(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板状部材を研磨する研磨テープを担持可能な定盤部材及び該定盤部材上で該研磨テープを移送させるテープ移送機構からなるテープ研磨機構と、該定盤部材に担持された研磨テープに該板状部材を圧接する圧接機構と、該テープ研磨機構を平面循環軌跡運動させる研磨運動機構とを備えてなり、上記研磨運動機構は、上記定盤部材を上記研磨テープの走行方向と同方向のX軸方向及びこれと交差するY軸方向に移動案内可能なX−Y案内機構と、上記定盤部材を上記X軸方向に移動させるX移動機構及び上記定盤部材を上記Y軸方向に移動させるY移動機構とからなり、かつ、上記研磨運動機構は、上記テープ研磨機構を軌跡の異なる平面8の字又は楕円循環軌跡運動させる構造であり、上記X移動機構は、回転軸線を中心として回転するXクランクと、Xクランクの回転軸線から偏心した位置に設けられたX偏心ピンと、X偏心ピンの回転半径上でX軸方向と交差するY軸方向に延びるX直線ガイドと、X偏心ピンが枢着され、X直線ガイドに沿って摺動するXスライダとからなるクランク・クロススライダ機構で構成され、上記Y移動機構は、回転軸線を中心として回転するYクランクと、Yクランクの回転軸線から偏心した位置に設けられたY偏心ピンと、Y偏心ピンの回転半径上でX軸方向に延びるY直線ガイドと、Y偏心ピンが枢着され、Y直線ガイドに沿って摺動するYスライダとからなるクランク・クロススライダ機構であり、上記X移動機構のX偏心ピンの回転半径及びY移動機構のY偏心ピンの回転半径を変更可能な移動量変更機構を設け、上記X移動機構のXクランクと上記Y移動機構のYクランクとの回転速比を変更可能な速比変更機構を設けてなることを特徴とする板状部材研磨装置。
上記X移動機構のXクランク及び上記Y移動機構のYクランクは、単一の回転用モータにより回転駆動される構造であることを特徴とする請求項1記載の板状部材研磨装置。
上記X移動機構のXクランク及び上記Y移動機構のYクランクを回転させる回転伝動機構はプーリ及びベルトからなる構造であることを特徴とする請求項1記載の板状部材研磨装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらこれら従来構造の場合、上記定盤部材及び上記テープ移送機構からなるテープ研磨機構の全体が回転中心を中心として水平回転運動する構造であるから、水平回転運動の回転中心付近における板状部材の研磨精度や研磨作業性に影響を与えることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の装置の発明は、板状部材を研磨する研磨テープを担持可能な定盤部材及び該定盤部材上で該研磨テープを移送させるテープ移送機構からなるテープ研磨機構と、該定盤部材に担持された研磨テープに該板状部材を圧接する圧接機構と、該テープ研磨機構を平面循環軌跡運動させる研磨運動機構とを備えてなり、上記研磨運動機構は、上記定盤部材を上記研磨テープの走行方向と同方向のX軸方向及びこれと交差するY軸方向に移動案内可能なX−Y案内機構と、上記定盤部材を上記X軸方向に移動させるX移動機構及び上記定盤部材を上記Y軸方向に移動させるY移動機構とからなり、かつ、上記研磨運動機構は、上記テープ研磨機構を
軌跡の異なる平面8の字
又は楕円循環軌跡運動させる構造であり、上記X移動機構は、回転軸線を中心として回転するXクランクと、Xクランクの回転軸線から偏心した位置に設けられたX偏心ピンと、X偏心ピンの回転半径上でX軸方向と交差するY軸方向に延びるX直線ガイドと、X偏心ピンが枢着され、X直線ガイドに沿って摺動するXスライダとからなるクランク・クロススライダ機構で構成され、上記Y移動機構は、回転軸線を中心として回転するYクランクと、Yクランクの回転軸線から偏心した位置に設けられたY偏心ピンと、Y偏心ピンの回転半径上でX軸方向に延びるY直線ガイドと、Y偏心ピンが枢着され、Y直線ガイドに沿って摺動するYスライダとからなるクランク・クロススライダ機構であり、上記X移動機構のX偏心ピンの回転半径及びY移動機構のY偏心ピンの回転半径を変更可能な移動量変更機構を設け、上記X移動機構のXクランクと上記Y移動機構のYクランクとの回転速比を変更可能な速比変更機構を設けてなることを特徴とする板状部材研磨装置にある。
【0007】
又、請求項2記載の装置の発明は、上記X移動機構のXクランク及び上記Y移動機構のYクランクは、単一の回転用モータにより回転駆動される構造であることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の装置の発明は、上記X移動機構のXクランク及び上記Y移動機構のYクランクを回転させる回転伝動機構はプーリ及びベルトからなる構造であることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の装置の発明は、上記X移動機構のXクランクと上記Y移動機構のYクランク
との回転速比は1:2であることを特徴とするものである。
【0008】
又、請求項5記載の装置の発明は、上記X移動機構のXクランクと上記Y移動機構のYクランクとの回転速比は1:1であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、板状部材を研磨する研磨テープを定盤部材上に担持し、テープ研磨機構のテープ移送機構により研磨テープを定盤部材上で移送し、定盤部材に担持された研磨テープに圧接機構により板状部材を圧接し、研磨テープの移送及び研磨テープへの板状部材の圧接により板状部材を研磨することができ、かつ、上記研磨テープを研磨運動機構により平面循環軌跡運動させることができ、板状部材の研磨精度や研磨作業性を高めることができ、かつ、上記研磨運動機構は、上記定盤部材を上記研磨テープの走行方向と同方向のX軸方向及びこれと交差するY軸方向に移動案内可能なX−Y案内機構と、上記定盤部材を上記X軸方向に移動させるX移動機構及び上記定盤部材を上記Y軸方向に移動させるY移動機構とから構成されているので、X−Y案内機構により上記定盤部材及び定盤部材上で研磨テープを移送させるテープ移送機構からなるテープ研磨機構をX軸方向及びY軸方向に確実に水平支持することができ、水平支持されたテープ研磨機構をX移動機構及びY移動機構によりX軸方向及びY軸方向に移動させることができ、上記研磨テープを研磨運動機構により平面循環軌跡運動させることができ、板状部材の研磨精度や研磨作業性を高めることができ、さらに、上記研磨運動機構は、上記テープ研磨機構を
軌跡の異なる平面8の字
又は楕円循環軌跡運動させる構造であるから、平面8の字循環軌跡運動により板状部材の研磨精度や研磨作業性を高めることができ、また更に、上記X移動機構は、回転軸線を中心として回転するXクランクと、Xクランクの回転軸線から偏心した位置に設けられたX偏心ピンと、X偏心ピンの回転半径上でX軸方向と交差するY軸方向に延びるX直線ガイドと、X偏心ピンが枢着され、X直線ガイドに沿って摺動するXスライダとからなるクランク・クロススライダ機構で構成され、上記Y移動機構は、回転軸線を中心として回転するYクランクと、Yクランクの回転軸線から偏心した位置に設けられたY偏心ピンと、Y偏心ピンの回転半径上でX軸方向に延びるY直線ガイドと、Y偏心ピンが枢着され、Y直線ガイドに沿って摺動するYスライダとからなるクランク・クロススライダ機構で構成されているから、上記X移動機構及び上記Y移動機構の構造を簡素化することができると共に上記研磨運動機構のX移動機構及び上記Y移動機構を円滑に運動させることができ、上記X移動機構のX偏心ピンの回転半径及びY移動機構のY偏心ピンの回転半径を変更可能な移動量変更機構を設けてなるから、平面循環軌跡運動のX軸方向及びY軸方向の合成運動としての運動軌跡を任意に変更することができ、上記X移動機構のXクランクと上記Y移動機構のYクランクとの回転速比を変更可能な速比変更機構を設けて構成しているから、平面循環軌跡運動のX軸方向及びY軸方向の合成運動としての運動軌跡を任意に変更することができる。
【0010】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記X移動機構のXクランク及び上記Y移動機構のYクランクは、単一の回転用モータにより回転駆動される構造であるから、上記X移動機構及びY移動機構の構造を簡素化することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記X移動機構のXクランク及び上記Y移動機構のYクランクを回転させる回転伝動機構はプーリ及びベルトからなる構造であるから、回転伝動機構の構造を簡素化することができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記X移動機構のXクランクと上記Y移動機構のYクランクとの回転速比は1:2となっているから、上記テープ研磨機構を確実に平面8の字循環軌跡運動させることができ、平面8の字循環軌跡運動により板状部材の研磨精度や研磨作業性を高めることができる。
【0011】
又、請求項5記載の発明にあっては、上記X移動機構のXクランクと上記Y移動機構のYクランクとの回転速比は1:1であるから、上記テープ研磨機構を確実に平面円循環軌跡運動又は平面楕円循環軌跡運動させることができ、板状部材の材質や形態に応じて平面循環軌跡運動又は平面楕円循環軌跡運動の仕様形態の融通性を高めることができ、板状部材の研磨精度や研磨作業性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至
図11の第一形態例において、この場合、
図1、
図2、
図4の如く、大別して、板状部材Wを研磨する研磨テープTを担持可能な定盤部材A及び定盤部材A上で研磨テープTを移送T
Fさせるテープ移送機構Bからなるテープ研磨機構Cと、定盤部材Aに担持された研磨テープTに板状部材Wを圧接する圧接機構Dとを備えてなり、上記テープ研磨機構Cを平面循環軌跡運動Qさせる研磨運動機構Eを備えて構成している。
【0015】
この場合、上記研磨運動機構Eは、
図1、
図2、
図4の如く、上記定盤部材Aを上記研磨テープTの走行方向と同方向のX軸方向及びこれと交差するY軸方向に移動案内可能なX−Y案内機構E
Gと、上記定盤部材Aを上記X軸方向に移動させるX移動機構Ex及び上記定盤部材Aを上記Y軸方向に移動させるY移動機構Eyとから構成され、この場合、研磨運動機構Eは、
図4、
図5の如く、上記テープ研磨機構Cを平面循環軌跡運動Q、この場合、平面8の字循環軌跡運動させる構造となっている。
【0016】
又、この場合、
図5、
図6の如く、上記X移動機構Exは、回転軸線Oxを中心として回転するXクランクCxと、XクランクCxの回転軸線Oxから偏心量εx分、偏心した位置に設けられたX偏心ピンPxと、X偏心ピンPxの回転半径Rx(=偏心量εx)上でX軸方向と交差するY軸方向に延びるX直線ガイドGxと、X偏心ピンPxが枢着され、X直線ガイドGxに沿って摺動するXスライダSxとからなるクランク・クロススライダ機構CSで構成され、上記Y移動機構Eyは、回転軸線Oyを中心として回転するYクランクCyと、YクランクCyの回転軸線Oyから偏心量εy分、偏心した位置に設けられたY偏心ピンPyと、Y偏心ピンPyの回転半径Ry(=偏心量εy)上でX軸方向に延びるY直線ガイドGyと、Y偏心ピンPyが枢着され、Y直線ガイドGyに沿って摺動するYスライダSyとからなるクランク・クロススライダ機構CSで構成されている。
【0017】
又、この場合、
図3の如く、上記X移動機構ExのX偏心ピンPxの回転半径Rx(=偏心量εx)及びY移動機構EyのY偏心ピンPyの回転半径Ry(=偏心量εy)を変更可能な移動量変更機構Fを設けてなり、又、この場合、
図5、
図6の如く、上記X移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比i(Ny/Nx)を変更可能な速比変更機構Hを設けて構成され、又、この場合、
図5、
図6の如く、上記X移動機構ExのXクランクCx及び上記Y移動機構EyのYクランクCyは、単一の回転用モータMにより回転駆動される構造とされ、又、この場合、
図5、
図6の如く、上記X移動機構ExのXクランクCx及び上記Y移動機構EyのYクランクCyを回転させる回転伝動機構GはプーリJx・Jy及びベルトBxyからなる構造であり、又、この場合、
図5、
図6、
図7の如く、上記X移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比iは1:2(i=Ny/Nx=1/2)となっている。
【0018】
この場合、上記X−Y案内機構E
Gにあっては、
図1、
図2、
図4の如く、機台1の上板部材1a上に対向一対の二個のXガイド2・2及び上記Xガイド2・2に摺動自在なX摺動部3・3によりXスライド4をX軸方向に摺動自在に設け、Xスライド4上に対向一対の二個のYガイド5・5及び上記Yガイド5・5に摺動自在なY摺動部6・6によりYスライド7をY軸方向に摺動自在に設け、Yスライド7上にヘッド機体8を取付固定し、ヘッド機体8に上記定盤部材A及びテープ移送機構Bからなるテープ研磨機構Cを配設して構成している。
【0019】
この場合、上記テープ移送機構Bにあっては、
図1、
図2の如く、ヘッド機体8に未使用の研磨テープTを巻回した満巻リール9及び空リール10を支持軸9a・10aにより回転自在に横設し、満巻リール9を繰出用モータ9bにより解き回転させると共に空リール10を巻取用モータ10bにより巻取回転させ、繰出用モータ9b及び巻取用モータ10bの回転及び停止の制御により満巻リール9から空リール10へとロール9c・10c及び定盤部材A上を介して研磨テープTを連続的又は間欠的に移送T
Fするように構成している。
【0020】
又、この場合、上記圧接機構Dとして、
図1、
図2の如く、上記ヘッド機体8に取付ブラケット11を立設し、取付ブラケット11に対向一対の二個のZガイド12・12及びZガイド12・12に摺動自在なZ摺動部13・13によりZスライド14を上下方向に摺動自在に設け、取付ブラケット11にZスライド14を上下動させる上下動用シリンダ15を取付け、Zスライド14に軸受部14aにより軸状の圧接パッド16を上下摺動自在に設け、軸状の圧接パッド16を圧接上下動作させる圧接用シリンダ17をZスライド14に設け、Zスライド14に板状部材Wを着脱自在に嵌合可能な装着穴18を形成し、装着穴18に嵌合した板状部材Wを圧接パッド16により定盤部材Aに担持された研磨テープTに圧接するように構成している。
【0021】
この場合、上記研磨テープTは、幅150mm程度のものが用いられ、例えば、ポリエステルフィルム、メタル、クロス、発泡体フィルム、植毛布等の基材に酸化アルミニュウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、ダイヤモンド等の所定粒度の固定砥粒をコーティング又は結合してなるものが用いられている。尚、このような基材に固定砥粒を固着した構造の研磨テープを用いて潤滑剤を用いない乾式研磨構造や基材に固定砥粒を固着した構造の研磨テープを用いて潤滑剤を供給しつつ研磨する湿式研磨構造、或いは、固定砥粒を固着していない織布、不織布、発泡体フィルム、植毛布を研磨テープとして用いて遊離砥粒を含む研磨剤を供給する湿式研磨構造を採用することがあり、よって、ここでいう研磨テープTは、固定砥粒を固着した構造の研磨テープや固定砥粒を固着していない構造の研磨テープをも含むものである。
【0022】
又、この場合、上記研磨運動機構Eとして、上記定盤部材Aを上記X軸方向に移動させるX移動機構Ex及び上記定盤部材Aを上記Y軸方向に移動させるY移動機構Eyにあっては、
図1、
図2、
図4、
図5の如く、上記機台1の上板部材1aに貫通穴1bを形成し、上記回転伝動機構Gとして、上記機台1の上板部材1aの下面にブラケット1cによりX軸用回転軸19を縦設すると共にブラケット1dによりY軸用回転軸20を縦設し、X軸用回転軸19の下部に上記X軸用のプーリJxを取付けると共にY軸用回転軸20の下部に上記プーリJyを取付け、機台1に上記回転用モータMを取付け、回転用モータMの主軸にプーリJmを取付け、プーリJxとプーリJyとプーリJmとにベルトBxyを三角状に掛回し、上記Yスライド7に垂下部材21を介して作動部材22を吊下配設し、作動部材22の裏面にX偏心ピンPxの回転半径Rx(=偏心量εx)上でX軸方向と交差するY軸方向に延びるX直線ガイドGxを配置すると共にY偏心ピンPyの回転半径Ry(=偏心量εy)上でX軸方向に延びるY直線ガイドGyを配置し、X直線ガイドGxにXスライダSxをY軸方向に摺動自在に嵌合配置すると共にY直線ガイドGyにYスライダSyをX軸方向に摺動自在に嵌合配置し、X軸用回転軸19の上部にXクランクCxを取付け、XクランクCxに回転半径Rx(=偏心量εx)分、偏心した位置に嵌合穴Lxを形成し、嵌合穴LxにX偏心ピンPxを立設し、Y軸用回転軸20の上部にYクランクCyを取付け、YクランクCyに回転半径Ry(=偏心量εy)分、偏心した位置に嵌合穴Lyを形成し、嵌合穴LyにY偏心ピンPyを立設し、上記X偏心ピンPxを上記Y軸方向に摺動自在なXスライダSxに枢着嵌合すると共に上記Y偏心ピンPyを上記X軸方向に摺動自在なYスライダSyに枢着嵌合し、回転用モータMによりベルトBxyを介してX軸用回転軸19及びY軸用回転軸20を回転させ、X軸用回転軸19の回転軸線Ox及びY軸用回転軸20の回転軸線Oyを中心としてのXクランクCx及びYクランクCyは回転し、回転半径Rx(=偏心量εx)分、偏心したX偏心ピンPxとX直線ガイドGxとXスライダSxとの協動及び回転半径Ry(=偏心量εy)分、偏心したY偏心ピンPyとY直線ガイドGyとYスライダSyとの協動により作動部材22をX軸方向及びY軸方向に移動させ、垂下部材21を介して上記研磨運動機構Eにより上記テープ研磨機構Cを平面循環軌跡運動Qさせるように構成している。
【0023】
この場合、上記研磨運動機構Eとして、
図4、
図5、
図6、
図7の如く、上記回転伝動機構GのプーリJyのプーリ径DyとプーリJxのプーリ径Dxとの比を2:1とし、これによりX移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比i(Ny/Nx)を1:2に設定し、かつ、
図7の如く、XクランクCxの原点位置B
XPとYクランクCyの原点位置B
yPの回転位相差θを90度(π/2)に設定し、上記テープ研磨機構Cを平面循環軌跡運動Qとしての平面8の字循環軌跡運動させる構造としている。
【0024】
この場合、上記移動量変更機構Fとして、
図3の如く、上記XクランクCxにX偏心ピンPxを着脱可能な嵌合穴Lxを異なる回転半径Rx(=偏心量εx)分、偏心した位置に複数個嵌合穴Lx
1・Lx
2・・を形成し、上記YクランクCyにY偏心ピンPyを着脱可能な嵌合穴Lyを異なる回転半径Ry(=偏心量εy)分、偏心した位置に複数個嵌合穴Ly
1・Ly
2・・を形成し、回転半径Rxの異なる嵌合穴Lx
1・Lx
2・・・にX偏心ピンPxを選択的に嵌着立設し、回転半径Ryの異なる嵌合穴Ly
1・Ly
2・・・にY偏心ピンPyを選択的に嵌着立設することによりXクランクCx及びYクランクCyの回転半径Rx・Ry(=偏心量εx・εy)を変更可能に構成している。
【0025】
又、この場合、上記速比変更機構Hとして、
図5、
図6の如く、上記X移動機構ExのプーリJx及び上記Y移動機構EyのプーリJyの各プーリ径Dx・Dyをプーリ径Dx・Dyの異なるプーリに交換することによりXクランクCxとYクランクCyとの回転速比i(Ny/Nx)を変更可能に構成している。
【0026】
この実施の形態例は上記構成であるから、
図1、
図2、
図10、
図11の如く、板状部材Wを研磨する研磨テープTを定盤部材A上に担持し、テープ研磨機構Cのテープ移送機構Bにより研磨テープTを定盤部材A上で移送T
Fし、定盤部材Aに担持された研磨テープTに圧接機構Dにより板状部材Wを圧接し、研磨テープTの連続的又は間欠的な移送T
F及び研磨テープTへの板状部材Wの圧接により板状部材Wを研磨することになる。
【0027】
この際、上記研磨テープTを研磨運動機構Eにより平面循環軌跡運動Qさせることができ、従来構造に比較して、テープ研磨機構Cの全体が回転中心の1点を中心として水平回転運動する構造ではないから、板状部材Wの研磨精度や研磨作業性を高めることができる。
【0028】
すなわち、この場合、
図7の如く、上記回転伝動機構GのプーリJyのプーリ径DyとプーリJxのプーリ径Dxとの比を2:1とし、これによりX移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比i(Ny/Nx)を1:2に設定し、かつ、XクランクCxの原点位置B
XPとYクランクCyの原点位置B
yPの回転位相差θを90度(π/2)に設定し、上記テープ研磨機構Cを平面循環軌跡運動Qとしての平面8の字循環軌跡運動させる構造としているから、
図8、
図9を参照して、先ず、
図7、
図8(イ)の如く、XクランクCxは原点位置B
XPから時計回りに回転を開始し、YクランクCyは原点位置B
yPから時計回りに回転を開始し、XクランクCxとYクランクCyとの回転速比i(Ny/Nx)を1:2に設定しているので、YクランクCyが90度(π/2)回転したとき、XクランクCxは180度(π)回転することになり、次いで、
図8(ロ)の如く、YクランクCyが180度(π)回転したとき、XクランクCxは360度(2π)の1回転することになり、次いで、
図9(ハ)の如く、YクランクCyが270度(3π/2)回転したとき、XクランクCxは540度(3π)回転することになり、次いで、
図9(ニ)の如く、YクランクCyが360度(2π)回転したとき、XクランクCxは720度(4π)の2回転することになり、これらXクランクCx及びYクランクCyの回転によりX偏心ピンPx及びY偏心ピンPyと、X直線ガイドGx及びY直線ガイドGyと、XスライダSx及びYスライダSyからなるクランク・クロススライダ機構CSによりXスライダSx及びYスライダSyは各図中、XクランクCxの回転矢印の下方に記したX軸方向の行き矢印又は戻り矢印、YクランクCyの回転矢印の右方に記したY軸方向の行き矢印又は戻り矢印のように往復移動し、Xスライド4及びYスライド7のX軸方向及びY軸方向の各水平運動の合成運動により研磨テープTは平面循環軌跡運動Qとしての平面8の字循環軌跡運動することになり、したがって、板状部材Wの研磨精度や研磨作業性を高めることができる。なお、上記第一形態例において、上記X移動機構ExのXクランクCx及びプーリーJxと上記Y移動機構EyのYクランクCy及びプーリーJyをそれぞれ交換することにより、平面8の字循環軌跡運動は、
図7に示す8の字形状がY軸方向に延びた8の字循環軌跡運動から、図示省略の8の字形状がX軸方向に延びた8の字循環軌跡運動に設定することができる。
【0029】
この際、上記研磨運動機構Eは、
図1、
図2、
図4の如く、上記定盤部材Aを上記研磨テープTの走行方向と同方向のX軸方向及びこれと交差するY軸方向に移動案内可能なX−Y案内機構E
Gと、上記定盤部材Aを上記X軸方向に移動させるX移動機構Ex及び上記定盤部材Aを上記Y軸方向に移動させるY移動機構Eyとから構成されているので、X−Y案内機構E
Gにより上記定盤部材A及び定盤部材A上で研磨テープTを移送T
Fさせるテープ移送機構Bからなるテープ研磨機構CをX軸方向及びY軸方向に確実に水平支持することができ、水平支持されたテープ研磨機構CをX移動機構Ex及びY移動機構EyによりX軸方向及びY軸方向に移動させることができ、上記研磨テープTを研磨運動機構Eにより平面循環軌跡運動Qさせることができ、板状部材Wの研磨精度や研磨作業性を高めることができる。
【0030】
又、上記研磨運動機構Eは、上記テープ研磨機構Cを平面循環軌跡運動Qとしての平面8の字循環軌跡運動させる構造であるから、平面8の字循環軌跡運動により板状部材Wの研磨精度や研磨作業性を高めることができ、又、この場合、上記X移動機構Exは、回転軸線Oxを中心として回転するXクランクCxと、XクランクCxの回転軸線Oxから偏心量εx分、偏心した位置に設けられたX偏心ピンPxと、X偏心ピンPxの回転半径Rx(=偏心量εx)上でX軸方向と交差するY軸方向に延びるX直線ガイドGxと、X偏心ピンPxが枢着され、X直線ガイドGxに沿って摺動するXスライダSxとからなるクランク・クロススライダ機構CSで構成され、上記Y移動機構Eyは、回転軸線Oyを中心として回転するYクランクCyと、YクランクCyの回転軸線Oyから偏心量εy分、偏心した位置に設けられたY偏心ピンPyと、Y偏心ピンPyの回転半径Ry(=偏心量εy)上でX軸方向に延びるY直線ガイドGyと、Y偏心ピンPyが枢着され、Y直線ガイドGyに沿って摺動するYスライダSyとからなるクランク・クロススライダ機構CSで構成されているから、上記X移動機構Ex及び上記Y移動機構Eyの構造を簡素化することができると共に上記研磨運動機構EのX移動機構Ex及び上記Y移動機構Eyを円滑に運動させることができる。
【0031】
又、この場合、上記X移動機構ExのX偏心ピンPxの回転半径Rx(=偏心量εx)及びY移動機構EyのY偏心ピンPyの回転半径Ry(=偏心量εy)を変更可能な移動量変更機構Fを設けてなるから、平面循環軌跡運動QのX軸方向及びY軸方向の合成運動としての運動軌跡を任意に変更することができ、又、この場合、上記X移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比i(Ny/Nx)を変更可能な速比変更機構Hを設けて構成しているから、平面循環軌跡運動QのX軸方向及びY軸方向の合成運動としての運動軌跡を任意に変更することができ、又、この場合、上記X移動機構ExのXクランクCx及び上記Y移動機構EyのYクランクCyは、単一の回転用モータMにより回転駆動される構造であるから、上記X移動機構Ex及びY移動機構Eyの構造を簡素化することができ、又、この場合、上記X移動機構ExのXクランクCx及び上記Y移動機構EyのYクランクCyを回転させる回転伝動機構GはプーリJx・Jy及びベルトBxyからなる構造であるから、回転伝動機構Gの構造を簡素化することができ、又、この場合、上記X移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比iは1:2(i=Ny/Nx=1/2)となっているから、上記テープ研磨機構Cを確実に平面8の字循環軌跡運動させることができ、平面8の字循環軌跡運動により板状部材Wの研磨精度や研磨作業性を高めることができる。
【0032】
図12の実施の第二形態例は別例構造を示し、この場合、上記第一形態例に比較して、X移動機構Exのプーリ径DxとY移動機構Eyのプーリ径Dyとの比を1:2とし、及びX移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比(Ny/Nx)を1:2の同条件に設定し、上記X移動機構ExのX偏心ピンPxの回転半径Rx(=偏心量εx)及びY移動機構EyのY偏心ピンPyの回転半径Ry(=偏心量εy)を1:1に設定した構造となっている。
【0033】
この第二形態例にあっては、平面循環軌跡運動Qとしての平面8の字循環軌跡運動の運動軌跡を上記第一形態例に比べて、平面循環軌跡運動QのX軸方向及びY軸方向の合成運動としての運動軌跡を同一の幅及び同一の高さに変更することができる。
【0034】
図13の実施の第三形態例は別例構造を示し、この場合、上記第一形態例に比較して、上記X移動機構ExのX偏心ピンPxの回転半径Rx(=偏心量εx)及びY移動機構EyのY偏心ピンPyの回転半径Ry(=偏心量εy)を1:1に設定し、X移動機構Exのプーリ径DxとY移動機構Eyのプーリ径Dyとの比を1:1とし、及びX移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比i(Ny/Nx)も1:1に設定し、XクランクCxの原点位置B
XPとYクランクCyの原点位置B
yPの回転位相差θを無くし(θ=0)に設定した構造としている。
【0035】
この第三形態例にあっては、上記研磨運動機構Eは、上記テープ研磨機構Cを平面循環軌跡運動Qとしての平面円循環軌跡運動させる構造であるから、平面循環軌跡運動QのX軸方向及びY軸方向の合成運動としての運動軌跡を平面円循環軌跡運動とすることができ、板状部材Wの材質や形態に応じて平面循環軌跡運動Qの仕様形態の融通性を高めることができ、板状部材Wの研磨精度や研磨作業性を高めることができ、上記X移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比は1:1であるから、上記テープ研磨機構Cを確実に平面円循環軌跡運動させることができ、板状部材Wの材質や形態に応じて平面循環軌跡運動Qとしての平面循環軌跡運動の仕様形態の融通性を高めることができ、板状部材Wの研磨精度や研磨作業性を高めることができる。
【0036】
図14の実施の第四形態例は別例構造を示し、この場合、上記第一形態例に比較して、上記X移動機構ExのX偏心ピンPxの回転半径Rx(=偏心量εx)及びY移動機構EyのY偏心ピンPyの回転半径Ry(=偏心量εy)を1:2に設定し、X移動機構Exのプーリ径DxとY移動機構Eyのプーリ径Dyとの比を1:1とし、及びX移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比i(Ny/Nx)を1:1に設定し、XクランクCxの原点位置B
XPとYクランクCyの原点位置B
yPの回転位相差θを無くし(θ=0)に設定した構造としている。
【0037】
この第四形態例にあっては、上記第一形態例の平面8の字循環軌跡運動に比べ、平面循環軌跡運動QのX軸方向及びY軸方向の合成運動としての運動軌跡を平面楕円循環軌跡運動とすることができ、板状部材Wの材質や形態に応じて平面循環軌跡運動Qの仕様形態の融通性を高めることができ、板状部材Wの研磨精度や研磨作業性を高めることができ、上記X移動機構ExのXクランクCxと上記Y移動機構EyのYクランクCyとの回転速比は1:1であるから、上記テープ研磨機構Cを確実に平面円循環軌跡運動又は平面楕円循環軌跡運動させることができ、板状部材Wの材質や形態に応じて平面円循環軌跡運動又は平面楕円循環軌跡運動の仕様形態の融通性を高めることができ、板状部材Wの研磨精度や研磨作業性を高めることができる。
【0038】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば、上記圧接機構Dとして、上記第一形態例に示す上記板状部材Wを研磨テープTに圧接する構造に加えて板状部材Wを回転させる回転機構を付加し、この回転機構により板状部材Wを回転させながら圧接させる構造を採用することもあり、又、上記定盤部材A、テープ移送機構B、テープ研磨機構C、圧接機構D、研磨運動機構E、X−Y案内機構E
G、X移動機構Ex及びY移動機構Eyの構造等は適宜変更して設計される。
【0039】
又、例えば、上記実施の形態例においては、乾式研磨構造となっているが、板状部材Wと研磨テープTとの間に各種材質の遊離砥粒や化学剤を含む加工液体や潤滑剤を供給する所謂湿式研磨構造とすることもあり、板状部材Wの種類や研磨条件により選択して設計される。
【0040】
以上、所期の目的を充分達成することができる。