特許第6673577号(P6673577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 河西工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6673577-サンシェード構造 図000002
  • 特許6673577-サンシェード構造 図000003
  • 特許6673577-サンシェード構造 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673577
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】サンシェード構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/00 20060101AFI20200316BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20200316BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   B60J3/00 H
   B60J5/00 501A
   B60R13/02 B
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-521581(P2019-521581)
(86)(22)【出願日】2017年5月30日
(86)【国際出願番号】JP2017020160
(87)【国際公開番号】WO2018220728
(87)【国際公開日】20181206
【審査請求日】2019年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124454
【氏名又は名称】河西工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛介
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−190024(JP,A)
【文献】 特開2018−070087(JP,A)
【文献】 実開平04−026817(JP,U)
【文献】 実開平06−049121(JP,U)
【文献】 特開2010−188819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00
7/00
E05B 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア窓のサンシェード構造であって、
前記ドア窓の下部における車体の内部に設けられ、ケースに収容される巻き取りシリンダと、
前記巻き取りシリンダに巻き取り自在なスクリーンと、
前記スクリーンの端部を前記ドア窓の上部における係止位置に係脱自在な係止部と、を備え、
前記車体は、前記スクリーンを挿通する車体スリットを有し、
前記ケースは、
前記スクリーンの端部が前記係止部に係止された状態における前記巻き取りシリンダに対する前記スクリーンの接点位置と前記係止位置とを結ぶ仮想線よりも車外側に、前記スクリーンを偏向する摺接部を有し、
前記仮想線は、前記車体スリットにおける車室側の縁部にあるドアトリムと交差し、
前記ケースは、円筒状部分を有し、該円筒状部分に前記スクリーンを挿通するケーススリットが設けられ、
前記摺接部は、前記スクリーンの端部が前記係止部に係止された状態において、前記車体スリットにおける車室側の前記ドアトリムの上部の端部が前記スクリーンと接しないように、前記ケーススリットにおける車室側の縁部に設けられる
ことを特徴とするサンシェード構造。
【請求項2】
前記スクリーンは、前記ドア窓の傾斜に沿って傾斜し、
前記車体スリットは、前記巻き取りシリンダの真上に位置する
ことを特徴とする請求項に記載のサンシェード構造。
【請求項3】
前記ケーススリットは、前記車体スリットの下方に設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサンシェード構造。
【請求項4】
前記車体は、車室側に、基材と、前記基材を被覆する表皮とを含む積層構造であるドアトリムを有し、
前記ドアトリム上部の端部は前記車体スリットの一部を構成し、
前記表皮は、前記基材の端部を覆うように曲げ返されている
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のサンシェード構造。
【請求項5】
前記ドアトリム上部の端部は、非直線状に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のサンシェード構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンシェード構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両後部座席用のドア窓枠における車室側に設けられ、ドア窓からの日差しを遮るためのシート状のシェードを有するサンシェード構造がある(特許文献1)。
従来のシェードは、上部が車室側に寄るように傾いたドア窓に沿って、傾いた状態で展開するようになっている。また、従来のサンシェード構造におけるシェードを巻き取る巻取軸を収容する本体ケースは、シェードが挿通するスリットを有する。スリットは、車室側からの見栄えを考慮して、巻取軸に対して真上に開口している。
そして、ユーザは、巻取軸に巻き取られたシェードを引き出し、ドア窓枠の上部に設けられた係止部にシェードの端部を係止することで、ドア窓に沿ってシェードが展開された状態とし、ドア窓からの日差しを遮ることができ、係止を解くと、巻取軸によってシェードが巻き取られる。
ここで、従来のサンシェード構造においては、スリットからシェードを引き出す際及び巻き取る際にシェードがドアトリムに直接摺接して損傷しないようにするため、本体ケースは、端部がシェードとドアトリムとの間に介在するように上下方向に延在する部分を要している。
このため、本体ケースを押出成形によって製造すると、本体ケースの上端が直線状になり、見栄えを整えるためにはドアトリムの上端も直線状にせざるを得ず、デザインの自由度が高いものではなかった。また、本体ケースは、上下方向に延在する部分を要するので、製造コストに改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−23624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、デザインの自由度が高く、製造コストを低減できるサンシェード構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
本発明のサンシェード構造は、
(1)ドア窓のサンシェード構造であって、前記ドア窓の下部における車体の内部に設けられ、ケースに収容される巻き取りシリンダと、前記巻き取りシリンダに巻き取り自在なスクリーンと、前記スクリーンの端部を前記ドア窓の上部における係止位置に係脱自在な係止部と、を備え、前記車体は、前記スクリーンを挿通する車体スリットを有し、前記ケースは、前記スクリーンの端部が前記係止部に係止された状態における前記巻き取りシリンダに対する前記スクリーンの接点位置と前記係止位置とを結ぶ仮想線よりも車外側に、前記スクリーンを偏向する摺接部を有する。
(2)上記(1)の構成において、前記仮想線は、前記車体スリットにおける車室側の縁部にあるドアトリムと交差する。
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記スクリーンは、前記ドア窓の傾斜に沿って傾斜し、前記車体スリットは、前記巻き取りシリンダの真上に位置する。
(4)上記(1)から(3)のいずれかの構成において、前記ケースは、前記スクリーンを挿通するケーススリットが設けられた円筒状部分を有し、前記摺接部は、前記ケーススリットにおける車室側の縁部に設けられる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかの構成において、前記ケーススリットは、前記車体スリットの下方に設けられる。
(6)上記(1)から(5)のいずれかの構成において、前記車体は、車室側に、基材と、前記基材を被覆する表皮とを含む積層構造であるドアトリムを有し、前記ドアトリムにおける上部の端部は前記車体スリットの一部を構成し、前記表皮は、前記基材の端部を覆うように曲げ返されている。
(7)上記(1)から(6)のいずれかの構成において、前記ドアトリムにおける上部の端部は、非直線状に形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、デザインの自由度が高く、製造コストを低減できるサンシェード構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)はドアの正面図であり、(b)はドアを前方車室側から見下ろした斜視図であり、(c)はドアを後方車室側から見下ろした斜視図である。
図2】スクリーンが引き出されて展開された状態における図1(a)のA矢視断面図である。
図3】スクリーンが巻き取られて収納された状態における図1(a)のA矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。特に説明のない限り、車外側、車室側、前方、後方、左方、右方、上方及び下方は、それぞれ車両を中心とした際の方向を示す。
なお、以下の実施形態においては、車両の後部座席側のドア窓Wに用いたサンシェード構造100を例として挙げて説明するが、車両の後部座席側のドア窓Wに限らず、後部ドアが設けられていない車両の後部座席側の窓や、リアウィンドウ等、他の窓に対しても本発明を適用できる。
【0009】
図1(a)はスクリーン3が巻き取られて収納された状態におけるドア(車体)10の正面図であり、図1(b)はスクリーン3が巻き取られて収納された状態におけるドア(車体)10を前方車室側からから見下ろした斜視図であり、図1(c)はスクリーン3が巻き取られて収納された状態におけるドア(車体)10を後方車室側から見下ろした斜視図である。
図2はスクリーン3が引き出されて展開された状態における図1(a)のA矢視断面図である。
図3はスクリーン3が巻き取られて収納された状態における図1(a)のA矢視断面図である。
【0010】
図1から図3に示すように、サンシェード構造100は、ドア窓Wに適用されるものである。
サンシェード構造100は、ドア窓Wの下部におけるドア(車体)10の内部に設けられ、ケース1に収容される巻き取りシリンダ2と、巻き取りシリンダ2に巻き取り自在なスクリーン3と、スクリーン3の端部3eをドア窓Wの上部における係止位置Pに係脱自在な係止部20と、を備える。なお、係止部20は、ドア10が有する窓枠に設けてもよく、例えば車体の一部である天井におけるドア窓Wの近傍に設けてもよい。
【0011】
ドア10は、ドアトリム11における車外側の端部11eとドアパネル12における車室側の端部12eとの間に、スクリーン3を挿通する車体スリット10sを有する。
【0012】
巻き取りシリンダ2は、ケース1に対して回動自在に支持され、シート状のスクリーン3の一端を固定している。また、巻き取りシリンダ2は、スクリーン3を巻き取る方向に、ねじりばね(不図示)等によって付勢されている。よって、図2に示す状態から巻き取りシリンダ2を巻き取り方向(時計回り)に回動させると、スクリーン3が巻き取りシリンダ2に巻き取られる。反対に、図3に示す状態から巻き取りシリンダ2を引き出し方向(反時計回り)に回動させると、スクリーン3が巻き取りシリンダ2から引き出される。
【0013】
スクリーン3は、車外側から車室側に向けて差し込む光を遮るものであり、所定の遮光性を有する。
スクリーン3は、一端部が巻き取りシリンダ2に固定され、他端部である端部3eがドア窓Wの上部における係止部20に係脱自在に係止される。
スクリーン3は、巻き取りシリンダ2に巻き取られたり、引き出されたりを繰り返されるので、所定の可撓性及び耐久性を有する。
そして、スクリーン3は、引き出された状態で、図2のように、ドア窓Wを覆うように展開される。
【0014】
ケース1は、押出成形によって断面一様に製造されるアルミ製のものであり、全体が略円筒状であり、車両の前後方向が長手方向となる姿勢で、ドア10の内部に設けられる。
ケース1は、上部に、車両前後方向に延在し、スクリーン3を出入り可能にするためのケーススリット1sを有する。
【0015】
そして、図2に示すように、ケース1は、スクリーン3の端部3eが係止部20に係止された状態における巻き取りシリンダ2に対するスクリーン3の接点位置Cと係止位置Pとを結ぶ仮想線Lよりも車外側に、スクリーン3を偏向する摺接部1fを有する。これにより、ユーザがスクリーン3の端部3eを係止部20に向けて引き出しても、スクリーン3は、車体スリット10sの車室側であるドアトリム11における端部11eに接することがなく、スムーズに車体スリット10sの中で出入りできる。
よって、従来のように、ドアトリム11における端部11eを保護するために、ケース1の一部を車体スリット10sまで延長する必要なく、ケース1の形状に合わせてドアトリム11の端部11eを、直線状にするというようなデザイン上の規制もないため、デザインの自由度を高められるとともに、ケース1の製造コストを低減できる。更に、車体スリット10sの幅を、スクリーン3の厚みに対してわずかな余裕のある寸法とできるので、ドア10における全体の寸法をコンパクトにでき、見栄えが良い。
【0016】
また、仮想線Lは、車体スリット10sの車室側縁部にあるドアトリム11と交差している。すなわち、図2に示すように、ドアトリム11の端部11eが、仮想線Lより車外側に存在している。このように、ドアトリム11の端部11eの位置を設定することで、乗員が車体スリット10sの近傍をみても、車体スリット10sを通して内部が目立たないので、見栄えが良い。
【0017】
また、スクリーン3は、展開された状態で、ドア窓Wの傾斜に沿って傾斜し、車体スリット10sは、巻き取りシリンダ2の真上に位置する。すなわち、車体スリット10sは、巻き取りシリンダ2を基準として、係止部20の方向に向かず、真上に向けて開口している。
このように、スクリーン3がドア窓Wの傾斜に沿って車室側に傾斜していても、車体スリット10sが巻き取りシリンダ2の真上に位置するので、車体スリット10sが車室側に向かず、乗員が車体スリット10sの近傍をみても、車体スリット10sを通して内部が目立たないので、見栄えが良い。
【0018】
ケース1は、スクリーン3を挿通するケーススリット1sが設けられた円筒状部分を有する。また、摺接部1fは、ケーススリット1sにおける車室側の縁部に設けられる。これにより、ケース1の一部を利用して摺接部1fとできるので、押出成形しやすく、ケース1の製造コストを低減できる。なお、摺接部1fの表面は、スクリーン3との摩擦抵抗を低減するため、湾曲させたり、磨かれた状態としてよい。
【0019】
また、ケーススリット1sは、車体スリット10sの下方に設けられる。
これにより、ケーススリット1sを含むケース1は、車体スリット10sより下に配置されるので、乗員から車体スリット10sを通して見られることがない。よって、ケース1は、車室側に露出しないので、美観を向上させるための表面塗装を省略することができ、製造コストを低減できる。
【0020】
ドア(車体)10は、車室側に、基材13と、基材13を被覆する表皮14とを含む積層構造であるドアトリム11を有する。
そして、ドアトリム11における上部の端部11eは車体スリット10sの一部を構成し、表皮14は、基材13の端部を覆うように曲げ返されている。これにより、車体スリット10sの一部を構成する端部11eは、表皮14が露出するので、車体スリット10sが目立たず、車体スリット10sの近傍の見栄えがより向上する。
【0021】
また、ドアトリム11における上部の端部11eは、非直線状に形成されている。これにより、製造コストの低減効果を得るために、ケーススリット1sを直線状にしても、それに合わせて端部11eを直線状にする必要なく、デザインの自由度を高められる。
【0022】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明に係るサンシェード構造100は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変化が可能である。
【0023】
本発明によれば、サンシェード構造100が、ドア窓Wの下部におけるドア(車体)10の内部に設けられ、ケース1に収容される巻き取りシリンダ2と、巻き取りシリンダ2に巻き取り自在なスクリーン3と、スクリーン3の端部3eをドア窓Wの上部における係止位置Pに係脱自在な係止部20と、を備え、ドア(車体)10は、スクリーン3を挿通する車体スリット10sを有し、ケース1は、スクリーン3の端部3eが係止部20に係止された状態における巻き取りシリンダ2に対するスクリーン3の接点位置Cと係止位置Pとを結ぶ仮想線Lよりも車外側に、スクリーン3を偏向する摺接部1fを有するので、乗員の視線から外れるようにできるだけ車体スリット10sを車外側に寄せつつ、スクリーン3がドアトリム11に摺接しないようにでき、車体スリット10sの近傍を目立たないようにできる。よって、ドア10のウエストライン部のデザインの自由度を高められ、ケース1の製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0024】
10 ドア(車体)
1 ケース
100 サンシェード構造
10s 車体スリット
11 ドアトリム
11e 端部
12 ドアパネル
12e 端部
13 基材
14 表皮
1f 摺接部
1s ケーススリット
2 巻き取りシリンダ
20 係止部
3 スクリーン
3e 端部
C 接点位置
L 仮想線
P 係止位置
W ドア窓
図1
図2
図3