(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673559
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】多段部分進入円弧蒸気タービンを改造する方法
(51)【国際特許分類】
F01D 9/06 20060101AFI20200316BHJP
F01D 17/00 20060101ALI20200316BHJP
F01D 17/20 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
F01D9/06
F01D17/00 J
F01D17/20 H
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-10883(P2016-10883)
(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-138557(P2016-138557A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2019年1月11日
(31)【優先権主張番号】15152382.6
(32)【優先日】2015年1月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン クリフォード ロード
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ロイド ベル
【審査官】
西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−195403(JP,A)
【文献】
特開昭61−093207(JP,A)
【文献】
実開昭60−164604(JP,U)
【文献】
特開2009−047122(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0363281(US,A1)
【文献】
特開2008−064091(JP,A)
【文献】
特開2010−048254(JP,A)
【文献】
実開昭56−020007(JP,U)
【文献】
米国特許第02147874(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0111008(US,A1)
【文献】
米国特許第04936002(US,A)
【文献】
特公昭50−013413(JP,B2)
【文献】
英国特許出願公告第00295639(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/02− 9/06
F01D 17/00、17/18−17/20
F01D 25/24−25/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段部分進入円弧蒸気タービンを改造する方法であって、
蒸気タービンを提供するステップを含み、該蒸気タービンは、
複数のブレード列を支持する内側ハウジングと、
該内側ハウジングを包囲する外側ハウジングと、
前記複数のブレード列の上流端部における第1のブレード列と、
第1の進入円弧と、
該第1の進入円弧に接続された第1の入口ラインと、
複数の第2の進入円弧であって、前記第1の進入円弧とともに、前記第1のブレード列への主進入部を形成している、方法において、
前記第1のブレード列の下流において前記内側ハウジングに少なくとも1つの入口ベルトを形成するステップと、
前記第1の入口ラインと、前記外側ハウジング内に完全に含まれた少なくとも1つの入口ベルトとを接続するダクトを形成するステップと、
前記ダクトと前記第1の進入円弧との間において前記第1の入口ラインを前記第1の進入円弧から隔離するステップと、を含み、
前記ダクトと、前記入口ベルトとは、蒸気が前記第1の入口ラインを通過しかつ前記蒸気タービンの前記第1のブレード列をバイパスすることを可能にするように構成および配置されており、前記第1の入口ラインへの前記ダクトの接続は、前記第1の入口ラインを通流する全ての蒸気が前記ダクトを通過するようになっていることを特徴とする、多段部分進入円弧蒸気タービンを改造する方法。
【請求項2】
前記ダクトは、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとの間に完全に含まれている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ダクトは、全体が前記内側ハウジングによって形成されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の第2の進入円弧による全周進入円弧を可能にするための前記複数の第2の進入円弧の再構成をさらに含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記複数の第2の進入円弧は、3つの進入円弧から成る、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記複数の第2の進入円弧による全周進入円弧を可能にするための前記複数の第2の進入円弧の再構成をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記複数の第2の進入円弧は、3つの進入円弧から成る、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記複数の第2の進入円弧による全周進入円弧を可能にするための前記複数の第2の進入円弧の再構成をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記複数の第2の進入円弧は、3つの進入円弧から成る、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、蒸気タービンを改造する方法、特に、部分進入円弧蒸気タービンの改造に関する。
【背景技術】
【0002】
背景情報
小型および中型のタービンは発電のために広く使用されている。これらの機械の小さな入口体積流量は、これらの機械が最小限の入口流れ面積しか必要としないことを意味する。その結果、これらの機械は、通常、短いブレード高さと、小さなゲージング角度とを備えて構成されている。この構成は、大きな効率低下を生じ得る。この問題を解決するための公知のアプローチは、いわゆる部分進入円弧構成において蒸気を2つ以上の円弧を通じて進入させることであり、この構成では、各円弧を通る流れは、別個の制御弁によって制御される。部分進入は、このようなタービンの第1の(制御)段において、時には後続のグループの段のためにも広く使用されている。概して、第1の部分段および下流の段の効率は、合計進入レベル、進入円弧の数および接線方向の位置、および第1の段と下流の段との間の混合チャンバのジオメトリを含む、多くのパラメータに依存する。上述のパラメータの適切な組合せは、タービン性能の改良につながり得る。
【0003】
特に広い作動範囲および高い効率を有することが要求される蒸気タービンのために、変圧制御と接続されてもよい部分進入円弧の組合せは、完全な解決を提供し得ない。新たな設備の場合、解決手段は、例えば米国特許出願番号4403476Aに記載されたバイパス過負荷弁をさらに有することである。この配列は、供給制御弁が完全に開かれたときに蒸気タービンの上流ブレード列の周囲の蒸気の部分を制御可能にバイパスさせることによって、蒸気タービンの飲み込み能力を高めることを可能にする。
【0004】
既存の部分円弧流入蒸気タービンは、過負荷配列から利益を得ることができるかもしれないが、配列の改造は複雑かつ高コストである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
過負荷配列を備える部分進入円弧蒸気タービンを改造する改造方法が提供される。
【0006】
この改造方法は、独立請求項の主体によってこの問題を解決することを試みる。有利な実施の形態は、従属請求項に提供されている。
【0007】
1つの一般的な態様は、多段部分進入円弧蒸気タービンを改造する方法を含む。これは、まず複数のブレード列を支持する内側ハウジングと、内側ハウジングを包囲する外側ハウジングと、1つのブレード列と、第1の入口ラインに接続された第1の進入円弧と、それぞれが第2の入口ラインに接続された複数の第2の進入円弧とを有する蒸気タービンを提供することを含む。第1の進入円弧と、複数の第2の進入円弧とは、一緒に主流入部を形成するように、複数のブレード列の上流に配置されている。この方法は、さらに、少なくとも1つのブレード列の下流において内側ハウジングに少なくとも1つの入口ベルトを形成し、第1の入口ラインと入口ベルトとの間に延びるダクトを形成することも含む。さらに第1の進入円弧を第1の入口ラインから隔離することによって、この配列は、第1の入口ラインを通る流れが第1のブレード列をバイパスすることを可能にする。
【0008】
別の態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。内側ハウジングと外側ハウジングとの間にダクトを完全に含む。第2の進入円弧を通る全周進入円弧を可能にするために、複数の第2の進入円弧を再構成する。複数の第2の進入円弧は、3つの進入円弧から成る。
【0009】
別の一般的な態様は、複数のブレードを支持する内側ハウジングと、ブレード列と、内側ハウジングを包囲する外側ハウジングと、第1の入口ラインに接続された第1の進入円弧と、第2の進入円弧とを有し、第1の進入円弧と第2の進入円弧とが一緒にブレード列への主進入部を形成している蒸気タービンを含む、多段部分進入円弧蒸気タービンを含む。蒸気タービンは、第1のブレード列の下流において内側ハウジングに少なくとも1つの入口ベルトを形成し、かつ第1の入口ラインと各入口ベルトとを接続するダクトを形成することも含む。ダクトおよび入口ベルトは、蒸気が第1の入口ラインを通過しかつ少なくとも第1のブレード列をバイパスすることを可能にするように適応されており、その一方で、第1の入口ラインと各入口ベルトとの接続は、第1の入口ラインを通流する全ての蒸気がダクトを通流するようになっている。
【0010】
本開示のその他の態様および利点は、例として本発明の典型的な実施の形態を示している添付の図面に関連した以下の説明から明らかになるであろう。
【0011】
例として、本開示の実施の形態が以下で添付の図面に関連してさらに完全に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】典型的な実施の形態が適用されてもよい従来の蒸気タービンの断面図である。
【
図2】典型的な実施の形態が適用された、
図1の蒸気タービンの内側ケーシングおよびブレード列の断面図である。
【
図3】進入円弧を示す、
図1の蒸気タービンの1つの典型的な実施の形態の端部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本開示の典型的な実施の形態がここで図面に関連して説明され、全図を通じて同じ要素を示すために同じ参照符号が使用されている。以下の記載において、説明のために、開示の十分な理解を提供するために多数の特定の詳細が示されている。しかしながら、本開示は、これらの特定の詳細なしに実施されてもよく、本明細書に開示された典型的な実施の形態に限定されない。
【0014】
図1は、従来の多段部分進入円弧蒸気タービン10を示している。蒸気タービン10は、第1のブレード列18を含む複数のブレード列を支持する内側ハウジング12と、内側ハウジングを包囲する外側ハウジング14とを有する。蒸気は、複数の供給ライン24,26を通じてタービンに進入する。各供給ライン24,26は、進入円弧20に接続されている。進入円弧20は、第1のブレード列18に供給し、集合的に主流入部を形成している。
【0015】
典型的な実施の形態では、
図1の蒸気タービンは、蒸気タービンの中間段において、内側ハウジング12に少なくとも1つの入口ベルト30を形成することによって変更されている。これに関して、入口ベルト30は、蒸気タービンを少なくとも部分的に包囲する溝またはダクトを意味する。その目的は、中間段を含む蒸気タービンのあらゆる箇所における蒸気タービンへの蒸気の周方向進入を可能にすることである。ダクト32は、次いで、供給入口ライン24のうちの1つを入口ベルト30に接続するように形成されており、これにより、蒸気タービンの上流端部に配置された第1のブレード列18のうちの少なくとも1つの周囲に蒸気バイパスを形成している。バイパスは、さらに、入口ライン24に接続された部分円弧を入口ライン24から隔離することによって達成される。これにより、変更前には進入円弧20に接続されていた入口ライン24は、今やダクト32のみに接続され、これにより、入口ライン24を通流する全ての蒸気がダクト32を通過する。
図2および
図3に示したように、ダクト32は、その他の進入円弧に接続されたままの他の入口ライン26には接続されていない。
【0016】
図示されていない典型的な実施の形態では、2つ以上のダクト32が、2つ以上の入口ベルト30に接続されていてもよい。
【0017】
典型的な実施の形態では、入口ライン24から切り離された進入円弧は、いずれの供給入口ライン26にも接続されていない空白の進入円弧である。
【0018】
典型的な実施の形態では、入口ライン24のうちの1つをダクト32に接続した後、残りの入口ライン26のうちの少なくとも1つが、第1の入口ライン24に形式的に接続されている進入円弧に接続され、これにより、残りの入口ライン26を通じた全周進入円弧を可能にする。
【0019】
図3に示されている典型的な実施の形態では、変更された蒸気タービンは、変更前の4つの進入円弧20から減じられた、3つの進入円弧20を有する。その他の図示されていない典型的な実施の形態では、6つの進入円弧20を有する蒸気タービン10に変更が加えられ、その結果、ダクト32に接続された1つの入口ライン24と、5つの進入円弧とを備える蒸気タービン10を生じる。
【0020】
典型的な実施の形態では、ダクト32は、外側ハウジング14の変更なしに内側ハウジング12内に含まれている。
【0021】
開示は、最も実用的な典型的な実施の形態であると考えられるものにおいて本明細書に示されかつ説明されているが、本開示は、その他の詳細で具体化することができる。したがって、ここで開示された実施の形態は、全ての側面において、例示的であり、制限されるものでないと考えられる。開示の範囲は、前記説明ではなく、添付の請求項によって示されており、その意味、範囲および均等物に当てはまる全ての変更は、それに包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0022】
10 蒸気タービン
12 内側ハウジング
14 外側ハウジング
16 ブレード列
18 第1のブレード列
20 進入円弧
24,26 入口ライン
30 入口ベルト
32 ダクト