(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673732
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】壁掛け用カレンダー
(51)【国際特許分類】
B42D 5/04 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
B42D5/04 F
B42D5/04 G
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-62747(P2016-62747)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-170868(P2017-170868A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】395023901
【氏名又は名称】株式会社日本能率協会マネジメントセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100094282
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 洋資
(74)【代理人】
【識別番号】100082223
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 文雄
(72)【発明者】
【氏名】川村 由美
【審査官】
金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−103849(JP,A)
【文献】
特許第5849347(JP,B2)
【文献】
登録実用新案第3125020(JP,U)
【文献】
米国特許第02796687(US,A)
【文献】
実開昭49−120179(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00−15/00
15/04−19/00
F16B19/00−19/14
G09F 5/00− 7/22
15/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカレンダー用紙から選択したカレンダー用紙を台紙に着脱可能に保持する壁掛け用カレンダーであって、
前記カレンダー用紙を保持可能な台紙と、
前記台紙に接着され前記カレンダー用紙よりも厚い弾性を有する板状樹脂製パッドと、
前記樹脂製パッドに係脱可能な開口部が形成された複数のカレンダー用紙とを備え、
前記開口部が前記樹脂製パッドを圧縮して前記カレンダー用紙を前記樹脂製パッドの外周面に保持可能としたことを特徴とする壁掛け用カレンダー。
【請求項2】
前記カレンダー用紙は月ごとに分けた複数の月カレンダー用紙であり、前記台紙は複数月の月カレンダー用紙を並べて保持可能である請求項1の壁掛け用カレンダー。
【請求項3】
前記月カレンダー用紙は長方形であり、前記樹脂製パッドは各月カレンダー用紙の上部を係止する位置に左右一対設けられている請求項2の壁掛け用カレンダー。
【請求項4】
前記樹脂製パッドは、前記台紙に接着固着された所定厚さの円板であり、前記開口部は前記樹脂製パッドの外径より僅かに小径の円形である請求項1の壁掛け用カレンダー。
【請求項5】
台紙の裏側に取り付けた袋を備え、前記台紙の表側に保持しない月カレンダー用紙を、前記袋に収容可能にした請求項2の壁掛け用カレンダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、選択したカレンダー用紙を台紙に着脱可能に保持する壁掛け用カレンダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
縦長の台紙に、例えば3ヶ月分の月カレンダー用紙を保持可能にした壁掛け用のカレンダーが公知である。特許文献1には、複数月の月カレンダー1〜3を台紙4に取り付けた保持部5に取り外し可能に保持するものが開示されている。ここに保持部5として、台紙4に入れた切り込みにより折り起こした引掛け用フック、台紙とは別体のS字状とした紙製の引掛け用フック(
図5)などが開示されている。
【0003】
特許文献2には、1月のカレンダー用紙を切り離すとその下から4月のカレンダー用紙が現れ、2月のカレンダー用紙を切り離すとその下から5月のカレンダー用紙が現れる、というようにカレンダー用紙を切り離す度に3ヶ月後の月カレンダー用紙が現れるようにして、3ヶ月分の月カレンダー用紙が常に現れるようにしたものが開示されている。
【0004】
また特許文献3には、台紙に入れた切り込み線でフックを表側に折り起こし、このフックの折り線を上下方向(荷重方向)として垂直方向の荷重に強い構造にすると共に、このフックの上縁を手前側が奥側よりも高くなるように傾斜させることにより、カレンダー用紙が手前側に落ちないようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−196963号公報
【特許文献2】特開2013−119185号公報
【特許文献3】特許5849347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1、3に開示された台紙に入れた切り込み線により折り起こしたフックでは、フックの組み立てが面倒である。また、フックの台紙表面側への突出量が大きくなってカレンダーを折り畳んで収納する際に大型化し不便である。さらにこの折り起こしたフックでは、フックの強度を十分に確保してフックが変形しないようにするために台紙を厚くする必要があり、台紙を含む全体の重量が増大するという問題もある。
【0007】
特許文献1にはS字状の紙製フックを用いることが示されているが(
図5、9、段落00022、0025)、このようなフックは実際上強度が不十分になりやすく、耐久性が劣る恐れが有る。さらにフックの突出量が大きいと、このフックが指先や衣服が引っ掛かってフックが脱落したり変形したりする恐れが有るだけでなく、指先や衣服を傷める恐れもある。特にフックが脱落変形すると、月カレンダー用紙を正しく引っ掛けることができなくなり、月カレンダー用紙が脱落し易くなったりカレンダー自身が使えなくなったりする恐れが有る。また月カレンダー用紙はフックに吊り下がっているから、風が当たると月カレンダー用紙が揺れてフックから脱落し易い、という問題もある。
【0008】
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、
a)フックの組み立て作業が不要になり、フックの台紙表面からの突出量を小さくして台紙を折り畳んで収納したり運搬し易くすることができ、
b)フックに指先や衣服を引っ掛けてフックや指先、衣服を傷める恐れが無く、
c)フックの強度を確保するために台紙を厚くする必要を無くし、軽量化に適し、
d)カレンダー用紙を台紙にしっかりと保持することができ、風などにより月カレンダー用紙が揺れてフックから外れて落下する防ぐことができる、
壁掛け用カレンダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によればこの目的は、複数のカレンダー用紙から選択したカレンダー用紙を台紙に着脱可能に保持する壁掛け用カレンダーであって、前記カレンダー用紙を保持可能な台紙と、前記台紙に接着され前記カレンダー用紙よりも厚い弾性を有する板状樹脂製パッドと、前記樹脂製パッドに係脱可能な開口部が形成された複数のカレンダー用紙とを備え、前記開口部が前記樹脂製パッドを圧縮して前記カレンダー用紙を前記樹脂製パッドの外周面に保持可能としたことを特徴とする壁掛け用カレンダー、により達成される。
【発明の効果】
【0010】
a)樹脂製パッドは台紙の表面に予め固定(接着)しておくので、フックを組み立てる必要が無くなり、このパッドは板状で台紙からの突出量が僅かであるから、台紙を折り畳んで収納や運搬するのに都合が良い。
b)パッドは台紙の表面から大きく突出していないから、ここに指先や衣服を引っ掛ける恐れが無い。
c)パッドは台紙に接着する(貼り付ける)だけであるから、台紙を厚くする必要が無く、軽量化に適する。
d)パッドの外周面で月カレンダー用紙を保持するから、月カレンダーの揺れを少なくし、風で揺れて落下することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】同じく月カレンダー用紙の装着工程を示す工程図
【発明を実施するための形態】
【0012】
台紙の形状は長方形などとすることが多いが、矩形に限られず円形、楕円形、星形などであってもよい。この台紙に保持するカレンダー用紙の形状も任意に設定可能である。例えば長方形、円形、ハート型、星形などでもよい。請求項1に記載の発明では台紙に選択したカレンダー用紙を保持する構成に特徴が有るのであって、台紙やカレンダー用紙の形状を限定するものではない。またこのカレンダー用紙には一ヶ月分のカレンダーを印刷したもの(月カレンダー用紙)だけでなく、一枚のカレンダー用紙に複数ヶ月分を印刷したものであってもよい。
【0013】
前記カレンダー用紙は月ごとに分けた複数の(12枚の)月カレンダー用紙とした場合には、前記台紙は複数月の月カレンダー用紙を重なることなく並べて保持可能な形状とすることができる(請求項2)。この台紙は縦長として少なくとも3ヶ月の連続する月カレンダー用紙(3枚の月カレンダー用紙)を上下に並べて保持可能とすることができる。この場合には3ヶ月分のカレンダーを同時に対比して予定などを確認することができて便利である。
【0014】
この縦長の台紙は、複数の横長の台紙素体を上下に折り込み可能に繋いだものとし、各台紙素体にそれぞれ1枚の月カレンダー用紙を保持可能とすることができる。この場合は縦長の台紙を各月間で折って小さく折り畳むことができ、収納や移動に便利である。例えば各台紙素体間をコイル状に巻いたヒンジで連結することができる。
【0015】
この発明は横長の台紙に縦長の月カレンダー用紙を左右に並べて係止するものであっても良い。台紙には3ヶ月分に限らず2ヶ月あるいは4ヶ月以上の複数の月カレンダー用紙を着脱するものを含む。前記月カレンダー用紙を長方形とする場合は、前記樹脂製パッドは各月カレンダー用紙に対して上部を係止する位置に左右一対設けるのがよい(請求項3)。この時は各月カレンダー用紙を左右二カ所で吊ることになり、月カレンダー用紙が揺動せずに安定し、保持強度が増大する。
【0016】
前記樹脂製パッドは、前記台紙に接着固着された所定厚さの円板とし、前記開口部は前記樹脂製パッドの外径より僅かに小径の円形とすることができる(請求項4)。このようにパッドおよび開口部を円形にすれば、これらの加工が容易であり、制作能率が向上する。ここにパッドの厚さは、月カレンダー用紙の開口部を係合させた状態で開口部の内周縁がパッドの外周面を僅かに圧縮して保持され、月カレンダー用紙をしっかりと保持できる厚さとする必要がある。
【0017】
例えばパッドとして適切な弾性を持つ発泡ポリエチレンを使う場合には、パッドの外径を15.5mm、厚さを4mmとし、開口部の内径を15mmとするのが望ましい。パッドの厚さを2mmにすると弱い風で月カレンダー用紙が揺れパッドから外れやすく、厚さを6mmにするとこのパッドから月カレンダー用紙を外しにくくなりこの時に開口部を傷める恐れが生じる。またパッドの硬さにも依るが、一般的にパッドの外径を開口部の内径より過大に大きくすると月カレンダー用紙の着脱時に開口部を傷める恐れが生じ、反対に過小にすると月カレンダー用紙の保持力が減少したり、パッドと台紙の接着強度が減少することになる。
【0018】
月カレンダー用紙は長方形以外の任意形状としてもよく、例えば円形、楕円形、ハート型、星形、等であってもよい。これらの場合には、各月カレンダー用紙に設けた1つの開口部が台紙に接着固定した1つの樹脂製パッドに保持するようにしてもよい。また使用者の好みの形状とした月カレンダー用紙を選定して使用でき、使用者の好みに応じた興趣に富んだカレンダーとすることが可能である。
【0019】
なお台紙の表に保持しない他の月カレンダー用紙は、台紙の裏側など収容するようにするのが良い。例えば台紙の裏側に取り付けた袋に、台紙の表側に使用してない月カレンダー用紙を収容しておけば、月カレンダー用紙を容易に収納でき、また紛失したり折り曲げたりする恐れが無く、便利である(請求項5)。
【実施例1】
【0020】
図1において、符号10は3ヶ月表示の壁掛け用カレンダーであり、このカレンダー10は、台紙12に3ヶ月分の月カレンダー用紙を着脱可能に保持したものである。この台紙12は3枚の台紙素体14(14A、14B、14C)をヒンジ16(16A、16B)で上下につないだものである。ここにヒンジ16は例えばコイル状に巻いた金属製あるいは樹脂製のワイヤーを用いたものとすることができる。
【0021】
このヒンジ16は他の構成としてもよい。例えば、金属あるいは樹脂製のワイヤーを長手方向に多数のリングが並ぶように折曲し、隣接する各リングの開口部が互いに噛み合うように形成して、各リングをワイヤーの弾性に抗して開くことにより台紙素体14を着脱可能にすることができる。またヒンジ16は、細ひもで連結したもの、柔軟な接着テープで連結したもの、などであってもよい。台紙12の全体形状は縦長の長方形であり、台紙素体14は横長の長方形である。
【0022】
18(18A、18B、18C)は月カレンダー用紙であり、台紙素体14よりやや小さい横長の長方形であり、12ヶ月に対応して各月のカレンダーが別々に印刷された12枚で構成される。3枚の月カレンダー用紙18が3枚の台紙素体14にそれぞれ保持され、3ヶ月表示の壁掛け用カレンダーとなる。なお台紙12の上縁には、前記ヒンジ16と同じ外径の金属や樹脂のワイヤーをコイル状に巻いた縁材19が取り付けられ、この縁材19にはこのカレンダー10を壁に吊るための針金製のフック20が取り付けられている。
【0023】
次に月カレンダー用紙18を台紙12に取り付けるための機構を説明する。22は弾性を有する樹脂製のパッドであり、この実施例では発泡ポリエチレン製の厚さ約6mmのシートから直径約15.5mmの円形に打ち抜いたものである。パッド22は、各月カレンダー用紙18の上部隅付近に対応する各台紙素体14の表面位置に左右一対接着固定されている。例えばパッド22となるシートの一端面には、接着剤が塗布され、この接着剤層は剥離シートで被覆されている。そしてこのパッド22を前記所定位置に接着する際に剥離シートを剥がして台紙素体14に接着すればよい。
【0024】
一方、各月カレンダー用紙18には、これら一対のパッド22に対応する位置(上部の左右の隅付近)に開口部24が設けられている。この開口部24はパッド22の外径よりも僅かに小さい口径の円形である。例えば15mmの円形である。
【0025】
図3は開口部24をパッド22に保持する工程を示し、同図(a)は開口部24をパッド22に係合させて保持する前の状態を示す。同図(b)は開口部24をパッド22の前端面(表面側に現れている端面)に押しつけている状態を示している。すなわち開口部24の内周縁をパッド22の前端側の周縁に掛けて開口部24の周縁部を指先でパッド22側に押しつける。この時、開口部24の内径はパッド22の外径よりも僅かに小さいから、開口部24はパッド22を圧縮することになる。
【0026】
同図(c)は、このようにして開口部24の内周縁をパッド22の外周面に係合させて月カレンダー用紙18をパッド22に保持した状態を示している。この時指先で開口部24の周縁を台紙12側に押しこむことにより、パッド22の台紙12側に近い位置に保持することができ、月カレンダー用紙18をしっかりとこのパッド22に保持することができる。
【0027】
また月カレンダー用紙18を台紙12から取り外す時は、月カレンダー用紙18の下部を台紙から剥がすように引き上げれば、開口部24はパッド22から外れて月カレンダー用紙18は交換可能になる。
【0028】
月カレンダー用紙18は、台紙12の前面に保持したもの(
図1では1,2,3月のもの)以外のもの(4〜12月のもの)は、
図2に示すように、台紙12の裏に貼り付けた袋26に収納可能となっている。すなわちこの袋26は台紙素体14Aの裏に取り付けられ、その横方向に開く開口28から月カレンダー用紙18を挿入または引き出すことができる。このため前面に使っていない月カレンダー用紙18はこの袋26に収納できるので、収納に便利である。
【0029】
なお、この実施例では台紙素体14Aの上縁にはコイル状の縁材19が取り付けられ、このコイル径はヒンジ16の外径とほぼ同一とされている。このため、台紙素体14Aの裏面と壁との間に間隙ができ、この間隙に袋26が収まるようになり、台紙素体14Aの位置が安定する。
【実施例2】
【0030】
図4は横長の台紙50に3ヶ月分の月カレンダー用紙52を保持するものである。ここに各月カレンダー用紙52は縦長であり、これらの上部が左右一対の弾性を有する樹脂製パッド54に着脱可能である。ここにパッド54の外径は月カレンダー用紙52の開口部56の内径より僅かに大きく設定され、前記実施例1と同様に着脱される。
【実施例3】
【0031】
図5は、縦長の台紙60に適宜の位置にパッド62を接着固定し、このパッド62に着脱するカレンダー用紙64を任意の形状にしたものである。例えばハート型のカレンダー用紙64A、星形のカレンダー用紙64B、円形状のカレンダー用紙64C、などである。これらのカレンダー用紙にはパッド62に係脱する開口部66が適宜の位置に設けられている。
【符号の説明】
【0032】
10 カレンダー
12、50、60 台紙
14(14A〜14C) 台紙素体
16(16A、16B) ヒンジ
18、52、64 月カレンダー用紙
19 縁材
20 フック
22、54、62 パッド
24、56、66 開口部
26 袋
28 開口