(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673584
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20200316BHJP
G03B 17/55 20060101ALI20200316BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20200316BHJP
G03B 19/07 20060101ALI20200316BHJP
G03B 37/00 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
H04N5/225 100
H04N5/225 430
H04N5/225 800
G03B17/55
G03B15/00 W
G03B19/07
G03B37/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-33901(P2016-33901)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-152946(P2017-152946A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】313003417
【氏名又は名称】株式会社ザクティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高濱 治
(72)【発明者】
【氏名】西谷 悠吾
【審査官】
庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0066851(US,A1)
【文献】
特開2013−218278(JP,A)
【文献】
特開2013−066086(JP,A)
【文献】
特開2014−014015(JP,A)
【文献】
特開2009−229582(JP,A)
【文献】
特表2004−514951(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0066809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
G03B 15/00
G03B 17/55
G03B 19/07
G03B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングから一部が臨出する第1レンズユニットと、第1撮像素子を具える第1撮像手段と、
前記ケーシングから一部が臨出する第2レンズユニットと、第2撮像素子を具える第2撮像手段と、
前記ケーシング内に収容され、前記撮像素子を制御する制御手段と、
前記ケーシング内に収容されるバッテリーと、
を具える撮像装置において、
前記第1撮像手段と前記第2撮像手段は、前記各レンズユニットが外向きとなるよう対向して配置され、前記撮像手段間に、前記制御手段と前記バッテリーを配置したものであり、
前記第1撮像素子と熱的に接続された第1放熱部材と、
前記第2撮像素子と熱的に接続された第2放熱部材と、
前記制御手段と熱的に接続された第3放熱部材と、
前記バッテリーと熱的に接続された第4放熱部材と、
を具え、
前記第1放熱部材と前記第3放熱部材は熱的に接続され、
前記第2放熱部材と前記第4放熱部材は熱的に接続され、
前記第1放熱部材は、前記第1撮像手段と前記ケーシングの内面形状に沿って挟まれる立体形状を有し、
前記第2放熱部材は、前記第2撮像手段と前記ケーシングの内面形状に沿って挟まれる立体形状を有し、
前記第3放熱部材、前記第4放熱部材は前記第1撮像素子、前記第2撮像素子の面と略平行な面に配置される板形状である、
ことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全方位を撮影可能な全天球撮像装置の如き撮像装置に関するものであり、より具体的には、小型化を図り、また、撮像素子等の放熱性を高めることのできる撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像手段を用いて得られた動画像やスチル画像を撮影し、全天球(全方位)に合成する全天球撮像装置が知られている。この装置では、複数の撮像手段を具え、撮像手段で撮影された個々の撮影画像に歪み補正を行ないつつ、これらを合成することによりモニター等で表示可能な略矩形の全天球画像を生成している。
【0003】
たとえば、特許文献1の全天球撮像装置では、装置のケーシングは縦長形状であって、上端近傍に一対の撮像手段を前後に対向配置し、その下方に制御手段やバッテリーを収納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−218278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
全天球撮像装置には小型化が求められている。たとえば、ユーザーが頭部に全天球撮像装置を装着し、ジョギングやトレッキング、サイクリング等を行なって、その全天球画像を撮影するなど、全天球撮像装置には、種々の撮影方法が提案されている。このような用途では、縦長の全天球撮像装置では安定して装着することが困難であり、得られた全天球画像にも揺れや振れが生じてしまう。
【0006】
本発明の目的は、小型化を図り、また、撮像素子等の放熱性を高めることのできる全天球撮像装置の如き撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る撮像装置は、
ケーシングと、
前記ケーシングから一部が臨出する第1レンズユニットと、第1撮像素子を具える第1撮像手段と、
前記ケーシングから一部が臨出する第2レンズユニットと、第2撮像素子を具える第2撮像手段と、
前記ケーシング内に収容される制御手段と、
前記ケーシング内に収容されるバッテリーと、
を具える撮像装置において、
前記第1撮像手段と前記第2撮像手段は、前記各レンズユニットが外向きとなるよう対向して配置され、前記撮像手段間に、前記制御手段と前記バッテリーを配置してなる。
【0008】
上記撮像装置は、
前記第1撮像素子と熱的に接続された第1放熱部材と、
前記第2撮像素子と熱的に接続された第2放熱部材と、
前記制御手段と熱的に接続された第3放熱部材と、
前記バッテリーと熱的に接続された第4放熱部材と、
を具え、
前記第1放熱部材と前記第3放熱部材は熱的に接続されており、
前記第2放熱部材と前記第4放熱部材は熱的に接続されている。
【0009】
上記撮像装置は、
前記第1放熱部材は、前記第1撮像手段と前記ケーシングの内面形状に沿って挟まれる立体形状を有し、
前記第2放熱部材は、前記第2撮像手段と前記ケーシングの内面形状に沿って挟まれる立体形状を有し、
前記第3放熱部材、前記第4放熱部材は前記第1撮像素子、前記第2撮像素子の面と略平行な面に配置される板形状とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の撮像装置は、第1撮像手段と第2撮像手段の間に制御手段及びバッテリーを配置しているから、撮像装置の小型化を図ることができる。
【0011】
また、撮像手段、制御手段及びバッテリーに夫々放熱部材を配置し、上記のように第1放熱部材と第3放熱部材、第2放熱部材と第4放熱部材を熱的に接続することで、これら放熱部材の吸熱特性を高めることができる。従って、たとえば、第1放熱部材と第2放熱部材にケーシングの隙間を埋めるように吸熱特性の高い大体積の立体形状を有するものを使用し、他方、第3放熱部材と第4放熱部材は板形状のものを採用することで、撮像装置の大型化を防ぎつつ、電子部品の発熱を抑えることができる。この構成は、とくに外部に放熱を行ない難い防水型の撮像装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の撮像装置10について、図面を参照しながら説明を行なう。
【0014】
本実施形態における撮像装置10は、全天球(全方位)を撮像し、得られた画像データを全天球フレームデータに変換して全天球画像を得る全天球撮像装置を例に挙げて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態を示す撮像装置10の底面図、
図2は正面図である。図に示すように、撮像装置10は、ケーシング20の正面及び背面にレンズカバー36,46が装着された外観を有する。ケーシング20は、正面側を構成する第1筐体21と背面側を構成する第2筐体24を有する。図示の撮像装置10では、ケーシング20の底面に三脚やヘッドマウント用のベルト、クリップ式のカメラ台などに取付部材に装着可能な取り付け用のネジ穴29が凹設されている。
【0016】
ケーシング20は、図示の実施形態では断面略正方形の外形形状であって、正面側及び底面側に向けてテーパーが形成された形状である。なお、ケーシング20の形状はこれに限定されるものではない。
【0017】
ケーシング20の側面には、後述するバッテリー60やSDカード(Secure Digital memory card)70の如き記憶媒体を出し入れするための蓋体27が着脱可能となっている。
【0018】
ケーシング20は、第1筐体21と第2筐体24の接合面、蓋体27の装着部分、レンズカバー36,46の接合面が夫々接着やパッキン部材による防水構造を有する構成とすることができる。
【0019】
図3は、
図2の線III−IIIに沿う断面図であって、撮像装置10の内部構造を示している。なお、
図3では主要な構成部品のみを記載している。
【0020】
図3に示すように、ケーシング20は、第1筐体21及び第2筐体24に夫々レンズ露出孔22,25が開設されており、前述のレンズカバー36,46は、レンズ露出孔22,25を覆う構成となっている。ケーシング20の内部には、一対の撮像手段30,40と、これら撮像手段30,40間に配置された制御手段50、SDカード70、制御基板51が上下に重ねて収容されている。また、ケーシング20の側面には、蓋体27が装着される開口部28が形成されており、開口部28を通じてバッテリー60やSDカード70の出し入れを行なうことができる。
【0021】
撮像手段30,40は、図示の実施形態では、第1撮像手段30と第2撮像手段40である。第1撮像手段30は、撮像素子である第1イメージセンサー31と第1レンズユニット32を含んでいる。第2撮像手段40は、撮像素子である第2イメージセンサー41と第2レンズユニット42を含んでいる。なお、第1、第2の名称は説明のためのものであり、何れが第1、第2であっても構わない。
【0022】
イメージセンサー31,41として、たとえばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーを例示できる。また、レンズユニット32,42は、イメージセンサー31,41によって180°以上の画角を撮影できる広角レンズや超広角レンズを含むレンズ群から構成することで、全天球画像の撮影が可能となる。レンズユニット32,42の画角が180°未満である場合には全天球画像を得ることはできないが、本発明はこの種の撮像装置にも適用できる。イメージセンサー31,41によって得られた画像データは、制御手段50に送信される。
【0023】
撮像手段30,40は、筐体21,24のレンズ露出孔22,25からレンズユニット32,42の一部が露出するよう外向きに対向して配置されている。
【0024】
各イメージセンサー31,41には、イメージセンサー31,41からの発熱を吸収する放熱部材(第1放熱部材34及び第2放熱部材44)が配備されている。放熱部材34,44は、アルミダイカスト製とすることができ、吸熱特性を高めるためにケーシング20の内面形状に沿って隙間を埋めるような大体積の立体形状とすることができる。図示の実施形態では、放熱部材33,34は、イメージセンサー31,41の側縁側で熱的に接続しているが、イメージセンサー31,41の底面側と熱的に接続するよう構成しても構わない。
【0025】
制御手段50は、第1撮像手段30の下側に配置され、制御基板51に種々の電子部品を実装して構成される。なお、図示では説明を簡略化するために、電子部品としてASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)52のみを示しているが、実際には、その他撮像装置10の機能を実行するための種々の電子部品が実装される。また、図示では制御基板51は1枚であるが複数枚搭載することもできる。
【0026】
制御手段50には、制御基板51の電子部品の発熱を吸収する放熱部材(第3放熱部材54)が配備されている。第3放熱部材54は、たとえば銅板金やアルミダイカスト製とすることができる。第3放熱部材54は、撮像装置10の高さを抑えるために板状とすることが好適である。第3放熱部材54は、その一部が前述の第1放熱部材34と熱的に接続55,55されており、第3放熱部材54が吸収した熱の一部は、第1放熱部材34に放熱可能となっている。
【0027】
より詳細には、第3放熱部材54は、発熱の大きい電子部品、本実施形態ではASIC52に当接又は近接して配置することが望ましい。
【0028】
制御手段50と第2撮像手段40との間には、バッテリー60及びSDカード70が収容可能となっている。バッテリー60は、撮像装置10の種々の電子部品に電源を供給する。また、SDカード70は、撮影された画像データを記録する。バッテリー60及びSDカード70は、蓋体27を開いた状態で開口部28から出し入れすることができる。
【0029】
バッテリー60には、発熱を吸収する放熱部材(第4放熱部材64)が当接又は近接して配置されている。第4放熱部材64は、銅基板やアルミダイカスト製とすることができ、図示では、第4放熱部材64は、バッテリー60とSDカードの間に配置されている。第4放熱部材64は、撮像装置10の高さを抑えるために板状とすることが好適である。そして、第4放熱部材64は、その一部が前述の第2放熱部材44と熱的に接続65されている。図示では、第4放熱部材64の一方の端縁を屈曲して第2放熱部材44に熱的接続している。
【0030】
本発明の撮像装置10は、上記及び図示のように、ケーシング20内において、撮像手段30,40間に制御手段50、バッテリー60、及び、SDカード70を重ねて配置している。従って、撮像装置10の小型化を達成することができる。
【0031】
また、撮像手段30,40、制御手段50、バッテリー60には夫々放熱部材34,44,54,64が熱的に接続55,65されており、これらからの発熱は、放熱部材によって吸収されるため、熱暴走等を低減できる。また、第1放熱部材34と第3放熱部材54、第2放熱部材44と第4放熱部材64を夫々熱的に接続55,65することで、一方の放熱部材から他方の放熱部材への熱移動によって吸熱特性を高めることができる。
【0032】
本実施形態では、
図3に示すように、第1放熱部材34と第2放熱部材44は吸熱特性が高くなるよう大体積の立体形状としている一方、第3放熱部材54と第4放熱部材64は撮像装置10の高さを抑えるために薄型の板形状としている。このような構成であっても、吸熱特性の低い第3放熱部材54、第4放熱部材64から吸熱特性の高い第1放熱部材34、第2放熱部材44に熱移動が行なわれる結果、第3放熱部材54及び第4放熱部材64の吸熱特性を高めることができる。
【0033】
とくに、防水構造の撮像装置10では、外部への放熱が困難であるが、個々の部材に放熱部材34,44,54,64を配置し、放熱部材34,54、放熱部材44,64を熱的に接続55,65しているから、効率よく吸熱を行なうことができる。
【0034】
本発明の撮像装置10は、ケーシング20の小型化を達成することができるから、たとえば、ケーシング20の取り付け用のネジ穴29を介して、撮像装置10を三脚やヘッドマウント用のベルト、クリップ式のカメラ台などの取付部材に装着した場合であっても、撮像手段30,40から取付部材までの距離を小さくできるから、撮像装置10を安定して装着でき、その揺れや振れを抑えることができる。従って、得られた全天球画像の揺れや振れも抑えることができる。
【0035】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
10 撮像装置
20 ケーシング
30 第1撮像手段
31 第1イメージセンサー(第1撮像素子)
34 第1放熱部材
40 第2撮像手段
41 第2イメージセンサー(第2撮像素子)
44 第2放熱部材
50 制御手段
54 第3放熱部材
60 バッテリー
64 第4放熱部材