特許第6673914号(P6673914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6673914クランプ装置のクランプアームの着脱装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673914
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】クランプ装置のクランプアームの着脱装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
   B23Q3/06 304J
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-521931(P2017-521931)
(86)(22)【出願日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】JP2016065860
(87)【国際公開番号】WO2016194863
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2018年12月17日
(31)【優先権主張番号】特願2015-125133(P2015-125133)
(32)【優先日】2015年6月3日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-164208(P2015-164208)
(32)【優先日】2015年8月5日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-188854(P2015-188854)
(32)【優先日】2015年9月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉見 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】米澤 慶多朗
(72)【発明者】
【氏名】大谷 健太
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/043197(WO,A1)
【文献】 実開昭56-105303(JP,U)
【文献】 特開2004-223640(JP,A)
【文献】 米国特許第4059934(US,A)
【文献】 米国特許第1662173(US,A)
【文献】 米国特許第3841774(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第104493044(CN,A)
【文献】 実開平05-019716(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)に先端側と基端側との間で移動可能に挿入されたクランプロッド(2)であって、その先端部に形成された凹部(2a)を有するクランプロッド(2)と、
前記クランプロッド(2)に着脱自在に装着されたクランプアーム(3)と、
そのクランプアーム(3)の一端部(3a)に前記先端側と前記基端側との間で貫通された装着孔(6)と、
前記クランプアーム(3)の他端部(3b)に設けられると共に、クランプ対象物に当接可能に設けられた押部(7)と、
前記装着孔(6)の前記他端部(3b)側に隣接するように形成されると共に、前記先端側に向けて開口される収容孔(8)と、
前記収容孔(8)に装着される伝達部材(10)であって、その伝達部材(10)の外周部の前記一端部(3a)側から突設されると共に前記凹部(2a)に挿入される突出部(11)を有する伝達部材(10)と、
前記基端側へ向けて先細りするように形成されて前記収容孔(8)に装着される楔部材(15)と、を備え、
前記クランプロッド(2)に前記クランプアーム(3)を取り付けるときには、締付ボルト(21)によって前記楔部材(15)を前記基端側へ押圧することにより、その楔部材(15)が、前記伝達部材(10)と前記クランプロッド(2)とを介して前記装着孔(6)を押圧すると共に、前記収容孔(8)を押圧する、
ことを特徴とするクランプ装置のクランプアームの着脱装置。
【請求項2】
請求項1のクランプ装置のクランプアームの着脱装置において、
前記楔部材(15)の前記一端部(3a)側に形成された第1押圧面(16)が、前記伝達部材(10)に形成された第1受け面(12)に前記先端側から楔係合され、
前記楔部材(15)の前記他端部(3b)側に形成された第2押圧面(17)が、前記収容孔(8)に形成された第2受け面(18)に係合される、
ことを特徴とするクランプ装置のクランプアームの着脱装置。
【請求項3】
請求項1または2のクランプ装置のクランプアームの着脱装置において、
前記凹部(2a)は、前記クランプロッド(2)の外周部に周方向に形成された溝によって構成される、
ことを特徴とするクランプ装置のクランプアームの着脱装置。
【請求項4】
請求項1または2のクランプ装置のクランプアームの着脱装置において、
前記クランプロッド(2)の前記凹部(2a)の少なくとも一部が、前記クランプアーム(3)の先端面(3c)よりも前記先端側に設けられている、
ことを特徴とするクランプ装置のクランプアームの着脱装置。
【請求項5】
請求項1または2のクランプ装置のクランプアームの着脱装置において、
前記楔部材(15)にボルト挿通孔(19)が形成され、そのボルト挿通孔(19)に挿入された前記締付ボルト(21)が、前記収容孔(8)の底部(8a)に螺合され、
前記クランプロッド(2)から前記クランプアーム(3)を取り外すときには、前記締付ボルト(21)を緩め回転することにより、前記締付ボルト(21)の途中高さ部に設けられた係合部(24)が、前記ボルト挿通孔(19)に形成された係止部(20)を前記先端側へ押圧する、
ことを特徴とするクランプ装置のクランプアームの着脱装置。
【請求項6】
請求項1または2のクランプ装置のクランプアームの着脱装置において、
前記伝達部材(10)と前記楔部材(15)とが前記先端側と前記基端側との間で相対的に移動可能となるように連結部材(45)によって連結される、
ことを特徴とするクランプ装置のクランプアームの着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クランプ装置のクランプロッドにクランプアームを着脱する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のクランプ装置には、従来では、特許文献1(日本国・特開2004−223640号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
ハウジング内にクランプロッドが旋回可能に挿入される。そのクランプロッドにクランプアームが着脱自在に装着される。そのクランプロッドの上端部に、上方へ狭まるテーパ外周面と、当該クランプロッドの軸心と同軸状に形成された雄ネジ部とが上方へ順に設けられる。クランプアームの左端部に装着用テーパ孔が上方へ狭まるように形成される。
クランプロッドにクランプアームを取り付けるときには、まず、前記クランプアームの装着用テーパ孔を前記クランプロッドのテーパ外周面に外嵌めする。次いで、クランプアームを回り止めする専用の取り付け治具(例えば、バイス等)で当該クランプアームを固定する。引き続いて、前記雄ネジ部にナットを螺合して、その締付力によってクランプアームをクランプロッドに強力に楔係合させる。最後に、取り付け治具からクランプアームを取り外す。
また、クランプロッドからクランプアームを取り外すときには、まず、クランプロッドからナットを取り外す。次いで、クランプアームの装着用テーパ孔の上部に専用の取り外し治具を螺合する。引き続いて、取り外し治具の上側部にボルトを締め付け回転することにより、クランプロッドに対してクランプアームを持ち上げる。最後に、クランプアームから取り外し治具を取り外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−223640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、クランプロッドにクランプアームを取り付けるときには、専用の取付け治具が必要なので、その取り付け作業に手間がかかっていた。
さらに、上記の従来技術では、クランプロッドからクランプアームを取り外すときには、専用の取り外し治具が必要なので、取り外す作業に手間がかかっていた。
本発明の目的は、クランプロッドにクランプアームを取り付ける作業を容易にすることにある。
また、本発明の別の目的は、クランプロッドからクランプアームを取り外す作業を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、クランプ装置のクランプアームの着脱装置を次のように構成した。
ハウジング1にクランプロッド2が先端側と基端側との間で移動可能に挿入され、そのクランプロッド2の先端部に凹部2aが形成される。前記クランプロッド2にクランプアーム3が着脱自在に装着される。そのクランプアーム3の一端部3aに装着孔6が前記先端側と前記基端側との間で貫通される。前記クランプアーム3の他端部3bに設けられた押部7が、クランプ対象物に当接可能とされる。前記装着孔6の前記他端部3b側に隣接するように形成される収容孔8が、前記先端側に向けて開口される。前記収容孔8に伝達部材10が装着される。その伝達部材10の外周部の前記一端部3a側から突設される突出部11が、前記凹部2aに挿入される。前記収容孔8に装着される楔部材15が、前記基端側へ向けて先細りするように形成される。前記クランプロッド2に前記クランプアーム3を取り付けるときには、締付ボルト21によって前記楔部材15を前記基端側へ押圧することにより、前記楔部材15が、前記伝達部材10と前記クランプロッド2とを介して前記装着孔6を押圧すると共に、前記収容孔8を押圧する。
【0006】
本発明は、次の作用効果を奏する。
本発明では、クランプロッドの外周部の一部分とクランプアームの収容孔との間に、伝達部材を介して楔部材が楔係合される。これに対して、前記の従来技術では、クランプアームのテーパ内周面がクランプロッドのテーパ外周面の全体に楔係合されている。
本発明では、上記構成により、楔部材が伝達部材を介してクランプロッドの外周部の一部分だけを押圧するので、従来技術と比べると、その楔部材を押圧する締付ボルトの回転トルクを小さくできる。これにより、締付ボルトを締め付け回転するときに、クランプアームを回り止めする専用の取り付け治具を必要としない。その結果、クランプロッドにクランプアームを取り付ける作業が容易になる。
【0007】
本発明は、下記(1)から(3)の構成を加えることが好ましい。
(1)前記楔部材15の前記一端部3a側に形成された第1押圧面16が、前記伝達部材10に形成された第1受け面12に前記先端側から楔係合される。また、前記楔部材15の前記他端部3b側に形成された第2押圧面17が、前記収容孔8に形成された第2受け面18に係合される。
この場合、クランプロッドとクランプアームとの間に楔部材が締付ボルトによって楔係合されると、その楔部材の第1押圧面が伝達部材の第1受け面とクランプロッドとを介してクランプアームの装着孔を押圧すると共に、楔部材の第2押圧面がクランプアームの収容孔の第2受け面を押圧する。これにより、クランプアームをクランプロッドに強力に固定できる。
【0008】
(2)前記凹部2aは、前記クランプロッド2の先端部に周方向に形成された溝によって構成される。
この場合、収容孔に伝達部材を挿入すると共に伝達部材の突出部をクランプロッドの溝(凹部)に挿入した仮組み状態で、クランプアームをクランプロッドの軸心回りの所望の角度位置に回転させることができる。これにより、クランプロッドにクランプアームを周方向に位置調整して取り付けることができる。
【0009】
(3)前記クランプロッド2の前記凹部2aの少なくとも一部が、前記クランプアーム3の先端面3cよりも前記先端側に設けられている。
この場合、クランプ対象物から押部とクランプアームと楔部材と伝達部材とを介して伝達される曲げモーメントは、上記の凹部よりも基端側に形成されたクランプロッドの基端側部分で強力に受止められる。より詳しくいえば、上記クランプロッドの直径は、凹部が形成された部分に比べて、その凹部よりも基端側の部分の方が大径に形成されているので、クランプロッドの基端側部分の強度が、凹部の部分の強度よりも高い。このため、その凹部の部分よりも基端側部分の方が、上記の曲げモーメントを強力に受け止めることができ、その結果、クランプロッドが破損や変形するのを防止できる。
【0010】
また、前記の別の目的を達成するため、本発明は、下記の構成を加えることが好ましい。
前記楔部材15にボルト挿通孔19が形成され、そのボルト挿通孔19に挿入された前記締付ボルト21が、前記収容孔8の底部8aに螺合される。前記クランプロッド2から前記クランプアーム3を取り外すときには、前記締付ボルト21を緩め回転することにより、前記締付ボルト21の途中高さ部に設けられた係合部24が、前記ボルト挿通孔19に形成された係止部20を前記先端側へ押圧する。
この場合、締付ボルトを緩め回転することにより、その締付ボルトのねじ推進力が当該締付ボルトの係合部を先端側へ移動させていくと、その係合部が楔部材の係止部に基端側から当接される。すると、前記ねじ推進力が係合部と係止部とを介して楔部材を先端側へ強力に押動させ、その楔部材の楔係合が解除される。従って、クランプロッドからクランプアームを取り外すときに、専用の取り外し治具を必要としない。その結果、クランプロッドからクランプアームを取り外す作業が容易になる。
【0011】
また、上記の本発明は、下記の構成を加えることが好ましい。
前記伝達部材10と前記楔部材15とが連結部材45によって前記先端側と前記基端側との間で相対的に移動可能に連結される。
この場合、クランプロッド等の他の部材に比べて小さい部材である伝達部材と楔部材とが連結された状態でクランプロッドから一度に取り外されるので、その取り外し作業に手間がかからない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施形態を示し、クランプ装置のクランプロッドにクランプアームを着脱する装置の斜視図である。
図2図2は、上記クランプロッドに上記クランプアームを取り付けた状態を示す立面視の断面図である。
図3図3Aから図3Cは、上記クランプロッドに上記クランプアームを取り付ける手順を説明する図であって、それぞれ、上記図1に類似する部分図である。
図4図4は、上記クランプロッドから上記クランプアームを取り外し始める状態を示し、図2に類似する図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態を示し、図2に類似する図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態を示し、図2に類似する図である。
図7図7は、本発明の第4実施形態を示し、図2に類似する図である。
図8図8は、本発明の第5実施形態を示し、図2に類似する図である。
図9図9は、本発明の第6実施形態を示し、図2に類似する図である。
図10図10は、本発明の第7実施形態を示し、図2に類似する図である。
図11図11は、本発明の第8実施形態を示し、図2に類似する図である。
図12図12は、本発明の第9実施形態を示し、図1に類似する図である。
図13図13Aから図13Cは、上記クランプロッドに上記クランプアームを取り付ける手順を説明する図であって、それぞれ、上記図2に類似する図である。
図14図14は、本発明の第9実施形態の第1変形例を示し、図13Cに類似する図である。
図15図15は、本発明の第9実施形態の第2変形例を示し、図13Cに類似する図である。
図16図16は、本発明の第9実施形態の第3変形例を示し、図13Cに類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から図4は、本発明の第1実施形態を示している。
図1及び図2に示すように、旋回式クランプ装置のハウジング1にクランプロッド2が上下方向に(先端側と基端側との間で)移動可能及び軸心回りに回転可能に挿入されている。上記クランプロッド2にクランプアーム3が着脱自在に装着される。以下、その着脱装置について、上記図1及び図2に基づいて説明する。
【0014】
上記クランプロッド2の先端部に溝(凹部)2aが周方向に形成される。また、上記クランプアーム3の左端部(一端部)3aに装着孔6が上下方向へ貫通される。クランプアーム3の右端部(他端部)3bの下部に押部7が設けられ、その押部7がクランプ対象物としてのワーク(図示せず)を下方へ押圧する。上記の装着孔6の右上側に収容孔8が隣接するように形成され、その収容孔8が上方(先端側)へ向けて開口される。その収容孔8の底部8aにボルト孔9が形成される。
【0015】
上記の収容孔8の左寄り部に伝達部材10が上方から挿入される。その伝達部材10の下端面が収容孔8の底部8aに受け止められる。その伝達部材10の左壁(内周壁)に、平面視で右方へ凹んだ円弧状の第1係合面27と第2係合面28とが、それぞれ、上下方向へストレートに形成される。その第1係合面27が、クランプロッド2の溝2aの上側に形成された上壁2bに側方から当接されると共に、第2係合面28が、溝2aの下側に形成された下壁2cの外周面に当接される。また、その伝達部材10の左壁の途中高さ部から、平面視で半筒状の突出部11が左方へ突設され、その突出部11が上記クランプロッド2の溝2aに右側から嵌合される。さらに、伝達部材10の右壁(外周壁)に第1受け面12が下方に向かうにつれてクランプロッド2の軸心から遠ざかるように平面状に形成される。
【0016】
上記の収容孔8の右寄り部に楔部材15が上方から挿入される。その楔部材15の下端部と収容孔8の底部8aとの間に、所定の隙間が形成される。その楔部材15は、平面視で半円状に形成される。楔部材15の左部(内周部)に第1押圧面16が下方へ向かうにつれてクランプロッド2の軸心から遠ざかるように平面状に形成され、その第1押圧面16が上記伝達部材10の第1受け面12に上方から楔係合される。また、楔部材15の右部(外周部)に第2押圧面17が上下方向へストレートに形成される。その第2押圧面17が、上記クランプアーム3の収容孔8に形成された第2受け面18に係合される。
【0017】
上記の楔部材15にボルト挿通孔19が上下方向へ貫通され、そのボルト挿通孔19の途中高さ部に係止部20が形成される。そのボルト挿通孔19に締付ボルト21が挿入され、その締付ボルト21の途中高さ部に溝22が周方向に形成される。その溝22とボルト挿通孔19との間に環状空間が形成される。また、楔部材15の右部(外周部)とボルト挿通孔19との間を連通させる挿入孔23が、上記の溝22と略同じ高さとなるように形成される。上記の挿通孔23を通って上記の環状空間に複数の係合ボール(係合部)24が挿入される。これら係合ボール24が、上記係止部20に所定の隙間をあけて下方から対面される。また、上記の挿通孔23は、係合ボール24を挿入後に、別の大径ボール25によって塞がれる。
なお、クランプロッド2にクランプアーム3を取り付けるときには、それに先立って、楔部材15に締付ボルト21が挿入されると共に、締付ボルト21の溝22に係合ボール24が装着され、その仮組み状態で楔部材15が収容孔8に挿入される。
【0018】
上記のクランプアーム3は、次の手順でクランプロッド2に取り付けられる(図1から図3Cを参照)。
まず、図1に示すように、クランプロッド2の上方にクランプアーム3の装着孔6を移動させる。次いで、そのクランプアーム3を下降させていく。すると、図3Aに示すように、クランプロッド2にクランプアーム3の装着孔6が外嵌めされる。
引き続いて、図3B(及び図2)に示すように、クランプアーム3の収容孔8に伝達部材10が上方から挿入され、その伝達部材10の突出部11がクランプロッド2の溝2aに右側から挿入される。
さらに、図3C(及び図2)に示すように、前記の仮組み状態の楔部材15が収容孔8に上方から挿入される。このとき、楔部材15の第1押圧面16が伝達部材10の第1受け面12に上方から楔係合されると共に、楔部材15の第2押圧面17が収容孔8の第2受け面18に係合される。
その後、楔部材15のボルト挿通孔19に挿入された締付ボルト21を、クランプアーム3のボルト孔9に締め付け回転していく。すると、その締付ボルト21が楔部材15を下方へ押圧し、その楔部材15が、第1押圧面16と伝達部材10の第1受け面12とを介して、クランプロッド2をクランプアーム3の装着孔6に押圧する。これにより、その装着孔6からの反力がクランプロッド2と伝達部材10とを介して楔部材15に作用し、その楔部材15の第2押圧面17がクランプアーム3の収容孔8の第2受け面18を押圧する。その結果、クランプロッド2にクランプアーム3が強力に固定される。
【0019】
上記クランプアーム3が取付けられたクランプロッド2を下方へロック駆動させると、クランプアーム3の押部7がクランプ対象物(図示せず)を下方へ押圧する。より詳しくいえば、クランプロッド2を下降させる力が、そのクランプロッド2の溝2aの上側に形成された上壁2bと、突出部11の上壁11aとを介して伝達部材10に伝達される。すると、その伝達された力が、伝達部材10の下端部からクランプアーム3の収容孔8の底部8aを介してクランプアーム3に伝達される。これにより、クランプアーム3の押部7がクランプ対象物(図示せず)を下方へ押圧する。その結果、クランプロッド2を下降させる力が、伝達部材10とクランプアーム3とを介してクランプ対象物に確実に伝達される。
また、上記クランプ対象物のロック状態では、そのクランプ対象物からクランプアーム3の押部7に作用する反力は、上記の底部8aと伝達部材10突出部11の上壁11aと上記の溝2aの上壁2bとを介してクランプロッド2に受止められる。
また、上記クランプ対象物のロック状態では、そのクランプ対象物からクランプアーム3に作用する反力が、そのクランプアーム3を介してクランプロッド2の上部に反時計回りの方向へモーメントを加える。その反時計回りのモーメントは、主として、クランプロッド2の溝2aの上下両側の部分で当該クランプロッド2の外周面によって受け止められる。
【0020】
上記クランプアーム3は、次の手順でクランプロッド2から取り外される。
まず、図2の取り付け状態において、締付ボルト21を緩め回転すると、その締付ボルト21のねじ推進力が当該締付ボルト21の溝22を介して係合ボール24を上昇させていく。すると、図4に示すように、係合ボール24が楔部材15の係止部20に当接される。引き続いて、前記ねじ推進力が係合ボール24と係止部20とを介して楔部材15を上方へ強力に押圧し、その楔部材15の楔係合が解除される。次いで、収容孔8から楔部材15が上方へ抜き出される。引き続いて、クランプロッド2の溝2aから伝達部材10の突出部11が右方に引き出される。その後、収容孔8から伝達部材10が上方へ取り出される。最後に、クランプロッド2からクランプアーム3が取り外される。
【0021】
上記の第1押圧面16は、クランプロッド2の軸心に対して所定の角度だけ傾斜している。その傾斜角度は、2.5°から15°が好ましく、4°から12°が最も好ましい。なお、この実施形態では、その第1押圧面16の傾斜角度が8°に設定されている。
【0022】
上記の第1実施形態は次の長所を奏する。
その第1実施形態では、クランプロッド2にクランプアーム3を取り付けるときに、クランプロッド2の外周部の一部分とクランプアーム3の収容孔8の第2受け面18との間に、伝達部材10を介して楔部材15が楔係合される。これに対して、前記の従来技術では、クランプアームのテーパ内周面がクランプロッドのテーパ外周面の全体に楔係合されている。
ここで、上記の第1実施形態では、クランプアーム3の取り付け時に、楔部材15が伝達部材10を介して、クランプロッド2の外周部のうちの第1係合面27と第2係合面28とに当接する面だけを押圧するので、従来技術と比べると、その楔部材15を押圧する力が小さくなり、締付ボルト21の回転トルクを小さくできる。これにより、締付ボルト21を締め付け回転するときに、クランプアーム3を回り止めする専用の取り付け治具を必要としない。その結果、クランプロッド2にクランプアーム3を取り付ける作業が容易になる。
また、上記の第1実施形態では、クランプロッド2からクランプアーム3を取り外すときに、締付ボルト21を緩め回転することにより、その締付ボルト21のねじ推進力が係合ボール24を上昇させていくと、係合ボール24が楔部材15の係止部20に下側から当接される。すると、前記ねじ推進力が係合ボール24と係止部20とを介して楔部材15を上方へ強力に押動させ、その楔部材15の楔係合が解除される。
従って、クランプロッド2からクランプアーム3を取り外すときに、専用の取り外し治具を必要としない。その結果、クランプロッド2からクランプアーム3を取り外す作業が容易になる。
【0023】
図5から図16は、本発明の第2実施形態から第9実施形態(変形例を含む)を示している。この第2実施形態から第9実施形態(変形例を含む)においては、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0024】
図5に示す第2実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
上記の伝達部材10の左壁(内周壁)の上部から突出部11が左方へ突設される。その突出部11の左壁に第1係合面27が形成され、その第1係合面27がクランプロッド2の溝2aの底壁に側方から当接されている。また、その伝達部材10の左壁の下部に第2係合面28が形成され、その第2係合面28がクランプロッド2の下壁2cに側方から当接されている。
【0025】
上記の楔部材15のボルト挿通孔19の下端部に、平面視でリング状の部材を円弧状に2分割した係止部材29,29が、下方から挿入されて固定されている。
また、その係止部材29の下面に係止部20が形成される。上記ボルト挿通孔19に挿入される締付ボルト21は、雄ネジ部21aと、その雄ネジ部21aの上側に形成された小径部21bとを有する。その雄ネジ部21aと小径部21bとの間に形成された段差部分に、係合部24が設けられる。その係合部24と上記係止部20との間に所定の隙間が形成されている。
なお、クランプロッド2にクランプアーム3を取り付けるときには、それに先立って、楔部材15に締付ボルト21が挿入されると共に、ボルト挿通孔19に係止部材29,29が装着され、その仮組み状態で楔部材15が収容孔8に挿入される。
【0026】
上記クランプロッド2の上端面から第1装着溝32が下向きに形成される。また、上記クランプアーム3の装着孔6の周壁の左部に第2装着溝33が上下方向に形成される。前記の第1装着溝32と第2装着溝33との間にピン装着孔34が形成される。そのピン装着孔34に回り止め用のピン35が挿入されることにより、クランプアーム3がクランプロッド2に周方向に回り止めされる。なお、回り止め用のピン35として、例えば、例示したスプリングピンや平行ピンなどを採用することができる。
【0027】
上記クランプアーム3は、次の手順でクランプロッド2に取り付けられる。
まず、クランプアーム3をクランプロッド2の上方から下降させ、そのクランプアーム3の装着孔6がクランプロッド2に外嵌めされる。次いで、クランプアーム3をクランプロッド2の軸心回りに回転させることにより、クランプロッド2の第1装着溝32とクランプアーム3の第2装着溝33とを対面させる。その第1装着溝32と第2装着溝33との間に形成されたピン装着孔34に、ピン35を上側から挿入する。引き続いて、クランプアーム3の収容孔8に伝達部材10が上方から挿入され、その伝達部材10の突出部11がクランプロッド2の溝2aに右側から挿入される。さらに、上記の仮組み状態の楔部材15が収容孔8に上方から挿入される。このとき、楔部材15の第1押圧面16が伝達部材10の第1受け面12に上方から楔係合されると共に、楔部材15の第2押圧面17が収容孔8の第2受け面18に係合される。その後、楔部材15のボルト挿通孔19に挿入された締付ボルト21を、ボルト孔9に締め付け回転していく。すると、その締付ボルト21が楔部材15を下方へ押圧し、その楔部材15が、第1押圧面16と伝達部材10の第1受け面12とを介して、クランプロッド2をクランプアーム3の装着孔6に押圧する。これにより、その装着孔6からの反力がクランプロッド2と伝達部材10とを介して楔部材15に作用し、その楔部材15の第2押圧面17がクランプアーム3の収容孔8の第2受け面18を押圧する。その結果、クランプロッド2にクランプアーム3が強固に固定される。
【0028】
上記クランプアーム3が取付けられたクランプロッド2を下方へロック駆動させると、クランプアーム3の押部7がクランプ対象物(図示せず)を下方へ押圧する。より詳しくいえば、クランプロッド2を下降させる力が、そのクランプロッド2の溝2aの上側に形成された上壁2bと、突出部11の上壁11aとを介して伝達部材10に伝達される。すると、その伝達された力が、伝達部材10の下端部からクランプアーム3の収容孔8の底部8aを介してクランプアーム3に伝達される。これにより、クランプアーム3の押部7がクランプ対象物(図示せず)を下方へ押圧する。その結果、クランプロッド2を下降させる力が、伝達部材10とクランプアーム3とを介してクランプ対象物に確実に伝達される。
また、上記クランプ対象物のロック状態では、そのクランプ対象物からクランプアーム3の押部7に作用する反力は、上記の底部8aと伝達部材10と突出部11の上壁11aと上記の溝2aの上壁2bとを介してクランプロッド2に受止められる。
また、上記クランプ対象物のロック状態では、そのクランプ対象物からクランプアーム3に作用する反力が、そのクランプアーム3を介してクランプロッド2の上部に反時計回りの方向へモーメントを加える。その反時計回りのモーメントは、主として、クランプロッド2の溝2aの上下両側の部分で当該クランプロッド2の外周面によって受け止められる。
【0029】
上記クランプアーム3は、次の手順でクランプロッド2から取り外される。
まず、図5の状態において、締付ボルト21を緩め回転することにより、その締付ボルト21の係合部24が上昇されていく。すると、係合部24が楔部材15の係止部20に下側から当接される。引き続いて、前記ねじ推進力が締付ボルト21の係合部24と係止部20とを介して楔部材15を強力に押圧し、その楔部材15の楔係合が解除される。次いで、収容孔8から楔部材15が上方へ抜き取られる。引き続いて、クランプロッド2の溝2aから伝達部材10の突出部11が右方へ抜き出される。その後、収容孔8から伝達部材10が上方へ抜き出される。最後に、クランプロッド2からクランプアーム3が取り外される。
【0030】
上記の第2実施形態は次の長所を奏する。
その第2実施形態では、クランプロッド2にクランプアーム3が取り付けられるときに、クランプロッド2の外周部の一部分と、クランプアーム3の収容孔8の第2受け面18との間に伝達部材10を介して楔部材15が楔係合される。これに対して、従来技術では、クランプアームのテーパ内周面がクランプロッドのテーパ外周面の全体に楔係合されている。
ここで、上記の第2実施形態では、クランプアーム2の取り付け時に、楔部材15が伝達部材10を介して、クランプロッド2の外周部のうちの第1係合面27と第2係合面28とに当接される部分だけを押圧するので、従来技術と比べると、その楔部材15を押圧する力が小さくなり、締付ボルト21の回転トルクを小さくできる。これにより、締付ボルト21を締め付け回転するときに、クランプアーム3を回り止めする専用の治具を必要としない。その結果、クランプロッド2にクランプアーム3を取り付ける作業が容易になる。
また、上記の第2実施形態では、クランプロッド2からクランプアーム3を取り外すときに、締付ボルト21を緩め回転することにより、その締付ボルト21の係合部24が上方へ移動されていくと、その係合部24が楔部材15の係止部20に下側から当接される。すると、前記ねじ推進力が係合部24と係止部20とを介して楔部材15を上方に強力に押動させ、その楔部材15の楔係合が解除される。
従って、クランプロッド2からクランプアーム3を取り外すときに、専用の取り外し治具を必要としない。その結果、クランプロッド2からクランプアーム3を取り外す作業が容易になる。
【0031】
図6に示す第3実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
上記クランプロッド2の上部に形成された溝2aの底壁が、上方へ向かうにつれて軸心に近づくテーパ面2dを有する。また、上記の伝達部材10の左壁(内周壁)の途中高さ部から突出部11が左方へ突設される。その突出部11の左壁面は、上方へ向かうにつれてクランプロッド2の軸心に近づくように傾斜されている。その突出部11の上壁11aが上記の溝2aの上壁2bに下方から当接される。また、伝達部材10の左壁の上部に第1係合面27が形成され、その第1係合面27がクランプロッド2の上壁2bに側方から当接されている。また、その伝達部材10の左壁の下部に第2係合面28が形成され、その第2係合面28がクランプロッド2の下壁2cに側方から当接されている。
ここで、クランプロッド2の溝2a部分が下方へ向かうにつれて太くなるようにテーパ状に形成されている。このため、そのテーパ状の溝2a部分におけるクランプロッド2の直径が、上下方向にストレートに形成された第1実施形態の溝2a部分におけるクランプロッド2の直径よりも大径に形成される。これにより、本実施形態のクランプロッド2の強度は、第1実施形態のクランプロッド2の強度より高い。その結果、ロック状態のクランプ対象物から受ける反時計回りの方向へモーメントを強力に受け止めることができる。
【0032】
図7に示す第4実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
上記クランプロッド2の上部に形成された溝2aの底壁に、上方へ向かうにつれて軸心に近づくテーパ面2dと、そのテーパ面2dの上側に上下方向にストレートに形成される壁面とが形成される。また、上記の伝達部材10の左壁(内周壁)の途中高さ部から突出部11が左方へ突設される。その突出部11の左壁面は、上方へ向かうにつれてクランプロッド2の軸心に近づくように傾斜される傾斜面と、その傾斜面の上側に上下方向にストレートな壁面が形成される。その突出部11の上壁11aが上記の溝2aの上壁2bに下方から当接される。
この場合、クランプロッド2の溝2aがテーパ面2dを有するので、その溝2a部分では、クランプロッド2が下方へ向かうにつれて太くなるように形成される。このため、そのテーパ状の溝2a部分におけるクランプロッド2の直径が、上下方向にストレートに形成された第1実施形態の溝2a部分におけるクランプロッド2の直径よりも大径に形成される。これにより、本実施形態のクランプロッド2の強度は、第1実施形態のクランプロッド2の強度より高い。その結果、ロック状態のクランプ対象物から受ける反時計回りの方向へモーメントを強力に受け止めることができる。
また、突出部11が上記の溝2aの上壁2bと下壁2cに案内されながら当該溝2aに嵌め込まれる。このため、伝達部材10は、クランプロッド2に上下方向の位置精度よく取り付けられる。
【0033】
図8に示す第5実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
上記クランプロッド2の上部に形成された溝(凹部)2aが、上方へ向かうにつれて軸心に近づくテーパ面2dを有する。また、上記の伝達部材10の左壁(内周壁)から突出部11が左方へ突設される。その突出部11の左壁面は、上方へ向かうにつれてクランプロッド2の軸心に近づくように傾斜されている。その突出部11の上壁11aが上記の溝2aの上壁2bに下方から当接される。
この場合、クランプロッド2の溝2aがテーパ面2dを有するので、クランプロッド2が下方へ向かうにつれて太くなるように形成される。このため、そのテーパ状の溝2a部分におけるクランプロッド2の直径が、上下方向にストレートに形成された第1実施形態の溝2a部分におけるクランプロッド2の直径よりも大径に形成される。これにより、本実施形態のクランプロッド2の強度が、第1実施形態のクランプロッド2の強度より高い。その結果、ロック状態のクランプ対象物から受ける反時計回りの方向へモーメントを強力に受け止めることができる。
【0034】
図9に示す第6実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
前記クランプロッド2の凹部2aが、前記クランプアーム3の上端面(先端面)3cよりも上方(先端側)に設けられている。その凹部2aがクランプロッド2の周方向に溝状に形成されている。
また、上記の伝達部材10の左壁(内周壁)の上部から突出部11が左方へ突設される。その突出部11の上壁11aが凹部2aの上壁2bに下方から当接されている。また、その伝達部材10の左壁の下部に係合面28が形成され、その係合面28がクランプロッド2の下壁2cに側方から当接されている。
この場合、上記クランプロッド2の直径は、凹部2aが形成された上部に比べて、その凹部2aよりも下側の部分の方が大径に形成されているので、クランプロッド2の下側部分の強度は、凹部2aの部分の強度よりも高い。このため、その凹部2aの部分よりも下側部分の方が、上記の曲げモーメントを強力に受け止めることができ、その結果、クランプロッド2が破損や変形するのを防止できる。
【0035】
図10に示す第7実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
前記凹部2aの少なくとも一部である上半部分が、前記クランプアーム3の上端面3cよりも上方に設けられている。その凹部2aがクランプロッド2の周方向に溝状に形成されると共に、凹部2aの断面形状が円弧状に形成されている。
上記の伝達部材10の左壁(内周壁)の途中高さ部から突出部11が左方へ突設され、その突出部11の断面が円弧状に形成されている。また、その伝達部材10の左壁の上部に第1係合面27が形成され、その第1係合面27がクランプロッド2の上壁2bに側方から当接されている。さらに、伝達部材10の左壁の下部に第2係合面28が形成され、その第2係合面28がクランプロッド2の下壁2cに側方から当接されている。
【0036】
図11に示す第8実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
前記凹部2aの全部が、前記クランプアーム3の上端面3cよりも上方に設けられている。その凹部2aがクランプロッド2の周方向に溝状に形成されていると共に、凹部2aの断面形状が円弧状に形成されている。
また、伝達部材10の突出部11が係合リング39によって構成されている。その係合リング39は、上下方向に延びるスリット39aを有し、凹部2aに装着されている。
また、上記の伝達部材10の左壁(内周壁)の上部に溝10aが形成され、その溝10aが係合リング39の外周部に外嵌めされている。
また、その伝達部材10の左壁の上部に第1係合面27が形成され、その第1係合面27がクランプロッド2の上壁2bに側方から当接されている。さらに、伝達部材10の左壁の下部に第2係合面28が形成され、その第2係合面28がクランプロッド2の下壁2cに側方から当接されている。
【0037】
図12に示す第9実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
前記の伝達部材10の左側面と右側面とに(両側面に)装着孔42が形成され、その装着孔42から第1受け面12側に向けて装着溝43が形成される。また、楔部材15の外周部に収容溝48が周方向に形成される。伝達部材10と楔部材15とが連結部材45によって上下方向に相対的に移動可能に連結される。その連結部材45は、断面形状が円形のピアノ線やバネ材によって形成され、U字状に曲げ加工されている。連結部材45の両先端部は、U字の内方に向けて折り曲げられている。連結部材45の曲線部分が楔部材15の収容溝48に挿入されると共に、連結部材45の先端部が伝達部材10の装着溝43および装着孔42に挿入され、伝達部材10と楔部材15とが連結状態となる。
なお、楔部材15の収容溝48の高さ寸法が連結部材45の直径よりも大きくなるように設定されている。これにより、伝達部材10に装着された連結部材45が、楔部材15の収容溝43によって上下方向に案内される。
【0038】
上記クランプアーム3は、次の手順でクランプロッド2に取り付けられる。
まず、図13Aに示すように、クランプアーム3をクランプロッド2の上方から下降させ、そのクランプアーム3の装着孔6がクランプロッド2に外嵌めされる。次いで、図13Bに示すように、伝達部材10と楔部材15とが上記の連結状態で、伝達部材10の突出部11がクランプロッド2の溝2aに右側から挿入される。引き続いて、クランプアーム3を持ち上げていくと、その連結状態の伝達部材10と楔部材15とがクランプアーム3の収容孔8に外嵌めされていく。さらに、楔部材15のボルト挿通孔19に挿入された締付ボルト21を、ボルト孔9に締め付け回転していく。すると、その締付ボルト21が楔部材15を下方へ押圧し、その楔部材15が、第1押圧面16と伝達部材10の第1受け面12とを介して、クランプロッド2をクランプアーム3の装着孔6に押圧する。これにより、その装着孔6からの反力がクランプロッド2と伝達部材10とを介して楔部材15に作用し、その楔部材15の第2押圧面17がクランプアーム3の収容孔8の第2受け面18を押圧する。その結果、クランプロッド2にクランプアーム3が強固に固定される。
【0039】
図14に示す第9実施形態の第1変形例が上記の第9実施形態と異なる点は次の通りである。
伝達部材10の両側面(図14に手前側の側面のみを示す)に長穴(装着孔)42が上下方向に延在するように形成され、その装着孔42から第1受け面12側に向けて装着溝43が形勢される。装着溝43は、装着孔42と同様に上下方向に延在するように形成される。U字状の連結部材45の両先端部が伝達部材10の装着溝43および装着孔42に上下方向移動可能となるように挿入される。
【0040】
図12から図13Cに示す第9実施形態における装着孔42および装着溝43は、いずれも、上下方向に短い、別の表現では点のような形態である。これに対して、図14に示す第1変形例における装着孔42および装着溝43は、いずれも、上下方向に延びる形態である。そのため、伝達部材10と楔部材15とは、連結部材45によって連結された状態で、上下方向に大きく相対的に移動可能となる。
【0041】
また、クランプアーム3がクランプロッド2に取り付けられた状態で、装着孔42および装着溝43の上端部がクランプアーム3の上面よりも下方になるように、装着孔42および装着溝43は伝達部材10に形成されている。これにより、クランプロッド2にクランプアーム3が取り付けられた状態において、装着孔42および装着溝43がクランプアーム3の収容孔8によって塞がれるので、切粉等の異物が装着孔42内および装着溝43内に侵入するのを防止できる。
【0042】
図15に示す第9実施形態の第2変形例が図14に示す第1変形例と異なる点は次の通りである。
伝達部材10の両側面(図15に手前側の側面のみを示す)に上下方向に延在するように形成された長穴(装着孔)42は、上下方向に延在する第1装着孔部50と、第1装着孔部50の上端部から突出部11側に向かう第2装着孔部51とで構成される。
【0043】
図16に示す第9実施形態の第3変形例が図14に示す第1変形例と異なる点は次の通りである。
伝達部材10の両側面(図15に手前側の側面のみを示す)に上下方向に延在するように形成された長穴(装着孔)42は、第1受け面12に平行する方向(斜め上下方向)に形成される。U字状の連結部材45の両先端部は、第1変形例の場合と同様に、伝達部材10の装着溝43に沿って移動可能となるように挿入される。
【0044】
クランプアーム3をクランプロッド2から取り外すときには、クランプアーム3の収容孔8から楔部材15を上方に真っ直ぐ持ち上げる。すると、連結部材45の先端部が伝達部材10の装着孔42の側壁を右方に押し、伝達部材10の突出部11がクランプロッド2の凹部2aから抜き出される。これにより、クランプロッド2から伝達部材10および楔部材15を取り外すことができる。
【0045】
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
上記クランプ装置は、例示した旋回可能かつ昇降可能な旋回式クランプに代えて、旋回と昇降とのいずれか一方が可能なクランプ装置であってもよい。
【0046】
上記の凹部2aは、クランプロッド2の外周部に周方向に形成された溝に代えて、クランプロッド2の外周面に開口された孔であってもよい。
また、上記のクランプロッド2の凹部2aの断面形状が、略四角形に形成されるのに代えて、円弧状や三角形など他の形状に形成されてもよい。
【0047】
上記の突出部11の断面形状が、略四角形に形成されるのに代えて、円弧状や三角形など他の形状に形成されてもよい。
【0048】
上記の第1押圧面16が、上記楔部材15の左部に、下方へ向かうにつれてクランプロッド2の軸心から遠ざかるように形成されると共に、第2押圧面17が楔部材15の右部に上下方向へストレートに形成される構成としたが、これに代えて、下記(1)または(2)の構成であってもよい。
(1)第1押圧面16が楔部材15の左部に上下方向へストレートに形成されると共に、第2押圧面17が、楔部材15の右部に、下方へ向かうにつれて上記の軸心に近づくように形成される。
(2)第1押圧面16が、楔部材15の左部に、下方へ向かうにつれて上記の軸心から遠ざかるように形成されると共に、第2押圧面17が、楔部材15の右部に、下方へ向かうにつれて上記の軸心に近づくように形成される。
【0049】
上記の第1押圧面16,第2押圧面17および第1受け面12,第2押圧面18は、平面に形成される構成に代えて、平面視で円弧状に形成される構成であってもよい。
【0050】
前記クランプロッド2の凹部2aの全部が、前記クランプアーム3の上端面3cよりも上方に設けられるのに代えて、前記クランプロッド2の凹部2aの一部が、前記クランプアーム3の上端面3cよりも上方に設けられてもよい。
【0051】
上記の突出部11は、伝達部材10と一体形成されることに代えて、別体に設けてもよい。
上記の伝達部材10の突出部11の上方に設けられる係合面27を省略してもよい。
【0052】
上記の連結部材45の断面が、円形に形成されているのに代えて、四角形や薄板状に形成されてもよい。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
1:ハウジング,2:クランプロッド,2a:凹部(溝),3:クランプアーム,3a:一端部(左端部),3b:他端部(右端部),3c:端面(上端面),6:装着孔,7:押部,8:収容孔,8a:底部,10:伝達部材,11:突出部,12:第1受け面,15:楔部材,16:第1押圧面,17:第2押圧面,18:第2受け面,19:ボルト挿通孔,20:係止部,21:締付ボルト,24:係合部(係合ボール).
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16