【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、眼鏡レンズが、いくつかのシェルを有するように構築され、且つ、外側シェルと、外側シェルに結合された内側シェルと、を有し、内側シェルとは対向していない外側シェルの第1面が、眼鏡レンズの前面を形成し、且つ、外側シェルとは対向していない内側シェルの第1面が、眼鏡レンズの後面を形成しており、外側シェルは、結合入射セクションと、光ガイドチャネルと、結合出射セクションと、を有し、内側シェルは、外側シェルに向かって対向している内側シェルの第2面から、後面の方向において、延在すると共に、その内部において光ガイドチャネルが着座する、開口部を有しており、結合出射セクションは、開口部に隣接した状態において位置しており、これには、結合出射セクションによって結合出射された光束が、内側シェルの第2面を介して内側シェルに進入し、内側シェルを通過し、且つ、後面を介して内側シェルを離脱するという点において、冒頭において命名されたタイプの眼鏡レンズにおいて、実現される。
【0005】
開口部との組合せにおけるこの2シェル構造により、眼鏡レンズの厚さを可能な限り小さく維持することができる。同時に、外側シェルの一部分である光ガイドチャネルは、望ましい良好な結像特性が保証されうるように、形成することができる。
【0006】
具体的には、開口部は、内側シェルの第2面から内側シェルの第1面まで延在することができる。従って、開口部は、内側シェルの全体厚さにわたって延在しており、且つ、貫通開口部と呼称することもできる。
【0007】
開口部は、内側シェルの平面図において観察された際に、内側シェルのエリアにより、すべての面上において縁取りされることが可能であり、或いは、少なくとも1つの面上において開放した状態にあってもよい。具体的には、開口部は、内側シェルの平面図において観察された際に、U字の形状に形成することができる。
【0008】
開口部が内側シェルの厚さ全体にわたって延在しないことも更に可能である。従って、このケースにおいては、第2面から内側シェル内に延在する対応した凹部が存在している。凹部の深さは、具体的には、凹部内において位置する光ガイドチャネルが、凹部の基部との接触状態とならないように選択され、これには、空隙が依然として存在しているという結果が伴っている。但し、空隙が存在しておらず、且つ、光ガイドチャネルが凹部の基部との接触状態にあることもできる。
【0009】
本発明による眼鏡レンズにおいては、前面及び/又は後面は、湾曲した状態において形成することができる。具体的には、後面は、不良視力の矯正が実現されるように選択された曲がりを有することができる。これは、光束が、内側シェルの後面を介して眼鏡レンズを離脱するように結合出射されるのに伴って、結合出射された光束についての不良視力の望ましい矯正が更に存在するという利点をもたらす。
【0010】
従って、本発明による眼鏡レンズによれば、光束のガイド及び結合出射は、外側シェルによる望ましい結像との関係において最適化させることができる。これとは独立的に、不良視力の望ましい矯正は、内側シェルにより、最適化させることができる。従って、本発明による眼鏡レンズによれば、互いに独立的に、一方においては、結像特性を外側シェルを介して設計及び設定することが可能であり、且つ、他方においては、不良視力特性の矯正を内側シェルを介して設計及び設定することができる。
【0011】
具体的には、内側及び外側シェルは、同一の材料から形成されている。
【0012】
更には、内側シェルは、外側シェルに対してフラットな状態で結合させることができる(例えば、光学セメント又は光学接着剤により、糊付け又はセメント結合される)。
【0013】
好ましくは、互いに対向している内側及び外側シェルの各面は、互いに相補的になるように形成されている。
【0014】
具体的には、互いに対向しているこれらの面は、球面状に湾曲させることができる。
【0015】
更には、外側及び/又は内側も、球面状に湾曲させることができる。
【0016】
結合出射セクションは、互いに隣接した状態において構成されたいくつかの反射性偏向表面を有することができる。又、反射性偏向表面は、反射性ファセットと呼称することもできる。これらは、ほとんど100%の反射率を有することが可能であり、且つ、この場合には、ミラー表面と呼称することができる。又、これらは、更に小さな反射率を有することも可能であり、且つ、従って、部分的に透明になるように形成することもできる。
【0017】
反射性偏向表面は、それぞれのケースにおいて、フラットな又は湾曲した状態において形成することができる。更には、偏向表面は、純粋なビーム偏向に加えて結像特性をも有するフレネル方式により、湾曲した反射表面を再生することができる。
【0018】
結合出射セクションは、外側シェル内において埋め込むことができる。具体的には、結合出射セクションは、眼鏡レンズの前面が、滑らかで連続的な表面となるように、形成することができる。
【0019】
光ガイドチャネルは、光束が、ガイドのために、その上部において反射される互いに反対側に位置した2つの境界表面を有することができる。
【0020】
具体的には、光ガイドチャネルの境界表面のうちの1つは、外側シェルの第1面の1つのセクションによって形成することができる。
【0021】
更には、外側シェルの第1面とは対向していない光ガイドチャネルの境界表面は、結像特性を有するように、形成することができる。
【0022】
境界表面上における反射は、全内部反射により、発生しうる。但し、境界表面のうちの少なくとも1つ(又は、両方)が、反射被覆又は部分的反射被覆を有することもできる。具体的には、被覆は、金属製被覆であってもよい。更には、被覆は、第1偏光状態を有する光束を反射し、且つ、第1偏光状態に直交する偏光状態を有する光束を透過させるように、形成することもできる。更には、反射被覆は、干渉層系として形成することができる。
【0023】
更には、光ガイドチャネルは、内側シェルと対向している外側シェルの第2面との関係において突出することができる。
【0024】
結合入射セクションは、眼鏡レンズのエッジエリア内において形成することが可能であり、且つ、結合出射セクションは、眼鏡レンズの中央エリア内において形成することができる。
【0025】
内側シェル及び外側シェルは、それぞれのケースにおいて、一体として形成することができる。但し、内側シェル及び/又は外側シェルは、いくつかの部分として形成することもできる。
【0026】
具体的には、外側シェルは、いくつかのシェルを有するように形成することができる。これは、例えば、少なくとも2つの部分的なシェルを有することができる。同一の内容は、内側シェルに対しても適用される。
【0027】
外側シェルが、いくつかのシェルを有するように形成されている場合には、結合出射セクションは、外側シェルの2つの部分的シェルの間において位置することができる。部分的シェルのうちの少なくとも1つは、例えば、PC薄膜などの薄膜として形成することができる。薄膜は、固有の安定性を有することが可能であり、これには、重力を例外として、更なる力の作用を伴うことなしに、その形状が保持されるという結果が伴っている。但し、薄膜は、固有の安定性を有していなくてもよい。具体的には、薄膜は、曲がりやすくなるように形成することができる。
【0028】
又、眼鏡レンズの前面を形成している外側の部分的シェルは、カバーシェルとして形成することもできる。
【0029】
外側シェルの部分的シェルの材料は、同一であってもよく、或いは、異なっていてもよい。同一の内容は、内側シェルの部分的シェルの材料に対しても適用される。又、外側シェル及び内側シェルのすべての部分的シェルは、同一の材料から形成することも可能であり、或いは、異なる材料から形成することもできる。
【0030】
内側シェルとは対向していないと共に眼鏡レンズの前面を形成している外側シェルの第1面は、被覆及び/又は反射防止被覆を有することができる。例えば、反射防止被覆及び/又は硬質被覆を第1面上において形成することができる。又、眼鏡レンズの分野において一般的に使用されている更なる被覆を提供することもできる。
【0031】
本発明による眼鏡レンズは、光ガイドチャネルが、外側シェル内においてのみ位置するように、形成することができる。但し、光ガイドチャネルが、内側シェル内のエリアを少なくとも部分的に通過することも可能である。具体的には、光ガイドチャネルの一部分は、内側シェルの開口部に隣接した内側シェルのエリア内において位置しうる。
【0032】
更には、部分的反射性被覆又は反射性被覆を有するエリアは、開口部に隣接した状態において形成することも可能であり、これには、部分的反射性被覆又は反射性被覆上において反射された光束の部分が、内側シェル内においてガイドされ、且つ、次いで、結合出射セクションに入射するという結果が伴っている。又、このケースにおいては、光ガイドチャネルの一部分は、内側シェル内に位置している。部分的反射性被覆又は反射性被覆は、具体的には、外側シェルと内側シェルとの間において提供することができる。従って、部分的反射性被覆又は反射性被覆は、内側シェルの第2面上において、且つ/又は、内側シェルに対向している外側シェルの第2面上において、形成することができる。
【0033】
更には、ディスプレイ装置が、ユーザーの頭部においてフィットしうるホルダと、画像を生成する、ホルダに固定された画像生成モジュールと、上述の請求項のうちの1項に記載の眼鏡レンズを有し、且つ、ホルダがユーザーの頭部においてフィットされた際に、ユーザーが仮想画像として知覚しうるように、生成された画像を結像する、ホルダに固定された結像光学系と、を有するように、提供される。
【0034】
結像光学系は、唯一の光学要素として眼鏡レンズを有することができる。但し、結合光学系が、眼鏡レンズに加えて、少なくとも1つの更なる光学要素を有することも可能である。具体的には、外側シェルは、少なくとも1つの更なる光学要素と共に、一体として形成することができる。或いは、この代わりに、外側シェルは、少なくとも1つの更なる光学要素に(例えば、セメント結合又は接合を通じて)結合することも可能である。更には、少なくとも1つの更なる光学要素は、外側シェルから離隔させることもできる。
【0035】
外側シェルは、平面図において、少なくとも1つの光学要素と共に、L字形状を有することができる。従って、少なくとも1つの更なる光学要素は、従来のテンプルステムの方向において延在することができる。具体的には、これは、テンプルステムの一部分であってもよい。
【0036】
少なくとも1つの光学要素は、ディスプレイ装置のユーザーのために可能な限り誤りのない生成された画像の結像を生成するべく最適化されうる(透過及び/又は反射状態における)1つ又は複数の結像光学表面を有することができる。
【0037】
少なくとも1つの更なる光学要素は、例えば、眼鏡レンズと画像生成モジュールとの間において構成されたコリメーション光学系であってもよく、これには、画像生成モジュールからの光束が、コリメートされた光束として眼鏡レンズ内に結合されうるという結果が伴っている。
【0038】
更には、ディスプレイ装置は、画像生成モジュールを作動させる制御ユニットを有することもできる。
【0039】
画像生成モジュールは、具体的には、例えば、LCDモジュール、LCoSモジュール、OLEDモジュール、又は傾動ミラーマトリックスなどの二次元結像システムを有することができる。結像系は、例えば、行と列において構成されうる複数のピクセルを有することができる。結像系は、自己発光型であってもよく、或いは、そうでなくてもよい。
【0040】
画像生成モジュールは、具体的には、モノクロ又はマルチカラー画像を生成するように、形成することができる。
【0041】
本発明によるディスプレイ装置は、その動作のために必要とされる、当業者には既知の更なる要素を有することができる。
【0042】
上述された特徴及び以下において更に説明される特徴は、本発明の範囲を逸脱することなしに、記述されている組合せにおいてのみならず、その他の組合せにおいても、或いは、単独でも、使用されうることを理解されたい。
【0043】
以下、一例として添付図面を参照し、本発明について更に詳細に説明するが、これらの添付図面も、本発明にとって不可欠の特徴を開示している。添付図面は、以下のとおりである。