(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
近位端部及び遠位端部と、遷移部近位端内径を有する遷移部近位端と、遷移部近位端内径よりも大きい遷移部遠位端内径を有する遷移部遠位端と、該遷移部近位端と遷移部遠位端との間の遷移部長さとを有する遷移部を有する管状構造を含み、
前記管状構造は、多孔性ポリマーを含む第一の層と、該第一の層に隣接する少なくとも1つの中間層とを含み、そして
前記中間層は遷移部長さに沿って少なくとも部分的に延在している可変壁厚を有し、そして中間層壁厚が前記遠位端部内で、前記近位端部内の中間層壁厚より厚い、植え込み型デバイス。
前記中間層は中間層壁厚を有し、前記中間層壁厚は前記遷移部遠位端から前記遷移部近位端に向かってテーパ付けされており、前記中間層の中間層壁厚は前記遷移部近位端においてゼロである、請求項1記載の植え込み型デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本開示による植え込み型デバイス(例えば、脈管グラフト)は様々な用途において使用されうる。植え込み型デバイスは、
図1に例として示すように、動静脈用途(例えば透析)に使用されうる。植え込み型デバイス(例えば、グラフト)100は静脈血管系104と連通することができる遠位端102と、動脈血管系112と連通することができる近位端106と、近位端と遠位端との間のある長さとを有することができる。グラフトはグラフトの長さに沿って管状形状を有することができる。植え込み型デバイス100はまた、ステントグラフト又はステントグラフトと脈管グラフトとのハイブリッドであってもよい。
【0016】
図2は、第一の(内側)層200、中間層202及び第二の(外側)層206を有する以前から公知の脈管グラフトの長さ部分の長手方向断面を示す。中間層202(例えば、エラストマー層であってもよい)は、脈管グラフトの長さに沿って一定の壁厚を有することが示されている。
【0017】
植え込み型デバイス100は様々な構成を有することができる。例えば、
図3A〜
図3Cの長手方向断面図及び
図4及び
図5の横断方向断面図に示すように、植え込み型デバイス100(例えば、低出血性脈管グラフト)は遠位部外径108及び遠位部内径113を有する遠位部遠位端102を有する。植え込み型デバイス100は、
図3A〜
図3Cに示すように、遠位部外径108より小さい近位部外径110と、遠位部内径113より小さい近位部内径111とを有する近位部近位端106を有する。近位部近位端106と遠位部遠位端102との間に位置して植え込み型デバイス100は近位部322と、テーパ付き遷移部308と、遠位部308とを有することができる。1つの用途例において、例えば、透析用途において、近位部近位端106は動脈と連通することができ、遠位部遠位端10 2は静脈と連通することができる。あるいは、近位部近位端106は静脈と連通することができ、遠位部遠位端102は動脈と連通することができる。他の例では、植え込み型デバイス100は、遷移部308から完全になることができ、植え込み型デバイス100は、その近位端106と遠位端102との間の長さに沿って全体がテーパ付けされている。
【0018】
遷移部308は、遷移部近位端304と遷移部遠位端300との間に遷移部長さ324を有する。遷移部308は、遷移部の第一層の壁厚312を有する第一の(内側)層310を含むことができる。遷移部の第一の層の壁厚312は遷移部長さ324に沿って変化することができる。遷移部の第一の層の壁厚312は、遷移部遠位端300での遷移部の第一の層の壁厚312よりも遷移部近位端304で厚くてよい。あるいは、遷移部の第一の層の壁厚312は、遷移部遠位端300での遷移部の第一の層の壁厚312よりも遷移部近位端304で薄くてもよい。
【0019】
第一の層310は、
図3A〜
図3Cに示すように、第一の層の第一の表面358と第一の層の第二の表面360とを有する。第一の層の第一の表面358及び第一の層の第二の表面360は、植え込み型デバイス100に沿って(例えば、近位部322、遷移部308及び遠位部338又はそれらの組み合わせに沿って)延在することができる。
図3A〜3Cの例に示すように、第一の層の第一の表面358及び第一の層の第二の表面360は近位部322、遷移部308及び遠位部338に沿って延在している。
【0020】
遷移部308はまた、第一の層310の少なくとも一部に隣接する中間層314を有することができる。例えば、
図3A〜
図3Cに示すように、遷移部308は第一の層の第二の表面360に隣接した又は並置した中間層314を有する。あるいは、中間層314は、これらの2つの層の界面付近で多孔性の第一の層310に部分的に吸収されてもよい。一例では、中間層314はエラストマー(例えばシリコーン)であり、第一の層310は多孔性ポリマー(例えばePTFE)である。
【0021】
中間層314は、遷移部308に沿って変化する遷移部中間層壁厚316を有する。遷移部中間層壁厚316は、
図3A〜
図3Bに示すように、遷移部近位端304と遷移部遠位端300との間でテーパ付けされていてよい。遷移部中間層壁厚316は遷移部遠位端300よりも遷移部近位端304の近くでより薄くてよい。あるいは、遷移部中間層壁厚316は遷移部遠位端300よりも遷移部近位端304でより厚くてよい。
【0022】
中間層314は、場合により存在する追加層(例えば、第二の層318)に並置することもできる。あるいは、中間層314は、中間層314に隣接する第二の層318の表面領域において、別の層、例えば第二の多孔性層318に部分的に吸収されてもよい。中間層314は、遷移部308を越えて近位及び/又は遠位に延在してよい。
【0023】
遷移部308は第二の(外側)層318を有することができる。例えば、
図3A〜
図3Cに示すように、遷移部308は中間層314に隣接する第二の層318を有し、遷移部の第二の層の壁厚320を有する。遷移部の第二の層の壁厚320は、
図3A〜
図3Cに示すように、遷移部近位端304と遷移部遠位端300との間でテーパ付けされていてよい。遷移部中間層壁厚316は、遷移部遠位端300の近くよりも遷移部近位端304の近くでより厚くてよい。あるいは、遷移部近位端304は遷移部遠位端300より薄くてもよい。第二の層は遷移部308を越えて近位及び/又は遠位に延在してよい。
【0024】
特定の例では、中間層314は、遷移部近位端304と遷移部遠位端300との間でテーパ付けされてよい。特定の例では、中間層314は中間層壁厚316が遷移部長さ324内の任意の点でゼロ又はほぼゼロでなるようにテーパ付けされてよい(中間層314の境界を示す点線で表されるように)。特定の例では、中間層314は、中間層壁厚316が遷移部近位端304でゼロ又はほぼゼロになるようにテーパ付けされてよい。
図3Bに示すように、中間層314は遷移部近位端304に向けて一定速度でテーパ付けされている。特定の例では、遷移部近位端304と遷移部遠位端300との間での中間層壁厚316のテーパは一定でなくてもよく、遷移部近位端304に近づくにつれて速度が増加又は減少してもよい。
図3Bに示すように、近位部322は中間層314を含まない。近位部322に存在する中間層314の欠如(及び/又は、遷移部長さ324における中間層314の厚さの減少)は、植え込み型デバイス100を患者に固定するための縫合糸(又は同様のもの)による近位部322(又は遷移部長さ324)の穿刺の容易さを高めることができる。特定の例では、中間層壁厚316の厚さが減少するにつれて、遷移部の第二の層の壁厚320は遷移部近位端304に向かって厚さが増加することができる(例えば、
図3Bに示すとおり)。他の例では、中間層壁厚316の厚さが減少するにつれて、遷移部の第一の層の壁厚312は、遷移部近位端304に向かって厚さが増加することができる。他の例では、遷移部長さ324内の植え込み型デバイス100の全体としての壁厚は、中間層壁厚316が減少するにつれて減少することができる。
【0025】
また、
図3A〜
図3Cに示すように、植え込み型デバイス100は遠位部338を遷移部遠位端300と遠位部遠位端102との間に有してよい。遠位部338は遠位部338に沿って様々な直径(内径及び/又は外径)を有しても、又は、一定の直径を有してもよい。例えば、遠位部338は、
図3A〜
図3Cに示すように、遠位部遠位端102と遷移部遠位端300との間に一定の遠位部外径108を有する。遠位部338は遠位部遠位端102と遷移部遠位端300との間に一定の遠位部内径113を有してよい。遠位部338は遠位部の第一の層の壁厚344を有する第一の層310と、遠位部中間層壁厚348を有する中間層314と、遠位部の第二の層の壁厚352を有する第二の層318とを含むことができる。
【0026】
図3A〜
図3Cに示すように、植え込み型デバイス100は近位部322を近位部近位端106と遷移部近位端304との間に有してよい。近位部322は近位部分322に沿って可変直径(内径及び/又は外径)を有しても、又は、一定の直径を有してもよい。例えば、近位部322は、
図3A〜
図3Cに示すように、近位部近位端106と遷移部近位端304との間に同じ近位部外径110を有する。近位部322は近位部近位端106と遷移部近位端304との間で一定である近位部内径111を有してよく、あるいは、可変近位部内径111を有してよい。近位部322は近位部の第一の層の壁厚328を有する近位部の第一の層310と、近位部中間層壁厚332を有する近位部中間層314と、近位部の第二の層の壁厚336を有する近位部の第二の層318とを含むことができる。
【0027】
特定の例では、近位部中間層314は、遷移部近位端304と近位端106との間でテーパ付けされてよい。特定の例では、中間層314は、中間層壁厚332が近位部長さ325内の任意の点でゼロ又はほぼゼロであるようにテーパ付けされてよい(中間層314の境界を示す点線によって表されるとおり)。特定の例では、中間層314は、中間層壁厚332が近位端106でゼロ又はほぼゼロになるようにテーパ付けされてよい。近位部322における中間層314の厚さの減少は、植え込み型デバイス100を患者に固定するための縫合糸(又は同様のもの)による近位部322の穿刺の容易性を高めることができる。
図3Cに示すように、中間層314は近位端304に向かって一定速度でテーパ付けされる。特定の例では、遷移部近位端304と近位端106との間の中間層壁厚332のテーパは一定でなくてよく、近位端106に近づくにつれて増加又は減少してよい。特定の例では、近位部の第一の層の壁厚328は近位部中間層314の厚さが減少するにつれて、近位端106に向かって厚さが増加してよい(例えば、
図3Cに図示されるとおり)。他の例では、近位部の第二の層の壁厚336は、中間層壁厚332の厚さが減少するにつれて近位端106に向かって厚さが増加してよい。他の例では、近位部長さ325内の植え込み型デバイス100の全体としての壁厚は、中間層壁厚332が減少するにつれて減少してよい。
【0028】
遷移部308は遷移部近位端外径306及び遷移部近位端内径307を有する遷移部近位端304を有する(
図5)。植え込み型デバイス100はまた、遷移部遠位端外径302及び遷移部遠位端内径303を有する遷移部遠位端300を有する(
図4)。遷移部遠位端直径(302,303)は遠位部遠位端直径(108,113)と同じ直径であってよい。遷移部近位端直径(306,307)は近位部近位端直径(110,111)と同じ直径であってよい。
【0029】
近位部322は様々な壁厚構成を有することができる。1つの例では、
図3Aに示すように、近位部322は第一の層310と、中間層314と、第二の層318とを有する。第一の層310は近位部322に沿って実質的に同じ厚さであり、かつ、遷移部近位端304で遷移部の第一の層の壁厚312に合致する近位部の第一の層の壁厚328を有する。中間層314は近位部322に沿って実質的に同じ厚さであり、かつ、遷移部近位端304で遷移部の中間層の壁厚316に合致する近位部分中間層壁厚332を有する。第二の層318は近位部322に沿って実質的に同じ厚さであり、かつ、遷移部近位端304で遷移部の第二の層の壁厚320に合致する近位部の第二の層の壁厚336を有する。あるいは、近位部322は近位部長さ325に沿って一定ではない壁厚を有してよい。
【0030】
遠位部338は様々な壁厚構成を有することができる。1つの例では、
図3A〜3Cに示すように、遠位部338は第一の層310と、中間層314と、第二の層318とを有する。第一の層310は遠位部338に沿って実質的に同じ厚さであり、かつ、遷移部遠位端300で遷移部の第一の層の壁厚312に合致する遠位部の第一の層の壁厚344を有する。中間層314は遠位部338に沿って実質的に同じ厚さであり、かつ、遷移部遠位端300で遷移部中間層壁厚316に合致する遠位部中間層壁厚348を有する。第二の層318は遠位部338に沿って実質的に同じ厚さであり、かつ、遷移部遠位端300で遷移部の第二の層の壁厚320に合致する遠位の第二の層の壁厚352を有する。あるいは、遠位部338は遠位部長さ326に沿って一定でない壁厚を有してよい。
【0031】
植え込み型デバイス100は様々な全体としての壁厚構成を有することができる。例えば、
図4に示すように、遷移部308(
図3A〜
図3Cにも示されている)は遷移部近位端304での遷移部近位端全体壁厚356よりも小さい遷移部遠位端300での遷移部遠位端全体壁厚354を有することができる。遷移部に沿った位置での遷移部全体壁厚は遷移部全体壁厚(354,356)の間で変化してよい。
【0032】
植え込み型デバイス100に沿って測定された全体としての壁厚は少なくとも1つのポリマー層(例えば、ePTFE)及び少なくとも1つのエラストマー層(例えば、シリコーン)を含むことができる。植え込み型デバイス100は遷移部全体壁厚354を含む遷移部308を有することができる(
図4に示すとおり)。遷移部308に沿って(例えば、遷移部遠位端300で)取った、遷移部中間層壁厚316の、遷移部の第一の層の壁厚312と遷移部の第二の層の壁厚320との合計に対する遷移部壁厚の比は1に等しい。言い換えれば、この比は、中間層壁厚/内側層及び外側層の壁厚の合計の比である。他の場合には、遷移部遠位端壁厚比は1.0より大きく、例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5又はそれ以上であってよい。さらに、他の場合には、遷移部壁厚比は1.0未満、例えば0.7、0.8又は0.9であってよい。
【0033】
植え込み型デバイス100はまた、遷移部全体壁厚356を備えた遷移部308を有することができる(
図5)。遷移部308に沿って(例えば、遷移部近位端304で)取った、遷移部中間層壁厚316の、遷移部の第一の層の壁厚312と遷移部の第二の層の壁厚320との合計に対する遷移部壁厚比は1未満である。例えば、遷移部中間層壁厚316の、遷移部の第一の層の壁厚312と遷移部の第二の層の壁厚320との合計に対する遷移部近位端の比は、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4又はそれ以下であることができる。遷移部近位端の比は、
図3Aに示されるように、植え込み型デバイス100に沿って近位部322まで延在することができる。同様に、遷移部遠位端の比は、
図3Aに示されるように、植え込み型デバイス100に沿って遠位部338まで延在することができる。
【0034】
上述の比に加えて、遷移部近位端304における全体としての壁厚356は遷移部遠位端300における全体としての壁厚354より大きくてよい。
【0035】
植え込み型デバイス100は様々な部分を有することができる。該デバイスは、例えば、
図3A〜
図3Cに示すように、近位部長さ325を有する近位部322と、遷移部長さ324を有する遷移部308と、遠位部長さ326を有する遠位部338とを有することができる。近位部長さ325は、遷移部長さ324よりも短くてよく、遷移部長さ324は、遠位部長さ326よりも短くてよい。遠位部長さ326は、15cm、20cm、30cm、40cm、50cm又はそれ以上、遷移部長さ324は5cm(他の長さは1cm〜10cmの範囲であることができる)であってよく、近位部長さ325は約2cm(他の長さは1cm〜10cmの範囲であることができる)であってよい。長さの他の組み合わせも考えられ、用途による。幾つかの場合には、植え込み型デバイス100は、全体が遷移部308(すなわち、グラフト全体がテーパ付けされている)であってもよく、したがって、20cm、30cm、40cm又は50cm又はそれ以上の遷移部長324を有してよい。
【0036】
植え込み型デバイス100は様々な方法で製造することができる。一例を以下に説明する。直径7mm×長さ120cm、直径3.84mm×長さ20cm、直径7mmから直径3.84mmの間の長さ5cmのテーパ部分を有する、長さ145cmのマンドレルを入手した(すなわち、7〜4mmのテーパ付きマンドレル)。壁厚0.08mmである直径3.60mmの押出ePTFEチューブを得た(ePTFEの第一のチューブ)。ePTFEの第一のチューブはePTFEの第一のチューブに沿って延在しているルーメンを有する。次いで、7〜4mmのテーパ付きマンドレルをePTFEの第一のチューブ内に挿入した。ePTFEの第一のチューブのしわが最小限になるようにePTFEの第一のチューブを拡張した。次いで、ePTFEの第一のチューブを、ePTFEの第一のチューブの全長に沿って、1.27cm幅のePTFEフィルムテープで螺旋状に巻き付けた。次いで、ePTFEの第一のチューブを有するマンドレルを対流炉内にて370℃で12分間加熱した。炉から取り出した後に、7〜4mmのテーパ付きマンドレル上のePTFEの第一のチューブをePTFEの第一のチューブがほぼ室温に達するまで、周囲空気中で空気冷却した。この例は、内径約7mmの長さ部分と、内径4mmの長さ部分と、内径7mmの長さ部分から内径4mmの長さ部分の間に延在しているテーパ付き長さ部分とを有するePTFEの第一のチューブを製造した。内径7mmの長さ部分の壁厚は約0.08mmであり、内径4mmの長さ部分の壁厚は約0.10mmであった。テーパ付き長さ部分は、内径7mmの長さ部分と内径4mmの長さ部分との間で変化している壁厚(すなわち、0.08mmから0.10mmまでで変化する)を有していた。
【0037】
テーパ付きの第二のePTFEチューブを以下のように製造した。直径6.50mm×長さ110cm、直径3.80mm×長さ30cm、直径6.50mmの長さ部分と直径3.80mmの長さ部分との間の長さ5cmのテーパ付けされた長さ部分を有する長さ145cmのマンドレルを入手した(6.5〜3.80 mmテーパ付きマンドレル)。壁厚0.66mmの直径6mmの押出延伸ePTFEチューブを得た(ePTFEの第二のチューブ)。6.50〜3.80mmのテーパ付きマンドレルをePTFEの第二のチューブルーメン内に挿入した。ePTFEの第二のチューブのしわが最小限になるようにePTFEの第二のチューブを拡張した。次いで、ePTFEの第二のチューブの端部の周囲にePTFEフィルムを巻き付けることによって、ePTFEの第二のチューブの端部をマンドレルに固定した。次いで、ePTFEの第二のチューブを、ePTFEの第二のチューブの全長に沿って、1.90cm幅のePTFEフィルムテープで螺旋状に巻き付けた。次に、ePTFEの第二のチューブを有するマンドレルを対流炉により370℃で12分間加熱した。炉から取り出した後に、マンドレル上のePTFEの第二のチューブを、ePTFEの第二のチューブ及びマンドレルがほぼ室温に達するまで周囲空気中で空気冷却した。その後、ePTFEの第二のチューブをマンドレルから取り外した。この手順により、内径6.5mmの長さ部分と、内径3.80mmの長さ部分と、内径6.50mmの長さ部分と内径3.80mmの長さ部分との間に延在しているテーパ付き長さ部分を有するePTFEの第二のチューブが得られた。内径6.50mmの長さ部分の壁厚は約0.76mmであり、内径3.80mmの長さ部分の壁厚は約0.79mmであった。テーパ付き長さ部分は、内径6.50mmの長さ部分の壁厚と内径3.80mmの長さ部分の壁厚との間でテーパ付けされた可変壁厚を有していた。特定の場合には、テーパ付き長さ部分は、内径6mm長さ部分の壁厚と内径4mmの長さ部分の壁厚との間でテーパ付けされた可変壁厚を有し、他の場合には、テーパ長さ部分は、内径5mmの長さ部分の壁厚と内径4mmの長さ部分の壁厚との間でテーパ付けされた可変壁厚を有した。
【0038】
ePTFEの第一のチューブを有するマンドレルを、シリコーン層(NuSil Technology LLC, Carpinteria、CA)でコーティングした。1mmから15mmの間で拡張及び収縮可能な絞り装置(Standa Ltd., Vilnius, Lithuania)を得た。第一のePTFEチューブを有するマンドレルを装置内に含まれる絞りを通して移動させた。装置は、シリコーンをePTFEの第一のチューブの外面に供給し、絞りは、ePTFEの第一のチューブの外面上で(ePTFEの第一のチューブのより大きい直径部分に沿って)約0.53mmのシリコーンの壁厚、ePTFEの第一のチューブの小径部分の上で0.30mmを維持し、ePTFEの第一のチューブのテーパ部分に沿って0.53mm〜0.30mmで変化しているシリコーン壁厚を維持した。次いで、対流炉中で200℃で6.5分間硬化させることによりシリコーンを部分的に硬化させた。
【0039】
次いで、マンドレル上でePTFEの第二のチューブを引っ張ることによってePTFEの第二のチューブを直径方向に拡大した。マンドレルは、長さ約55cmの外径9.60mmの長さ部分と、長さ12mmの外径5.40mmの長さ部分と、外径5.40mmの長さ部分と外径9.60mmの長さ部分との間で延在している遷移長さ部分を有した。次いで、ePTFEの第二のチューブ及びマンドレルのアセンブリを対流炉中で約45秒間200℃で加熱した。ePTFEの第二のチューブの遠位端の内径を、ePTFEの第二のチューブの遠位端上で約9.60mmに拡張させ、ePTFE第二のチューブの近位端の内径を、ePTFEの第二のチューブの近位端上で約5.40mmに拡張させ、遷移長さ部分は内径9.60mmと内径5.40mmとの間で延在していた。
【0040】
ePTFEの第二のチューブをマンドレルから取り外した後に、フレアツール(マンドレル)を用いて12mmのフレアをePTFEの第二のチューブの遠位端(すなわち、9.60mmの内径端部)上に作製した。次いで、ePTFEの第二のチューブを絞りを有する装置内に保持し、シリコーンの外層を有するePTFEの第一のチューブをePTFEの第二のチューブのルーメン内に挿入できるようにした。まず、ePTFEの第一のチューブの近位部を、ePTFEの第一のチューブとePTFEの第二のチューブの遷移長さ部分がほぼ位置合わせされるまで、ePTFEの第二のチューブの遠位部を通して挿入した。ePTFEの第一のチューブをePTFEの第二のチューブを通して挿入している間に、装置はシリコーン外層を有するePTFEの第一のチューブの上に厚さ約0.15mmのシリコーンの第二の層(第二の層は第一の層よりも薄い)を適用した。第二の層のシリコーン壁厚は絞り装置によって制御した。シリコーンの第二の層を適用し、ePTFEの第一のチューブとePTFEの第二のチューブのテーパ部分を位置合わせさせた後に、対流炉中で200℃で15分間硬化させることによりシリコーンを完全硬化させた。この例において、本開示によるデバイスを作製した。
【0041】
得られた植え込み型デバイスは、ePTFEの第一の(内側)チューブを含む第1層と、シリコーンを含む中間層と、ePTFEの第二の(外側)チューブを含む第二の層とを有していた。植え込み型デバイスは、長さ5cmの遷移長さ部分と、長さ48cmの遠位長さ部分と、長さ2cmの近位長さ部分とを有していた。植え込み型デバイスの近位長さ部分及び遠位長さ部分に沿って長手方向断面を取り、光学的プロファイラ(Unitron Inc., Bohemia NY)を用いて壁厚測定を行った(全体壁厚及び中間層壁厚)。近位長さ部分の全体としての壁厚は約1.25mmであった。近位長さ部分の中間層壁厚は約0.48mmであった。遠位長さ部分の全体としての壁厚は約1.22mmであり、遠位長さ部分の中間層壁厚は0.70mmであった。遷移長さ部分の全体としての壁厚は、近位長さ部分の付近の1.25mmから遠位長さ部分の付近の1.22mmまで変化し、そして遷移長さ部分の中間層壁厚は、近位長さ部分の付近の0.48mmから遠位長さ部分の付近の0.70mmまで変化した。近位長さ部分におけるePTFEの第一のチューブの壁厚とePTFEの第二のチューブの壁厚との合計に対する中間層壁厚の比は約0.63であった。遠位長さ部分におけるePTFEの第一のチューブの壁厚とePTFEの第二のチューブの壁厚さとの合計に対する中間層壁厚の比は約1.35mmであった。
【0042】
本開示による植え込み型デバイスは様々な用途に使用することができる。例えば、植え込み型デバイスは透析などの動静脈用途において使用されうる。植え込み型デバイスの一方の端部を静脈に取り付けることができ、反対側の端部を動脈に取り付けることができる。
【0043】
上述の教示及び以下に特許請求された教示に加えて、上述の特徴の異なる組み合わせを有するデバイス及び/又は方法が考えられる。このため、本記載は、以下に請求される従属的特徴の任意の他の可能な組み合わせを有する他のデバイス及び/又は方法にも関する。
【0044】
多くの特徴及び利点はデバイス及び/又は方法の構造及び機能の詳細と共に様々な代替例を含めて上記説明に示されてきた。本開示は、例示に過ぎないことが意図され、このため、網羅的であることを意図するものではない。当業者であれば、添付の特許請求の範囲が表現される用語の広く一般的な意味により示される全範囲にまで、本発明の原理の範囲内での組み合わせを含めて、特に構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ及び部品の配置の事項において種々の変更を行うことができることは明らかであろう。これらの様々な変更が添付の請求の範囲の主旨及び範囲から逸脱しない範囲まで、該変更は包含されることが意図される。