(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部構造体は、流動特性付与部分より下流側に、流体を流れの中心に向かって誘導する誘導部分を更に含み、拡散部分、渦巻発生部分、流動特性付与部分とともに、誘導部分は、共通の軸部材上に一体的化して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内部構造体。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書においては、主に本発明を研削装置などの工作機械に適用した実施形態について説明するが、本発明の適用分野はこれに限定されない。本発明は、流体を供給する多様なアプリケーションに適用可能であり、例えば、家庭用のシャワーノズルや流体混合装置にも適用可能である。
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明が適用された流体供給部を備える研削装置の一実施形態を示す。示されたように、研削装置1は研削刃(砥石)2、被加工物3を2次元平面の上で移動させるテーブル(図示を省略)、被加工物3又は研削刃2を上下に移動させるコラム(図示を省略)、等を備える研削部4と、流体(即ち、冷却液)を研削刃2や被加工物3に供給する流体供給部5とを備える。研削刃2は、図示が省略された駆動源により、
図1の平面において時計周りに回転駆動され、研削箇所Gでの研削刃2の外周面と被加工物3との摩擦によって被加工物3の表面が研削される。また、図示は省略するが、流体供給部5は冷却液(例えば、水)を貯留するタンクと、上記冷却液をタンクから流出させるポンプとを備える。
【0016】
流体供給部5は、タンクに貯留された流体がポンプにより流入する配管6と、流体に所定の流動特性を与える内部構造体を備える流体供給管10と、研削箇所Gに近く配置された吐出口を有するノズル7を含む。流体供給管10と配管6とは、例えば、流体供給管10の流入口8側の接続部材であるナット11の雌ねじと配管6の端部の外周面に、例えば、ねじ加工によって形成された雄ねじ(図示を省略)とが結合することによって連結される。流体供給管10とノズル7とは、例えば、流体供給管10の流出口9側の接続部材であるナット12の雌ねじとノズル7の端部の外周面に、例えば、ねじ加工によって形成された雄ねじ(図示を省略)とが結合することによって連結される。配管6から流体供給管10へ流入される流体は、流体供給管10を通過しながらその内部構造体によって所定の流動特性を持つようになり、流体供給管10の流出口9を経てノズル7を通じて研削箇所Gに向かって吐き出される。本発明の多数の実施形態によれば、流体供給管10を通過した流体はマイクロバブルを含む。以下、流体供給管10の内部構造体の多様な実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図2は本発明の第1の実施形態に係る流体供給管10の側面分解図であり、
図3は流体供給管10の側面透視図であり、
図4は流体供給管10の内部構造体20の3次元斜視図である。
図2及び
図3において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
図2及び
図3に示されたように、流体供給管10は内部構造体20と管本体30とを備える。
【0018】
管本体30は、流入側部材31と、流出側部材34から構成される。流入側部材31と流出側部材34とは、円筒形の中が空いている管の形態を有する。流入側部材31は、一端部に所定の直径の流入口8を有し、他の端部側には流出側部材34との接続のために内周面をねじ加工することによって形成された雌ねじ32を含む。
図1に関して説明したように、流入口8側にはナット11が一体として形成される。
図2に示されたように、流入側部材31は両端部の内径、即ち、流入口8の内径と雌ねじ32との内径とが違い、流入口8の内径が雌ねじ32の内径より小さい。流入口8と雌ねじ32との間にはテーパー部33が形成されている。本実施形態では、ナット11が流入側部材31の一部として形成されるが、本発明はこの構成に限定されない。すなわち、ナット11を流入側部材31とは別個の部品として製造し、流入側部材31の端部に結合する構成も可能である。
【0019】
流出側部材34は、一端部に所定の直径の流出口9を有し、他の端部側には流入側部材31との接続のために外周面をねじ加工することによって形成された雄ねじ35を備える。流出側部材34の雄ねじ35の外周面の直径は流入側部材31の雌ねじ32の内径と同一である。
図1に関連して説明したように、流出口9側にはナット12が一体として形成される。ナット12と雄ねじ35との間には筒形部36及びテーパー部37が形成される。流出側部材34は両端部の内径、即ち、流出口9の内径と雄ねじ35との内径が違い、流出口8の内径が雄ねじ35の内径より小さい。本実施形態では、ナット12が流出側部材34の一部として形成されるが、本発明はこの構成に限定されない。すなわち、ナット12を流出側部材34とは別個の部品として製造し、流出側部材34の端部に結合する構成も可能である。流入側部材31の内周面の雌ねじ32と流出側部材34の外周面の雄ねじ35とのねじ結合によって流入側部材31と流出側部材34が連結されることで、管本体30が形成される。
【0020】
一方、管本体30の上記構成は一実施形態に過ぎず、本発明は上記構成に限定されない。例えば、流入側部材31と流出側部材34との連結は上記したねじ結合に限定されないし、当業者に知られた機械部品の結合方法はどれでも適用可能である。また、流入側部材31と流出側部材34との形態は、
図2及び
図3の形態に限定されないし、設計者が任意に選択したり、流体供給管10の用途によって変更したりすることができる。流入側部材31又は流出側部材34は、例えば、スチールのような金属、又はプラスチックから成る。
【0021】
図3を一緒に参照すれば、流体供給管10は、内部構造体20を流出側部材34に収納した後に、流出側部材34の外周面の雄ねじ35と流入側部材31の内周面の雌ねじ32とを結合させることによって構成されることが理解される。内部構造体20は、例えば、スチールのような金属からなった円柱部材を加工する方法又はプラスチックを成形する方法等によって形成されることができる。
図2及び
図4において、内部構造体20は、流体拡散部22と、渦巻発生部24と、バブル発生部26とを備える。
【0022】
本実施形態において流体拡散部22は上記円柱部材の一端部を円錐の形態に加工(例えば、スピニング)することで形成されることができる。流体拡散部22は流入口8を経て流入側部材31に流入される流体を管の中心部から外側へ、即ち、半径方向へ拡散させる。
【0023】
渦巻発生部24は、上記円柱部材の一部を加工して形成されたものであり、
図4に示されたように、断面が円形である軸部分と、3個の螺旋状に形成された翼とからなる。
図2を参照すれば、本実施形態において、渦巻発生部24の長さa2は流体拡散部22の長さa1よりは長くて、バブル発生部26の長さa4よりは短いことが理解される。また、流体拡散部22の断面積が最大である部分の半径は渦巻発生部24の半径(渦巻発生部24の軸部分の中心から翼の先端までの距離)より小さいのが好ましい。渦巻発生部24の翼の各々は、その先端が軸部分の円周方向に互いに120°ずつずらし、軸部分の一端から他端まで外周面に所定の間隔をあけて反時計まわりに螺旋状に形成されている。本実施形態では翼の個数を3個にしたが、本発明はこのような実施形態に限定されない。また、渦巻発生部24の翼の形態は、流体拡散部22をすぎながら拡散されて渦巻発生部24に進入した流体が、各翼の間を通過する間に渦巻流を起こすことができる形態であれば特に制限されない。一方、本実施形態では、渦巻発生部24は、内部構造体20を管本体30に収納した時に、管本体30の流出側部材34の内周面に近接する程度の外径を有する。
【0024】
バブル発生部26は、円柱部材の下流側、即ち、流体拡散部22及び渦巻発生部24を形成した後の残り部分を加工して形成する。
図2及び
図4に示されたように、バブル発生部26の円形の断面を有する軸部分の外周面に多数の菱形の突出部(凸部)が網状に形成されている。それぞれの菱形突出部は、軸部分の外周面から外側へ向かって突出するように、例えば、円柱部材を研削加工することによって形成されることができる。より具体的に説明するならば、それぞれの菱形突出部の形成方法は、例えば、
図5に図示されたように、円柱部材の長さ方向に対して90度の方向に一定の間隔を持つ複数のライン51と、上記長さ方向に対して所定の角度(例えば、60度)を持つ一定の間隔のライン52を交差させ、ライン51とライン51との間を一回ずつ飛ばして研削すると共に、傾いたライン52とライン52との間を一回ずつ飛ばして研削する。このようにして、軸部分の外周面から突出する菱形の複数の突出部が上下(円周方向)、左右(軸部分の長さ方向)に一つずつ飛ばして規則的に形成される。また、本実施形態では、バブル発生部26は、内部構造体20を管本体30に収納した時、管本体30の流出側部材34の内周面に近接する程度の外径を有する。
【0025】
本実施形態では、
図2に示されたように、渦巻発生部24の軸部分の直径がバブル発生部26の軸部分の直径より小さい。このために、渦巻発生部24とバブル発生部26との間にはテーパー部25(長さa3)が存在する。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。換言すれば、渦巻発生部24の直径はバブル発生部26の直径と同一であっても良い。
【0026】
以下、流体が流体供給管10を通過する間の流動について説明する。インペラ(羽根車)が右折又は左折する(時計回り又は反時計回りに回転する)電動ポンプによって配管6(
図1参照)を経て流入口8を通じて流入された流体は、流入側部材31のテーパー部33の空間を過ぎて流体拡散部22にぶつかり、流体供給管10の中心から外側に向かって(即ち、半径方向へ)拡散される。拡散された流体は渦巻発生部24の反時計方向に螺旋状に形成された3個の翼の間を通過して行く。流体拡散部22は配管6を通じて流入された流体が効果的に渦巻発生部24に進入するように流体を誘導する作用を行う。流体は渦巻発生部24の各翼によって強烈な渦巻流になって、テーパー部25を過ぎてバブル発生部26に送られる。
【0027】
そして、流体はバブル発生部26の軸部分の外周面に規則的に形成された複数の菱形突出部の間を通る。これらの複数の菱形突出部は複数の狭い流路を形成する。流体が複数の菱形突出部によって形成された複数の狭い流路を通過することで、多数の微小な渦を発生させ、その結果、流体の混合及び拡散を誘発する。バブル発生部26の上記構造は、異なる性質を有する二つ以上の流体を混合する場合にも有用である。
【0028】
また、内部構造体20は、流体が断面積が大きい上流(渦巻発生部24)から断面積が小さい下流(バブル発生部26の複数の菱形突出部の間に形成された流路)へ流れるようにする構造を有する。この構造は以下に説明するように流体の静圧力(static pressure)を変化させる。流体に外部エネルギーが加えられない状態での圧力、速度、及び位置エネルギーの関係は次のようなベルヌーイ方程式として表される。
ここで、pは流線内の一点での圧力、ρは流体の密度、υはその点での流動の速度、gは重力加速度、hは基準面に対するその点の高さ、kは定数である。上記方程式として表現されるベルヌーイ定理は、エネルギー保存法則を流体に適用したものであり、流れる流体に対して流線上ですべての形態のエネルギーの合計はいつも一定であるということを説明する。ベルヌーイ定理によると、断面積が大きい上流では、流体の速度が遅くて静圧は高い。これに対して、断面積が小さい下流では、流体の速度が速くなり静圧は低くなる。
【0029】
流体が液体である場合、低くなった静圧が液体の飽和蒸気圧に到達すると液体の気化が始まる。このようにほぼ同一の温度において静圧がきわめて短い時間内に飽和蒸気圧より低くなって(水の場合、3000−4000Pa)液体が急激に気化する現象をキャビテーション(cavitation)と称する。本発明の流体供給管10の内部構造はこのようなキャビテーション現象を誘発する。キャビテーション現象によって液体のうちに存在する100ミクロン以下の微小な気泡核を核として液体が沸騰したり溶存気体の遊離によって小さい気泡が多数生じたりする。すなわち、流体がバブル発生部26を通じながら多数のマイクロバブルが発生する。
【0030】
水の場合、1つの水分子が他の4個の水分子と水素結合を形成でき、この水素結合ネットワークを破壊することは容易ではない。そのために、水は水素結合を形成しない他の液体に比べて沸点や融点が非常に高いし、高い粘度を示す。水の沸点が高い性質は優秀な冷却効果をもたらすので、研削等を行う加工装置の冷却水として頻繁に用いられるが、水分子の大きさが大きくて加工箇所への侵透性や潤滑性は良くないという問題がある。そこで、通常は水でない特殊な潤滑油(即ち、切削油)を単独に、または、水と混合して用いる場合も多い。ところで、本発明の供給管を用いれば、上記したキャビテーション現象によって水の気化が起き、その結果、水の水素結合ネットワークが破壊されて粘度が低くなる。また、気化によって発生するマイクロバブルは侵透性及び潤滑性を向上させる。侵透性の向上は結果的に冷却効率を増加させる。従って、本発明によると、特殊な潤滑油を使うこと無しに、水だけを用いても加工品質、即ち、工作機械の性能を向上させることができる。
【0031】
バブル発生部26を通過した流体は流出側部材34のテーパー部37に進入する。テーパー部37はバブル発生部26に比べて流路の断面がはるかに大きい。流体はテーパー部37を過ぎて流出口9を通じて流出され、ノズル7を通じて研削箇所Gに向かって吐き出される。流体がノズル7を通じて吐き出される時に、バブル発生部26で発生した多数のマイクロバブルが大気圧に露出され、研削砥石2や被加工物3にぶつかってバブルがこわれたり爆発したりして消滅する。このようにバブルが消滅する過程で発生する振動及び衝撃は、研削箇所Gで発生するスラッジや切りくずを効果的に除去する。換言すれば、マイクロバブルが消滅しながら研削箇所Gの周囲の洗浄効果を向上させる。
【0032】
本発明の流体供給管10を工作機械等の流体供給部に設けることによって、研削刃と被加工物とで発生する熱を従来に比べてより効果的に冷却させることができ、侵透性及び潤滑性が良くなって加工精度を向上させることができる。また、被加工物の切りくずを加工箇所から効果的に除去することで、切削刃等の工具の寿命を延長させ、工具の取換えのために消耗する費用を節減することができる。
【0033】
尚、本実施形態では、1つの部材を加工して内部構造体20の流体拡散部22と、渦巻発生部24と、バブル発生部26とを形成するので、内部構造体20が一体化した1つの部品として製造される。従って、内部構造体20を流出側部材34の内部に入れた後、流出側部材34の雄ねじ35と流入側部材31の雌ねじ32とを結合する簡単な工程だけで、流体供給管10を製造することができる。
【0034】
本発明の流体供給管は、研削装置、切削装置、ドリル、等の様々な工作機械においての加工液供給部に適用されることができる。また、2つ以上の流体(液体と液体、液体と気体、又は、気体と気体等)を混合する装置にも効果的に利用することができる。例えば、本発明の流体供給管を燃焼エンジンに適用すれば、燃料と空気とが十分に混ざり合うことによって燃焼効率が向上する。また、本発明の流体供給管を洗浄装置に適用すれば、通常の洗浄装置に比べて洗浄効果をより向上させることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、
図6乃至
図8を参照して本発明の第2の実施形態に係る流体供給管100について説明する。第1の実施形態と同一の構成については説明を省略し、第1の実施形態と差のある部分に対して詳細に説明する。第1の実施形態の構成要素と同一の構成要素については同一の図面符号を使う。
図6は第2の実施形態に係る流体供給管100の側面分解図であり、
図7は流体供給管100の側面透視図であり、
図8は流体供給管100の内部構造体200の3次元斜視図である。
図6及び
図7に示されたように、流体供給管100は内部構造体200及び管本体30を備える。第2の実施形態の管本体30は第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。
図6及び
図7において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0036】
第2の実施形態の内部構造体200は、例えば、金属から成る円柱形態の部材を加工して形成され、上流側から下流側に向かって流体拡散部22と、渦巻発生部24と、バブル発生部26と、ドーム形の誘導部202とを備える。第1の実施形態に関連して説明した通り、流体拡散部22は円柱部材の一端部を円錐形に加工して形成される。
【0037】
第1の実施形態の内部構造体20は、バブル発生部26を形成するために円柱部材の下流の部分の表面を加工するだけ、末端の部分は特に加工しない。これに対し、第2の実施形態の内部構造体200は円柱部材の下流側の末端の部分をドーム形に加工して誘導部202を形成する。
【0038】
図6及び
図7に示されたように、流体供給管100は、内部構造体200を流出側部材34に収納した後、流出側部材34の外周面の雄ねじ35と流入側部材31の内周面の雌ねじ32とを結合することによって構成される。このように組み立てられた流体供給管100の内での流体の流動について説明する。配管6(
図1参照)及び流入口8を通じて流入された流体は、流入側部材31のテーパー部33の空間を過ぎて流体拡散部22にぶつかり、流体供給管100の中心から外側に向かって(即ち、半径方向に)拡散される。拡散された流体は、渦巻発生部24の螺旋状に形成された3個の翼の間を通過しながら、強烈な渦巻流になってバブル発生部26に送られる。次に、流体はバブル発生部26の軸部分の外周面に規則的に形成された複数の菱形突出部によって形成される複数の狭い流路を通過し、キャビテーション現象によって多数の微小な渦やマイクロバブルが発生する。
【0039】
次に、流体はバブル発生部26を過ぎて内部構造体200の端部に向かって流れるが、流体がバブル発生部26の表面に形成された複数の狭い流路から流出側部材34のテーパー部37に流れると、流路が急激に広くなり、コアンダ(Coanda)効果が発生する。コアンダ効果は、流体を曲面の周囲で流せば流体と曲面との間の圧力低下によって流体が曲面に吸い寄せられることによって流体が曲面に沿って流れる現象を称する。このようなコアンダ効果によって、流体は誘導部202の表面に沿って流れるように誘導される。ドーム形態の誘導部202によって中心に向かって誘導された流体はテーパー部37を過ぎて流出口9を通じて流出される。流体供給管100から吐き出される流体は、コアンダ効果によって刃物や被加工物の表面によく張り付くようになる。これは流体による冷却効果を増加させる。
【0040】
(第3の実施形態)
次に、
図9乃至
図10を参照して本発明の第3の実施形態に係る流体供給管110について説明する。第1の実施形態及び第2の実施形態と同一の構成については説明を省略し、これらと差のある部分について詳細に説明する。第1の実施形態及び第2の実施形態の構成要素と同一の構成要素に対しては同一の図面符号を使う。
図9は第3の実施形態に係る流体供給管110の側面分解図であり、
図10は流体供給管110の側面透視図である。
図9及び
図10に示されたように、流体供給管110は内部構造体210及び管本体30を備える。第3の実施形態の管本体30は第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。
図9及び
図10において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0041】
第3の実施形態の内部構造体210は、例えば、金属からなる円柱形態の部材を加工して形成され、上流側から下流側に向かって流体拡散部22と、渦巻発生部24と、バブル発生部26と、円錐形態の誘導部212とを備える。第1の実施形態に関連して説明した通り、流体拡散部22は円柱部材の一端部を円錐形に加工して形成される。
【0042】
第1の実施形態の内部構造体20は末端部に誘導部を備えないのに対し、第2の実施形態の内部構造体200は円柱部材の下流側の末端の部分をドーム形に加工して誘導部202を形成する。一方、第3の実施形態の内部構造体210は、
図9及び
図10に示されたように、誘導部212を形成するために円柱部材の下流側の末端の部分を円錐形に加工する。
【0043】
図10に示されたように、流体供給管110は、内部構造体210を流出側部材34に収納した後、流出側部材34の外周面の雄ねじ35と流入側部材31の内周面の雌ねじ32とを結合することによって構成される。このように組み立てられた流体供給管110の内での流体の流動について説明する。配管6(
図1参照)及び流入口8を通じて流入された流体は、流入側部材31のテーパー部33の空間を過ぎて流体拡散部22にぶつかり、流体供給管110の中心から外側に向かって拡散される。拡散された流体は、渦巻発生部24の螺旋状に形成された3個の翼の間を通過しながら、強烈な渦巻流になってバブル発生部26に送られる。次に、流体はバブル発生部26の軸部分の外周面に規則的に形成された複数の菱形突出部によって形成される複数の狭い流路を通過し、キャビテーション現象によって多数の微小な渦やマイクロバブルが発生する。
【0044】
次に、流体はバブル発生部26を過ぎて内部構造体210の端部に向かって流れるが、コアンダ効果によって、流体は誘導部212の表面に沿って流れるようになる。誘導部212によって中心に向かって誘導された流体はテーパー部37を過ぎて流出口9を通じて流出される。第2の実施形態に関連して説明したように、流体供給管110から吐き出される流体は、コアンダ効果によって刃物や被加工物の表面によく張り付くようになることによって、冷却効果を増加させる。
【0045】
(第4の実施形態)
次に、
図11乃至
図12を参照して本発明の第4の実施形態に係る流体供給管120について説明する。第1の実施形態と同一の構成については説明を省略し、第1の実施形態と差のある部分について詳細に説明する。第1の実施形態の構成要素と同一の構成要素に対しては同一の図面符号を使う。
図11は第4の実施形態に係る流体供給管120の側面分解図であり、
図12は流体供給管120の側面透視図である。第11図及び第12図に示されたように、流体供給管120は内部構造体220及び管本体30を備える。第4の実施形態の管本体30は第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。
図11及び
図12において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0046】
第4の実施形態の内部構造体220は、例えば、金属からなる円柱形態の部材を加工して形成され、上流側から下流側に向かって流体拡散部222と、渦巻発生部24と、バブル発生部26とを備える。第1の実施形態の内部構造体20は前端部に円錐形態の流体拡散部22が形成されていることに対して、第4の実施形態の内部構造体220は前端部にドーム形の流体拡散部222が形成されている。流体拡散部222は円柱部材の前端部をドーム形に加工して形成される。渦巻発生部24は、断面が円形である軸部分と、3個の螺旋状に形成された翼とからなる。バブル発生部26は、円形の断面を有する軸部分の外周面に網状に形成されている多数の菱形の突出部(凸部)を含む。
【0047】
流体拡散部222は流入口8を通じて流入側部材31を通過して流入される流体を中心部から外側へ拡散させる。流体がドーム形態の拡散部222に向かって流れると、コアンダ効果によって拡散部222の表面に沿って流動するので、流体の運動エネルギーの損失を最小化しながら流体を外側へ拡散させることができる。このような構造の流体供給管120は通常の技術に比べて冷却液の冷却機能及び洗浄効果を向上させる。
【0048】
(第5の実施形態)
次に、
図13乃至
図14を参照して本発明の第5の実施形態に係る流体供給管130について説明する。第5の実施形態の流体供給管130において、第1の実施形態及び第4の実施形態と同一の構成については説明を省略し、同一の構成要素に対しては同一の図面符号を使う。
図13は第5の実施形態に係る流体供給管130の側面分解図であり、
図14は流体供給管130の側面透視図である。
図13及び
図14に示されたように、流体供給管130は内部構造体230及び管本体30を備える。第5の実施形態の管本体30は第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。
図13及び
図14において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0049】
第5の実施形態の内部構造体230は、例えば、金属からなる円柱形態の部材を加工して形成され、上流側から下流側に向かってドーム形態の流体拡散部222と、渦巻発生部24と、バブル発生部26と、ドーム形態の誘導部232とを備える。
【0050】
図13及び
図14を参照すると、流入口8を通じて流体供給管130へ流入された流体はドーム形態の拡散部222を向かって流れ、コアンダ効果によって拡散部222の表面に沿って流動し、流体供給管130の中心部から外側に向かって拡散される。このようなドームの形態は流体の運動エネルギーの損失を最小化しながら流体を外側へ拡散させることができる。次に、渦巻発生部24とバブル発生部26とを過ぎた流体はドーム形態の誘導部232の表面に沿って流れるようになる。ドーム形態の誘導部232によって中心に向かって誘導された流体はテーパー部37を過ぎて流出口9を通じて流出される。このような構造の流体供給管130は通常の技術に比べて冷却液の冷却機能及び洗浄効果を向上させる。
【0051】
(第6の実施形態)
次に、
図15乃至
図16を参照して本発明の第6の実施形態に係る流体供給管140について説明する。第6の実施形態の流体供給管140において、第1の実施形態及び第4の実施形態と同一の構成については説明を省略し、同一の構成要素に対しては同一の図面符号を使う。
図15は第6の実施形態に係る流体供給管140の側面分解図であり、
図16は流体供給管140の側面透視図である。
図15及び
図16に示されたように、流体供給管140は内部構造体240及び管本体30を備える。第6の実施形態の管本体30は第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。
図15及び
図16において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0052】
第6の実施形態の内部構造体240は、例えば、金属からなる円柱形態の部材を加工して形成され、上流側から下流側に向かってドーム形態の流体拡散部222と、渦巻発生部24と、バブル発生部26と、円錐形態の誘導部242とを備える。
【0053】
図15及び
図16を参照すると、流入口8を通じて流体供給管140へ流入した流体はドーム形態の拡散部222に向かって流れ、コアンダ効果によって拡散部222の表面に沿って流動し、流体供給管140の中心部から外側に向かって拡散される。このようなドームの形態は流体の運動エネルギーの損失を最小化しながら流体を外側へ拡散させることができる。次に、渦巻発生部24とバブル発生部26とを過ぎた流体は円錐形態の誘導部242の表面に沿って流れるようになる。円錐形態の誘導部242によって中心に向かって誘導された流体はテーパー部37を過ぎて流出口9を通じて流出される。このような構造の流体供給管140は通常の技術に比べて冷却液の冷却機能及び洗浄効果を向上させる。
【0054】
以上、本発明を実施形態を利用して説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることではない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、上記説明及び関連図面から本発明の多くの変形及び他の実施形態を導出することができる。本明細書では、複数の特定用語が使われているが、これらは一般的な意味として単に説明の目的のために使われただけであり、発明を制限する目的で使われたものではない。添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義される一般的な発明の概念及び思想を抜け出さない範囲で多様な変形が可能である。
(例1)
流体供給管であって、
内部構造体と、
内部構造体を収納するための管本体と、
を含み、
管本体は、円形の断面を有し、流入口と流出口とを含み、
内部構造体は、
管本体に内部構造体が収納された際、管本体の流入口側に位置し、流入口を通じて流入される流体を管の中心から半径方向へ拡散させる第1の部分と、
第1の部分より下流側に位置し、第1の部分によって拡散された流体に渦巻流を発生させるように複数の螺旋状に形成された翼を含む第2の部分と、
第2の部分より下流側に位置し、外周面に複数の突出部を有する第3の部分と、を含み、
第1の部分、第2の部分及び第3の部分は、共通の円柱部材上に一体化し
て1つの部品として形成されていることを特徴とする、
流体供給管。
(例2)
内部構造体の第1の部分、第2の部分、及び第3の部分の少なくとも一つは円形の断面を有することを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例3)
内部構造体の第1の部分は、円錐形に形成されている内部構造体の一端部であることを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例4)
内部構造体の第1の部分は、ドーム形に形成されている内部構造体の一端部であることを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例5)
内部構造体の第2の部分は、断面が円形である軸部分と、複数の螺旋状に形成されている翼とを含むことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例6)
内部構造体の第2の部分は、三つの翼を含み、
翼の各々は、その先端が軸部分の円周方向に互いに120°ずつずらしていることを特徴とする例5に記載の流体供給管。
(例7)
内部構造体の第3の部分は、
円形の断面を有する軸部分と、その外周面に多数の菱形の突出部とを含むことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例8)
多数の菱形の突出部は網状に形成されていることを特徴とする例7に記載の流体供給管。
(例9)
内部構造体は、第3の部分より下流側に、流体を管の中心に向かって誘導する第4の部分を含み、第1の部分、第2の部分、第3の部分とともに、第4の部分は、共通の円柱部材上に一体的化して1つの部品として形成されていることを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例10)
内部構造体の第4の部分は、ドーム形に形成されている内部構造体の一端部であることを特徴とする例9に記載の流体供給管。
(例11)
内部構造体の第4の部分は、円錐形に形成されている内部構造体の一端部であることを特徴とする例9に記載の流体供給管。
(例12)
内部構造体の第1の部分の断面積が最大である部分の半径は、第2部分の軸部分の中心から翼の先端までの距離より小さいことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例13)
管本体は、流入側部材と流出側部材とからなり、
流入側部材と流出側部材とは、ねじ結合することを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例14)
流体供給管の内部構造体であって、
円形の断面を有し、流入口と流出口とを含む流体供給管の管本体に内部構造体が収納された際、管本体の流入口側に位置し、流入口を通じて流入される流体を管の中心から半径方向へ拡散させる第1の部分と、
第1の部分より下流側に位置し、第1の部分によって拡散された流体に渦巻流を発生させるように複数の螺旋状に形成された翼を含む第2の部分と、
第2の部分より下流側に位置し、外周面に複数の突出部を有する第3の部分と、を含み、
第1の部分、第2の部分及び第3の部分は、共通の円柱部材上に一体化して1つの部品として形成されていることを特徴とする、
内部構造体。
(例15)
例1から13のいずれかの流体供給管に、冷却液を流入し、所定の流動特性を与えてから工具や被加工物に吐出させて、冷却するようにした工作機械。
(例16)
例1から13のいずれかの流体供給管に、水や湯を流入し、所定の流動特性を与えてから吐出させるようにして洗浄効果を高めるようにしたシャワーノズル。
(例17)
例1から13のいずれかの流体供給管に、複数の異なる特性の流体を流入し、所定の流動特性を与えて、この複数の流体を混合したのち吐出させるようにした流体混合装置。
(例18)
流体供給管の内部構造体であって、
流入口と流出口とを含む流体供給管の管本体に内部構造体が収納された際、管本体の流入口側に位置し、流入口を通じて流入される流体を管の中心から半径方向へ拡散させる拡散部分と、
拡散部分より下流側に位置し、拡散部分によって拡散された流体に渦巻流を発生させる渦巻発生部分と、
渦巻発生部分より下流側に位置し、渦巻発生部分からの流体に多数のバブルを発生するバブル発生部分と、を含み、
拡散部分、渦巻発生部分及びバブル発生部分は、共通の円柱部材上に一体化して1つの部品として形成されていることを特徴とする、
内部構造体。
(例19)
バブル発生部分より下流側に位置し、流体を管の中心に向かって誘導する誘導部分を更に有することを特徴とする例18の内部構造体。
(例20)
拡散部分と、渦巻発生部分と、バブル発生部分とは、共通の円柱部材上に加工又は成形することにより1つの部品として形成されていることを特徴とする例18記載の内部構造体。
(例21)
拡散部分と、渦巻発生部分と、バブル発生部分と、誘導部分とは、共通の円柱部材上に加工又は成形することにより1つの部品として形成されていることを特徴とする例19記載の内部構造体。