【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年8月6日、第5回シンポジウム「コンクリート構造物の非破壊検査」論文集、341頁〜346頁 平成27年8月7日、第5回コンクリート構造物の非破壊検査シンポジウム「非破壊検査が担うコンクリート構造物の調査・点検技術の高度化・効率化」〔東京〕
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物中の鋼材は、コンクリートがアルカリ性環境を保持していることで鋼材表面に不動態皮膜を形成し、腐食から保護されている。しかしながら、例えば、空気中の二酸化炭素、下水道施設における硫酸、あるいは塩化物イオンなどの腐食因子がコンクリート中に侵入すると、この不動態皮膜が破壊され、コンクリート中にある水と酸素によって鋼材の腐食が開始する。
【0003】
コンクリート構造物の鋼材が腐食すると、鋼材の体積膨張を生じ、その膨張圧でコンクリートにひび割れを生じ、ひび割れを通じてさらに腐食因子の侵入と外部からの水と酸素の供給によって鋼材の腐食は加速的に進行し、ついにはコンクリート構造物としての機能が保持できなくなる。
【0004】
従って、鋼材の腐食が開始する前に腐食因子の侵入や鋼材の腐食開始を検知し、例えば、表面被覆などの対策で腐食因子や水と酸素のさらなる侵入を阻止して鋼材を腐食から守り、構造物の予防的な保全を図ることが重要となる。この問題に対し、従来から種々の腐食診断方法が提案されている。例えば、コア抜きを行なって腐食因子を分析する方法や、非破壊的に鋼材の自然電位や分極抵抗を測定する手法、化学センサやガスセンサにより腐食因子を検出する手法、鉄製の細線を模擬腐食部材としてコンクリートに埋設し、細線が断線したときに腐食を検出する手法などが知られている。
【0005】
これらの腐食診断手法のうち、細線の断線によって腐食を検知する方法は、(a)予めセンサを埋設することでコア抜きなどコンクリートを傷めることがない、(b)コンクリート表面と鋼材の間に細線を深さに応じて数本設置することで表面からの腐食因子の侵入の時間依存性をモニタリングでき維持管理計画の立案を容易とする、(c)直接的に鉄の腐食を捉えるので腐食因子だけでなく水や酸素の供給状態をも含めた腐食の可能性を検知できる、(d)電気抵抗の変化を捉えるので極めて低消費電力での検出が可能で長期モニタリングに適する、というメリットがあり、細線切断を検出することによる腐食診断方法が、種々提案されている(例えば、特許文献1〜3)。また、感度が高く、設計自由度を大きくするために、鉄箔材を用いた腐食センサも提案されている(特許文献4)。
【0006】
一方、プレストレストコンクリート(PC)構造物におけるPCグラウトは、PC構造物の内部に配されたシース管の中に通されるPC鋼材の防食、およびPC鋼材とコンクリート部材間の一体性を確保する重要な役割を担っており、その品質や施工の良否によりPC構造物の耐久性に大きな影響を与えるものである。これらの役割を十分に果たすためには、シース管内にPCグラウトを完全に充填することが要求される。
【0007】
近年、PCグラウトの充填不良に起因した既存構造物の劣化事例が知られており、PCグラウトの充填状況を確認することが望まれている。例えば、特許文献5には、シース管内のグラウトの充填状況を検知する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の腐食センサは、すべて電気抵抗を捉えるものである。導電率の高い鉄は、破断しなければ抵抗値に変化が現れにくく、センサの感度が線径や線幅等に依存しやすいという課題がある。また、検知部が破断すると、センサの機能が失われてしまうため、コンクリート中の鋼材の腐食環境の進展を捉えることが難しかった。
【0011】
また、上記の理由から、センサの機能を損なうことなく、対象となる鉄筋や鋼材の近傍に設置したり、取り付ける必要があるが、従来は、取付けの対象部材の形状を考慮したセンサの設計となっておらず、取付け時に断線が生じたり、多大な労力を必要とする場合があった。とくに、円形や管状の構造物では、曲率を有するために、建設現場においてセンサを設置する際に、別に取付け鋼棒を用いて治具を組み立てたり、現場の鉄筋寸法にあわせて治具を溶接して作製する必要もあり、設置精度の確保に課題があった。
【0012】
また、従来、プレストレストコンクリート構造物において、PC鋼材の腐食は、シース管内でのグラウトの未充填箇所において、PC鋼材が露出した状態で生じることが多い。したがって、構造物におけるシース管の配管で、天端側に配置される箇所(頂頭部)において、PC鋼材の腐食がもっとも懸念される。しかし、シース管へのグラウトの充填状況を確認する技術はあったものの、PC鋼材の腐食環境を直接検出する技術はなく、従来は、PC鋼材が切れるまで、シース管内の状況を把握することは困難であった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、腐食の危険性と共に腐食環境の進展状況を把握することができ、高精度で、低コスト化を図ることができる腐食センサおよび腐食センサ付きシース管継手部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の腐食センサは、コンクリート中の腐食環境を検出する腐食センサであって、腐食性を有する金属で板状、箔状または膜状に形成された金属箔部と、耐腐食性を有する金属で形成され、前記金属箔部と対向する位置に設けられた対向電極と、前記金属箔部および前記対向電極の間に設けられた誘電体と、取り付け位置の形状に対応する曲面を有し、前記金属箔部が測定対象のコンクリートと接するように、前記金属箔部、前記誘電体および前記対向電極を固定するカプラ本体と、を備え、腐食による前記金属箔部の面積の減少に応じて、静電容量値または誘電正接値が変化することを特徴とする。
【0015】
このように、取付けの対象部材の形状を考慮したカプラ本体に金属箔部、誘電体および対向電極が取り付けられるので、取付けが容易であり、腐食センサが損傷することもない。また、腐食による金属箔部の面積の減少に応じて、静電容量値または誘電正接値が変化するので、金属箔部の面積に応じて腐食環境進行状況を捉えることが可能となる。なお、金属箔部が測定対象のコンクリートと接すればよく、金属箔部、誘電体および対向電極を固定する面は、カプラ本体の外周面上であっても良いし、内周面上であっても良い。
【0016】
(2)また、本発明の腐食センサにおいて、前記カプラ本体には、保護突起が設けられ、前記保護突起は、金属箔部の高さより測定対象のコンクリート側に突出することを特徴とする。
【0017】
このように、保護突起は、少なくとも金属箔部の高さよりも大きい高さを有する保護突起を備えるので、コンクリートを打設する際やPC鋼材を挿通する際等に、金属箔部が傷つくことを防止することが可能となる。
【0018】
(3)また、本発明の腐食センサにおいて、前記保護突起は、空気を逃がすための貫通孔、または溝を有することを特徴とする。
【0019】
このように、保護突起は、空気を逃がすための貫通孔、または溝を有するので、コンクリートを充填する際に金属箔部の近くに空隙ができることを防止することが可能となる。これにより、センサ設置部からの劣化を防止でき、また、腐食センサの誤作動も防止できる。
【0020】
(4)また、本発明の腐食センサにおいて、前記カプラ本体は、前記金属箔部を被覆するモルタル層をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
このように、カプラ本体は、金属箔部を被覆するモルタル層をさらに備えるので、金属箔部が十分に保護されると共に、施工までに金属箔部が錆びることを防止できる。
【0022】
(5)また、本発明のシース管継手部材は、プレストレストコンクリート用鋼材(PC鋼材)の腐食環境を検出する腐食センサ付きシース管継手部材であって、腐食性を有する金属で板状、箔状または膜状に形成された金属箔部と、耐腐食性を有する金属で形成され、前記金属箔部と対向する位置に設けられた対向電極と、前記金属箔部および前記対向電極の間に設けられた誘電体と、PC鋼材側の面で、前記金属箔部が最もPC鋼材側に位置するように、前記金属箔部、前記誘電体および前記対向電極を固定するシース管継手本体と、前記シース管継手本体に設けられ、前記金属箔部の高さよりPC鋼材側に突出する保護突起と、を備え、腐食による前記金属箔部の面積の減少に応じて、静電容量値または誘電正接値が変化することを特徴とする。
【0023】
このように、シース管継手本体に、PC鋼材側に突出し、少なくとも前記金属箔部の高さよりも大きい高さを有する保護突起を備えるので、シース管にPC鋼材を挿通する際等に、金属箔部が傷つくことを防止することが可能となる。また、腐食による金属箔部の面積の減少に応じて、静電容量値または誘電正接値が変化するので、金属箔部の面積に応じて、シース管内の腐食環境進行状況を捉えることが可能となる。
【0024】
(6)また、本発明のシース管継手部材は、複数の保護突起の間に、前記金属箔部、前記誘電体および前記対向電極並びに排気口を備えることを特徴とする。
【0025】
このように金属箔部等が設けられた保護突起の間に空気を抜くため排気口を設置するので、金属箔部の近くに空隙ができることを防止することが可能となる。これにより、センサ設置部からの劣化を防止でき、また腐食センサの誤作動も防止できる。また、同時にシース管内の空気も確実に排出することができる。
【0026】
(7)また、本発明のシース管継手部材は、前記金属箔部、前記誘電体および前記対向電極を被覆するモルタル層をさらに備えることを特徴とする。
【0027】
このように、腐食センサ付きシース管継手部材は、金属箔部、誘電体および対向電極を被覆するモルタル層をさらに備えるので、金属箔部が十分に保護されると共に、施工までに金属箔部が錆びることを防止できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、カプラ本体やシース管継手部材に金属箔部、誘電体および対向電極が取り付けられるので、取付けが容易であり、腐食センサが損傷することもない。また、腐食による金属箔部の面積の減少に応じて、静電容量値または誘電正接値が変化するので、金属箔部の面積に応じて、コンクリート構造物内の腐食環境進行状況を捉えることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1の実施形態]
[腐食センサの概要]
図1は、第1の実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す図である。腐食センサ1は、カプラに腐食を検知する検知部が取り付けられた構成を採る。すなわち、カプラ本体3は、取り付け位置の形状に対応する曲面を有し、検知部7を曲面の外側に固定する。カプラ本体3には、少なくとも検知部7の高さよりも大きい高さを有する保護突起5a、5bが設けられている。保護突起5aは、カプラ本体3の曲面の周方向に1組設けられており、保護突起5bは、カプラ本体3の曲面の高さ方向に1組設けられている。その結果、検知部7は、保護突起5a、5bによって包囲されている。なお、
図1では、検知部7に対する通電のためのリード線は省略している。
【0031】
保護突起5a、5bのカプラ本体3からの高さは、設置場所で使用されるコンクリートに依存する。コンクリートのかぶりの厚さは、一般的に30mm〜100mmである。このかぶりの厚さによって、コンクリートの骨材・砂利の大きさが決まるため、コンクリートに使用される骨材・砂利の大きさによって、保護突起5a、5bの高さを選定する。このため、保護突起5a、5bの高さを、例えば、10mm〜20mm程度とすることができる。また、カプラ本体3の厚さは、概ね1mm〜5mmとすることが望ましい。
【0032】
このように、カプラ本体3に、少なくとも検知部7の高さよりも大きい高さを有する保護突起5a、5bを備えるので、コンクリートを打設する際等に、検知部7が傷つくことを防止することが可能となる。
【0033】
[腐食センサの測定原理]
平行平板導体(検知部)の誘電正接tanδは、ω:角周波数、C:静電容量、R:直列等価抵抗との間に以下の関係がある。
tanδ=ωCR ・・・(1)
【0034】
平行平板導体(検知部)の静電容量Cは、平行平板導体の面積S、平行平板導体間の間隔dとの間に、以下の関係がある。
C=Q/V=εS/d[F] ・・・(2)
ここで、εは、誘電率である。
【0035】
本実施形態に係る腐食センサは、この原理を用いる。すなわち、センサの検知部7は金属箔部、誘電体、及び対向電極から構成され、金属箔部が腐食因子によって腐食していくと、金属箔部の面積が減少し、それに伴って電気特性が変化する。電気特性の変化度合いを捉えることによって、金属箔部の面積の減り具合、ひいては腐食の進行具合を把握することが可能となる。
【0036】
また、腐食センサ1において、留意すべき点は、以下の通りである。すなわち、金属箔部が、腐食因子と反応する材料である必要がある。次に、電気特性として静電容量または誘電正接を用いて腐食センサとして機能させるためには、断面欠損の発生が必要となるため、金属箔部が腐食により消失することが必要である。本実施形態では、金属箔部をごく薄い鉄箔で構成することでこれらの課題を解決した。また、金属箔部が、全面的に腐食して消失してしまうと、その後の腐食進展を評価することができなくなるため、全面消失するまで長期間を要する程度の大きさが必要となる。さらに、コンクリート中に埋設して使用するため、腐食センサの取り付け方法や方向を定める必要がある。また、コンクリートに使用される骨材の影響を排除するような寸法や形状を定める必要がある。
【0037】
図2Aは、本実施形態に係る腐食センサの検知部の概略構成を示す図である。検知部7aは、カード形状(矩形)に形成されている。検知部7aは、金属箔部に複数の貫通孔を有し、メッシュ状に形成された第1の領域、および貫通孔を有しない第2の領域で構成されている。第2の領域にはリード線7bが接続されている。この検知部7aの寸法は、「50mm×70mm」である。なお、第1の領域に設けられている複数の貫通孔の平面形状は、円である。これにより、センサの形成精度や歩留まりが向上する。
【0038】
このように、検知部7aの金属箔部には、平面形状が円である複数の貫通孔が設けられているので、腐食因子が滞留し、金属箔部を腐食させ、さらに水平方向(横方向)への腐食反応も生じさせるため、初期段階での腐食による断面欠損を促進する。これにより、腐食因子に対する感度を高め、かつ腐食されやすくすることができる。また、金属箔部の貫通孔のある箇所の腐食感度が高く、貫通孔のない箇所では腐食が進行しにくいことから、これを組み合わせることによって、選択的に腐食する領域を形成することも可能となる。また、貫通孔の平面形状は、円であるので、エッチングによる形成において、形成精度や歩留まりが向上する。エッチングは、形成対象の形状として角が生じると、エッチングにおける金属溶解の応力によって、隅角部に亀裂が生じたり、エッチング液が隅角部に滞留して局所的に金属溶解が進行し、所定の形状が形成できない場合がある。貫通孔が円形である場合は、そのような応力が分散されやすく、また隅角部での滞留も生じないため、金属箔部の貫通孔の製作における形成精度や歩留まりが向上する。その結果、品質の安定化やコスト削減に資することが可能となる。
【0039】
金属箔部は、鉄を圧延することにより作製され、3μm以上0.1mm以下の厚さを有する。金属箔部は、測定対象のコンクリートと接するように、カプラ本体3に固定される。すなわち、最も外側(表面側)から金属箔部、図示しない誘電体および対向電極の順で積層される。また、金属箔部には、リード線7bが設けられ、対向電極にもリード線が設けられている。
【0040】
金属箔部の厚さを3μm以上0.1mm以下としたのは、薄すぎるとセンサの取り扱い時に金属箔部にひび割れが生じやすく、厚すぎるとセンサの感度が低下する恐れがあるためである。また、金属箔部の面積は、300mm
2以上、好ましくはコンクリート中の最大骨材寸法Gmaxの2乗の面積以上、より好ましくは700mm
2以上である。検知部7aの面積を300mm
2以上とすることで、金属箔部の急激な腐食反応の進行を抑制して、長期間センサとして計測することができる。
【0041】
また、コンクリートに使用される骨材の最大寸法は、20mm×20mmのふるいを通過する寸法、あるいは25mm×25mmのふるいを通過するものが使用されることが多いことから、金属箔部の面積を300mm
2以上とすることで、骨材が金属箔部の直上にくることで生じる誤差要因などの骨材の影響を受けにくくすることができる。また、金属箔部の面積は、20,000mm
2以下とすることが好ましい。金属箔部の面積を20,000mm
2以下とすることで、構造物中の鉄筋やコンクリートの性能に影響を及ぼさない大きさとして形成でき、製造や保管が容易になると共に、腐食を検知する場所への設置が容易となる。また、リード線7bを含む金属箔部または外縁部全体に、腐食しない材質で腐食防止膜を設けても良い。
【0042】
図2Bは、他の検知部の例を示す図である。この検知部7dは、
図2Aで示したカード形状(矩形)の検知部7aが連設された長軸形状に形成されている。検知部7dには、複数の貫通孔を有し、メッシュ状に形成された領域および貫通孔を有しない領域が交互に連設するように設けられている。また、貫通孔を有しない領域の複数個所には、それぞれ、リード線7fが設けられている。このように、複数のリード線7fを設けることによって、検知部7dのどこまでが腐食したのかを把握することが可能となる。また、一部のリード線の周囲が腐食して断線しても、他のリード線を用いて計測することが可能である。
【0043】
図2Bの右半分の中央部は、金属箔部の貫通孔を有しない外周の一部に、貫通孔を設け、金属箔部の縦方向に腐食しやすい箇所を設けている。このように、腐食しにくい外周の一部に貫通孔を設けることで、当該箇所が他の外周と比較して腐食の進行も早くなる。したがって、当該箇所が縦方向に腐食することで、中央部の通電部と右側の通電部が通電しなくなるため、複数の通電部で計測される電気特性に変化が生じ、腐食が生じた位置を特定することが可能となる。
【0044】
また、
図2Bにおいて、リード線7fの接続点7gは、例えば、樹脂等の錆びない材料で被覆されている。この検知部7dの寸法は、「30mm×120mm」である。
【0045】
[腐食センサの製造方法]
図2Cは、本実施形態に係る腐食センサの製造方法を示すフローチャートである。まず、金属箔部としての鉄を圧延して鉄箔を製造する(ステップS101)。鉄箔は、3μm以上0.1mm以下の厚さを有するものとする。ここで、鉄箔は、蒸着やメッキにより形成される薄膜であっても良いし、板状に形成されていても良い。
【0046】
次に、鉄箔材とポリイミド材との貼り合わせを行ない(ステップS102)、センサパターンのレジスト印刷を行なう(ステップS103)。次に、ケミカルエッチングを行なう(ステップS104)。ここでは、貫通孔も形成される。次に、対向電極としての対極板を形成する(ステップS105)。ここでは、例えば、スパッタリング、金属蒸着、プレーティング、金属塗料、金属板・金属箔の貼付などを用いることができる。次に、リード線の接続と防水加工を施し(ステップS106)、センサの外装を行なう(ステップS107)。ここでは、カプラ本体3の保護突起5a、5bに包囲された箇所に検知部を固定する。これにより、腐食センサの製造工程が終了する。
【0047】
金属箔部としての鉄箔の面積は、腐食進行状況を段階的に捉えることができるよう、また、鉄箔の形状は、矩形としているが、本発明は、これに限定されるわけではない。金属箔部は鉄箔に変えて、腐食状態を測定したい材質と同じものに換えることができ、ステンレスやアルミニウム等の金属としても良い。
【0048】
金属箔部としての鉄箔の領域には、複数の貫通孔が設けられ、メッシュ状に形成されている。このような複数の貫通孔が設けられているので、腐食が容易に進行し、一部が限定的に腐食して欠損した場合においても、鉄箔が島状に取り残されることが少なく、電気的な導通が確保され、鉄箔面積の減少量を電気特性の変化で正確に捉えることが可能となる。なお、
図2Aおよび
図2Bでは、歩留まりの観点から、各貫通孔の形状を円形としているが、本発明は、これに限定されるわけではなく、矩形や他の形状とすることもできる。
【0049】
また、金属箔部は、目的に応じて、腐食感度を高めるために貫通孔を設けた領域と、貫通孔のない領域を選択的に組み合わせることもできる。前記のように組み合わせて作成することにより、通電部近傍などの腐食による断面欠損が進行しにくい箇所や、あるいは腐食を早期に発生させる箇所を作成することができる。
【0050】
式(2)から明らかなように、誘電率の大きさと鉄箔の面積の減少が、静電容量の減少に大きく関与するため、誘電体は、誘電率が3以上の誘電体であることが望ましく、その厚さは0.01mm〜2mmが望ましく、温度による変化が少ない誘電体が望ましい。これにより、センサの測定感度を向上させることが可能となる。
【0051】
また、対向電極は、耐腐食性が高い性能を有した金属が望ましい。鉄箔の腐食による減少を電気特性で捉えるためには、対向電極の面積が変化しないことが前提である。対向電極には、金または白金、パラジウム等に代表される貴金属をはじめ、対象である金属よりイオン化傾向の小さく導電性を有した金属であり、鉄が対象の場合はパラジウム、銅、ニッケル等を用いることができる。また、圧延以外にもスパッタリングや蒸着、めっき等で成膜して形成する方法もある。対抗電極の厚さは問わない。
【0052】
なお、リード線を含む金属箔部の外縁部には、腐食しない材質で腐食防止膜を設けても良く、例えば、樹脂や白金等の金属等を用いることができる。中でも、腐食進行状況を段階的に捉えるために樹脂等の絶縁体を用いることが好ましい。この樹脂は、塗布したりシールを張付けたりすれば良い。一方、金属とする場合は、金または白金の他、パラジウム、銅、鉛、スズ、ニッケル、またはこれらの合金等、被膜の材料である金属箔部より貴な金属を用いることが可能であり、湿式めっき法および乾式めっき法、あるいは蒸着により箔層を形成できる。金属を用いる場合は、金属箔部との電位差が生じて腐食が早く進展するので、早期の腐食検知を行ないたい場合に有用である。
【0053】
また、外装材としてのカプラ本体3は、絶縁体で形成されることが好ましい。例えば、樹脂材料やセラミックスである。導電材料の場合、外部のコンクリートと導通したり、交流計測において検知部の電気特性が不安定になったりする場合があるので好ましくない。中でもセラミックスを用いることが、線膨張係数がコンクリートとほぼ同じであるため、好ましい。より具体的には、比誘電率(1MHz)が1〜8、マイナス20℃から90℃の温度範囲で熱膨張係数が7〜11×10
−6/℃、モース硬度が7〜8、曲げ強度が50MPa〜250MPaであるセラミックス部材でカプラを作成することが望ましい。この場合、腐食センサを設置する場所の鉄筋の太さに合わせてカプラのサイズを定める。一方、カプラを、柔軟性を有する樹脂で形成することも可能である。この場合、柔軟性を有するため、腐食センサを設置する場所の鉄筋の太さごとにカプラを用意する必要がない。柔軟性を有する樹脂は、硬質なものとして、ABS樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。軟質な樹脂としては、ブチルゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム等が挙げられる。
【0054】
[腐食センサの設置例]
図3は、本実施形態に係る腐食センサの使用例を示す図である。
図3では、どの方向が鉛直方向であるかについては、特定していない。
図3に示すように、腐食センサ1を、例えば異形鉄筋9に固定する。この場合、結束線などを用いて異形鉄筋9に固定するのが望ましい。特に、施工中にセンサが移動したり脱落したりしないように留意する。また、接着剤などで鉄筋に貼り付けても良い。
【0055】
コンクリートを打設する際、コンクリートは鉛直下方から充填される。コンクリートは複合材料であり、セメント、水、砂利からなるが、材料分離が生じ、水が上に上がってくる傾向がある。その結果、鉄筋の下側に水が溜まりやすくなり、鉄筋の下面が錆びやすくなる。このため、鉄筋に腐食センサ1を取り付ける場合、鉄筋の下面部に設けることが望ましい。また、腐食センサ1を鉄筋に設ける場合は、側面と下面にかかるようにするのが良い。また、暴露面の背面は、暴露面よりも錆び難いため、暴露面側に腐食センサを設けるのが望ましい。
【0056】
なお、鉄筋の全周をカプラで覆う必要はない。鉄筋の一部に設けられていれば良い。これにより、コンクリートとの密着性が確保される。鉄筋とカプラとの間にモルタルや樹脂を埋めても良い。樹脂を用いる場合は、線膨張係数の差が問題になることがある。すなわち、剛性を持つ樹脂は、線膨張係数の差からコンクリートが割れる原因を生じさせる恐れ場ある。このため、柔らかい樹脂として、ブチルゴム・スチレンゴム・スチレンブタジエンゴム等を用いることが望ましい。
【0057】
さらに、検知部7の表面をモルタルで被覆しても良い。特に、施工上、傷が懸念される場合は、モルタルで被覆すると良い。モルタルの被覆の厚さは、例えば、2mm〜10mmである。これにより、検知部7が十分に保護される。
【0058】
[第2の実施形態]
図4Aは、第2の実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す図である。腐食センサ11は、第1の実施形態と同様に、カプラに腐食を検知する検知部が取り付けられた構成を採るが、検知部は、第1の実施形態に対して反対側の面(内側)に検知部を取り付けられる。すなわち、カプラ本体13は、取り付け位置の形状に対応する曲面を有し、検知部7を曲面の内側に固定する。カプラ本体13には、少なくとも検知部7の高さよりも大きい高さを有する保護突起15a、15bが設けられている。保護突起15aは、カプラ本体13の曲面の内周方向に1組設けられており、保護突起15bは、カプラ本体3の曲面の高さ方向に1組設けられている。その結果、検知部7は、保護突起15a、15bによって包囲されている。また、保護突起15aには、空気を通すための複数の貫通孔17が設けられている。なお、保護突起15bにも貫通孔を設けることも可能である。また、
図4Bに示すように、貫通孔17に代えて、溝18とすることもできる。その他の構成要素、例えば、カプラ本体13の材質や保護突起15a、15bの高さ等は、第1の実施形態と同様である。なお、導出部31は、検知部7からリード線を引き出すための設けられた貫通孔である。
【0059】
図5は、プレストレストコンクリート構造物内のシース管の配管の様子を模式的に示す図である。紙面に対して下の方向が鉛直方向である。
図5に示すように、プレストレストコンクリート構造物19に、シース管21が設けられている。シース管21には、図示しないPC鋼材が挿通され、グラウトが充填されるのであるが、シース管21が上りから下りになる形状になる箇所、例えば、
図5の矢印Aの位置には、空気が溜まりやすく、グラウトが未充填になりやすい。グラウトが未充填で、PC鋼材がシース管21内で露出すると、錆びやすくなってしまう。そこで、第2の実施形態に係る腐食センサ11を、シース管21に取り付ける。第2の実施形態に係る腐食センサ11は、カプラ本体13の局面に内側に検知部7が設けられるため、シース管21内の腐食環境を検知することが可能となる。
【0060】
図6Aは、第2の実施形態に係る腐食センサをシース管に取り付けた状態を示す上面図である。また、
図6Bは、第2の実施形態に係る腐食センサをシース管に取り付けた状態を示す斜視図である。
図6Cは、シース管23にPC鋼材20を挿通し、グラウト22を充填した状態を模式的に示す図である。
図6Aおよび
図6Bに示すように、シース管23の一部を切り取って、腐食センサ11を、検知部7がシース管23の内部に向くように取り付ける。第2の実施形態に係る腐食センサ11は、保護突起15a、15bを有するため、PC鋼材をシース管23に挿通する際に傷つけられることを防止できるが、その後、グラウトを充填する際に、保護突起15a、15bの近傍に空隙ができてしまう可能性がある。しかし、第2の実施形態に係る腐食センサでは、保護突起15aに挿通するPC鋼材よりも小さい複数の貫通孔17が設けられているため、空気が溜まることが無くなり、空隙の発生が防止される。これにより、グラウトの充填率を高めると共に、シース管23内の腐食環境を正確に検知することが可能となる。なお、
図6Aにおいて、導出部31は、検知部7からリード線を引き出すための設けられた貫通孔である(
図6Bでは導出部を省略している)。
【0061】
なお、第1の実施形態と同様に、検知部7の表面をモルタルで被覆しても良い。特に、施工上、傷が懸念される場合は、モルタルで被覆すると良い。モルタルの被覆の厚さは、例えば、2mm〜10mmである。これにより、検知部7が十分に保護される。
【0062】
[第3の実施形態]
図7Aは、第3の実施形態に係る腐食センサ付きシース管継手部材の概略を示す図である。第3の実施形態では、カプラではなく、シース管継手部材そのものに検知部7を設けた。シース管そのものに腐食センサの取り付け孔を空けることが許されない場合もあるため、シース管継手部材を腐食センサとしたものである。
【0063】
図7Aに示すように、腐食センサ付きシース管継手部材25は、内側に突出する一組の保護突起27aを有する。これにより、PC鋼材を挿通する際に、検知部7が傷つくことを防止することが可能となる。また、保護突起27aには、複数の貫通孔29が設けられている。これにより、グラウトを充填する際に、空気が溜まることが無くなり、空隙の発生が防止される。導出部31は、検知部7からリード線を引き出すための設けられた貫通孔である。
【0064】
なお、第1の実施形態と同様に、検知部7の表面をモルタルで被覆しても良い。特に、施工上、傷が懸念される場合は、モルタルで被覆すると良い。モルタルの被覆の厚さは、例えば、2mm〜10mmである。これにより、検知部7が十分に保護される。
【0065】
図7Bは、腐食センサ付きシース管継手部材25を用いて2つのシース管21を連結し、PC鋼材20を挿通し、グラウト22を充填した状態を模式的に示す図である。この構成により、シース管21に孔を空けることなく、腐食センサを設置することが可能となる。
【0066】
[第4の実施形態]
図8は、第4の実施形態に係る腐食センサ付きシース管継手部材の概略を示す図である。第4の実施形態では、第3の実施形態で示した保護突起27aの近傍に、排気口33を設けた。すなわち、PC構造物のシース管に内側に突出する一組の保護突起27aを設け、保護突起27aの間に腐食センサ、およびグラウト充填の際に構造物の外部に空気を逃がす空気の排気口33を設ける。例えば、一組の保護突起27aに挟まれた位置にパイプ穴としての排気口33を設け、外側に導出パイプ35を設けて、グラウトホースを接続して構造物の外部に導出する。この構造を付加することによって、シース管へのグラウト充填の際、前記排気口33から、前記グラウトホースを通過させて、構造物の外部に空気と充填中のグラウトを押し出し、シース管内のグラウト未充填の防止、およびセンサ近接部のグラウト未充填を防止することが可能となる。
【0067】
なお、第2および第3の実施形態に排気口を設けることもできる。また、第2、第3および第4の実施形態の保護突起の先端はカプラ内に突出していても良いし、カプラ面と同等にしても良い。すなわち、検知部が引っ込んでいても良い。
【0068】
[腐食検出方法]
本実施形態に係る腐食検出方法は、上記のように設けられた検知部に交流電界を印加した場合の静電容量または誘電正接の変化に基づいて、腐食センサの腐食進行状況を特定する。これにより、鉄箔や細線の切断による抵抗変化を検出する方式と比較して、板状、箔状または膜状の検知部の腐食開始をより正確に把握することが可能となる。さらに、誘電正接の変化により早期に腐食因子をまたは腐食環境を検知し、その後も静電容量の変化も計測することで、検知部の面積に応じて腐食進行状況を捉え、継続的にかつより高い精度で腐食環境進行状況が把握することができる。
【0069】
[腐食センサの性能評価]
ここで、本発明者らは、本実施形態の原理で腐食を検知することが可能であるかを確認した。
図9は、本性能評価で使用した静電容量型腐食センサの概略構成を示す平面図である。
図10は、
図9に示した腐食センサ1をA−Aで切断した場合の断面図である。この腐食センサ91は、鉄を圧延することにより作製され、10μm以下の厚さを有する金属箔部としての鉄箔部93と、鉄箔部93にメッシュ状に設けられた複数の貫通孔95と、誘電体97(ポリイミド厚さ0.1mm)と、リード線99と、対向電極40(金)とを備える。鉄箔部93は、蒸着やメッキにより形成される薄膜であっても良いし、板状に形成されていても良い。
【0070】
本発明者らは、3%のNaCl水溶液に
図9の腐食センサを浸漬させ、7日を1サイクルとして、1サイクル毎に腐食状態の目視観察を行なった。静電容量の計測は、浸漬液から腐食センサを一旦取り出し、表面に付着した水分を取り除いた後、ピンセット状のプローブにて鉄箔部93の端部と貴金属(対向電極40)との間の静電容量を計測した。計測条件は、LCRメーターを用いて、100Hz〜100kHzまでの1Vの交流電界下にて実施した。実験で使用した装置は、以下の表の通りである。なお、目視による各サイクルの腐食面積は、1サイクル目は0%、2サイクル目は20%、3サイクル目は60%、4サイクル目は80%であった。
【表1】
【0071】
図11は、
図9に示す腐食センサを塩水浸漬した際の測定周波数による各サイクルにおける静電容量値の違いを示す図である。
図11において、いずれの周波数においても、試験実施前から1サイクル目で静電容量が上昇し、その後、腐食面積が増加するに従って静電容量が低下していくことが分かる。また、測定周波数が高くなるほど、各サイクルの差は若干小さくなる傾向があった。したがって、静電容量に影響を受ける誘電正接についても塩分に代表される電解質の腐食因子による変動要因を排除できるため、測定周波数は50kHz以上、好ましくは100kHz以上、より好ましくは1MHz以上として測定するのが好ましい。
【0072】
[モルタル試験体を用いた促進試験による腐食センサの性能評価]
モルタル中における静電容量・誘電正接式を用いた腐食センサの性能を確認することを目的に、塩分を練り込んだ試験体を用いて促進試験で評価した。
【0073】
モルタル試験体は、水セメント比65%のセメント砂比1:3のモルタルとし、塩化物イオン量で4.8kg/m
3となるようにNaClを添加した。
図12は、試験体の概要を示す図である。ここでは、試験体を100mm×100mm×100mmのサイズとした。かぶり15mmの位置に腐食センサを埋設した水準(
図12(b))と、腐食面積計測用にφ20mm×130mmの磨き棒鋼を埋設した水準(
図12(a))を用意した。なお、試験体の表面は塩水浸透を行なう1面だけ残し、他の面をエポキシ樹脂で被覆した。
【0074】
図13は、モルタル試験体に埋設するセンサの概要を示す図である。
図13に示すように、腐食センサ91は、Oリング45でアクリルケース43との間隔が設けられ、エポキシ樹脂47でアクリルケース43に接着されている。この腐食センサ91は、試験体外部より誘電正接及び静電容量の計測を行なうため、リード線99を半田付けし、リード線99の接続部が腐食しないよう、鉄箔部93のみが表面に露出するように、アクリルケース43で外装され、ケース内部が樹脂51で充填されている。このように構成したのは、リード線の錆防止を図るためと、周りに充填されるコンクリート自体が誘電体で含水状態により誘電率が変動することから、その影響を回避するためである。また、センサをコンクリート充填時の衝撃から保護する意味もある。本実施形態では、アクリルケース43を用いたが、必ずしもこれを必要とするわけではなく、上記の目的を達成することができるのであれば、アクリルケース43を使用せずに、例えば、樹脂だけでも構わない。
【0075】
促進試験の条件は、40℃で10%NaCl水溶液に2日間浸漬−60%RH環境下で5日間乾燥させる条件を1サイクルとし、合計10サイクルの促進試験を行なった。1サイクル終了毎にLCRメーターを用いて腐食センサの静電容量、誘電正接を測定した。計測条件は交流電圧1Vで、測定周波数は塩水浸漬実験の測定結果を参考に100kHz固定とした。
図14は、M−1、M−2及びM−3の3個の同一のセンサについて各サイクルで計測した誘電正接の結果を示す図である。
図15は、M−1、M−2及びM−3の3個の同一のセンサについて各サイクルで計測した静電容量の結果を示す図である。初期値は、試験体を脱型後、塩水に浸漬する前に計測した結果とした。
【0076】
誘電正接は、
図14に示すように、M−2及びM−3が3サイクルから段階的な上昇が見られ、M−1が6サイクルから除々に上昇した。一方、静電容量は、
図15に示すように、M−2及びM−3が6サイクルから、M−1は7サイクルからの低下が見られ、M−1、M−2は段階的に低下していることが分かる。実験によるグラフでは初期の腐食により上昇する誘電正接と、その後の誘電正接の低下と静電容量の低下のタイミングがほぼ等しい。誘電正接の上昇後に静電容量が低下するので、静電容量の減少度合いも継続して測定することで腐食の進展状況も捉えることができ、より高い精度の腐食状態の把握が可能となる。このように、金属箔部、誘電体および対向電極からなる検出部により、腐食環境とその進行状況を捉えることが可能であることが証明された。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、カプラ本体やシース管継手部材に金属箔部、誘電体および対向電極が取り付けられるので、取付けが容易であり、腐食センサが損傷することもない。また、腐食による検知部の面積の減少に応じて、静電容量値または誘電正接値が変化するので、検知部の面積に応じて、コンクリート構造物内の腐食環境進行状況を捉えることが可能となる。