(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673913
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】電磁石コンベア
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
B65G54/02
【請求項の数】21
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-520930(P2017-520930)
(86)(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公表番号】特表2018-502025(P2018-502025A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】US2015053552
(87)【国際公開番号】WO2016069189
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2018年8月7日
(31)【優先権主張番号】62/072,144
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508181663
【氏名又は名称】レイトラム,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ラーガン,ブライアント,ジー.
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−231651(JP,A)
【文献】
特開昭62−285820(JP,A)
【文献】
特開平04−094324(JP,A)
【文献】
実開昭57−174434(JP,U)
【文献】
特開平01−114304(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101590951(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性物品の推進システムにおいて、
第1端部からその反対側の第2端部に延在する通路であって、導電性物品の前記通路への進入を可能にする前記第1端部にある入口と、前記導電性物品が通って前記通路を離れるための前記第2端部にある出口とを有する通路と、
その長さに沿って前記通路に隣接する1次コイルと、
前記1次コイルに電流をもたらすコイル駆動装置であって、これが前記通路にある前記導電性物品に電流を誘導する1次電磁場を生じさせ、これが前記導電性物品に前記1次電磁場と相互作用する2次電磁場を生み出して、前記導電性物品に対する駆動力を生じさせ、前記通路の入口から前記出口を通って進ませる、コイル駆動装置とを具え、
前記コイル駆動装置が、主に前記導電性物品を進ませるための第1周波数の第1電流と、主に前記導電性物品を誘導加熱するためのより高い第2周波数の第2電流とを有する電流を提供することを特徴とする推進システム。
【請求項2】
請求項1に記載の推進システムにおいて、前記1次コイルが、その長さに沿って前記通路の周囲にソレノイドとして構成されていることを特徴とする推進システム。
【請求項3】
請求項1に記載の推進システムにおいて、前記1次コイルが周りに巻かれた中空、細長、非金属製のコイル構造をさらに具えており、前記コイル構造が前記通路を画定する低摩擦材料でなる内壁を有していることを特徴とする推進システム。
【請求項4】
請求項3に記載の推進システムにおいて、前記コイル構造が円形断面であることを特徴とする推進システム。
【請求項5】
請求項3に記載の推進システムにおいて、前記コイル構造が長方形断面であることを特徴とする推進システム。
【請求項6】
請求項5に記載の推進システムにおいて、前記通路が180°曲げられていることを特徴とする推進システム。
【請求項7】
請求項5に記載の推進システムにおいて、前記通路が180°ねじられていることを特徴とする推進システム。
【請求項8】
請求項1に記載の推進システムにおいて、さらに流体ポートを具えるとともに、前記通路が、前記通路を進む前記導電性物品を洗浄するために提供する流体を通す開口部を有することを特徴とする推進システム。
【請求項9】
導電性物品の推進システムにおいて、
第1端部からその反対側の第2端部に延在する通路であって、導電性物品の前記通路への進入を可能にする前記第1端部にある入口と、前記導電性物品が通って前記通路を離れるための前記第2端部にある出口とを有する通路と、
その長さに沿って前記通路に隣接する1次コイルと、
前記1次コイルに電流をもたらすコイル駆動装置であって、これが前記通路にある前記導電性物品に電流を誘導する1次電磁場を生じさせ、これが前記導電性物品に前記1次電磁場と相互作用する2次電磁場を生み出して、前記導電性物品に対する駆動力を生じさせ、前記通路の入口から前記出口を通って進ませる、コイル駆動装置とを具え、
前記コイル駆動装置および前記1次コイルによって生み出される前記1次電磁場は、前記通路の長さに沿って移動する電磁波であり、前記推進システムがさらに、前記通路の周りに配置され、前記1次コイルの電流に垂直な電流を流す第2コイルセットであって、これが前記通路の円周周りを移動する電磁波を生み出し、前記導電性物品が前記通路の長さに沿って進む際に前記導電性物品を回転させることを特徴とする推進システム。
【請求項10】
請求項1に記載の推進システムにおいて、前記導電性物品が通る際にこすり洗いをするための、前記通路に設けられたスクラバー要素をさらに具えていることを特徴とする推進システム。
【請求項11】
請求項1に記載の推進システムにおいて、前記1次コイルの周囲に磁気的に透過性のバッキング材をさらに具えていることを特徴とする推進システム。
【請求項12】
請求項1に記載の推進システムにおいて、前記通路の断面積が前記第1端部から前記第2端部へと単調に増大することを特徴とする推進システム。
【請求項13】
請求項1に記載の推進システムにおいて、前記通路が、前記第1端部から前記第2端部の方へ延在する第1部分の円形断面と、前記第2から前記第1端部に向かって延在する第2部分の長方形断面と、前記第2部分から前記第1部分を分ける遷移部分にて正方形から長方形へと遷移する断面とを有することを特徴とする推進システム。
【請求項14】
請求項13に記載の推進システムにおいて、前記第1部分よりも前記第2部分により近い、前記遷移部分の断面の長い側の一端に近い、前記通路の外側に配置された永久磁石をさらに具えていることを特徴とする推進システム。
【請求項15】
請求項1に記載の推進システムにおいて、前記1次コイルが前記通路の第1の側に沿って延在し、前記推進システムがさらに、前記通路の反対の第2の側の長さに沿って延在する永久磁石のアレイを具えることを特徴とする推進システム。
【請求項16】
導電性物品の推進システムにおいて、
第1端部からその反対側の第2端部に延在する通路であって、導電性物品の前記通路への進入を可能にする前記第1端部にある入口と、前記導電性物品が通って前記通路を離れるための前記第2端部にある出口とを有する通路と、
その長さに沿って前記通路に隣接する1次コイルと、
前記1次コイルに電流をもたらすコイル駆動装置であって、これが前記通路にある前記導電性物品に電流を誘導する1次電磁場を生じさせ、これが前記導電性物品に前記1次電磁場と相互作用する2次電磁場を生み出して、前記導電性物品に対する駆動力を生じさせ、前記通路の入口から前記出口を通って進ませる、コイル駆動装置とを具え、
前記1次コイルが前記通路の第1の側の長さに沿って延在する第1コイルセットと、前記通路の反対の第2の側の長さに沿って延在する第2コイルセットとを含み、前記第1コイルセットが前記通路を渡って前記第2コイルセットに接続されていないことを特徴とする推進システム。
【請求項17】
請求項16に記載の推進システムにおいて、前記コイル駆動装置が、主に前記導電性物品を進ませるための第1周波数の第1電流と、主に前記導電性物品を誘導加熱するためのより高い第2周波数の第2電流とを有する電流を提供することを特徴とする推進システム。
【請求項18】
請求項16に記載の推進システムにおいて、前記第1コイルセットを支持する第1コイル構造と、前記第2コイルセットを支持する第2コイル構造とを具えており、前記第1および第2コイル構造が前記通路を画定し、前記推進システムがさらに、前記第1コイル構造と前記第2コイル構造を結合するヒンジを具えることを特徴とする推進システム。
【請求項19】
請求項16に記載の推進システムにおいて、前記第1コイルセットが、前記第1端部から前記第2端部へと前記通路に沿って移動する第1電磁波を生み出し、前記第2コイルセットが、前記通路に沿って反対方向に移動する第2電磁波を生み出し、前記導電性物品が前記通路に沿って進められる際に、それらを回転させるよう前記第1および第2電磁波の大きさが異なることを特徴とする推進システム。
【請求項20】
請求項1に記載の推進システムにおいて、前記導電性物品がアルミ缶であることを特徴とする推進システム。
【請求項21】
請求項1に記載の推進システムにおいて、前記コイル駆動装置が三相交流電源であり、前記1次コイルが三相巻線を含むことを特徴とする推進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して動力駆動のコンベアに関し、より具体的には電磁石コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
缶製造プロセスを通して、もろく軽量な缶にチッピングやダメージを与えることなくコンベアベルト上でアルミ飲料缶を移動させることは難しい。コーティングや装飾を施された缶はキュアされ、濡れた缶は、大きなオーブンの中でまとめて乾燥させられる。しかし、大きなオーブンはエネルギー効率が悪い。ソレノイド型誘導加熱機が缶を熱するために使用されるが、前記加熱機は缶を移動するためにコンベアチェーンやピンコンベアを使用する。缶はエネルギー効率の悪い大きな洗浄機の中でまとめて洗われ、すすがれる。これらの洗浄機は、大量の水と洗浄液とを消費する。洗浄機を通してまとめて缶を搬送する大きなコンベアベルトは、クリーニング用化学物質や乾燥機による熱に耐えることができなければならない。蓋なしの缶は水気を切るために逆さまにして洗浄されるため、下流の工程に確実に移動するよう、洗浄後逆にして正しい方が上に向いているようにしなければならない。
【発明の概要】
【0003】
導電性物品の推進システムは、第1端部の入口から反対の第2端部の出口まで延在する通路を具えている。導電性物品は、入口を通って通路に進入し、出口を通って通路から出る。複数の1次コイルが、その長さに沿って通路に隣接して配置される。コイル駆動装置が1次コイルに電流を提供すると1次電磁場が生じ、これが通路の導電性物品に電流を誘導する。誘導電流は導電性物品内に2次電磁場を生み出す。これが1次電磁場と相互作用して通路の入口から出口に進ませるための導電性物品への駆動力を生み出す。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、本発明の特徴を具備するソレノイド型缶推進システムの1つのバージョンの一部の一部等角、一部斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のようなソレノイド型缶推進システムの別のバージョンのある部分の等角図であって、長方形の断面を有している。
【
図3】
図3は、
図2のようなソレノイド型缶推進システムの他のバージョンのある部分の等角図であって、2つの缶を並べて搬送するためのものである。
【
図4】
図4は、本発明の特徴に組み入れられているソレノイド型缶推進システムの別のバージョンのある部分の等角図であって、側壁に駆動コイルを有している。
【
図5】
図5は、缶加熱部を含む
図4の缶推進システムの一方の側壁の一部等角、一部斜視図である。
【
図6】
図6は、床に駆動コイルを有する缶推進システムの他のバージョンの部分等角図である。
【
図7】
図7は、
図1のような缶推進システムを用いる缶洗浄−乾燥機の等角図である。
【
図8】
図8は、
図7の缶洗浄−乾燥機の洗浄および乾燥部の等角図である。
【
図9】
図9は、
図7の缶洗浄−乾燥機の缶直立ソレノイド部の等角図である。
【
図11】
図11は、
図10の缶洗浄機の片側の側壁の部分等角図であって、スクラバーを有している。
【
図13】
図13は、
図4の缶推進システムの一方側壁の等角図であって、当該側壁に永久磁石のアレイを有する。
【
図15】
図15は、
図4の缶推進システムの等角図であって、缶を逆にするため180°ねじられている。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1に缶推進システムの1つのバージョンが示されている。推進システムは、ソレノイド23を形成するため、その長さに沿ってコイル構造22の周囲に巻かれた1次コイル20A、20B、20Cの3組のセットを含んでいる。これらのコイルは、3組のコイルのセットに電流を提供する三相電流増幅器24のようなコイル駆動装置によってエネルギーを与えられる。エネルギーを与えられたコイルは、コイル構造22の長さに沿って伝搬方向26に進む電磁波を生じさせる。ソレノイドであるコイル構造22は、伝搬方向に延在しており、低摩擦の内壁28を有する非金属材料からできている。内壁28は、入口32から出口33までソレノイド23の長さに延在する囲まれた通路30を画定する。入口32に挿入されたアルミ缶Cといった導電性物品は、ソレノイド23を通って進められる。移動する電磁波はアルミ缶Cに電流を誘導し、それにより、ソレノイドの1次場と反対の2次反応電磁場を生じさせる。これらの場の相互作用が、伝搬方向26に缶Cが通路30を通って出口33から出るように押す合力Fを生じさせる。ソレノイドのコイル構造22の断面は、缶の上端または下端が先になるように円形である。コイル構造の内径は、缶Cの外径よりも少しだけ大きい。その直径の微差は、内壁28に最小限の接触で通路30を通して缶を進めるのに十分な微差である。また、許容差が小さいことにより、コイル20が缶Cに近くなり、缶により多くの電磁束結合を可能にする。コイル構造22は、流体排水孔を含むことができる。
【0006】
缶Cを進めることに加え、ソレノイド23は、缶を熱することもできる。電流増幅器は2つの成分の電流を生じる:主に缶推進力Fの生成に用いられる低周波数成分34と、主に缶の誘導加熱に用いられる高周波数成分35である。より高い周波数の電流成分は、缶Cに通路30と直行するような高周波渦電流を誘導する。この高周波渦電流が缶を加熱する。
【0007】
図2は、ソレノイド型缶加熱機と、長方形断面の通路36を有する推進システムとを示している。コイル38A−Cは、長方形コイル構造40の周囲に巻かれており、
図1のように電流増幅器によってエネルギーを与えられる。長方形の通路36は、直立の、または倒立の缶Cを受け入れる。また、
図3のソレノイド42は長方形断面を有するが、1対の缶Cを並んで受け入れるためにより広い通路43を有している。ソレノイド42は、フェライトのような磁気透過性の材料からなるバッキング材44に囲まれて示されている。それにより、磁束の漏れを減らし、通路43内の磁束密度を増加する。このようなフェライトのバッキング材は、本書に記載された別の缶推進システムに使用されてもよい。コイル構造40およびバッキング材44は、ともに排水孔を含むことができる。
【0008】
ソレノイドのかわりに、
図4の電磁推進システムは、側面に位置して中央通路50を規定する1対の側壁48、49によって支持される第1および第2のコイルセット46、47を有する。この通路は、横向き、直立、または倒立の缶Cを受け入れる長方形断面を持つ。通路50は、入口、出口および側壁48、49間の上側および下側のスロット52、53を除いてほぼ囲まれている。スロット52、53は、缶Cが通りぬけるには狭い。缶の唯一の経路は入口と出口を通る経路である。
図5に示されているように、側壁48におけるコイル46は、
図1と同じようにコイル駆動装置54よって駆動される。コイル駆動装置54は、低周波の推進成分34に加えて高周波の加熱電流成分35を提供する。コイルのもう半分(図面を簡略化するため図示せず)は、同じコイル駆動装置によって駆動することができる。
【0009】
図6の推進システム58にかかるコイル56は、通路の底部を規定する床60に埋め込まれて示されている。相補的な天井部は示されていないが、床60と同様である。底部の床と天井の両セクションで、入口と、反対の出口とを有する通路を形成する。
【0010】
図7−9にソレノイド型の缶洗浄−乾燥機システムが示されている。このシステムは、洗浄セクション62、乾燥セクション64、直立セクション66および駆動セクション68を含んでいる。すべてのセクションがソレノイド型である。洗浄セクション62は、これを通して水または洗浄液をノズル78のような流体ポートにより缶Cに供給可能なアクセス開口部76によって分けられた、2つの円形ソレノイドセクション74、75を通る通路72を具える第1推進セクション70を含んでいる。アクセス開口部76は、缶Cが大きく推進力を失うか、離脱してしまうほど広くはない。洗浄部70の次のソレノイドセクションは、スピンセクション80である。1次推進コイル82に加えて、スピンセクション80は、中央通路の周辺に円周方向に間隔をあけられたスピンコイル84を有している。スピンコイル84は、1次コイル電流に垂直な電流を流し、通路の周囲を周回する電磁波を生成する。このスピン波は缶Cに、缶の長軸に関してすばやくスピンまたは回転させる電流を誘導する。オイルや他の流体は、すばやく回転する缶から遠心力により除去される。回転モーメントは、缶がリンスセクション86に入るように維持される。リンスセクション86は、流体ポート88が開口部89を通して缶Cにすすぎ用の水を噴霧したり、蒸気をあてたりすることを除き、第1推進セクション70と同じ推進セクションである。乾燥セクション64は、駆動コイル82だけでなく、スピンコイル84を有して示されている。1次推進コイル82は、乾燥セクション64を通して回転する缶Cを推進および加熱するため、高周波電流成分および低周波電流成分の双方でエネルギーを与えられる。通路を画定している内壁には、缶の外側をこすって洗うため、剛毛またはその他のスクラバー要素が並べられていてもよい。
【0011】
乾燥セクション64を離れた後、缶は、直立セクション66の推進セクション90に上部または下部を先にして進められる。直立部66は、缶を上部または底部が先行する状態から、直立または倒立した側部が先行する状態へと転移させる。排水を容易にするため、缶Cは直立部66で上下逆さまにされる。円形推進セクション90は、入口端部94から出口端部95まで断面が単調に増大する長方形コイル構造93の周りに巻かれた長方形直立ソレノイド92へと缶を進める。
図7に示されているバージョンでは、直立ソレノイド92の床96は、出口端部95に向かって天井97から離れる。出口端部95近くの直立ソレノイド92の長い側に沿って、永久磁石98が缶の下部に、缶を直立させるけん引力を生み出す渦電流を誘導する。このようにして、直立セクション66は、缶の向きを、上部または底部が先行する状態から直立または倒立した側部が先行する状態へと変える。永久磁石は、直立部の広くした長方形コイル構造93に埋め込んでもよいし、その外側に設けてもよい。長方形ソレノイド100である最後の推進セクション68は、その後、直立または倒立した缶を下流の工程に搬送する。
【0012】
図10に別のバージョンの缶洗浄機が示されている。このバージョンは、缶Cを搬送するために、
図4の推進システムを使用する。洗剤用ノズル102や、すすぎ用ノズル104のような流体ポートが、長方形通路50に開いている上部および下部スロット52、53を通して、缶Cに流体洗剤およびすすぎ用の水または蒸気を向ける。下部スロット53は、洗浄水やすすぎ用の水のための排水孔を提供する。左右のコイルセット46、47は、缶が長軸106に関して回転するように、反対方向に移動する磁束波を生じる電流で駆動される。2つの電流の大きさは違っており、異なる大きさであって逆向きの力f
1、f
2を缶の反対側に生み出す。合力Fは、通路50を通して回転する缶を進めるため、搬送方向に向いている。
図11に示されているように、剛毛108の形態のスクラバーが、缶Cの側面からオイルをこすり洗うため、洗浄機の側壁48の一部に並んでいる。缶が回転される場合、スクラバーは一側面のみにあることができるが、そうでない場合、内側壁の両方に並べられてもよい。
【0013】
図12は、
図4の推進システム、または
図10の缶洗浄機のヒンジ付きバージョンを示している。側壁48、49の片側にあるヒンジ110が、推進システムの片割れを結合しており、清掃やスクラバーパッド111の取り替えといったメンテナンスを簡略化する。
【0014】
図13に示されているように、駆動コイルを持つ反対側の側壁とともに使用するための側壁112の1つは、内壁116に並べられている永久磁石114のアレイを有する。代替的に、これらの磁石は側壁112に嵌めこまれたり、埋め込まれたりされてもよい。永久磁石は、推進システムの他の片割れにあるコイルによって進められる缶に電流を誘導する。誘導電流は、抗力をもたらす磁場を生み出し缶を回転させる。通路における磁束密度を増加させるため、磁石の配置をハルバッハ配列にすることができる。
【0015】
図14は
図10の缶洗浄機120の出口の反転部118を示す。反転部118は、反対向きの缶C
uを回転させるため、通路50の短い側122にて180°の曲がりを提供し、洗浄機に入る倒立した缶C
uを出る際に直立にする。通路50の長い側123における第2の180°の曲がり119は、直立した缶C
rの移動方向を反転させ、短い側122における曲がりは、通路の高さを変える。そして、倒立した缶C
uを直立した缶C
rにする他の方法が、
図15の180°ねじられた通路124に示されている。曲がり118、119およびねじり124は、例えば、コイル推進のない不動的通路であってもよいし、
図4のような駆動コイルに隣接する推進的通路であってもよい。