(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化合物(C)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−カルボキシエチルアクリレート、3−カルボキシプロピルアクリレート、マレイン酸、フマル酸、2−(アクリロイルオキシ) 酢酸、2−(アクリロイルオキシ)プロパン酸、3−(アクリロイルオキシ)プロパン酸 、2−(アクリロイルオキシ)−2−フェニル酢酸、4−(アクリロイルオキシ) ブタン酸、2−(アクリロイルオキシ)−2−メチルプロパン酸、5−(アクリロイルオキシ) ペンタン酸、(E)−ブタ−2−エン酸、(Z)−プロパ−1−エン−1,2,3−トリカルボン酸、桂皮酸、ソルビン酸、2−ヘキセン酸、2−ペンテン酸、2,4−ペンタジエン酸、3−(ビニルスルホニル)プロパン酸、2−(ビニルスルホニル)酢酸、および2−(ビニルスルホニル)コハク酸から選択される、請求項1または2記載の粘弾性固体組成物(A)。
前記有機ポリシロキサン(B)が、応力を加えてレオメータで、25℃で測定して、1〜100000mPa・sの範囲の動的粘度を有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の粘弾性固体組成物(A)。
応力を加えてレオメータで、25℃で測定した粘度が、前記有機ポリシロキサン(B)の粘度よりも少なくとも10倍大きい、請求項1〜7のいずれか1項記載の粘弾性固体組成物(A)。
得られた前記組成物(A)が、応力を加えてレオメータで、25℃で測定した動的粘度が、前記有機ポリシロキサン(B)の動的粘度よりも少なくとも10倍大きい、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
傷の手当における、電子部品の封入のための、コーティングとしての、添加剤としての、一時的な印刷のための、あるいは薄層コーティングのための、使用のための請求項1または2記載の粘弾性固体組成物(A)。
傷の手当における、電子部品の封入のための、コーティングとしての、添加剤としての、一時的な印刷のための、あるいは薄層コーティングのための、使用のための請求項15記載の組成物K1。
塗料、コーティング、接着剤、封止材、パーソナルケア、ヘルスケア、布帛処理、電子製品、自動車分野、ゴム、消泡組成物における、使用のための請求項1または2記載の粘弾性固体組成物(A)。
塗料、コーティング、接着剤、封止材、パーソナルケア、ヘルスケア、布帛処理、電子製品、自動車分野、ゴム、消泡組成物における、使用のための請求項15記載の組成物K1。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の範囲では、電子吸引基は、それに電子を吸引する基、すなわち、水素の電気陰性度よりもより大きな電気陰性度を有し、それによって電子が枯渇した結合をもたらす、原子または原子団を意味する。従って、本発明の範囲では、電子求引基は、アルケンまたはアルキン官能基の電子を枯渇させる。そのような基の定義は、特には、文献“Michael addition reactions in macromolecular design for emerging technologies” Progress in Polymer Science, 31 (5), p.487-531(2006)に与えられている。電子吸引基としては、特には、ケトン、酸、アミド、ホスホン酸エステル、ホスホン酸、スルホン酸、スルホン、エステル、チオエステル、NO
2基、CN基などの官能基が挙げられる。
【0011】
本願の範囲では、酸官能基としては、特にはカルボン酸、スルホン酸およびホスホン酸官能基が挙げられる。従って、そして好ましくは、本発明の化合物(C)は、少なくとも1つの置換基がカルボン酸、スルホン酸もしくはホスホン酸官能基である、少なくとも1つの二重または三重炭素−炭素結合を含む有機化合物、あるいはカルボン酸官能基、スルホン酸官能基もしくはホスホン酸官能基から選択される少なくとも1種の酸官能基および少なくとも1つの置換基が電子吸引基である少なくとも1つの二重もしくは三重炭素−炭素結合を含む有機化合物から選択される。この化合物Cは、次いでアザ−マイケル反応に従って、文献、Michael addition reactions in macromolecular design for emerging technologies、Progress in Polymer Science, 31 (5), p.487-531(2006)に記載されているように、第1級または第2級アミンと反応することができる。好ましくは、本発明による化合物(C)は、少なくとも1つの置換基がカルボン酸官能基である少なくとも1つの二重炭素−炭素結合を含むか、あるいは、少なくとも1つのカルボン酸官能基および、少なくとも1つの置換基が電子吸引基である少なくとも1つの二重炭素−炭素結合を含んでいる。更により好ましくは、本発明による化合物(C)では、二重炭素−炭素結合の少なくとも1つ、および酸官能基の少なくとも1つは、共役している。
【0012】
それらの化合物として、好ましくは式(II)、
【0014】
式中、
R
2、R
3およびR
4は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、COOH基またはC
1−C
6、好ましくはC
1−C
3アルキル基、好ましくはメチル基を表し、
R
5は、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、このアルキルおよびアリールは、少なくとも1つのCOOH基を表し、
好ましくは、式(II)の化合物では、
R
2およびR
3は、同じでも異なっていてもよく、水素原子またはC
1−C
6、好ましくはC
1−C
3アルキル基、好ましくはメチル基を表し、
R
4は、水素原子、C
1−C
6、好ましくはC
1−C
3アルキル基、好ましくはメチル基、またはCOOH基を表し、
R
5は、水素原子、0.アルキル基またはアリール基を表し、このアルキルおよびアリールは、少なくとも1つのCOOH基を含む、
の化合物を挙げることができる。
【0015】
好ましくは、本発明の化合物(C)は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−カルボキシエチルアクリレート、3−カルボキシプロピルアクリレート、マレイン酸、フマル酸、2−(アクリロイルオキシ) 酢酸、2−(アクリロイルオキシ)プロパン酸、3−(アクリロイルオキシ)プロパン酸 、2−(アクリロイルオキシ)−2−フェニル酢酸、4−(アクリロイルオキシ) ブタン酸、2−(アクリロイルオキシ)−2−メチルプロパン酸、5−(アクリロイルオキシ) ペンタン酸、(E)−ブタ−2−エン酸、(Z)−プロパ−1−エン−1,2,3−トリカルボン酸、桂皮酸、ソルビン酸、2−ヘキセン酸、2−ペンテン酸、2,4−ペンタジエン酸、エテンスルホン酸、ビニルホスホン酸、(1−フェニルビニル)ホスホン酸、3−(ビニルスルホニル)プロパン酸、2−(ビニルスルホニル)酢酸、2−(ビニルスルホニル)コハク酸、アセチレンジカルボン酸、およびプロピオール酸から選択される。
好ましくは、本発明の化合物(C)は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−カルボキシエチルアクリレート、3−カルボキシプロピルアクリレート、マレイン酸およびフマル酸から選択される。
【0016】
好ましくは、化合物(C)は、アクリル酸または2−カルボキシエチルアクリレートである。
好ましくは、化合物(C)は、アクリル酸である。
【0017】
好ましくは、有機ポリシロキサン(B)は、直鎖、分岐または環式構造を有することができる。それらが直鎖の有機ポリシロキサンである場合には、後者は、特には、シロキシル単位Y
2SiO
2/2、YZ
1SiO
2/2およびZ
22SiO
2/2からなる群から選択されるシロキシル単位<<D>>、ならびに特には、シロキシル単位Y
3SiO
1/2、YZ
12SiO
1/2、Y
2Z
1SiO
1/2およびZ
23SiO
1/2からなる群から選択されるシロキシル単位<<M>>から本質的になっており、ここでY、Z
1およびZ
2は上記で規定したとおりであり、有機ポリシロキサン(B)は、分子当たりに、上記で規定した少なくとも1つの式(I.3)の官能基を有する少なくとも1つのシロキシル単位を含むと理解される。
【0018】
特に好ましい態様では、有機ポリシロキサン(B)は、下記の式のシロキシル単位(I.1)および(I.2)を含む有機ポリシロキサンから選択される。
【0020】
式中、
− YおよびZ
1およびZ
2は、上記の定義を有しており、
− aは1または2であり、bは0、1または2であり、そしてa+bは2または3であり、
− cは1または2である。
特に好ましくは、有機ポリシロキサン(B)は、YZ
1SiO
2/2およびYZ
12SiO
1/2からなる群から選択された単位(I.1)ならびにZ
22Si
2/2およびZ
23SiO
1/2からなる群から選択された単位(I.2)を含む有機ポリシロキサンから選択され、Y、Z
1およびZ
2は、上記の通りであり、この有機ポリシロキサン(B)は、分子当たりに、少なくとも1つの上記の式(I.3)の少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1つのシロキシル単位(I.1)を含んでいると理解される。
【0021】
好ましくは、有機ポリシロキサン(B)は、2〜5000の範囲、好ましくは2〜1500の範囲、より好ましくは2〜500の範囲の重合度を有している。
【0022】
好ましくは、有機ポリシロキサン(B)は、1〜100の範囲、好ましくは2〜80の範囲のシロキシル単位(I.1)の数を含んでいる。
【0023】
好ましくは、有機ポリシロキサン(B)は、1×10
−5〜1×10
−1モル/gの範囲、そして、好ましくは5×10
−5〜5×10
−2モル/gの範囲の量のNH結合/gを含んでいる。
【0024】
好ましくは、有機ポリシロキサン(B)は、下記の式の化合物から選択することができる。
【0026】
式中、kは1〜1000、好ましくは1〜800である。
【0028】
式中、lは1〜1000、好ましくは1〜800であり、そしてmは1〜150、好ましくは1〜100である。
【0030】
式中、nは1〜1000、好ましくは1〜800であり、そしてoは1〜150、好ましくは1〜100である。
【0032】
式中、pは1〜1000、好ましくは1〜800である。
【0033】
他の態様によれば、有機ポリシロキサン(B)は、末端単位ジメチルメトキシシリルまたはジメチルエトキシシリルを、トリメチルシリルの代わりに有する上記の式(IV)および(V)の化合物から選択することができる。
【0034】
特定の態様では、有機ポリシロキサン(B)はエマルジョンとして存在することができる。
【0035】
有機ポリシロキサン(B)を規定する好ましい特徴の全ては、互いに組み合わせることができる。
【0036】
包括的には、少なくとも1つの置換基が電子吸引基または酸官能基である化合物(C)のアルケンまたはアルキン官能基のモル数の間の比率を表す比rは、好ましくは、少なくとも1つの置換基が電子吸引基または酸官能基である二重結合C=Cまたは三重結合C≡Cのモル数ならびに有機ポリシロキサン(B)が有するN−H結合のモル数で規定することができる。比rは、下記の関係となる。
【0038】
また、化合物(C)の酸官能基のモル数と、有機ポリシロキサン(B)のアミン官能基のモル数との間の比を表す比Jを規定することができる。この比Jは、下記の関係となる。
【0040】
アミン官能基は、第1級または第2級アミンを意味している。従って、1モルの第1級アミン官能基は2モルのN−H結合を含み、そして1モルの第2級アミン官能基は1モルのN−H結合を含むことが理解されなければならない。
【0041】
好ましくは、比Jは、0.01〜20の範囲、好ましくは0.5〜3の範囲、そして更により好ましくは0.5〜1.5の範囲である。
好ましくは、比rは、0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜2の範囲、そして更により好ましくは0.2〜1.5の範囲である。
好ましくは、比Jは、0.01〜20の範囲、好ましくは0.5〜3の範囲、更により好ましくは0.5〜1.5の範囲、そして比rは、0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜2の範囲、そして更により好ましくは2〜1.5の範囲である。
好ましくは、有機ポリシロキサン(B)は、25℃で、応力を加えてレオメータ、特にはTA-DHRIIで測定して、1〜100000mPa.sの範囲、好ましくは100〜50000mPa.sの範囲の動的粘度を有している。
【0042】
特に有利な方法では、適用される本方法のために、有機ポリシロキサン(A)は、応力加えてレオメータで、特にはTA-DHRIIで、25℃で測定して、有機ポリシロキサン(B)の動的粘度よりも少なくとも10倍大きな動的粘度を有している。
有機ポリシロキサン(A)は、随意選択的にエマルジョンであることができる。
得られた有機ポリシロキサン(A)は、粘弾性液体または粘弾性固体であることができる。有機ポリシロキサン(A)が粘弾性液体と粘弾性固体との間の遷移状態にある場合には、これはゲルと称することができる。従って、調整することができる粘弾性特性を有する有機ポリシロキサン(A)を得ることが可能である。
【0043】
また、本発明は、10℃〜75℃の範囲の温度で、
− 少なくとも1種のアルケンもしくはアルキン官能基を含む有機化合物であって、この官能基の少なくとも1つの置換基は、酸官能基である有機化合物、ならびに少なくとも1種の酸官能基および少なくとも1種のアルケンもしくはアルキン官能基を含む有機化合物であって、この官能基の少なくとも1つの置換基は電子求引基である有機化合物から選択される少なくとも1種の化合物(C);および少なくとも1つの酸官能基、ならびに
− 下記の式のシロキシル単位(I.1)および(I.2)、
【0045】
式中、
− aは、1または2であり、bは0、1または2であり、そしてa+bは1、2または3である。
− cは、1、2、3または4である。
− 記号Yは、同じでも異なっていてもよく、式(I.3)の官能基を表す。
【0047】
式中、
− hは、0または1であり、
− iは、0または1であり、
− h+iは、1または2であり、
− Eは、1〜30個の炭素原子を含む、脂肪族、脂環式、または芳香族、好ましくは1〜10個の炭素原子を含む脂肪族の、二価の炭化水素基を表す。
− 存在する場合には、Gは、1〜10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を表し、iが0の場合には一価であり、またはiが1の場合には二価である。
− 記号Z
1およびZ
2は、同じでも異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を有し、そして随意選択的に、1つもしくは複数の不飽和および/または1つもしくは複数のフッ素原子、ヒドロキシル基、もしくは基−OR
1を含み、ここで、R
1は直鎖、環式もしくは分岐したC
1−C
10炭化水素基を表す、一価の炭化水素基を表し、そして好ましくは、Z
1およびZ
2は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、および6〜12個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択され、随意選択的に1つもしくは複数のフッ素原子、ヒドロキシル基、もしくは基−OR
1を含み、ここでR
1は、直鎖、環式、もしくは分岐したC
1−C
10炭化水素基を表し、そしてより好ましくは、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ビニル、ヒドロキシル、エトキシル、メトキシル、キシリル、トリルおよびフェニル基からなる群から選択される、一価の炭化水素基を表す、
を含む、少なくとも1種の有機ポリシロキサン(B)、
を接触させる工程を含む、有機ポリシロキサン(A)の調製方法に関する。
前記有機ポリシロキサン(B)は、分子当たりに少なくとも1つの、少なくとも1つの式(I.3)の官能基を有するシロキシル単位(I.1)を含んでいる。
【0048】
本方法の他の態様によれば、化合物(C)および有機ポリシロキサン(B)は、反応媒体の加熱を避けるように、10℃よりも厳密に低い温度で接触され、そして次いで、この反応媒体の温度は、10℃〜75℃の範囲の温度に徐々に上げられる。
【0049】
いずれかの理論によって拘束されることは意図しないが、本発明の方法は、有機ポリシロキサン(B)の有するNH結合と、化合物(C)のアルケンもしくはアルキン基との間で、アザ−マイケル反応をもたらす。また、化合物(C)は、少なくとも1つの酸官能基を含み、本発明の方法ではまた、酸に基づく反応が適用され、有機ポリシロキサン(B)のアミン基と、化合物(C)のこの酸官能基との間でイオン結合を生成させる。それらのイオン結合は、有機ポリシロキサン(A)に、超分子の性質を与える。
本方法が、75℃超の温度で適用された場合には、反応は望ましくない生成物の形成を招く可能性がある。
特に有利な方法では、それらの反応の両方の組み合わせで、25℃で、応力を加えてレオメータ、特にはTA-DHRIIで測定された粘度が、有機ポリシロキサン(B)の粘度よりも少なくとも10倍大きな有機ポリシロキサン(A)を得る可能性が与えられる。
本発明の方法の異なる適用(有機ポリシロキサン(B)の選択、反応条件(反応時間、温度、試薬の比率など)の選択)によれば、得られる有機ポリシロキサン(A)は、粘弾性液体または粘弾性固体である可能性がある。有機ポリシロキサン(A)が粘弾性液体と粘弾性固体との間の遷移状態である場合には、これはゲルと称することができる。従って、調節可能な粘弾性特性を有する有機ポリシロキサン(A)を得ることが可能である。
【0050】
本発明の範囲では、アザ−マイケル反応は、多重の炭素−炭素結合、特にはアルケンまたはアルキン官能基、そしてより好ましくは炭素−炭素二重結合へのアミン付加反応を意味している。
【0051】
化合物(C)および有機ポリシロキサン(B)および(A)は、上記で規定したとおりである。
【0052】
化合物(B)と化合物(C)とを接触させる継続時間は可変であり、数分間、または数時間、そして数日間の間である。その継続時間は、化合物(B)および(C)の性質、ならびにそれらが接触される温度に依存する。当業者は、特には、
1H−NMRのような分析方法によって、反応の進行を追跡することによって、この継続時間を適合させることができる。
【0053】
有機ポリシロキサン(B)は、上記のように、少なくとも1つのヒドロキシル基を含む有機ポリシロキサンと、少なくとも1つの、式(I.3)の官能基を含むアルコキシシランとの間の反応によって得ることができる。
本発明による方法の態様によれば、有機ポリシロキサン(B)は、化合物(C)の存在下で、インサイチュで調製することができる。
【0054】
好ましくは、本発明の方法は、10℃〜70℃の範囲、好ましくは15℃〜70℃の範囲の温度で適用される。
好ましい態様では、本発明の方法は、大気圧で適用される。
本方法は、マイクロ波および/または超音波照射の存在下で適用することができる。
本発明による方法は、空気中で適用することができるが、しかしながら不活性ガス、例えばアルゴンもしくは窒素の雰囲気下でも適用することができる。
特に有利な方法では、本発明の方法は、塊状で、または溶媒の存在下で適用することができる。この溶媒は、特には以下のものから選択される。
− プロトン性極性溶媒、例えば、水、アルコール、イオン性液体;
− 無極性溶媒、例えばヘプタン、トルエン、メチルシクロヘキサン;
− 非プロトン性極性溶媒、例えばケトン類(例えば、アセトン)、エーテル類、エステル類、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)
【0055】
好ましくは、本発明の方法は、溶媒なしで(塊状で)適用される。
【0056】
本発明の方法は、特には、塩基、酸、求核的もしくは有機金属触媒から選択された、触媒の存在下で適用することができる。
【0057】
また、本発明の方法は、充填剤の存在下で適用することができる。
本発明の範囲内では、充填剤は、好ましくは無機の充填剤である。それらは、特にはケイ質の充填剤であることができる。それらがケイ質の材料であるので、それらは、補強もしくは半補強の作用の役割を果たすことができる。補強性のケイ質充填剤は、コロイド状シリカ、燃焼シリカ粉末および沈降シリカ粉末またはそれらの混合物から選択される。それらの粉末は、通常0.1μm(マイクロメートル)未満の平均粒子径、および30m
2/g超、好ましくは30〜350m
2/gの範囲のBET比表面積を有している。半補強性のケイ質充填剤、例えば珪藻土または粉砕石英(milled quartz)もまた用いることができる。非ケイ質無機材料については、それらは、半補強性無機充填剤または充填性無機充填剤に入ると云える。単独でもしくは混合物として用いることができるそれらの非ケイ質充填剤の例としては、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ白または水酸化アルミニウム(aluminium trihydroxide)、膨脹バーミキュライト、非膨脹バーミキュライト、随意選択的に表面を脂肪酸で処理された炭酸カルシウム、酸化亜鉛、雲母、タルク、酸化鉄、カオリン、硫酸バリウムおよび消石灰がある。これらの充填剤は、通常0.001〜300μm(マイクロメートル)の範囲の粒子径および100m
2/g未満のBET表面積を有している。特には、しかしながら限定するものではなく、用いられるこれらの充填剤は、石英とシリカの混合物であることができる。これらの充填剤は、いずれかの好適な製品によって処理されていても良い。
充填剤は、有機シロキサン(B)と直接混合されて導入されても、あるいは有機シロキサン(B)と化合物(C)とを混合した後に、反応媒質中に導入されても、いずれでもよい。
質量については、成分(B)および(C)の全体を基準として、1質量%〜50質量%の範囲、好ましくは1質量%〜30質量%の範囲の充填材料の適用が好ましく、そして更により好ましくは、成分(B)および(C)の全体を基準として1質量%〜10質量%が好ましい。
【0058】
好ましくは、本発明の方法の範囲では、上記の比Jは、0.01〜20の範囲、好ましくは0.5〜3の範囲、そして更により好ましくは0.5〜1.5の範囲である。
好ましくは、本発明の方法の範囲では、上記の比rは、0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜2の範囲、そして更により好ましくは0.2〜1.5の範囲である。
好ましくは、本発明の方法の範囲では、上記の比Jは、0.01〜20の範囲、好ましくは0.5〜3の範囲、そして更により好ましくは0.5〜1.5の範囲であり、そして比rは、0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜2の範囲、そして更により好ましくは0.2〜1.5の範囲である。
【0059】
また、本発明は、本発明による少なくとも1種の有機ポリシロキサン(A)を含む組成物K1に関する。好ましくは、組成物K1は、有機ポリシロキサン組成物であることができる。組成物K1は、更に、少なくとも1種の充填剤および/または少なくとも1種の有機ポリシロキサンを更に含むことができる。
また、組成物K1は、1種もしくは複数の慣用の機能性添加剤を含むことができる。慣用の機能性添加剤の群としては、以下のものを挙げることができる。
− シリコーン樹脂
− 接着性促進剤または調整剤
− 硬度増加のための添加剤
− 顔料
− 熱安定性添加剤、耐オイル性添加剤または耐炎性添加剤、例えば金属酸化物
また、組成物K1は、少なくとも1つのカルボキシル基を含む有機ポリシロキサンを含むことができる。
【0060】
また、組成物K1は、上記で規定された、少なくとも1種の有機ポリシロキサン(B)を含むことができる。
【0061】
特に有利な方法では、上記のように、有機ポリシロキサン(A)は、当初の有機ポリシロキサン(B)よりも高い動的粘度を有している。従って、それらの有機ポリシロキサン(A)は、シリコーンエラストマーと同じ用途で、または更にはシリコーンゲルと同じ用途で、例えば、傷の手当(包帯のコーティング、外部人口装具の製造、対傷クッションのために、または電子部品の封入のために、もしくはコーティングとして、特には紙もしくはプラスチックのコーティング用の可撓性フィルムのために、ならびに布帛のコーティング(エアバッグ)のために、用いられることができる。
また、有機ポリシロキサン(A)は、添加剤として、そして特には接着性を促進する添加剤、曇り防止性、消泡性、静電気防止性、抗菌性、耐食性、防炎性、落書き防止性添加剤として、または一時的な印刷のため、薄層コーティングのために、または異なる組成物中で、用いることができる。
例示のために、そして限定するものではなく、それらの有機ポリシロキサン(A)およびそれらを含む組成物K1は、異なる用途、例えば塗料、コーティング、接着剤、シーラント、パーソナルケア、ヘルスケア、布帛処理、電子機器、自動車、ゴム、消泡組成物などに用いることができる。
【0062】
また、本発明は、本発明による有機ポリシロキサン(A)の調製のための、
− 少なくとも1つの置換基が酸官能基である少なくとも1種のアルケンまたはアルキン官能基を含む有機化合物、ならびに少なくとも1種の酸官能基および少なくとも1つの置換基が電子吸引基である少なくとも1種アルケンもしくはアルキン官能基を含む有機化合物から選択された少なくとも1種の化合物(C)と、
− 下記の式のシロキシル単位(I.1)および(I.2)を含む少なくとも1種の有機ポリシロキサン(B)、
を含む組成物Xに関する。
【0064】
式中、
− a=1または2、b=0、1もしくは2、そしてa+b=1、2もしくは3
− c=1、2、3または4
−記号Yは、同一でも異なっていてもよく、式(I.3)の官能基を表す。
【0066】
式中、
− h=0または1
− i=0または1
− h+i=1または2
−Eは、1〜30個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式、または芳香族の、好ましくは1〜10個の炭素原子を含む脂肪族の、二価の炭化水素基を表す。
− 存在する場合には、Gは、1〜10個の炭素原子を含む、i=0の場合には一価の、またはi=1の場合には二価の、脂肪族炭化水素基を表す。
− 記号Z
1およびZ
2は、いずれも同一でも異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を有し、そして随意選択的に1つもしくは複数の不飽和および/または1つもしくは複数のフッ素原子、ヒドロキシル基、または基−OR
1(ここでR
1は直鎖、環式もしくは分岐したC
1−C
10炭化水素基を表す)を含む、一価の炭化水素基を表し、そして好ましくはZ
1およびZ
2は、随意選択的に1つもしくは複数のフッ素原子、ヒドロキシル基、または基−OR
1(ここで、R
1は直鎖、環式、または分岐したC
1−C
10炭化水素基を表す)を含む、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基および6〜12個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択され、更により好ましくは、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ビニル、ヒドロキシル、エトキシル、メトキシル、キシリル、トリルおよびフェニルからなる群から選択される、一価の炭化水素基を表し、前記有機ポリシロキサン(B)は、分子当たりに、少なくとも1つの式(I.3)の官能基を有する少なくとも1つのシロキシル単位(I.1)を含む。
【0067】
化合物(C)ならびに有機ポリシロキサン(A)および(B)は、上記で規定されたとおりである。
【実施例】
【0068】
本発明は、限定するものではない例によって以下に説明される。
【0069】
例
以下の例は、説明のためのものであり、以下の定義に基づく。
− Mnは、数平均分子量を表す
− PDMS=ポリジメチルシロキサン
以下の例で用いられるPDMSは、以下の式の1つに合致する。
【0070】
【化13】
【0071】
【化14】
【0072】
【化15】
【0073】
− 有機シロキサン(1):
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン
【0074】
【化16】
【0075】
− 有機シロキサン(2):市販品、Gelest SIA0604.5
3−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン
【0076】
【化17】
【0077】
− PDMS(3):Gelest、Mn=約3000g/mol;式(III)の化合物、グラム当たりのN−H結合の量=1.33×10
−3mol/g
− PDMS(4):Gelest、式(III)の化合物、グラム当たりのN−H結合の量=8.0×10
−5mol/g、Mn=約50000g/mol
− PDMS(5):Gelest、式(III)の化合物、Mn=約30000g/mol、グラム当たりのN−H結合の量=1.33×10
−4mol/g
− PDMS(6):Gelest、式(IV)の化合物、グラム当たりのN−H結合の量=1.71×10
−3mol/g
− PDMS(7):Gelest、式(IV)の化合物、グラム当たりのN−H結合の量=2.43×10
−3mol/g
− PDMS(8):Gelest、式(IV)の化合物、グラム当たりのN−H結合の量=5.14×10
−3mol/g
− PDMS(9):Gelest、式(V)の化合物、グラム当たりのN−H結合の量=6.54×10
−3mol/g
− PDMS(10):Gelest、式(V)の化合物、グラム当たりのN−H結合の量=8.57×10
−4mol/g
− PDMS(11):Bluestar Silicones、式(V)の化合物、グラム当たりのN−H結合の量=3.21×10
−4mol/g
− PDMS(12):Bluestar Silicones、トリメチルシリルの代わりにジメチルメトキシシリルの末端単位を有する式(V)の化合物、グラム当たりのN−H結合の量=1.61×10
−4mol/g
【0078】
動的粘度:
これらの製品の動的粘度が、応力を加えてレオメータ(TA-DHRII)によって測定された。測定は、40mmの直径と52μmの欠稜(troncature)を有するコーン/平面配置で、流動モードで行われた。粘度は、25℃で、0.01〜100s
−1の剪断速度で記録された。
【0079】
NMR
核磁気共鳴スペクトル
1H(NMR)が、400MHzで、Bruker Avance III分光計で記録された。試料は、重水素化クロロホルム中のまたはCDCl
3/MeOD混合物(60/40モル)中のいずれかに溶解し、そして27℃で分析した。
【0080】
レオロジー
レオロジー分析は、応力を加えてレオメータ(TA-DHRII)によって、平面/平面配置(40mmの直径)を用いて、25℃で行われた。周波数掃引が、100〜0.01Hzの範囲の製品の線形粘弾性範囲において記録された。
【0081】
例1:有機シロキサン(1)の調製
有機シロキサン(1)が以下の手順に従って調製された。
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(5.0g)およびヘキサメチルジシロキサン(20.1g)が、メタノール中に溶解された水酸化テトラメチルアンモニウム(0.5g)の存在下で、コンデンサを備えた2口フラスコ中で混合された。この反応混合物は、室温で、窒素気流中で10分間撹拌され、そして次いで90℃に2時間、そして次いで130℃に30分間加熱された。この反応混合物は、次いで室温(20〜25℃)に冷却され、そして得られた生成物は真空分別蒸留によって精製された。有機シロキサン(1)に相当する2.3gの留分を、塔頂で0.41ミリバール、106℃で採取し、ボイラーは200℃とされた。反応の収率は30%である。
【0082】
例2:有機シロキサン(1)のアクリル酸との反応
2口フラスコ中で、有機シロキサン(1)とアクリル酸が混合される。有機シロキサン(1)とアクリル酸は、r=0.33そしてJ=0.5となるような量で加えられる。この混合物は、磁気式撹拌の下に、大気圧で50℃に24時間保持される。
反応の1、4、6、8および24時間でサンプリングされた反応媒体の
1H‐NMR分析は、経時でのアクリル官能基の消失を示す可能性を与える。いずれかの理論によって拘束されることは意図しないが、アクリル官能基のこの消失は、有機シロキサン(1)のN−H結合とアクリル官能基との間のアザ−マイケル反応による。
また、試験3が、有機シロキサン(1)がオクタメチルトリシロキサンによって置き換えられた以外は、試験2と同じに(同じ比率)行われた。この試験は、アクリル酸のポリマーの形成を示さなかった。このことは、試験2におけるNMRによって観察されたアクリル官能基の消失は、アクリル酸の重合反応によるのではなく、実際に、有機シロキサン(1)に由来するN−H結合とアクリル酸の炭素−炭素二重結合との間のアザ−マイケル反応によることを示している。
【0083】
例3:アクリル酸の転化率への温度の影響
3つの封止されたピルボックス中で、有機シロキサン(2)とアクリル酸が混合された(r=0.5、J=1)。この反応混合物は、25℃(試験5)、50℃(試験6)および70℃(試験7)の温度に維持される。アクリル官能基の経時の転化率が、
1H−NMRで追跡された。結果を、下記の表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
これらの結果は、温度の上昇によって、70℃で7時間で、アクリル官能基の完全な転化を得ることが可能であることを示している。
得られた生成物は、粘度、均質性、溶解性などについて定性的に分析された。それらの結果は、得られた生成物は、均質であり、クロロホルムに可溶性であり、水中に分散可能であり、当初の有機シロキサン(2)よりも粘性であり、そして当初の有機シロキサン(2)と同等の透明性を有することを示している。
【0086】
例4:PDMS(3)のバルクのアクリル酸との反応
15mLの1口フラスコ中で、PDMS(3)とアクリル酸が混合された。PDMS(3)とアクリル酸は、r=0.5そしてJ=1となるような量で加えられる。この反応混合物は、50℃の温度で72時間に亘って磁気式撹拌された。反応後の処理は何も行われなかった。得られた生成物の、27℃でのCDCl
3中での
1H−NMR分析(128スキャン)は、アクリル官能基の消失を示す可能性を与えた。転化率が、
1H−NMRを基に計算され、t=72時間で96%であった。
【0087】
PDMS(3)の、t=0でのPDMS(3)とアクリル酸との混合物の、および反応の72時間後に得られた生成物の動的粘度が、異なる剪断速度(0.1〜100s
−1)で測定され、そして下記の表2中に示されている。
【0088】
【表2】
【0089】
これらの結果は、PDMS(3)が当初は低粘度を有していることを示している。動的粘度は、t=0で、PDMS(3)がアクリル酸と混合された時に増加する。いずれかの理論によって拘束されることは意図しないが、動的粘度におけるこの増加は、PDMS(3)のアミノ官能基とアクリル酸との間の酸−塩基反応による。最終的な生成物(PDMS(3)とアクリル酸との間のアザ−マイケル反応に由来する、72時間後の生成物)の動的粘度は、PDMS(3)のそれよりも100倍超大きく、そしてt=0におけるPDMS(3)とアクリル酸との混合物のそれよりもずっと大きい。いずれかの理論によって拘束されることは意図しないが、そして例3の結果によって示されるように、動的粘度におけるこの増加は、PDMS(3)とアクリル酸との間の酸−塩基反応と組み合わさったアザ−マイケル反応による。
【0090】
例5:Jとrの、PDMSの性質における変化
PDMS4〜11とアクリル酸が、好適なプラスチック製容器中で、下記の表4中に記載された比率で、バルクで反応された。反応混合物は、遊星ギア混合器によって、高速(2750回転/分)で、2分間および30秒間、均質化された。均質化の間に発熱反応が視認できるが、このことが、均質化される前に生成物が−20℃に冷却された理由である。従って、生成物内の最高温度は、25℃を超えない。均質化の後に、生成物は、室温に数日間(17日間超)放置される。異なる試験についての反応条件が、下記の表3中に集められている。
【0091】
【表3】
【0092】
得られた生成物は、室温(20〜25℃)での17日間の後に
1H−NMRによって分析され、それは、アクリル反応基の転化率の計算の可能性を与えた。また、得られた生成品は、粘度(目視での観察)および異なる溶媒での溶解性について評価された。それらの分析の結果が、下記の表4中にまとめられている。
【0093】
【表4】
【0094】
説明
S:可溶; I:不要; D:分散可能; −:未試験
CDCl
3:重水素化クロロホルム; H
2O:水; IPA:イソプロパノール; THF:テトラヒドロフラン; MCH:メチルシクロヘキサン
【0095】
得られた生成物の全てが、対応する当初のPDMSよりも少なくとも10倍大きな粘度を有している。17日間後のアクリル官能基の高い転化率は、重水素化されたクロロホルム中に溶解可能な、全ての生成物について、
1H−NMRによって測定された。PDMSの性質の、そして比rおよびJの変化は、従って、合成ざれた材料の性質の調整の可能性を与える。
【0096】
試験16、17および18についての得られた生成物の粘弾性が、応力を加えてレオメータによって記録された。また、PDMS(10)とPDMS(11)の当初の粘弾性が測定された。これについて、振動数に対する弾性係数(G’)および粘性係数(G’’)の経時変化が以下の条件で記録された:
試験16およびPDMS(10)については0.1%の変形が適用され、試験17については0.03%の変形が適用され、そして試験18およびPDMS(11)については0.2%の変形が適用された。
反応の18日間後の得られた結果が、下記の表5および6の両方にまとめられている。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
これらの結果は、G’/G’’交差の点は、試験16では0.2Hz、試験17では0.1Hz、そして試験18では0.6Hzであることを示している。3つの得られた生成品は、従って周波数の広い範囲に亘って粘弾性固体として挙動する。
また、これらの結果は、試験16および17で得られた生成品のPDMS(10)に対する粘度における、そして試験18におけるPDMS(11)に対する粘度における増加を示しており、これらの増加は、酸−塩基反応に組み合わさったアザ−マイケル反応によることを示している。
【0100】
これらの結果から、計算によって、表7および8中に示された以下の複素粘度を推量することができた。
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
これらの結果は、周波数が増加した場合の複素粘度の低下を示している。
【0104】
例6:溶媒の存在下でのPDMS(3)のアクリル酸との反応(25℃)
25mLの1口フラスコ中で、PDMS(3)、イソプロパノール(IPA、PDMS(3)とアクリル酸の合計質量を基準として33質量%)およびアクリル酸が混合される。PDMS(3)およびアクリル酸は、r=0.5およびJ=1となるような量で加えられる。反応混合物は、25℃で7日間、磁気式撹拌に付される。得られた生成物のCDCl3中での27℃での
1H−NMR分析(128スキャン)は、アクリル官能基の消失を示す可能性を与える。t=42時間において、転化率は、
1H−NMRを基に37%と評価された。
【0105】
例7:溶媒の影響(50℃)
例5と例7で用いられた同じ比率のPDMS(3)およびアクリル酸(r=0.5、J=1)が反応に供された。反応媒体へ、溶媒(85モル%):tert−ブタノール、イソプロパノール/水溶液(50/50モル)またはアンモニア/イソプロパノールの飽和溶液、加えられ、もしくは加えられずに、そしてこの混合物が50℃で24時間磁気式撹拌に付される。アクリル官能基の転化率は、
1H−NMRによって追跡され、そしてそれらの結果が下記の表9中に示されている。
【0106】
【表9】
【0107】
これらのデータは、例2、4および6の結果と組み合わせて、本発明の方法が、異なる溶媒の存在下で、あるいはバルクで適用できることを示している。
【0108】
例8:有機シロキサン(2)の2−カルボキシエチルアクリレートとの反応
封止されたピルボックス中で、有機シロキサン(2)と2−カルボキシエチルアクリレートが、r=0.5およびJ=1となるような比率で混合された。この混合物が、大気圧で、50℃で48時間、磁気式撹拌に付される。反応の1、4、7、24および48時間でサンプリングされた反応媒体の
1H−NMR分析は、経時でのアクリル官能基の消失を示す可能性を与えた。いずれかの理論によって拘束されることは意図しないが、アクリル官能基のこの消失は、有機シロキサン(2)のN−H結合とアクリレート官能基との間のアザ−マイケル反応による。t=48時間において、96%の値のアクリレート官能基の転化率が得られている。下記の表10に、反応時間に対する転化率のデータがまとめられている。
【0109】
【表10】
【0110】
例9:本方法の温度の効果。有機ポリシロキサン(PDMS12)とイタコン酸との間の反応
PDMS(12)は、化合物(V)と同じ全体的な式であるが、しかしながらトリメチルシリルの代わりにジメチルメトキシシリルの末端単位を備え、そして1.61×10
−4モル/gのグラム当たりのN−H結合の量を有する有機ポリシロキサンである。
2つの反応が適用され、一方は、本発明による50℃での反応であり、そして他方は120℃での反応(比較試験)である。イタコン酸は、室温(20〜30℃)においてPDMS(12)には可溶でない固体である。イタコン酸は、前もってメタノールに溶解された。
【0111】
例9−a
0.23gのメタノール中に溶解された0.11gのイタコン酸(すなわち0.008モルのイタコン酸であり、0.0016モルの酸官能基に相当する)が、15.00gの上記のようなPDMS(12)(これは、0.0024モルのN−H結合と0.0016モルのアミン官能基に相当する)と混合された。PDMS(12)は、溶解されたイタコン酸を添加する前に、前もって0℃未満に冷却された。この混合物は、次いで遊星ギア混合器によって、2750回転/分、混合物内部の最高温度が25℃を越えないように、5分間均質化された。均質化の後に、この混合物を、50℃の温度のオーブン中に1週間置き、それによってアザ−マイケル反応が起こり、そしてメタノールが徐々に蒸発された。
得られた生成品は無色、透明、均質であり、そしてTHF中およびメチルシクロヘキサン中に可溶である。
【0112】
例9−b
0.23gのメタノール中に溶解された0.11gのイタコン酸(すなわち0.008モルのイタコン酸であり、0.0016モルの酸官能基に相当する)が、15.00gの上記のようなPDMS(12)(これは、0.0024モルのN−H結合と0.0016モルのアミン官能基に相当する)と混合された。反応媒体は、コンデンサを備えた1口フラスコ中で120℃に4時間置かれる。
得られる生成品は、少し黄味を帯び、そしてTHF中に、あるいはメチルシクロヘキサン中に可溶でない。
両方の得られた生成品は、同じ性質を有さず、このことはそれらが異なるものであることを示している。
【0113】
例10:超高分子量材料の合成
0.77gのアクリル酸(すなわち0.011モルの酸官能基)が、例10中に記載された構造を有し、−20℃に前もって冷却された100gのPDMS(12)(これは、0.00161モルのN−H結合および0.011モルのアミン官能基に相当する(r=0.68そしてJ=1))と混合された。この混合物は、次いで遊星ギア混合器によって、2750回転/分で、混合物内部の最高温度が25℃を越えないように、5分間混合された。均質化の後に、この混合物は、50℃の温度で密封したフラスコ中でオーブン中に1週間置かれた。
得られる生成品は、透明な粘弾性の固体である。この生成品は、THFおよびメチルシクロヘキサン中で膨潤する。物質内部のイオン性結合を破壊する可能性を与えるカオトロピック剤(1質量%未満)を添加した後に、この生成品は、完全に可溶性であり、それによってその超高分子量の性質を示す。
また、得られた超高分子量生成品は、50℃での48時間の圧力下で、1mmの厚さを有するフィルムに変換された。H3型(ISO37:2011標準に準拠、L
0=17mm、1mmの厚さ、幅=4mm)の試片が、ダイ打ち抜きによって切り出され、そして45%±5%の湿度および25℃±1℃に1日間置かれる。一軸の引張試験および周期的引張試験が、10Nのセンサーおよび0.25s
−1の引張速度を備えた引張試験機MTS 2/mで行われた。機械的性質の引張速度への依存性が、0.08s
−1〜0.42s
−1で引張速度を変えることによって得られた。得られた引張強度は、約0.2MPaであり、そして破断伸びは非常に大きく、4000%の水準である。
【0114】
例11:荷電した超高分子量材料の合成
例10が、上記のように再度行われた。遊星混合器による両方の化合物の均質化の直後に、5質量%の疎水性の熱分解法シリカ(Aerosil(商標)R104)が加えられ、そしてこの混合物が遊星ギア混合器によって、2750rpmで10分間に亘って再度均質化され、そして次いで密封された小瓶中で、50℃の温度でオーブン中に1週間置かれた。
【0115】
上記のように、前もってフィルムの形態にされた、得られた生成品から、試片H3が切り出された。例11と同じように引張試験が行われた。引張強度は0.5MPaであり、そして破断伸びはこれも非常に大きく、2000%の水準である。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)
− 少なくとも1つの置換基が酸官能基である少なくとも1種のアルケンもしくはアルキン官能基を含む有機化合物、ならびに少なくとも1種の酸官能基と、少なくとも1つの置換基が電子吸引基である少なくとも1種のアルケンもしくはアルキン官能基とを含む有機化合物から選択された少なくとも1種の化合物(C)、と、
− 以下の式のシロキシル単位(I.1)および(I.2)、
【化18】
式中、
− aは1または2であり、bは0、1または2であり、そしてa+bは1、2または3であり、
− cは1、2、3または4であり、
− 記号Yは、同じかまたは異なっていて、式(I.3)の官能基を表し、
【化19】
− 式中、hは0または1であり、
− iは、0または1であり、
− h+iは、1または2であり、
− Eは、1〜30個の炭素原子を含む、脂肪族の、脂環式の、または芳香族の、好ましくは1〜10個の炭素原子を含む脂肪族の、二価の炭化水素基を表し、
− 存在する場合には、Gは、iが0である場合には一価の、あるいはiが1である場合には二価の、1〜10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を表し、
− 記号Z1およびZ2は、同一でも異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を有し、そして随意選択的に1つもしくは複数の不飽和および/または1つもしくは複数のフッ素原子、ヒドロキシル基、または基−OR1を含み、ここで、R1は直鎖、環式または分岐したC1−C10炭化水素基を表す、一価の炭化水素基を表し、そして好ましくはZ1およびZ2は、随意選択的に1つもしくは複数のフッ素原子、ヒドロキシル基、基−OR1を含み、ここで、R1は、直鎖、環式または分岐したC1−C10炭化水素基を表す、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、および6〜12個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択され、そしてより好ましくは、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ビニル、ヒドロキシル、エトキシル、メトキシル、キシリル、トリルおよびフェニル基からなる群から選択される、一価の炭化水素基を表す、
を含む有機ポリシロキサンから選択される少なくとも1種の有機ポリシロキサン(B)であって、該有機ポリシロキサン(B)は、分子当たりに少なくとも1つの、少なくとも1つの式(I.3)の官能基を有するシロキシル単位(I.1)を含んでいる有機ポリシロキサン(B)、
との間の10℃〜75℃の範囲の温度での反応によって得ることができる有機ポリシロキサン(A)。
(2)前記温度が、10〜70℃の範囲、そして好ましくは15〜70℃の範囲である、(1)記載の有機ポリシロキサン(A)。
(3)前記化合物(C)が、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、少なくとも1つの置換基がカルボン酸官能基である有機化合物から選択される、(1)または(2)記載の有機ポリシロキサン(A)。
(4)前記化合物(C)が、式(II)、
【化20】
式中、
R2、R3およびR4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、COOH基またはC1−C6、好ましくはC1−C3アルキル基、好ましくはメチル基を表し、
R5は、水後原子、アルキル基またはアリール基を表し、このアルキルおよびアリールは、少なくとも1つのCOOH基を含む、
の化合物から選択される、(1)〜(3)のいずれか1項記載の有機ポリシロキサン(A)。
(5)前記化合物(C)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−カルボキシエチルアクリレート、3−カルボキシプロピルアクリレート、マレイン酸、フマル酸、2−(アクリロイルオキシ) 酢酸、2−(アクリロイルオキシ)プロパン酸、3−(アクリロイルオキシ)プロパン酸 、2−(アクリロイルオキシ)−2−フェニル酢酸、4−(アクリロイルオキシ) ブタン酸、2−(アクリロイルオキシ)−2−メチルプロパン酸、5−(アクリロイルオキシ) ペンタン酸、(E)−ブタ−2−エン酸、(Z)−プロパ−1−エン−1,2,3−トリカルボン酸、桂皮酸、ソルビン酸、2−ヘキセン酸、2−ペンテン酸、2,4−ペンタジエン酸、エテンスルホン酸、ビニルホスホン酸、(1−フェニルビニル)ホスホン酸、3−(ビニルスルホニル)プロパン酸、2−(ビニルスルホニル)酢酸、2−(ビニルスルホニル)コハク酸、アセチレンジカルボン酸、およびプロピオール酸から選択される、(1)〜(4)のいずれか1項記載の有機ポリシロキサン(A)。
(6)前記有機ポリシロキサン(B)が、下記の式のシロキシル単位(I.1)および(I.2)、
【化21】
式中、
− YおよびZ1およびZ2は、(1中で規定されたとおりであり、
− aは1または2であり、bは0、1または2であり、そしてa+bは2または3であり、
− cは1または2である、
を含む有機ポリシロキサンから選択される、(1)〜(5)のいずれか1項記載の有機ポリシロキサン(A)。
(7)前記有機ポリシロキサン(B)が、2〜5000の範囲、好ましくは2〜500の範囲の重合度を有する、(1)〜(6)のいずれか1項記載の有機ポリシロキサン(A)。
(8)前記有機ポリシロキサン(B)が、応力を加えてレオメータで、25℃で測定して、1〜100000mPa・sの範囲、好ましくは100〜50000mPa・sの範囲の動的粘度を有する、(1)〜(7)のいずれか1項記載の有機ポリシロキサン(A)。
(9)応力を加えてレオメータで、25℃で測定した粘度が、前記有機ポリシロキサン(B)の粘度よりも少なくとも10倍大きい、(1)〜(8)のいずれか1項記載の有機ポリシロキサン(A)。
(10)
− 少なくとも1つの置換基が酸官能基である少なくとも1種のアルケンもしくはアルキン官能基を含む有機化合物、ならびに少なくとも1種の酸官能基と、少なくとも1つの置換基が電子吸引基である少なくとも1種のアルケンもしくはアルキン官能基とを含む有機化合物から選択された少なくとも1種の化合物(C)、および少なくとも1つの酸官能基と、ならびに、
− 以下の式のシロキシル単位(I.1)および(I.2)、
【化22】
式中、
− aは1または2であり、bは0、1または2であり、そしてa+bは1、2または3であり、
− cは1、2、3または4であり、
− 記号Yは、同じかまたは異なっていて、式(I.3)の官能基を表し、
【化23】
式中、
− hは0または1であり、
− iは、0または1であり、
− h+iは、1または2であり、
− Eは、1〜30個の炭素原子を含む、脂肪族の、脂環式の、または芳香族の、好ましくは1〜10個の炭素原子を含む脂肪族の、二価の炭化水素基を表し、
− 存在する場合には、Gは、iが0である場合には一価の、あるいはiが1である場合には二価の、1〜10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を表し、
− 記号Z1およびZ2は、同一でも異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を有し、そして随意選択的に1つもしくは複数の不飽和および/または1つもしくは複数のフッ素原子、ヒドロキシル基、または基−OR1を含み、ここで、R1は直鎖、環式または分岐したC1−C10炭化水素基を表す、一価の炭化水素基を表し、そして好ましくはZ1およびZ2は、随意選択的に1つもしくは複数のフッ素原子、ヒドロキシル基、基−OR1を含み、ここで、R1は、直鎖、環式または分岐したC1−C10炭化水素基を表す、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、および6〜12個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択され、そして更により好ましくは、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ビニル、ヒドロキシル、エトキシル、メトキシル、キシリル、トリルおよびフェニル基からなる群から選択される、一価の炭化水素基を表す、
を含む有機ポリシロキサンから選択される少なくとも1種の有機ポリシロキサン(B)であって、該有機ポリシロキサン(B)は、分子当たりに少なくとも1つの、少なくとも1つの式(I.3)の官能基を有するシロキシル単位(I.1)を含んでいる、有機ポリシロキサン(B)
を10℃〜75℃の範囲の温度で接触させる工程を含んでなる有機ポリシロキサン(A)の調製方法。
(11)10〜70℃の範囲、そして好ましくは15〜70℃の範囲の温度で実施される、(9)記載の方法。
(12)バルクで、あるいは溶媒、特にはプロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒および無極性溶媒から選択される溶媒の存在下で実施される、(10)または(11)記載の方法。
(13)得られた前記有機ポリシロキサン(A)が、応力を加えてレオメータで、25℃で測定した動的粘度が、前記有機ポリシロキサン(B)の動的粘度よりも少なくとも10倍大きい、(10)〜(12)のいずれか1項記載の方法。
(14)少なくとも1つの置換基が電子吸引基または酸官能基である前記化合物(C)のアルケンもしくはアルキン官能基のモル数と、前記有機ポリシロキサン(B)が有するN−H結合のモル数との間の比率を表す比r
【化24】
が、0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜2の範囲、そして更により好ましくは0.2〜1.5の範囲である、(10)〜(13)のいずれか1項記載の方法。
(15)前記化合物(C)の酸官能基のモル数と、前記有機ポリシロキサン(B)のアミン官能基のモル数との間の比率を表す比J
【化25】
が、0.01〜20の範囲、好ましくは0.5〜3の範囲、更により好ましくは0.5〜1.5の範囲である、(10)〜(14)のいずれか1項記載の方法。
(16)(1)〜(9)のいずれか1項記載の少なくとも1種の有機ポリシロキサン(A)、ならびに随意選択的に少なくとも1種の充填剤および/または少なくとも1種の他の有機ポリシロキサンおよび/または1種もしくは複数の慣用の機能性添加剤であって、特にはシリコーン樹脂、接着性促進剤もしくは調整剤、硬度増加のための添加剤、顔料、熱安定性添加剤、耐オイル性添加剤または耐炎性添加剤および/または少なくとも1種のカルボキシル基を含む有機ポリシロキサンおよび/または少なくとも1種の(1)、(6)、(7)または(8)で規定した有機ポリシロキサン(B)から選択される機能性添加剤、を含む、組成物K1。
(17)(1)〜(9)のいずれか1項記載の少なくとも1種の有機ポリシロキサン(A)または(16)記載の組成物K1の使用方法であって、傷の手当における、例えば包帯のコーティング、外部人口装具の製造、対傷クッションのための、電子部品の封入のための、コーティングとしての、特には紙もしくはプラスチックのコーティング用の可撓性フィルムのための、布帛のコーティングのための、添加剤としての、そして特には接着性促進添加剤、曇り防止性添加剤、消泡性添加剤、静電気防止性添加剤、抗菌性添加剤、耐食性添加剤、防炎性添加剤、落書き防止性添加剤としての、一時的な印刷のための、あるいは薄層コーティングのための、使用方法。
(18)塗料、コーティング、接着剤、封止材、パーソナルケア、ヘルスケア、布帛処理、電子製品、自動車分野、ゴム、消泡組成物などにおける、(1)〜(9)のいずれか1項記載の少なくとも1種の有機ポリシロキサン(A)あるいは(16)記載の組成物K1の使用方法。
(19)
− 少なくとも1つの置換基が酸官能基である少なくとも1種のアルケンもしくはアルキン官能基を含む有機化合物、ならびに少なくとも1種の酸官能基と、少なくとも1つの置換基が電子吸引基である少なくとも1種のアルケンもしくはアルキン官能基とを含む有機化合物から選択された少なくとも1種の化合物(C)、と、
− 以下の式のシロキシル単位(I.1)および(I.2)、
【化26】
式中、
− aは1または2であり、bは0、1または2であり、そしてa+bは1、2または3であり、
− cは1、2、3または4であり、
− 記号Yは、同じかまたは異なっていて、式(I.3)の官能基を表し、
【化27】
式中、
− hは0または1であり、
− iは、0または1であり、
− h+iは、1または2であり、
− Eは、1〜30個の炭素原子を含む、脂肪族の、脂環式の、または芳香族の、好ましくは1〜10個の炭素原子を含む脂肪族の、二価の炭化水素基を表し、
− 存在する場合には、Gは、iが0である場合には一価の、あるいはiが1である場合には二価の、1〜10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を表し、
− 記号Z1およびZ2は、同一でも異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を有し、そして随意選択的に1つもしくは複数の不飽和および/または1つもしくは複数のフッ素原子、ヒドロキシル基、または基−OR1を含み、ここで、R1は直鎖、環式または分岐したC1−C10炭化水素基を表す、一価の炭化水素基を表し、そして好ましくはZ1およびZ2は、随意選択的に1つもしくは複数のフッ素原子、ヒドロキシル基、基−OR1を含み、ここで、R1は、直鎖、環式または分岐したC1−C10炭化水素基を表す、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、および6〜12個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択され、そしてより好ましくは、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ビニル、ヒドロキシル、エトキシル、メトキシル、キシリル、トリルおよびフェニル基からなる群から選択される、一価の炭化水素基を表す、
を含む有機ポリシロキサンから選択される少なくとも1種の有機ポリシロキサン(B)であって、該有機ポリシロキサン(B)は、分子当たりに少なくとも1つの、少なくとも1つの式(I.3)の官能基を有するシロキシル単位(I.1)を含んでいる有機ポリシロキサン(B)、
とを含む、(1)〜(9)のいずれか1項記載の有機ポリシロキサン(A)の調製のための組成物X。