(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記利用明細分析手段は、前記店員入力情報を入力した店員によって前記店員入力情報を重み付けすることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の見守りシステム。
前記利用明細分析手段は、前記カード利用明細に含まれる食料品又は食料品以外の購入品の情報に基づいて、前記対象者の生活の質を判定することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の見守りシステム。
前記店舗端末は、店内に設置した来店者の体調情報を検知するセンサから前記対象者の体調情報を取得する店内センサ情報取得手段を備え、前記取得した体調情報を前記来店時情報に含ませることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の見守りシステム。
前記カード会社サーバは、前記対象者の前記安否確認情報を、他の店舗の店舗端末に送信する店舗連携情報送信手段を備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の見守りシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1の見守りシステムは、カメラから得られる画像を情報源とした機械的な見守り手段を主としたものであるが、カメラの設置場所が限られるため、見守り対象者の特に在宅外の行動に対しては十分ではないという課題がある。一方、非特許文献1の方法は、人的な見守り手段を主としたものであるが、やはり在宅外の行動に対して十分ではなく、また、人的な見守り手段のシステム化とネットワーク化が課題となる。
【0008】
したがって、本発明では、上記のような課題にかんがみ、機械的見守り手段と人的見守り手段を併用し、地域やコミュニティで対象者を見守るための新たなシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような解決手段を提供する。
(1)本発明の第1の態様では、カード会社サーバとカード加盟店の店舗端末が接続された見守り対象者を見守るための見守りシステムであって、前記店舗端末は、前記対象者が来店した際に対面した店員に、前記対象者の状態を示す店員入力情報を入力させる店員判定入力手段と、前記店員入力情報と、前記対象者が来店時に提示又は買物の決済に用いるカードのカード情報とを含む来店時情報を、前記カード会社サーバに送信する来店時情報送信手段と、を備え、前記カード会社サーバは、前記来店時情報及び前記対象者の顧客情報に基づいて、前記対象者のカード利用明細を分析し、安否確認情報として記録する利用明細分析手段と、前記安否確認情報に基づいて、前記対象者の見守り者に通知する安否確認通知を生成する安否確認通知生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
(2)また、上記の(1)の構成において、前記店員判定入力手段は、前記店舗端末から、前記対象者の体調の状態を表す項目を選択させることを特徴とする。
【0011】
(3)また、上記の(1)又は(2)の構成において、前記店員判定入力手段は、前記店員に前記対象者に関するコメントを入力させることを特徴とする。
【0012】
(4)また、上記の(1)〜(3)のいずれか1つの構成において、前記利用明細分析手段は、前記店員入力情報を入力した店員によって前記店員入力情報を重み付けすることを特徴とする。
【0013】
(5)また、上記の(1)〜(4)のいずれか1つの構成において、前記利用明細分析手段は、前記カード利用明細に含まれる食料品又は食料品以外の購入品の情報に基づいて、前記対象者の生活の質を判定することを特徴とする。
【0014】
(6)また、上記の(1)〜(5)のいずれか1つの構成において、前記店舗端末は、店内に設置した来店者の体調情報を検知するセンサから前記対象者の体調情報を取得する店内センサ情報取得手段を備え、前記取得した体調情報を前記来店時情報に含ませることを特徴とする。
【0015】
(7)また、上記の(1)〜(6)のいずれか1つの構成において、前記カード会社サーバは、前記対象者の前記安否確認情報を、他の店舗の店舗端末に送信する店舗連携情報送信手段を備えることを特徴とする。
【0016】
(8)また、本発明の第2の態様では、カード会社のサーバとカード加盟店の店舗端末が接続されたシステムにおいて、見守り対象者を見守るための方法であって、前記対象者が来店した際に対面した店員に、前記見守り対象者の状態を示す店員入力情報を入力させるステップと、前記店員入力情報と、前記対象者が来店時に提示又は買物の決済に用いるカードのカード情報と、を含む来店時情報及び前記対象者の顧客情報に基づいて、前記見守り対象者のカード利用明細を分析し、安否確認情報として記録するステップと、前記安否確認情報に基づいて、前記対象者の見守り者に通知する安否確認通知を生成するステップと、を実行することを特徴とする。
【0017】
(9)また、本発明の第3の態様では、カード加盟店の店舗端末と接続され、見守り対象者を見守るための見守りサーバであって、前記店舗端末から顧客のカード利用情報を受信し、当該顧客の利用明細DBに格納するカード利用情報受信手段と、前記顧客が前記見守り対象者であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が見守り対象者であると判断した場合、前記顧客に対する店員の判定情報の入力を促す画面を前記店舗端末に送信する店員判定入力画面送信手段と、前記店員が入力した判定情報を前記店舗端末から受信し、前記店員の判定情報を前記利用明細DBに登録する店員判定情報登録手段と、前記利用明細DB及び顧客情報DBに基づいて、前記顧客のカード利用明細を分析し、安否確認情報として安否確認用DBに記録する利用明細分析手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、見守り対象者が決済に用いたカードの利用明細情報を利用した新たな見守りシステムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。また、機能構成の図において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。また、処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
【0021】
(見守りサービスの概念)
図1は、本発明の実施形態に係る見守りサービスの基本概念を示す図である。
本サービスは、カード会社のシステムとカード加盟店である店舗の端末が接続され、高齢者や身障者などの見守り対象者(安否確認者)を地域で見守るためのサービスである。利用者が本サービスを利用する際には、前提として、高齢者、身障者、その他サポートが必要な見守り対象者(以下、単に高齢者とする)は、身の回りの生活用品などのなるべく全ての購買活動について、クレジットカードや電子マネーカードなどの電子カード(以下、単にカードとする)で決済するものとする。そのため、カードの使い方などはあらかじめ教育しておくものとする。
【0022】
本サービスでは、以下のような(1)〜(4)の手順で見守りを行う。
(1)データ入力
高齢者がカードを用いて店舗で買物をする際に、その店舗の店員などが対面で感じた顧客の様子(顔色や動作など)を店舗端末にデータ入力し、カードの利用情報である購入情報(カード利用明細)に含める。また、店内に設置された防犯用カメラや体温センサなどを利用して、来店ごとに顧客の状態を確認して利用明細に含めるようにしてもよい。このとき、来店するだけでもカードにポイントが溜まるようにしておけば、買物をしない場合にも安否確認手段として有効である。そのため、以降では、店員が入力した情報、店内センサの情報を含んだカードによる購入情報を「来店時情報」と呼ぶことにする。購入情報には、当然、決済に用いるカードの情報と、購入しようとする商品又はサービスの明細情報とを含む。
【0023】
(2)データ送信
顧客の来店時又は商品購入時に、上記来店時情報をカード会社のシステムに送信し、カード会社のシステムでは、受信した来店時情報を利用明細とともにカード利用明細DBに格納する。
【0024】
(3)変換
カード会社のシステムでは、カード利用明細DBのデータを分析して安否確認用の情報に変換する。このとき、高齢者の生活の質や傾向を分析した結果を安否確認情報として安否確認用DBに格納する。生活の質や傾向は、食料品の購入状況、交通機関の利用状況、通院の状況などから判断する。また、購入の際に店員が入力した情報も重要な情報である。店員は対面で感じた顧客の様子を入力するため、入力精度に個人差が生まれる可能性があるが、どの店員が入力したかによって情報に重み付けして対処する。例えば、毎日、顧客が来店する店舗の店員は、その顧客の変化に気づきやすいと考えられるので、その店員からの情報は、他の店員よりも重み付けを大きくする。また、一つの店舗での情報は、別の店舗でも参照できるように、加盟店ネットワークを利用した店舗間の連携手段も用意する。したがって、徘徊者の行動なども追跡可能である。
【0025】
(4)家族に連携
安否確認用DBに格納されたデータを元にして、所定のタイミング(例えば、毎日、毎週、10日ごと、2週間ごと、毎月など)で通知メッセージを生成し、あらかじめ登録された家族などの見守り者に通知する。通知メッセージには異常事態の情報だけでなく、生活の質や傾向も記載される。一定期間、購買履歴がない場合は、早急に安否確認が必要となる。なお、緊急時には通知によらず周囲が対処するのはもちろんである。
【0026】
この見守りシステムでは、店舗で高齢者の安否を確認することができるので、在宅時以外の有効な安否確認手段となる。このとき、顧客と実際に対面した店員の情報によって高齢者の健康状態などを知ることができる。また、カード加盟店のネットワークを活用することで、認知症を患っている高齢者が徘徊してしまった場合には、行き先を追跡することもできる。また、購買データを用いるため、より細かい分析結果を通知することができる。例えば、普段買わない高額の商品を購入した場合には、詐欺の可能性もあるため、その被害を防いだり軽減したりすることも可能となる。また、当然、カード会社にとっては、カードの利用促進となる。
【0027】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る見守りシステムの機能構成を示す図である。本実施形態のシステム(本システム)は、図示するように、カード会社サーバ10と、カードが利用可能な店舗に設置された店舗端末20とがネットワークで接続される。このネットワークは、CAFIS(Credit And Finance Information Switching system)などの専用ネットワークであってもよいし、インターネットを用いた汎用ネットワークを用いてもよい。
【0028】
店舗端末20は、図示するように、来店時情報送信手段21と、カード読取手段22と、店員判定入力手段23と、店内センサ情報取得手段24と、店舗連携情報表示手段25とを備える。なお、図示は省略するが、店員が操作するタッチパネルのような入力/表示手段や商品ラベルのバーコードなどを読み取る商品コード読取手段も店舗端末20に接続されているものとする。
【0029】
来店時情報送信手段21は、顧客が提示したカードのカード情報(カード番号などのカード識別子を含む)、購入する商品の情報、及び店員が入力した情報を「来店時情報」に含めカード会社サーバ10に送信する。来店時情報には、店舗に設置された防犯用カメラや店内センサ(体調情報を検知するセンサ)が検知した来店者の画像や体温などの「店内センサ情報」を含めてもよい。なお、来店時情報としてどのデータをカード会社に送信してもよいかは、見守り対象者などから承諾をあらかじめ得ているものとする。
【0030】
カード読取手段22は、顧客が支払い時や来店時に提示した顧客カード30(クレジットカード、電子マネーカードなど)のカード情報を読み取って、来店時情報送信手段21を介して、カード会社サーバ10に送信する。カード会社サーバ10は、受信したカード情報に基づいて、そのカードの認証処理を行う(オーソリ処理)。
【0031】
店員判定入力手段23は、店員が対面して感じた顧客の状態に関する情報(店員入力情報)を入力させる機能を有する。具体的には、後述する店員入力画面を表示して店員に情報の入力を求める。この入力画面には、顧客の状態を表す選択ボタンを表示し、また、任意のコメントが入力できる欄を設けることが望ましい。店員入力画面の具体例については後述の
図6で説明する。なお、顧客が来店はしたが何も買わなかった場合でもカードを店内の端末にかざすなどしてカード情報を入力していれば、そのカード情報に紐付けて、顧客の情報を店員に入力させるようにしてもよい。店員が入力した情報は、来店時情報の一部として来店時情報送信手段21を介して、カード会社サーバ10に送信される。
【0032】
店内センサ情報取得手段24は、店内に設置された防犯用カメラ、体温センサ(体表面温度を感知する赤外線サーモグラフィが望ましい。)、その他人体の情報を検知するセンサから情報を取得し、来店時情報の一部として来店時情報送信手段21を介して、カード会社サーバ10に送信する。その他にも店内センサとしては、銭湯、マッサージ店、医療関係施設などに設置される血圧計や脈拍計などがある。また、店舗端末20が、顧客が装着したウェアラブル端末と交信し、そこから人体に関する情報を取得し、店内センサ情報に含めてもよい。なお、店内センサ情報は、そのまま来店時情報として直接送らずに、店員が店内センサ情報を参照して、店員入力情報に含めてもよい。
【0033】
店舗連携情報表示手段25は、同じ顧客が、別の店舗を利用した際の来店時情報をカード会社サーバ10から受信する。これは、来店時に店員が入力するときの参考データとするための手段である。例えば、別の店舗で「体調が悪そう」と入力されていた場合は、その状態が現在も続いているかどうかを店員が注意して観察することができる。なお、別の店舗でなくとも同じ店舗での前回の来店時の情報を表示するようにしてもよい。特に、同じ店舗で同じ店員が対応している場合は、顧客の変化に気が付きやすいので、そのことを強調して表示するようにしてもよい。
【0034】
カード会社サーバ10は、
図2に示すように、来店時情報受信手段11と、オーソリ手段12と、顧客情報DB13と、カード決済手段14と、利用明細DB15と、利用明細分析手段16と、安否確認用DB17と、安否確認通知生成手段18と、店舗連携情報送信手段19とを備える。
【0035】
来店時情報受信手段11は、店舗端末20の来店時情報送信手段21から、前述した来店時情報を受信する。来店時情報に含まれる決済用のカード情報は、オーソリ手段12に受け渡され、カードが有効であるか、今回の購入金額が利用可能残高をオーバしていないかなどのオーソリチェックを行う。来店時情報に含まれる購入情報の明細は、オーソリチェックでの認証後、カード決済手段14によって決済が行われ、決済後の利用明細が利用明細DB15に格納される。利用明細DB15に格納されるデータの具体例は、後述の
図3で説明する。なお、来店時情報に含まれる購入情報(利用明細、カード情報を含む)と、店舗で付加する安否確認のための情報(「店舗付加情報」と呼ぶ)は、同時に受信しなくともよく、別々に受信してもよい。
【0036】
顧客情報DB13は、顧客の氏名、引落口座を含む登録情報、及びカードの有効期限、暗証番号やセキュリティコードなどの認証情報が含まれるデータベースである。また、本システムでは、顧客が見守り対象として登録されているか否か、見守り対象として登録されている場合は、家族などの見守り者の連絡先、見守り者の端末情報、安否確認のための通知メッセージの設定情報などが格納されるものとする。
【0037】
利用明細分析手段16は、利用明細DB15に格納された顧客の利用明細と店舗付加情報とを分析し、安否確認に役立つ情報を抽出し、その分析結果を安否確認情報として安否確認用DB17に記録する。安否確認用DB17に格納されるデータの具体例は、後述の
図4で説明する。
【0038】
安否確認通知生成手段18は、安否確認用DB17を参照して、その顧客の安否確認通知を生成し、見守り者端末40に送信する。安否確認通知の具体例は、後述の
図7で説明する。なお、安否確認通知生成手段18は、顧客情報DB13から通知先を取得し、見守り者に連絡をとったほうがいいかどうかを判断し、更に顧客の安否を見守り者が確認するように通知する必要があるか否かを判断する手段と、通知する必要があると判断した場合、見守り者に通知するようにしてもよい。
【0039】
店舗連携情報送信手段19は、安否確認用DB17に格納された過去の安否情報を読み出し、店舗内又は他の店舗と顧客の安否情報を連携するために、顧客が過去に利用した店舗を中心に地域内又は地域周辺の顧客が立ち寄る可能性のある店舗を抽出し、店舗端末20の店舗連携情報表示手段25に送信する。このとき、場合によっては、顧客情報DB13に格納された顧客の住所や、安否確認用DB17又は利用明細DB15の購入履歴も参照される。
【0040】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る利用明細データベース(DB)に格納されるデータの具体例を示す図である。本実施形態の利用明細DB15には、通常のカード利用明細だけでなく、前述したような、店舗で付加された情報である店舗付加情報を含むものとする。カード利用明細には、利用日時、利用店舗(利用場所)、利用合計金額だけでなく、個々の商品名と購入価格が含まれることが望ましい。そのようにすることで、利用明細から顧客の生活の質や傾向も判断することが可能となる。
【0041】
店舗付加情報には、店舗で情報を入力した店員の識別子(店員ID)、店員判定情報、店員コメント、可能であれば店内センサ情報(図示せず)が含まれる。店員判定情報とは、店員の入力の負担を減らすため、見守り対象者の状態を、例えば、「〇」、「△」、「×」などの選択ボタンを押すことで簡単に入力可能とした、顧客の体調などの状態に関する情報である。店員コメントとは、選択ボタンでは表せない状態を簡単なテキストで店員が入力した情報である。もちろん、店舗付加情報は、利用明細DB15とは別のDBに格納してもよいが、カードの利用日時及び利用店舗(利用場所)と対応付けられていることが重要である。店員IDは、利用明細分析手段16が、店員のばらつきを判断するために用いられ、例えば、同じ店員が同じ顧客に継続的に対面しているような場合は、その店員の情報の信頼度が高いと考えられるので、その店員が入力した情報の重み付けを増加させるなどの処理を行う。
【0042】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る安否確認用データベース(DB)に格納されるデータの具体例を示す図である。本実施形態の利用明細DB15には、利用明細分析手段16がカードの利用明細を分析した結果が格納される。
【0043】
この例では、顧客の毎日の購入品がカテゴリごとに分類され、食料品の購入履歴から食生活が「〇」、「△」、「×」で判定されている。この「食生活判定」には、顧客の年齢、性別に基づいて、食料品ごとのカロリー、脂肪分などの食品栄養素データが参照される。酒類、たばこはマイナスの判定要因となる。また、食料品以外の購入物品やサービスから購入品の判定が「〇」、「△」、「×」で示される。この「購入品判定」には、顧客の年齢、性別、収入に基づいて、対象店舗で扱っている商品のデータベース、過去の購入履歴が参照される。高額なもの、顧客は普段買わないようなもの、顧客に身分不相応なもの、などの購入はマイナスの判定要素となる。「体温判定」は、店舗に設置された体温センサからの情報を「〇」、「△」、「×」で示したものであるが、測定された体温の数値をそのまま格納してもよい。
【0044】
「店員判定情報」は、店員が後述の店員判定入力画面で選択した「〇」、「△」、「×」の情報が重み付されて格納される。例えば、ある店員が初めての顧客に対して店員入力画面で選択した情報は、参考情報として、別の記号(図の例では「〇?」、「△?」)で表すようにしてもよい。逆に、常にその顧客と対面しているような店員の情報は、「○〇」、「△△」、「××」のような記号で表すようにしてもよい。もちろん、上記のような記号でなく、店員入力情報の信頼度を表す数値を格納するようにしてもよい。「店員コメント」には、店員が入力したコメントがそのまま格納される。
【0045】
図の「その他判定」は、上記以外の判定が行われる。例えば、利用場所が普段の生活圏と異なっているような場合は、要注意の判定がなされる。あるいは、商品は購入せず、多数の店舗に次々と来店している場合は、徘徊の可能性があるので要注意の判定がなされる。このような安否確認用DB17に格納されたデータに基づいて、安否確認通知が生成され、見守り者端末40に送信される。
【0046】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る安否確認通知生成手段の処理フローを示す図である。この処理は、主に安否確認通知生成手段18が行う処理であるが、一部は利用明細分析手段16で行うようにしてもよい。
【0047】
安否確認通知生成手段18は、まずステップS10で、探索日、注意喚起レベルを初期化する。探索日とは、あらかじめ設定された探索期間の初日であり、例えば、探索期間が毎月であれば、その月の初日に初期化される。注意喚起レベルは、探索した期間の注意喚起のレベルを示す数値であり、この数値が高い程、安否確認通知が早く送信されることを示す。例えば、注意喚起レベル初期値をゼロとして、注意喚起に相当する事象が検出されるたびに注意喚起レベルが増加するようにする。注意喚起レベルが最高値(例えば「5」)になると即時に安否確認情報が送信される。
【0048】
次に、ステップS11では、探索日にカードの利用(来店だけの場合も含む)があったか否かが判定される。ステップS12において、連続してカードの利用がない日をカウントし、所定日数以上利用がないと判断された場合は、ステップS14に移る。ステップS14では、注意喚起レベルを最高値に設定し、ステップS26に移る。また、ステップS12において、カード不利用が所定日数未満であると判断された場合は、ステップS13に移り、探索日を次の日に更新して、ステップS11に戻る。
【0049】
ステップS11で、カードの利用があったと判断した場合は、ステップS15に移り、安否確認用DB17の情報を取得し、各判定項目に「〇」が付いていていない場合は、ステップS16〜ステップS25に示すように、注意喚起レベルを1又は判定結果に応じた数値だけ増加させる。
【0050】
例えば、「食生活判定」で、その日購入した食料品が「×」であっても直ちに健康被害がでるとは考えにくいので、注意喚起レベルは1増加させるだけであるが、「購入品判定」で、購入品に応じて(特に、購入品が詐欺と疑われるようなものの場合)、注意喚起レベルを設定する。また、「体温判定」も多少の上下がある程度では、注意喚起レベルは1増加させる程度とする(高熱の場合は別)。また、店員判定情報(店員コメントを含む)は、顧客と直接対面した店員の生の情報であるので重要度が高いと考え、店員判定情報によって注意喚起レベルを設定する。「その他判定」も同様である。いずれの場合もステップS26において、注意喚起レベルに応じたタイミングで通知メッセージを生成して見守り者端末40に送信する。
【0051】
図6は、本発明の実施形態に係る店員判定入力画面(店員入力画面)の一例を示す図である。この例の店員判定入力画面100には、購入商品表示欄101とともに、店員入力欄102が表示されている。店舗端末20の表示画面のサイズによっては別々に表示してもよい。
【0052】
また、顧客が見守り対象者として登録されていない場合は、店員入力欄102は表示されないようにしてもよい。ただし、見守り対象者でない場合であっても見守り者が同伴している場合は、この画面から登録画面に移行できるようにしてもよい。
【0053】
店員入力欄102には、見守り対象者の名前が表示され、店内に設置された体温センサから取得した体温がここに表示されるようにしてもよい。体調選択欄103には、店員が感じた顧客の体調を選択形式で入力する。ここでは、単純に「〇」、「△」、「×」を表示した選択ボタンを押すようにしている。「〇」、「△」、「×」の選択ボタンの下には、例えば、「いつもどおり」、「何か変」、「明らかに変」のような各ボタンの意味を表す情報を表示するようにしてもよい。
【0054】
コメント入力欄104には、店員が任意のコメントを残すことができる。入力方法は、キー入力であっても音声入力であってもよい。また、過去の安否情報を確認するための履歴ボタン105、見守り対象者に連絡するための連絡ボタン106をこの画面に表示するようにしてもよい。履歴ボタン105を押すと、同じ顧客に対して、直近で入力された情報や、別の店舗で入力された情報が表示される。特に顧客の外見的な様子だけでは、異常かどうかが判断しづらい場合は有効である。同じ店舗の履歴情報の場合、店員の名前が表示されるようにしておけば、その店員がいれば追加情報を得ることもできる。
【0055】
連絡ボタン106は、緊急時はもちろんであるが、顧客の様子が不自然な場合、登録された家族などに電話して日頃からそうなのか確認したいような場合に有効である。なお、コメントの入力や安否情報の履歴の確認は、顧客の目の前では入力しづらい場合は、後からこの画面を再度呼び出して入力してもよい。
【0056】
図7は、本発明の実施形態に係る通知画面の一例を示す図である。この例の通知画面200は、安否確認通知生成手段18が生成した通知メッセージを見守り者端末40が受信し、表示した画面である。ここでは、見守り対象者であるAさんの名前と見守り期間での注意喚起事項が通知メッセージとして表示される。通知メッセージの注意喚起事項は、単語の列挙ではなく、図示するような自然言語のテキストで表示することが好ましい。また、前述したように注意喚起レベルを一緒に表示してもよい。
【0057】
このようにすることで、通知元である店舗と通知先である見守り対象者の連絡を密にすることができ、地域の店舗全体で対象者を見守ることができる。そして機械的な見守り手段だけに頼らず、店員が入力した生の情報という人的な見守り手段を最大限に活用することができる。また、カード会社が本サービスの運営主体であることにより、顧客がいつも買っている商品を、偶々いつもの店舗で買わず別の店舗で同じような商品を購入していた場合など、1つの店舗又は店舗グループだけでは分らないような顧客の情報の補完が可能となる。
【0058】
(第2の実施形態)
図8は、本システムの第2の実施形態に係る見守りシステムの機能構成を示す図である。第1の実施形態では、カード会社のシステムに安否確認の機能を全て持たせるようにしたが、第2の実施形態では、カード会社のシステムは本来のカードの利用明細の情報収集にとどめ、カード会社とは別の事業者のシステムが複数のカード会社からの利用明細情報を集め、それらの情報を分析し、その事業者のシステムから、統合された安否情報を通知するようにしたものである。以下、
図8の説明では、第1の実施形態の機能構成(
図2参照)と異なる部分についてのみ説明する。
【0059】
第2の実施形態では、
図8に示すように、安否情報収集サーバ50が複数のカード会社サーバ10,10’とネットワークで接続される。安否情報収集サーバ50は、カード会社とは別の事業者、例えば、安否確認サービスを専門にする事業者、地方公共団体、NPO、カード事業者又はその他地域の金融機関間の業界団体などが主体となって設けるサーバである。
【0060】
第1の実施形態ではカード会社サーバ10に備えられた機能の一部、すなわち、利用明細分析手段16A、安否確認用DB17A、安否確認通知生成手段18A、店舗連携情報送信手段19Aが、安否情報収集サーバ50に備えられる。各機能は、ほぼ第1の実施形態と同様であるが、利用明細分析手段16Aは、複数のカード会社サーバ10,10´から利用明細データを取得する機能を有する。ここで取得する利用明細データは、利用明細の全データである必要はなく、見守り対象者として登録された顧客の、安否確認情報として役立つデータのみでよい。どのデータを安否確認情報として用いるかは、見守り対象者が設定可能としてもよい。
【0061】
また、利用明細分析手段16Aは、カードの利用明細(店員入力情報を含む)だけでなく、カード会社以外のシステムから情報を収集することが可能である、その他情報収集手段51からの情報も加えて、安否確認用DB17Aに格納する。その他情報としては、街中の防犯用カメラからの情報、通行人の投稿情報、カード利用ができない店舗からの情報、自宅の見守り機能付の家電製品や警報器などからの情報などが考えられる。
【0062】
このようにすることで、単一のカード会社からの情報だけでなく、他のカード会社やその他情報も集めて、安否情報収集サーバ50が一元管理した情報に基づいて、安否情報を生成し通知することができる。もちろん、連携ができない個々のシステムとは併用してもよい。
【0063】
(第3の実施形態)
図9は、本システムの第3の実施形態に係るカード会社サーバ10A(見守りサーバ)の機能構成を示す図である。第3の実施形態は、カード会社サーバ10が、店舗端末からカード利用情報を受信し、顧客(カード利用者)が見守り対象である場合に、店員判定情報の入力を促す形態である。
【0064】
図9で図示するように、本実施的形態におけるカード会社サーバ10Aは、カード利用情報受信手段11Aと、判断手段12Aと、顧客情報DB13と、店員判定入力画面送信手段13Aと、店員判定情報登録手段14Aと、利用明細DB15と、利用明細分析手段16と、安否確認用DB17と、安否確認通知生成手段18とを備える。顧客情報DB13、利用明細DB15、安否確認用DB17、安否確認通知生成手段18の機能は、第1の実施形態(
図2参照)の場合と同様である。なお、
図2のオーソリ手段12、カード決済手段14は省略している。
【0065】
以下、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。カード利用情報受信手段11Aは、店舗端末20Aから顧客のカード利用情報(顧客識別子を含む)を受信する。ここで受信するカード利用情報は、通常の店舗端末から受信するものと変わりはない。判断手段12Aは、顧客情報DB13を参照して、当該顧客が見守り対象者(安否確認対象者)であるか否かを判断する。
【0066】
店員判定入力画面送信手段13Aは、判断手段12Aが見守り対象の顧客であると判断した場合、店舗端末20Aに当該顧客に対する店員の判定情報(観察情報)の入力を促す画面(店員判定入力画面)を送信する。このとき、店員判定入力画面送信手段13Aは、安否確認用DB17から過去の安否情報を取得して、店員が所定の操作を行ったときに、画面に表示させるようにしてもよい。
【0067】
店員判定情報登録手段14Aは、店舗端末20Aから、店員が入力した判定情報を受信し、当該店員の判定情報を当該顧客の利用明細DB15に登録する。利用明細分析手段16は、当該顧客の利用明細DB15及び顧客情報DB13に基づいて、顧客のカード利用明細を分析し、安否確認情報として安否確認用DB17に記録する。
【0068】
なお、図示は省略するが、店舗端末20Aには、顧客のカードを読み取ってサーバに送信する手段、サーバから送信された店員判定入力画面を受信して表示する手段、この入力画面から店員が入力した情報をサーバに送信する手段のような一般的な手段を備えていればよく、上記のサーバの構成とすることによって、本システムの機能をサーバにほぼ集中させることができる。
【0069】
上記の第1、第2、第3の実施形態の機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクなどの記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブルなどの必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0070】
(実施形態の効果)
本システムによれば、機械的な見守り手段と人的な見守り手段とを融合し、ネットワーク化した見守りシステムを提供することができる。店舗で高齢者の安否を確認することができるので、在宅時以外の有効な安否確認手段となる。このとき、単なる機械的な見守り手段だけでなく、実際に顧客と対面した店員が情報を入力することで、顧客の健康状態を知ることができる。また、カード利用加盟店のネットワークを活用することで、認知症を患っている高齢者が徘徊してしまった場合には、行き先を追跡することもできる。また、購買データを用いるため、高齢者の生活の質や傾向といったより細かい分析結果を通知することができる。例えば、普段買わない高額の商品を購入した場合は、詐欺の可能性があるため、その被害を防いだり軽減したりすることも可能である。また、店舗でのカードの利用の際に得られる情報だけでなく、外部から取得可能な情報も利用して、安否確認情報に含めることも可能である。
【0071】
なお、上記の実施形態では、主に店舗に顧客が来店した場合について説明したが、カードを利用した購買である限り、ネットスーパーなどの宅配サービスにも適用が可能である。この場合、宅配員が所持する携帯端末が本システムにおける店舗端末に相当し、高齢者の自宅に設置された防犯用カメラや見守り機能を備えた家電製品などが店内センサに相当する。
【0072】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、見守りシステムについて説明したが、本発明は、方法の発明(見守り方法)又はコンピュータ・プログラムの発明(見守りサーバのプログラム)としても捉えることもできる。