(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673937
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】静電クランプ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20200323BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20200323BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20200323BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
H01L21/302 101G
H01L21/31 F
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-553245(P2017-553245)
(86)(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公表番号】特表2018-517286(P2018-517286A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】US2016025998
(87)【国際公開番号】WO2016168008
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2019年3月27日
(31)【優先権主張番号】14/688,000
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】モルガン ディー エヴァンス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エム シャーラー
(72)【発明者】
【氏名】アラ モラディアン
(72)【発明者】
【氏名】ディー ジェフリー リッシャー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ディー スロンソン
【審査官】
中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−195463(JP,A)
【文献】
特開2010−153734(JP,A)
【文献】
特開2006−49869(JP,A)
【文献】
特開2011−187752(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0270731(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0126509(US,A1)
【文献】
特開2002−26115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/205
H01L21/26−21/268
H01L21/302
H01L21/3065
H01L21/31
H01L21/322−21/326
H01L21/365
H01L21/42−21/425
H01L21/428
H01L21/461
H01L21/469
H01L21/477−21/479
H01L21/67−21/683
H01L21/86
H02K24/00−27/30
H02K31/00−31/04
H02K35/00−35/06
H02K39/00
H02K47/00−47/30
H02K 53/00
H02K99/00
H02N1/00−1/12
H02N3/00−99/00
C23C16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電クランプであって、該静電クランプは、
第1の直径を備えた頂面を有するベースと、
第2の直径を備えた底面を有する上部誘電層であって、前記ベースの前記頂面の上に水平環状リングを創生するように、前記上部誘電層の前記底面は、前記ベースの前記頂面の上に配置され、前記第2の直径は前記第1の直径より小さい、上部誘電層と、
前記水平環状リングの上に配置される、LEDアレイと、を備える、静電クランプ。
【請求項2】
前記上部誘電層は、第3の直径を備えた頂面を有し、前記第3の直径は前記第2の直径より大きい、請求項1に記載の静電クランプ。
【請求項3】
前記上部誘電層は、第3の直径を備えた頂面を有し、前記第3の直径は前記第2の直径に等しい、請求項1に記載の静電クランプ。
【請求項4】
前記LEDアレイは、前記上部誘電層に保持されるワークピースにより直ちに吸収される波長の光を放出する複数のLEDを備える、請求項1に記載の静電クランプ。
【請求項5】
前記複数のLEDは、0.4μmと1.0μmとの間の波長の光を放出する、請求項4に記載の静電クランプ。
【請求項6】
前記上部誘電層に保持されるワークピースの外縁の温度を調整するように、前記LEDアレイと通信するコントローラを、さらに、備える、請求項1に記載の静電クランプ。
【請求項7】
前記LEDアレイのLEDは、前記上部誘電層に保持されるワークピースの外縁の方へ、角度を変えられる、請求項1に記載の静電クランプ。
【請求項8】
静電クランプであって、該静電クランプは、
頂面及び底面を有する上部誘電層と、
該上部誘電層を収容できるように形成される凹部を有するベースであって、該ベースは、前記上部誘電層の前記底面と接触する凹部頂面と、前記上部誘電層を包囲し、前記上部誘電層の前記頂面より低い高さで配置される、環状頂面と、を有するベースと、
前記ベースの前記環状頂面の上に配置されるLEDアレイと、を備える、静電クランプ。
【請求項9】
前記上部誘電層の前記頂面は第1の直径を有し、前記上部誘電層の前記底面は第2の直径を有し、前記第1の直径は前記第2の直径より大きい、請求項8に記載の静電クランプ。
【請求項10】
前記上部誘電層の前記頂面は第1の直径を有し、前記上部誘電層の前記底面は第2の直径を有し、前記第1の直径は前記第2の直径に等しい、請求項8に記載の静電クランプ。
【請求項11】
前記LEDアレイは、0.4μmと1.0μmとの間の波長の光を放出する複数のLEDを備える、請求項8に記載の静電クランプ。
【請求項12】
ワークピースの外縁の温度を調整するように、前記LEDアレイと通信するコントローラを、さらに、備える、請求項8に記載の静電クランプ。
【請求項13】
静電クランプであって、該静電クランプは、
ベースと、
該ベースの上に配置される、上部誘電層と、
該上部誘電層の外縁の回りに配置される、円形リングと、
該円形リングの頂面の上に配置される、LEDアレイと、を備える、静電クランプ。
【請求項14】
前記LEDアレイは、0.4μmと1.0μmとの間の波長の光を放出する複数のLEDを備える、請求項13に記載の静電クランプ。
【請求項15】
前記上部誘電層は、ワークピースを支持するように構成され、張り出しを創生するように、前記ワークピースの直径は、前記上部誘電層の直径より大きく、前記円形リングの幅は、前記張り出しより小さい、請求項13に記載の静電クランプ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は2015年4月16日に出願された米国特許出願第14/688,000号の優先権を主張するものであり、その開示内容はその全体において参照することにより本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明の実施形態は、ハイブリッド熱静電クランプに関し、もっと具体的には、本発明は、加熱ワークピースの温度均一性を向上するための静電クランプに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスの製造は、複数の離散的及び複雑なプロセスを含む。これらのプロセスを実施するために、ワークピースは、典型的に、プラテンの上に配置される。プラテンは、プラテン内の電極により作り出された静電力の印加により、ワークピースを保持するように設計された静電クランプすなわちESCとすることができる。
【0004】
これらの静電クランプは、典型的に、静電クランプが支持するワークピースより、直径が少し、より小さくなるように設計される。これにより、静電クランプが流入イオンビームにさらされないことを確実にする。イオンビームとの接触は、汚染物質の生成を引き起こし得て、又は、静電クランプに損傷を与え得る。
【0005】
ワークピースを一定の場所に保つことに加えて、静電クランプは、ワークピースを加熱することもできる。具体的に言うと、静電クランプは、典型的に、他の実施形態において、熱をワークピースに供給することができる、より大きい質量の材料である。特定の実施形態において、静電クランプは、その上面に、ESCの上面とワークピースの背面との間の空間へ背面ガスを供給する導管を有する。静電クランプは、また、外縁の近くに外部シールリングを有することができ、外部シールリングは、背面ガスをこの体積に閉じ込め、背面ガスの漏れを最小にするのに役立つ。外部シールリングは、ESCの上面から上方へ延び、ワークピースに接触し、背面ガスを含む壁を形成する。この外部シールリングは、ワークピースに接触するために、効果的である。しかしながら、この外部シールリングは、ワークピースの外縁には配置されない。さらに、いくつかの実施形態において、ワークピースをイオンビームに対して傾けることが望ましい。これは、静電クランプを傾けることにより、達成することができるが、これにより、ESCをイオンビームにさらすことを引き起こし得る。このさらすことを最小にするために、静電クランプは、その上に置くワークピースより小さくなるように作ることができる。
【0006】
静電クランプは、ワークピースより少し小さいため、ワークピースの外縁は、静電クランプにより、効率的に加熱することができない。したがって、静電クランプがワークピースに熱を供給する実施形態において、ワークピースの外縁は、ワークピースのその他の部分より、冷たくなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この温度の差異は、ワークピースの収量に影響を与え得る。それ故に、ワークピースがESCにより加熱される実施形態において、ワークピースにわたって、より良い温度均一性を達成することができる静電クランプがあれば、有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
向上した温度均一性を有する静電クランプが開示される。静電クランプは、ワークピースの外縁を照明するように、環状リングに沿って備え付けたLEDアレイを含む。LEDアレイのLEDは、直ちにワークピースにより吸収される0.4μmと1.0μmとの間などの波長の光を放出することができる。ワークピースの中央部分は、加熱静電クランプにより供給される伝導熱を用いて、加熱される。ワークピースの外縁部分は、LEDアレイからの光エネルギーにより、加熱される。LEDアレイは、静電クランプのベースの上に配置されるか、又は、分離リングの上に配置される。静電クランプの上部誘電層の直径は、LEDアレイを収容できるために、変更することができる。
【0009】
一実施態様により静電クランプが開示される。該静電クランプは、第1の直径を備えた頂面を有するベースと、第2の直径を備えた底面を有する上部誘電層であって、前記ベースの前記頂面の上に水平環状リングを創生するように、前記上部誘電層の前記底面は、前記ベースの前記頂面の上に配置され、前記第2の直径は前記第1の直径より小さい、上部誘電層と、前記水平環状リングの上に配置される、LEDアレイと、を備える。
【0010】
別の実施態様により静電クランプが開示される。該静電クランプは、頂面及び底面を有する上部誘電層と、該上部誘電層を収容できるように形成される凹部を有するベースであって、該ベースは、前記上部誘電層の前記底面と接触する凹部頂面と、前記上部誘電層を包囲し、前記上部誘電層の前記頂面より低い高さで配置される、環状頂面と、を有するベースと、前記ベースの前記環状頂面の上に配置されるLEDアレイと、を備える。
【0011】
別の実施態様により静電クランプが開示される。該静電クランプは、ベースと、該ベースの上に配置される、上部誘電層と、該上部誘電層の外縁の回りに配置される、円形リングと、該円形リングの頂面の上に配置される、LEDアレイと、を備える。特定の実施態様において、円形リングの幅は、ワークピースの張り出しより小さく、円形リングをビームの突き当たりから保護することができる。
【0012】
本発明をより良く理解するために、添付図面を参照し、図面は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】第2の実施形態による静電クランプの図である。
【
図3】第3の実施形態による静電クランプの図である。
【
図4】第4の実施形態による静電クランプの図である。
【
図5】第5の実施形態による静電クランプの図である。
【
図6】第6の実施形態による静電クランプの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記のように、従来の静電クランプの上に配置されるワークピースの縁は、ESCから張り出し得て、これらの縁が、ワークピースのその他の部分とは異なる温度を維持することを引き起こす。
【0015】
図1は、静電クランプ100の第1の実施形態を示す。本実施形態において、静電クランプ100は、ワークピース10の背面と連通する上部誘電層110を備える。複数の電極を上部誘電層110内に配置することができる。交流電圧波形がこれらの電極に印加され、ワークピース10を一定の場所に保つ静電力を創生する。この上部誘電層110は、イオンビームの突き当たりに耐えることができない。
【0016】
いくつかの実施形態において、静電クランプ100は、静電クランプ100の上部誘電層110の頂面で終端する複数の導管を備え、導管は、上部誘電層110の頂面とワークピース10の底面との間の体積へ背面ガスを供給する。静電クランプ100は、また、外縁の近くに外部シールリング(図示せず)を有することができ、外部シールリングは、背面ガスをこの体積に閉じ込め、背面ガスの漏れを最小にするのに役立つ。外部シールリングは、上部誘電層110の頂面から上方へ延び、ワークピース10に接触し、背面ガスを含む壁を形成する。この外部シールリングは、ワークピース10に接触するために、効果的である。したがって、外部シールリング及び上部誘電層110の影響を受けやすいことのため、イオンビームがESCに突き当たることができないことを確実にするために、静電クランプは、その上に置くワークピース10より典型的に小さい。いくつかの実施形態において、本発明の範囲内において、他の寸法も可能であるけれども、ワークピース10は、静電クランプ100から2〜3mmだけ張り出すことができる。
【0017】
ベース120を上部誘電層110の下に配置することができる。このベースは、アルミ二ウム又は別の熱電導材料などの金属とすることができる。
【0018】
上記のように、上部誘電層110は、ワークピース10の外縁へ延びることができない。特定の実施形態において、ワークピース10は、約2〜3mm張り出すことができる。本実施形態において、円形リング130を上部誘電層110の縁に沿って配置することができる。円形リング130は、上部誘電層110に対して、締め付けられるクランプとすることができる。他の実施形態において、円形リング130は、接着剤などにより、上部誘電層110に取り付けることができる。他の実施形態において、円形リング130は、ベース120に取り付けられる取り付けフレームにより、支持することができる。これらの実施形態の各々において、円形リング130は、上部誘電層110の周囲に沿って配置される。円形リング130は、ワークピース10の底面の約1〜10mm下に、配置することができる。円形リング130は、静電クランプ100の外縁とワークピース10の外縁との間の幅に適合するように、約2〜3mmの幅を有することができる。言い換えれば、ワークピース10の直径は、張り出しを創生するように、上部誘電層110の直径より大きく、円形リング130の幅は、張り出しより小さい。このように、ワークピース10は、円形リング130をビームの突き当たりから保護する。
【0019】
LEDアレイ140を円形リング130の頂面の上に配置することができる。特定の実施形態において、LEDアレイ140は、行と列の形で配置されたLEDを備える。半径方向に配置されたLEDの数は、LEDアレイ140の中のLEDの行の数として見なされる。円周方向に配置されたLEDの数は、列の数として見なされる。いくつかの実施形態において、LEDアレイ140は、半径方向に配置される単一のLEDを備える。他の実施形態において、2つ以上のLEDを半径方向に配置することができる。
【0020】
LEDは、円形リング130の全体の回りに間隙を介して並べられる。特定の実施形態において、256個のLEDが円形リング130の回りに配置される。約300mmの直径を有する円形リング130に対しては、隣接するLED間に円周方向に約3.7mmの間隙を意味する。もちろん、もっと多い又はもっと少ないLEDを用いることができる。例えば、64個又は128個のLEDも採用することができるが、LEDの数は本開示に限定されない。特定の実施形態において、より多くの数のLEDは、ワークピース10の周囲に沿って、もっと均一な温度プロファイルを創生することができる。
【0021】
特定の実施形態において、LEDアレイ140は、複数の高電力LEDを備え、高電力LEDは、直ちに基板により吸収される1つ以上の波長の光を放出し、用いられる。例えば、シリコンは、約0.4μmと約1.0μmとの間の波長の範囲で、高吸収率及び低透過率を示す。シリコンは、0.4μmから1.0μmの波長の範囲で放射されるエネルギーの50%より多く吸収する。この範囲の波長の光を放出するLEDを用いることができる。特定の実施形態において、GaNから作られるLEDが採用される。これらのGaN LEDは、約450nmの波長で光を放出する。
【0022】
特定の実施形態において、円形リング130は、ワークピース10が、円形リング130より大きい範囲まで、上部誘電層110を越えて半径方向に延びるように、配置される。このように、円形リング130は、ワークピース10により、イオンビームの突き当たりから保護することができる。
【0023】
コントローラ150は、LEDアレイ140のLEDの照明及び消灯を制御するために、LEDアレイ140と通信することができる。いくつかの実施形態において、LEDは、LEDアレイ140のLEDの全てが、オンかそれともオフとなるように、単一の実体として作動する。本実施形態において、各LEDに印加される電力量は同一とすることができる。他の実施形態において、LEDは、各区域が独立に制御される区域に分けることができる。本実施形態において、各区域に印加される電力量は独立に制御することができる。
【0024】
特定の実施形態において、コントローラ150は、LEDアレイ140を制御するために、オープンループ制御を用いる。言い換えれば、コントローラ150には、400℃又は500℃などのワークピース10のターゲット温度を設けることができる。ターゲット温度に基づいて、コントローラ150は、LEDアレイ140に供給する電力量を決定する。別の実施形態において、コントローラ150は、クローズドループ制御を用いることができる。本実施形態において、温度センサ(図示せず)をワークピース10の外縁の近くに配置することができ、それ故に、この領域でのワークピース10の実際の温度を測定することができる。コントローラ150は、次いで、ワークピース10のターゲット温度及び実際の温度に基づいて、LEDアレイ140に印加する電力量を決定する。
【0025】
図2は、静電クランプ200の第2の実施形態を示す。
図1のように、静電クランプ200は、上部誘電層210及びベース220を備える。上部誘電層210は、上部誘電層110に対して上述したように、作ることができ、機能することができる。同様に、ベース220は、ベース120に対して上述したように、作ることができ、機能することができる。
【0026】
本実施形態において、上部誘電層210は、その半径を低減するように、変更され、それ故に、ベース220は、上部誘電層210より遠くへ、半径方向外側に延びることができる。上部誘電層210は、垂直側壁211を有することができ、それ故に、上部誘電層210の頂面212の直径は、上部誘電層210の底面213の直径と等しい。ベース220は、上部誘電層210の底面213より大きい直径を有する頂面212を有する。この配置は、上部誘電層210により覆われないベース220の水平部分である水平環状リング部分225を創生する。別の言い方をすれば、ベース220の水平環状リング部分225は、エアギャップのみにより、ワークピース10から分離される。ベース220の頂面221の半径と上部誘電層210の底面213の半径との間の差異は、水平環状リング部分225の幅を規定する。さらに、ベース220の頂面221の半径は、水平環状リング部分225の外部半径を規定する。上部誘電層210の底面213の半径は、水平環状リング部分225の内部半径を規定する。いくつかの実施形態において、ベース220の頂面221の直径は、200mmと300mmとの間とすることができ、一方、上部誘電層210の底面213の直径は、ベース220の頂面221の直径より小さい5mmと50mmとの間とすることができる。
【0027】
LEDアレイ240は、ベース220の水平環状リング部分225の上に配置される。
図1のLEDアレイのように、LEDは、直ちにワークピース10により吸収される波長の光を放出することができる。特定の実施形態において、450nmの波長で光を放出するGaN LEDを採用する。
【0028】
LEDアレイ240を作り上げるLEDは、サイズを変えることができ、LEDの寸法は、本開示により限定されない。水平環状リング部分225の寸法及びLEDアレイ240のLEDのサイズは、水平環状リング部分225の上に配置することができるLEDの最大数を規定することができる。しかしながら、水平環状リング部分225の中に配置されるLEDの実際の数は、本開示により限定されない。
【0029】
特定の実施形態において、LEDアレイ240は、LEDの単一の行を備える。他の実施形態において、LEDの2つ以上の行を半径方向に配置することができる。LEDは、水平環状リング部分225の全体の回りに間隙を介して並べられる。上記のように、64個、128個又は256個のLEDなどの、任意の数のLEDを円周方向に配置することができる。
【0030】
図2に示す実施形態において、ワークピース10は、半径方向に水平環状リング部分225より遠くへ延びる。したがって、ワークピース10の外縁を効率的に加熱するために、LEDアレイ240のLEDは、45°又は60°などの角度で、半径方向外側へ傾けることができる。LEDの1つの行より多く用いる実施形態において、LEDの各行は、異なる角度で配置することができる。例えば、最外部の行は、半径方向に60°の角度で配置することができ、一方、隣接する行は、45°又は30°などのより小さい角度で配置することができる。LEDの最内部の行は、最も小さい角度で配置することができる。
【0031】
エッジシールド260は、水平環状リング部分225に配置することができ、接触しないで、ワークピース10へ延びることができる。このエッジシールド260は、ベース220に取り付けることができ、静電クランプ200の外面を形成することができる。このエッジシールド260は、2つの目的を果たすことができる。第1に、エッジシールド260は、上部誘電層210及びLEDアレイ240をイオンビームの突き当たりから保護することができる。したがって、傾斜注入が実施される時でさえ、上部誘電層210及びLEDアレイ240は保護される。第2に、エッジシールド260は、また、LEDアレイ240からの光をワークピース10の底面の方へ反射するために、役立つことができる。例えば、LEDアレイ240により放出される光のいくらかを、内面に反射することができる。エッジシールド260の内面は、この光をワークピース10の底面の方へ反射することができ、ワークピース10へのエネルギーの伝達を向上する。
【0032】
上記のように、コントローラ250は、照明、印加電力、及び、LEDアレイ240のLEDの作動を制御するために、LEDアレイ240と通信することができる。いくつかの実施形態において、LEDは、LEDアレイ240の全てのLEDが同じ電力レベルで作動するように、単一の実体として作動する。他の実施形態において、LEDは、各区域が独立に制御される区域に分けることができる。例えば、LEDの1行より多い行の実施形態において、各行に印加される電力は独立に制御することができる。
【0033】
特定の実施形態において、コントローラ250は、LEDアレイ240を制御するために、オープンループ制御を用いる。言い換えれば、コントローラ250には、400℃又は500℃などのワークピース10のターゲット温度を設けることができる。ターゲット温度に基づいて、コントローラ250は、LEDアレイ240に供給する電力量を決定する。別の実施形態において、コントローラ250は、クローズドループ制御を用いることができる。本実施形態において、温度センサ(図示せず)をワークピース10の外縁の近くに配置することができ、それ故に、この領域でのワークピース10の実際の温度を測定することができる。コントローラ250は、次いで、ワークピース10の現在の電力レベル、ターゲット温度及び実際の温度に基づいて、LEDアレイ240に印加する電力量を決定する。
【0034】
いくつかの実施形態において、内部シールド270は、上部誘電層210をLEDアレイ240により放出される光から保護するために、用いられる。
【0035】
図3は、静電クランプ300の変形を示す。本図において、同等の機能を有するコンポーネントは、同一の参照番号を与えている。
図2に示す実施形態において、上部誘電層210は、ワークピース10とベース220との間に延びる垂直側壁211を有する。
図3の静電クランプ300において、上部誘電層210は、上部誘電層210の頂面212の直径が、ベース220の近くの上部誘電層210の底面213より大きい、傾斜側壁217を有する。傾斜側壁217は、ベース220の頂面221に対する任意の適切な角度を形成することができる。特定の実施形態において、傾斜側壁217は、ベース220の頂面221に対する60°の角度を形成することができる。
【0036】
ベース220に近い上部誘電層210の底面213の直径は、この点でのベース220の頂面221の直径より小さく、水平環状リング部分225の創生を可能にする。例えば、上記のように、上部誘電層210の底面213は、ベース220の頂面221の直径より小さい5mmと50mmとの間の直径を有することができる。
図2のように、LEDアレイ240は、水平環状リング部分225の上に配置することができる。エッジシールド260、内部シールド270及びコントローラ250は、また、本実施形態において、用いることができる。これらのコンポーネントは、
図2に対して述べたように機能する。
【0037】
傾斜側壁217を用いることにより、上部誘電層210の頂面212は、
図2の実施形態より多くのワークピース10と連通する。これにより、LEDアレイ240により供給される熱の量を低減することができる。
【0038】
これらの実施形態の両方において、上部誘電層210の底面213は、平面であり、平面でもあるベース220の頂面221と接触する。上部誘電層210の底面213の直径は、ベース220の頂面221の直径より小さい。これにより、水平環状リング部分225がベース220の頂面221の上に存在することを可能にし、水平環状リング部分225の上にLEDアレイ240を配置することができる。LEDアレイ240は、半径方向に1つ以上の行を有することができ、水平環状リング部分225の円周の回りに延びることができる。上部誘電層
210の側壁は、
図2に示すように垂直にすることができ、又は、
図3に示すように傾斜にすることができる。これらの実施形態の両方において、エッジシールド260は、LEDアレイ240及び上部誘電層210をイオンビームの突き当たりから保護するために、配置することができる。さらに、内部シールド270は、上部誘電層210をLEDアレイ240から放出される光及び熱から保護するために、用いることができる。LEDアレイ240のLEDは、半径方向外側に角度を変えることができる。LEDアレイ240のLEDの数は、どちらの実施形態によっても限定されない。コントローラ250は、ワークピース10の外縁の温度を調整するように、LEDアレイ240のLEDの照明を制御するために、用いることができる。コントローラ250は、オープンループ制御又はクローズドループ制御を用いることができる。
【0039】
図4は、静電クランプ400の別の実施形態を示す。
図3のように、本実施形態400は、多くの
図2と同じコンポーネントを用い、したがって、同一の参照番号を同等のコンポーネントに割り当てる。
【0040】
本実施形態において、上部誘電層210は、
図2で説明したようにすることができ、垂直側壁211を有することができる。本実施形態において、ベース420は、上部誘電層210が配置される凹部425を有することができる。本実施形態において、凹部425の側壁426も、また、垂直にすることができる。凹部425の直径は、上部誘電層410の直径より、少し大きくすることができ、それ故に、上部誘電層410が凹部425内に容易に適合する。特定の実施形態において、内部シールド270は、凹部425の側壁426と上部誘電層210の垂直側壁211との間に配置される。特定の実施形態において、上部誘電層210は、ワークピース10の直径より小さい6mmと100mmとの間の直径を有することができる。
【0041】
ベース420は、上部誘電層210の底面213と接触する凹部頂面421、及び、上部誘電層210を包囲する環状頂面422を有することができる。環状頂面422は、上部誘電層210を包囲する環状リングである。環状リングは、3mmと50mmとの間の幅を有することができる。環状頂面422は、上部誘電層210の頂面212の高さより低い高さとすることができる。言い換えれば、上部誘電層210の頂面212は、ワークピース10の底面と連通することができるが、一方、環状頂面422は、環状頂面422とワークピース10の底面との間にギャップが存在するように、より低い高さで配置される。このギャップは、特定の実施形態において、1mmと10mmとの間とすることができる。
【0042】
LEDアレイ240は、上部誘電層210を包囲するベース420の環状頂面422の上に配置することができる。このLEDアレイ240は、上記のように、コントローラ250を用いて制御することができる。
図4はLEDアレイ240のLEDの4つの行を示すが、本発明は、任意の特定の数の行に限定されない。上記のように、円周方向のLEDの数は、また、限定されず、例えば、64個、128個又は256個とすることができる。
【0043】
図4に示すような特定の実施形態において、ベース420の外壁は、傾斜にすることができる。これにより、イオンビームがベース420に突き当たらないように、傾斜注入を実施することを可能にすることができる。他の実施形態において、ベース420の外壁は、垂直にすることができる。特定の実施形態において、エッジシールド260がベース420の外壁の近くに配置される。特定の実施形態において、エッジシールド260は、ベース420の外壁に取り付けることができる。
【0044】
さらに、環状頂面422は、水平であるとして、示されているが、本開示は本実施形態に限定されない。例えば、環状頂面422は、半径方向外側に角度を変えることができ、それ故に、LEDアレイ240のLEDは、ワークピース10の外縁の方へ角度を変えられる。他の実施形態において、環状頂面422は水平にすることができ、LEDアレイ240のLEDは、ワークピース10の外縁の方へ角度を変えることができる。
【0045】
図5は、静電クランプ500の別の実施形態を示す。本実施形態において、上部誘電層210は、
図3に対して記載したものと類似の傾斜側壁217を有する。言い換えれば、上部誘電層210の頂面212の直径は、上部誘電層210の底面213の直径より大きい。特定の実施形態において、傾斜側壁217は、ベース420の凹部頂面421に対し60°の角度を形成することができる。本実施形態において、ベース420の中の凹部425は、上部誘電層210の傾斜側壁217を収容できるように形成される。言い換えれば、凹部425の側壁426は、また、上部誘電層210を収容できるように傾斜にされる。ベース420は、その上に上部誘電層210が配置される凹部頂面421を有する。ベース420は、また、上部誘電層210を包囲する環状頂面422を有する。環状頂面422は、3mmと50mmとの間の幅を有することができる。環状頂面422は、上部誘電層210の頂面212の高さより低い高さにすることができる。言い換えれば、上部誘電層210の頂面212はワークピース10の底面と連通することができるが、一方、環状頂面422は、より低い高さに配置され、それ故に、環状頂面422とワークピース10の底面との間にギャップが存在する。環状頂面422とワークピース
10の底面との間のギャップは、1mmと10mmとの間にすることができる。
【0046】
上記のように、環状頂面422は、特定の実施形態において、水平にすることができ、又は、他の実施形態において、角度を変えることができる。さらに、LEDアレイ240のLEDは、ワークピース10の外縁の方へ角度を変えることができる。
【0047】
上部誘電層210の頂面212の直径は、
図4の静電クランプ400の頂面212より大きいため、
図5の上部誘電層210は、ワークピース10のより大きい部分を加熱することができる。その結果として、
図5のLEDアレイ240はワークピース10のより小さい部分を加熱することができる。
図5はLEDアレイ240の2行のLEDを示すが、任意の数の行を採用することができる。さらに、円周方向のLEDの数は本開示により限定されない。
【0048】
図4及び
図5は、ベース420を不可欠なコンポーネントとして示すが、他の実施形態も可能である。例えば、環状頂面422は、分離コンポーネントの部分とすることができる。例えば、
図2に戻るに、ベース220の水平環状リング部分225の上に、分離要素を配置することができる。LEDアレイ240は、このコンポーネントの頂面の上に配置することができる。本構成は、
図6の静電クランプ600に示される。本実施形態において、ベース220の水平環状リング部分225の上に、分離要素610を配置する。LEDアレイ240を分離要素610の頂面の上に配置する。言い換えれば、LEDアレイ240をワークピース10の底面により近くに持ち上げるために、分離要素610を用いることができる。エッジシールド260は、ベース220に取り付けることができ、分離要素610、LEDアレイ240及び上部誘電層210を保護するために、用いることができる。
【0049】
本明細書で説明する実施形態の各々において、ワークピースは、2つの異なる機構を用いて加熱される。ワークピースの多くは、伝導により加熱され、ガスの体積は、ワークピースの底面と加熱静電クランプの頂面との間に配置される。上記のように、外部シールリングは、ワークピースと静電クランプとの間に背面ガスを含むバリアを提供する。背面ガスは、ESCにより加熱され、その熱はワークピースへ伝導されるので、背面ガスは、静電クランプとワークピースとの間に加熱機構を供給する。言い換えれば、ESCは、背面ガスの使用により、伝導加熱を提供する。したがって、外部シールリングを越えて延びるワークピースの部分は、ESC及び背面ガスにより、効果的に加熱されない。さらに、ESCは、また、ESC内に配置された電極に電圧を加えることにより創生される静電力により、ワークピースを適切な位置で支えるのに役立つ。
【0050】
対照的に、ワークピースの外縁は光エネルギーにより加熱され、光は、特定の波長の範囲で放出され、ワークピースの外縁の方へ向けられる。これらの2つの機構の使用により、ワークピースのもっと均一な温度プロファイルを可能にする。
【0051】
本アプリケーションの上記の実施形態は多くの優位性を有することができる。例えば、1つのテストにおいて、LEDアレイを用いない場合、ワークピースの縁の温度は、500℃に維持される中央の温度から少なくとも21℃低下することが決定された。256個のLEDの単一の行を有するLEDアレイは、外縁の温度を中央の温度の1℃以内に維持した。このLEDアレイは55Wの電力だけを消費した。400℃の中央の温度に対して1℃より低い温度均一性を維持するために、LEDアレイは約17Wの電力だけを消費した。言い換えれば、ワークピースにより直ちに吸収される波長での光を放出するLEDの使用により、放出される光とワークピースの温度上昇との間の連結を強め、したがって、温度均一性を維持するために必要な電力量を最小にする。
【0052】
さらに、本発明は、ワークピースを加熱するために、光に依存する。このため、LEDアレイを複数の異なる位置に配置することが可能である。言い換えれば、LEDアレイとワークピースとの間に視線経路がある限り、LEDアレイは、ワークピースの表面に極めて近くに配置する必要がない。さらに、LEDは、光をワークピースの特定部分に向けるために、角度を変えることができる。これにより、LEDアレイが、ワークピースの縁から離れて配置され、なお、外縁を加熱することができることを可能にする。LEDアレイをワークピースの外縁から離れて配置することにより、LEDアレイ又は任意の他のコンポーネントを損傷する可能性がなく、傾斜注入を実施することができる。
【0053】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際に、本明細書に記載された実施形態に加えて、本発明の他の様々な実施形態および変更は、前述の記載および添付図面から当業者には明らかであろう。したがって、このような他の実施形態および変更は、本発明の範囲内に含まれるものと意図している。さらに、本発明は、特定の環境における特定の目的のための特定の実装の文脈にて本明細書中で説明したが、当業者は、その有用性はそれらに限定されるものでなく、本発明は任意の数の環境における任意の数の目的のために有益に実装し得ることを認識するであろう。従って、以下に記載する特許請求の範囲は本明細書に記載された本発明の全範囲及び精神に鑑みて解釈されるべきである。