(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0015】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。以下の説明は、入力検出装置として、タッチ検出機能付き液晶表示装置を例として述べるが、これに限定されるものではない。例えば、入力検出装置は、タッチ検出機能付きOLED表示装置でもよいし、表示機能を有していないタッチパネル等であってもよい。
【0016】
(実施の形態1)
実施の形態1では、ペンによるタッチと指によるタッチの両方を検出することが可能なタッチ検出機能付き液晶表示装置(以下、表示装置とも称する)が提供される。先ず、表示装置の基本的な構成を説明し、次に、この基本的な構成を基にして、ペンによるタッチを検出する磁界検出(以下、磁界タッチ検出とも称する)および指によるタッチを検出する電界検出(以下、電界タッチ検出とも称する)の原理を説明する。
【0017】
<表示装置の基本的な構成>
図1は、表示装置の構成を模式的に示す図である。
図1において、1は、表示装置を示しており、
図1(A)は、表示装置1の平面を示す平面図であり、
図1(B)は、表示装置1の断面を示す断面図である。表示装置1は、TFT(Thin Film Transistor)ガラス基板(以下、絶縁性第1基板または単に第1基板とも称する)TGBと、第1基板TGBに積層されたレイヤ(層)、カラーフィルタCFT、CF(Color Filter)ガラス基板(以下、絶縁性第2基板または単に第2基板とも称する)CGBおよび第2基板CGBに積層されたレイヤ(層)を備えている。
【0018】
図1(A)において、TL(0)〜TL(p)は、第1基板TGBの第1主面TSF1に形成されたレイヤによって構成された駆動電極を示している。また、RL(0)〜RL(p)は、第2基板CGBの第1主面CSF1に形成されたレイヤによって構成された検出電極を示している。理解を容易にするために、
図1(A)では、第1基板TGBと第2基板CGBとが分離して、描かれているが、実際には、
図1(B)に示すように、液晶層を挟んで、第1基板TGBの第1主面TSF1と第2基板CGBの第2主面CSF2とが対向するように配置されている。
【0019】
第1基板TGBの第1主面TSF1と、第2基板CGBの第2主面CSF2との間には、複数のレイヤと、液晶層等が挟まれているが、
図1(B)では、第1主面TSF1と第2主面CSF2との間に挟まれた駆動電極TL(0)〜TL(n+2)、液晶層およびカラーフィルタCFTのみが示されている。また、第2基板CGBの第1主面CSF1には、
図1(A)に示すように複数の検出電極RL(0)〜RL(p)と偏光板が配置されている。また、
図1(B)において、13は検出電極RL(n)に接続された単位検出回路を示している。
【0020】
本明細書では、表示装置1を、
図1(B)に示すように、第2基板CGBおよび第1基板TGBの第1主面CSF1、TSF1側から見たときの状態を、平面視として説明する。第1主面CSF1およびTSF1側から、平面視で見たとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、第1基板TGBの第1主面TSF1において、
図1(A)に示すように、行方向(横方向)に延在し、列方向(縦方向)に平行に配置されている。また、検出電極RL(0)〜RL(p)は、第2基板CGBの第1主面CSF1において、
図1(A)に示すように、列方向(縦方向)に延在し、行方向(横方向)に平行に配置されている。
【0021】
駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)の間には、第2基板CGB、液晶層等が介在している。そのため、駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)は、平面視で見たときには、交差しているが、互いに電気的に分離されている。駆動電極と検出電極との間には、容量が存在するため、
図1(B)では、この容量が容量素子として破線で示されている。
【0022】
駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)とは、平面視で見たとき、直交していることが望ましいが、平面視で見たときに、駆動電極と検出電極とは傾きを持って交差していてもよい。そのため、以下の説明で用いる「直交」は「交差」も含むものと理解されるべきである。
【0023】
<磁界検出の原理>
図2は、磁界検出の原理を示す説明図である。磁界検出の期間は、磁界を発生する磁界発生期間と磁界を検出する磁界検出期間とによって構成される。
図2(A)および(C)は、磁界発生期間のときの動作を示しており、
図2(B)は、磁界検出期間のときの動作を示している。説明の都合上、
図2(A)〜(C)は、
図1(A)を90度回転させた状態が示されている。
【0024】
磁界発生期間においては、駆動電極TL(0)〜TL(p)のうち、所定の駆動電極間の端部が、電気的に接続され、端部が接続された駆動電極に、所定の電圧(例えば接地電圧Vs)と磁界駆動信号が供給される。例えば、
図1に示した駆動電極TL(0)およびTL(2)のそれぞれの端部のうち、他方の端部が、
図1の右側において電気的に接続される。これにより、互いに平行に配置されている駆動電極TL(0)およびTL(2)が、直列的に接続される。駆動電極TL(0)の一方の端部に、
図1の左側において、接地電圧Vsを供給し、駆動電極TL(2)の一方の端部に、
図1の左側において、磁界駆動信号を供給する。ここで、磁界駆動信号は、その電圧が周期的に変化する信号である。駆動電極TL(0)およびTL(2)により、この駆動電極により挟まれた領域(形成された領域)を内側とした磁界発生コイルが構成され、この磁界発生コイルは、磁界駆動信号の電圧の変化に応じた磁界を、その内側で発生する。
【0025】
図2(A)において、GX(n−1)は、駆動電極TL(0)、TL(2)によって構成された磁界発生コイルを示し、GX(n)〜GX(n+4)のそれぞれは、磁界発生コイルGX(n−1)と同様に、駆動電極TL(1)、TL(3)〜TL(p)によって構成された磁界発生コイルを示している。
【0026】
図2(A)において、CおよびL1は、ペンPenに内蔵されている容量素子およびコイルを示している。容量素子CとコイルL1は、共振回路を構成するように、並列接続されている。磁界発生期間において、磁界発生コイルGX(n−1)〜GX(n+3)のそれぞれの一方の端部には、接地電圧Vsが供給される。磁界駆動信号CLKが、磁界発生コイルGX(n)の他方の端部に供給される。これにより、磁界発生コイルGX(n)が、磁界駆動信号CLKの電圧変化に応じた磁界φ1を発生する。ペンPenが、磁界発生コイルGX(n)に近接していれば、磁界発生コイルGX(n)とコイルL1との間は電磁結合され、磁界φ1によってコイルL1に相互誘導による誘起電圧が発生し、容量素子Cが充電される。
【0027】
次に、
図2(B)に示す磁界検出期間に移行する。磁界検出期間においては、検出電極RL(0)〜RL(p)を用いて、磁界の検出が行われる。検出電極RL(0)〜RL(p)は一対の端部を有している。検出電極RL(0)〜RL(p)のうち、所定の検出電極間の他方の端部が、互いに電気的に接続される。例えば、
図1に示した検出電極RL(0)とRL(3)のそれぞれの他方の端部が、
図1の上側において電気的に接続される。これにより、平行に配置された検出電極RL(0)、RL(3)が直列的に接続される。磁界検出期間においては、検出電極RL(3)の一方の端部に所定の電圧Vsが供給され、検出電極RL(0)の一方の端部が、単位検出回路に接続される。これにより、検出電極RL(0)とRL(3)とによって挟まれた領域(形成された領域)を内側とした磁界検出コイルが形成され、この磁界検出コイルによって、ペンPenからの磁界の検出が行われる。
【0028】
図2(B)において、DY(n−2)は、検出電極RL(0)、RL(3)によって構成された磁界検出コイルを示しており、DY(n−1)〜DY(n+1)は、同様に検出電極RL(2)〜RL(p)によって構成された磁界検出コイルを示している。磁界検出期間のとき、磁界検出コイルDY(n−1)〜DY(n+1)のそれぞれの一方の端部に、所定の電圧Vsが供給され、それぞれの他方の端部における信号Rx(n−2)〜Rx(n+1)が、単位検出回路に供給される。
【0029】
磁界発生期間において、容量素子Cに充電が行われていれば、磁界検出期間のとき、コイルL1は、容量素子Cに充電されている電荷に従って、共振回路の共振周波数に応じて変化する磁界φ2を発生する。
図2(B)では、磁界検出コイルDY(n)の内側に、コイルL1の中心(一点鎖線)が存在している。そのため、磁界検出コイルDY(n)とコイルL1との間で電磁結合が発生し、相互誘導によって、磁界検出コイルDY(n)に誘起電圧が発生する。その結果、磁界検出コイルDY(n)の他方の端部における信号Rx(n)は、容量素子Cに充電されている電荷量に応じて変化することになる。磁界検出コイルDY(n)に接続された単位検出回路は、この信号Rx(n)の変化を検出信号として出力する。これにより、ペンPenが近接(タッチ)しているか否か、および座標を抽出することが可能となる。また、電荷量に応じて検出信号が変化するため、ペンPenとの距離を求めることが可能となる。
【0030】
図2(C)は、
図2(B)に続いて移行した磁界発生期間を示している。
図2(A)と異なるのは、磁界発生コイルGX(n+1)に磁界駆動信号CLKが供給されていることである。ペンPenの位置は変化していないため、
図2(C)に示した磁界発生期間においては、コイルL1に誘起電圧が発生せず、容量素子Cは充電されない。これにより、
図2(C)に続いて移行する磁界検出期間においては、ペンPenが近接していないと検出される。以降、同様にして、ペンPenの検出が行われる。
【0031】
<電界検出の原理>
図3は、電界検出の原理を示す説明図である。
図3(A)において、12−0〜12−pのそれぞれは、電界駆動信号を出力する単位駆動回路を示し、13−0〜13−pのそれぞれは、単位検出回路を示している。また、
図3(A)において、実線の○で囲んだパルス信号は、駆動電極TL(2)へ供給される電界駆動信号Tx(2)の波形を示している。外部物体として、指がFGとして示されている。
【0032】
駆動電極TL(2)に、電界駆動信号Tx(2)が供給されると、
図3(B)に示すように、駆動電極TL(2)と、この駆動電極TL(2)と直交する検出電極RL(n)との間で電界が発生する。このとき、指FGが、駆動電極TL(2)の近傍をタッチしていると、指FGと駆動電極TL(2)との間でも電界が発生し、駆動電極TL(2)と検出電極RL(n)との間で発生している電界が減少する。これにより、駆動電極TL(2)と検出電極RL(n)との間の電荷量が減少する。その結果、
図3(C)に示すように、駆動信号Tx(2)の供給に応答して生じる電荷量は、指FGがタッチしているときは、タッチしていないときに比べてΔQだけ減少する。電荷量の差は、電圧の差として表れ、単位検出回路13−nに供給され、検出信号として出力される。
【0033】
他の駆動電極についても、同様にして、電界駆動信号を供給することにより、指FGがタッチしているが否かに応じた信号の電圧変化が、検出電極RL(0)〜RL(p)に生じ、検出信号として出力されることになる。これにより、指FGがタッチしているか否か、および座標を抽出することが可能となる。
【0034】
上記したように、磁界検出の際には、駆動電極TL(0)〜TL(p)のうち、選択された駆動電極に磁界駆動信号が供給され、電界検出の際には、選択された駆動電極に電界駆動信号が供給される。一方、表示の際には、駆動電極TL(0)〜TL(p)に、表示駆動信号が供給される。表示駆動信号によって、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれは、同じ電圧とされるため、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、1個の共通電極と見なすことができる。
【0035】
<表示装置の全体構成>
図4は、実施の形態1に係わる表示装置1の構成を示すブロック図である。
図4において、表示装置1は、表示パネル(液晶パネル)、制御装置3、ゲートドライバ4およびタッチ制御装置5を備えている。また、表示装置1は、選択駆動回路SDL、SDRおよび検出回路DETを備えている。表示パネルは、表示を行う表示領域(表示部)と周辺領域(周辺部)とを備えている。表示と言う観点で見た場合、表示領域はアクティブ領域であり、表示領域を包囲する周辺領域は非アクティブ領域である。
図4では、2が、表示領域を示している。
【0036】
表示領域2は、複数の画素が行列状に配置された画素配列を有している。画素配列には、複数の信号線、複数の駆動電極、複数の走査線および複数の検出電極が配置されている。
図4を参照して述べると、画素配列において、信号線SL(0)〜SL(p)は、縦方向(列方向)に延在し、横方向(行方向)に平行に配置されている。また、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている。さらに、走査線は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置され、検出電極は、縦方向に延在し、横方向に平行に配置されている。この場合、画素は、かかる複数の信号線と複数の走査線とが交差することにより形成される空間に配置されている。表示の期間(表示期間)においては、信号線と走査線により、画素が選択され、選択された画素には、そのときの信号線の電圧と、駆動電極の電圧が印加され、信号線と駆動電極との間の電圧差に従った表示が行われる。
【0037】
制御装置3は、外部端子Ttに供給されるタイミング信号と入力端子Tiに供給される画像情報とを受け、表示期間のとき、画像情報に従った画像信号を形成し、複数の信号線SL(0)〜SL(p)に供給する。また、制御装置3は、外部端子Ttに供給されるタイミング信号とタッチ制御装置5からの制御信号SWとを受け、種々の信号を形成する。
図4には、制御装置3により形成される信号のうち、説明に必要な信号のみが、代表として描かれている。すなわち、制御装置3は、同期信号TSHDおよび制御信号CNTL、CNTRを形成する。また、特に制限されないが、制御装置3は、駆動信号TPL、TSVを形成する。すなわち、制御装置3は駆動信号TPL、TSVを形成する駆動信号回路6を含む。
【0038】
同期信号TSHDは、表示領域2において表示を行う表示期間とタッチ検出(磁界タッチ検出および電界タッチ検出)を行うタッチ検出期間とを識別する同期信号である。制御装置3は、この同期信号TSHDによって、タッチ制御装置5が、タッチ検出期間の際に動作するように制御する。
【0039】
ゲートドライバ4は、表示のとき、制御装置3からのタイミング信号に従って走査線信号Vs0〜Vspを形成し、表示領域2内の走査線に供給する。表示期間においては、ハイレベルの走査線信号が供給されている走査線に接続されている画素が選択され、選択された画素は、そのとき信号線SL(0)〜SL(p)に供給されている画像信号に従った表示を行う。
【0040】
検出回路DETは、磁界タッチ検出および電界タッチ検出の際に、検出電極RL(0)〜RL(p)における信号の変化を検出し、検出信号Rx(0)〜Rx(p)として出力する。
【0041】
タッチ制御装置5は、検出信号Rx(0)〜Rx(p)を受け、タッチされた位置の座標を抽出し、外部端子Toから出力する。また、タッチ制御装置5は、制御信号SWを出力するとともに、同期信号TSHDを受け、表示制御装置3に同期して動作する。
【0042】
表示領域2は、画素配列の行に平行した辺2−U、2−Dと、画素配列の列に平行した辺2−R、2−Lを有している。ここで、辺2−Uと辺2−Dは、互いに対向した辺であり、この2辺の間に、画素配列における複数の駆動電極と複数の走査線が配置されている。また、辺2−Rと辺2−Lも、互いに対向した辺であり、この2辺の間に、画素配列における複数の信号線と複数の検出電極が配置されている。
【0043】
選択駆動回路SDL、SDRは、選択回路SELL、SELRおよび駆動回路DRVL、DRVRを備えている。選択回路SELL、SELRは、制御信号CNTL、CNTRに基づいて、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)から、駆動電極を選択する選択信号を形成する。
【0044】
図4において、TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRのそれぞれは、信号配線を示している。信号配線TPLLおよびTSVLは、表示領域2の辺2−Lに沿って延在しており、駆動回路DRVLを貫通している。同様に、信号配線TPLRおよびTSVRは、表示領域2の辺2−Rに沿って延在しており、駆動電極DRVRを貫通している。駆動回路DRVLは、選択回路SELLに対応しており、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、選択回路SELLからの選択信号によって指定された駆動電極を、信号配線TPLLまたはTSVLに接続する。同様に、駆動回路DRVRは、選択回路SELRに対応しており、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、選択回路SELRからの選択信号によって指定された駆動電極を、信号配線TPLRまたはTSVRに接続する。
【0045】
制御装置3に備えられた駆動信号回路6によって形成された駆動信号TPLおよびTSVが、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRのそれぞれの端部に供給される。後で詳しく説明するが、磁界タッチ検出のときには、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRを伝搬している駆動信号TPLおよびTSVが、駆動回路DRVL、DRVRを介して、選択された駆動電極に供給され、磁界が発生する。また、電界タッチ検出の際には、信号配線TSVL、TSVRを伝搬している駆動信号TSVが、駆動回路DRVL、DRVRを介して、選択された駆動電極に供給され、電界が発生する。また、本明細書においては、信号配線TPLL、TPLRを第1信号配線(または第2信号配線)、信号配線TSVL、TSVRは第2信号配線(または第1信号配線)とも称する場合がある。
【0046】
<表示装置1のモジュール構成>
図5は、表示装置1を実装したモジュール500の全体構成を示す模式的な平面図である。模式的ではあるが、
図5は、実際の配置に合わせて描かれている。同図において、501は、
図1で示した第1基板TGBの領域を示し、502は、第1基板TGBと第2基板CGBとが積層された領域を示している。モジュール500において、第1基板TGBは、領域501と502において一体となっている。また、領域502では、第1基板TGBの第1主面TSF1と第2基板CGBの第2主面CSF2とが対向するように、第1基板TGBに第2基板CGBが搭載されている。
図5において、500−U、500−Dは、モジュール500の短辺を示しており、500−L、500−Rは、モジュール500の長辺を示している。
【0047】
領域502であって、表示領域2の辺2−Lとモジュール500の長辺500−Lとの間の領域には、
図4で示したゲートドライバ4、選択駆動回路SDLが配置されている。表示領域2の辺2−Rとモジュール500の長辺500−Rとの間の領域には、
図4で示した選択駆動回路SDRが配置されている。表示領域2の辺2−Dとモジュール500の短辺500−Dとの間の領域には、
図4で示した検出回路DETおよび制御装置3が配置されている。検出回路DETは、領域501の第1基板TGBの第1主面TSF1に形成された配線および部品により構成されている。平面視で見たとき、検出回路DETを覆うように、制御装置3が、第1基板TGBに実装されている。また、選択駆動回路SDL、SDRを構成する配線および部品も、領域502における第1基板TGBの第1主面TSF1に形成されている。
【0048】
図4において説明した検出信号Rx(0)〜Rx(p)は、フレキシブルケーブルFB1内の配線を介して、タッチ制御装置5に供給される。領域501には、フレキシブルケーブルFB2が接続されており、このフレキシブルケーブルFB2に設けられたコネクタCNを介して、タッチ制御装置5と制御装置3との間で信号の送受信が行われる。
【0049】
表示領域2には、既に述べたように、複数の画素が行列状に配列された画素配列を有しており、画素配列の行に沿って配置された複数の駆動電極TL(0)〜TL(p)および走査線と、画素配列の列に沿って配置された複数の信号線SL(0)〜SL(p)と複数の検出電極RL(0)〜RL(p)とを備えている。
図5には、例として、2個の駆動電極TL(n)、TL(m)と2個の信号線SL(k)、SL(n)と3個の検出電極RL(n−2)〜RL(n)が示されている。
図5では、横方向が、画素配列の行方向であり、縦方向が、画素配列の列方向である。そのため、例示した駆動電極TL(n),TL(m)は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている。また、例示した信号線SL(k)、SL(n)は、縦方向に延在し、横方向に平行に配置され、例示した検出電極RL(n−2)〜RL(n)のそれぞれは、縦方向に延在し、横方向に平行に配置されている。なお、
図5では走査線は、省略されているが、走査線は、例示した駆動電極TL(n)、TL(m)と平行して、延在している。
【0050】
また、
図5には、画素配列が、破線PDMとして示されており、画素配列PDMに配置されている複数の画素のうち、表示領域2の4個の角に配置されている画素と、例示した駆動電極および信号線との交差部に配置された画素領域が、Pixとして示されている。
【0051】
図4に示した信号配線TPLLおよびTSVLのそれぞれは、モジュール500の長辺500−Lと表示領域2の辺2−Lとの間の領域において、縦方向(画素配列の列方向)に延在している。同様に、信号配線TPLRおよびTSVRのそれぞれは、モジュール500の長辺500−Rと表示領域2の辺2−Rとの間の領域において、縦方向(画素配列の方向:第1方向)に延在している。駆動電極TL(0)〜TL(p)の延在方向、すなわち、横方向を第2方向として見た場合、この第2方向と直交(交差を含む)する第1方向に、信号線SL(0)〜SL(p)、検出電極RL(0)〜RL(p)および信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRが延在することになる。このとき、省略されている走査線は、第2方向に沿って延在していることになる。
【0052】
図4では、制御装置3が、駆動信号TPLおよびTSVを形成する例を示したが、これに限定されず、他の回路ブロック等によって形成してもよい。他の回路ブロックで形成する場合、例えば、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRは、第1基板TGBの第1主面TSF1において、フレキシブルケーブルFB2内の配線に接続され、他の回路ブロックに接続される。
図5において、制御装置3に示した破線は、他の回路ブロックによって、駆動信号TPL、TSVを形成する場合を示している。すなわち、他の回路ブロック(駆動信号回路)によって形成された駆動信号を伝達する信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRにおいて、制御装置3により覆われている部分が、破線として示されている。
【0053】
<磁界発生期間の概要>
駆動電極を用いて磁界検出を行う場合の原理を、
図2で説明した。理解を容易にするために、
図2では、駆動電極間を電気的に接続することにより、磁界発生コイルを構成する例を示した。本発明者らは、駆動電極間を電気的に接続せずに、磁界を発生する構成を考え、表示装置1に適用している。表示装置1のより具体的な説明をする前に、本発明者らが考えた磁界発生を、説明しておく。
【0054】
図6は、磁界発生期間の動作を説明するための平面図である。
図6において、TL(n−4)〜TL(n+5)は、駆動電極を示している。駆動電極TL(n−4)〜TL(n+5)は、平面視で見たとき、互いに平行に配置されており、それぞれの駆動電極が、一対の端部n1、n2を備えている。ここで、駆動電極TL(n−4)〜TL(n+5)は、それぞれの一方の端部n1が、表示領域2の辺2−Lに沿い、それぞれの他方の端部n2が、表示領域2の辺2−Rに沿うように配置されている。
【0055】
ここでは、駆動電極TL(n)の領域において、ペンPen(
図2)がタッチしているか否かを検出する磁界タッチ検出の期間(以下、磁界タッチ検出期間とも称する)を例にして説明する。この磁界タッチ検出期間において、磁界発生期間のとき、
図6(A)に示す駆動状態と
図6(B)に示す駆動状態が、1回を含む複数回路発生するように、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)およびTL(n+1)〜TL(n+3)が駆動される。
【0056】
磁界発生期間のとき、平面視において、磁界を発生する駆動電極TL(n)の領域を、その間に挟むように配置された一対の駆動電極が選択され、選択された一対の駆動電極において流れる電流の方向が反対になるように、駆動電極が駆動される。
図6においては、平面視において、隣り合った3個の駆動電極が、束とされ、束の駆動電極(以下、束駆動電極とも称する)が、対を構成する駆動電極として用いられている。すなわち、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)が束とされ、束駆動電極が構成され、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)が束とされ、束駆動電極が構成されている。
【0057】
図6(A)では、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)の一方の端部n1に、接地電圧のような第1電圧Vsが供給され、その他方の端部n2に、第1電圧Vsよりも絶対値の大きな第2電圧Vdが供給される。これにより、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)のそれぞれにおいて、他方の端部n2から一方の端部n1へ向かう方向の電流I1が流れることになる。その結果、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)によって構成された束駆動電極は、
図6(A)に破線で示す方向の磁界φ11を発生することになる。このとき、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)では、その一方の端部n1に、第2電圧Vdが供給され、その他方の端部2に、第1電圧Vsが供給される。これにより、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)のそれぞれにおいて、一方の端部n1から他方の端部n2へ向かう方向の電流I2が流れることになる。その結果、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)によって構成された束駆動電極は、
図6(A)に破線で示す方向の磁界φ12を発生することになる。
【0058】
それぞれの束駆動電極が発生した磁界φ11、φ12の方向は、電流I1と電流I2の方向が反対のため、反対となり、駆動電極TL(n)の領域においては重畳されることになるため、この駆動電極TL(n)の領域において、強い磁界を発生することが可能となる。
【0059】
図6(B)では、束駆動電極に供給される電圧が、
図6(A)とは反対となるようにする。すなわち、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)の一方の端部n1に第2電圧Vdが供給され、その他方の端部n2に第1電圧Vsが供給される。このとき、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)の一方の端部n1に第1電圧Vsが供給され、その他方の端部n2に第2電圧Vdが供給される。これにより、駆動電極TL(n−3)〜TL(n−1)を流れる電流の方向が、
図6(A)のときの電流の方向とは反転し、電流I2となる。これにより、発生する磁界の方向も反転し、破線で示す方向の磁界φ12が発生する。同様に、駆動電極TL(n+1)〜TL(n+3)を流れる電流の方向が反転し、磁界の方向も反転して、破線で示す磁界φ11となる。その結果、駆動電極TL(n)の領域において、磁界φ11とφ12とが重畳され、強い磁界が発生することになる。
【0060】
これにより、駆動電極間を電気的に接続しなくても、所望の駆動電極の領域において、強い磁界を発生することが可能となる。なお、
図6では、第1電圧Vsは、0で示され、第2電圧Vdは、+で示されている。
【0061】
磁界発生期間において発生した磁界によって、ペンPenの容量素子に電荷が蓄積され、磁界検出期間において、ペンPenが発生する磁界を、磁界検出コイルで検出するのは、先に
図2を用いて説明したのと同様である。
【0062】
<駆動電極および選択駆動回路SDL、SDRの構成>
磁界発生期間のとき、
図6で説明したように、選択された駆動電極の端部n1、n2に、第1電圧Vsと第2電圧Vdを、交互に供給するよう、
図4に示した駆動回路DRVL、DRVRは、選択回路SELL、SELRによって制御される。このとき、制御装置3は、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを、第1信号配線TPLLおよびTPLRのそれぞれの端部に供給し、第2電圧Vdを有する駆動信号TSVを、第2信号配線TSVL、TSVRのそれぞれの端部に供給する。
【0063】
駆動回路DRVLは、それぞれの駆動電極の一方の端部n1と第1信号配線TPLLとの間に接続された複数の第1スイッチと、それぞれの駆動電極の一方の端部n1と第2信号配線TSVLとの間に接続された複数の第2スイッチによって構成することができる。この場合、対応する選択回路SELLからの選択信号によって、第1スイッチまたは第2スイッチがオン状態(導通状態)となる。これにより、選択された駆動電極の一方の端部n1に、第1電圧Vsまたは第2電圧Vdを供給することができる。同様に、駆動回路DRVRも、それぞれの駆動電極の他方の端部n2と第1信号配線TPLRとの間に接続された複数の第1スイッチと、それぞれの駆動電極の他方の端部n2と第2信号配線TSVRとの間に接続された複数の第2スイッチによって構成することができる。駆動回路DRVRを構成する複数の第1スイッチと第2スイッチを、対応する選択回路SELRからの選択信号によってスイッチング制御することにより、選択された駆動電極の他方の端部n2に第2電圧Vdまたは第1電圧Vsを供給する。
【0064】
本発明者らは、先ず、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれが、互いに同じ抵抗値を有するように、同じ形状にすることを考えた。また、上記した第1スイッチおよび第2スイッチも、互いに同じサイズにすることを考えた。これにより、平面視で見たとき、
図5に示した表示領域2において、同じ形状の駆動電極を繰り返し(周期的に)配置することが可能となる。また、第1スイッチおよび第2スイッチも、同じサイズであるため、同じ形状のスイッチを繰り返し配置することによって、駆動回路DRVL、DRVRを構成することが可能となる。
【0065】
図7は、上記したように構成した場合の駆動回路DRVL、DRVRと駆動電極の構成を示す平面図である。図面が複雑になるのを避けるために、表示領域2において、辺2−Uと辺2−Dとの間に、縦方向に平行に配置された複数の駆動電極TL(0)〜TL(p)が、
図7(A)と
図7(B)に分けて描かれている。ここでは、辺2−U側に近接した駆動電極TL(0)〜TL(n)が、
図7(A)に示され、辺2−D側に近接した駆動電極TL(n+1)〜TL(p)が、
図7(B)に示されている。
図7(A)を
図7(B)の上側に配置することにより、駆動電極TL(0)〜TL(p)の平面図が完成する。
【0066】
図7(A)および(B)において、第1信号配線TPLLと駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの一方の端部n1との間に接続されたスイッチが、駆動回路DRVLを構成する第1スイッチS10Lに該当する。また、第2信号配線TSVLと駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの一方の端部n1との間に接続されたスイッチが、駆動回路DRVLを構成する第2スイッチS11Lに該当する。同様に、
図7(A)および(B)において、第1信号配線TPLRと駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの他方の端部n2との間に接続されたスイッチが、駆動回路DRVRを構成する第1スイッチS10Rに該当する。また、第2信号配線TSVRと駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの他方の端部n2との間に接続されたスイッチが、駆動回路DRVRを構成する第2スイッチS11Rに該当する。なお、
図7では、一部の第1スイッチおよび第2スイッチに対してのみ、符合S10L、S11L、S10R、S11Rが付されている。
【0067】
図7(A)および(B)において、nVL、nVRは、第2信号配線TSVL、TSVRの端部を示しており、nLL、nLRは、第1信号配線TPLL、TPLRの端部を示している。
図5に示したように、制御装置3およびフレキシブルケーブルFB2は、表示領域2の辺2−D側に配置されており、端部nLL、nLR、nVL、nVRは、制御装置3に含まれている駆動信号回路6(
図4)またはフレキシブルケーブルFB2に配置される回路ブロックに接続されている。そのため、平面視で見たとき、
図7に示した駆動電極TL(0)からTL(p)の順に、制御装置3およびフレキシブルケーブルFB2に近づくことになる。例えば、
図7(A)に示した駆動電極TL(0)は、制御装置3およびフレキシブルケーブルFB2から最も離れた位置に配置されていることになり、
図7(B)に示した駆動電極TL(p)は、制御装置3およびフレキシブルケーブルFB2に最も近接した位置に配置されていることになる。
【0068】
磁界発生期間において、制御装置3が、駆動信号回路6を介して第2信号配線TSVL、TSVRの端部nVL、nVRに、第2電圧Vdを有する駆動信号TSVを供給し、第1信号配線TPLL、TPLRの端部nLL、nLRに、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLを供給する。
【0069】
図7(A)には、辺2−U側に近接した駆動電極TL(4)の領域において磁界を発生する場合の第1スイッチS10L、S10Rおよび第2スイッチS11L、S11Rの状態が示されている。これに対して、
図7(B)には、辺2−D側に近接した駆動電極TL(p−4)の領域において磁界を発生する場合の第1スイッチS10L、S10Rおよび第2スイッチS11L、S11Rの状態が示されている。
【0070】
図7において、信号配線TSVL、TSVR、TPLL、TPLR上に示されているRは、それぞれの信号配線に付随する抵抗成分を、分布定数の抵抗として示している。図面が複雑になるのを避けるために、符合Rも、一部の抵抗についてのみ、付されている。
【0071】
図7(A)に示すように、駆動電極TL(4)の領域において磁界を発生するとき、駆動電極TL(1)〜TL(3)の端部n1、n2に接続された第1スイッチS10L、第2スイッチS11Rがオン状態となり、駆動電極TL(5)〜TL(7)の端部n1、n2に接続された第2スイッチS11L、第1スイッチS10Rがオン状態となる。これにより、駆動電極TL(1)〜TL(3)には、駆動電極TL(2)に例示しているような方向の電流I1Fが流れ、駆動電極TL(5)〜TL(7)には、駆動電極TL(6)に例示しているような方向の電流I2Fが流れることになり、駆動電極TL(4)の領域において磁界が発生することになる。
【0072】
同様に、
図7(B)に示すように、駆動電極TL(p−4)の領域において磁界を発生するとき、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)の端部n1、n2に接続された第1スイッチS10L、第2スイッチS11Rがオン状態となり、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)の端部n1、n2に接続された第2スイッチS11L、第1スイッチS10Rがオン状態となる。これにより、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)には、駆動電極TL(p−6)に例示しているような方向の電流I1Nが流れ、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)には、駆動電極TL(p−2)に例示しているような方向の電流I2Nが流れることになり、駆動電極TL(p−4)の領域において磁界が発生することになる。
【0073】
駆動電極TL(p−4)の領域において、磁界を発生する場合、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)は、駆動信号TPL、TSVが供給される信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRに、平面視において近接して接続されるため、これらの駆動電極の端部n1、n2と信号配線の端部との間に接続される抵抗Rは少なくなる。そのため、磁界発生期間において、端部nLL、nLR、nVL、nVRを流れる電流I1NL、I1NR、I2NL、I2Rとほぼ同じ値の電流が、電流I1N、I2Nとして、これらの駆動電極を流れることになる。これに対して、駆動電極TL(4)の領域において、磁界を発生する場合、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)は、信号配線の端部nLL、nLR、nVL、nVRから、平面視において離れて接続されるため、これらの駆動電極の端部n1、n2と信号配線の端部との間に接続される抵抗Rが多くなる。そのため、磁界発生期間において、端部nLL、nLR、nVL、nVRを流れる電流I1NL、I1NR、I2NL、I2Rに比べて小さな値の電流が、電流I1F、I2Fとして、これらの駆動電極を流れることになる。
【0074】
すなわち、駆動信号回路6を備えた制御装置3およびフレキシブルケーブルFB2から駆動電極までの距離によって、駆動信号を供給する信号配線の長さも変わり、駆動信号回路6から駆動電極までの信号配線が長くなるほど、信号線に付与される抵抗Rが増加する。
【0075】
駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)を流れる電流が、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)を流れる電流に比べ、小さくなるため、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)によって発生する磁界が、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)によって発生する磁界に比べて弱くなる。その結果として、駆動電極TL(4)の領域において発生する磁界が、駆動電極TL(p−4)の領域において発生する磁界よりも弱くなる。すなわち、駆動信号回路6に接続された端部nLL、nLR、nVL、nVRから平面視において離れた位置で接続されている駆動電極によって発生する磁界は、端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接した位置で接続されている駆動電極によって発生する磁界よりも弱くなる。言い換えるならば、平面視において、駆動信号回路6が配置される制御装置3およびフレキシブルケーブルFB2から離れた位置に配置されている駆動電極によって発生する磁界は、近接した位置に配置されている駆動電極によって発生する磁界よりも弱くなる。
【0076】
図8は、磁界発生期間において、駆動電極を流れる電流の値を示す特性図である。
図8は、本発明者らが測定して、作成した特性図である。
図8において、横軸は、駆動電極の位置を示しており、近端は、駆動信号TPL、TSVが供給される端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接して配置された駆動電極TL(p)を示しており、遠端は、端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れて配置された駆動電極TL(0)を示している。駆動電極TL(p)からTL(0)の順に、信号配線の端部から離れて配置されている。
図8の縦軸は、駆動電極を流れている電流の値を示している。
図8から理解されるように、磁界発生期間においては、近端から遠端に向かって、駆動電極を流れる電流の値が小さくなっている。また、本発明者らが測定した結果では、近端の駆動電極を流れる電流の値は、遠端の駆動電極を流れる電流に対して、約3倍の値を有している。
【0077】
駆動電極を流れる電流の値が、近端から遠端に向かって小さくなると、発生する磁界も、近端から遠端に向かって弱くなる。そのため、磁界発生期間において、ペンPenの容量素子に蓄積される電荷量も、タッチしている位置によって異なることになる。その結果、磁界検出期間において、磁界検出コイルにより検出される変化量も変わることになり、検出感度が位置に依存してばらつくことになる。例えば、
図4に示したタッチ制御装置5において、受信した検出信号Rx(0)〜Rx(p)を調整することにより、検出感度のバラツキを低減し、位置に対して一定にすることが考えられるが、
図8に示すように、駆動電極を流れる電流が3倍も異なると、発生する磁界の変化が大きく、検出感度が一定となるように、調整するのは容易ではない。
【0078】
図9は、実施の形態1に係わる駆動回路DRVL、DRVRと駆動電極の構成を示す平面図である。図面が複雑になるのを避けるために、
図7と同様に、駆動信号TPL、TSVが供給される信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRから平面視において離れて配置された駆動電極TL(0)〜TL(n)および対応する駆動回路が、
図9(A)に示されている。また、平面視において、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接して配置された駆動電極TL(n+1)〜TL(p)および対応する駆動回路が、
図9(B)に示されている。
図9(A)を
図9(B)の上側に配置することにより、表示領域2の辺2−Uと辺2−Dの間に、縦方向に平行に配置された駆動電極TL(0)〜TL(p)と、それに対応する駆動回路DRVL、DRVRの平面図が完成する。なお、完成した平面図は、実際の配置に合わせて描かれている。
【0079】
図9(A)には、
図7(A)と同様に、駆動電極TL(4)の領域で磁界が発生するように、駆動電極TL(1)〜TL(3)に接続された第1スイッチS10Lおよび第2スイッチS11Rがオン状態にされ、駆動電極TL(5)〜TL(7)に接続された第2スイッチS11Lおよび第1スイッチS10Rがオン状態にされたときの状態が示されている。また、
図9(B)には、
図7(B)と同様に、駆動電極TL(p−4)の領域で磁界が発生するように、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)に接続された第1スイッチS10Lおよび第2スイッチS11Rがオン状態にされ、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)に接続された第2スイッチS11Lおよび第1スイッチS10Rがオン状態にされたときの状態が示されている。
【0080】
図7と異なり、この実施の形態1においては、平面視で見たとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれに、所定のパターン形状を有する導電性の配線パターンAUが、それぞれの駆動電極と重なる(重畳する)ように対向し、電気的にオーミック接続されている。配線パターンAUは、
図9においては、一点鎖線で示されており、駆動電極TL(0)〜TL(p)と同様に、横方向(行方向)に延在し、縦方向(列方向)に平行に配置されている。
図9には、駆動電極TL(0)、TL(1)、TL(n)、TL(n+1)、TL(p−1)およびTL(p)に接続された配線パターンAUのみが描かれているが、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれに、複数の配線パターンAUが接続されており、駆動電極に接続されている配線パターンAUの個数が、駆動電極TL(0)からTL(p)に向けて少なくなっている。
【0081】
図9に示した配線パターンAUで説明すると、表示領域2の辺2−Uに近接して配置された駆動電極TL(0)に接続されている配線パターンAUの個数が、最も多く、辺2−Dに近接して配置された駆動電極TL(p)に接続されている配線パターンAUの個数が、最も少なくなっている。表示領域2の辺2−Uと辺2−Dの間の中間に配置されている駆動電極(例えば、TL(n))に接続されている配線パターンAUの個数は、駆動電極TL(0)に接続されている配線パターンAUの個数と、駆動電極TL(p)に接続されている配線パターンAUの個数との間の個数となっている。
【0082】
すなわち、駆動信号TPL、TSVが供給される信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れた位置で接続される駆動電極TL(0)から、これらの端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接した位置で接続される駆動電極TL(p)に向けて、駆動電極に接続されている配線パターンAUの個数が少なくなっている。
【0083】
配線パターンAUは、導電性であるため、駆動電極と接続されることにより、駆動電極の合成抵抗を小さくする補助電極として機能する。そのため、駆動電極TL(0)〜TL(p)が、互いに同じ抵抗値を有していても、駆動電極TL(0)からTL(p)に向けて接続されている配線パターンAUの個数が、少なくなることにより、駆動電極TL(0)からTL(p)に向けて、合成抵抗の値は大きくなる。すなわち、平面視において、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れて接続される駆動電極TL(0)から、端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接して接続される駆動電極TL(p)に向けて、駆動電極の合成抵抗が、大きくなる。
【0084】
上記したように、端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接した位置から、離れた位置に向かって、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRが有する抵抗Rが増えるが、駆動電極の合成抵抗は、端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れた位置から、近接した位置に向かって、大きくなる。その結果、端部nLL、nLR、nVL、nVRに近接して接続される駆動電極(例えば、TL(p))において磁界を発生するときに形成される電流経路における合成抵抗と、端部nLL、nLR、nVL、nVRから離れて接続される駆動電極(例えば、TL(0))において磁界を発生するときに形成される電流経路における合成抵抗との差を低減することが可能となる。これにより、磁界発生期間において、端部に近接して接続された駆動電極TL(p)を流れる電流と、端部から離れて接続された駆動電極TL(0)を流れる電流との差を低減することが可能となり、発生する磁界の強さを同じにすることが可能となる。
【0085】
平面視において、端部nLL、nLR、nVL、nVRからの位置に依存しない強さの磁界を発生することが可能となるため、位置に依存して検出感度が変化するのを低減することが可能となる。駆動電極TL(0)〜TL(p)は、互いに同じ平面形状を備えている。
図6で説明したが、磁界タッチ検出のとき、平面視において、磁界を発生している駆動電極に挟まれた駆動電極の領域において強い磁界が発生する。それぞれの駆動電極の平面形状を同じにすることにより、強い磁界を発生する領域の範囲が、表示領域における位置に依存して変わるのを防ぐことが可能となり、磁界タッチ検出における解像度が位置に依存して変わるのを防ぐことが可能となる。
【0086】
<駆動電極および選択駆動回路SDL、SDRの詳細構成>
図10は、実施の形態1に係わる駆動電極および駆動回路の構成を示す平面図である。
図10は、
図9に示した駆動電極TL(0)〜TL(p)から、駆動電極TL(9)〜TL(p−1)を省略した平面図である。省略した駆動電極に対応する駆動回路も、
図10では省略されている。駆動電極および対応する駆動回路を省略しているが、図示した駆動電極、信号配線等は、実際の配置に合わせて描かれている。
【0087】
また、
図9では、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部として、nLL、nLR、nVL、nVRを示したが、
図10では、フレキシブルケーブルFB2(
図5参照)に設けられた他の回路ブロック7の出力が、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部に接続されている。
図5で説明したように、他の回路ブロック7が、駆動信号TPL、TSVを形成する場合、特に制限されないが、信号配線の一部が、平面視で見たとき、制御装置3によって覆われている。ここでは、他の回路ブロック7として、第1電圧Vsおよび第2電圧Vdを形成する電源回路を用いる場合を説明する。
【0088】
図10でも、駆動電極にオーミック接続された配線パターンAUは、一点鎖線で示されている。図面が複雑になるのを避けるために、
図10でも、駆動電極TL(0)およびTL(p)に接続された複数の配線パターンのうち、1個の配線パターンについてのみ、符合AUが付されている。
【0089】
特に制限されないが、
図10では、駆動電極TL(0)、TL(1)のそれぞれに、8個の配線パターンAUが平行して接続され、駆動電極TL(2)、(3)のそれぞれに、7個の配線パターンAUが平行して接続され、駆動電極TL(4)〜TL(6)のそれぞれに、6個の配線パターンAUが平行して接続されている。また、駆動電極TL(7)、TL(8)のそれぞれには、3個の配線パターンAUが平行して接続され、駆動電極TL(p)には、2個の配線パターンAUが接続されている。勿論、それぞれの駆動電極に接続される配線パターンAUの個数は、この個数に限定されるものではなく、表示領域2の辺2−Uから辺2−Dに向かって、駆動電極に接続されている配線パターンの個数が少なくなっていればよい。また、
図10に示すように、隣り合う駆動電極で、同じ個数の配線パターンAUが接続されていてもよい。さらに、辺2−Dに最も隣接した駆動電極は、配線パターンAUが接続されていなくてもよい。
【0090】
図10において、駆動電極TL(0)〜TL(8)に接続された第1スイッチS10L、S10Rおよび第2スイッチS11L、S11Rは、
図9(A)に示したのと同じ状態になっている。詳しい説明は省略するが、
図6(A)に示した駆動状態となっており、駆動電極TL(1)〜TL(3)により形成された束駆動電極が発生している磁界と、駆動電極TL(5)〜TL(7)により形成された束駆動電極が発生している磁界とが、駆動電極TL(4)において重畳され、強い磁界が発生している。
【0091】
駆動電極TL(0)〜TL(8)、TL(p)のそれぞれには、複数の配線パターンAUが、オーミック接続されているため、駆動電極と配線パターンAUとが並列的に接続された状態になっている。そのため、駆動電極の合成抵抗は、駆動電極の抵抗と配線パターンAUの抵抗が合成された値となる。
図10では、駆動電極TL(6)の合成抵抗が、符合RT(6)として示されている。また、
図10において、RTRは、第1スイッチまたは第2スイッチがオン状態となったときのオン抵抗を示している。
【0092】
図10においても、Rは、
図9と同様に、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRに付随する抵抗を分布定数的な抵抗成分として表した抵抗を示している。また、
図10において、RDは、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRにおいて引き出し部分の抵抗を示し、RPは、実装抵抗および電源インピーダンスを示している。
図4に示したように、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRは、表示領域2の辺2−L、2−Rとモジュール500の長辺500−L、500−Rとの間の領域を、縦方向に延在する部分と、この縦方向に延在する部分とフレキシブルケーブルFB2の端部とを接続する引き出し部分を有している。この引き出し部分の抵抗が、
図10では、符合RDとして示されている。また、フレキシブルケーブルFB2を領域501(
図5)に実装するときに生じる抵抗等の含む実装抵抗と、電源回路の電源インピーダンスとを含む抵抗が、
図10では、抵抗RPとして示されている。
【0093】
<磁界発生期間における合成抵抗内訳>
図11は、磁界タッチ検出のときに、選択された駆動電極により形成される電流経路の合成抵抗の内訳を示す図である。同図には、遠端に形成される電流経路と、近端に形成される電流経路の合成抵抗の内訳が示されている。ここで、遠端に形成される電流経路は、平面視において、フレキシブルケーブルFB2から離れて配置された駆動電極(例えば、TL(0))が選択され、選択された駆動電極TL(0)により形成される電流経路を示している。また、近端に形成される電流経路は、フレキシブルケーブルFB2に近接して配置された駆動電極(例えば、TL(p))が選択され、選択された駆動電極TL(p)により形成される電流経路を示している。
【0094】
図11には、近端に形成される電流経路として、近端と調整後近端の2種類が示されている。
図11において、調整後近端および遠端は、
図9、
図10に示したように、フレキシブルケーブルFB2(あるいは信号配線の端部)から離れて接続される駆動電極から、近接して接続される駆動電極に向けて、個数が少なくなるように、配線パターンAUが接続されている場合を示している。これに対して、近端は、遠端と同じ個数の配線パターンAUが接続されている場合を示している。
【0095】
図11では、遠端に形成される電流経路の合成抵抗を1として、抵抗成分の内訳を、棒の長さで表している。
図11に示した棒において、右上がりの斜線で埋めた部分は、抵抗Rの合成値を示し、右下がりの斜線で埋めた部分は、駆動電極の合成抵抗(
図11では、TL抵抗)を示している。また、棒において、ドットで埋めた部分は、第1スイッチまたは第2スイッチのオン抵抗RTR(
図11では、スイッチオン抵抗)を示し、菱形で埋められた部分は、引き出し部分の抵抗RDを示し、横線で埋められた部分は、実装抵抗および電源インピーダンスの抵抗RPを示している。
【0096】
図11に示すように、遠端、近端および調整後近端のそれぞれにおいて、第1スイッチまたは第2スイッチのオン抵抗(スイッチオン抵抗)、引き出し部分の抵抗RD(菱形で埋めた部分)および実装抵抗・電源インピーダンスの抵抗RP(横線で埋めた部分)の占有比は、ほぼ同じである。これに対して、信号配線の抵抗Rは、選択された駆動電極が接続されている信号配線の位置に従って変化し、近端および調整後近端に比べ、遠端では、大きくなる。
【0097】
そのため、駆動電極の抵抗(TL抵抗)が、
図11に示すように、遠端と近端との間で同じ場合には、近端に形成される電流経路の合成抵抗が、遠端に形成される電流経路の合成抵抗に比べて小さくなる。その結果、磁界発生期間のとき、近端に形成される電流経路を流れる電流が大きくなり、位置に依存して発生する磁界の強さが変化することになる。これに対して、調整後近端では、近端に配置されている駆動電極に接続されている配線パターンの個数が、遠端に比べて少なくされているため、調整後近端に示すように、近端に配置されている駆動電極の合成抵抗(TL抵抗)を大きくすることが可能となる。その結果、磁界発生期間において、位置に依存して発生する磁界の強さが変化するのを抑制することが可能となり、検出感度の位置依存性を低減することが可能となる。
【0098】
<電界タッチ検出>
この実施の形態1に係わる表示装置1においては、電界タッチ検出も可能となっている。電界タッチ検出の期間(以下、電界タッチ検出期間とも称する)のとき、
図4に示した制御装置3は、第1電圧Vsを駆動信号TPLとして出力し、周期的に電圧が変化する信号を駆動信号TSVとして出力する。特に制限されないが、駆動信号TSVの電圧は、電界タッチ検出のとき、周期的に、第1電圧Vsと第2電圧Vdとの間で変化する。なお、駆動信号TPL、TSVを形成する駆動信号回路として、制御装置3ではなく、電源回路を用いる場合には、電源回路が、電界タッチ検出のとき、第1電圧Vsを有する駆動信号TPLと周期的に電圧が変化する駆動信号TSVを出力することになる。
【0099】
図4に示した選択回路SELL、SELRは、電界タッチ検出のとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)から所望の1個の駆動電極を選択する選択信号を出力する。すなわち、磁界タッチ検出のときには、一対の束駆動電極を構成する6個の駆動電極を選択するが、電界タッチ検出のときには、磁界タッチ検出のときよりも少ない個数の駆動電極を選択する。駆動回路DRVLは、選択信号によって指定された1個の駆動電極の一方の端部n1を、第2信号配線TSVLに接続し、駆動回路DRVRも、選択信号によって指定された1個の駆動電極の他方の端部n2を、第2信号配線TSVRに接続する。
【0100】
例えば、
図9(A)および
図10において、電界タッチ検出のとき、選択回路SELL、SELRは、駆動電極TL(4)を選択する選択信号を出力する。この選択信号によって、駆動電極TL(4)の一方の端部n1と第2信号配線TSVLとの間に接続された第2スイッチS11Lがオン状態となる。このとき、駆動電極TL(4)の他方の端部n2と第2信号配線TSVRとの間に接続された第2スイッチS11Rがオン状態となる。これにより、選択された駆動電極TL(4)の両端部n1、n2には、第2信号配線TSVL、TSVRを伝達して、駆動信号TSVが供給されることになる。その結果、選択された駆動電極TL(4)の電圧は、駆動信号TSVの電圧変化に従って変化し、駆動信号TSVの変化に従って変化する電界を発生する。指が、選択された駆動電極TL(4)の領域に近接した位置をタッチしているか否かが、
図3で説明したように検出される。
【0101】
この実施の形態1においては、磁界タッチ検出のとき、平面視において、束駆動電極によって挟まれた1個の駆動電極の領域で強い磁界が発生する。すなわち、磁界タッチ検出のときに、強い磁界を発生する領域と、電界タッチ検出のときに、電界を発生する領域とが、同じ1個の駆動電極の領域となる。これにより、磁界タッチ検出のときと、電界タッチ検出のときとで、検出の解像度を合わせることが可能となる。
【0102】
なお、特に制限されないが、電界タッチ検出のとき、選択しない駆動電極、すなわち非選択の駆動電極については、駆動電極の一方の端部n1と第1信号配線TPLとの間に接続された第1スイッチS10Lと、駆動電極の他方の端部n2と第1信号配線TPRとの間に接続された第1スイッチS10Rがオン状態となる。これにより、非選択の駆動電極の両端部n1、n2は、第1スイッチS10L、S10Rを介して第1信号配線TPLL、TPLRに接続されることになる。電界タッチ検出期間のときには、第1信号配線TPLL、TPLRに第1電圧Vsを有する駆動信号TPLが供給されているため、非選択の駆動電極の電圧が変動することを抑制することが可能となり、ノイズの発生を低減することが可能である。この時、駆動信号TPLに第1電圧Vsと異なる直流電圧を供給してもよい。この直流電圧の値はどのようなものであっても良く、表示期間の共通電極電圧であってもよい。
【0103】
<磁界タッチ検出および電界タッチ検出における合成抵抗内訳>
図9および
図10に示すように、磁界タッチ検出では、隣り合った3個の駆動電極によって1個の束駆動電極が形成される。このように、複数の駆動電極を束とすることにより、電流経路の合成抵抗を小さくし、流れる電流を大きくすることが可能となる。これに対して、電界タッチ検出においては、1個の駆動電極を含む経路が形成され、この経路に、駆動信号(電界駆動信号)TSVが供給されることになる。すなわち、磁界タッチ検出のときには、3個の電流経路が並列的に形成されるのに対して、電界タッチ検出のときには、1個の経路しか形成されないことになる。
【0104】
図12は、磁界タッチ検出の磁界発生期間において形成される電流経路の合成抵抗の内訳と、電界タッチ検出において形成される経路の合成抵抗の内訳を示す図である。
図12は、
図11と同様に、棒の長さによって、合成抵抗の内訳が示されている。
図12においても、縦軸は、それぞれの抵抗成分の占有比を示している。
図12において、横軸に示した遠端TPは、磁界発生期間において、遠端に形成された電流経路を示しており、近端TPは、磁界発生期間において、近端に形成される電流経路を示している。
【0105】
また、
図12の横軸において、遠端TCは、電界タッチ検出のときに、フレキシブルケーブルFB2の端部(もしくは第2信号配線の端部)から離れた位置で接続された駆動電極を含む経路を示している。
図12において、近端TCは、電界タッチ検出のときに、フレキシブルケーブルFB2の端部(もしくは第2信号配線の端部)に近接した位置で接続された駆動電極を含む経路を示している。
【0106】
遠端TCは、例えば
図10に示した駆動電極TL(0)を含む経路を示している。この場合の経路は、
図10に示した第2信号配線TSVL、第2スイッチS11L、駆動電極TL(0)、第2スイッチS11Rおよび第2信号配線TSVRが直列的に接続された経路を含むことになる。また、近端TCは、例えば
図10に示した駆動電極TL(p)を含む経路を示している。この場合の経路は、
図10に示した第2信号配線TSVL、第2スイッチS11L、駆動電極TL(p)、第2スイッチS11Rおよび第2信号配線TSVRが直列的に接続された経路を含むことになる。
【0107】
図12に示した遠端TPは、
図11に示した遠端と同じであり、近端TPは、
図11に示した調整後近端と同じであるため、説明は省略する。
図12でも、遠端TPの合成抵抗を、基準の値1として、遠端TC、近端TPおよび近端TCのそれぞれの合成抵抗が示されている。また、
図12に示した棒において、抵抗R、TL抵抗、スイッチオン抵抗、抵抗RDおよび抵抗RPは、
図11と同じ表記方法で示されている。
【0108】
図12において、遠端TPと遠端TCを比べると、遠端TCにおいては、TL抵抗とスイッチオン抵抗の占有比が大きくなっているため、遠端TCの方が、遠端TPに比べて合成抵抗が、大きくなっている。遠端TPにおいては、磁界発生期間のとき、複数の駆動電極が束として、信号配線に接続されるのに対して、遠端TCでは、1個の駆動電極が、信号配線に接続されるため、
図12に示すような差が生じている。同様の理由で、近端TPと近端TCを比べた場合にも、近端TCにおいては、TL抵抗とスイッチオン抵抗の占有比が大きくなっているため、近端TCの方が、近端TPに比べて合成抵抗が、大きくなっている。
【0109】
遠端TCと近端TCを比べた場合、上記したように、フレキシブルケーブルFB2から離れた位置から近接した位置に向けて、駆動電極に接続されている配線パターンAUの個数が少なくなっているため、TL抵抗の占有比が大きくなり、近端TCの合成抵抗が、遠端TCの合成抵抗よりも大きくなっている。また、電界タッチ検出においては、駆動電極は束にされないため、遠端TPに比べて、TL抵抗は3倍に近い抵抗値を有している。
【0110】
すなわち、電界タッチ検出のときには、フレキシブルケーブFB2に近接して形成される経路の合成抵抗(近端TC)が、離れて形成される経路の合成抵抗(遠端TC)よりも大きくなる。しかしながら、電界タッチ検出においては、原理的には、形成される経路を電流が流れず、選択された駆動電極における電圧変化が重要である。すなわち、選択された駆動電極における電圧変化を示す時定数が、フレキシブルケーブルFB2からの位置に依存せずに、一定であることが重要である。
【0111】
<電界タッチ検出の時定数>
図13は、
図5に示したモジュール500を、さらに簡略化して示した平面図である。
図13において、TL(0)〜TL(p)は、表示領域2に配置された駆動電極を示している。また、
図13は、電界タッチ検出期間のときの状態を示している。
【0112】
図13には、一番上側に配置された第2スイッチについてのみ、符合S11L、S11Rが付されており、他の第2スイッチについては符合が省略されている。また、
図13では、1個の駆動電極と第2信号配線TSVL、TSVRとの間に、並列的に接続されている第2スイッチS11L、S11Rの個数によって、配線パターンAUの個数が示されている。すなわち、接続されているスイッチの数が多いほど、接続されている配線パターンAUの個数が大きいことを示している。また、
図13において、Rは、信号配線TSVL、TSVRの抵抗を分布定数的に示す抵抗であり、Cp1は、信号配線TSVL,TSVRの容量を分布定数的に示す容量である。
【0113】
また、RT1は、配線パターンAUが接続された駆動電極TL(0)〜TL(p)の抵抗を分布定数的に示す抵抗であり、Cp2は、配線パターンが接続された駆動電極TL(0)〜TL(p)の容量を分布定数的に示す容量である。なお、
図13では、駆動電極TL(0)〜TL(2)およびTL(p−1)〜TL(p)に接続された第2スイッチが、全てオン状態になっているように示されているが、電界タッチ検出期間のときには、1個の駆動電極が、信号配線TSVL、TSVRに接続され、電界を発生する。
【0114】
配線パターンAUは、駆動電極と同じ方向に延在し、駆動電極と接続されている。そのため、配線パターンAUも、分布定数的に容量と抵抗で表すことができる。
図13に示した抵抗RT1および容量Cp2は、駆動電極とこの駆動電極に接続された配線パターンAUのそれぞれの抵抗および容量の合成を示している。すなわち、接続されている配線パターンAUの個数に応じて、分布定数の抵抗RT1が変わり、分布定数で作用することになる。近端TCにおいては、接続されている配線パターンAUの個数が少ないため、遠端TCに比べ、抵抗RT1は大きくなる(
図12に示した例では、およそ4倍程度)。しかしながら、抵抗RT1は、容量Cp2に対して分布定数で作用するため、時定数への影響は、おおまかに見ると1/2となる。そのため、遠端TCにおける抵抗RT1と近端TCにおける抵抗RT1との差が、遠端TCの時定数と近端TCの時定数との差(時定数差)として、そのまま現れることはない。さらに、近端TCは、遠端TCに比べて、フレキシブルケーブルFB2に近接して形成される経路であるため、信号配線の抵抗Rが、元々小さい。そのため、近端TCにおける時定数と、遠端TCにおける時定数とをほぼ同程度にすることが可能である。
【0115】
図14は、電界タッチ検出期間のときの駆動電極における時定数を示す特性図である。
図14において、横軸に示した遠端は、フレキシブルケーブルFB2から離れた位置に配置された駆動電極(例えばTL(0))を示し、近端は、フレキシブルケーブルFB2に近接した位置に配置された駆動電極(例えばTL(p))を示している。縦軸は、時定数比を示している。
図14では、電界タッチ検出期間において、遠端の駆動電極に駆動信号TSVを供給したときの時定数を基準1として、縦軸の時定数比が定められている。
図14に示すように、近端に配置された駆動電極に駆動信号TSVを供給したときの時定数は、基準1に近い値となっており、近端で時定数の悪化は少ない。すなわち、
図9および
図10に示したように、フレキシブルケーブルFB2(あるいは信号配線の端部)から離れた位置に配置されている駆動電極から、近接した位置に配置されている駆動電極に向けて、駆動電極に接続されている配線パターンAUの個数が少なくなっていても、電界タッチ検出の性能の劣化を抑制することが可能である。
【0116】
<配線パターンの構成>
図15は、実施の形態1に係わる表示装置1の断面を示す断面図である。ここでは、上記した第1スイッチS10L、S10Rおよび第2スイッチS11L、S11Rとして、電界効果型トランジスタ(以下、トランジスタとも称する)を用いる場合を例として説明する。同図において、矢印A−A’で示す右側の領域は、表示領域2を示しており、矢印A−A’の左側の領域は、表示領域2を囲む周辺領域を示している。
図15では、表示領域2の辺2−L側が、例として示されているが、表示領域2の辺2−R側も、左右反転で同様な構成を有している。
【0117】
図15において、TGBは、
図1(B)等で説明した第1基板を示している。周辺領域において、第1基板CGBの第1主面TSF1に、符合G1、G2で示す導電層が形成される。この導電層G1およびG2が、第1スイッチS10Lおよび第2スイッチS11Lを構成するトランジスタのゲート電極となる。以下、G1、G2は、ゲート電極とも称する。
図15において、GIは、ゲート絶縁膜を示しており、ゲート絶縁膜GIにおいて、ゲート電極G1、G2の上方に、半導体層SMR5、SMR4が形成され、半導体層SMR4と半導体層SMR5との間に、トランジスタの共通ドレイン領域として機能する半導体層SMR2が形成されている。また、共通ドレイン領域となる半導体層SMR2との間で、半導体層SMR4を挟むように、半導体層SMR1が形成され、共通ドレイン領域となる半導体層SMR2との間で、半導体層SMR5を挟むように、半導体層SMR3が形成されている。
【0118】
半導体層SMR1は、第2スイッチS11Lを構成するトランジスタのソース領域として機能し、半導体層SMR3は、第1スイッチS10Lを構成するトランジスタのソース領域として機能する。
図15において、SIは、層間絶縁膜を示しており、層間絶縁膜SIに開口部が設けられ、開口部を介して、導電層E1が、半導体層SMR1に接続され、導電層E2が、半導体層SMR2に接続され、導電層E3が、半導体層SMR3に接続されている。ここで、導電層E1が、第2信号配線TSVLを構成し、導電層E3が、第1信号配線TPLLを構成する。
図15において、PIは、平坦化のための有機膜であり、有機膜PIに開口部が設けられ、この開口部を介して、導電層E2が、有機膜PI上に形成された駆動電極TLに接続されている。また、駆動電極TL上には、配線パターンAUが形成されている。この実施の形態1においては、配線パターンAUと駆動電極TLとが面接触で、オーミック接続するように、駆動電極TL上に配線パターンAUが形成されている。特に限定されないが、駆動電極TLは、この実施の形態1においては、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)のような透明導電性材料によって形成され、配線パターンAUは、駆動電極TLよりも導電率が高い材料で形成されていることが好ましい。配線パターンAUは、例えばアルミニウム等の金属を含むことが好ましい。すなわち、配線パターンAUがアルミニウム等の金属または合金であることが好ましい。また、配線パターンAUもITOのような透明導電性材料によって形成してもよい。
【0119】
図15において、IIは絶縁膜を示している。表示領域2において、絶縁膜II上には、画素電極GDEが形成されている。この画素電極GDEの上側に、
図1(B)で示した液晶層が形成されている。なお、画素電極GDEは、上記した画素Pixに含まれ、表示期間において、信号線SLに接続され、画像信号が供給される。表示期間においては、この画素電極GDEと駆動電極TLとの間の電位差に従って、液晶層が変位することにより、画像信号に従った表示が行われる。
【0120】
図16は、実施の形態1に係わる表示領域2の一部を示す平面図である。
図16(A)は、平面視において、フレキシブルケーブルFB2(信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部)から離れて配置されている駆動電極TL(例えば、
図10のTL(0))の部分の平面を示している。また、
図16(B)は、平面視において、フレキシブルケーブルFB2(信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部)に近接して配置されている駆動電極TL(例えば、
図10のTL(p))の部分の平面を示している。
図15において、矢印A−A’の右側に示した駆動電極TLの部分が、
図16(A)および(B)に示した駆動電極TLに該当する。また、
図15において、矢印A−A’の右側に示した配線パターンAUの部分が、
図16(A)および(B)に示す複数の配線パターンAUのうちの1個の配線パターンAUに該当する。
【0121】
図16において、ドットで埋められた領域は、上記した画素Pixに対応する画素領域を示している。本明細書においては、画素領域も画素と同じ符合Pixを用いて説明する。なお、
図16では、一部の画素領域についてのみ、符合Pixが付されている。画素領域Pixは、平面視で見たとき、表示領域2において、行列状に配置され、それぞれの画素領域Pixが、
図15に示した画素電極GDEを含んでいる。それぞれの画素領域Pixは、横方向(第1方向)に幅PixXを有し、縦方向(第2方向)に幅PixYを有している。すなわち、横方向では、幅PixXをピッチとして、画素領域Pixが周期的に配列され、縦方向では、幅PixYをピッチとして、画素領域Pixが周期的に配列されている。本明細書においては、幅PixX、PixYを、画素領域Pixのピッチとも称する。
【0122】
配線パターンAUは、
図16においては、右上がりの斜線で埋められた領域として示されている。配線パターンAUは、平面視において、駆動電極TLと同じ方向に延在し、所定の幅AUBを有している。この実施の形態1において、配線パターンAUは、平面視で見たとき、縦方向に隣り合った画素領域Pixの境界領域と重なるように、互いに平行に配置されている。フレキシブルケーブルFB2から離れて配置された駆動電極TLにおいては、
図16(A)に示すように、1個の駆動電極TLに対して多くの配線パターンAUが配置されるが、互いに平行して隣接して配置された配線パターンAU間の距離(ピッチ)AUPは、画素領域Pix間のピッチPixYと同じにされている。
【0123】
一方、フレキシブルケーブルFB2に近接して配置されている駆動電極TLには、
図16(B)に示すように、1個の駆動電極TLに対して少ない個数の配線パターンAUが、平面視において、重なるように配置されている。この場合も、配線パターンAUは、縦方向に隣り合った画素領域Pixの境界領域と重なるように配置されている。配置されている配線パターンAUの個数が少ないため、平面視で見たとき、
図16(B)に示すように、縦方向で隣り合った画素領域Pix間の境界領域に、配線パターンAUが、重なっていない部分が生じている。見方を変えると、
図16(A)に示した状態から、配線パターンAUを間引いた状態が、
図16(B)であると見なすこともできる。
【0124】
なお、表示領域2を平面視で見たとき、画素領域Pix間には、遮光膜(ブラックマトリクス)が存在する。平面視で見たとき、配線パターンAUは、この遮光膜の下側で重なるように配置されている。また、
図16において、破線で示したSLは、信号線を例示している。
【0125】
実施の形態1においては、磁界タッチ検出のとき、フレキシブルケーブルFB2(信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRの端部)から離れて接続される駆動電極から、近接して接続される駆動電極に向けて、駆動電極に接続されている配線パターンAUの個数が少なくなっている。これにより、磁界タッチ検出のときに、検出感度が位置に依存して変化するのを低減することが可能となる。
【0126】
(実施の形態2)
図17は、実施の形態2に係わる表示領域2の一部を示す平面図である。
図17は、
図16に類似しており、TLは駆動電極を示し、ドットで埋めた領域Pixは画素領域を示し、AUは配線パターンを示している。ここでも、
図15において、矢印A−A’の右側に示した駆動電極TLの部分が、
図17(A)〜(C)に示す駆動電極TLに該当する。また、
図15において、矢印A−A’の右側に示した配線パターンAUの部分が、
図17(A)〜(C)に示す複数の配線パターンAUのうちの1個の配線パターンAUに該当する。
【0127】
図17(A)は、フレキシブルケーブルFB2(信号配線の端部)から離れて、遠端に配置されている駆動電極TL(例えば、
図9および
図10のTL(0))と、この駆動電極TLに接続されている配線パターンAUとを示す平面図である。また、
図17(C)は、フレキシブルケーブルFB2に近接して、近端に配置されている駆動電極TL(例えば、
図9および
図10のTL(p))と、この駆動電極TLに接続されている配線パターンAUとを示す平面図である。さらに、
図17(B)は、遠端と近端の間の位置(便宜上、中間と称する)に配置されている駆動電極TL(例えば、
図9のTL(n))と、この駆動電極に接続されている配線パターンAUとを示す平面図である。
図16と同様に、この実施の形態2においても、配線パターンAUは、縦方向に隣り合う画素領域Pix間の境界領域と重なるように配置されている。
【0128】
実施の形態1では、フレキシブルケーブルFB2(信号配線の端部)から離れて配置されている駆動電極から、近接して配置されている駆動電極に向けて、駆動電極に接続されている配線パターンAUの個数が少なくなるようにされていた。これに対して、実施の形態2においては、フレキシブルケーブルFB2(信号配線の端部)から離れて配置されている駆動電極から、近接して配置されている駆動電極に向けて、駆動電極に接続されている配線パターンAUの幅AUBが、小さく(狭く)なるようにされている。
【0129】
図17(A)に示すように、遠端に配置された駆動電極TLには、それぞれ所定の幅AUB1を有する複数の配線パターンAUが接続されている。これに対して、近端に配置された駆動電極TLには、
図17(C)に示すように、幅AUB1よりも狭い幅AUB3を有する複数の配線パターンAUが接続されている。また、中間に配置されている駆動電極TLには、幅AUB1と幅AUB3との間の幅AUB2を有する複数の配線パターンAUが接続されている。
【0130】
フレキシブルケーブルFB2からの距離とは無関係に、配線パターンAUの厚みは、それぞれの配線パターンAUにおいて同じにされている。そのため、遠端に配置された駆動電極TLに接続された配線パターンAUから近端に配置された駆動電極に接続された配線パターンAUに向けて、駆動電極に接続された配線パターンAUが駆動電極と重畳する面積が小さくなる。これにより、遠端に配置された駆動電極TLに接続された配線パターンAUから近端に配置された駆動電極に接続された配線パターンAUに向けて、配線パターンAUの抵抗が大きくなる。その結果、遠端に配置された駆動電極から近端に配置された駆動電極に向けて、駆動電極の合成抵抗が大きくなる。これにより、実施の形態1と同様に、磁界発生期間において発生する磁界の強さが、位置に依存して変化するのを低減することが可能となり、検出感度の位置依存性を低減することが可能となる。
【0131】
図17では、遠端に配置されている駆動電極、中間に配置されている駆動電極および近端に配置されている駆動電極で、それぞれに接続されている配線パターンAUの個数は同じにされている。言い換えるならば、位置に依存せずに、1個の駆動電極に接続されている配線パターンAUの個数は同じになっている。しかしながら、実施の形態1と組み合わせて、1個の駆動電極に接続される配線パターンAUの個数も変えるようにしてもよい。
【0132】
(実施の形態3)
図18は、実施の形態3に係わる表示装置の平面の一部を示す平面図である。
図18には、1個の駆動電極TLと、平面視において、この1個の駆動電極と重なるように配置された複数の配線パターンAUが示されている。
図18では、
図16および
図17で示した画素領域Pixは省略されているが、
図4および
図5で説明した表示領域2が、二点鎖線で示されている。
図18(A)は、平面視において、フレキシブルケーブルFB2から離れた遠端に配置されている駆動電極TLと、この駆動電極TLに重なるように配置された複数の配線パターンAUを示す平面図である。また、
図18(C)は、フレキシブルケーブルFB2に近接した近端に配置されている駆動電極TLと、この駆動電極TLに重なるように配置された複数の配線パターンAUを示す平面図である。さらに、
図18(B)は、遠端と近端との間の中間に配置されている駆動電極TLと、この駆動電極TLに重なるように配置された複数の配線パターンAUを示す平面図である。
【0133】
この実施の形態3においても、実施の形態1および2と同様に、配線パターンAUは、縦方向に隣り合う画素領域間の境界領域と重なるように配置されている。この実施の形態3においては、実施の形態1と異なり、駆動電極のそれぞれにおいて、画素領域の縦方向のピッチ(
図16のPixY)と同じピッチで、配線パターンAUが配置されている。すなわち、駆動電極と重なるように配置されている配線パターンAU間の距離は、平面視におけるフレキシブルケーブルFB2からの距離とは無関係に、画素領域のピッチPixYと同じになっている。
図18(A)に示した遠端に配置された駆動電極TL、
図18(B)に示した中間に配置された駆動電極TLおよび
図18(C)に示した近端に配置された駆動電極TLを例にして説明すると、それぞれの駆動電極TLと重なっている配線パターンAUの個数は同じであり、隣り合う配線パターンAU間のピッチAUPは、画素領域間のピッチPixYと同じになっている。
【0134】
また、複数の配線パターンAUのそれぞれは、実施の形態2と異なり、同じ幅AUBを有しており、それぞれの断面積も同じとなっている。
【0135】
実施の形態1および2においては、
図15に示したように、駆動電極TLと駆動電極TLと重なるように配置された配線パターンAUとが、面接触で電気的に接続されるように、駆動電極TL上に配線パターンAUが形成されていた。これに対して、実施の形態3においては、後で説明するが、駆動電極TLと配線パターンAUとの間に絶縁膜が介在している。駆動電極TLと配線パターンAUとの電気的な接続は、表示領域2の周辺領域において、選択的に行われる。
【0136】
図18において、表示領域2の辺2−L、2−Rの外側に設けられた●印は、配線パターンAUと駆動電極TLとを電気的に接続するコンタクトCTを示している。遠端に配置された駆動電極TLにおいては、
図18(A)に示すように、駆動電極TLと重なるように配置された8個の配線パターンAUのそれぞれの端部が、コンタクトCTによって、駆動電極TLに電気的に接続されている。これに対して、近端に配置された駆動電極TLにおいては、
図18(C)に示すように、駆動電極TLと重なるように配置された8個の配線パターンのうち、2個の配線パターンAUのそれぞれの端部が、コンタクトCTによって、駆動電極TLに接続されている。さらに、中間に配置された駆動電極TLにおいては、この駆動電極TLと重なるように配置された8個の配線パターンAUのうち、5個の配線パターンAUのそれぞれの端部が、コンタクトCTによって、駆動電極TLに接続されている。
【0137】
これにより、遠端に配置された駆動電極から近端に配置された駆動電極に向けて、駆動電極に、並列的に接続されている配線パターンAUの個数が少なくなる。その結果、遠端に配置された駆動電極から近端に配置された駆動電極に向けて、駆動電極の合成抵抗が大きくなり、発生する磁界の強さが、位置に依存して変化するのを低減することが可能となり、検出感度の位置依存性を低減することが可能となる。
【0138】
図19および
図20は、実施の形態3に係わる表示装置の断面を示す断面図である。
図19および
図20は、
図18において、辺2−L側の部分の断面を示している。ここで、
図19は、コンタクトCTが形成されていない部分の断面を示しており、
図20は、コンタクトCTが形成されている部分の断面を示している。
【0139】
図19および
図20は、先に説明した
図15に類似しているため、相違点を説明する。
図15においては、駆動電極TL上に配線パターンAUが形成されていた。すなわち、有機膜PIに、ITOの層が形成され、このITO層によって駆動電極TLが形成され、ITO層の上に、ITO層よりも導電率の高い導電層が形成され、この導電層によって、配線パターンAUが構成されていた。これに対して、
図19および
図20では、ITO層の上に、絶縁膜II2が形成される。この絶縁膜II2の上に、ITO層よりも導電率の高い導電層が形成され、この導電層によって、配線パターンAUが構成される。
【0140】
図20においては、駆動電極TLと配線パターンAUとを電気的に接続するために、辺2−Lの外側である周辺領域において、絶縁膜II2に開口部OPが形成される。この開口部OPを通して、配線パターンAUを形成する導電層が、駆動電極TLに接続される。
図19においては、駆動電極TLと配線パターンAUとを接続するコンタクトCTを形成しないため、開口部OPは形成されない。
【0141】
遠端から近端に向かって配列されている複数の駆動電極(
図9および
図10のTL(0)〜TL(p))のそれぞれにおいて、駆動電極と重なるように配置されている複数の配線パターン(全体配線パターン)AUから、所望の個数の配線パターン(第1配線パターン)AUを選択し、選択した配線パターンAUの両端部が、駆動電極に接続されるように、絶縁膜II2に開口部OPを形成するようにする。これにより、選択された個数の配線パターンAUが、駆動電極と並列接続されることになる。このときの所望の個数は、磁界発生期間において形成される電流経路の合成抵抗が等しくなるように定める。
【0142】
例えば、近端に配置されている駆動電極(例えばTL(p))に接続される配線パターンAUとして、第1の個数の配線パターンAUを選択し、選択した第1の個数の配線パターンAUが、開口部OPを介して、駆動電極TL(p)に接続されるようにする。このとき、遠端に配置されている駆動電極(例えばTL(0))に接続される配線パターンAUの個数を、上記した第1の個数よりも多い第2の個数とする。この第2の個数の配線パターンAUが、開口部OPを介して、駆動電極TL(0)に接続されるようにする。これによって、近端に配置されている駆動電極TL(p)に接続されている配線パターンAUを、遠端に配置されている駆動電極TL(0)に接続されている配線パターンAUに比べて少なくすることが可能となる。その結果、駆動電極TL(p)を含む電流経路の合成抵抗と、駆動電極TL(0)を含む電流経路の合成抵抗とを等しくすることが可能となる。
【0143】
この実施の形態3においては、同じ平面形状を有する複数の配線パターンAUが、全体配線パターンAUとして、表示領域2において、周期的に配列されることになる。配線パターンAUは、ITO層よりも導電率の高い導電層を、例えばエッチングして形成する。配線パターンAUを周期的に形成する場合には、それぞれの配線パターンAUに対するエッチング量を均一にすることが可能となるため、配線パターンAUの製造バラツキを抑制することが可能となる。また、周期的に配列されているため、平坦化を図ることも可能となる。
【0144】
このとき、表示領域2の全面において配線パターンAUの配線密度は均一となる。すなわち駆動電極1本当たりに重畳する配線パターンAUの面積の合計はどの駆動電極においても実質的に等しくなる。
【0145】
平面視で見たとき、表示領域2の全面に、複数の配線パターンAUが、例えば同じ間隔となるように配置され、配線密度が均一にされる。この表示領域2の全面に配置された複数の配線パターンAUが、全体配線パターンとなる。平面視で見たとき、例えば1個の駆動電極と重なっている(重畳している)配線パターンAUのうち、所定の個数の配線パターンAUが、開口部OPを通して、重畳している駆動電極と電気的に接続される。このとき、平面視で見て、駆動電極と重畳しているが、開口部OPを通して、駆動電極と電気的に接続していない配線パターンAUが存在する。平面視で見たときに、駆動電極と重畳し、電気的に駆動電極に接続されている配線パターンAUを第1配線パターンと見なし、駆動電極と重畳しているが、電気的に駆動電極と接続していない配線パターンAUを第2配線パターンと見なす。
【0146】
このように見なした場合、近端に配置された駆動電極と、遠端に配置された駆動電極との間で、駆動電極と重畳している第1配線パターンの個数と第2配線パターンの個数の和は、同じになる。複数の配線パターンの面積は互いに同じであるため、近端に配置された駆動電極と重畳している配線パターンAUの面積、すなわち、第1配線パターンと第2配線パターンの合計の面積と、遠端に配置された駆動電極と重畳している配線パターンAUの面積(第1配線パターンと第2配線パターンの合計の面積)とは、実質的に等しくなる。また、これらの配線パターンは、同じ層に形成されている。
【0147】
実施の形態1および3においては、フレキシブルケーブルFB2(信号配線の端部)から離れた位置で接続される駆動電極から、近接した位置で接続される駆動電極に向けて、駆動電極に接続されている配線パターンAUの個数が少なくなる。また、実施の形態2においては、離れた位置で接続される駆動電極から、近接した位置で接続される駆動電極に向けて、駆動電極に接続されている配線パターンAUの断面積が小さくなる。すなわち、これらの実施の形態においては、離れた位置で接続される駆動電極から、近接した位置で接続される駆動電極に向けて、駆動電極に接続されている配線パターンAUの配線量が少なくなる。駆動電極に接続されている配線パターンAUの配線量を、駆動電極あたりの配線パターンAUの配線密度として把握した場合、離れた位置で接続される駆動電極から、近接した位置で接続される駆動電極に向かって、駆動電極あたりの配線パターンAUの配線密度は小さくなる。例えば、近接した位置で接続される駆動電極に接続されている配線パターンAUの配線密度は、離れた位置で接続される駆動電極に接続されている配線パターンAUの配線密度に比べて、小さくなる。
【0148】
実施の形態においては、表示領域2に配列されている複数の駆動電極において、駆動電極あたりの配線パターンAUの配線密度を調整することにより、発生する磁界の強さが、位置に依存して変化するのを低減することが可能となる。そのため、モジュール500の長辺側の額縁が大きくなるのを抑制しながら、検出感度の位置依存性を低減することが可能となる。
【0149】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例及び修正例に想到し得るものであり、それら変形例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0150】
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0151】
例えば、信号配線TPLL、TPLR、TSVL、TSVRは、縦方向に延在し、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている場合を説明したが、縦方向および横方向は、見る視点により変化する。見る視点を変えて、信号配線および駆動電極の延在方向が変わっても、本発明の範囲に含まれるものである。また、本明細書で用いている「平行」とは、互いに一端から他端に亘るまで交わることなく延在することを意味する。そのため、一方の線(あるいは電極)の一部又は全部が他方の線(あるいは電極)に対して傾いた状態で設けられていたとしても、これらの線が一端から他端まで交わるものでなければ、本明細書においては、この状態も「平行」であるとする。