特許第6673960号(P6673960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673960
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】車両用メッシュポケット
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20200323BHJP
【FI】
   B60R7/04 T
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-57868(P2018-57868)
(22)【出願日】2018年3月26日
(65)【公開番号】特開2019-167041(P2019-167041A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2018年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 真之介
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−091447(JP,A)
【文献】 実開昭63−161049(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第02938357(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装材(14)の表面にネット部材(16)を張設し、前記内装材(14)の表面と前記ネット部材(16)との間に物品を収納する車両用メッシュポケットであって、
前記内装材(14)は車室内に配置される板状ガーニッシュ(14)であり、前記板状ガーニッシュ(14)の表面に設けられる複数の引っ掛けクリップ(17)と、前記ネット部材(16)の一部を前記板状ガーニッシュ(14)に固定する固定部材(21)とを備え、前記ネット部材(16)の隅部を前記複数の引っ掛けクリップ(17)に係止した状態で、前記ネット部材(16)の下辺の一部が前記固定部材(21)で前記板状ガーニッシュ(14)に固定され、前記ネット部材(16)は、網状体(19)と、前記網状体(19)の外周部を縫うように貫通する弾性を有する環状紐体(18)とを備え、前記環状紐体(18)を前記複数の引っ掛けクリップ(17)に係止することで前記網状体(19)は展開状態で前記板状ガーニッシュ(14)の表面に固定され、前記環状紐体(18)が前記板状ガーニッシュ(14)に固定され、前記ネット部材(16)は前記環状紐体(18)の先端部に前記網状体(19)を引き寄せて纏めた状態で前記板状ガーニッシュ(14)の裏面に収納されることを特徴とする車両用メッシュポケット。
【請求項2】
前記ネット部材(16)の隅部を前記複数の引っ掛けクリップ(17)に係止した状態で、前記ネット部材(16)の下辺は水平方向に配置され、前記下辺の中央部が前記固定部材(21)で前記板状ガーニッシュ(14)に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用メッシュポケット。
【請求項3】
前記固定部材(21)は、前記板状ガーニッシュ(14)の表面側から裏面側に引き込まれた前記ネット部材(16)のU字状部(18a)を係止する係止ピン(21)であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両用メッシュポケット。
【請求項4】
前記板状ガーニッシュ(14)は助手席シート(12)側を向くセンターコンソールガーニッシュ(14)であり、前記ネット部材(16)は前記センターコンソールガーニッシュ(14)とセンタートンネル(13)との間の空間に収納されることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用メッシュポケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装材の表面にネット部材を張設し、前記内装材の表面と前記ネット部材との間に物品を収納する車両用メッシュポケットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のトランクの内壁に凹状部を有するトリムを取り付け、このトリムの縁部に沿って設けた複数のフックに伸縮自在なゴム状材料よりなるネットの外周部を引っ掛けるように固定することで、ネットと凹状部との間に物品の収納部を形成するトランクサイドポケットが、下記特許文献1により公知である。
【0003】
また小物を収納するポケット部が、外周の弾性枠体と、弾性枠体の内側に一体に連続するネット部と、弾性枠体の複数位置にインサート成形された取付具とを備え、取付具を自動車用シートのシートバックの背面に固定することで、ネット部とシートバックの背面との間に物品の収納部を形成するシートバックのポケットが、下記特許文献2により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−161049号公報
【特許文献2】特開平9−86252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のものは、不使用時にトランクのトリムから取り外したネットや、シートバックから取り外したポケット部の収納や保管について考慮されていないため、それらのネットやポケット部を保管中に紛失する可能性があるだけでなく、ネットやポケット部を取り外した場所に買い物袋等を吊り下げる機能を持たないため、利便性に欠けるという問題があった。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、着脱自在なネット部材を取り外したときに紛失する可能性がなく、しかもネット部材の不使用時に買い物袋等を吊り下げる機能を有する車両用メッシュポケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車両の内装材の表面にネット部材を張設し、前記内装材の表面と前記ネット部材との間に物品を収納する車両用メッシュポケットであって、前記内装材は車室内に配置される板状ガーニッシュであり、前記板状ガーニッシュの表面に設けられる複数の引っ掛けクリップと、前記ネット部材の一部を前記板状ガーニッシュに固定する固定部材とを備え、前記ネット部材の隅部を前記複数の引っ掛けクリップに係止した状態で、前記ネット部材の下辺の一部が前記固定部材で前記板状ガーニッシュに固定され、前記ネット部材は、網状体と、前記網状体の外周部を縫うように貫通する弾性を有する環状紐体とを備え、前記環状紐体を前記複数の引っ掛けクリップに係止することで前記網状体は展開状態で前記板状ガーニッシュの表面に固定され、前記環状紐体が前記板状ガーニッシュに固定され、前記ネット部材は前記環状紐体の先端部に前記網状体を引き寄せて纏めた状態で前記板状ガーニッシュの裏面に収納されることを特徴とする車両用メッシュポケットが提案される。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記ネット部材の隅部を前記複数の引っ掛けクリップに係止した状態で、前記ネット部材の下辺は水平方向に配置され、前記下辺の中央部が前記固定部材で前記板状ガーニッシュに固定されることを特徴とする車両用メッシュポケットが提案される。
【0009】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記固定部材は、前記板状ガーニッシュの表面側から裏面側に引き込まれた前記ネット部材のU字状部を係止する係止ピンであることを特徴とする車両用メッシュポケットが提案される
【0010】
た請求項に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記板状ガーニッシュは助手席シート側を向くセンターコンソールガーニッシュであり、前記ネット部材は前記センターコンソールガーニッシュとセンタートンネルとの間の空間に収納されることを特徴とする車両用メッシュポケットが提案される。
【0011】
なお、実施の形態のセンターコンソールガーニッシュ14は本発明の板状ガーニッシュに対応し、実施の形態の係止ピン21は本発明の固定部材に対応する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の構成によれば、車両用メッシュポケットが、ネット部材と、板状ガーニッシュの表面に設けられる複数の引っ掛けクリップと、ネット部材の一部を板状ガーニッシュに固定する固定部材とを備え、ネット部材の隅部を複数の引っ掛けクリップに係止した状態で、ネット部材の下辺の一部が固定部材で板状ガーニッシュに固定されるので、不使用時にネット部材を引っ掛けクリップから外しても、ネット部材の一部が板状ガーニッシュに固定されていて紛失する虞がないだけでなく、ネット部材を外した引っ掛けクリップに買い物袋等を引っ掛けることができるので利便性が向上する。
【0013】
また、ネット部材は、網状体と、網状体の外周部を縫うように貫通する弾性を有する環状紐体とを備え、環状紐体を複数の引っ掛けクリップに係止することで網状体は展開状態で板状ガーニッシュの表面に固定され、環状紐体が板状ガーニッシュに固定されるので、使用時に展開した網状体が物品を保持する機能を有効に発揮するだけでなく、不使用時に網状体を環状紐体の先端側に滑らせることで小さく纏めることができる。
【0014】
また更に、ネット部材は環状紐体の先端部に網状体を引き寄せて纏めた状態で板状ガーニッシュの裏面に収納されるので、不使用時にネット部材を板状ガーニッシュの裏側に隠すことで、ネット部材が邪魔にならないだけでなく美観を損ねることもない。
【0015】
また請求項2の構成によれば、ネット部材の隅部を複数の引っ掛けクリップに係止した状態で、ネット部材の下辺は水平方向に配置され、下辺の中央部が固定部材で板状ガーニッシュに固定されるので、ネット部材を引っ掛けクリップから外したときに、ネット部材が固定部材の両側に均等に垂れ下がって美観が向上する。
【0016】
また請求項3の構成によれば、固定部材は、板状ガーニッシュの表面側から裏面側に引き込まれたネット部材のU字状部を係止する係止ピンであるので、板状ガーニッシュの裏面側でネット部材を目立たないように、かつ強固に固定することができる
【0017】
た請求項の構成によれば、板状ガーニッシュは助手席シート側を向くセンターコンソールガーニッシュであり、ネット部材はセンターコンソールガーニッシュとセンタートンネルとの間の空間に収納されるので、助手席シートの乗員の足許にネット部材あるいは引っ掛けクリップが位置して使い勝手が良くなるだけでなく、不使用時にネット部材がセンターコンソールガーニッシュの裏側に隠れるので、邪魔にならないだけでなく美観を損ねることもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】自動車の車室内の斜視図である。
図2図1の2方向拡大矢視図である。
図3図2の3−3線拡大断面図である。
図4図2の4−4線拡大断面図である。
図5図4の5方向矢視図である。
図6】メッシュポケットの作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1に示すように、自動車の車室に配置された運転席シート11と助手席シート12との間を横切るようにセンタートンネル13が前後方向に延びており、そのセンタートンネル13の上半部を覆うセンターコンソールガーニッシュ14の助手席シート12側の側壁14aに、例えば携帯電話のような小物物品を収納するためのメッシュポケット15が設けられる。
【0021】
図2図5に示すように、メッシュポケット15は、伸縮性を有するネット部材16と、それをセンターコンソールガーニッシュ14の側壁14aに取り付けるための4個の引っ掛けクリップ17…とを備える。ネット部材16は、弾性を有するゴム紐等で環状に形成された環状紐体18と、弾性を有するゴム紐等で四角形の網状に形成された網状体19とからなり、環状紐体18は網状体19の外周部を縫うように貫通している。従って、網状体19を広げると環状紐体18に囲まれるように面状に展開し、網状体19を環状紐体18に沿って一方向にスライドさせると一塊に纏めることができる。
【0022】
センターコンソールガーニッシュ14の側壁14aに形成した取付孔14bに環状紐体18の一部を表側から裏側に貫通させ、更に側壁14aの裏側でワッシャ20を貫通させた環状紐体18のU字状部18aに係止ピン21を挿通することで、環状紐体18が側壁14aの取付孔14bに固定される。このように、センターコンソールガーニッシュ14の側壁14aの表面側から裏面側に引き込まれたネット部材16のU字状部18aを係止ピン21で係止するので、側壁14aの裏面側でネット部材16を目立たないように、かつ強固に固定することができる。
【0023】
4個の引っ掛けクリップ17…は同一部材であり、各々の引っ掛けクリップ17は、外周に環状溝22aが形成されて中心をボルト孔22bが貫通する円板状のフック本体22と、フック本体22のボルト孔22bを着脱自在に覆う化粧キャップ23と、スペーサーラバー24と、ワッシャ25とを備える。引っ掛けクリップ17は、センターコンソールガーニッシュ14の側壁14aの表面側に配置されたフック本体22のボルト孔22bと、スペーサーラバー24と、側壁14aのボルト孔14cと、ワッシャ25とに挿通したボルト26にナット27を螺合して締結した後、フック本体22のボルト孔22bに化粧キャップ23を嵌合することで取り付けられる。
【0024】
4個の引っ掛けクリップ17…はセンターコンソールガーニッシュ14の側壁14aの表面で、四角形の四つの頂点に対応する位置に配置され、その四角形の下辺の中央位置に環状紐体18の取付孔14bが位置している。
【0025】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0026】
図2に示すように、メッシュポケット15のネット部材16をセンターコンソールガーニッシュ14の側壁14aに取り付けるには、環状紐体18の全長に亘って網状体19を均等に広げた状態で、環状紐体18を引き延ばしながら4個の引っ掛けクリップ17…のフック本体22…の環状溝22a…に係止すれば良い。この状態で、ネット部材16は4個の引っ掛けクリップ17…に跨がるように四角形状に展開するので、その上辺を引いて形成した隙間を通して挿入した小物物品を、センターコンソールガーニッシュ14の側壁14aとの間に挟むように収納することができる。
【0027】
このとき、四角形状に展開する網状体19の下辺に沿う環状紐体18は、その中央部がセンターコンソールガーニッシュ14の側壁14aの取付孔14bに固定されるので、収納した小物物品がネット部材16の下辺から落下するのを防止することができる。しかもメッシュポケット15は助手席シート12の乗員の足許に位置するので、使い勝手が良いだけでなく邪魔になり難い。
【0028】
(A)および図(B)に示すように、メッシュポケット15のネット部材16を使用しない場合には、環状紐体18を4個の引っ掛けクリップ17…から取り外し、環状紐体18の先端側(側壁14aの取付孔14bから遠い側)に網状体19を滑らせてコンパクトに纏めた後に、センターコンソールガーニッシュ14の側壁14aの下縁の隙間から側壁14aの裏面に収納する。取り付け状態でネット部材16の下辺は水平方向に配置され、かつ下辺の中央部が係止ピン21で側壁14aの取付孔14bに固定されるので、ネット部材16を引っ掛けクリップ17…から外したときに、ネット部材16が係止ピン21の両側に均等に垂れ下がって美観が向上する。
【0029】
以上のように、使用しないメッシュポケット15のネット部材16をセンターコンソールガーニッシュ14の側壁14aの裏面に収納するので、ネット部材16が邪魔にならないだけでなく、センターコンソールガーニッシュ14の裏面に隠されて美観が向上する。しかも使用しないネット部材16は環状紐体18でセンターコンソールガーニッシュ14に繋がっているので、そのネット部材16を保管中に紛失する虞がない。また図(C)に示すように、環状紐体18を取り外した後の引っ掛けクリップ17のフック本体22の環状溝22aを利用して買い物袋28等を吊り下げることができるので、利便性が向上する。
【0030】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0031】
例えば、メッシュポケット15を取り付ける場所は実施の形態のセンターコンソールガーニッシュ14の側壁14aに限定されず、シートバックの背面やドアのトリム等の任意の場所であっても良い。
【符号の説明】
【0032】
12 助手席シート
13 センタートンネル
14 センターコンソールガーニッシュ(板状ガーニッシュ)
16 ネット部材
17 引っ掛けクリップ
18 環状紐体
18a U字状部
19 網状体
21 係止ピン(固定部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6