(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673722
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】オイルレベルゲージ
(51)【国際特許分類】
G01F 23/04 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
G01F23/04 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-43160(P2016-43160)
(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公開番号】特開2017-161229(P2017-161229A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(72)【発明者】
【氏名】津村 賢一
(72)【発明者】
【氏名】柳 得徳
【審査官】
公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−131724(JP,U)
【文献】
特開2004−084543(JP,A)
【文献】
実開平06−080135(JP,U)
【文献】
特開2003−294513(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0150125(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/04
F01M 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のゲージガイドに挿入されるゲージ本体と、
前記ゲージ本体の上側端部が挿入される接続部及び前記接続部の上側に位置する指かけを有する取手部と、
前記ゲージ本体の上側端部と前記接続部にまたがって貫設された固定ピンと、
前記接続部の外周に設けられ、前記ゲージガイドの内周面に対して所定の圧入代をもって圧入されるゴム状弾性材料の圧入部と、
を備え、
前記圧入部には、外周面に環状のシール突条が設けられ、
前記接続部には、前記ゲージ本体の上側の端部を挿入する開口部を有する固定部と、前記固定部の上側にあって、外周面に前記圧入部が接合される円柱状の接続部本体と、前記接続部本体の上側端部にあって、前記指かけと接続される指かけ根元と、が前記指かけと一体に形成され、
前記ゲージ本体の上側の端部には、前記固定ピンを挿入するための第一挿入孔が形成されるとともに、前記固定部には、前記第一挿入孔に対応する位置に前記固定ピンを挿入するための第二挿入孔が形成されている
ことを特徴とするオイルレベルゲージ。
【請求項2】
請求項1に記載のオイルレベルゲージにおいて、
前記接続部本体の直径は、前記指かけ根元の直径に対して小さく設定されていることを特徴とするオイルレベルゲージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のエンジンオイルやミッションオイルの量を確認するためのオイルレベルゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般的なオイルレベルゲージとして、内燃機関のオイルパンに設けられた筒状のゲージガイドに挿入されることで、オイルパン内のオイルを付着させ、油面レベルを確認し、オイルの汚れ具合を確認するための金属製のゲージ本体と、このゲージ本体の上側に設けられた合成樹脂材料製の取手部と、この取手部に装着され、ゲージガイドの開口端部をシールするゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂)製のOリングと、からなるものが知られている。
【0003】
しかし、上記オイルレベルゲージは、Oリングがゲージガイドの開口端部をシールするものの、ゲージガイドの内周面との接触面積が小さいためオイルレベルゲージが抜けやすい構造となっていた。そのため、
図7に示すように、取手部530にゲージガイド580の開口端部582の外周面と係合するストッパー590を備えたオイルレベルゲージ510が案出されている。
【0004】
このオイルレベルゲージ510によれば、ストッパー590がゲージガイド580の開口端部582の外周面と係合するため、オイルレベルゲージ510がゲージガイド580から不用意に抜けることを確実に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−38914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記オイルレベルゲージ510に対しては、以下の点で更なる機能の向上が求められる。
【0007】
すなわち、上記オイルレベルゲージ510は、ストッパー590を別途作成し、これを取手部530に組み付けなければならないため、部品点数及び工数が多くコストが高い。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、その技術的課題は、部品及び工数が少なく、低コストで製造可能なオイルレベルゲージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
オイルレベルゲージは、筒状のゲージガイドに挿入されるゲージ本体と、前記ゲージ本体の上側端部が挿入され
る接続部及び前記接続部の上側に位置する指かけ
を有する取手部と、前記ゲージ本体の上側端部と前記接続部にまたがって貫設された固定ピンと、
前記接続部の外周に設けられ、前記ゲージガイドの内周面に対して所定の圧入代をもって圧入されるゴム状弾性材料の圧入部と、を備え、前記圧入部
には
、外周面に環状のシール突条
が設けられ、前記接続部には、前記ゲージ本体の上側の端部を挿入する開口部を有する固定部と、前記固定部の上側にあって、外周面に前記圧入部が接合される円柱状の接続部本体と、前記接続部本体の上側端部にあって、前記指かけと接続される指かけ根元と、が前記指かけと一体に形成され、前記ゲージ本体の上側の端部には、前記固定ピンを挿入するための第一挿入孔が形成されるとともに、前記固定部には、前記第一挿入孔に対応する位置に前記固定ピンを挿入するための第二挿入孔が形成されている。
【発明の効果】
【0013】
オイルレベルゲージの部品及び工数が減少し、そのコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
第一実施形態に係るオイルレベルゲージの要部正面図である。
【
図2】
図1に係るオイルレベルゲージの断面図である。
【
図3】
第二実施形態に係るオイルレベルゲージの要部正面図である。
【
図4】
図3に係るオイルレベルゲージの断面図である。
【
図5】
第三実施形態に係るオイルレベルゲージの要部正面図である。
【
図6】
図5に係るオイルレベルゲージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第一実施形態に係るオイルレベルゲージ10について図面に基づき詳細に説明する。
図1は
、第一実施形態に係るオイルレベルゲージ10の要部正面図であり、
図2は、
図1に係るオイルレベルゲージ10の断面図である。
【0016】
オイルレベルゲージ10は、
図1に示すように、ゲージ本体20と、このゲージ本体20の上側に設けられた取手部30と、この取手部30より下側に位置する圧入部60と、からなる。
【0017】
ゲージ本体20は、金属製の細く平たい棒状の部品からなり、内燃機関のオイルパンなどに設けられた筒状のゲージガイド80に挿入されることでオイルパン内のオイルを付着させ、ゲージガイド80から引き抜くことで油圧レベルを確認し、又は、オイルの汚れ具合を確認したりするものである。また、このゲージ本体20の上側の端部には、後述する固定ピン70を挿通するための第一挿入孔21が形成されている。
【0018】
取手部30は、合成樹脂等からなり、方形を呈する接続部40と、この接続部40の上側に位置し、円形を呈する指かけ50から構成される。接続部40には、ゲージ本体20の上側の端部に向けて開口し、ゲージ本体20を挿入するための開口部41が形成されている。また、この接続部40は、その長さ方向の途中であって、前記ゲージ本体20の第一挿入孔21と対応する位置(本実施形態では、接続部40の中央)に第二挿入孔42が形成されている。指かけ50は、手指が掛けられる大きさの半円形の指かけ孔51が形成されている。
【0019】
固定ピン70は、金属からなり、全体として円柱状を呈する。この固定ピン70を第一挿入孔21と第二挿入孔42とにまたがって貫通し、嵌合することによって、接続部40とゲージ本体20とを固定する。
【0020】
圧入部60は、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)からなるものであって、ゲージ本体20の外面に一体的に加硫成形されている。また、圧入部60の上側には、その一部として、管状のゲージガイド80の開口端部82に上側から当接可能な頭部61が設けられ、この頭部61には、使用上の注意等を記載したラベル(図示せず)が貼付される。さらに、この圧入部60の外周面には、複数(本実施形態では、二本)のシール突条62が設けられている。
【0021】
複数のシール突条62は、圧入部60の外周面に形成されたものであって、圧入部60の下側に形成された環状の下側シール突条62aと、上側に形成された環状の上側シール突条62bと、からなる。そして、この下側シール突条62aと上側シール突条62bは、それぞれが、ゲージガイド80の内周面81に対して所要の圧入代をもって圧入される。
【0022】
以上のように構成された第一実施形態に係るオイルレベルゲージ10は、ゲージガイド80にセットされた状態では、このゲージガイド80を通じて不図示のオイルパン内にゲージ本体20が挿入される。これにより、圧入部60がゲージガイド80の内周面81に圧入され、シール突条62がゲージガイド80の内周面81に密接状態で嵌合されるとともに、圧入部60の頭部61がゲージガイド80の開口端部82に当接されている。
【0023】
また、オイルパン内の油面レベルを確認したりオイルの汚れを確認したりするために、オイルレベルゲージ10をゲージガイド80から引き抜くには、指かけ50の指かけ孔51に手指を掛けて、これを上方へ引っ張れば良い。
【0024】
第一実施形態に係るオイルレベルゲージ10によれば、圧入部60が、ゲージガイド80の内周面81に圧入されることで、オイルレベルゲージ10が不用意に抜けることを防止することができるため
、オイルレベルゲージ510におけるストッパー590を別途作成する必要がない。よって、オイルレベルゲージ10の部品及び工数が削減し、オイルレベルゲージ10のコストを低減させることができる。
【0025】
第一実施形態に係るオイルレベルゲージ10によれば、下側シール突条62aがゲージガイド80の内周面と嵌合することで、オイルパン内のオイルをシールし、また、下側シール突条62aの上側に形成された上側シール突条62bがゲージガイド80の内周面と嵌合することで、下側シール突条62aを漏れるオイルがあっても、このオイルを上側シール突条62bがシールする。したがって、上記構成のオイルレベルゲージ10は、複数のシール突条62を設けることで、オイルパン内のオイルに対して優れたシール性を発揮することができる。
【0026】
第一実施形態に係るオイルレベルゲージ10によれば、下側シール突条62aに対して上側に位置する上側シール突条62bは、下側シール突条62aを漏れるオイルをシールする二次的なものであるため、オイルに晒される量が下側シール突条62aより少なく、下側シール突条62aよりもオイルによる材質劣化の進行度合いが遅い。したがって、上記構成のオイルレベルゲージ10は、複数のシール突条62を設けることで、オイルパン内のオイルに対する耐久性が向上し、もって、長期間にわたってシール性を発揮することができる。
【0027】
第二実施形態に係るオイルレベルゲージ10について図面に基づき詳細に説明する。
図3は
、第二実施形態に係るオイルレベルゲージ10の要部正面図であり、
図4は、
図3に係るオイルレベルゲージ10の断面図である。
【0028】
オイルレベルゲージ10は、
図3に示すように、ゲージ本体20と、このゲージ本体20の上側に設けられた取手部30と、この取手部30より下側に位置する圧入部60と、からなる。なお、本実施形態に係るオイルレベルゲージ10におけるゲージ本体20、圧入部60は、上述した第一実施形態に係るオイルレベルゲージ10の構成と同等である。
【0029】
取手部30は、合成樹脂等からなり、全体が円筒状を呈する接続部40と、この接続部40の上側に位置し、円形を呈する指かけ50が一体として構成される。接続部40の下側の端部には、ゲージ本体20を挿入するための開口部41が形成された固定部43と、この固定部43の上側に形成され、外周面に圧入部60が接合される円柱状の接続部本体44と、接続部本体44の上側端部に形成され、指かけ50と接続される指かけ根元45と、が一体として形成されている。また、固定部43には、第一挿入孔21に対応する位置(本実施形態では、固定部43の中央)に固定ピン70を挿入するための第二挿入孔42が形成されている。
【0030】
以上により、第二実施形態に係るオイルレベルゲージ10によれば、例えば、取手部30を先に成形し、その後、長さ違いのゲージ本体20を組み立てるといったことができる。したがって、取手部30とゲージ本体20を別々に生産することができるため、ゲージ本体20の長さにより異なるサイズの金型等を用意する必要がなく、もって、オイルレベルゲージ10の生産性を向上させることができる。
【0031】
第三実施形態に係るオイルレベルゲージ10について図面に基づき詳細に説明する。
図5は
、第三実施形態に係るオイルレベルゲージ10の要部正面図であり、
図6は、
図5に係るオイルレベルゲージ10の断面図である。
【0032】
すなわち、第三実施形態に係るオイルレベルゲージ10は、第二実施形態に係るオイルレベルゲージ10の構成に加え、接続部本体44の直径が指かけ根元45の直径に対して小さく設定されている。また、この接続部本体44と指かけ根元45の間の部分は、上側に向かうに従って徐々に直径が大きくなり、その断面は、テーパ状を呈する。さらに、接続部本体44の外周面には、圧入部60が加硫成形される領域の両端に位置し、外径方向に向けて突出する環状のリブ46が成形されている。
【0033】
以上により、第三実施形態に係るオイルレベルゲージ10の構成によれば、上述した第二実施形態に係るオイルレベルゲージ10の構成に加え、接続部本体44の直径が指かけ根元45の直径に対して小さく設定されているため、シール突条62の直径を細くすることができる。よって、第二実施形態に係るオイルレベルゲージ10と比較してゲージガイド80に挿入する際のシール突条62の圧縮率を抑え、もって、ゲージガイド80の内周面81に対する圧入抵抗を小さくすることができる。
【0034】
また、指かけ根元45の直径を大きく設定することでその剛性を確保し、オイルレベルゲージ10の強度を高くすることができる。
【0035】
また、接続部本体44と指かけ根元45の間の部分が上側に向かうに従って直径が徐々に大きくなるため、圧入部60を接続部本体44に加硫成形する際の接着剤塗布の作業性を向上させることができる。
【0036】
また、接続部本体44の外周面に液状の成形材料によって圧入部60を成形する際に、接続部本体44の外周面に形成された環状のリブ46が堰となり、この成形材料が固定部43における第二挿入孔42へ流入することを防止することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 オイルレベルゲージ
20 ゲージ本体
21 第一挿入孔
30 取手部
40 接続部
41 開口部
42 第二挿入孔
43 固定部
44 接続部本体
45 指かけ根元
46 リブ
50 指かけ
51 指かけ孔
60 圧入部
61 頭部
62 シール突条
62a 下側シール突条
62b 上側シール突条
70 固定ピン
80 ゲージガイド
81 内周面
82 開口端部