(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記アクチュエータ駆動装置は、切換弁5を切り換えても、排気圧とアキュムレータ圧力との差が小さくなるまでは、駆動側圧力室3内の高圧空気が大気に放出されないので、複動シリンダ装置1の復帰時に必要な推力が得られるまでに時間がかかるという問題がある。また、排気圧とアキュムレータ圧力との圧力差が大きい間は、回収弁10の入口ポート10aを回収ポート10bに連通させ、排気圧とアキュムレータ圧力との圧力差が小さくなったときに入口ポート10aを排出ポート10cに連通させるという複雑な構造の回収弁10を必要とする。さらに、複動シリンダ装置1に対し回収弁10等を接続するための配管を別途構築する必要があり、アクチュエータ駆動装置が全体として大型化するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、排出圧力を再利用して流体圧シリンダのピストンを復帰させることで省エネルギー化を図りつつ、ピストンの復帰に必要な時間を可及的に短縮することを目的とする。また、排出圧力を再利用して流体圧シリンダにおけるピストンの往復動作を行うための回路を簡素化するとともに、該回路を含む流体圧シリンダを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る流体圧シリンダは、シリンダ本体の内部をピストンが往復動作する複動型の流体圧シリンダであって、シリンダ本体は、排出口を有する切換弁と、供給用チェック弁と、切換弁の第1位置において、一方のシリンダ室を流体供給源に連通させるとともに他方のシリンダ室を少なくとも排出口に連通させる流路と、切換弁の第2位置において、一方のシリンダ室を供給用チェック弁を介して他方のシリンダ室に連通させるとともに一方のシリンダ室を少なくとも排出口に連通させる流路と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の流体圧シリンダによれば、一方のシリンダ室に蓄積された流体が他方のシリンダ室に向けて供給されると同時に外部に排出される。このため、他方のシリンダ室の流体圧が増加するとともに、一方のシリンダ室の流体圧が急速に減少し、流体圧シリンダのピストンの復帰に必要な時間を可及的に短縮することができる。また、複雑な構造の回収弁を必要とせず、供給用チェック弁等の簡単な回路構成を設けるだけでよいので、流体圧シリンダのピストンを復帰させるための回路を簡素化することができる。さらに、シリンダ本体に、排出口を有する切換弁と、供給用チェック弁と、排出圧力を再利用して流体圧シリンダのピストンを復帰させるための流路とを設けたので、シリンダ本体と切換弁等を一体化することができ、流体圧シリンダを大幅に小型化することができる。
【0009】
上記の流体圧シリンダにおいて、切換弁は、一方のシリンダ室の上部、又は、一方のシリンダ室及び他方のシリンダ室の側方に設けられていると好適である。これによれば、切換弁と一方のシリンダ室とを連通させる流路を短くすることができ、流体圧シリンダをより小型化することができる。
【0010】
また、上記の流体圧シリンダにおいて、他方のシリンダ室と切換弁との間に第1タンクが設けられていることが好ましい。これによれば、一方のシリンダ室から排出される流体を他方のシリンダ室と繋がる第1タンクに蓄積しておくことができ、復帰工程時、他方のシリンダ室の容積が増大する際にその圧力の低下を可及的に抑えることができる。
【0011】
さらに、上記の流体圧シリンダにおいて、第1タンクは、他方のシリンダ室の上部、又は、切換弁の下部に設けられていると好適である。これによれば、第1タンクと他方のシリンダ室とを連通させる流路を短くすることができ、流体圧シリンダをより小型化することができる。
【0012】
上記第1タンクの容積は、変動する一方のシリンダ室の容積の最大値の概ね半分であることが好ましい。これによれば、一方のシリンダ室に蓄積された流体を他方のシリンダ室に向けて供給する際に他方のシリンダ室の流体圧を迅速に増加させる作用と、他方のシリンダ室の容積が増大する際にその圧力の低下を抑制する作用とのバランスを適正にすることができる。
【0013】
上記の流体圧シリンダにおいて、排出口には絞り弁が設けられていると好適である。これによれば、外部に排出される流体の量を制限することができ、省エネルギー化を充分に図ることができる。
【0014】
また、上記絞り弁は可変絞り弁であることが好ましい。これによれば、一方のシリンダ室に蓄積された流体を他方のシリンダ室に向けて供給する量と、一方のシリンダ室に蓄積された流体を外部に排出する量との割合を調整することができる。
【0015】
また、上記流体圧シリンダにおいて、切換弁に対して絞り弁と並列に接続される第2タンクがさらに設けられることが好ましい。この場合、第1位置において、他方のシリンダ室は、切換弁を介して絞り弁と第2タンクとに連通する。一方、第2位置において、一方のシリンダ室は、供給用チェック弁及び切換弁を介して他方のシリンダ室に連通するとともに、切換弁を介して絞り弁と第2タンクとに連通する。
【0016】
これにより、排出口から外部に排出される流体の一部を第2タンクに蓄積するので、第2タンクに蓄積する分だけ流体の消費量が削減される。この結果、流体圧シリンダのさらなる省エネルギー化を実現することができる。
【0017】
この場合、切換弁と第2タンクとの間に蓄圧用チェック弁を設けると、第2タンクに一旦蓄積された流体が排出口を介して外部に排出されることを阻止することができる。
【0018】
また、第2位置において、一方のシリンダ室から供給用チェック弁及び切換弁を介して他方のシリンダ室に、一方のシリンダ室に蓄積された流体の一部を供給する際に、第2タンクに蓄積された流体を他方のシリンダ室に供給する第1流体供給機構がさらに設けられていることが好ましい。
【0019】
これにより、一方のシリンダ室から他方のシリンダ室に供給される流体の圧力が低下した場合、第2タンクから第1流体供給機構を介して他方のシリンダ室に流体が供給される。この結果、流体圧シリンダを確実に、かつ、効率よく復帰させることができる。
【0020】
また、流体供給源から第2タンクに流体を供給する第2流体供給機構をさらに設けると、第2タンクに蓄積された流体を利用する場合に、該流体の圧力の低下を抑えることが可能となる。
【0021】
さらに、上記流体圧シリンダにおいて、シリンダ本体の内部に第1タンク及び第2タンクが並設され、第1タンクの上部に切換弁が設けられるとともに、第2タンクの上部に第2流体供給機構を構成するエアオペレート弁が設けられ、切換弁とエアオペレート弁との間にピストン、一方のシリンダ室及び他方のシリンダ室が設けられることが好ましい。
【0022】
ピストン、一方のシリンダ室及び他方のシリンダ室を中心として、第1タンク及び切換弁と、第2タンク及びエアオペレート弁とが対称に設けられるので、流体圧シリンダを作りやすくなる。この結果、流体圧シリンダの生産性を向上しつつ、製造コストを削減することが可能となる。
【0023】
この場合、ピストンが上下方向に沿った長円状の形状であれば、該ピストンが周方向に回ることを防止することができる。
【0024】
また、ピストンの上部に磁石が配設され、シリンダ本体における一方のシリンダ室及び他方のシリンダ室近傍に磁石による磁気を検出する磁気センサがそれぞれ配設されているので、上記の対称構造の流体圧シリンダにおいて、ピストンの位置検出機構を容易に配設することが可能になる。
【0025】
さらに、第1タンク及び第2タンクを略同じ容積とすれば、流体圧シリンダの生産性が一層向上するとともに、流体圧シリンダの製造コストをさらに削減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る流体圧シリンダによれば、一方のシリンダ室に蓄積された流体が他方のシリンダ室に向けて供給されると同時に外部に排出される。このため、他方のシリンダ室の流体圧が増加するとともに、一方のシリンダ室の流体圧が急速に減少し、流体圧シリンダのピストンの復帰に必要な時間を可及的に短縮することができる。また、供給用チェック弁等の簡単な回路構成を設けるだけでよく、複雑な構造の回収弁を必要としないので、流体圧シリンダのピストンを復帰させるための回路を簡素化することができる。さらに、シリンダ本体に、排出口を有する切換弁と、供給用チェック弁と、排出圧力を再利用して流体圧シリンダのピストンを復帰させるための流路とを設けたので、シリンダ本体と切換弁等を一体化することができ、流体圧シリンダを大幅に小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る流体圧シリンダについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0029】
[1.本実施形態の構成]
図1に示すように、本発明の実施形態に係る流体圧シリンダ20は、複動型のエアシリンダであって、切換弁24、高圧エア供給源(流体供給源)26、排気口(排出口)28、チェック弁(供給用チェック弁)30、絞り弁(可変絞り弁)32、エアタンク(第1タンク)34及びこれらを流体的に接続する所定の配管からなる。
【0030】
流体圧シリンダ20は、シリンダ本体36の内部に往復摺動自在に配設されたピストン38を有する。一端部がピストン38に連結されたピストンロッド40の他端部は、シリンダ本体36から外部に延在可能である。ここで例示される流体圧シリンダ20は、ピストンロッド40の押し出し時(往動時)に図示しないワークの位置決め等の仕事を行い、ピストンロッド40の引き込み時(復帰時)には仕事をしない。シリンダ本体36は、ピストン38によって区画される二つのシリンダ室、すなわち、ピストンロッド40と反対側に位置するヘッド側シリンダ室(一方のシリンダ室)42及びピストンロッド40と同じ側に位置するロッド側シリンダ室(他方のシリンダ室)44を有する。
【0031】
切換弁24は、第1ポート46乃至第5ポート54を有し、
図2に示す第1位置と
図1に示す第2位置との間で切り換え可能な電磁弁として構成される。ここで、仮に、シリンダ本体36内のピストン38が
図1の状態であるときを第2位置と称し、
図2の状態を第1位置と称す。第1ポート46は、配管によりヘッド側シリンダ室42に繋がるとともにチェック弁30の上流側に繋がっている。第2ポート48は、配管によりエアタンク34を介してロッド側シリンダ室44に繋がっている。第3ポート50は、配管により高圧エア供給源26に繋がっている。第4ポート52は、配管により絞り弁32を介して排気口28に繋がっている。第5ポート54は、配管によりチェック弁30の下流側に繋がっている。
【0032】
図1に示すように、切換弁24が第2位置にあるときは、第1ポート46と第4ポート52とが繋がり、かつ、第2ポート48と第5ポート54とが繋がる。
図2に示すように、切換弁24が第1位置にあるときは、第1ポート46と第3ポート50とが繋がり、かつ、第2ポート48と第4ポート52とが繋がる。切換弁24は、非通電時はばねの付勢力により第2位置に保持され、通電時に第2位置から第1位置に切り換わる。なお、切換弁24に対する通電又は非通電は、図示しない上位装置であるPLC(Programmable Logic Controller)から切換弁24への通電指令の出力(通電)又は通電停止指令の出力(非通電)によって行われる。
【0033】
チェック弁30は、切換弁24の第2位置において、ヘッド側シリンダ室42からロッド側シリンダ室44に向かうエアの流れを許容し、ロッド側シリンダ室44からヘッド側シリンダ室42に向かうエアの流れを阻止する。
【0034】
絞り弁32は、排気口28から排出されるエアの量を制限するために設けられており、エアの排出流量を調整することができるように、通路面積を変更可能な可変絞り弁として構成されている。
【0035】
エアタンク34は、ヘッド側シリンダ室42からロッド側シリンダ室44に向けて供給されるエアを蓄積するために設けられている。エアタンク34を設けることで、ロッド側シリンダ室44の容積を実質的に大きくすることができる。エアタンク34の容積は、例えば、ピストンロッド40が最大位置まで伸長したときのヘッド側シリンダ室42の容積(変動するヘッド側シリンダ室42の容積の最大値)の半分(概ね半分であればよい)に設定されている。
【0036】
[2.本実施形態の動作]
本実施形態に係る流体圧シリンダ20は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、
図1及び
図2を参照しながら、その作用(動作)について説明する。なお、
図1に示すように、ピストンロッド40が最も引き込まれた状態を初期状態とする。
【0037】
この初期状態において、切換弁24に通電し、切換弁24を第2位置(
図1参照)から第1位置(
図2参照)に切り換えると、高圧エア供給源26から高圧エアがヘッド側シリンダ室42に供給されるとともに、ロッド側シリンダ室44のエアが絞り弁32を介して排気口28から排出される駆動工程が行われる。駆動工程では、
図2に示すように、ピストンロッド40は最大位置まで伸長し、大きな推力でその位置に保持される。
【0038】
ピストンロッド40が伸長してワークの位置決め等の作業が行われた後、切換弁24への通電を停止すると、切換弁24が第1位置から第2位置に切り換わり、復帰工程が行われる。復帰工程では、ヘッド側シリンダ室42に蓄積されたエアの一部がチェック弁30を通ってロッド側シリンダ室44に向けて供給され、それと同時に、ヘッド側シリンダ室42に蓄積されたエアの他の一部が絞り弁32を介して排気口28から排出される。このとき、ロッド側シリンダ室44に向けて供給されるエアは、主にエアタンク34に蓄積される。ピストンロッド40の引き込みが始まる前は、ロッド側シリンダ室44と配管通路とを含めてチェック弁30からロッド側シリンダ室44までの間にエアが存在し得る領域のうち最も大きな空間を占めるのはエアタンク34であるからである。その後、ヘッド側シリンダ室42のエア圧が減少し、ロッド側シリンダ室44のエア圧が上昇して、ロッド側シリンダ室44のエア圧がヘッド側シリンダ室42のエア圧よりも所定以上大きくなると、ピストンロッド40の引き込みが始まる。そして、ピストンロッド40が最も引き込まれた初期状態に復帰する。
【0039】
上記一連の動作におけるヘッド側シリンダ室42のエア圧P1、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2及びピストンストロークを測定したところ、
図3に示す結果が得られた。以下、
図3を参照しながら、流体圧シリンダ20の動作原理(駆動工程及び復帰工程)を詳細に説明する。なお、
図3において、エア圧のゼロ点は、エア圧が大気圧に等しいことを示し、ピストンストロークのゼロ点は、ピストンロッド40が最も引き込まれた位置にあることを示す。
【0040】
先ず、流体圧シリンダ20の動作原理のうち、駆動工程について説明する。切換弁24に通電指令が出される時刻t1において、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1は大気圧に等しく、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2は大気圧より若干大きくなっている。
【0041】
切換弁24に通電指令が出された後、切換弁24が第2位置(
図1参照)から第1位置(
図2参照)に切り換わると、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1が上昇を開始する。時刻t2において、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1がピストン38の静止摩擦抵抗に打ち勝つ分だけロッド側シリンダ室44のエア圧P2を上回り、ピストンロッド40の押し出し方向(
図2の左方向)への移動が始まる。その後、時刻t3において、ピストンロッド40は最大限まで伸長する。ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1はさらに上昇した後に一定となり、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2は下降して大気圧と等しくなる。なお、時刻t2と時刻t3の間で、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1が一時的に下降し、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2が一時的に上昇しているのは、ヘッド側シリンダ室42の容積が増加し、ロッド側シリンダ室44の容積が減少したことに起因すると考えられる。
【0042】
次に、流体圧シリンダ20の動作原理のうち、復帰工程について説明する。時刻t4において切換弁24への通電停止指令が出され、切換弁24が第1位置から第2位置に切り換わると、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1が下降し始めるとともに、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2が上昇し始める。ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1がロッド側シリンダ室44のエア圧P2に等しくなると、チェック弁30の作用により、ヘッド側シリンダ室42のエアがロッド側シリンダ室44に向けて供給されなくなり、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2の上昇が止まる。一方、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1は下降し続け、時刻t5において、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2がピストン38の静止摩擦抵抗に打ち勝つ分だけヘッド側シリンダ室42のエア圧P1を上回り、ピストンロッド40の引き込み方向(
図1の右方向)への移動が始まる。
【0043】
ピストンロッド40が引き込み方向へ移動を始めると、ロッド側シリンダ室44の容積が増加するため、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2は下降するが、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1はそれより大きな割合で下降するので、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2がヘッド側シリンダ室42のエア圧P1を上回る状態は継続する。一旦移動を始めたピストン38の摺動抵抗は静止状態でのピストン38の摩擦抵抗よりも小さいので、ピストンロッド40の引き込み方向への移動は支障なく行われる。なお、ピストンロッド40の引き込み時には、エアタンク34内のエア圧も、ピストン38に対する引き込み力(押圧力)として利用されることは勿論である。
【0044】
そして、時刻t6において、ピストンロッド40が最も引き込まれた状態に復帰する。このとき、ヘッド側シリンダ室42のエア圧P1は大気圧に等しく、ロッド側シリンダ室44のエア圧P2は大気圧より若干大きい。次の切換弁24への通電指令がなされるまでこの状態が維持される。
【0045】
なお、上記流体圧シリンダ20では、排気口28から排出されるエアの量を制限するために絞り弁32を設けたが、絞り弁32は必ずしも必要な構成ではない。
【0046】
また、上記流体圧シリンダ20ではエアタンク34を設けたが、
図4に示すように、チェック弁30から切換弁24を挟んでロッド側シリンダ室44の入口に至るまでの配管45内の容積を、流体圧シリンダ20内の他の配管の容積よりも大きくしてもよい。これにより、チェック弁30から切換弁24を挟んでロッド側シリンダ室44の入口に至るまでの配管内の容積を充分に確保できるので、エアタンク34を省略できるとともに、該エアタンク34を設けた場合と同様の効果が容易に得られる。
【0047】
[3.本実施形態の具体的構造]
本発明の実施形態に係る流体圧シリンダ20の基本構成及び作用は以上のとおりであり、各種構成要素の具体的な配置に関しては、種々の構造を採用することができる。
【0048】
構造の一例として、シリンダ本体と切換弁等が一体化された流体圧シリンダ120を
図5乃至
図10に示す。
【0049】
ここで、流体圧シリンダ120の構成要素のうち、前述の流体圧シリンダ20の構成要素に対応するものについては、流体圧シリンダ20の各構成要素の参照符号に100を加えた参照符号とし、その詳細な説明は省略する。
【0050】
図5は、本発明の実施形態に係る流体圧シリンダ120をヘッド側から見た斜視図である。
図5に示すように、流体圧シリンダ120は、シリンダ本体136と、シリンダ本体136の上部に設けられた切換弁124と、切換弁124の側面に突設された絞り弁(可変絞り弁)132と、を含む。
【0051】
図6は、
図5のVI−VI線断面図である。
図6に示すように、シリンダ本体136は、シリンダ本体136内部を往復摺動自在に配設されたピストン138と、一端部がピストン138に連結され他端部がシリンダ本体136から外部に延びるピストンロッド140とを有する。
【0052】
また、シリンダ本体136は、ピストン138によって区画される2つのシリンダ室、すなわちヘッド側シリンダ室(一方のシリンダ室)142及びロッド側シリンダ室(他方のシリンダ室)144を有する。ヘッド側シリンダ室142とロッド側シリンダ室144とは、それぞれカバー部材55、56により閉塞され、カバー部材55、56は止め輪57により固定される。ヘッド側シリンダ室142は、流路60を介して後述する切換弁124の第1ポート146に接続される。
【0053】
シリンダ本体136は、ロッド側シリンダ室144の上部にエアタンク134を有する。エアタンク134はカバー部材58により閉塞され、カバー部材58は止め輪59により固定される。エアタンク134は、流路62を介してロッド側シリンダ室144に連通するとともに、流路64を介して後述する切換弁124の第2ポート148に接続される。
【0054】
シリンダ本体136は、
図7に示すように、ピストンロッド140が突出する側面と反対側の側面に、高圧エア導入ポート66を有する。高圧エア導入ポート66には、図示しない高圧エア供給源(高圧流体供給源)126から高圧エア(圧力流体)が供給される。高圧エア導入ポート66は、流路68を介して後述する切換弁124の第3ポート150に接続される。
【0055】
図8は、
図5のVIII−VIII線断面図である。
図8に示すように、シリンダ本体136は、ヘッド側シリンダ室142の上部に、チェック弁130が収装された小空間70を有する。小空間70は、カバー部材71により閉塞される。小空間70は、流路72を介して流路60と連通し、流路74を介して後述する切換弁124の第5ポート154に接続される。
【0056】
チェック弁130は、ヘッド側シリンダ室142から切換弁124の第5ポート154に向かうエアの流れを許容し、切換弁124の第5ポート154からヘッド側シリンダ室142へ向かうエアの流れを阻止する。
【0057】
切換弁124は、第1ポート146乃至第5ポート154を有し、筒状のスリーブ75内をスプール弁76が軸方向に変位することにより、第1位置と第2位置とで切り換え可能な電磁弁として構成される。ここで、仮に、スプール弁76が
図8の状態であるときを第
1位置と称し、
図10の状態を第
2位置と称す。スリーブ75の両端は、カバー部材77により閉塞され、カバー部材77は止め具78により固定される。
【0058】
切換弁124は、
図7に示すように、ガスケット79を介してシリンダ本体136の頂面にねじ止めされている。切換弁124のヘッド側の側面には排気口128が開口し、当該排気口128には絞り弁132が設けられる。
図6及び
図8に示すように、排気口128は、切換弁124の内部に設けられた流路80を介して切換弁124の第4ポート152に接続される。
【0059】
切換弁124において、第1ポート146は、流路60によりヘッド側シリンダ室142に繋がるとともに、流路60及び流路72によりチェック弁130の上流側に繋がっている。第2ポート148は、流路64によりエアタンク134に繋がるとともに、さらに流路62を介してロッド側シリンダ室144に繋がっている。第3ポート150は、流路68及び高圧エア導入ポート66により図示しない高圧エア供給源126に繋がっている。第4ポート152は、流路80により排気口128に繋がっている。第5ポート154は、流路74によりチェック弁130の下流側に繋がっている。
【0060】
図8に示すように、切換弁124が第
1位置にあるときは、第1ポート146と第3ポート150が繋がり、かつ、第2ポート148と第4ポート152が繋がる。すなわち、切換弁124に通電し、切換弁124を第2位置から第1位置に切り替えると、高圧エア供給源126から高圧エア導入ポート66に対し高圧エアが供給される。次いで、流路68、第3ポート150、第1ポート146及び流路60を介して、高圧エアがヘッド側シリンダ室142に供給される。このとき、ロッド側シリンダ室144のエアは、流路62、エアタンク134、流路64、第2ポート148、流路80及び絞り弁132を介して、排気口128から排出される。
【0061】
一方、
図10に示すように、切換弁124が第
2位置にあるときは、第1ポート146と第4ポート152が繋がり、かつ第2ポート148と第5ポート154が繋がる。すなわち、切換弁124への通電を停止し、切換弁124を第1位置から第2位置に切り替えると、ヘッド側シリンダ室142に蓄積されたエアの一部が、流路60、流路72、チェック弁130、第5ポート154、第2ポート148、流路64、エアタンク134及び流路62を通って、ロッド側シリンダ室144に供給される。同時に、ヘッド側シリンダ室142に蓄積されたエアの他の一部が、流路60、第1ポート146、第4ポート152、流路80、絞り弁132を通って、排気口128から排出される。
【0062】
[4.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る流体圧シリンダ20、120によれば、ヘッド側シリンダ室42、142に蓄積された流体がロッド側シリンダ室44、144に向けて供給されると同時に外部に排出される。このため、ロッド側シリンダ室44、144の流体圧が増加するとともに、ヘッド側シリンダ室42、142の流体圧が急速に減少し、流体圧シリンダ20、120のピストン38、138の復帰に必要な時間を可及的に短縮することができる。
【0063】
また、複雑な構造の回収弁を必要とせず、チェック弁30、130等の簡単な回路構成を設けるだけでよいので、ピストン38、138を復帰させるための回路を簡素化することができる。
【0064】
さらに、シリンダ本体36、136に、排気口28、128を有する切換弁24、124と、チェック弁30、130と、排出圧力を再利用してピストン38、138を復帰させるための流路60、62、64、68、72、74、80とを設けたので、シリンダ本体36、136と切換弁24、124等を一体化することができ、流体圧シリンダ20、120を大幅に小型化することができる。
【0065】
また、切換弁124は、ヘッド側シリンダ室142の上部に設けられているので、切換弁124とヘッド側シリンダ室142とを連通させる流路60を短くすることができ、流体圧シリンダ120をより小型化することができる。
【0066】
また、ロッド側シリンダ室44、144と切換弁24、124との間にエアタンク34、134が設けられているので、ヘッド側シリンダ室42、142から排出される流体をロッド側シリンダ室44、144と繋がるエアタンク34、134に蓄積しておくことができ、復帰工程時、ロッド側シリンダ室44、144の容積が増大する際にその圧力の低下を可及的に抑えることができる。
【0067】
さらに、エアタンク134は、ロッド側シリンダ室144の上部に設けられているので、エアタンク134とロッド側シリンダ室144とを連通させる流路62を短くすることができ、流体圧シリンダ120をより小型化することができる。
【0068】
さらにまた、エアタンク34、134の容積は、変動するヘッド側シリンダ室42、142の容積の最大値の概ね半分であるので、ヘッド側シリンダ室42、142に蓄積された流体をロッド側シリンダ室44、144に向けて供給する際に、ロッド側シリンダ室44、144の流体圧を迅速に増加させる作用と、ロッド側シリンダ室44、144の容積が増大する際にその圧力の低下を抑制する作用とのバランスを適正にすることができる。
【0069】
また、排気口28、128に絞り弁32、132が設けられているので、外部に排出される流体の量を制限することができ、省エネルギー化を充分に図ることができる。
【0070】
この場合、絞り弁32、132が可変絞り弁であるため、ヘッド側シリンダ室42、142に蓄積された流体をロッド側シリンダ室44、144に向けて供給する量と、ヘッド側シリンダ室42、142に蓄積された流体を外部に排出する量との割合を調整することができる。
【0071】
なお、上記流体圧シリンダ120では、ヘッド側シリンダ室142の上部に切換弁124を設け、ロッド側シリンダ室144の上部にエアタンク134を設けているが、必ずしもヘッド側シリンダ室142及びロッド側シリンダ室144の上部でなくてもよい。例えば、流体圧シリンダ120の設置スペース等との関係で、シリンダ本体136の長手方向の側面に設けてもよいし、ヘッド側の側面に設けてもよい。
【0072】
また、上記流体圧シリンダ120は、ピストン138に連結されたピストンロッド140が、シリンダ本体136の軸線方向に沿って往復動作するものであるが、本発明に係る流体圧シリンダは必ずしもこれに限るものではない。駆動工程で大きな出力を必要とし、復帰工程では大きな出力を必要としない複動型のアクチュエータであれば、例えば、ロータリーアクチュエータやグリッパ等、種々の流体圧機器に適用することが可能である。
【0073】
[5.本実施形態の変形例]
次に、本実施形態に係る流体圧シリンダ20、120の変形例(流体圧シリンダ20A、120A)について、
図11〜
図15を参照しながら説明する。なお、この変形例の説明において、
図1及び
図2の流体圧シリンダ20及び
図5〜
図10の流体圧シリンダ120と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略する。
【0074】
この変形例の流体圧シリンダ20Aでは、
図11に示すように、第4ポート52に対し、絞り弁32、サイレンサ82及び排気口28が配管により直列に接続されている。
【0075】
この場合、流体圧シリンダ20Aは、エアタンク(第2タンク)84をさらに備え、エアタンク84は、配管により、チェック弁(蓄圧用チェック弁)86を介して、絞り弁32、サイレンサ82及び排気口28と並列に接続されている。従って、この変形例では、絞り弁32及び排気口28と、エアタンク84とが、第4ポート52に対して並列に接続されている。
【0076】
そして、変形例において、
図11に示す切換弁24の第2位置では、ヘッド側シリンダ室42は、チェック弁30及び切換弁24を介してロッド側シリンダ室44に連通するとともに、切換弁24を介して排気口28とエアタンク84とに連通する。また、切換弁24の第1位置において、ロッド側シリンダ室44は、切換弁24を介して排気口28とエアタンク84とに連通する。
【0077】
このように変形例の流体圧シリンダ20Aでは、切換弁24が第1位置又は第2位置のいずれの位置である場合にも、第4ポート52から排気口28を介して外部に排出されるエアの一部を、チェック弁86を介して、エアタンク84に蓄積可能である。これにより、エアタンク84に蓄積する分だけ、流体圧シリンダ20Aにおけるエアの消費量が削減される。この結果、流体圧シリンダ20Aのさらなる省エネルギー化を実現することができる。
【0078】
また、流体圧シリンダ20Aでは、切換弁24とエアタンク84との間にチェック弁86が配設されているので、エアタンク84に一旦蓄積されたエアが逆流し、排気口28を介して外部に排出されることを阻止することができる。
【0079】
さらに、絞り弁32、サイレンサ82及び排気口28を、第4ポート52に対して、チェック弁86及びエアタンク84と並列に接続している。これにより、外部に排出されるエアの量を制限して、さらなる省エネルギー化を図ることができる。しかも、絞り弁32が可変絞り弁であるため、第4ポート52から排出されるエアのエアタンク84への供給量と、排気口28を介して外部に排出されるエアの排出流量との割合を容易に調整することができる。
【0080】
さらにまた、流体圧シリンダ20Aは、第4ポート52に対して、絞り弁32、サイレンサ82、エアタンク84及びチェック弁86が接続される点等以外は、
図1及び
図2の流体圧シリンダ20と同様の構成を備えるので、上述した流体圧シリンダ20と同様の効果が容易に得られることは、勿論である。
【0081】
また、この変形例の流体圧シリンダ20Aにおいては、切換弁24の第2位置において、ヘッド側シリンダ室42からチェック弁30及び切換弁24を介してロッド側シリンダ室44に、ヘッド側シリンダ室42に蓄積されたエアの一部を供給する際に、エアタンク84に蓄積されたエアをロッド側シリンダ室44に供給する第1流体供給機構88がさらに配設されている。
【0082】
第1流体供給機構88は、エアタンク84とロッド側シリンダ室44とを接続する配管上に配設されたチェック弁90を含み構成される。この場合、エアタンク84と第2ポート48とを接続する配管上に、エアタンク84から第2ポート48の方向への流体の流れを許容するようにチェック弁90が配設されている。すなわち、チェック弁90は、切換弁24の第2位置において、エアタンク84からロッド側シリンダ室44に向かうエアの流れを許容する一方で、ロッド側シリンダ室44からエアタンク84に向かうエアの流れを阻止する。
【0083】
この場合、切換弁24の第2位置において、ヘッド側シリンダ室42からロッド側シリンダ室44に供給されるエアのエア圧がエアタンク84内のエア圧よりも低くなったときに、エアタンク84からチェック弁90を介してロッド側シリンダ室44に、エアタンク84に蓄積されたエアが供給される。
【0084】
このように、ピストンロッド40の引き込み時にヘッド側シリンダ室42からロッド側シリンダ室44に供給されるエアのエア圧が低下する場合でも、第1流体供給機構88を介して、エアタンク84のエアが補助的に供給される。この結果、配管にチェック弁90を設けた程度の簡素な構成で、引き込み時のピストン38の移動速度を一定に保つとともに、ピストン38を確実に、かつ、効率よく復帰させることが可能となる。
【0085】
また、この変形例の流体圧シリンダ20Aは、高圧エア供給源26からエアタンク84にエアを供給する第2流体供給機構92をさらに備える。
【0086】
第2流体供給機構92は、高圧エア供給源26とエアタンク84とを接続する配管上に配設されたエアオペレート弁94を含み構成される。エアオペレート弁94は、パイロット圧であるエアタンク84内のエア圧が所定の閾値よりも高い場合には、
図11に示す第2位置を保持して高圧エア供給源26とエアタンク84との接続を遮断する。一方、エアタンク84内のエア圧が閾値にまで低下した場合、エアオペレート弁94は、第1位置に切り換わり、高圧エア供給源26とエアタンク84とを連通させる。これにより、高圧エア供給源26からエアタンク84に高圧エアが供給される。
【0087】
従って、前述のように、エアタンク84からチェック弁90を介してロッド側シリンダ室44に、エアタンク84に蓄積されたエアが供給される場合、エアタンク84内のエア圧が閾値まで低下すると、エアオペレート弁94が第2位置から第1位置に切り換わり、高圧エア供給源26からエアタンク84に高圧エアが供給される。これにより、エアタンク84内のエア圧の低下を抑えつつ、ロッド側シリンダ室44に高圧エアを供給することができる。
【0088】
このように、高圧エア供給源26からエアタンク84に高圧エアを供給する第2流体供給機構92を流体圧シリンダ20Aがさらに備えることにより、エアタンク84に蓄積されたエアを利用する場合に、エア圧の低下を抑えることが可能となる。
【0089】
また、この変形例の流体圧シリンダ20Aは、ピストン38の外周面に永久磁石96が配設されるとともに、シリンダ本体36におけるヘッド側シリンダ室42近傍と、ロッド側シリンダ室44近傍とに、永久磁石96による磁気を検出する磁気センサ98a、98bがそれぞれ配設されている。すなわち、磁気センサ98aは、ピストンロッド40が最も引き込まれたときのピストン38の外周面に対向するように配設されており、ピストンロッド40が最も引き込まれたときに、永久磁石96の磁気を検出し、その検出信号をPLCに出力する。一方、磁気センサ98bは、ピストンロッド40が最大位置にまで伸長したときのピストン38の外周面に対向するように配設されており、ピストンロッド40が最も伸長したときに、永久磁石96の磁気を検出し、その検出信号をPLCに出力する。
【0090】
次に、
図11の回路図で示した流体圧シリンダ20Aの各構成要素を、具体的に配置した構造(流体圧シリンダ120A)について、
図12〜
図15を参照しながら説明する。
図12〜
図15においても、流体圧シリンダ120Aの構成要素のうち、前述の流体圧シリンダ20Aの構成要素に対応するものについては、流体圧シリンダ20Aの各構成要素の参照符号に100を加えた参照符号とし、その詳細な説明を省略する。
【0091】
流体圧シリンダ120Aのシリンダ本体136は、矩形状のブロックの中央部分が上方に膨出した逆T字状の形状を有する。この膨出部分の内部に該膨出部分の長手方向に沿って、ピストン138に連結されたピストンロッド140が延在するとともに、ヘッド側シリンダ室142及びロッド側シリンダ室144が形成されている。なお、
図14及び
図15では、ピストンロッド140が最も引き込まれる結果、ヘッド側シリンダ室142の容積が最小となっている場合を図示している。
【0092】
ピストン138は、
図14及び
図15で一点鎖線に示すように、上下方向に沿って長円状の形状を有する。ピストン138の上部には、棒状の永久磁石196が
図14及び
図15の左右両側に配設されている。また、
図12及び
図13に示すように、膨出部分の上部の左右両側には、該膨出部分の長手方向に沿って溝200がそれぞれ形成されている。一方の溝200の一端側(ヘッド側シリンダ室142側)には、磁気センサ198aが装着されている。また、他方の溝200の他端側(ロッド側シリンダ室144側)には、磁気センサ198bが装着されている。つまり、シリンダ本体136において、ヘッド側シリンダ室142近傍に磁気センサ198aが配設されるとともに、ロッド側シリンダ室144近傍に磁気センサ198bが配設される。
【0093】
矩形状のブロックの上面には、切換弁124及び第2流体供給機構192のエアオペレート弁194が膨出部分を挟んで並設されている。また、シリンダ本体136内部において、切換弁124の下方には、エアタンク134が形成されるとともに、エアオペレート弁194の下方には、エアタンク184が形成されている。
【0094】
すなわち、各エアタンク134、184は、膨出部分の長手方向に沿って並設され、略同じ容積を有する。なお、各エアタンク134、184は、それぞれ、カバー部材202、204により閉塞されるとともに、カバー部材202、204は、それぞれ、止め輪206、208により固定される。
【0095】
そして、
図12〜
図15に示すように、シリンダ本体136内部のエアタンク134側にチェック弁130、186及び第1流体供給機構188のチェック弁190がそれぞれ内蔵され、シリンダ本体136におけるエアタンク134寄りの側面に絞り弁132及びサイレンサ182が配設されている。そして、シリンダ本体136に備わるこれらの構成要素は、
図14及び
図15に破線で図示した各流路210を介して接続されている。なお、各流路210は、
図11の回路図に示す配管に対応するものであるため、上記の構成要素間での各流路210の接続関係の詳細については、説明を省略する。
【0096】
このように、シリンダ本体136では、膨出部分内部のピストン138、ピストンロッド140、ヘッド側シリンダ室142及びロッド側シリンダ室144を中心として、左右対称に、切換弁124及びエアタンク134と、エアオペレート弁194及びエアタンク184とが配設されている。
【0097】
このような配置関係により、流体圧シリンダ120Aが作りやすくなる。この結果、流体圧シリンダ120Aの生産性を向上しつつ、製造コストを削減することが可能となる。
【0098】
また、ピストン138が上下方向に沿って長円状の形状であるため、該ピストン138が周方向に回ることを防止することができる。
【0099】
さらに、ピストン138の上部に永久磁石196を配設し、シリンダ本体136の膨出部分に形成された溝200において、ヘッド側シリンダ室142及びロッド側シリンダ室144近傍に永久磁石196の磁気を検出する磁気センサ198a、198bがそれぞれ配設されているので、上記の対称構造の流体圧シリンダ120Aにおいて、ピストン138の位置検出機構を容易に配設することが可能になる。
【0100】
さらに、エアタンク134、184が略同じ容積を有するので、流体圧シリンダ120Aの生産性を一層向上させるとともに、流体圧シリンダ120Aの製造コストをさらに削減することができる。
【0101】
本発明に係る流体圧シリンダは、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することのない範囲で、種々の構成を採り得ることはもちろんである。