ室42に蓄積されたエアがロッド側シリンダ室44に向けて供給されると同時に外部に排出される。このため、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2が増加するとともに、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1が急速に減少し、エアシリンダ22(のピストンロッド40)の復帰に必要な時間を可及的に短縮することができる。また、複雑な構造の回収弁を必要とせず、チェック弁30等の簡単な回路構成を設けるだけでよいので、エアシリンダ22を復帰させるための回路を簡素化することができる。
【0043】
また、切換弁24と排気口28との間に絞り弁32が設けられているので、外部に排出されるエアの量を制限することができ、省エネルギー化を充分に図ることができる。この場合、絞り弁32が可変絞り弁であるため、ヘッド側シリンダ室42に蓄積されたエアをロッド側シリンダ室44に向けて供給するエアの量と、ヘッド側シリンダ室42に蓄積されたエアを外部に排出するときのエアの排出流量との割合を調整することができる。
【0044】
さらに、ロッド側シリンダ室44と切換弁24との間にエアタンク34が設けられているので、ヘッド側シリンダ室42から排出されるエアをロッド側シリンダ室44と繋がるエアタンク34に蓄積しておくことができ、復帰工程時、ロッド側シリンダ室44の容積が増大する際にそのエア圧P2が低下することを可及的に抑えることができる。
【0045】
この場合、エアタンク34の容積は、変動するヘッド側シリンダ室42の容積の最大値の概ね半分であるため、ヘッド側シリンダ室42に蓄積されたエアをロッド側シリンダ室44に向けて供給する際に、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2を迅速に増加させる作用と、ロッド側シリンダ室44の容積が増大する際にそのエア圧P2の低下を抑制する作用とのバランスを適正にすることができる。
【0046】
なお、上記流体圧シリンダ駆動装置20では、排気口28から排出されるエアの量を制限するために絞り弁32を設けたが、絞り弁32は必ずしも必要な構成ではない。
【0047】
また、上記流体圧シリンダ駆動装置20ではエアタンク34を設けたが、
図4に示すように、チェック弁30から切換弁24を挟んでロッド側シリンダ室44に至る配管56の容積を、流体圧シリンダ駆動装置20内の他の配管の容積よりも大きくしてもよい。これにより、チェック弁30から切換弁24を挟んでロッド側シリンダ室44の入口に至るまでの配管内の容積を充分に確保できるので、エアタンク34を省略できるとともに、該エアタンク34を設けた場合と同様の効果が容易に得られる。
【0048】
[4.本実施形態の変形例]
次に、本実施形態に係る流体圧シリンダ駆動装置20の変形例(第1〜第6変形例の流体圧シリンダ駆動装置20A〜20F)について、
図5〜
図10を参照しながら説明する。なお、第1〜第6変形例の説明において、本実施形態に係る流体圧シリンダ駆動装置20と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略する。
【0049】
[4.1 第1変形例]
第1変形例の流体圧シリンダ駆動装置20Aは、
図5に示すように、第4ポート52に対し、絞り弁32を介して、可変絞り弁である絞り弁(第2絞り弁)58、サイレンサ60及び排気口28が配管により直列に接続されている点で、
図4に示す流体圧シリンダ駆動装置20の構成とは異なる。
【0050】
この場合、流体圧シリンダ駆動装置20Aは、エアタンク(第2タンク)62をさらに備え、エアタンク62は、配管により、チェック弁(蓄圧用チェック弁)64を介して、絞り弁58、サイレンサ60及び排気口28と並列に接続されている。従って、第1変形例では、絞り弁58及び排気口28と、エアタンク62とが、第4ポート52に対して並列に接続されている。
【0051】
そして、第1変形例において、
図5に示す切換弁24の第2位置では、ヘッド側シリンダ室42は、チェック弁30、配管56及び切換弁24を介してロッド側シリンダ室44に連通するとともに、切換弁24及び絞り弁32を介して排気口28とエアタンク62とに連通する。また、切換弁24の第1位置において、ロッド側シリンダ室44は、切換弁24を介して排気口28とエアタンク62とに連通する。
【0052】
このように第1変形例の流体圧シリンダ駆動装置20Aでは、切換弁24が第1位置又は第2位置のいずれの位置である場合にも、第4ポート52から排気口28を介して外部に排出されるエアの一部を、チェック弁64を介して、エアタンク62に蓄積可能である。これにより、エアタンク62に蓄積する分だけ、流体圧シリンダ駆動装置20Aにおけるエアの消費量が削減される。この結果、流体圧シリンダ駆動装置20Aのさらなる省エネルギー化を実現することができる。
【0053】
また、絞り弁32とエアタンク62との間にチェック弁64が配設されているので、エアタンク62に一旦蓄積されたエアが逆流し、排気口28を介して外部に排出されることを阻止することができる。
【0054】
さらに、絞り弁58を設け、該絞り弁58、サイレンサ60及び排気口28を、第4ポート52に対して、チェック弁64及びエアタンク62と並列に接続している。これにより、絞り弁32を設けた場合と同様に、外部に排出されるエアの量を制限して、さらなる省エネルギー化を図ることができる。しかも、絞り弁58が可変絞り弁であるため、第4ポート52から排出されるエアのエアタンク62への供給量と、排気口28を介して外部に排出されるエアの排出流量との割合を容易に調整することができる。
【0055】
さらにまた、第1変形例の流体圧シリンダ駆動装置20Aは、第4ポート52に対して、絞り弁58、サイレンサ60、エアタンク62及びチェック弁64が接続される点以外は、
図4の流体圧シリンダ駆動装置20と同様の構成を備えるので、上述した流体圧シリンダ駆動装置20と同様の効果が容易に得られることは、勿論である。
【0056】
[4.2 第2変形例]
第2変形例の流体圧シリンダ駆動装置20Bは、
図6に示すように、配管56に代えて、エアタンク34を備える点で、第1変形例の流体圧シリンダ駆動装置20A(
図5参照)とは異なる。従って、チェック弁30から切換弁24を介してロッド側シリンダ室44に至る配管の容積と、流体圧シリンダ駆動装置20B内の他の配管の容積との間には、大きな違いがないことに留意する。
【0057】
流体圧シリンダ駆動装置20Bにおいても、第4ポート52に対して、絞り弁58、サイレンサ60、エアタンク62及びチェック弁64が接続されているので、第1変形例の流体圧シリンダ駆動装置20Aと同様の効果が得られる。また、エアタンク34を具備することにより、
図1及び
図2の流体圧シリンダ駆動装置20と同様の効果が得られる。
【0058】
[4.3 第3変形例]
第3変形例の流体圧シリンダ駆動装置20Cは、
図7に示すように、エアブロー機構(噴射機構)66がカプラ68を介してエアタンク62に接続されている点で、第1及び第2変形例の流体圧シリンダ駆動装置20A、20B(
図5及び
図6参照)とは異なる。カプラ68は、チェック弁を備えるソケット部68aとプラグ部68bとを含み構成され、ソケット部68aとプラグ部68bとを連結することにより、エアタンク62とエアブロー機構66とを連通させる。
【0059】
これにより、エアタンク62に蓄積されたエアは、カプラ68を介してエアブロー機構66に供給され、エアブロー機構66は、例えば、噴射口70から外部の図示しない対象物に向けてエアを噴射し、該対象物に対するエアブローを行うことができる。
【0060】
なお、流体圧シリンダ駆動装置20Cは、実線で示すように、配管56を備えてもよいし、あるいは、破線で示すように、配管56に代えて、エアタンク34を備えてもよい。いずれの場合でも、エアタンク62に蓄積されたエアをエアブローに利用することが可能であるとともに、第1及び第2変形例の流体圧シリンダ駆動装置20A、20Bと同様の効果が得られる。
【0061】
[4.4 第4変形例]
第4変形例の流体圧シリンダ駆動装置20Dは、
図8に示すように、切換弁24の第2位置において、ヘッド側シリンダ室42からチェック弁30及び切換弁24を介してロッド側シリンダ室44に、ヘッド側シリンダ室42に蓄積されたエアの一部を供給する際に、エアタンク62に蓄積されたエアをロッド側シリンダ室44に供給する第1流体供給機構72が配設されている点で、第1〜第3変形例の流体圧シリンダ駆動装置20A〜20C(
図5〜
図7参照)とは異なる。
【0062】
第1流体供給機構72は、エアタンク62とロッド側シリンダ室44とを接続する配管上に配設された切換弁74、チェック弁76及び圧力スイッチ78を含み構成される。この場合、エアタンク62と第2ポート48とを接続する配管上に、エアタンク62から第2ポート48に向かって、切換弁74とチェック弁76とが順に配設されている。また、第2ポート48とロッド側シリンダ室44とを接続する配管におけるロッド側シリンダ室44寄りの箇所(エアタンク34とロッド側シリンダ室44との間の箇所)に、圧力スイッチ78が配設されている。
【0063】
切換弁74は、通電時には、
図8の第1位置においてエアタンク62とチェック弁76との接続を遮断し、一方で、非通電時には、ばねの付勢力によって第2位置に保持され、エアタンク62とチェック弁76とを接続する。チェック弁76は、切換弁74の第2位置において、エアタンク62からロッド側シリンダ室44に向かうエアの流れを許容する一方で、ロッド側シリンダ室44からエアタンク62に向かうエアの流れを阻止する。
【0064】
圧力スイッチ78は、切換弁24の第2位置において、第2ポート48とロッド側シリンダ室44とを接続する配管(例えば、配管56)内を流れるエアの流体圧(作動圧力)が所定の第1閾値にまで低下したか否かを検出する。該作動圧力が第1閾値にまで低下したとき、圧力スイッチ78は、その検出結果を示す出力信号をPLCに出力する。PLCは、圧力スイッチ78から出力信号が入力されていないときには、切換弁74に通電指令を出力して第1位置に保持させ、一方で、圧力スイッチ78から出力信号が入力されているときには、切換弁74に通電停止指令を出力して第2位置に切り換える。
【0065】
従って、流体圧シリンダ駆動装置20Dでは、切換弁24の第2位置において、ヘッド側シリンダ室42からロッド側シリンダ室44に供給されるエアのエア圧が第1閾値まで低下した場合、圧力スイッチ78からPLCに出力信号が出力され、PLCは、切換弁74に通電停止指令を出力して第2位置に切り換える。これにより、エアタンク62から切換弁74、チェック弁76を介してロッド側シリンダ室44に、エアタンク62に蓄積されたエアが供給される。
【0066】
この結果、ピストンロッド40の引き込み時にヘッド側シリンダ室42からロッド側シリンダ室44に供給されるエアのエア圧が低下する場合でも、第1流体供給機構72を介して、エアタンク62のエアが補助的に供給される。そのため、引き込み時のピストン38の移動速度を一定に保つことができ、エアシリンダ22を確実に、かつ、効率よく復帰させることが可能となる。なお、流体圧シリンダ駆動装置20Dは、第1流体供給機構72を具備する点以外は、第1及び第2変形例の流体圧シリンダ駆動装置20A、20Bと同様の構成を備えているため、該流体圧シリンダ駆動装置20A、20Bと同様の効果が得られることは勿論である。
【0067】
[4.5 第5変形例]
第5変形例の流体圧シリンダ駆動装置20Eは、
図9に示すように、第1流体供給機構72がチェック弁76のみ備えるとともに、高圧エア供給源26からエアタンク62にエアを供給する第2流体供給機構80をさらに備える点で、第4変形例の流体圧シリンダ駆動装置20D(
図8参照)とは異なる。
【0068】
第2流体供給機構80は、高圧エア供給源26とエアタンク62とを接続する配管上に配設されたエアオペレート弁82を含み構成される。エアオペレート弁82は、パイロット圧であるエアタンク62内のエア圧が所定の第2閾値よりも高い場合には、
図9に示す第2位置を保持して高圧エア供給源26とエアタンク62との接続を遮断する。一方、エアタンク62内のエア圧が第2閾値にまで低下した場合、エアオペレート弁82は、第1位置に切り換わり、高圧エア供給源26とエアタンク62とを連通させる。これにより、高圧エア供給源26からエアタンク62に高圧エアが供給される。
【0069】
そして、流体圧シリンダ駆動装置20Eでは、切換弁24の第2位置において、ヘッド側シリンダ室42からロッド側シリンダ室44に供給されるエアのエア圧がエアタンク62内のエア圧よりも低くなった場合、エアタンク62からチェック弁76を介してロッド側シリンダ室44に、エアタンク62に蓄積されたエアが供給される。また、ロッド側シリンダ室44へのエアの供給によって、エアタンク62内のエア圧が第2閾値まで低下した場合、エアオペレート弁82が第2位置から第1位置に切り換わり、高圧エア供給源26からエアタンク62に高圧エアが供給される。この結果、エアタンク62内のエア圧の低下を抑えつつ、ロッド側シリンダ室44に高圧エアを供給することができる。
【0070】
このように、第5変形例の流体圧シリンダ駆動装置20Eでは、第1流体供給機構72がチェック弁76のみ備えるので、切換弁74及び圧力スイッチ78が不要となり、流体圧シリンダ駆動装置20Eの簡素化を図ることができる。また、高圧エア供給源26からエアタンク62に高圧エアを供給する第2流体供給機構80を流体圧シリンダ駆動装置20Eがさらに備えることにより、エアタンク62に蓄積されたエアを利用する場合に、エア圧の低下を抑えることが可能となる。なお、流体圧シリンダ駆動装置20Eは、第2流体供給機構80を具備する点以外は、第1、第2及び第4変形例の流体圧シリンダ駆動装置20A、20B、20Dと同様の構成を有するため、該各流体圧シリンダ駆動装置20A、20B、20Dと同様の効果が得られることは勿論である。
【0071】
[4.6 第6変形例]
第6変形例の流体圧シリンダ駆動装置20Fは、
図10に示すように、エアタンク62に蓄積されたエアをエアブロー機構66によるエアブローに利用する点で、第5変形例の流体圧シリンダ駆動装置20E(
図9参照)とは異なる。この場合、流体圧シリンダ駆動装置20Fは、エアブロー機構66及び第2流体供給機構80を備えるので、第3及び第5変形例の流体圧シリンダ駆動装置20C、20E(
図7及び
図9参照)と同様の効果が得られる。また、流体圧シリンダ駆動装置20Fは、第1及び第2変形例の流体圧シリンダ駆動装置20A、20B(
図5及び
図6参照)と同様の構成を具備するので、各流体圧シリンダ駆動装置20A、20Bと同様の効果が得られることは勿論である。
【0072】
本発明に係る流体圧シリンダの駆動装置は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することのない範囲で、種々の構成を採り得ることはもちろんである。