【文献】
Pigment Cell Melanoma Res., (2014.01), 27, [1], p.124-133
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抗PD−L1抗体が、配列番号:15のHVR−H1配列、配列番号:16のHVR−H2配列、及び配列番号:3のHVR−H3配列を含む重鎖;ならびに配列番号:17のHVR−L1配列、配列番号:18のHVR−L2配列、及び配列番号:19のHVR−L3配列を含む軽鎖を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬。
MEK阻害剤が連続的に使用される、間欠的に使用される、PD−1軸結合アンタゴニストの前に使用される、PD−1軸結合アンタゴニストと同時に使用される、またはPD−1軸結合アンタゴニストの後に使用される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬。
PD−1軸結合アンタゴニスト及び/またはMEK阻害剤が、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植によって、吸入によって、髄腔内に、脳室内に、または鼻腔内に使用される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の医薬。
【発明を実施するための形態】
【0020】
I.一般的技術
本明細書で記載または参照される技術及び手順は、当業者により一般によく理解され、従来の方法、例えばSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003));the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995)),Harlow and Lane,eds.(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1987));Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993−8)J.Wiley and Sons;Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988−1989);Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000);Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999));The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995);及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)に記載され、広く利用されている方法などを使用して一般的に用いられる。
【0021】
II.定義
「アンタゴニスト」という用語は最も広義に使用され、この用語には、本明細書に開示される天然ポリペプチドの生物活性を部分的または完全にブロックする、阻害する、または中和する任意の分子を含む。同様に、「アゴニスト」という用語は最も広義に使用され、この用語には、本明細書に開示される天然ポリペプチドの生物活性を模倣する任意の分子を含む。好適なアゴニスト分子またはアンタゴニスト分子としては、アゴニスト抗体もしくはアンタゴニスト抗体または抗体断片、天然ポリペプチドの断片またはアミノ酸配列バリアント、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、小有機分子などが特に挙げられる。ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストを同定する方法は、ポリペプチドを候補アゴニスト分子またはアンタゴニスト分子と接触させて、そのポリペプチドと通常関連する1つ以上の生物活性の検出可能な変化を測定することを含んでよい。
【0022】
「アプタマー」という用語は、ポリペプチドなどの標的分子に結合することができる核酸分子を指す。例えば、本発明のアプタマーは、B−rafポリペプチドに、またはB−rafの発現または活性を調節するシグナル伝達経路の分子に特異的に結合することができる。アプタマーの生成及び治療的使用は、当該技術分野において十分に確立されている。例えば、米国特許第5,475,096号明細書、及び加齢黄斑変性症を処置するためのMacugen(登録商標)(Eyetech、ニューヨーク)の治療有効性を参照のこと。
【0023】
「PD−1軸結合アンタゴニスト」という用語は、PD−1軸結合パートナーとその結合パートナーのいずれか1つ以上との相互作用を阻害する分子であり、結果としてPD−1シグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞の機能不全を除去し、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死滅)を回復または増強するという結果を伴う。本明細書で使用する場合、PD−1軸結合アンタゴニストとしては、PD−1結合アンタゴニスト、PD−L1結合アンタゴニスト及びPD−L2結合アンタゴニストが挙げられる。
【0024】
「PD−1結合アンタゴニスト」という用語は、PD−1とその結合パートナーの1つ以上、例えばPD−L1、PD−L2などとの相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、ブロックする、阻害する、抑止する、またはそれに干渉する分子である。いくつかの実施形態では、PD−1結合アンタゴニストは、PD−1とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD−1結合アンタゴニストは、PD−1とPD−L1及び/またはPD−L2との結合を阻害する。例えば、PD−1結合アンタゴニストとしては、PD−1とPD−L1及び/またはPD−L2との相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、ブロックする、阻害する、抑止する、またはそれに干渉する抗PD−1抗体、それらの抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド及びその他の分子が挙げられる。一実施形態では、PD−1結合アンタゴニストは、機能不全T細胞の機能不全を低減させる(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD−1を介してシグナル伝達を媒介したTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質により、またはそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを減少させる。いくつかの実施形態では、PD−1結合アンタゴニストは抗PD−1抗体である。特定の態様では、PD−1結合アンタゴニストは、本明細書に記載されるMDX−1106である。別の特定の態様では、PD−1結合アンタゴニストは、本明細書に記載されるMerck3745である。別の特定の態様では、PD−1結合アンタゴニストは、本明細書に記載されるCT−011である。
【0025】
「PD−L1結合アンタゴニスト」という用語は、PD−L1とその結合パートナーのいずれか1つ以上、例えばPD−1、B7−1などとの相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、ブロックする、阻害する、抑止する、またはそれに干渉する分子である。いくつかの実施形態では、PD−L1結合アンタゴニストは、PD−L1とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD−L1結合アンタゴニストは、PD−L1とPD−1及び/またはB7−1との結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD−L1結合アンタゴニストとしては、PD−L1とその結合パートナーの1つ以上、例えばPD−1、B7−1などとの相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、ブロックする、阻害する、抑止する、またはそれに干渉する抗PD−L1抗体、それらの抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド及びその他の分子が挙げられる。一実施形態では、PD−L1結合アンタゴニストは、機能不全T細胞の機能不全を低減させる(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD−L1を介してシグナル伝達を媒介したTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質により、またはそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを減少させる。いくつかの実施形態では、PD−L1結合アンタゴニストは抗PD−L1抗体である。特定の態様では、抗PD−L1抗体は、本明細書に記載されるYW243.55.S70である。別の特定の態様では、抗PD−L1抗体は、本明細書に記載されるMDX−1105である。さらに別の特定の態様では、抗PD−L1抗体は、本明細書に記載されるMPDL3280A(アテゾリズマブ)である。
【0026】
「PD−L2結合アンタゴニスト」という用語は、PD−L2とその結合パートナーのいずれか1つ以上、例えばPD−1などとの相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、ブロックする、阻害する、抑止する、またはそれに干渉する分子である。いくつかの実施形態では、PD−L2結合アンタゴニストは、PD−L2とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD−L2結合アンタゴニストは、PD−L2とPD−1との結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD−L2アンタゴニストとしては、PD−L2とその結合パートナーのいずれか1つ以上、例えばPD−1などとの相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、ブロックする、阻害する、抑止する、またはそれに干渉する抗PD−L2抗体、それらの抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド及びその他の分子が挙げられる。一実施形態では、PD−L2結合アンタゴニストは、機能不全T細胞の機能不全を低減させる(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD−L2を介してシグナル伝達を媒介したTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質により、またはそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを減少させる。いくつかの実施形態では、PD−L2結合アンタゴニストはイムノアドヘシンである。
【0027】
免疫機能不全の文脈における「機能不全」という用語は、抗原刺激に対して免疫応答性が減少した状態を指す。この用語は、抗原認識が起こる場合もあるが、その後の免疫応答は、感染または腫瘍成長の制御に効果がない疲弊及び/またはアネルギーの両方の共通要素を含む。
【0028】
「機能不全性」という用語は、本明細書で使用する場合、抗原認識に対する不応性または不応答性、特に下流のT細胞エフェクター機能、例えば増殖、サイトカイン産生(例えば、IL−2)及び/または標的細胞死滅などに抗原認識を翻訳する能力の障害も含む。
【0029】
「アネルギー」という用語は、T細胞受容体を介して送達される不完全または不十分なシグナルに起因する、抗原刺激に対する不応答状態を指す(例えば、ras活性化の不存在下における細胞内Ca
+2の増加)。T細胞アネルギーはまた、共刺激の不存在下における抗原での刺激時に生じ得、共刺激との関連においてさえ、抗原によるその後の活性化に対して細胞が不応性になる。不応答状態は、多くの場合にインターロイキン2の存在によって覆され得る。アネルギーT細胞はクローン性増殖しない、及び/またはエフェクター機能を獲得しない。
【0030】
「疲弊」という用語は、多くの慢性感染症及び癌の間に発生する持続的なTCRシグナル伝達から生じるT細胞機能不全状態としてのT細胞疲弊を指す。疲弊は、不完全または不十分なシグナル伝達を介してではなく、持続的なシグナル伝達から生じるという点でアネルギーとは区別される。疲弊は、エフェクター機能の不良、阻害性受容体の持続発現、及び機能的エフェクターまたはメモリーT細胞の状態とは異なる転写状態により定義される。疲弊は、感染及び腫瘍の最適制御を妨げる。疲弊は、外因性の負の制御経路(例えば、免疫調節サイトカイン)ならびに細胞内因性の負の制御(共刺激)経路(PD−1、B7−H3、B7−H4など)の両方に起因し得る。
【0031】
「T細胞機能を増強すること」とは、生物学的機能を持続もしくは増幅するためにT細胞を誘導、誘発もしくは刺激すること、または疲弊もしくは不活性T細胞を回復もしくは再活性化することを意味する。T細胞機能を増強することの例としては、介入前の次のレベルと比較した、CD8
+T細胞からのγ−インターフェロンの分泌増加、増殖増加、抗原応答性(例えば、ウイルス、病原体、または腫瘍クリアランス)増加が挙げられる。一実施形態では、増強のレベルは、少なくとも50%、あるいは60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、または200%である。この増強を測定する手法は、当業者に既知である。
【0032】
「T細胞の機能不全障害」は、抗原刺激に対する応答性の低下を特徴とするT細胞の障害または状態である。特定の実施形態では、T細胞の機能不全障害は、特にPD−1を介する不適切なシグナル伝達の増加に関連する障害である。別の実施形態では、T細胞の機能不全障害は、T細胞がアネルギー性である、またはサイトカインを分泌する能力、増殖する能力、もしくは細胞溶解活性を実行する能力の低下した障害である。特定の態様では、応答性の低下は、免疫原を発現する病原体または腫瘍に対して効果のない制御をもたらす。T細胞機能不全を特徴とするT細胞の機能不全障害の例としては、未解決の急性感染症、慢性感染症及び腫瘍免疫が挙げられる。
【0033】
「腫瘍免疫」は、腫瘍が免疫認識及びクリアランスを回避するプロセスを指す。したがって、治療概念として、腫瘍免疫はこのような回避が弱められる場合に「処置され」、腫瘍は免疫系によって認識及び攻撃される。腫瘍認識の例としては、腫瘍結合、腫瘍縮小及び腫瘍クリアランスが挙げられる。
【0034】
「免疫原性」は、免疫応答を誘発する特定の物質の能力を指す。腫瘍は免疫原性であり、腫瘍免疫原性の増強が免疫応答による腫瘍細胞のクリアランスに役立つ。腫瘍免疫原性の増強の例としては、抗PDL抗体及びMEK阻害剤での処置が挙げられる。
【0035】
「持続応答」は、処置の中止後における腫瘍成長の減少に対する持続効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与フェーズの開始時におけるサイズと比較して同じまま、またはより小さくなる場合がある。いくつかの実施形態では、持続応答は、少なくとも処置期間と同じ期間、または処置期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍、もしくは3.0倍の長さの期間を有する。
【0036】
本明細書で使用する場合、「癌」及び「癌性」は、典型的には無秩序な細胞成長を特徴とする哺乳動物の生理学的状態を指す、またはそれについて記載する。良性及び悪性の癌ならびに休止腫瘍または微小転移が本定義に含まれる。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。このような癌のより具体的な例としては、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌または胃の癌(胃腸癌を含む)、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーマ、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎癌または腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌腫及び様々な種類の頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);有毛細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;及び移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫(脳腫瘍と関連するものなど)、及びメイグス症候群と関連する異常な血管増殖が挙げられるが、これらに限定されない。癌の例としては、上記癌型のいずれかの原発性腫瘍または上記癌型のいずれかに由来する二次部位における転移性腫瘍を含んでよい。
【0037】
「抗体」という用語は、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する全長抗体を含む)、多エピトープ特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、及び単鎖分子、ならびに抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)
2、及びFv)を含む。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書において「抗体」と同じ意味で使用される。
【0038】
基本的な4鎖抗体単位は、2本の同一軽(L)鎖と2本の同一重(H)鎖で構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、J鎖と呼ばれる付加的なポリペプチドと共に5つの基本的なヘテロ四量体単位から成り、10の抗原結合部位を含有する一方で、IgA抗体は、重合しJ鎖と組み合わされて多価集合体を形成することができる2〜5つの基本的な4鎖単位を含む。IgGの場合には、4鎖単位は一般に約150,000ダルトンである。各L鎖が1つの共有ジスルフィド結合によりH鎖に連結される一方で、2本のH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合により互いに連結される。各H鎖及びL鎖はまた、規則的に間隔を空けて鎖内ジスルフィド架橋を有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(V
H)を有し、これにα鎖及びγ鎖の各々には3つの定常ドメイン(C
H)が、ならびにμ及びεアイソタイプには4つのC
Hドメインが続く。各L鎖はN末端に可変ドメイン(V
L)を有し、その他端に定常ドメインが続く。V
LはV
Hと整列され、C
Lは重鎖の第1定常ドメイン(C
H1)と整列される。特定のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖の可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。V
HとV
Lは対になって、互いに単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Edition,Daniel P.Sties,Abba I.Terr and Tristram G.Parsolw(eds),Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994、71頁及び第6章を参照のこと。任意の脊椎動物種からのL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる、明らかに異なる2種のうち一方に割り当てられ得る。それらの重鎖定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てられ得る。免疫グロブリンの5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、それぞれα、δ、ε、γ及びμと称される重鎖を有する。γ及びαクラスは、CH配列及び機能における比較的わずかな差異に基づいてさらにサブクラスに分類され、例えばヒトは、次のサブクラス:IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を発現する。
【0039】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ「VH」及び「VL」と称される場合もある。これらのドメインは一般に、(同じクラスのその他の抗体と比較して)抗体の最も可変な部分であり、抗原結合部位を含有する。
【0040】
「可変」という用語は、可変ドメインのある種のセグメントでは、抗体中の配列が大幅に異なるという事実を指す。Vドメインは抗原結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原への特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメインの全範囲にわたって均一に分布している訳ではない。むしろ、それは軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方における超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存される部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々4つのFR領域を含み、これは、ベータシート構造に連結して場合によりその一部を形成しているループを形成する3つのHVRが連結した、ベータシート配置を主にとる。各鎖のHVRは、FR領域により互いに近接して保持され、他方の鎖のHVRと共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照のこと)。定常ドメインは、抗体と抗原との結合に直接関与することはないが、様々なエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞毒性における抗体の関与などを示す。
【0041】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用する場合、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち集団に含まれる個々の抗体が同一であって、少量で存在する場合もある天然に存在する可能性がある変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除く。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向される。異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体はハイブリドーマ培養により合成され、その他の免疫グロブリンにより汚染されないという点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体の集団から得られるような抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、様々な技術、例えばハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein.,Nature,256:495−97(1975);Hongo et al.,Hybridoma,14(3):253−260(1995),Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2
nd ed.1988);Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas 563−681(Elsevier,N.Y.,1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号明細書を参照のこと)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson et al.,Nature,352:624−628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1992);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1−2):119−132(2004)を参照のこと)、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座またはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部または全てを有する動物において、ヒト抗体またはヒト様抗体を産生するための技術(例えば、WO 1998/24893;WO 1996/34096;WO 1996/33735;WO 1991/10741;Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255−258(1993);Bruggemann et al.,Year in Immunol.7:33(1993);米国特許第5,545,807号明細書;第5,545,806号明細書;第5,569,825号明細書;第5,625,126号明細書;第5,633,425号明細書;及び第5,661,016号明細書;Marks et al.,Bio/Technology 10:779−783(1992);Lonberg et al.,Nature 368:856−859(1994);Morrison,Nature 368:812−813(1994);Fishwild et al.,Nature Biotechnol.14:845−851(1996);Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996);ならびにLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65−93(1995)を参照のこと)を含む技術によって作製されてよい。
【0042】
「ネイキッド抗体」という用語は、細胞傷害性部分または放射性標識と複合化されていない抗体を指す。
【0043】
「全長抗体」、「インタクトな抗体」または「全抗体」という用語は同じ意味で使用され、抗体断片とは対照的にその実質的にインタクトな形態での抗体を指す。特に、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそれらのアミノ酸配列バリアントであってよい。いくつかの場合には、インタクトな抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有してよい。
【0044】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合領域及び/または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)
2及びFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体(米国特許第5,641,870号明細書、実施例2;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057−1062[1995]を参照のこと);単鎖抗体分子ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一抗原結合断片、及びその名称が容易に結晶化する能力を反映している残りの「Fc」断片が産生された。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(V
H)、及び1本の重鎖の第1定常ドメイン(C
H1)と共にL鎖全体から成る。各Fab断片は抗原結合に対して一価である、すなわち、それは単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、単一の大きなF(ab’)
2断片が生成され、これは異なる抗原結合活性を有する2つのジスルフィド連結Fab断片にほぼ相当し、なお抗原を架橋できる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む、C
H1ドメインのカルボキシ末端にいくつかの追加残基を有することによりFab断片とは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインの1つ以上のシステイン残基が遊離チオール基を担持するFab’の本明細書における名称である。F(ab’)
2抗体断片は元々、Fab’断片の間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片のその他の化学結合もまた既知である。
【0045】
Fc断片は、ジスルフィドにより互いに保持される両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能はFc領域における配列により決定され、この領域はまた、ある種の細胞型で見られるFc受容体(FcR)により認識される。
【0046】
「Fv」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。この断片は、強力な非共有会合で1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインとの二量体から成る。これら2つのドメインの折り畳みから6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖から各々3つのループ)が生じ、これは抗原結合のためにアミノ酸残基を提供し、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも親和性は低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0047】
「sFv」または「scFv」とも略される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に連結されるV
H及びV
L抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合に望ましい構造を形成することができるポリペプチドリンカーをV
HドメインとV
Lドメインとの間にさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照のこと。
【0048】
本発明の抗体の「機能的断片」はインタクトな抗体の一部を含み、一般にインタクトな抗体の抗原結合領域もしくは可変領域または改変されたFcR結合能を保持する、もしくは改変されたFcR結合能を有する抗体のFc領域を含む。抗体断片の例としては、直鎖状抗体、単鎖抗体分子及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0049】
「ダイアボディ」という用語は、Vドメインの鎖内ではなく鎖間で対を成し、それによって二価断片、すなわち2つの抗原結合部位を有する断片をもたらすように、V
HドメインとV
Lドメインとの間に短いリンカー(約5〜10残基)を有するsFv断片(前述の段落を参照のこと)を構築することにより調製される小さな抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディは、2つの「クロスオーバー」sFv断片のヘテロ二量体であり、2つの抗体のV
H及びV
Lドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する。ダイアボディは、例えばEP404,097;WO 93/11161;Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)でさらに詳細に記載されている。
【0050】
本明細書におけるモノクローナル抗体は、重鎖及び/または軽鎖の一部が特定の種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である一方で、1本以上の鎖の残部が別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびにこのような抗体の断片が所望の生物活性を示す限り、これらの断片を特に含む(米国特許第4,816,567号明細書;Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984))。本明細書において関心対象のキメラ抗体としては、抗体の抗原結合領域が、例えばマカクザルを関心対象の抗原で免疫化することにより産生される抗体に由来する、PRIMATIZED(登録商標)抗体が挙げられる。本明細書で使用する場合、「ヒト化抗体」は「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0051】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。一実施形態では、ヒト化抗体は、レシピエントのHVR(以下で定義される)からの残基が、所望の特異性、親和性、及び/または能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えばマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などのHVRからの残基により置換される、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(「FR」)残基は、対応する非ヒト残基により置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体でまたはドナー抗体で見られない残基を含んでよい。これらの修飾は、結合親和性などの抗体の性能をさらに改良するために行われてよい。一般に、ヒト化抗体は少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの全てを実質的に含み、そのドメイン中では超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリン配列のそれらに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のそれらに対応するだろうが、FR領域は抗体の性能、例えば結合親和性、異性化、免疫原性などを改善する1つ以上の個々のFR残基置換を含んでよい。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は、典型的にはH鎖において6つ以下、L鎖においては3つ以下である。ヒト化抗体はまた、場合により免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含むだろう。さらなる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323−329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照のこと。また例えば、Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma & Immunol.1:105−115(1998);Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035−1038(1995);Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428−433(1994);ならびに米国特許第6,982,321号明細書及び第7,087,409号明細書を参照のこと。
【0052】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、及び/または本明細書で開示されるようなヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製された抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当該技術分野において既知の様々な技術を使用して産生され得る。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。また、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能なのは、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86−95(1991)に記載されている方法である。van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368−74(2001)も参照のこと。ヒト抗体は、抗原投与に応答してこのような抗体を産生するように改変されているが、その内因性遺伝子座が不活性化されているトランスジェニック動物、例えば免疫化キセノマウス(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号明細書及び第6,150,584号明細書を参照のこと)に抗原を投与することにより調製され得る。また例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体に関する、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557−3562(2006)を参照のこと。
【0053】
「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、本明細書で使用する場合、配列において超可変である、及び/または構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に抗体は、6つのHVR:VHに3つ(H1、H2、H3)、及びVLに3つ(L1、L2、L3)を含む。天然抗体では、H3及びL3は6つのHVRのうち最大の多様性を示し、特にH3は抗体に微細特異性を付与するという特有の役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al.,Immunity 13:37−45(2000);Methods in Molecular Biology 248:1−25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)のJohnson及びWuを参照のこと。事実、重鎖のみから成る天然に存在するラクダ抗体は、軽鎖の不存在下で機能的かつ安定している。例えば、Hamers−Casterman et al.,Nature 363:446−448(1993);Sheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733−736(1996)を参照のこと。
【0054】
多数のHVRの描写が使用され、これらは本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づいて、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置に言及している(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987))。AbM HVRは、KabatのHVRとChothiaの構造的ループとの折衷案を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアで使用される。「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらHVRの各々の残基を以下に記述する。
ループ Kabat AbM Chothia 接触
L1 L24−L34 L24−L34 L26−L32 L30−L36
L2 L50−L56 L50−L56 L50−L52 L46−L55
L3 L89−L97 L89−L97 L91−L96 L89−L96
H1 H31−H35B H26−H35B H26−H32 H30−H35B(Kabat番号付け)
H1 H31−H35 H26−H35 H26−H32 H30−H35(Chothia番号付け)
H2 H50−H65 H50−H58 H53−H55 H47−H58
H3 H95−H102 H95−H102 H96−H101 H93−H101
【0055】
HVRは、以下の通り「拡張HVR」を含む場合がある:VLにおいて24〜36または24〜34(L1)、46〜56または50〜56(L2)及び89〜97または89〜96(L3)ならびにVHにおいて26〜35(H1)、50〜65または49〜65(H2)及び93〜102、94〜102、または95〜102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について上記Kabatらに従って番号付けされる。
【0056】
「Kabatにおけるような可変ドメイン残基番号付け」または「Kabatにおけるようなアミノ酸位置番号付け」という表現、及びその変化形は、上記Kabatらにおける抗体の編集物の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用すると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはHVRの短縮、またはそれへの挿入に対応して、より少ないまたは追加のアミノ酸を含有する場合がある。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatによれば残基52a)、及び重鎖FR残基82の後に挿入残基(例えば、Kabatによれば残基82a、82b、及び82cなど)を含む場合がある。残基のKabat番号付けは、「標準的な」Kabat番号付け配列を有する抗体配列の相同領域でのアラインメントにより、所与の抗体について決定されてよい。
【0057】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で定義されるようなHVR残基以外のこれらの可変ドメイン残基である。
【0058】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」または「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択物において、最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択物は、可変ドメイン配列のサブグループからのものである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5
th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)におけるようなサブグループである。例としてはVLについてのものが挙げられ、サブグループは、上記KabatらにおけるようなサブグループカッパI、カッパII、カッパIIIまたはカッパIVであってよい。さらにVHについては、サブグループは、上記KabatらにおけるようなサブグループI、サブグループII、またはサブグループIIIであってよい。あるいは、ヒトコンセンサスフレームワークは、特定の残基、例えばヒトフレームワーク残基が、ドナーフレームワーク配列を様々なヒトフレームワーク配列の群と整列させることにより、ドナーフレームワークに対するその相同性に基づいて選択される場合などの上記の残基に由来し得る。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含む場合がある、または既存のアミノ酸配列変化を含有する場合がある。いくつかの実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。
【0059】
「VHサブグループIIIコンセンサスフレームワーク」は、上記Kabatらの可変重鎖サブグループIIIにおけるアミノ酸配列から得られたコンセンサス配列を含む。一実施形態では、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークのアミノ酸配列は、以下の各配列の少なくとも一部または全てを含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(HC−FR1)(配列番号:4)、WVRQAPGKGLEWV(HC−FR2)(配列番号:5)、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(HC−FR3、配列番号:6)、WGQGTLVTVSA(HC−FR4)(配列番号:7)。
【0060】
「VLカッパIコンセンサスフレームワーク」は、上記Kabatらの可変軽鎖カッパサブグループIにおけるアミノ酸配列から得られたコンセンサス配列を含む。一実施形態では、VHサブグループIコンセンサスフレームワークのアミノ酸配列は、以下の各配列の少なくとも一部または全てを含む:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(LC−FR1)(配列番号:11)、WYQQKPGKAPKLLIY(LC−FR2)(配列番号:12)、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(LC−FR3)(配列番号:13)、FGQGTKVEIKR(LC−FR4)(配列番号:14)。
【0061】
特定の位置に、例えばFc領域の「アミノ酸修飾」は、特定の残基の置換もしくは欠失、または特定の残基に隣接する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を指す。特定の残基に「隣接する」挿入とは、その1〜2つの残基内への挿入を意味する。挿入は、特定の残基に対してN末端またはC末端であってよい。本明細書において好ましいアミノ酸修飾は置換である。
【0062】
「親和性成熟」抗体は、抗原に対する抗体の親和性を改善する変化を1つも有しない親抗体と比較して、抗体の1つ以上のHVRに1つ以上の変化を有する抗体である。一実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルあるいはピコモル親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野において既知の手順によって産生される。例えば、Marksら、Bio/Technology 10:779−783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載している。HVR及び/またはフレームワーク残基のランダム変異誘発は、例えば、Barbas et al.Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809−3813(1994);Schier et al.Gene 169:147−155(1995);Yelton et al.J.Immunol.155:1994−2004(1995);Jackson et al.,J.Immunol.154(7):3310−9(1995);及びHawkins et al,J.Mol.Biol.226:889−896(1992)で記載されている。
【0063】
本明細書で使用する場合、「に特異的に結合する」または「に特異的」であるという用語は、測定可能かつ再現可能な相互作用、例えば標的と抗体との間の結合などを指し、これは生体分子を含む分子の異種集団の存在下において標的の存在を決定する。例えば、標的(エピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、この抗体がその他の標的に結合するよりも高い親和性、結合活性、さらなる容易性、及び/またはより長い期間で、この標的と結合する抗体である。一実施形態では、抗体と無関係な標的との結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)により測定した場合、抗体と標的との結合の約10%未満である。ある種の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、または≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。ある種の実施形態では、抗体は、異なる種からのタンパク質中に保存されているタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合は排他的結合を含み得るが、必ずしもその必要はない。
【0064】
本明細書で使用する場合、「イムノアドヘシン」という用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能を組み合わせる抗体様分子を示す。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位以外の(すなわち「異種」である)所望の結合特異性を有するアミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合体を含む。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的には少なくとも受容体またはリガンドの結合部位を含む連続アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、任意の免疫グロブリン、例えばIgG−1、IgG−2(IgG2A及びIgG2Bを含む)、IgG−3、もしくはIgG−4サブタイプ、IgA(IgA−1及びIgA−2を含む)、IgE、IgDまたはIgMなどから得られてよい。Ig融合体は、好ましくはIg分子内の少なくとも1つの可変領域の代わりに、本明細書に記載されるポリペプチドまたは抗体のドメインの置換を含む。特に好ましい実施形態では、免疫グロブリン融合体は、IgG1分子のヒンジ、CH2及びCH3領域、またはヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の製造については、1995年6月27日発行の米国特許第5,428,130号明細書も参照のこと。例えば、本明細書における併用療法に有用な第2医薬として有用なイムノアドヘシンとしては、免疫グロブリン配列の定常ドメインに融合される、PD−L1もしくはPD−L2の細胞外もしくはPD−1結合部分、またはPD−1の細胞外もしくはPD−L1もしくはPD−L2結合部分、例えば、それぞれPD−L1 ECD−Fc、PD−L2 ECD−Fc、及びPD−1 ECD−Fcなどを含むポリペプチドが挙げられる。Ig Fcと細胞表面受容体のECDとのイムノアドヘシン結合体は、可溶性受容体と称される時もある。
【0065】
「融合タンパク質」及び「融合ポリペプチド」は、互いに共有結合した2つの部分を有するポリペプチドを指し、部分の各々が異なる特性を有するポリペプチドである。特性は生物学的特性、例えばインビトロまたはインビボでの活性などであってよい。特性はまた、単純な化学的または物理学的特性、例えば標的分子への結合、反応の触媒作用などであってよい。2つの部分は単一のペプチド結合によって、またはペプチドリンカーを介して直接連結されてよいが、互いにリーディングフレーム内に存在する。
【0066】
「PD−1オリゴペプチド」、「PD−L1オリゴペプチド」、または「PD−L2オリゴペプチド」は、それぞれPD−1、PD−L1またはPD−L2の負の共刺激ポリペプチドに、好ましくは特異的に結合するオリゴペプチドであり、それぞれ本明細書に記載されるような受容体、リガンドまたはシグナル伝達成分を含む。このようなオリゴペプチドは、既知のオリゴペプチド合成法を使用して化学的に合成されてよい、または組換え技術を使用して調製及び精製されてよい。このようなオリゴペプチドは通常、少なくとも約5アミノ酸長、あるいは少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100アミノ酸長以上である。このようなオリゴペプチドは、周知の技術を使用して同定されてよい。この点に関して、ポリペプチド標的に特異的に結合することができるオリゴペプチドについて、オリゴペプチドライブラリーをスクリーニングするための技術が、当該技術分野において周知であることに留意する(例えば、米国特許第5,556,762号明細書、第5,750,373号明細書、第4,708,871号明細書、第4,833,092号明細書、第5,223,409号明細書、第5,403,484号明細書、第5,571,689号明細書、第5,663,143号明細書;PCT公開第WO 84/03506号パンフレット及び第WO 84/03564号パンフレット;Geysen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81:3998−4002(1984);Geysen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,82:178−182(1985);Geysen et al.,in Synthetic Peptides as Antigens,130−149(1986);Geysen et al.,J.Immunol.Meth.,102:259−274(1987);Schoofs et al.,J.Immunol.,140:611−616(1988),Cwirla,S.E.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6378(1990);Lowman,H.B.et al.Biochemistry,30:10832(1991);Clackson,T.et al.Nature,352:624(1991);Marks,J.D.et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991);Kang,A.S.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:8363(1991)、ならびにSmith,G.P.,Current Opin.Biotechnol.,2:668(1991)を参照のこと)。
【0067】
「ブロッキング」抗体または「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物活性を阻害または減少させる抗体である。いくつかの実施形態では、ブロッキング抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を実質的にまたは完全に阻害する。本発明の抗PD−L1抗体は、抗原刺激に対する機能不全状態から、T細胞による機能的応答(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死滅)を回復するように、PD−1を介するシグナル伝達をブロックする。
【0068】
「アゴニスト」抗体または活性化抗体は、それが結合する抗原によるシグナル伝達を増強または開始する抗体である。いくつかの実施形態では、アゴニスト抗体は、天然リガンドの不存在下でシグナル伝達を誘発または活性化する。
【0069】
本明細書における「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用され、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化する場合があるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226位のアミノ酸残基から、またはPro230からそのカルボキシル末端に伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによれば残基447)は、例えば抗体の産生もしくは精製中に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することにより除去されてよい。したがって、インタクトな抗体の組成物は、全てのK447残基を除去した抗体集団、K447残基を1つも除去していない抗体集団、及びK447残基を有する抗体と有しない抗体との混合物を有する抗体集団を含んでよい。本発明の抗体に使用するための好適な天然配列Fc領域としては、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3及びIgG4が挙げられる。
【0070】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体について記載する。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体と結合する受容体(ガンマ受容体)であり、このFcRとしては、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体が挙げられ、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び選択的スプライシング型を含み、FcγRII受容体としては、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が挙げられ、これらは主としてその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含有する。(M.Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)を参照のこと。)FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457−92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25−34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)で概説されている。将来的に同定されるものを含む、その他のFcRが本明細書の「FcR」という用語に包含される。
【0071】
「Fc受容体」または「FcR」という用語はまた、新生児受容体であるFcRnを含み、これは胎児への母体IgGの移動に関与する。Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994)。FcRnへの結合性を測定する方法は、既知である(例えば、Ghetie and Ward,Immunol.Today 18:(12):592−8(1997);Ghetie et al.,Nature Biotechnology 15(7):637−40(1997);Hinton et al.,J.Biol.Chem.279(8):6213−6(2004);WO 2004/92219(Hinton et al.)を参照のこと)。ヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの、インビボでのFcRnへの結合性及び血清半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスもしくはトランスフェクトヒト細胞株で、またはバリアントFc領域を有するポリペプチドを投与した霊長類でアッセイされ得る。WO 2004/42072(Presta)は、FcRへの結合性を改善または減少させた抗体バリアントについて記載している。また例えば、Shields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591−6604(2001)を参照のこと。
【0072】
「実質的に減少した」、または「実質的に異なる」という語句は、本明細書で使用する場合、2つの数値(一般に一方は分子に関連し、他方は参照/比較分子に関連する)の間の十分に大きな差異を示し、その結果、当業者は値(例えば、Kd値)により測定される生物学的特徴との関連の中で、2つの値の間に統計的に有意な差異があると考えるだろう。2つの値の間の差異は、例えば、参照/比較分子の値の関数として、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、及び/または約50%超である。
【0073】
「実質的に類似した」または「実質的に同じ」という語句は、本明細書で使用する場合、2つの数値(例えば、一方は本発明の抗体に関連し、他方は参照/比較抗体に関連する)の間の十分に大きな類似性を示し、その結果、当業者は値(例えば、Kd値)により測定される生物学的特徴との関連の中で、2つの値の間に生物学的及び/または統計的に有意な差異が、ほとんどまたは全くないと考えるだろう。2つの値の間の差異は、例えば、参照/比較値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/または約10%未満である。
【0074】
本明細書で使用する場合「担体」は、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含み、これらは用いられる投与量及び濃度でそれらに曝露される細胞または哺乳動物にとって非毒性である。多くの場合、生理学的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容される担体の例としては、緩衝液、例えばリン酸塩、クエン酸塩、及びその他の有機酸など;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンなど;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジンなど;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、及びその他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTAなど;糖アルコール、例えばマンニトールもしくはソルビトールなど;塩形成対イオン、例えばナトリウムなど;ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)などが挙げられる。
【0075】
「添付文書」は、医薬の商品包装に通例含まれる指示についての情報を含有する、医薬の商品包装に通例含まれる説明書を指し、このような医薬などの使用に関する指示、使用方法、投与量、投与、禁忌、包装製品と組み合わされるその他の医薬、及び/または注意事項についての情報を含有する。
【0076】
本明細書で使用する場合、「処置」という用語は、臨床病理の過程において処置される個体または細胞の自然経過を変化させるように設計された臨床的介入を指す。処置の望ましい効果としては、疾患進行速度を低下させること、疾患状態を改善または軽減すること、及び寛解または予後の改善が挙げられる。例えば、癌に関連した1つ以上の症状が軽減または排除される場合、個体は成功裏に「処置され」、これには癌細胞の増殖を減少させること(または破壊すること)、疾患に起因する症状を低減させること、疾患に罹患している患者の生活の質を向上させること、疾患を処置するのに必要なその他の薬剤用量を低減させること、疾患の進行を遅延させること、及び/または個体の生存を長期化することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書で使用する場合、「疾患の進行を遅延させること」とは、疾患(癌など)の発症を先延ばしにする、妨げる、遅くする、遅らせる、安定させる、及び/または延期することを意味する。この遅延は、処置される疾患及び/または個体の病歴に応じて、異なる時間の長さであり得る。当業者には明らかであるように、十分なまたは有意な遅延は、個体が疾患を発症しないという点で事実上予防を包含し得る。例えば、転移の発生などの進行期癌が遅延されてよい。
【0078】
本明細書で使用する場合、「癌の再発を減少させるまたは阻害すること」とは、腫瘍もしくは癌の再発または腫瘍もしくは癌の進行を減少させるまたは阻害することを意味する。本明細書で開示される場合、癌の再発及び/または癌の進行としては癌の転移が挙げられるが、これに限定されない。
【0079】
「有効量」は、少なくとも、特定の障害の測定可能な改善または予防をもたらすのに必要な最小濃度である。本明細書における有効量は、要因、例えば患者の疾患状態、年齢、性別、及び体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する抗体の能力などによって変動してよい。有効量はまた、処置のあらゆる毒性または有害効果を、治療的に有益な効果が上回る量である。予防的使用について、有益なまたは所望の結果としては、リスクを排除もしくは減少させること、重症度を低下させること、または疾患の生化学的症状、組織学的症状及び/もしくは行動症状、その合併症ならびに疾患の発症中に現れる中間病理学的表現型を含む、疾患の発症を遅延させることなどの結果が挙げられる。治療的使用について、有益なまたは所望の結果としては、疾患に起因する1つ以上の症状を低減させること、疾患に罹患している患者の生活の質を向上させること、疾患を処置するのに必要なその他の薬剤用量を低減させること、標的化によるなどの別の薬剤効果を増強すること、疾患の進行を遅延させること、及び/または生存を長期化することなどの臨床結果が挙げられる。癌または腫瘍の場合、有効量の薬物は、癌細胞数を減少させること;腫瘍サイズを減少させること;末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害すること(すなわち、ある程度遅くする、または望ましくは停止させる);腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度遅くする、及び望ましくは停止させる);腫瘍成長をある程度阻害すること;及び/または障害と関連する症状のうち1つ以上をある程度緩和することに効果を有する場合がある。有効量は、1回以上の投与において投与され得る。本発明のために、有効量の薬物、化合物、または医薬組成物は、直接的または間接的のいずれかで予防的または治療的処置を行うのに十分な量である。臨床状況において理解されるように、有効量の薬物、化合物、または医薬組成物は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と組み合わせて得られても、または得られなくともよい。したがって、「有効量」は1種以上の治療剤を投与することに関連すると考えられてよく、単剤は1種以上のその他の薬剤と組み合わせて望ましい結果を得る可能性がある、または得る場合に、有効量で投与されていると考えられてよい。
【0080】
本明細書で使用する場合、「と組み合わせて」は、1つの処置様式に別の処置様式を加えた投与を指す。したがって、「と組み合わせて」は、1つの処置様式を、個体に他方の処置様式を投与する前に、その間に、またはその後に投与することを指す。
【0081】
本明細書で使用する場合、「完全奏効」または「CR」は全ての標的病変の消失を指し;「部分奏効」または「PR」は、ベースラインSLDを参照として取得し、標的病変の最長径の和(SLD)の少なくとも30%の減少を指し;「安定疾患」または「SD」は、処置を開始してから最小のSLDを参照として取得し、PRに該当するには標的病変の十分な縮小がなく、PDに該当するには十分な増加もないことを指す。
【0082】
本明細書で使用する場合、「進行性疾患」または「PD」は、処置を開始してから、または1つ以上の新たな病変の存在下で記録された最小のSLDを参照として取得し、標的病変のSLDにおける少なくとも20%の増加を指す。
【0083】
本明細書で使用する場合、「無増悪生存期間」(PFS)は、処置される疾患(例えば、癌)が悪化しない間の処置中及び処置後の期間の長さを指す。無増悪生存期間は、患者が完全奏効または部分奏効状態となっている期間、ならびに患者が安定疾患状態となっている期間を含んでよい。
【0084】
本明細書で使用する場合、「全奏効率」(ORR)は、完全奏効(CR)率及び部分奏効(PR)率の和を指す。
【0085】
本明細書で使用する場合、「全生存」は特定の期間後に生存している可能性がある、群内の個体のパーセンテージを指す。
【0086】
「化学療法剤」は、癌の処置に有用な化学化合物である。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))など;スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなど;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパなど;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロールメラミンを含む、エチレンイミン及びメチルメラミン;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;ペメトレキセド;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシンの合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;TLK−286;CDP323、すなわち経口アルファ−4インテグリン阻害剤;サルコジクチイン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなど;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンオメガI1(例えば、Nicolaou et al.,Angew.Chem Intl.Ed.Engl.,33:183−186(1994)を参照のこと);ダイネミシンAを含む、ダイネミシン;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射剤(DOXIL(登録商標))及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンCなど、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサート、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、テガフール(UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、エポチロン、及び5−フルオロウラシル(5−FU)など;葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど;プリン類似体、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、及びイマチニブ(2−フェニルアミノピリミジン誘導体)、ならびにその他のc−Kit阻害剤など;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど;葉酸補充剤、例えばフォリン酸など;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エフロルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えばメイタンシン及びアンサミトシンなど;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、ユージーン、オレゴン州);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(ABRAXANE(商標))、及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標));クロラムブシル;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチン及びカルボプラチンなど;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボリン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸など;上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体;ならびに上記のうち2種以上の組み合わせ、例えばCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法についての略語)、及びFOLFOX(オキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を5−FU及びロイコボリンと組み合わせた処置レジメンについての略語)などが挙げられる。
【0087】
化学療法剤の追加の例としては、癌の成長を促進し得るホルモン効果を制御する、減少させる、ブロックする、または阻害するように機能する抗ホルモン剤が挙げられ、多くの場合に全身性、すなわち全身処置の形態である。それらはホルモンそれ自体であってよい。例としては、抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(FARESTON(登録商標))を含み;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(ERD);エストロゲン受容体アンタゴニスト、例えばフルベストラント(FASLODEX(登録商標))など;卵巣を抑制または停止させるように機能する薬剤、例えば黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、例えば酢酸ロイプロリド(LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標))、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリン及びトリプトレリンなど;抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド及びビカルタミドなど;ならびに副腎でエストロゲン産生を制御する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(MEGASE(登録商標))、エキセメスタン(AROMASIN(登録商標))、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(RIVISOR(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、及びアナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))などが挙げられる。加えて、化学療法剤のこのような定義は、ビスホスホネート、例えばクロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE−58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、またはリセドロネート(ACTONEL(登録商標))など;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に接着細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC−アルファ、Raf、H−Ras、及び上皮成長因子受容体(EGF−R)など;ワクチン、例えばTHERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子療法ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチンなど;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、LURTOTECAN(登録商標));抗エストロゲン、例えばフルベストラントなど;Kit阻害剤、例えばイマチニブまたはEXEL−0862(チロシンキナーゼ阻害剤)など;EGFR阻害剤、例えばエルロチニブまたはセツキシマブなど;抗VEGF阻害剤、例えばベバシズマブなど;イリノテカン;rmRH(例えば、ABARELIX(登録商標));ラパチニブ及びラパチニブジトシレート(GW572016としても知られるErbB−2及びEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤);17AAG(熱ショックタンパク質(Hsp)90毒であるゲルダナマイシン誘導体)、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含む。
【0088】
本明細書で使用する場合、「サイトカイン」という用語は1つの細胞集団から放出されるタンパク質を一般的に指し、これは別の細胞に対して細胞間メディエータとして作用する、またはタンパク質を産生する細胞に対する自己分泌作用を有する。このようなサイトカインの例としては、リンホカイン、モノカイン;インターロイキン(「IL」)、例えばIL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−17A〜F、IL−18〜IL−29(IL−23など)、IL−31などで、PROLEUKIN(登録商標)rIL−2を含み;腫瘍壊死因子、例えばTNF−αまたはTNF−β、TGF−β1〜3など;ならびに白血病抑制因子(「LIF」)、毛様体神経栄養因子(「CNTF」)、CNTF様サイトカイン(「CLC」)、カルジオトロフィン(「CT」)、及びkitリガンド(「KL」)を含む、その他のポリペプチド因子が挙げられる。
【0089】
本明細書で使用する場合、「ケモカイン」という用語は、白血球の走化性及び活性化を選択的に誘導する能力を有する可溶性因子(例えば、サイトカイン)を指す。それらはまた、血管新生、炎症、創傷治癒、及び腫瘍形成のプロセスを誘導する。例示的なケモカインとしては、IL−8、すなわちマウスケラチノサイト化学誘引物質(KC)のヒトホモログが挙げられる。
【0090】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「or」、及び「the」は、その内容に別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0091】
本明細書における「約」の値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータそれ自体を対象とする変化形を含む(または記載する)。例えば、「約X」に言及している説明は「X」の説明を含む。
【0092】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1〜12の炭素原子の飽和した直鎖または分岐鎖一価炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me、−CH
3)、エチル(Et、−CH
2CH
3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH
2CH
2CH
3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH
3)
2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH
2CH(CH
3)
2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH
3)CH
2CH
3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH
3)
3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3−メチル−1−ブチル(−CH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2−メチル−1−ブチル(−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)、1−ヘキシル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ヘキシル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、3−ヘキシル(−CH(CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2CH
3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)
2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH
3)(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)
2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH(CH
3)
2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH
3)C(CH
3)
3)、1−ヘプチル、1−オクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素sp
2二重結合を有する2〜12の炭素原子の直鎖または分岐鎖一価炭化水素基を指し、アルケニル基は「シス」及び「トランス」配向、またはあるいは、「E」及び「Z」配向を有する基を含む。例としては、エチレニルまたはビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素sp三重結合を有する2〜12の炭素原子の直鎖または分岐鎖一価炭化水素基を指す。例としては、エチニル(−C≡CH)、プロピニル(プロパルギル、−CH
2C≡CH)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
「炭素環」、「カルボシクリル」、「炭素環式環」及び「シクロアルキル」という用語は、単環式環として3〜12の炭素原子または二環式環として7〜12の炭素原子を有する、一価非芳香族飽和環または部分不飽和環を指す。7〜12の原子を有する二環式炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]または[6,6]系として配置され得、9または10の環原子を有する二環式炭素環は、ビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として、またはビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンなどの架橋系として配置され得る。単環式炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
「アリール」とは、親芳香環系の単一炭素原子から1つの水素原子を除去することにより誘導される、6〜18の炭素原子の一価芳香族炭化水素基を意味する。いくつかのアリール基は、「Ar」として例示的な構造で表される。アリールは、飽和環、部分不飽和環、または芳香族炭素環式環もしくは複素環式環に縮合される芳香環を含む二環式基を含む。典型的なアリール基としては、ベンゼン(フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデニル、インダニル、1,2−ジヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフチルなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
「複素環」、「ヘテロシクリル」及び「複素環式環」という用語は、本明細書では同じ意味で使用され、少なくとも1つの環原子が窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCである、3〜18の環原子の飽和または部分不飽和(すなわち、環内に1つ以上の二重結合及び/または三重結合を有する)炭素環式基を指し、1つ以上の環原子が、場合により以下に記載される1つ以上の置換基で独立して置換される。複素環は、3〜7環員(2〜6の炭素原子ならびにN、O、P、及びSから選択される1〜4のヘテロ原子)を有する単環、または7〜10環員(4〜9の炭素原子ならびにN、O、P、及びSから選択される1〜6のヘテロ原子)を有する二環、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,6]系であってよい。複素環は、Paquette,Leo A.;“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968)、特に第1章、第3章、第4章、第6章、第7章、及び第9章;“The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York,1950から現在まで)、特に第13巻、第14巻、第16巻、第19巻、及び第28巻;ならびにJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載されている。「ヘテロシクリル」はまた、複素環基が飽和環、部分不飽和環、または芳香族炭素環式環もしくは複素環式環で縮合される基を含む。複素環式環の例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、及びアザビシクロ[2.2.2]ヘキサニルが挙げられるが、これらに限定されない。スピロ部分もまた、この定義の範囲内に含まれる。環原子がオキソ(=O)部分で置換される複素環式基の例は、ピリミジノニル及び1,1−ジオキソ−チオモルホリニルである。
【0098】
「ヘテロアリール」という用語は、5または6員環の一価芳香族基を指し、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する、5〜18原子の縮合環系(その少なくとも1つが芳香族である)を含む。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル(例えば、2−ヒドロキシピリジニルを含む)、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル(例えば、4−ヒドロキシピリミジニルを含む)、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。
【0099】
複素環またはヘテロアリール基は、それが可能な場合に炭素(炭素連結)または窒素(窒素連結)結合されてよい。例として、限定ではないが、炭素結合複素環またはヘテロアリールは、ピリジンの2、3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位、ピリミジンの2、4、5、もしくは6位、ピラジンの2、3、5、もしくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロールの2、3、4、もしくは5位、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4、もしくは5位、イソオキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位、アジリジンの2もしくは3位、アゼチジンの2、3、もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位で結合される。
【0100】
例として、限定ではないが、窒素結合複素環またはヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドール、またはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾール、またはβ−カルボリンの9位で結合される。
【0101】
ヘテロアリールまたはヘテロシクリル中に存在するヘテロ原子は、酸化形態、例えばN
+→O
−、S(O)及びS(O)
2などを含む。
【0102】
「ハロ」という用語は、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0103】
「薬学的に許容される塩」という語句は、本明細書で使用する場合、本発明の化合物の薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。例示的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、パモ酸(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフト酸))塩、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、及びアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩は、別の分子、例えば酢酸イオン、コハク酸イオンまたはその他の対イオンなどの含有を含んでよい。対イオンは、親化合物上の電荷を安定させる任意の有機または無機部分であってよい。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造中に2つ以上の荷電原子を有してよい。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合には、複数の対イオンを有し得る。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子及び/または1つ以上の対イオンを有し得る。
【0104】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の薬学的に許容される塩は、当該技術分野で使用可能な任意の好適な方法、例えば無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸などを用いた、または有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸もしくはガラクツロン酸など、アルファヒドロキシ酸、例えばクエン酸もしくは酒石酸など、アミノ酸、例えばアスパラギン酸もしくはグルタミン酸など、芳香族酸、例えば安息香酸もしくはケイ皮酸など、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸などを用いた遊離塩基の処理によって調製されてよい。
【0105】
本発明の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容される塩は、任意の好適な方法、例えば無機または有機塩基、例えばアミン(第1級、第2級または第3級)、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物などを用いた遊離酸の処理によって調製されてよい。好適な塩の実例としては、アミノ酸、例えばグリシン及びアルギニンなど、アンモニア、第1級、第2級、及び第3級アミン、ならびに環状アミン、例えばピペリジン、モルホリン及びピペラジンなどから誘導される有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから誘導される無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
「薬学的に許容される」という語句は、物質または組成物が、製剤に含まれるその他の成分と、及び/またはそれにより処置される哺乳動物と化学的及び/または毒物学的に適合しなければならないことを示す。
【0107】
「溶媒和物」は、1つ以上の溶媒分子と本発明の化合物との会合体または複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒の例としては、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。「水和物」という用語は、溶媒分子が水である複合体を指す。
【0108】
本明細書に記載される本発明の態様及び変化形態は、態様及び変化形態「から成る」及び/または「から本質的に成る」を含むと理解される。
【0109】
III.方法
一態様では、個体の癌を処置する、またはその進行を遅延させる方法であって、個体に有効量のPD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0110】
本発明の方法は、免疫原性の増強、例えば癌の処置のために腫瘍免疫原性を増加させることなどが望ましい場合の状態の処置に用途を見出してよい。様々な癌が処置されてよく、またはそれらの進行を遅延させてよく、癌としてはB−raf V600E変異を含有する可能性のある癌、B−raf野生型を含有する可能性のある癌、KRAS野生型を含有する可能性のある癌、または活性化KRAS変異を含有する可能性のある癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
いくつかの実施形態では、個体は、B−rafアンタゴニストに耐性のある癌を有する、またはその癌を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、個体は、以前に癌に対してB−rafアンタゴニストで処置されている。いくつかの実施形態では、個体は、以前にB−rafアンタゴニストで処置されていない。B−rafは、癌、例えば悪性黒色腫、結腸直腸癌、卵巣癌、及び甲状腺癌において頻繁に変異することが知られているセリン−スレオニンキナーゼである。典型的には、癌で観察されるB−raf変異は、V600E変異などの活性化変異を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、B−rafの活性化変異は、制御されていないMAPK/ERKシグナル伝達を促進し、腫瘍細胞の増殖及び生存をもたらすと考えられる。
【0112】
B−rafアンタゴニスト(例えば、B−raf阻害剤)は、患者生存及び腫瘍退縮の効果的な短期増加をもたらすことが知られているが、B−raf阻害に対する耐性がしばしば観察される(例えば、Tentori,L.,et al.Trends Pharmacol.Sci.34(12):656−66(2013)を参照のこと)。B−raf阻害に対する耐性は、多数の現象を特徴とする場合がある。いくつかの実施形態では、B−raf阻害に対する耐性は、MAPK経路の再活性化、PI3K活性化、CRAFの上方制御、NRAS変異、PDGFR過剰発現、COT1過剰発現、IGFR−1過剰発現、MEK1変異、HGF発現、PD−L1過剰発現、MEK2変異、MITFの限局的増幅、AKT変異(例えば、AKT1またはAKT3)、B−raf増幅、及びRAF二量体の形成(例えば、CRAF/CRAF二量体、CRAF/B−raf二量体、及び変異した二量体化B−raf、例えばエキソン4〜8を欠いているB−rafバリアントなど)のうち1つ以上を特徴とする場合がある。
【0113】
いくつかの実施形態では、B−raf阻害に対する耐性は、B−raf阻害に不応性である癌細胞または腫瘍を指す場合がある。B−raf阻害に対する耐性は、本明細書において最も広義に使用され、任意の特定機構により、または本開示におけるB−rafアンタゴニストの任意の特定用量でB−raf阻害に対して感受性があると以前に予想されていた、または感受性があると予想される可能性のある任意の癌細胞を含んでよい。B−raf阻害に対する耐性は、B−rafアンタゴニストの存在下におけるB−raf活性を指す場合がある。B−raf阻害に対する耐性は、B−rafアンタゴニストの存在下において、存在する可能性のあるB−rafの酵素活性にかかわらず、このような条件下で成長するとは予想されていない場合に成長する細胞を指す場合がある。
【0114】
いくつかの実施形態では、B−rafアンタゴニストは、小分子阻害剤、抗体、ペプチド、ペプチド模倣薬、アプタマーまたはポリヌクレオチドである。
【0115】
いくつかの実施形態では、個体は、以前にB−rafアンタゴニストで処置されていた。いくつかの実施形態では、B−rafアンタゴニストとしては、ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標)としても知られる)、ダブラフェニブ(TAFINLAR(登録商標)としても知られる)、LGX818、GSK2118436、RAF265、XL281、ARQ736、BAY73−4506、ソラフェニブ、PLX4720、PLX−3603、GSK2118436、GDC−0879、またはN−(3−(5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロフェニル)プロパン−1−スルホンアミドを挙げてよい。いくつかの実施形態では、B−rafアンタゴニストとしては、MLN2480、LY3009120、MEK阻害剤、例えばトラメチニブ(MEKINIST(登録商標)としても知られる)など、またはEGFR阻害剤、例えばエルロチニブ(TARCEVA(登録商標)としても知られる)などを挙げてよい。B−raf阻害剤のさらなる説明は、Zambon,A.et al.Bioorg.Med.Chem.Lett.22(2):789−92(2012);Tentori,L.,et al.Trends Pharmacol.Sci.34(12):656−66(2013);ならびにMartin−Liberal,J.and Larkin,J.Expert Opin.Pharmacother.15(9):1235−45(2014)、WO2007/002325、WO2007/002433、WO2009111278、WO2009111279、WO2009111277、WO2009111280及び米国特許第7,491,829号明細書に見出されてよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、B−rafアンタゴニストは、B−raf V600の選択的B−rafアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、B−raf V600の選択的B−rafアンタゴニストは、B−raf V600Eの選択的アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、B−raf V600の選択的B−rafアンタゴニストは、B−raf V600E、B−raf V600K、及び/またはV600Dの選択的アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、B−raf V600の選択的B−rafアンタゴニストは、B−raf V600Rの選択的アンタゴニストである。B−raf V600に対して選択的なB−rafアンタゴニストを生成及びアッセイするための技術は、当該技術分野において記載されていて;例えば、Tsai,J,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.105(8):3041−6(2008)を参照のこと。
【0117】
いくつかの実施形態では、癌は、BRAF V600E変異、BRAF野生型、KRAS野生型、または活性化KRAS変異を含有する。このような変異の存在を検出する方法としては、PCR、サンガーシーケンシング、変異特異的抗体の使用などを挙げてよいが、これらに限定されない。癌がB−raf V600を発現するか否かを決定する方法は当該技術分野において既知であり、COBAS(登録商標)4800 B−raf V600 Mutation Testキット(Roche)を含むが、これに限定されない。
【0118】
いくつかの実施形態では、患者の癌は、B−rafバイオマーカーを発現することが示されている。いくつかの実施形態では、B−rafバイオマーカーは変異体B−rafである。いくつかの実施形態では、変異体B−rafはB−raf V600である。いくつかの実施形態では、B−raf V600は、B−raf V600Eである。いくつかの実施形態では、変異体B−rafは、構成的に活性である。
【0119】
いくつかの実施形態では、癌患者は、B−rafアンタゴニスト療法を受けている間に癌が進行した(すなわち、患者は「B−raf不応性」である)、または患者は、B−rafアンタゴニストに基づく療法レジメンの完了後、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月以内に、もしくはそれを超えてから癌が進行した。
【0120】
いくつかの実施形態では、ベムラフェニブ耐性癌とは、癌患者がベムラフェニブに基づく療法を受けている間に癌が進行したことを意味する(すなわち、患者は「ベムラフェニブ不応性」である)。いくつかの実施形態では、患者の癌は、ベムラフェニブに基づく療法レジメンの完了後、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月以内に、またはそれを超えてから進行した。いくつかの実施形態では、個体の癌は、B−rafアンタゴニストに基づく療法レジメンの完了後、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、または5年以内に進行した。
【0121】
いくつかの実施形態では、処置は、処置の中止後に個体において持続応答をもたらす。
【0122】
いくつかの実施形態では、例えばB−raf阻害剤に対する耐性は、B−rafアンタゴニストでの処置後に生じる(獲得される)。その他の実施形態では、患者(例えば、B−raf耐性癌を有する患者)は、以前にB−rafアンタゴニストで処置されていない。
【0123】
いくつかの実施形態では、患者は、B−raf阻害剤などのB−rafアンタゴニストで現在処置されている。いくつかの実施形態では、患者は、以前にB−rafアンタゴニストで処置された。いくつかの実施形態では、患者は、以前にB−rafアンタゴニストで処置されなかった。
【0124】
いくつかの実施形態では、個体は、結腸直腸癌、黒色腫、肺癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、血液悪性腫瘍、膀胱癌、及び/または腎細胞癌を有する。いくつかの実施形態では、個体は非小細胞肺癌を有する。非小細胞肺癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は小細胞肺癌を有する。小細胞肺癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は腎細胞癌を有する。腎細胞癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は結腸直腸癌を有する。結腸直腸癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は卵巣癌を有する。卵巣癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は乳癌を有する。乳癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は膵臓癌を有する。膵臓癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は胃癌を有する。胃癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は膀胱癌を有する。膀胱癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は食道癌を有する。食道癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は中皮腫を有する。中皮腫は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は黒色腫を有する。黒色腫は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は頭頸部癌を有する。頭頸部癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は甲状腺癌を有する。甲状腺癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は肉腫を有する。肉腫は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は前立腺癌を有する。前立腺癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は膠芽腫を有する。膠芽腫は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は子宮頸癌を有する。子宮頸癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は胸腺癌を有する。胸腺癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は白血病を有する。白血病は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体はリンパ腫を有する。リンパ腫は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は骨髄腫を有する。骨髄腫は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は菌状息肉腫を有する。菌状息肉腫は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体はメルケル細胞癌を有する。メルケル細胞癌は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体は血液悪性腫瘍を有する。血液悪性腫瘍は、初期または進行期であってよい。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。いくつかの実施形態では、癌は転移性である。
【0125】
いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物、例えば家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類、例えばサルなど)、ウサギ、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などである。いくつかの実施形態では、処置される個体はヒトである。
【0126】
別の態様では、癌を有する個体の免疫機能を増強する方法であって、有効量のPD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0127】
いくつかの実施形態では、個体のCD8T細胞は、PD−1経路アンタゴニスト及びMEK阻害剤の投与前と比較して、増強したプライミング、活性化、増殖及び/または細胞溶解活性を有する。いくつかの実施形態では、CD8T細胞のプライミングは、CD8T細胞におけるCD44発現の上昇及び/または細胞溶解活性の増強を特徴とする。いくつかの実施形態では、CD8T細胞の活性化は、γ−IFN
+CD8T細胞の頻度上昇を特徴とする。いくつかの実施形態では、CD8T細胞は、抗原特異的T細胞である。いくつかの実施形態では、PD−L1表面発現を介するシグナル伝達による免疫回避が阻害される。
【0128】
いくつかの実施形態では、個体の癌細胞は、PD−1経路アンタゴニスト及びMEK阻害剤の投与前と比較して、MHCクラスI抗原発現の上昇した発現を有する。
【0129】
いくつかの実施形態では、個体の抗原提示細胞は、PD−1経路アンタゴニスト及びMEK阻害剤の投与前と比較して、増強した成熟及び活性化を有する。いくつかの実施形態では、その場合に抗原提示細胞は樹状細胞である。いくつかの実施形態では、抗原提示細胞の成熟は、CD83
+樹状細胞の頻度増加を特徴とする。いくつかの実施形態では、抗原提示細胞の活性化は、樹状細胞上のCD80及びCD86の発現上昇を特徴とする。
【0130】
いくつかの実施形態では、個体におけるサイトカインIL−10及び/またはケモカインIL−8、すなわちマウスKCのヒトホモログの血清レベルは、抗PD−L1抗体及びMEK阻害剤の投与前と比較して減少する。
【0131】
いくつかの実施形態では、癌は上昇したT細胞浸潤レベルを有する。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明の併用療法は、PD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤の投与を含む。PD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤は、当該技術分野において既知の任意の好適な手法で投与されてよい。例えば、PD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤は、連続して(異なる時に)または並行して(同時に)投与されてよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は連続的に投与される。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は間欠的に投与される。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、PD−1軸結合アンタゴニストの投与前に投与される。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、PD−1軸結合アンタゴニストの投与と同時に投与される。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、PD−1軸結合アンタゴニストの投与後に投与される。
【0134】
いくつかの実施形態では、個体の癌を処置する、またはその進行を遅延させる方法であって、個体に有効量のPD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤を投与することを含み、さらに追加療法を投与することを含む方法が提供される。追加療法は、放射線療法、外科手術(例えば、乳腺腫瘤摘出及び乳房切除)、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、または前述のものの組み合わせであってよい。追加療法は、アジュバントまたはネオアジュバント療法の形態であってよい。いくつかの実施形態では、追加療法は、小分子酵素阻害剤または抗転移剤の投与である。いくつかの実施形態では、追加療法は、副作用制限剤(例えば、処置の副作用の発生及び/または重症度を低下させることを意図した薬剤、例えば制吐剤など)の投与である。いくつかの実施形態では、追加療法は放射線療法である。いくつかの実施形態では、追加療法は外科手術である。いくつかの実施形態では、追加療法は、放射線療法と外科手術との組み合わせである。いくつかの実施形態では、追加療法はガンマ線照射である。いくつかの実施形態では、追加療法は、PI3K/AKT/mTOR経路を標的とする療法、HSP90阻害剤、チューブリン阻害剤、アポトーシス阻害剤、及び/または化学予防剤である。追加療法は、上に記載されている化学療法剤のうち1種以上であってよい。
【0135】
PD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤は、同じ投与経路により、または異なる投与経路により投与されてよい。いくつかの実施形態では、PD−1軸結合アンタゴニストは、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植によって、吸入によって、髄腔内に、脳室内に、または鼻腔内に投与される。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植によって、吸入によって、髄腔内に、脳室内に、または鼻腔内に投与される。有効量のPD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤は、疾患の予防または処置のために投与されてよい。PD−1軸結合アンタゴニスト及び/またはMEK阻害剤の適切な投与量は、処置される疾患の種類、PD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤の種類、疾患の重症度及び経過、個体の臨床状態、個体の病歴及び処置に対する応答、ならびに主治医の裁量に基づいて決定されてよい。
【0136】
当該技術分野において既知の、または以下に記載されているPD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤のいずれも、本方法で使用されてよい。
【0137】
PD−1軸結合アンタゴニスト
個体の癌を処置する、またはその進行を遅延させる方法であって、個体に有効量のPD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤を投与することを含む方法が本明細書で提供される。例えば、PD−1軸結合アンタゴニストとしては、PD−1結合アンタゴニスト、PD−L1結合アンタゴニスト及びPD−L2結合アンタゴニストが挙げられる。「PD−1」の代替名としては、CD279及びSLEB2が挙げられる。「PD−L1」の代替名としては、B7−H1、B7−4、CD274、及びB7−Hが挙げられる。「PD−L2」の代替名としては、B7−DC、Btdc、及びCD273が挙げられる。いくつかの実施形態では、PD−1、PD−L1、及びPD−L2は、ヒトPD−1、PD−L1及びPD−L2である。
【0138】
いくつかの実施形態では、PD−1結合アンタゴニストは、PD−1とそのリガンド結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD−1リガンド結合パートナーは、PD−L1及び/またはPD−L2である。別の実施形態では、PD−L1結合アンタゴニストは、PD−L1とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD−L1結合パートナーは、PD−1及び/またはB7−1である。別の実施形態では、PD−L2結合アンタゴニストは、PD−L2とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD−L2結合パートナーは、PD−1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドであってよい。
【0139】
いくつかの実施形態では、PD−1結合アンタゴニストは、抗PD−1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。いくつかの実施形態では、抗PD−1抗体は、MDX−1106(ニボルマブ、OPDIVO(登録商標))、Merck3745(MK−3475、ペンブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標))、CT−011(ピジリズマブ)、MEDI−0680(AMP−514)、PDR001、REGN2810、BGB−108、及びBGB−A317から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、PD−1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン、例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合するPD−L1またはPD−L2の細胞外またはPD−1結合部分を含むイムノアドヘシンである。いくつかの実施形態では、PD−1結合アンタゴニストは、AMP−224である。いくつかの実施形態では、PD−L1結合アンタゴニストは、抗PD−L1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD−L1結合アンタゴニストは、YW243.55.S70、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MEDI4736(デュルバルマブ)、MDX−1105、及びMSB0010718C(アベルマブ)から成る群から選択される。BMS−936559としても知られるMDX−1105は、WO2007/005874に記載されている抗PD−L1抗体である。抗体YW243.55.S70(重鎖及び軽鎖可変領域配列は、それぞれ配列番号:20及び21に示される)は、WO 2010/077634A1に記載されている抗PD−L1である。MEDI4736は、WO2011/066389及びUS2013/034559に記載されている抗PD−L1抗体である。ニボルマブ、MDX−1106−04、ONO−4538、BMS−936558、またはOPDIVO(登録商標)としても知られるMDX−1106は、WO2006/121168に記載されている抗PD−1抗体である。MK−3475、ペンブロリズマブ、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、またはSCH−900475としても知られるMerck3745は、WO2009/114335に記載されている抗PD−1抗体である。hBATまたはhBAT−1としても知られるCT−011は、WO2009/101611に記載されている抗PD−1抗体である。B7−DCIgとしても知られるAMP−224は、WO2010/027827及びWO2011/066342に記載されているPD−L2−Fc融合可溶性受容体である。
【0140】
いくつかの実施形態では、抗PD−1抗体は、MDX−1106である。「MDX−1106」の代替名としては、MDX−1106−04、ONO−4538、BMS−936558またはニボルマブが挙げられる。いくつかの実施形態では、抗PD−1抗体は、ニボルマブ(CAS登録番号:946414−94−4)である。よりさらなる実施形態では、配列番号:22からの重鎖可変領域アミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び/または配列番号:23からの軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む単離抗PD−1抗体が提供される。よりさらなる実施形態では、重鎖及び/または軽鎖配列を含む単離抗PD−1抗体が提供され、配列中:
(a)重鎖配列は、重鎖配列:QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号:22)と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%の配列同一性を有する、または
(b)軽鎖配列は、軽鎖配列:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNWPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:23)と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%の配列同一性を有する。
【0141】
本発明の方法に有用な抗PD−L1抗体、及びその作製方法の例は、PCT特許出願第WO 2010/077634(A1)号パンフレットに記載され、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0142】
いくつかの実施形態では、PD−1軸結合アンタゴニストは、抗PD−L1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、PD−L1とPD−1との間の結合及び/またはPD−L1とB7−1との間の結合を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、及び(Fab’)
2断片から成る群から選択される抗体断片である。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、ヒト抗体である。
【0143】
本発明に有用な抗PD−L1抗体は、このような抗体を含有する組成物を含み、例えばWO 2010/077634 A1に記載されているものなどが、癌を処置するためにMEK阻害剤と組み合わせて使用されてよい。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、配列番号:20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号:21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0144】
一実施形態では、抗PD−L1抗体は、HVR−H1、HVR−H2及びHVR−H3配列を含む重鎖可変領域ポリペプチドを含有し、配列中:
(a)HVR−H1配列は、GFTFSX
1SWIH(配列番号:1)であり;
(b)HVR−H2配列は、AWIX
2PYGGSX
3YYADSVKG(配列番号:2)であり;
(c)HVR−H3配列は、RHWPGGFDY(配列番号:3)であり;
さらに配列中:X
1はDまたはGであり;X
2はSまたはLであり;X
3はTまたはSである。
【0145】
特定の一態様では、X
1はDであり;X
2はSであり、X
3はTである。別の態様では、ポリペプチドは、式:(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)に従ってHVR間に並置される可変領域重鎖フレームワーク配列をさらに含む。さらに別の態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる態様では、フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、フレームワーク配列の少なくとも1つは、以下の通りである:
HC−FR1は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)であり
HC−FR2は、WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)であり
HC−FR3は、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)であり
HC−FR4は、WGQGTLVTVSA(配列番号:7)である。
【0146】
よりさらなる態様では、重鎖ポリペプチドは、HVR−L1、HVR−L2及びHVR−L3を含む可変領域軽鎖とさらに組み合わされ、配列中:
(a)HVR−L1配列は、RASQX
4X
5X
6TX
7X
8A(配列番号:8)であり;
(b)HVR−L2配列は、SASX
9LX
10S(配列番号:9)であり;
(c)HVR−L3配列は、QQX
11X
12X
13X
14PX
15T(配列番号:10)であり;
さらに配列中:X
4はDまたはVであり;X
5はVまたはIであり;X
6はSまたはNであり;X
7はAまたはFであり;X
8はVまたはLであり;X
9はFまたはTであり;X
10はYまたはAであり;X
11はY、G、F、またはSであり;X
12はL、Y、FまたはWであり;X
13はY、N、A、T、G、FまたはIであり;X
14はH、V、P、TまたはIであり;X
15はA、W、R、PまたはTである。
【0147】
よりさらなる態様では、X
4はDであり;X
5はVであり;X
6はSであり;X
7はAであり;X
8はVであり;X
9はFであり;X
10はYであり;X
11はYであり;X
12はLであり;X
13はYであり;X
14はHであり;X
15はAである。よりさらなる態様では、軽鎖は、式:(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)に従ってHVR間に並置される可変領域軽鎖フレームワーク配列をさらに含む。よりさらなる態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。よりさらなる態様では、フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、フレームワーク配列の少なくとも1つは、以下の通りである:
LC−FR1は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)であり
LC−FR2は、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)であり
LC−FR3は、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)であり
LC−FR4は、FGQGTKVEIKR(配列番号:14)である。
【0148】
別の実施形態では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む単離抗PD−L1抗体または抗原結合断片が提供され、配列中:
(a)重鎖は、HVR−H1、HVR−H2及びHVR−H3を含み、配列中さらに:
(i)HVR−H1配列は、GFTFSX
1SWIH(配列番号:1)であり;
(ii)HVR−H2配列は、AWIX
2PYGGSX
3YYADSVKG(配列番号:2)であり
(iii)HVR−H3配列は、RHWPGGFDY(配列番号:3)であり;ならびに
(b)軽鎖は、HVR−L1、HVR−L2及びHVR−L3を含み、配列中さらに:
(i)HVR−L1配列は、RASQX
4X
5X
6TX
7X
8A(配列番号:8)であり
(ii)HVR−L2配列は、SASX
9LX
10S(配列番号:9)であり;ならびに(iii)HVR−L3配列は、QQX
11X
12X
13X
14PX
15T(配列番号:10)である。
さらに配列中:X
1はDまたはGであり;X
2はSまたはLであり;X
3はTまたはSであり;X
4はDまたはVであり;X
5はVまたはIであり;X
6はSまたはNであり;X
7はAまたはFであり;X
8はVまたはLであり;X
9はFまたはTであり;X
10はYまたはAであり;X
11はY、G、F、またはSであり;X
12はL、Y、FまたはWであり;X
13はY、N、A、T、G、FまたはIであり;X
14はH、V、P、TまたはIであり;X
15はA、W、R、PまたはTである。
【0149】
特定の態様では、X
1はDであり;X
2はSであり、X
3はTである。別の態様では、X
4はDであり;X
5はVであり;X
6はSであり;X
7はAであり;X
8はVであり;X
9はFであり;X
10はYであり;X
11はYであり;X
12はLであり;X
13はYであり;X
14はHであり;X
15はAである。さらに別の態様では、X
1はDであり;X
2はSであり、X
3はTであり、X
4はDであり;X
5はVであり;X
6はSであり;X
7はAであり;X
8はVであり;X
9はFであり;X
10はYであり;X
11はYであり;X
12はLであり;X
13はYであり;X
14はHであり、X
15はAである。
【0150】
さらなる態様では、重鎖可変領域は、(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)のようにHVR間に並置される1つ以上のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)のようにHVR間に並置される1つ以上のフレームワーク配列を含む。よりさらなる態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由来する。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列のうち1つ以上は、以下の通りである:
HC−FR1 EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)
HC−FR2 WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)
HC−FR3 RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)
HC−FR4 WGQGTLVTVSA(配列番号:7)。
【0151】
よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、IIまたはIVサブグループ配列に由来する。よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列のうち1つ以上は、以下の通りである:
LC−FR1 DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)
LC−FR2 WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)
LC−FR3 GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)
LC−FR4 FGQGTKVEIKR(配列番号:14)。
【0152】
よりさらなる特定の態様では、抗体は、ヒトまたはマウス定常領域をさらに含む。よりさらなる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4から成る群から選択される。よりさらなる特定の態様では、ヒト定常領域はIgG1である。よりさらなる態様では、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3から成る群から選択される。よりさらなる態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。よりさらなる特定の態様では、抗体は、減少したまたは最小のエフェクター機能を有する。よりさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターなしFc変異」または非グリコシル化に起因する。よりさらなる実施形態では、エフェクターなしFc変異は、定常領域のN297AまたはD265A/N297A置換である。
【0153】
さらに別の実施形態では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD−L1抗体が提供され、配列中:
(a)重鎖は、それぞれGFTFSDSWIH(配列番号:15)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号:16)及びRHWPGGFDY(配列番号:3)と少なくとも85%の配列同一性を有するHVR−H1、HVR−H2及びHVR−H3配列をさらに含む、または
(b)軽鎖は、それぞれRASQDVSTAVA(配列番号:17)、SASFLYS(配列番号:18)及びQQYLYHPAT(配列番号:19)と少なくとも85%の配列同一性を有するHVR−L1、HVR−L2及びHVR−L3配列をさらに含む。
【0154】
特定の態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%である。別の態様では、重鎖可変領域は、(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)のようにHVR間に並置される1つ以上のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)のようにHVR間に並置される1つ以上のフレームワーク配列を含む。さらに別の態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由来する。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列のうち1つ以上は、以下の通りである:
HC−FR1 EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)
HC−FR2 WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)
HC−FR3 RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)
HC−FR4 WGQGTLVTVSA(配列番号:7)。
【0155】
よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、IIまたはIVサブグループ配列に由来する。よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列のうち1つ以上は、以下の通りである:
LC−FR1 DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)
LC−FR2 WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)
LC−FR3 GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)
LC−FR4 FGQGTKVEIKR(配列番号:14)。
【0156】
よりさらなる特定の態様では、抗体は、ヒトまたはマウス定常領域をさらに含む。よりさらなる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4から成る群から選択される。よりさらなる特定の態様では、ヒト定常領域はIgG1である。よりさらなる態様では、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3から成る群から選択される。よりさらなる態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。よりさらなる特定の態様では、抗体は、減少したまたは最小のエフェクター機能を有する。よりさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターなしFc変異」または非グリコシル化に起因する。よりさらなる実施形態では、エフェクターなしFc変異は、定常領域のN297AまたはD265A/N297A置換である。
【0157】
よりさらなる実施形態では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む単離抗PD−L1抗体が提供され、配列中:
(a)重鎖配列は、重鎖配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSA(配列番号:20)と少なくとも85%の配列同一性を有する、または
(b)軽鎖配列は、軽鎖配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIY SASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号:21)と少なくとも85%の配列同一性を有する。
【0158】
特定の態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%である。別の態様では、重鎖可変領域は、(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)のようにHVR間に並置される1つ以上のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)のようにHVR間に並置される1つ以上のフレームワーク配列を含む。さらに別の態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由来する。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列のうち1つ以上は、以下の通りである:
HC−FR1 EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)
HC−FR2 WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)
HC−FR3 RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)
HC−FR4 WGQGTLVTVSA(配列番号:7)。
【0159】
よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、IIまたはIVサブグループ配列に由来する。よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列のうち1つ以上は、以下の通りである:
LC−FR1 DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)
LC−FR2 WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)
LC−FR3 GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)
LC−FR4 FGQGTKVEIKR(配列番号:14)。
【0160】
よりさらなる特定の態様では、抗体は、ヒトまたはマウス定常領域をさらに含む。よりさらなる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4から成る群から選択される。よりさらなる特定の態様では、ヒト定常領域はIgG1である。よりさらなる態様では、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3から成る群から選択される。よりさらなる態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。よりさらなる特定の態様では、抗体は、減少したまたは最小のエフェクター機能を有する。よりさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、原核細胞における産生に起因する。よりさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターなしFc変異」または非グリコシル化に起因する。よりさらなる実施形態では、エフェクターなしFc変異は、定常領域のN297AまたはD265A/N297A置換である。
【0161】
別のさらなる実施形態では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む単離抗PD−L1抗体が提供され、配列中:
(a)重鎖配列は、重鎖配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:24)と少なくとも85%の配列同一性を有する、または
(b)軽鎖配列は、軽鎖配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIY SASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号:21)と少なくとも85%の配列同一性を有する。
【0162】
よりさらなる実施形態では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む単離抗PDL1抗体が提供され、配列中:
(a)重鎖配列は、重鎖配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTK(配列番号:28)と少なくとも85%の配列同一性を有する、または
(b)軽鎖配列は、軽鎖配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号:21)と少なくとも85%の配列同一性を有する。
【0163】
特定の態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%である。別の態様では、重鎖可変領域は、(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)のようにHVR間に並置される1つ以上のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)のようにHVR間に並置される1つ以上のフレームワーク配列を含む。さらに別の態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由来する。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列のうち1つ以上は、以下の通りである:
HC−FR1 EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)
HC−FR2 WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)
HC−FR3 RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)
HC−FR4 WGQGTLVTVSS(配列番号:25)。
【0164】
よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、IIまたはIVサブグループ配列に由来する。よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列のうち1つ以上は、以下の通りである:
LC−FR1 DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)
LC−FR2 WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)
LC−FR3 GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)
LC−FR4 FGQGTKVEIKR(配列番号:14)。
【0165】
よりさらなる特定の態様では、抗体は、ヒトまたはマウス定常領域をさらに含む。よりさらなる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4から成る群から選択される。よりさらなる特定の態様では、ヒト定常領域はIgG1である。よりさらなる態様では、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3から成る群から選択される。よりさらなる態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。よりさらなる特定の態様では、抗体は、減少したまたは最小のエフェクター機能を有する。よりさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、原核細胞における産生に起因する。よりさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターなしFc変異」または非グリコシル化に起因する。よりさらなる実施形態では、エフェクターなしFc変異は、定常領域のN297AまたはD265A/N297A置換である。
【0166】
さらに別の実施形態では、抗PD−1抗体は、MPDL3280A(アテゾリズマブ)である。よりさらなる実施形態では、配列番号:24からの重鎖可変領域アミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び/または配列番号:25からの軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む単離抗PD−1抗体が提供される。よりさらなる実施形態では、重鎖及び/または軽鎖配列を含む単離抗PD−1抗体が提供され、配列中:
(a)重鎖配列は、重鎖配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:26)と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%の配列同一性を有する、または
(b)軽鎖配列は、軽鎖配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:27)と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%の配列同一性を有する。
【0167】
よりさらなる実施形態では、本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体と組み合わせた、上記の抗PD−L1抗体のいずれかを含む組成物をもたらす。
【0168】
よりさらなる実施形態では、抗PD−L1抗体の軽鎖または重鎖可変領域配列をコードする単離核酸が提供され、配列中:
(a)重鎖は、それぞれGFTFSDSWIH(配列番号:15)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号:16)及びRHWPGGFDY(配列番号:3)と少なくとも85%の配列同一性を有するHVR−H1、HVR−H2及びHVR−H3配列をさらに含み、
(b)軽鎖は、それぞれRASQDVSTAVA(配列番号:17)、SASFLYS(配列番号:18)及びQQYLYHPAT(配列番号:19)と少なくとも85%の配列同一性を有するHVR−L1、HVR−L2及びHVR−L3配列をさらに含む。
【0169】
特定の態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%である。態様では、重鎖可変領域は、(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)のようにHVR間に並置される1つ以上のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)のようにHVR間に並置される1つ以上のフレームワーク配列を含む。さらに別の態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由来する。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、重鎖フレームワーク配列のうち1つ以上は、以下の通りである:
HC−FR1 EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)
HC−FR2 WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)
HC−FR3 RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)
HC−FR4 WGQGTLVTVSA(配列番号:7)。
【0170】
よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、IIまたはIVサブグループ配列に由来する。よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。よりさらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列のうち1つ以上は、以下の通りである:
LC−FR1 DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)
LC−FR2 WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)
LC−FR3 GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)
LC−FR4 FGQGTKVEIKR(配列番号:14)。
【0171】
よりさらなる特定の態様では、本明細書に記載される抗体(抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、または抗PD−L2抗体など)は、ヒトまたはマウス定常領域をさらに含む。よりさらなる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4から成る群から選択される。よりさらなる特定の態様では、ヒト定常領域はIgG1である。よりさらなる態様では、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3から成る群から選択される。よりさらなる態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。よりさらなる特定の態様では、抗体は、減少したまたは最小のエフェクター機能を有する。よりさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、原核細胞における産生に起因する。よりさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターなしFc変異」または非グリコシル化に起因する。よりさらなる態様では、エフェクターなしFc変異は、定常領域のN297AまたはD265A/N297A置換である。
【0172】
よりさらなる態様では、本明細書に記載される抗体のいずれかをコードする核酸が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、前述の抗PD−L1、抗PD−1、または抗PD−L2抗体のいずれかをコードする核酸の発現に好適なベクターをさらに含む。よりさらなる特定の態様では、ベクターは、核酸の発現に好適な宿主細胞をさらに含む。よりさらなる特定の態様では、宿主細胞は、真核細胞または原核細胞である。よりさらなる特定の態様では、真核細胞は、哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)などである。
【0173】
抗体またはその抗原結合断片は、当該技術分野において既知の方法を使用して、例えば前述の抗PD−L1、抗PD−1、もしくは抗PD−L2抗体または抗原結合断片のいずれかをコードする核酸を含有する宿主細胞を、発現に好適な形態で、このような抗体または断片を産生するのに好適な条件下において培養し、抗体または断片を回収することを含むプロセスによって作製されてよい。
【0174】
よりさらなる実施形態では、本発明は、本明細書で提供されるような抗PD−L1、抗PD−1、もしくは抗PD−L2抗体またはその抗原結合断片及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組成物をもたらす。いくつかの実施形態では、個体に投与される抗PD−L1、抗PD−1、もしくは抗PD−L2抗体またはその抗原結合断片は、1種以上の薬学的に許容される担体を含む組成物である。本明細書に記載される、または当該技術分野において既知の薬学的に許容される担体のいずれも使用されてよい。
【0175】
MEK阻害剤
本発明は、個体の癌を処置する、または個体の癌の進行を遅くする方法であって、有効量のPD−1経路アンタゴニスト及びMEK阻害剤を投与することを含む方法を提供する。任意の既知のMEK阻害剤、例えばPCT特許出願第WO 03/077914(A1)号パンフレット、第WO 2005/121142(A1)号パンフレット、第WO 2007/044515(A1)号パンフレット、第WO 2008/024725(A1)号パンフレット及び第WO 2009/085983(A1)号パンフレット(その内容が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されているMEK阻害剤化合物などを意図する。投与されるMEK阻害剤は、医薬組成物または製剤であってよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物または製剤は、本明細書に記載される1種以上のMEK阻害剤及び薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、MEKの競合阻害剤である。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、活性化KRAS変異に対してより選択的である。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、MEKのアロステリック阻害剤である。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、活性化B−raf変異(例えば、B−raf V600E変異)に対してより選択的である。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、MEK1及び/またはMEK2(例えば、ヒトMEK1及び/またはヒトMEK2など)と結合し、その活性を阻害する。
【0177】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、GDC−0973(「コビメチニブ」または「XL518」としても知られる)、G−38963、G02443714(「AS703206」としても知られる)、G02442104(「GSK−1120212」としても知られる)、及びG00039805(「AZD−6244」としても知られる)から成る群から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0178】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、式(I):
の化合物(式中、A、X、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、及びR
7は、群A、群B、群C、または群Dに定義されるようなものである:
群A:
Aは、R
10、R
12、R
14、R
16、及びR
19から選択される、1つ、2つ、3つもしくは4つの基で場合により置換されるアリーレンであり、式中、R
10、R
12、R
14及びR
16は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、−NHS(O)
2R
8、−CN、−C(O)R
8、−C(O)OR
8、−C(O)NR
8R
8’及び−NR
8C(O)R
8’であり、式中、R
19は水素、アルキル、もしくはアルケニルであり;
Xは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、もしくはハロアルコキシであり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は独立して、水素、ハロ、ニトロ、−NR
8R
8’、−OR
8、−NHS(O)
2R
8、−CN、−S(O)
mR
8、−S(O)
2NR
8R
8’、−C(O)R
8、−C(O)OR
8、−C(O)NR
8R
8’、−NR
8C(O)OR
8’、−NR
8C(O)NR
8’R
8’’、−NR
8C(O)OR
8’、−NR
8C(O)R
8’、−CH
2N(R
25)(NR
25aR
25b)、−CH
2NR
25C(=NH)(NR
25aR
25b)、−CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(NO
2))、−CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(CN))、−CH
2NR
25C(=NH)(R
25)、−CH
2NR
25C(NR
25aR
25b)=CH(NO
2)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクロアルキルであり;式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ニトロ、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアリールアルキル、場合により置換されたヘテロアリール、−OR
8、−NR
8R
8’、−NR
8S(O)
2R
9、−CN、−S(O)
mR
9、−C(O)R
8、−C(O)OR
8、−C(O)NR
8R
8’、−NR
8C(O)NR
8’R
8’’、−NR
8C(O)OR
8’及び−NR
8C(O)R
8’から独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つもしくは7つの基で場合により置換され;もしくはR
1及びR
2のうち1つはそれらが結合している炭素と共に、R
3及びR
4はそれらが結合している炭素と共に、R
5及びR
6はそれらが結合している炭素と共にC(O)もしくはC(=NOH)を形成し;
mは0、1、もしくは2であり;
R
7は水素、ハロもしくはアルキルであり;
各R
8、R
8’及びR
8’’は独立して、水素、ヒドロキシ、場合により置換されたアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択され;式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、場合により置換されたアルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたシクロアルキルオキシカルボニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアリールオキシカルボニル、場合により置換されたアリールアルキル、場合により置換されたアリールアルキルオキシ、場合により置換されたアリールアルキルオキシカルボニル、ニトロ、シアノ、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、場合により置換されたヘテロアリール、−S(O)R
31(式中、nは0、1、または2であり、R
31は、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールである)、−NR
34SO
2R
34a(式中、R
34は水素またはアルキルであり、R
34aはアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルである)、−SO
2NR
35R
35a(式中、R
35は水素またはアルキルであり、R
35aはアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルである)、−NR
32C(O)R
32a(式中、R
32は水素またはアルキルであり、R
32aはアルキル、アルケニル、アルコキシ、またはシクロアルキルである)、−NR
30R
30’(式中、R
30及びR
30’は独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルである)、及び−C(O)NR
33R
33a(式中、R
33は水素またはアルキルであり、R
33aはアルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキルである)から独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つの基で場合により置換され;
各R
9は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され;式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、及びジアルキルアミノから選択される、1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つの基で場合により置換される;
群B:
Aは、R
10、R
12、R
14、R
16及びR
19から選択される、1つ、2つ、3つ、もしくは4つの基で場合により置換されるヘテロアリーレンであり、式中、R
10、R
12、R
14及びR
16は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、もしくはアルキルカルボニルアミノであり;式中、R
19は水素、アルキル、もしくはアルケニルであり;式中、各アルキル及びアルケニルは、単独でもしくはR
10、R
12、R
14、R
16、及びR
19内における別の基の一部としてのいずれかで独立して、ハロ、ヒドロキシ、もしくはアルコキシで場合により置換され;
Xは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、もしくはハロアルコキシであり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
3及びR
6は独立して、水素、ハロ、ニトロ、−NR
8R
8’、−OR
8、−NHS(O)
2R
8、−CN、−S(O)
mR
8、−S(O)
2NR
8R
8’、−C(O)R
8、−C(O)OR
8、−C(O)NR
8R
8’、−NR
8C(O)OR
8’、−NR
8C(O)NR
8’R
8’’、−NR
8C(O)OR
8’、−NR
8C(O)R
8’、−CH
2N(R
25)(NR
25aR
25b)、−CH
2NR
25C(=NH)(NR
25aR
25b)、−CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(NO
2))、−CH
2NR
25C(NH)(N(R
25a)(CN))、−CH
2NR
25C(=NH)(R
25)、−CH
2NR
25C(NR
25aR
25b)=CH(NO
2)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクロアルキルであり、式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ニトロ、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアリールアルキル、場合により置換されたヘテロアリール、−OR
8、−NR
8R
8’、−NR
8S(O)
2R
9、−CN、−S(O)
mR
9、−C(O)R
8、−C(O)OR
8、−C(O)NR
8R
8’、−NR
8C(O)NR
8’R
8’’、−NR
8C(O)OR
8’及び−NR
8C(O)R
8’から独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つもしくは7つの基で場合により置換され;もしくはR
1及びR
2のうち1つはそれらが結合している炭素と共に、R
3及びR
4はそれらが結合している炭素と共に、R
5及びR
6はそれらが結合している炭素と共にC(O)もしくはC(=NOH)を形成し;
mは1もしくは2であり;
R
7は水素、ハロもしくはアルキルであり;
各R
8、R
8’及びR
8’’は独立して、水素、ヒドロキシ、場合により置換されたアルコキシ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択され、式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、場合により置換されたアルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシエステル、ニトロ、シアノ、−S(O)
nR
31(式中、nは0、1、または2であり、R
31は、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールである)、−NR
36S(O)
2R
36a(式中、R
36は水素、アルキル、またはアルケニルであり、R
36aはアルキル、アルケニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールである)、−S(O)
2NR
37R
37a(式中、R
37は水素、アルキル、またはアルケニルであり、R
37aはアルキル、アルケニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールである)、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアリールアルキル、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアリールアルキルオキシ、場合により置換されたヘテロアリール、−NHC(O)R
32(式中、R
32はアルキル、アルケニル、アルコキシ、またはシクロアルキルである)及び−NR
30R
30’(式中、R
30及びR
30’は独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルである)、及び−C(O)NHR
33(式中、R
33はアルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキルである)から独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つの基で場合により置換される;
群C:
Aは、
であり、
式中、R
10は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、−NHS(O)
2R
8、−CN、−C(O)R
8、−C(O)OR
8、−C(O)NR
8R
8’及び−NR
8C(O)R
8’であり;
R
10aは水素、アルキル、もしくはアルケニルであり;
Y
1は、=CH−もしくは=N−であり;
Xは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、もしくはハロアルコキシであり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は独立して、水素、ハロ、ニトロ、−NR
8R
8’、−OR
8、−NHS(O)
2R
8、−CN、−S(O)
mR
8、−S(O)
2NR
8R
8’、−C(O)R
8、−C(O)OR
8、−C(O)NR
8R
8’、−NR
8C(O)OR
8’、−NR
8C(O)NR
8’R
8’’、−NR
8C(O)OR
8’、−NR
8C(O)R
8’、−CH
2N(R
25)(NR
25aR
25b)、−CH
2NR
25C(=NH)(NR
25aR
25b)、−CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(NO
2))、−CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(CN))、−CH
2NR
25C(=NH)(R
25)、−CH
2NR
25C(NR
25aR
25b)=CH(NO
2)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクロアルキルであり、式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ニトロ、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアリールアルキル、場合により置換されたヘテロアリール、−OR
8、−NR
8R
8’、−NR
8S(O)
2R
9、−CN、−S(O)
mR
9、−C(O)R
8、−C(O)OR
8、−C(O)NR
8R
8’、−NR
8C(O)NR
8’R
8’’、−NR
8C(O)OR
8’及び−NR
8C(O)R
8’から独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つもしくは7つの基で場合により置換され;もしくはR
1及びR
2のうち1つはそれらが結合している炭素と共に、R
3及びR
4はそれらが結合している炭素と共に、R
5及びR
6はそれらが結合している炭素と共にC(O)もしくはC(NOH)を形成し;
mは1もしくは2であり;
R
7は水素、ハロもしくはアルキルであり;
各R
8、R
8’及びR
8’’は独立して、水素、ヒドロキシ、場合により置換されたアルコキシ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択され、式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、場合により置換されたアルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシエステル、ニトロ、シアノ、−S(O)
nR
31(式中、nは0、1、または2であり、R
31は、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールである)、−NR
36S(O)
2R
36a(式中、R
36は水素、アルキル、またはアルケニルであり、R
36aはアルキル、アルケニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールである)、−S(O)
2NR
37R
37a(式中、R
37は水素、アルキル、またはアルケニルであり、R
37aはアルキル、アルケニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールである)、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアリールアルキル、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアリールアルキルオキシ、場合により置換されたヘテロアリール、−NHC(O)R
32(式中、R
32はアルキル、アルケニル、アルコキシ、またはシクロアルキルである)及び−NR
30R
30’(式中、R
30及びR
30’は独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルである)、及び−C(O)NHR
33(式中、R
33はアルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキルである)から独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つの基で場合により置換される;または
群D:
Aは、
もしくは
であり、
R
40及びR
40aは独立して、水素もしくはアルキルであり;
Xは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、もしくはハロアルコキシであり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は独立して、水素、ハロ、ニトロ、−NR
8R
8’、−OR
8、−NHS(O)
2R
8、−CN、−S(O)
mR
8、−S(O)
2NR
8R
8’、−C(O)R
8、−C(O)OR
8、−C(O)NR
8R
8’、−NR
8C(O)OR
8’、−NR
8C(O)NR
8’R
8’’、−NR
8C(O)OR
8’、−NR
8C(O)R
8’、−CH
2N(R
25)(NR
25aR
25b)、−CH
2NR
25C(=NH)(NR
25aR
25b)、−CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(NO
2))、−CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(CN))、−CH
2NR
25C(=NH)(R
25)、−CH
2NR
25C(NR
25aR
25b)=CH(NO
2)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクロアルキルであり、式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ニトロ、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアリールアルキル、場合により置換されたヘテロアリール、−OR
8、−NR
8R
8’、−NR
8S(O)
2R
9、−CN、−S(O)
mR
9、−C(O)R
8、−C(O)OR
8、−C(O)NR
8R
8’、−NR
8C(O)NR
8’R
8’’、−NR
8C(O)OR
8’及び−NR
8C(O)R
8’から独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つもしくは7つの基で場合により置換され;もしくはR
1及びR
2のうち1つはそれらが結合している炭素と共に、R
3及びR
4はそれらが結合している炭素と共に、R
5及びR
6はそれらが結合している炭素と共にC(O)もしくはC(NOH)を形成し;
mは1もしくは2であり;
R
7は水素、ハロもしくはアルキルであり;
R
8、R
8’及びR
8’’は独立して、水素、ヒドロキシ、場合により置換されたアルコキシ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択され、式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、場合により置換されたアルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシエステル、ニトロ、シアノ、−S(O)
nR
31(式中、nは0、1、または2であり、R
31は、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールである)、−NR
36S(O)
2R
36a(式中、R
36は水素、アルキル、またはアルケニルであり、R
36aはアルキル、アルケニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールである)、−S(O)
2NR
37R
37a(式中、R
37は水素、アルキル、またはアルケニルであり、R
37aはアルキル、アルケニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールである)、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアリールアルキル、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアリールアルキルオキシ、場合により置換されたヘテロアリール、−NHC(O)R
32(式中、R
32はアルキル、アルケニル、アルコキシ、またはシクロアルキルである)及び−NR
30R
30’(式中、R
30及びR
30’は独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルである)、及び−C(O)NHR
33(式中、R
33はアルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキルである)から独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つの基で場合により置換される)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0179】
いくつかの変化形態では、式(I)のMEK阻害剤化合物は、式I(a)もしくはI(b):
を有する群Aの化合物(式中、変数は式(I)、群Aで定義されるような、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 2007/044515 A1に定義されるようなものである)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0180】
いくつかの変化形態では、式(I)のMEK阻害剤化合物は、式I(c)、I(d)、I(e)、I(f)、I(g)、I(h)、I(i)、I(j)、I(k)、I(m)、I(n)、I(o)、I(p)、I(q)、I(r)、I(s)、I(u)、I(v)、I(w)、I(x)、I(cc)もしくはI(dd):
を有する群Bの化合物(式中、変数は式(I)、群Bで定義されるような、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 2007/044515 A1に定義されるようなものである)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0181】
いくつかの変化形態では、式(I)のMEK阻害剤化合物は、式I(y)もしくはI(z):
を有する群Cの化合物(式中、変数は式(I)、群Cで定義されるような、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 2007/044515 A1に定義されるようなものである)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0182】
いくつかの変化形態では、式(I)のMEK阻害剤化合物は、式I(aa)もしくはI(bb):
を有する群Dの化合物(式中、変数は式(I)、群Dで定義されるような、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 2007/044515 A1に定義されるようなものである)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0183】
いくつかの実施形態では、式(I)のMEK阻害剤化合物は、WO 2007/044515 A1、71〜144頁の表1に列挙されるような化合物第1〜362番(本明細書では、式I種と総称する)から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0184】
また、参照によって本明細書に組み込まれるWO 2007/044515 A1に記載されているような式(I)の変化形態のいずれも包含される。式(I)の化合物またはその任意の変化形態は、当該技術分野において既知の方法、例えば参照によって本明細書に組み込まれるWO 2007/044515 A1に記載されている合成方法を使用して合成され得る。
【0185】
本明細書で別段の規定がない限り、式(I)の化合物についての記載に使用される用語は、WO 2007/044515 A1に定義されるものと同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0186】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、式(II):
の化合物(式中:
Z
1は、CR
1またはNであり;
Z
2は、CR
2またはNであり;
Z
3は、CR
3またはNであり;
Z
4は、CR
4またはNであり;
式中、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4のうち1つまたは2つがNであり;
R
1、R
2、R
3及びR
4は独立して、H、ハロ、CN、CF
3、−OCF
3、−NO
2、−(CR
14R
15)
nC(=Y)R
11、−(CR
14R
15)
nC(=Y)OR
11、−(CR
14R
15)
nC(=Y)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nNR
11R
12、−(CR
14R
15)
nOR
11、−(CR
14R
15)
nSR
11、−(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y)R
11、−(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y)OR
11、−(CR
14R
15)
nNR
13C(=Y)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nNR
12SO
2R
11、−(CR
14R
15)
nOC(=Y)R
11、−(CR
14R
15)
nOC(=Y)OR
11、−(CR
14R
15)
nOC(=Y)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nOS(O)
2(OR
11)、−(CR
14R
15)
nOP(=Y)(OR
11)(OR
12)、−(CR
14R
15)
nOP(OR
11)(OR
12)、−(CR
14R
15)
nS(O)R
11、−(CR
14R
15)
nS(O)
2R
11、−(CR
14R
15)
nS(O)
2NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nS(O)(OR
11)、−(CR
14R
15)
nS(O)
2(OR
11)、−(CR
14R
15)
nSC(=Y)R
11、−(CR
14R
15)
nSC(=Y)OR
11、−(CR
14R
15)
nSC(=Y)NR
11R
12、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;
Wは、
であり;
R
5及びR
6は独立して、HまたはC
1〜C
12アルキルから選択され;
X
1は、R
11、−OR
11、−NR
11R
12、−S(O)R
11、及び−S(O)
2R
11から選択され;X
1がR
11または−OR
11である場合、X
1のR
11または−OR
11及び−R
5は、場合によりそれらが結合している窒素原子と共に、O、S及びNから選択される0〜2つの追加のヘテロ原子を有する4〜7員の飽和環または不飽和環を形成し、式中、この環は、ハロ、CN、CF
3、−OCF
3、−NO
2、オキソ、−Si(C
1〜C
6アルキル)、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nNR
16R
17、−(CR
19R
20)
nOR
16、−(CR
19R
20)
n−SR
16、−(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y’)R
17、−(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y’)OR
17、−(CR
19R
20)
nNR
18C(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nNR
17SO
2R
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nOS(O)
2(OR
16)、−(CR
19R
20)
nOP(=Y’)(OR
16)(OR
17)、−(CR
19R
20)
nOP(OR
16)(OR
17)、−(CR
19R
20)
nS(O)R
16、−(CR
19R
20)
nS(O)
2R
16、−(CR
19R
20)
nS(O)
2NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nS(O)(OR
16)、−(CR
19R
20)
nS(O)
2(OR
16)、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)NR
16R
17、及びR
21から選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
X
2は、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;
R
11、R
12及びR
13は独立して、H、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、
またはR
11及びR
12は、それらが結合している窒素と共に、O、S及びNから選択される0〜2つのヘテロ原子を有する3〜8員の飽和環、不飽和環もしくは芳香環を形成し、式中、この環は、ハロ、CN、CF
3、−OCF
3、−NO
2、C
1〜C
6アルキル、−OH、−SH、−O(C
1〜C
6アルキル)、−S(C
1〜C
6アルキル)、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−CO
2H、−CO
2(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHSO
2(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)NH
2、−OC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−OC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、及び−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)O(C
1〜C
6アルキル)から選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
R
14及びR
15は独立して、H、C
1〜C
12アルキル、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールから選択され;
m及びnは独立して、0、1、2、3、4、5、または6から選択され;
Yは独立して、O、NR
11、またはSであり;
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、X
1、X
2、R
11、R
12、R
13、R
14、及びR
15の各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して、ハロ、CN、CF
3、−OCF
3、−NO
2、オキソ、−Si(C
1〜C
6アルキル)、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nNR
16R
17、−(CR
19R
20)
nOR
16、−(CR
19R
20)
n−SR
16、−(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y’)R
17、−(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y’)OR
17、−(CR
19R
20)
nNR
18C(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nNR
17SO
2R
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nOS(O)
2(OR
16)、−(CR
19R
20)
nOP(=Y’)(OR
16)(OR
17)、−(CR
19R
20)
nOP(OR
16)(OR
17)、−(CR
19R
20)
nS(O)R
16、−(CR
19R
20)
nS(O)
2R
16、−(CR
19R
20)
nS(O)
2NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nS(O)(OR
16)、−(CR
19R
20)
nS(O)
2(OR
16)、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)NR
16R
17、及びR
21から独立して選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
各R
16、R
17及びR
18は独立して、H、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、ハロ、オキソ、CN、−OCF
3、CF
3、−NO
2、C
1〜C
6アルキル、−OH、−SH、−O(C
1〜C
6アルキル)、−S(C
1〜C
6アルキル)、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−CO
2H、−CO
2(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHSO
2(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)NH
2、−OC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−OC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、及び−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)O(C
1〜C
6アルキル)から選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
またはR
16及びR
17は、それらが結合している窒素と共に、O、S及びNから選択される0〜2つのヘテロ原子を有する3〜8員の飽和環、不飽和環もしくは芳香環を形成し、式中、この環は、ハロ、CN、−OCF
3、CF
3、−NO
2、C
1〜C
6アルキル、−OH、−SH、−O(C
1〜C
6アルキル)、−S(C
1〜C
6アルキル)、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−CO
2H、−CO
2(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHSO
2(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)NH
2、−OC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−OC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、及び−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)O(C
1〜C
6アルキル)から選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
R
19及びR
20は独立して、H、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2)
n−アリール、−(CH
2)
n−カルボシクリル、−(CH
2)
n−ヘテロシクリル、及び−(CH
2)
n−ヘテロアリールから選択され;
R
21は、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、式中、R
21の各員は、ハロ、CN、−OCF
3、CF
3、−NO
2、C
1〜C
6アルキル、−OH、−SH、−O(C
1〜C
6アルキル)、−S(C
1〜C
6アルキル)、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−CO
2H、−CO
2(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHSO
2(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)NH
2、−OC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−OC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、及び−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)O(C
1〜C
6アルキル)から選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
各Y’は独立して、O、NR
22、またはSであり;
R
22は、HまたはC
1〜C
12アルキルである)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0187】
いくつかの変化形態では、式(II)のMEK阻害剤化合物は、式(II−1−a)、(II−1−b)、(II−1−c)、(II−1−d)、(II−1−e)、(II−1−f)、(II−1−g)、(II−1−h)、(II−1−i)、(II−2−a)、(II−2−b)、(II−2−c)、(II−2−d)、(II−2−e)、(II−2−f)、(II−2−g)、(II−2−h)、(II−2−i)、(II−3−a)、(II−3−b)、(II−3−c)、(II−3−d)、(II−3−e)、(II−3−f)、(II−3−g)、(II−3−h)、もしくは(II−3−i):
の化合物(式中、変数は式(II)で定義されるような、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 2008/024725 A1に定義されるようなものである)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0188】
いくつかの実施形態では、式(II)のMEK阻害剤化合物は、WO 2008/024725 A1の実施例5〜18、20〜102、105〜109、111〜118、120〜133、136〜149及び151〜160の化合物(本明細書では、式II種と総称する)から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。これらの化合物は、実施例8aまたは8bのいずれかに記載されているアッセイ(MEK活性アッセイ)で10μM未満のIC
50を示した。これらの化合物の多くは、5μM未満のIC
50を示した。WO 2008/024725 A1の62頁を参照のこと。
【0189】
また、参照によって本明細書に組み込まれるWO 2008/024725 A1に記載されているMEK阻害剤化合物(ならびに/またはその溶媒和物及び塩)、例えば式(II)(WO 2008/024725 A1の、例えば3頁に式Iとして指定される)のアザベンゾフラン化合物、及びWO 2008/024725 A1に記載されているようなその変化形態も包含される。式(II)の化合物は、当該技術分野において既知の方法、例えば参照によって本明細書に組み込まれるWO 2008/024725 A1に記載されている合成方法を使用して合成され得る。
【0190】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、式(III):
の化合物(式中:
Z
1は、CR
1またはNであり;
R
1は、H、C
1〜C
3アルキル、ハロ、CF
3、CHF
2、CN、OR
AまたはNR
AR
Aであり;
R
1’は、H、C
1〜C
3アルキル、ハロ、CF
3、CHF
2、CN、OR
A、またはNR
AR
Aであり;
式中、各R
Aは独立して、HまたはC
1〜C
3アルキルであり;
Z
2は、CR
2またはNであり;
Z
3は、CR
3またはNであり;ただし、Z
1、Z
2及びZ
3のうち1つのみが、同時にNであり得ることを条件とし;
R
2及びR
3は独立して、H、ハロ、CN、CF
3、−OCF
3、−NO
2、−(CR
14R
15)
nC(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
nC(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
nC(=Y’)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nNR
11R
12、−(CR
14R
15)
nOR
11、−(CR
14R
15)
nSR
11、−(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
nNR
13C(=Y’)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nNR
12SO
2R
11、−(CR
14R
15)
nOC(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
nOC(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
nOC(=Y’)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nOS(O)
2(OR
11)、−(CR
14R
15)
nOP(=Y’)(OR
11)(OR
12)、−(CR
14R
15)
nOP(OR
11)(OR
12)、−(CR
14R
15)
nS(O)R
11、−(CR
14R
15)
nS(O)
2R
11、−(CR
14R
15)
nS(O)
2NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nS(O)(OR
11)、−(CR
14R
15)
nS(O)
2(OR
11)、−(CR
14R
15)
nSC(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
nSC(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
nSC(=Y’)NR
11R
12、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;
R
4は、H、C
1〜C
6アルキルまたはC
3〜C
4カルボシクリルであり;
Yは、W−C(O)−またはW’であり;
Wは
であり;
R
5は、HまたはC
1〜C
12アルキルであり;
X
1は、R
11’及び−OR
11’から選択され;X
1がR
11’である場合、X
1は場合により、R
5及びそれらが結合している窒素原子と共に、O、S及びNから選択される0〜2つの追加のヘテロ原子を有する4〜7員の飽和環または不飽和環を形成し、式中、この環は、ハロ、CN、CF
3、−OCF
3、−NO
2、オキソ、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nNR
16R
17、−(CR
19R
20)
nOR
16、−(CR
19R
20)
n−SR
16、−(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y’)R
17、−(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y’)OR
17、−(CR
19R
20)
nNR
18C(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nNR
17SO
2R
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nOS(O)
2(OR
16)、−(CR
19R
20)
nOP(=Y’)(OR
16)(OR
17)、−(CR
19R
20)
nOP(OR
16)(OR
17)、−(CR
19R
20)
nS(O)R
16、−(CR
19R
20)
nS(O)
2R
16、−(CR
19R
20)
nS(O)
2NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nS(O)(OR
16)、−(CR
19R
20)
nS(O)
2(OR
16)、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)NR
16R
17、及びR
21から選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
各R
11’は独立して、H、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R
11、R
12及びR
13は独立して、H、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、
またはR
11及びR
12は、それらが結合している窒素と共に、O、S及びNから選択される0〜2つのヘテロ原子を有する3〜8員の飽和環、不飽和環もしくは芳香環を形成し、式中、この環は、ハロ、CN、CF
3、−OCF
3、−NO
2、C
1〜C
6アルキル、−OH、−SH、−O(C
1〜C
6アルキル)、−S(C
1〜C
6アルキル)、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−CO
2H、−CO
2(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHSO
2(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)NH
2、−OC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−OC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、及び−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)O(C
1〜C
6アルキル)から選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
R
14及びR
15は独立して、H、C
1〜C
12アルキル、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールから選択され;
W’は、
であり;
式中、
は、
であり
各X
2は独立して、O、S、またはNR
9であり;
各R
7は独立して、H、ハロ、CN、CF
3、−OCF
3、−NO
2、−(CR
14R
15)
nC(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
nC(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
nC(=Y’)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nNR
11R
12、−(CR
14R
15)
nOR
11、−(CR
14R
15)
nSR
11、−(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
nNR
13C(=Y’)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nNR
12SO
2R
11、−(CR
14R
15)
nOC(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
nOC(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
nOC(=Y’)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nOS(O)
2(OR
11)、−(CR
14R
15)
nOP(=Y’)(OR
11)(OR
12)、−(CR
14R
15)
nOP(OR
11)(OR
12)、−(CR
14R
15)
nS(O)R
11、−(CR
14R
15)
nS(O)
2R
11、−(CR
14R
15)
nS(O)
2NR
11R
12、−(CR
14R
15)
nS(O)(OR
11)、−(CR
14R
15)
nS(O)
2(OR
11)、−(CR
14R
15)
nSC(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
nSC(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
nSC(=Y’)NR
11R
12、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;
各R
8は独立して、C
1〜C
12アルキル、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールから選択され;
R
9は、H、−(CR
14R
15)
nC(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
nC(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
nC(=Y’)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
qNR
11R
12、−(CR
14R
15)
qOR
11、−(CR
14R
15)
qSR
11、−(CR
14R
15)
qNR
12C(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
qNR
12C(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
qNR
13C(=Y’)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
qNR
12SO
2R
11、−(CR
14R
15)
qOC(=Y’)R
11、−(CR
14R
15)
qOC(=Y’)OR
11、−(CR
14R
15)
qOC(=Y’)NR
11R
12、−(CR
14R
15)
qOS(O)
2(OR
11)、−(CR
14R
15)
qOP(=Y’)(OR
11)(OR
12)、−(CR
14R
15)
qOP(OR
11)(OR
12)、−(CR
14R
15)
nS(O)R
11、−(CR
14R
15)
nS(O)
2R
11、−(CR
14R
15)
nS(O)
2NR
11R
12、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;
R
10は、H、C
1〜C
6アルキルまたはC
3〜C
4カルボシクリルであり;
X
4は、
であり;
R
6は、H、ハロ、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−OCF
3、−NO
2、−Si(C
1〜C
6アルキル)、−(CR
19R
20)
nNR
16R
17、−(CR
19R
20)
nOR
16、または−(CR
19R
20)
n−SR
16であり;
R
6’は、H、ハロ、C
1〜C
6アルキル、カルボシクリル、CF
3、−OCF
3、−NO
2、−Si(C
1〜C
6アルキル)、−(CR
19R
20)
nNR
16R
17、−(CR
19R
20)
nOR
16、−(CR
19R
20)
n−SR
16、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;
pは、0、1、2または3であり;
nは、0、1、2または3であり;
qは、2または3であり;
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
6’、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
11’、R
12、R
13、R
14、R
15及びR
Aの各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して、ハロ、CN、CF
3、−OCF
3、−NO
2、オキソ、−Si(C
1〜C
6アルキル)、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nC(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nNR
16R
17、−(CR
19R
20)
nOR
16、−(CR
19R
20)
nSR
16、−(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y’)R
17、−(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y’)OR
17、−(CR
19R
20)
nNR
18C(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nNR
17SO
2R
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nOC(=Y’)NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nOS(O)
2(OR
16)、−(CR
19R
20)
nOP(=Y’)(OR
16)(OR
17)、−(CR
19R
20)
nOP(OR
16)(OR
17)、−(CR
19R
20)
nS(O)R
16、−(CR
19R
20)
nS(O)
2R
16、−(CR
19R
20)
nS(O)
2NR
16R
17、−(CR
19R
20)
nS(O)(OR
16)、−(CR
19R
20)
nS(O)
2(OR
16)、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)R
16、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)OR
16、−(CR
19R
20)
nSC(=Y’)NR
16R
17、及びR
21から独立して選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
各R
16、R
17及びR
18は独立して、H、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、ハロ、CN、−OCF
3、CF
3、−NO
2、C
1〜C
6アルキル、−OH、−SH、−O(C
1〜C
6アルキル)、−S(C
1〜C
6アルキル)、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−CO
2H、−CO
2(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHSO
2(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)NH
2、−OC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−OC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、及び−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)O(C
1〜C
6アルキル)から選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
またはR
16及びR
17は、それらが結合している窒素と共に、O、S及びNから選択される0〜2つのヘテロ原子を有する3〜8員の飽和環、不飽和環もしくは芳香環を形成し、式中、この環は、ハロ、CN、−OCF
3、CF
3、−NO
2、C
1〜C
6アルキル、−OH、−SH、−O(C
1〜C
6アルキル)、−S(C
1〜C
6アルキル)、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−CO
2H、−CO
2(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHSO
2(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)NH
2、−OC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−OC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、及び−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)O(C
1〜C
6アルキル)から選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
R
19及びR
20は独立して、H、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2)
n−アリール、−(CH
2)
n−カルボシクリル、−(CH
2)
n−ヘテロシクリル、及び−(CH
2)
n−ヘテロアリールから選択され;
R
21は、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、C
2〜C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、式中、R
21の各員は、ハロ、オキソ、CN、−OCF
3、CF
3、−NO
2、C
1〜C
6アルキル、−OH、−SH、−O(C
1〜C
6アルキル)、−S(C
1〜C
6アルキル)、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−CO
2H、−CO
2(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)(C
1〜C
6アルキル)、−NHSO
2(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)SO
2(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−SO
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)NH
2、−OC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−OC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−OC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−NHC(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NHC(O)O(C
1〜C
6アルキル)、及び−N(C
1〜C
6アルキル)C(O)O(C
1〜C
6アルキル)から選択される、1つ以上の基で場合により置換され;
各Y’は独立して、O、NR
22、またはSであり;
R
22は、HまたはC
1〜C
12アルキルである)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0191】
いくつかの変化形態では、式(III)のMEK阻害剤化合物は、式(III−a)もしくは(III−b):
(式中、変数は式(III)で定義されるような、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 2009/085983 A1に定義されるようなものである)を有する、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0192】
いくつかの実施形態では、式(III)のMEK阻害剤化合物は、表1に列挙される化合物から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0193】
表1の化合物は、WO2009/085983A1の実施例5〜25に対応する。化合物(III)−5〜(III)−20及び(III)−22〜(III)−24は、実施例8bに記載されているアッセイ(MEK活性アッセイ)で0.5μM未満のIC
50を示した。これらの化合物のいくつかは、0.1μM未満のIC
50を示した。化合物(III)−21及び(III)−25は、10μM未満のIC
50を示した。WO 2009/085983 A1の49頁を参照のこと。
【0194】
また、参照によって本明細書に組み込まれるWO 2009/085983 A1に記載されているMEK阻害剤化合物(ならびに/またはその溶媒和物及び塩)、例えば式(III)(WO 2009/085983 A1の、例えば3頁に式Iとして指定される)のイミダゾピリジン化合物、及びWO 2009/085983 A1に記載されているようなその変化形態も包含される。式(III)の化合物は、当該技術分野において既知の方法、例えば参照によって本明細書に組み込まれるWO 2009/085983 A1に記載されている合成方法を使用して合成され得る。
【0195】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、式(IV)
の化合物(式中、変数は、WO 03/077914 A1の4〜9頁に式Iで定義されるようなもの、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 03/077914 A1に記載されている任意の適用可能な変化形態である)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0196】
いくつかの変化形態では、式(IV)のMEK阻害剤化合物は、式(IV−a)、(IV−b)、(IV−c)、もしくは(IV−d):
の化合物(式中、変数は、WO 03/077914 A1の10〜13頁に、それぞれ式II、III、IIIa及びIIIbで定義されるようなもの、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 03/077914 A1に記載されている任意の適用可能な変化形態である)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0197】
いくつかの実施形態では、式(IV)のMEK阻害剤化合物は、
7−フルオロ−6−(4−ブロモ−2−メチル−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸シクロプロピルメトキシ−アミド;
6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸シクロプロピルメトキシ−アミド;
6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミド;
6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2,3−ジヒドロキシ−プロポキシ)−アミド;
6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチル)−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミド;
[6−(5−アミノ−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−4−フルオロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]−(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)−アミン;
1−[6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−イル]−2−ヒドロキシ−エタノン;
1−[6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3H−ベンゾイミダゾール−5−イル]−2−メトキシエタノン;
6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エトキシ)−アミド;
6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミド;
6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミド;
6−(−ブロモ−2−フルオロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミド;及び
6−(2,4−ジクロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミド
から成る群から選択される化合物;またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0198】
また、参照によって本明細書に組み込まれるWO 03/077914 A1に記載されているような式(IV)の変化形態のいずれも包含される。式(IV)の化合物またはその任意の変化形態は、当該技術分野において既知の方法、例えば参照によって本明細書に組み込まれるWO 03/077914 A1に記載されている合成方法を使用して合成され得る。
【0199】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、式(V)
の化合物(式中、変数は、WO 2005/121142 A1の6〜10頁に式[I]で定義されるようなもの、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 2005/121142 A1に記載されている任意の適用可能な変化形態である)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0200】
また、WO 2005/121142 A1に記載されているような式(V)の変化形態のいずれも、例えばWO 2005/121142A1の、例えば表1の実施例1−1〜1−343、表2の実施例2−1及び2−2、表3の実施例3−1〜3−9、表4の実施例4−1〜4−148に記載されている個々のMEK阻害剤化合物なども包含される。式(V)の化合物またはその任意の変化形態は、当該技術分野において既知の方法、例えば参照によって本明細書に組み込まれるWO 2005/121142 A1に記載されている合成方法を使用して合成され得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、式(VI)
の化合物(式中:
R1は、ブロモ、ヨード、エチニル、シクロアルキル、アルコキシ、アゼチジニル、アセチル、ヘテロシクリル、シアノ、直鎖アルキル及び分岐鎖アルキルから成る群から選択され;
R2は、水素、塩素、フッ素、及びアルキルから成る群から選択され;
R3は、水素、塩素、及びフッ素から成る群から選択され;
R4は、水素、場合により置換されたアリール、アルキル、及びシクロアルキルから成る群から選択され;
R5は、水素及び
から成る群から選択され;
式中、R6は、ヒドロキシル、アルコキシ、シクロアルキル、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、及び場合により置換されたヘテロアリールから成る群から選択され;
R7及びR8は独立して、水素及び場合により置換されたアルキルから成る群から選択され;
またはR6及びR7は共にシクロアルキル基を形成することができ、R8は水素である)またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。
【0202】
いくつかの変化形態では、MEK阻害剤化合物は、式(VI)のもの(式中、変数は、WO 2007/096259 A1の式Iで定義されるようなもの、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 2007/096259 A1の4〜10頁に記載されている任意の適用可能な変化形態である)、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。さらに包含されるMEK阻害剤は、参照によって本明細書に組み込まれるWO 2007/096259 A1の実施例1〜182に記載されている化合物である。
【0203】
いくつかの実施形態では、式(VI)のMEK阻害剤化合物は、
(2S,3S)−N−(4−ブロモ−フェニル)−2−[(R)−4−(4−メトキシ−フェニル)−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル]−3−フェニル−ブチルアミド;
(2S,3S)−N−(4−ヨード−フェニル)−2−[(R)−4−(4−メトキシ−フェニル)−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル]−3−フェニル−ブチルアミド;
(2S,3S)−N−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−{(R)−4−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル}−3−フェニル−ブチルアミド;
(2S,3S)−N−(4−エチニル−2−フルオロ−フェニル)−2−{(R)−4−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル}−3−フェニル−ブチルアミド;
(2R,3S)−N−(4−エチニル−2−フルオロ−フェニル)−2−{(R)−4−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル}−3−フェニル−ブチルアミド;
(2S,3S)−N−(2−クロロ−4−ヨード−フェニル)−2−{(R)−4−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル}−3−フェニル−ブチルアミド;
(2S,3S)−2−{(R)−4−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル}−N−(4−ヨード−2−メチル−フェニル)−3−フェニル−ブチルアミド;
(2S,3S)−N−(2−クロロ−4−ヨード−フェニル)−2−{(R)−4−[4−((R)−2,3−ジヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル}−3−フェニル−ブチルアミド;
(2S,3S)−N−(2−クロロ−4−ヨード−フェニル)−2−{(R)−4−[4−((S)−2,3−ジヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル}−3−フェニル−ブチルアミド;
(2S,3S)−2−{(R)−2,5−ジオキソ−4−[4−(2−オキソ−2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−イミダゾリジン−1−イル}−N−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−3−フェニル−ブチルアミド;
(2S,3S)−2−((R)−2,5−ジオキソ−4−チオフェン−3−イル−イミダゾリジン−1−イル)−N−(4−ヨード−フェニル)−3−フェニル−ブチルアミド;
(S)−2−[(R)−4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル]−N−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−3−フェニル−プロピオンアミド;
(S)−2−[(R)−4−(4−アセチルアミノ−フェニル)−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル]−N−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−3−フェニル−プロピオンアミド;
(4−{(R)−1−[(1S,2S)−1−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルカルバモイル)−2−フェニル−プロピル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−4−イル}−フェノキシメチル)−ホスホン酸ジメチルエステル;
(2S,3S)−N−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−((R)−4−イソプロピル−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル)−3−フェニル−ブチルアミド;
(S)−N−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−{(R)−4−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル}−3−メチル−ブチルアミド;
(S)−N−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−[(R)−4−(4−メトキシ−フェニル)−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル]−3−o−トリル−プロピオンアミド;
(S)−N−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−[(R)−4−(4−メトキシ−フェニル)−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル]−3−m−トリル−プロピオンアミド;
(S)−N−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−[(R)−4−(4−メトキシ−フェニル)−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル]−3−p−トリル−プロピオンアミド;及び
(S)−N−(4−シクロプロピル−2−フルオロ−フェニル)−3−(4−フルオロ−フェニル)−2−{(R)−4−[4−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エトキシ)−フェニル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル}−プロピオンアミド
から成る群から選択される化合物;またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。
【0204】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、式(VII)
の化合物(式中:
R1は、ハロゲン、エチニル、及びシクロアルキルから成る群から選択され;
R2は、水素及びCH(R3)(R4)から成る群から選択され;
R3は、低級アルキル、低級アルコキシ、場合により置換されたアリール、及び場合により置換されたヘテロアリールから成る群から選択され;
R4は、水素及び低級アルキルから成る群から選択され;
R5は水素である、またはR2及びR2とR5が結合している炭素と共に低級シクロアルキルを形成し;及び
R6は、水素、低級アルキル、低級シクロアルキル、場合により置換されたアリール、及び場合により置換されたヘテロアリールから成る群から選択される)またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。
【0205】
いくつかの変化形態では、MEK阻害剤化合物は、式(VI)のもの(式中、変数は、WO 2009/021887 A1の式Iで定義されるようなもの、または参照によって本明細書に組み込まれるWO 2009/021887 A1の4〜5頁に記載されている任意の適用可能な変化形態である)、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。さらに包含されるMEK阻害剤は、参照によって本明細書に組み込まれる2009/021887 A1の実施例1〜21に記載されている化合物である。
【0206】
いくつかの実施形態では、式(VI)のMEK阻害剤化合物は、
(R)−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−3−[(S)−1−(6−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−エチル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−3−(5−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−3−[(S)−1−(5−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−メチル−プロピル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−3−[(1R,2R)−1−(5−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−メトキシ−プロピル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
3−[(S)−1−(5−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−エチル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;トリフルオロ酢酸を含む化合物;
(R)−3−[(S)−2−(4−フルオロ−フェニル)−1−(5−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−エチル]−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−3−[(S)−1−(5−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−3−[(S)−1−(5−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−チオフェン−2−イル−エチル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−3−[(1S,2S)−1−(6−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−プロピル]−5−フェニル−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−3−[(1S,2S)−1−(6−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−プロピル]−5−(4−メトキシ−フェニル)−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−3−[(1S,2S)−1−(6−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−プロピル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−3−[(1S,2S)−1−(6−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−プロピル]−5−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
2−(4−{(R)−1−[(1S,2S)−1−(6−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−プロピル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−4−イル}−フェノキシ)−N,N−ジメチル−アセトアミド;
N,N−ビス−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−(4−{(R)−1−[(1S,2S)−1−(6−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−プロピル]−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−4−イル}−フェノキシ)−アセトアミド;
(R)−3−[(1S,2S)−1−(5−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−プロピル]−5−イソプロピル−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−5−シクロヘキシル−3−[(1S,2S)−1−(5−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−プロピル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−3−[1−(5−ヨード−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−シクロプロピル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−3−[(1S,2S)−1−(6−ブロモ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−プロピル]−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−3−[(S)−1−(5−シクロプロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−エチル]−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;
(R)−3−[(S)−1−(5−エチニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−エチル]−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン;及び
(R)−3−[(1S,2S)−1−(5−エチニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−プロピル]−5−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン
から成る群から選択される化合物;またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0207】
いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、GDC−0973(メタノン、[3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3−ヒドロキシ−3−(2S)−2−ピペリジニル−1−アゼチジニル]−)、G−38963、G02443714、G02442104、及びG00039805から成る群から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0208】
IV.キット
別の態様では、個体の癌を処置する、もしくはその進行を遅延させるための、または癌を有する個体の免疫機能を増強するための、PD−L1軸結合アンタゴニスト及び/またはMEK阻害剤を含むキットが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、キットは、PD−1軸結合アンタゴニスト、及び個体の癌を処置する、もしくはその進行を遅延させるための、または癌を有する個体の免疫機能を増強するための、MEK阻害剤と組み合わせたPD−1軸結合アンタゴニストの使用に関する説明書を含む添付文書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、MEK阻害剤、及び個体の癌を処置する、もしくはその進行を遅延させるための、または癌を有する個体の免疫機能を増強するための、PD−1軸結合アンタゴニストと組み合わせたMEK阻害剤の使用に関する説明書を含む添付文書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、PD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤、ならびに個体の癌を処置する、もしくはその進行を遅延させるための、または癌を有する個体の免疫機能を増強するための、PD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤の使用に関する説明書を含む添付文書を含む。本明細書に記載されるPD−1軸結合アンタゴニスト及び/またはMEK阻害剤のいずれも、本キット中に含まれてよい。
【0209】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載されるPD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤のうち1種以上を含有する容器を含む。好適な容器としては、例えばボトル、バイアル(例えば、デュアルチャンバーバイアル)、シリンジ(シングルまたはデュアルチャンバーシリンジなど)及び試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてよい。いくつかの実施形態では、キットは、ラベル(例えば、容器上にまたは容器に付随)または添付文書を含んでよい。ラベルまたは添付文書は、その中に含有される化合物が、個体の癌を処置する、もしくはその進行を遅延させるために、または癌を有する個体の免疫機能を増強するために有用であってよい、またはそれを目的としてよいことを示してよい。キットは、その他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的及び使用者の観点から望ましいその他の材料をさらに含んでよい。
【実施例】
【0210】
本発明は、以下の実施例の参照によってさらに理解され得、実施例は実例として提供され、限定することを意図するものではない。
【0211】
実施例1:抗PDL1抗体及びMEK阻害剤による併用処置は、ベムラフェニブ進行性腫瘍において持続的な腫瘍退縮をもたらす
B−raf阻害(ベムラフェニブを用いた処置によるなど)は短期的な腫瘍退縮の誘発に効果的であるが、しばしば耐性が観察される。本実施例は、PD−1軸結合アンタゴニストとMEK阻害剤との組み合わせによる処置が、ベムラフェニブ進行性腫瘍を有する動物において持続的な腫瘍退縮及び無増悪生存期間の増加を誘導するという知見について記載する。さらに、PD−1軸結合アンタゴニストとMEK阻害剤との組み合わせによる処置は、驚くべきことにいずれかの薬剤を個別に用いた処置よりも優れていた。
【0212】
材料及び方法
マウスモデル
黒色腫GEMモデルのB−raf
V600E;PTEN
fl/fl;TyCreERを使用した。B−raf
V600E及びTyCreER対立遺伝子は、Dankort,D.,et al.Nat.Genet.41(5):544−52(2009)に記載されている通りであった。PTEN条件付き対立遺伝子は、Lesche,R.et al.genesis 32:148−9(2002)に記載されている通りであった。
【0213】
腫瘍開始
腫瘍は、Dankort,D.,et al.Nat.Genet.41(5):544−52(2009)に記載されているようなタモキシフェンの適用により開始した。動物の腫瘍が400mm
3以上のサイズに到達したら、動物を研究の対象とした。
【0214】
処置
処置を始める前に、各マウスは黒色腫腫瘍の生検を受けた。生検後、処置を受ける前に最大で1週間マウスを回復させた。マウスを初期処置群(n=20)に割り当て、0日目に処置を開始した。
【0215】
ベムラフェニブ処置については、マウスにMCT、200μL、PO、qd;またはPLX−4032(ベムラフェニブ)、50mg/kg PO、BID(300μLを超えない容量)のいずれかを投与した。いずれかの群における動物が約2000mm
3に到達した場合、2回目の腫瘍生検を行った。生検手順後、さらなる治療的処置を受ける前に最大で1週間マウスを回復させた。次いで、動物を以下の処置群に再び割り当てた:GDC−0973(コビメチニブ)、7.5mg/kg PO、qd(300μLを超えない容量)+ブタクサ対照(IgG2a)、10mg/kg IP、1週間に3回;GDC−0973、7.5mg/kg PO、qd(300μLを超えない容量)+抗PDL1(IgG1−WT)、10mg/kg IP、1週間に3回;またはMCT、200μL、PO、qd+抗PDL1(IgG1−WT)、10mg/kg IP、1週間に3回。IP投与容量は、300μLを超えなかった。
【0216】
研究の終了まで少なくとも1週間に1回マウスを計量して、腫瘍を測定した。2500mm
3の平均腫瘍体積が得られるまで、毎日マウスは処置を受けた。次いでマウスを安楽死させて、黒色腫腫瘍を組織学及び分子変化を評価するために収集した。マウスを、安楽死の際に麻酔下で灌流した。
【0217】
研究全体を通して、臨床所見(身体状態、被毛所見、姿勢、努力呼吸など)について少なくとも1週間に2回、観察される有害な臨床徴候の重症度に応じて頻度を増やしながら最多で毎日マウスをモニターした。瀕死の動物は安楽死させた。身体状態スコアが<2のマウスは安楽死させた。
【0218】
結果
腫瘍誘導時、黒色腫GEMモデルのB−raf
V600E;PTEN
fl/fl;TyCreERは、B−raf阻害剤のベムラフェニブによる処置時にサイズの初期退縮を示す腫瘍をもたらす。この初期退縮後、腫瘍は安定した再成長を示し、それによってベムラフェニブ進行性腫瘍のB−raf阻害に対する耐性をモデリングする。
【0219】
このモデルを使用して、ベムラフェニブ進行性腫瘍に対する第2選択療法として、PD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤の有効性を試験した。
図1に示す通り、ベムラフェニブによる第1選択処置後、動物をPD−L1に対する抗体、MEK阻害剤(コビメチニブ)、またはその両方で処置した。抗PD−L1単独での処置は、腫瘍成長に対して全く効果を示さなかった。コビメチニブでの処置は初期腫瘍退縮をもたらしたが、この応答は持続せず、腫瘍再成長を観察した。しかしながら、抗PD−L1及びコビメチニブによる併用処置は、全ての腫瘍で退縮をもたらし、この退縮は持続した。加えて、腫瘍内GR1レベルが有意に減少し、T細胞活性化の特徴を観察した(例えば、CD8、PRF1、及びMHC Iの増加)。重要なことには、抗PD−L1及びコビメチニブによる処置は、無増悪生存期間(PFS)の増加をもたらした。
【0220】
図2は、ベムラフェニブから抗PD−L1、コビメチニブ、または併用処置への移行後の、個々の動物応答を示す。
【0221】
これらの結果は、PD−1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤による併用処置は、各薬剤単独での処置と比較して、ベムラフェニブ進行性腫瘍における劇的かつ持続的な腫瘍退縮をもたらすことを実証している。さらに、これらの結果は、B−raf阻害に耐性のある腫瘍に対する第2選択処置として、組み合わされたPD−1軸/MEK阻害の優れた有効性を実証する。
【0222】
本明細書で引用された全ての特許、特許出願、文献、及び論説は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。