特許第6673565号(P6673565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673565
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】複合加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 23/02 20060101AFI20200316BHJP
   B23B 21/00 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   B23P23/02 A
   B23B21/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-44513(P2015-44513)
(22)【出願日】2015年3月6日
(65)【公開番号】特開2016-83762(P2016-83762A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】201410585740.6
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513172652
【氏名又は名称】富鼎電子科技(嘉善)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】楊明陸
(72)【発明者】
【氏名】彭楊茂
(72)【発明者】
【氏名】賈見士
(72)【発明者】
【氏名】隋景双
(72)【発明者】
【氏名】徐振光
(72)【発明者】
【氏名】付軍
(72)【発明者】
【氏名】李傑
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−124802(JP,A)
【文献】 特開昭62−124803(JP,A)
【文献】 特開昭63−185501(JP,A)
【文献】 特開2002−018609(JP,A)
【文献】 米国特許第06532849(US,B1)
【文献】 特開2007−075995(JP,A)
【文献】 特開2014−121777(JP,A)
【文献】 特開平11−197915(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0180285(US,A1)
【文献】 特表2013−509307(JP,A)
【文献】 米国特許第9067311(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00−25/06
B23P 5/00−17/06
B23P 23/00−25/00
B23Q 1/00−1/76
B23Q 9/00−9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工することに用いられ、装着部材及び前記装着部材に設置されている第一加工機構を備える複合加工装置において、
前記複合加工装置は、更に第二加工機構を備え、前記第二加工機構は、前記装着部材に設置され、且つ前記第一加工機構と一定の間隙をあけて位置し、前記第二加工機構は、固定座、駆動部、前記固定座に移動可能に貫通している切削工具、案内部、及び弾性部を備え、前記駆動部は、前記固定座と一定の間隙をあけて前記装着部材に設置され、前記駆動部は、前記切削工具の一端に接続され、前記切削工具は前記固定座に対して直線運動を行い、前記固定座には収容キャビティが設けられ、且つ前記駆動部と対向する一端には凹槽が設けられ、前記案内部は、前記収容キャビティにおける前記駆動部と近接する端部に収容して固定され、且つ前記案内部の前記駆動部に近接する一端には、突起が設けられ、前記突起は、前記凹槽内に収容され、前記切削工具は、移動可能に前記収容キャビティを通過し、前記弾性部は、前記駆動部と前記突起との間に設置され、且つ前記弾性部の前記駆動部と離れている一端は、前記凹槽内に収容されて、前記突起と接触し、前記駆動部は、前記切削工具を駆動して、前記切削工具を前記固定座に対して前記駆動部と離れる方向に沿って移動させ、この際、前記弾性部は圧縮され、前記弾性部の弾性力によって、前記切削工具は前記駆動部に向かって移動することを特徴とする複合加工装置。
【請求項2】
前記駆動部は、本体及び駆動軸を備え、前記本体は、前記装着部材に固定され、前記駆動軸は、前記本体における前記固定座に近接する一端に移動可能に設置され、前記駆動軸は、前記切削工具に接続されることを特徴とする請求項1に記載の複合加工装置。
【請求項3】
前記第二加工機構は、更に接続部を備え、前記接続部の一端は、前記駆動軸における前記本体と離れている端部に接続され、前記接続部の別の一端は、前記切削工具における前記駆動部と近接する端部に接続され、前記弾性部は、前記接続部と前記固定座との間に設置されていることを特徴とする請求項2に記載の複合加工装置。
【請求項4】
前記接続部における前記駆動部と近接する一端には、外部に向けて延在する止め部が形成され、前記弾性部は、前記切削工具と前記接続部に設置され、前記弾性部の両端は、それぞれ前記止め部及び前記固定座とに接触していることを特徴とする請求項3に記載の複合加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の加工分野に関し、特に複合加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の工作機械は、ワークに対してフライス切削或いは旋削等一種類の加工しかできない。現在、ワークの構造は複雑になっているため、従来の単一の加工方式ではワークの加工要求を満たすことができない。そこで、ワークに対して二種類或いは二種類以上の加工を行う場合、例えば、バイトを利用してワークの平坦部分を旋削した後、フライス切削を利用して、ワークの狭小の箇所を加工する場合は、まず、ワークを旋盤に固定した後、ワークに対して旋削加工を行う。次いで、旋削加工が終わると、ワークを旋盤から取り外してフライス盤に固定した後、ワークに対してフライス切削加工を行う。しかしこのような加工方法は、ワークを2回固定しなければならないので生産効率が低く、また、ワークの固定位置がずれるため、加工精度も低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、生産効率を向上する複合加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明の複合加工装置は、ワークを加工することに用いられ、装着部材と、装着部材に設置されている第一加工機構及び第二加工機構を備え、第二加工機構は、装着部材に設置され、且つ第一加工機構と一定の間隙をあけて位置し、第二加工機構は、固定座、駆動部、固定座に移動可能に貫通している切削工具、及び弾性部を備え、駆動部は、固定座と一定の間隙をあけて装着部材に設置され、駆動部は、切削工具の一端に接続され、切削工具は固定座に対して直線運動を行い、弾性部は、駆動部と固定座との間に設置され、駆動部は、切削工具を駆動して、切削工具は固定座に対して駆動部と離れる方向に沿って移動し、この際、弾性部は圧縮され、弾性部の弾性力によって、切削工具は駆動部に向かって移動する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の複合加工装置では、装着部材に、第一加工機構及び第二加工機構が設置されている。つまり、同一の機台で二種類の加工方式を交互に使用できるので、生産効率及び加工精度を向上することができる。同時に、本発明の複合加工装置は、構造及び装着が簡単であり、占有空間も小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は本発明に係る複合加工装置の斜視図である。
図2図2図1に示した複合加工装置の分解斜視図である。
図3図3図1に示した複合加工装置をIII−III線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を参照すると、複合加工装置100は、工作機械等の加工設備に応用される。複合加工装置100は、装着部材20、第一加工機構50及び第二加工機構70を備える。第一加工機構50は、装着部材20に取り付けられている。本実施形態において、第一加工機構50は、フライス機構であり、ワーク(図示せず)に対してフライス切削加工を行う。第二加工機構70も装着部材20に取り付けられるが、第一加工機構50と一定の間隙をあけて設置されている。本実施形態において、第二加工機構70は、バイト機構であり、ワークに対して旋削加工を行う。他の実施形態において、複合加工装置100は、装着部材20に設置された固定部材(図示せず)等の他の部材を備える。
【0008】
装着部材20は、互いに対向して位置する第一端部22及び第二端部24を備え、第一加工機構50は、第一端部22に固定されている。本実施形態において、装着部材20は、工作機械の主軸である。
【0009】
図2を併せて参照すると、第二加工機構70は、固定座72、駆動部75、切削工具77及び弾性部79を備える。固定座72は、装着部材20の第二端部24に設置され、且つ第一加工機構50と隣接している。駆動部75は、装着部材20の中央に、且つ固定座72の上方に設置されている。切削工具77の一端は、駆動部75に接続され、別の一端は、移動可能に固定座72を貫通し、駆動部75の駆動によって、固定座72は直線運動を行う。弾性部79は、駆動部75の一端に設置され、且つその両端はそれぞれ駆動部75と固定座72とに接触している。
【0010】
図3を併せて参照すると、本実施形態において、固定座72は、直方体/立方体を呈し、装着部材20の第二端部24に設置されている。また、固定座72には、収容部725が設けられており、切削工具77を収容する。
【0011】
駆動部75は、本体752及び駆動軸754を備える。本体752は、装着部材20の中央に、且つ固定座72の上方に設置されている。駆動軸754は、本体752における固定座72と近接する一端に移動可能に設置される。本実施形態において、駆動部75は、シリンダーである。
【0012】
切削工具77の一端は、駆動軸754に接続され、別の一端は、移動可能に収容部725を貫通し、且つ収容部725から突出してワークを加工する。具体的には、第二加工機構70は、更に接続部76を備え、接続部76の一端は、駆動軸754における本体752と離れている端部に接続され、別の一端は、切削工具77における駆動部75と近接する端部に接続される。切削工具77は駆動軸754に接続される。
【0013】
第二加工機構70は、更に案内部78を備える。本実施形態において、案内部78の数量は、2つであり、1つの案内部78は、収容部725における駆動部75と近接する端部に収容され、別の案内部78の一部は、収容部725における駆動部75と離れている端部に収容されて、固定座72に対する切削工具77の運動を案内して、摩擦力を減少させる。本実施形態において、案内部78は、直線運動用軸受である。
【0014】
図1に示したように、弾性部79は、駆動部75と固定座72との間に設置されて、切削工具77を初期位置に戻す。具体的には、駆動部75に近接する案内部78の、駆動部75に近接する一端には、突起784が設けられている。また、接続部76の、駆動部75と近接する一端には、外部に向けて延在する止め部762が形成されている。弾性部79は、切削工具77及び接続部76に設置され、且つその両端はそれぞれ止め部762と突起784とに接触している。本実施形態において、弾性部79は、ばねである。
【0015】
複合加工装置100を組み立てる場合、まず、第一加工機構50及び固定座72を装着部材20に互い一定の間隙あけて設置する。次いで、案内部78を固定座72に設置し、駆動部75を装着部材20に設置する。この際、駆動部75は、第一端部22上の固定座72と一定の間隔を開けて位置する。次に、接続部76を駆動軸754における固定座72と近接する端部に固定する。最後に、切削工具77を移動可能に固定座72に貫通させ、弾性部79を切削工具77に設置する。この際、弾性部79の両端は、それぞれ案内部78と接続部76との間に位置し、切削工具77における固定座72と離れている端部は接続部76に接続する。
【0016】
複合加工装置100を利用してワークを加工する場合、まず、第一加工機構50がワークに対してフライス切削加工を行う。この際、第二加工機構70は作業していない。フライス切削加工が終わると、駆動軸754は第二端部24に向かって移動し、切削工具77は固定座72に対して駆動部75と離れる方向に沿って突出して、ワークに対して旋削加工を行う。この際、弾性部79は圧縮状態にある。旋削加工が終わると、駆動部75の作業は停止し、弾性部79の弾性力によって、切削工具77は駆動部75に向かって移動して、ワークから離れる。
【0017】
本発明の複合加工装置100は、装着部材20に、第一加工機構50及び第二加工機構70が設置されている。つまり、同一の機台で二種類の加工方式を交互に使用できるので、生産効率及び加工精度を向上することができる。同時に、本発明の複合加工装置100は、構造及び装着が簡単であり、占有空間も小さい。また、第二加工機構70が作業していない場合、切削工具77は完全に固定座72内に収容されるため、切削工具77は保護される。第二加工機構70がワークの加工を終えると、弾性部79によって切削工具77はワークから離れるため、駆動部75を駆動させて切削工具77をワークから離す必要はなくなる。これにより、駆動部75の使用寿命は長くなり、また、駆動部75の駆動に使われるエネルギーも節約することができる。
【0018】
他の実施形態において、弾性部79を切削工具77に設置せず、駆動部75と固定座72との間に設置してもよい。また、弾性部79は、ばねに限定されず、弾性チューブ等の弾性構造であってもよい。
【0019】
他の実施形態において、接続部76を省略し、切削工具77を直接に駆動軸754に接続し、弾性部79を固定座72と本体752との間に設置してもよい。また、駆動部75と近接する案内部78も省略し、弾性部79の一端を固定座72と接触してもよい。
【0020】
他の実施形態において、案内部78を省略して、切削工具77を固定座72内に設置してもよい。
【0021】
他の実施形態において、第一加工機構50及び第二加工機構70は、フライス機構に限定されず、研磨刀、中ぐりバイト等の加工機構であってもよい。
【符号の説明】
【0022】
100 複合加工装置
20 装着部材
22 第一端部
24 第二端部
50 第一加工機構
70 第二加工機構
72 固定座
75 駆動部
79 弾性部
725 収容部
752 本体
754 駆動軸
76 接続部
77 切削工具
78 案内部
784 突起
762 止め部
図1
図2
図3