特許第6674013号(P6674013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674013
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】有機電界発光表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20200323BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20200323BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20200323BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20200323BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20200323BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20200323BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   H05B33/14 A
   H05B33/02
   H05B33/12 B
   H05B33/06
   H05B33/10
   H01L27/32
   G09F9/30 365
【請求項の数】23
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-244817(P2018-244817)
(22)【出願日】2018年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-121801(P2019-121801A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2018年12月28日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0184052
(32)【優先日】2017年12月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ギル, ソンス
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−179264(JP,A)
【文献】 特開2015−079758(JP,A)
【文献】 特開2012−234798(JP,A)
【文献】 特開2001−290441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00−33/28
H01L 27/32
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が第1領域及び第2領域を有する複数の画素を含む基板;
前記第1領域に形成され、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に配置された有機発光層を含む有機発光素子;及び、
前記第2領域を囲んで配置されて、電流が流れて発生する磁場により異物を捕集する異物捕集部材を含み、
前記第1領域は発光領域であり、前記第2領域は透過領域である、有機電界発光表示装置。
【請求項2】
前記異物捕集部材は、0.5μm〜10μmである、請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項3】
前記異物捕集部材の全体面積は、前記第2領域の面積の1/3以下である、請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項4】
前記異物捕集部材の幅は、1μm〜数十μmである、請求項3に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項5】
前記異物捕集部材は、前記透過領域の外郭領域の少なくとも一側に沿って配置される、請求項に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項6】
前記第1領域は、画像が表示される表示領域であり、前記第2領域は、画像が表示されない画像非表示領域である、請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項7】
前記第1領域には、異なる面積の赤(R)、緑(G)、青(B)サブ画素が配置されるが、前記第2領域には、サブ画素が配置されない、請求項に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項8】
前記異物捕集部材は、前記画像非表示領域の外郭領域の少なくとも一側に沿って配置される、請求項に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項9】
前記異物捕集部材は、強磁性物質で構成された、請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項10】
前記強磁性物質は、酸化物系強磁性物質又は窒化物系強磁性物質である、請求項に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項11】
前記基板の外郭領域に配置され、電流が流れる電場印加パッド;及び、
前記異物捕集部材と前記電場印加パッドと連結する連結配線をさらに含
前記電場印加パッドの電流により前記異物捕集部材に磁場が発生する請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項12】
前記電場印加パッドは、フローティング状態である、請求項11に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項13】
前記有機発光素子は、上部発光型である、請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項14】
前記有機発光素子は、下部発光型である、請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項15】
各々が第1領域と第2領域とを有する複数の画素を含む基板を準備する段階;
前記基板の前記第1領域に駆動薄膜トランジスタを形成する段階;
前記基板の第1領域に前記駆動薄膜トランジスタと連結される第1電極を形成して、前記第2領域に異物捕集部材を形成する段階;及び、
前記第1領域及び前記第2領域に有機発光層と第2電極とを堆積するとともに、前記第2領域に配置された前記異物捕集部材に電流で磁場を発生させることによって、前記有機発光層と前記第2電極に含まれる異物を捕集する段階、を含む、有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記異物捕集部材を形成する段階は、強磁性物質を堆積してエッチングする段階を含む、請求項15に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記異物を捕集する段階は、前記基板の外郭領域に配置された電場印加パッドを介して前記異物捕集部材に前記磁場を印加する段階を含む、請求項15に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記基板をグラインディングして前記電場印加パッドを除去する段階をさらに含む、請求項17に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1領域は、発光素子が発光する発光領域であり、前記第2領域は、外部の物体が透明に表示される透過領域である、請求項15に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記異物捕集部材は、前記透過領域の外郭領域の少なくとも一側に沿って配置される、請求項19に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項21】
前記第1領域は、画像が表示される表示領域であり、前記第2領域は、画像が表示されない画像非表示領域である、請求項19に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項22】
前記第1領域には、異なる面積の赤(R)、緑(G)、青(B)サブ画素が配置されるが、前記第2領域には、サブ画素が配置されない、請求項21に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項23】
前記異物捕集部材は、画像非表示領域の外郭領域の少なくとも一側に沿って配置される、請求項19に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光表示装置に関し、異物による点灯不良を防止できる有機電界発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、共役高分子(conjugate polymer)の1つであるポリ(p−フェニリンビニリン)(PPV)を用いた電界発光装置が開発されて以来、電導性を有する共役高分子のような有機物に対する研究が活発に行われている。このような有機物を薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)、センサー、レーザ、光電素子などに応用するための研究も行いつつあり、その中でも、電界発光表示装置に対する研究が最も活発に行われている。
【0003】
りん光物質(phosphors)系無機物からなる電界発光表示装置の場合、駆動電圧が交流200V以上必要であり、素子の製作工程が真空蒸着で行われるため、大型化が困難であり、特に、青色発光が難しいだけでなく、製造費用が高いという短所がある。しかし、有機物からなる電界発光表示装置は、優れた発光効率、大面積化の容易化、工程の簡便性、特に、青色発光を容易に得られるという長所とともに、曲げられる電界発光表示装置の開発が可能であるという点などにより、次世代表示装置として脚光を浴びている。
【0004】
現在は、液晶表示装置と同様、各画素(pixel)に能動型駆動素子を備えたアクティブマトリックス(Active Matrix)電界発光表示装置が表示装置(Panel Display Device)として活発に研究されている。
【0005】
しかし、このような有機電界発光表示装置は、次のような問題がある。有機電界発光表示装置は、有機発光物質と導電性金属酸化物及び絶縁物質を蒸着することで形成される。このような蒸着工程のうち、装備内に異物が発生し、有機発光層や導電層内に異物が侵入する場合、有機発光層や導電層の成膜不良が発生することになる。従って、有機発光層に不良が発生するか、アノードやカソードが断線して、有機電界発光表示装置の発光時に該領域が点灯しないという問題が発生することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記点を考慮してなされたものであって、サブ画素の一部領域に異物捕集部材を備えて、工程中に発生する異物を捕集することで、異物による点灯不良を防止できる有機電界発光表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決しようとする手段】
【0007】
本発明による有機電界発光表示装置は、第1領域及び第2領域からなる複数の画素を含む基板と、前記第1領域に形成されて、第1電極及び第2電極、前記第1電極及び前記第2電極の間に配置した有機発光層からなる有機発光素子と、前記第2領域に配置して異物を捕集する異物捕集部材を含む。
【0008】
前記第1領域は、発光素子が発光する発光領域であり、第2領域は、外部の事物が透明に表示される透過領域であって、このとき、異物捕集部材は、前記透過領域の外郭領域の少なくとも一側に沿って配置される。
【0009】
また、前記第1領域は、画像が表示される表示領域であり、第2領域は、画像が表示されない画像非表示領域であって、このとき、異物捕集部材は、前記画像非表示領域の外郭領域の少なくとも一側に沿って配置される。
【0010】
前記異物捕集部材は、強磁性物質で構成される。
【0011】
また、本発明による有機電界発光表示装置の製造方法は、第1領域と第2領域で構成された複数の画素を含む基板を準備する段階と、前記基板の第1領域に駆動薄膜トランジスタを形成する段階と、前記基板の第1領域に駆動薄膜トランジスタと連結される第1電極を形成して、第2領域に異物捕集部材を形成する段階と、前記第1領域及び第2領域に有機発光層と第2電極を堆積するとともに、前記異物捕集部材に磁場を印加して、有機発光層と第2電極に含まれる異物を捕集する段階で構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、映像信号の入力による映像が具現されず、反対側が透明に透けて見える透過領域に、工程中に発生する金属性異物を捕集する異物捕集部材を備えることで、異物の混入による透明有機電界発光表示装置の点灯不良を防止できるようになる。
【0013】
また、本発明では、ブラックマトリックスによって光透過が遮断される画像非表示領域(NA)に強磁性物質で構成された異物捕集部材を備え、工程中に発生する異物による点等不良が発生することを防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置の平面図。
図2】本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置の断面図。
図3a】工程中に発生する異物による点灯不良を示す図面。
図3b】工程中に発生する異物による点灯不良を示す図面。
図4a】本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置の製造方法を示す図面。
図4b】本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置の製造方法を示す図面。
図4c】本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置の製造方法を示す図面。
図4d】本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置の製造方法を示す図面。
図4e】本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置の製造方法を示す図面。
図5】本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置の他の構造を示す平面図。
図6】本発明の第2実施形態による有機電界発光表示装置の平面図。
図7】本発明の第2実施形態による有機電界発光表示装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面とともに詳細に後述されている実施形態を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、異なる様々な形態に具現されるものであり、但し、本実施形態は、本発明の開示を完全にして、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の記載によって定義されるだけである。
【0016】
本発明の複数の実施形態それぞれの特徴は、部分又は全体として互いに結合又は組み合わせることができ、技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、各実施形態は、互いに独立して実施することもでき、連関して共に実施することもできる。
【0017】
以下では、添付の図面を参照して、本発明について詳説する。
【0018】
本発明では、有機電界発光表示装置の蒸着工程中に異物が基板に吸着して不良が発生することを防止できる有機電界発光表示装置を提供する。蒸着工程中に異物が発生することを防止するための最も容易な方法は、製造工程の環境を改善して異物が侵入することを予め防止することである。スパッタリングのような蒸着工程は、真空チャンバ内で行われるものの、真空チャンバの構造的特性上、異物が発生して、成膜不良が発生することになる。もちろん、真空チャンバの真空度を大幅に増加させると、異物が発生する可能性は低くなるが、真空チャンバの真空度を増加させるためには莫大な設備費用が発生する。特に、ある程度の真空度までは費用の増加がゆるやかであるが、設定した真空度以上の高真空の真空チャンバを製作するためには莫大な費用がかかるため、有機電界発光表示装置の製造設備費用が大幅に増加することになる。
【0019】
本発明では、製造工程時に発生した有機電界発光表示装置内に異物が侵入することを防止するものではなく、有機電界発光表示装置内に異物が侵入しても、有機電界発光表示装置の機能に何ら影響を及ぼさないようにすることで、異物による点灯不良を防止する。従って、別途製造設備の追加や改善なしに、単に有機電界発光表示装置の構造を変更することで、異物による点灯不良を防止するため、設備費用や製造費用が増加することを防止できるようになる。
【0020】
特に、本発明は、透明有機電界発光表示装置に有用に適用されるが、一般的な構造の有機電界発光表示装置に適用されてもよい。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置の平面図である。
【0022】
図1に示したように、本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置には、互いに垂直である第1方向及び第2方向にそれぞれ延びて、複数のサブ画素(SP1、SP2、SP3)を定義する複数のゲートライン(GL)及びゲートライン(GL)と、前記データライン(DL)と一定距離離隔して電源電圧を印加する電源配線(図面に示していない)が配置される。
【0023】
本発明の複数のサブ画素(SP1、SP2、SP3)は、1つの画素(P)を構成する。特に、本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置では、各サブ画素(SP1、SP2、SP3)が光を発光して画像が表示される発光領域(EA)と、外部の光がそのまま透過する透過領域(TA)で構成される。
【0024】
このような構造の透明有機電界発光表示装置は、駆動しない状態の際には透過領域(TA)を介して反対側に位置する事物又はイメージが透過して透明な状態となり、駆動状態では、発光領域(EA)を介して画像を表示することになる。
【0025】
また、本発明による透明有機電界発光表示装置では、反対側の事物又はイメージを透過する状態で所望の映像を具現することができる。例えば、本発明の透明有機電界発光表示装置を車や航空機のHUD(Head Up Display)に適用する場合、外部の事物が透過して表示される車や航空機前面の透明なウィンドウを介して車の走行や航空機の飛行情報などを表示することで、車と航空機の運航を容易にすることができる。
【0026】
前記発光領域(EA)と透過領域(TA)を類似の面積に形成することができるが、これに限定されるものではない。前記発光領域(EA)と透過領域(TA)の面積は、表示装置が用いられる電子機器によって異なる。例えば、明るい所で主に用いられる表示装置の場合、発光領域(EA)の面積を透過領域(TA)の面積より大きくして、発光領域(EA)を介する画像表示機能を強化し、暗い所で主に用いられる表示装置の場合、透過領域(TA)の面積を発光領域(EA)の面積より大きくして、透過領域(TA)を介する透明機能を強化する。
【0027】
図面には示していないが、前記発光領域(EA)の複数のサブ画素(SP1、SP2、SP3)それぞれには、スイッチング薄膜トランジスタ、駆動薄膜トランジスタ及びストレージキャパシタ、電源配線及び有機発光素子を備える。
【0028】
前記発光領域(EA)のサブ画素(SP1、SP2、SP3)には、白色有機発光素子を備えて白色光を出力することができる。このとき、発光領域(EA)のサブ画素(SP1、SP2、SP3)には、それぞれ赤(R、Red)、緑(G、Green)、青(B、Blue)のカラーフィルターを備えて、白色有機発光表示素子から出力する白色光をフィルタリングして、所望のカラーが表示されるようにすることができる。
【0029】
また、発光領域(EA)のサブ画素(SP1、SP2、SP3)には、それぞれ赤(R、Red)、緑(G、Green)、青(B、Blue)の単色光を出力するR、G、B有機発光素子を備えて、該カラーを出力することで映像を具現することができる。
【0030】
そして、図面には示していないが、発光領域(EA)には白(W、White)サブ画素を備えてもよい。前記Wサブ画素は、有機発光素子から出力する白色光をそのまま透過させて、有機電界発光表示装置の輝度を向上させるようになる。
【0031】
図面に示したように、前記発光領域(EA)のR、G、Bサブ画素(SP1、SP2、SP3)は、異なる面積を有してもよいが、一部又は全部が同じ面積に形成されてもよい。
【0032】
前記透過領域(TA)は、サブ画素(SP1、SP2、SP3)の一側に形成されて、外部から入射する光がそのまま透過する透明領域であって、光が入射する側の事物が、透明なガラス窓のようにそのまま表示装置に表示される。追って説明するが、前記透過領域(TA)のサブ画素(SP1、SP2、SP3)にも有機発光素子を備える。しかし、前記透過領域(TA)の有機発光素子には信号が印加されないため、該領域の有機発光素子が発光せず、外部から入射する光がそのまま透過する。
【0033】
前記透過領域(TA)には異物捕集部材140を備える。前記異物捕集部材140は、強磁性物質で構成されており、有機電界発光表示装置の工程中に異物が発生する場合、発光領域(EA)へ侵入する異物を捕集することで、発光領域(EA)の各種薄膜には異物が存在しないようにする。前記異物捕集部材140は、画素(P)の透過領域(TA)の縁領域に沿って帯状に形成されるが、かかる形状に限定されるものではなく、様々な形状に構成されてもよい。
【0034】
帯状の異物捕集部材140は、幅を多様に設定することができる。前記異物捕集部材140は、磁場を印加して異物を捕集するため、工程時に侵入する異物を導くほどの磁場が形成される幅に形成されなければならない。また、異物捕集部材140は、不透明層であって、透過領域(TA)に形成されるため、前記異物捕集部材140によって透過領域(TA)の透過度が低下する。従って、異物捕集部材140の幅は、透過領域の透明程度に不良が生じない程度に設定されなければならない。前記異物捕集部材140の幅は、1〜数十μmに形成することができるが、前記異物捕集部材140の全体面積が透過領域(TA)面積の1/3以下であることが好ましい。
【0035】
前記透過領域(TA)は、映像が具現されない領域であるため、別途信号が印加されない。従って、前記透過領域(TA)において有機発光層が不良となるか、アノード/カソードが断線されても、透明に表示される画像には何ら影響を及ぼさない。このように、本発明では、異物による影響を受けない領域に異物を捕集し、異物による不良を防止するため、設備工程や環境を改善する必要がなくなり、製造費用を大幅に節減できるようになる。
【0036】
以下では、本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置について図面を参照してさらに詳説する。
【0037】
図2は、本発明の第1実施形態による透明有機電界発光表示装置の断面図である。実際の透明有機電界発光表示装置は、複数のサブ画素がn×m(ここで、n、mは、2以上の自然数)のマトリックス状に配列されるが、図面では、説明の便宜のため1つのサブ画素の発光領域(EA)と透過領域(TA)のみを示した。
【0038】
図2に示したように、発光領域(EA)及び透過領域(TA)を含む第1基板110上にはバッファ層112が形成されて、前記バッファ層112上に駆動薄膜トランジスタが配置される。前記発光領域(EA)は、有機発光素子の発光によって映像が具現される領域であり、透過領域(TA)は、外部の光がそのまま透過して、表示装置の後面の事物がガラス窓のように透明に見える透明領域である。前記基板110は、ガラスのような透明な物質を用いるが、ポリイミド(polyimide)のように透明でフレキシブル(flexible)なプラスチックを用いてもよい。前記バッファ層112は、SiOxやSiNxのような無機層で構成された単一層、無機層とフォトアクリルのような有機物層からなる複数の層から形成されてもよい。
【0039】
前記駆動薄膜トランジスタは、複数のサブ画素(SP)の発光領域(EA)にそれぞれ形成される。前記駆動薄膜トランジスタは、前記バッファ層112上の画素に形成された半導体層122と、前記半導体層122の一部領域に形成されたゲート絶縁層123と、前記ゲート絶縁層123上に形成されたゲート電極125と、前記ゲート電極125を覆うように基板110全体(すなわち、発光領域(EA)及び透過領域(TA)全体)にかけて形成された層間絶縁層114と、前記層間絶縁層114に形成された第1のコンタクトホール114aを介して半導体層122と接触するソース電極127及びドレイン電極128で構成される。そして、半導体層122は、層間絶縁層114に形成された第1のコンタクトホール114aを介してソース電極127と接触されてもよい。
【0040】
前記半導体層122は、結晶シリコン又はIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)のような酸化物半導体から形成することができ、中央領域のチャンネル層と両側面のドーピング層からなり、ソース電極127及びドレイン電極128が前記ドーピング層と接触する。
【0041】
前記ゲート電極125は、Cr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al又はAl合金などの金属から形成することができ、ゲート絶縁層123及び層間絶縁層114は、SiOxやSiNxのような無機絶縁物質からなる単一層又はSiOxとSiNxの2層構造である無機層からなってもよい。そして、ソース電極127及びドレイン電極128は、Cr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al又はAl合金から形成することができる。
【0042】
そして、図面及び上述した説明では、駆動薄膜トランジスタが特定構造で構成されるが、本発明の駆動薄膜トランジスタは、示した構造に限定されるものではなく、あらゆる構造の駆動薄膜トランジスタを適用することができる。
【0043】
前記駆動薄膜トランジスタが形成された基板110の発光領域(EA)及び透過領域(TA)には第1保護層116が形成される。第1保護層116は、フォトアクリルのような有機物質から形成されてもよい。前記第1保護層116には第2のコンタクトホール116aが形成される。
【0044】
前記発光領域(EA)の前記第1保護層116上には、第2のコンタクトホール116aを介して駆動薄膜トランジスタのドレイン電極128と電気的に接続される第1電極130が形成される。前記第1電極130は、Ca、Ba、Mg、Al、Agなどのような金属やこれらの合金からなる単一層又は複数の層からなっており、駆動薄膜トランジスタのドレイン電極128と接続して、外部から画像信号が印加される。
【0045】
前記第1電極130上の各サブ画素(SP)の境界にはバンク層131が形成される。前記バンク層131は、一種の隔壁であって、各サブ画素(SP)を区画して隣接するサブ画素から出力する特定カラーの光が混合して出力することを防止することができる。また、前記バンク層131の各サブ画素(SP)内の発光領域(EA)と透過領域(TA)の間に配置されてもよい。図面では、前記バンク層131が第1電極130上に形成されるが、前記バンク層131が第1保護層116に形成されて、第1電極130が前記バンク層131上に形成されてもよい。
【0046】
前記透過領域(TA)の第1保護層116上には異物捕集部材140が配置される。前記異物捕集部材140は、画素(P)の透過領域(TA)を外郭に沿って設定した幅の帯状パターンに形成される。前記異物捕集部材140は、スパッタリング法によって酸化物系又は窒化物系強磁性物質を積層することで構成されてもよい。酸化物系強磁性物質は、Co−O系物質又はFe−O物質を含んでおり、窒化物系強磁性物質は、Co−N系物質又はFe−N系物質を含んでいてもよい。前記異物捕集部材140は、約0.5〜10μm厚及び1〜数十μmの幅に形成されてもよい。
【0047】
前記第1基板110の上部の発光領域(EA)及び透過領域(TA)には有機発光層132が形成される。前記有機発光層132は、R、G、B画素に形成されて赤色光を発光するR−有機発光層、緑色光を発光するG−有機発光層、青色光を発光するB−有機発光層であってもよいし、表示装置全体にかけて形成されて白色光を発光する白色有機発光層であってもよい。有機発光層132が白色有機発光層である場合、R、G、B画素の白色有機発光層132の上部領域には、R、G、Bカラーフィルター層が形成されて白色有機発光層から発光する白色光を赤色光、緑色光、青色光に変換させる。白色有機発光層は、R、G、Bの単色光をそれぞれ発光する複数の有機物質が混合して形成されるか、R、G、Bの単色光をそれぞれ発光する複数の有機発光層が積層して形成されてもよい。
【0048】
前記有機発光層は、有機発光物質ではない無機発光物質、例えば、量子ドット(quantum dot)などで構成された無機発光層であってもよい。
【0049】
有機発光層132には、発光層のみならず、発光層に電子及び正孔をそれぞれ注入する電子注入層及び正孔注入層と、注入済みの電子及び正孔を有機層にそれぞれ輸送する電子輸送層及び正孔輸送層などが形成されてもよい。
【0050】
前記有機発光層132上には第2電極134が形成される。前記第2電極134は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)のような透明な物質からなってもよいが、これに限定されるものではない。
【0051】
前記第2電極134上の発光領域(EA)及び透過領域(TA)には第2保護層118が形成される。前記第2保護層118は、フォトアクリルのような有機層、SiOxやSiOxのような無機層及び有機層の複数の層で構成されてもよい。
【0052】
前記有機発光層132が白色有機発光層である場合、前記第2保護層118の上部のサブ画素(SP)らの間の領域とサブ画素(SP)内の発光領域(EA)と透過領域(TA)との間の領域にはブラックマトリックス(black matrix;164)を備えて、前記第2保護層118の上部の発光領域(EA)にはそれぞれR、G、Bカラーフィルター層166を備える。
【0053】
前記ブラックマトリックス164は、隣接するサブ画素(SP)及びサブ画素(SP)内の発光領域(EA)と透過領域(TA)を区画して隣接する領域へ光が混入することを防止するためであって、ブラック樹脂又はCrOのような不透明な金属酸化物を主に用いるが、かかる物質に限定されるものではない。
【0054】
前記発光領域(EA)のカラーフィルター層166の上部及び透過領域(TA)の第2保護層118の上部には、第3保護層119が配置されてもよい。このとき、前記第2保護層119は、有機層の単一層、有機層/無機層や無機層/有機層/無機層の複数の層で構成されてもよい。
【0055】
前記第3保護層119上には接着層162が塗布され、接着層162上に第2基板160が配置して、前記第2基板160が表示装置に付着する。前記接着層としては、付着力が良くて、耐熱性及び耐水性の良い物質であれば、どんな物質を用いてもよいが、本発明では、エポキシ系化合物、アクリレート系化合物又はアクリル系ゴムのような熱硬化性樹脂を用いてもよい。そして、前記接着剤として光硬化性樹脂を用いることもでき、この場合、接着層に紫外線のような光を照射することで接着層162を硬化させる。
【0056】
前記接着層162は、第1基板110及び第2基板160を合着するだけでなく、前記電界発光表示装置の内部へ水気が侵入することを防止するための封止剤の役割も行う。従って、本発明の詳細な説明において、図面符号162の用語を接着剤と表現しているが、これは便宜のためであり、この接着層を封止剤と表現してもよい。
【0057】
前記第2基板160は、電界発光表示装置を封止するための封止キャップ(encapsulation cap)であって、PS(ポリスチレン、Polystyrene)フィルム、PE(ポリエチレン、Polyethylene)フィルム、PEN(ポリエチレンナフタレートPolyethylene Naphthalate)フィルム又はPI(ポリイミド、Polyimide)フィルムなどのような保護フィルムを用いることができ、ガラスを用いてもよい。
【0058】
上記のように、本発明の第1実施形態による透明有機発光表示装置では、発光領域(EA)に第1電極130、有機発光層132、第2電極134からなる有機発光素子が形成されるだけでなく、カラーフィルター層166を備えるため、信号が印加されるにつれて、前記有機発光素子から光が発光して、前記カラーフィルター層166によって特定カラーの光が透過し、前記発光領域(EA)に所望の映像が表示される。
【0059】
一方、透過領域(TA)には有機発光層132及び第2電極134は形成されるものの、第1電極130が形成されない。従って、外部から信号が印加されても、透過領域(TA)の有機発光層132には電流が印加されなくなるため、光が発光しなくなる。さらに、前記透過領域(TA)にはカラーフィルター層166が形成されないため、外部から入力される光が前記透過領域(TA)をそのまま透過し、前記透過領域(TA)が表示装置の後面をガラス窓にように透明に表示することになる。
【0060】
また、本発明の第1実施形態による透明有機発光表示装置では、透過領域(TA)に強磁性物質で構成された異物捕集部材140を備えて、工程中に発生する異物による点等不良が発生することを防止できるようになる。
【0061】
図3aは、工程中に発生する異物が蒸着工程のうち、発光領域(EA)内に侵入したことを示す図面である。図面に示したように、異物は、薄膜内に侵入すると、有機発光層132及び第2電極134が第1保護層116上に直接に堆積せずに異物を覆うように堆積する。従って、この領域における有機発光層132の堆積が不良となるか、第2電極134が断線される不良が発生し、このような断線によって、図3bに示したように、該サブ画素(SP)の有機発光素子が駆動しなくなり、点灯不良が発生することになる。
【0062】
本発明では、前記異物捕集部材140は、有機電界発光表示装置の製造工程中に発生する異物を捕集する。前記有機電界発光表示装置は、真空チャンバ内で金属及び絶縁物質などを第1基板110上に蒸着することで製作されるが、このような真空蒸着工程中にはいつも異物が発生する。有機電界発光表示装置は、真空チャンバ内で半導体層の蒸着工程、ゲート電極/ソース電極/ドレイン電極の蒸着工程、絶縁物質の蒸着工程、第1電極/有機発光層/第2電極の蒸着工程などによって製作され、このような工程は、真空チャンバ内でインライン(in−line)工程において行われる。
【0063】
真空チャンバ内における蒸着工程では、蒸着物などが真空チャンバの壁面に付着し、この壁面に付着した蒸着物が後続の蒸着工程において異物として作用する。特に、蒸着工程中に真空チャンバの壁面に付着する蒸着物は、主に金属蒸着物であるため、その後の蒸着工程時に金属性異物が発生することになる。
【0064】
真空チャンバの真空度を大幅に増加させて、真空チャンバを超高真空(Ultra High Vaccum)に作る場合、異物の発生をある程度抑制することはできるが、異物の発生は、真空チャンバの構造自体の問題であるため、この場合にも異物の発生を除去しきれることはできない。
【0065】
本発明では、真空装備の改善ではない、有機電界発光表示装置の構造を変更することで、異物が品質不良に及ぶ影響を除去する。言い替えれば、本発明では、工程中に発生する異物自体を除去することではなく、表示装置に侵入した異物が品質に影響を及ぼすことを除去することで、表示装置の不良を防止する。
【0066】
工程のうち、真空装備内に発生する金属性異物を除去するため、本発明では、異物捕集部材140を強磁性物質で備えて、工程中に発生する異物を前記異物捕集部材140に集める。前記異物捕集部材140は、有機発光層132が発光する発光領域(EA)に配置するものではなく、有機発光層132が発光しない透過領域(TA)に配置するため、前記異物によって透過領域(TA)の薄膜に不良が発生しても、有機電界発光表示装置に発光不良などの問題が発生しなくなる。また、前記異物捕集部材140は、透過領域(TA)の面積に比べて1/3以下の面積に形成されるため、前記異物捕集部材140及び異物捕集部材140に捕集した異物によって、透過領域(TA)の透過度低下が防止され、透明有機電界発光表示装置の透明度低下を防止できるようになる。
【0067】
前記異物捕集部材140は、強磁性物質で構成されており、堆積工程中に前記異物捕集部材140に電流を印加することで磁場が発生し、前記磁場によって真空チャンバの壁面から飛び出す金属性異物を前記異物捕集部材140に集める。
【0068】
前記異物捕集部材140は、透過領域(TA)に外郭領域に沿って設定された幅のパターン状に構成される。図面には示していないが、前記異物捕集部材140は、連結配線を介して第1基板110の外郭領域に形成された電場印加パッドと連結される。前記電場印加パッドは、有機電界発光表示装置の堆積工程時に外部の電流源に接続されて、前記異物捕集部材140に電流を印加することで、前記異物捕集部材140に電場を生成して異物を捕集するようになる。
【0069】
前記電場印加パッドは、有機電界発光表示装置のスクライビング工程又は/及びグラインディング工程によって除去されうるか、フローティング(floating)状態で存在しうる。
【0070】
図4a〜図4eは、本発明の第1実施形態による有機電界発光表示装置の製造方法を示す図面であって、これを参照して、本発明の第1実施形態による有機電界発光表示装置の製造方法を説明する。
【0071】
図4aに示したように、先ず、ガラスやプラスチックのような物質で構成されており、発光領域(EA)及び透過領域(TA)を含む第1基板110全体にかけてSiOxやSiNxなどの無機物質を積層してバッファ層112を形成する。前記バッファ層112を単一層又は複数の層から形成することができる。次に、基板110全体にかけて酸化物半導体又は結晶シリコンなどをCVD法によって堆積した後、エッチングして発光層(EA)のバッファ層112上に半導体層122を形成する。前記結晶シリコン層は、結晶シリコンを直接積層して形成することもでき、非晶質シリコンを積層した後、レーザ結晶法などのような多様な結晶法によって非晶質物質を結晶化することで形成することもできる。前記結晶シリコン層の両側面には、n又はp型不純物をドーピングしてドーピング層を形成する。
【0072】
その後、前記半導体層122上にCVD(Chemical Vapor Deposition)によってSiOxやSiNxのような無機絶縁物質を堆積して、Cr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al又はAl合金のように導電性の良い不透明金属をスパッタリング法(sputtering process)によって積層した後、無機絶縁物質と金属を一度にエッチングして、発光領域(EA)のゲート絶縁層123及びゲート電極125を形成する。このとき、前記ゲート絶縁層123を第1基板110全体にかけて積層して、ゲート電極125のみをエッチングすることもできる。
【0073】
次に、前記ゲート電極125が形成された基板110全体にかけてCVD法によって無機絶縁物質を堆積して、発光領域(EA)及び透過領域(TA)に層間絶縁層114を形成して、前記層間絶縁層114の一部領域をエッチングし、半導体層122の両側面が露出する第1のコンタクトホール114aを形成する。
【0074】
その後、第1基板110全体にかけてCr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al又はAl合金のように導電性の良い不透明金属をスパッタリング法によって積層した後、エッチングして、発光領域(EA)に第1のコンタクトホール114aを介して半導体層122と電気的に接続するソース電極127及びドレイン電極128を形成し、前記第1基板110上に発光領域(EA)に駆動薄膜トランジスタを配置する。
【0075】
次に、図4bに示したように、前記ソース電極127及びドレイン電極128が配置した第1基板110に全体かけてフォトアクリルのような有機絶縁物質を積層して、第1保護層116を形成し、一部領域をエッチングして、駆動薄膜トランジスタのドレイン電極128が露出する第2のコンタクトホール116aを形成する。
【0076】
その後、前記第1基板110全体にかけてCa、Ba、Mg、Al、Agのような金属をスパッタリング法によって積層してエッチングし、発光領域(EA)に第2のコンタクトホール116aを介して駆動薄膜トランジスタのドレイン電極128と接続される第1電極130を形成して、サブ画素(SP)の境界領域又は発光領域(EA)と投光領域(TA)との間の領域にバンク層131を形成する。このとき、前記バンク層131を先に形成して、第1電極130を形成してもよい。
【0077】
また、前記第1保護層116の上部にCo−O系物質やFe−O物質のような酸化物系強磁性物質又はCo−N系物質やFe−N系物質のような窒化物系強磁性物質をAr及びN雰囲気下で、高圧の直流電圧を印加するスパッタリング法によって蒸着してエッチングし、投光領域(TA)に設定した幅の異物捕集部材140を形成する。しかし、本発明の異物捕集部材140は、スパッタリング法に限定されるものではなく、PVD(Physical Vapor Deposition)やCVD(Chemical Vapor Deposition)のような一般的な蒸着法を用いて形成してもよい。
【0078】
また、図面には示していないが、前記異物捕集部材140とともに、前記異物捕集部材140と接続される連結配線及び電場印加パッドを形成する。
【0079】
その後、図4cに示したように、有機発光物質、ITOとIZOのような透明な金属酸化物をスパッタリング法によって堆積して、有機発光層132及び第2電極134を形成する。上記のように、有機発光物質及び金属酸化物を堆積するとき、前記異物捕集部材140には、外部から電流が印加されて磁場を形成するようになる。従って、スパッタリング用真空チャンバの壁面から飛び出して、前記有機発光物質及び金属酸化物に混入し、発光領域(EA)の第1保護層116に堆積する金属性異物が、前記磁場によって前記異物捕集部材140側に導かれて、発光領域(EA)には異物が堆積せず、透過領域(TA)の異物捕集部材140の回りにのみ異物が堆積する。
【0080】
次に、図4dに示したように、有機発光素子及び捕集部材140上に第2保護層118を形成する。
【0081】
その後、図4eに示したように、前記第2保護層118上にブラックマトリックス164を形成した後、前記第2保護層118の発光領域(EA)のブラックマトリックス164の間の領域にR、G、Bカラーフィルター層166を形成する。
【0082】
次に、前記発光層(EA)のブラックマトリックス164及びカラーフィルター層166の上部と透過領域(TA)の第2保護層118上に有機物質及び/又は無機物質を堆積して第3保護層119を形成した後、前記第3保護層119上に接着剤を塗布して接着層162を形成し、接着層162上にガラスやフィルムのような第2基板160を位置させて圧力を印加した状態で、前記接着層162を硬化することで有機電界発光表示装置を完成する。
【0083】
図面には示していないが、完成した有機電界発光表示装置を加工して、母基板からパネル単位に分離するか、パネル単位表示装置の外郭領域をグラインディング処理することができる。
【0084】
上述したように、本発明では、映像信号の入力による映像が具現されず、反対側が透明に透けて見える透過領域(TA)に、工程中に発生する金属性異物を捕集する異物捕集部材140を備えることで、異物の混入による有機電界発光表示装置の点灯不良を防止できるようになる。
【0085】
一方、上述した説明では、本発明を特定構造の透明有機電界発光表示装置に限定して説明しているが、本発明は、このような特定構造の有機電界発光表示装置にのみ限定されるものではなく、様々な形態の表示装置に適用することができる。例えば、上述した説明では、光が上部方向に出力する上部発光型(top emission)方式について説明しているが、光が下部方向に出力する下部発光型(bottom emission)方式に適用することもできる。また、上述した説明では、有機発光層が白色光を発光して、別途R、G、Bカラーフィルター層を備えて画像を具現するが、前記有機発光層が単色光を発光する有機発光層で構成されており、別途カラーフィルター層を備えていない構成の有機電界発光表示装置にも適用可能である。
【0086】
また、異物捕集部材140も透明領域(TA)の外郭を囲むように形成される構成からなるが、かかる形状に限定されるものではなく、図5に示したように、透明領域(TA)の一側又は両側に配置する構造に形成されてもよい。
【0087】
言い替えれば、前記異物捕集部材140は、磁場の印加に応じて発光領域(EA)に侵入する異物を最も効果的に捕集できる領域(例えば、透過領域(TA)のうち、発光領域(EA)と最も近い領域など)に透過領域(TA)の面積の1/3を超えない範囲内で様々な形状に形成することができる。
【0088】
そして、上述した説明では、本発明を透明有機電界発光表示装置に限定して説明しているが、本発明は、透明有機電界発光表示装置にのみ限定されるものではなく、透明ではない、一般的な有機電界発光表示装置にも適用することができる。
【0089】
図6は、本発明の第2実施形態による有機電界発光表示装置の構造を示す平面図である。このとき、第1実施形態と同じ構成については、説明を省略するか簡単にして、他の構成についてのみ詳説する。
【0090】
本実施形態の有機電界発光表示装置は、透明ではない、一般的な構造の有機電界発光表示装置である。図6に示したように、本実施形態の有機電界発光表示装置には、互いに垂直である第1方向及び第2方向にそれぞれ延びて、複数のサブ画素(SP1、SP2、SP3)を定義する複数のゲートライン(GL)及びゲートライン(GL)と、前記データライン(DL)と一定距離離隔して電源電圧を印加する電源配線(図面に示していない)が配置される。
【0091】
前記サブ画素(SP1、SP2、SP3)は、1つの画素(P)を構成しており、特に、本発明の第2実施形態による有機電界発光表示装置では、各サブ画素(SP1、SP2、SP3)が光を発光して画像が表示される表示領域(DA)と画像が表示されない画像非表示領域(NA)で構成される。
【0092】
図面に示したように、画素(P)は、長方形に構成されており、各サブ画素(SP1、SP2、SP3)は、同じ面積に形成されないが、その理由は、次のとおりである。
【0093】
通常、前記R、G、Bサブ画素は、異なる色視認性及び輝度を有する。このとき、R、G、B−サブ画素のうち、可視光線波長帯に近い前記B−サブ画素の色視認性及び輝度が最も悪く、その次に、赤外線に近い前記R−サブ画素の色視認性及び輝度が良く表れる。一方、紫外線に近い前記G−サブ画素の色視認性及び輝度が最も良い。従って、R、G、Bサブ画素を同じ面積に形成する場合、R、G、Bサブ画素(SP1、SP2、SP3)の間の色視認性及び輝度差によって画素(P)の画質が低下する。
【0094】
このような問題を解決するため、R、G、Bサブ画素(SP1、SP2、SP3)の面積を異に形成して、R、G、Bサブ画素(SP1、SP2、SP3)の間の色視認性及び輝度差を防止することで、画素(P)の画質低下を防止する。すなわち、図面に示したように、B−サブ画素の面積を最も大きくして、R−サブ画素の面積をその次の大きさにし、G−サブ画素の面積を最も小さくする。
【0095】
このように、本実施形態では、異なる面積のサブ画素(SP1、SP2、SP3)が画素(P)に配置されるため、前記画素(P)にはサブ画素(SP1、SP2、SP3)が形成されない領域が発生するが、この領域が画像非表示領域(NA)である。追って説明するが、前記画像非表示領域(NA)にはブラックマトリックスが形成されており、前記画像非表示領域(NA)に光が漏洩して画質が低下することを防止する。
【0096】
異物捕集部材240は、前記画像非表示領域(NA)に形成される。前記異物捕集部材240は、強磁性物質で構成されており、有機電界発光表示装置の工程中に異物が発生する場合、表示領域(DA)へ侵入する異物を捕集することで、表示領域(DA)の各種層に異物が堆積しないようにする。前記異物捕集部材240は、画素(P)の画像非表示領域(NA)の縁領域に沿って帯状に設定した幅に形成されるが、かかる形状に限定されるものではなく、様々な形状に構成されてもよい。
【0097】
前記画像非表示領域(NA)は、画像が具現されない領域であるため、別途信号が印加されない。従って、前記透過領域(TA)において有機発光素子の不良、アノード/カソードに断線が発生しても、表示領域(DA)に表示される映像には何ら影響を及ぼさない。
【0098】
図7は、本発明の第2実施形態による有機電界発光表示装置の断面図であって、1つのサブ画素の表示領域(DA)と画像非表示領域(NA)のみを示した。
【0099】
図7に示したように、表示領域(DA)及び画像非表示領域(NA)を含む第1基板210上にはバッファ層212が形成されて、前記バッファ層212上の表示領域(DA)に駆動薄膜トランジスタが配置される。前記駆動薄膜トランジスタは、半導体層222、前記半導体層222上に配置したゲート絶縁層223、前記ゲート絶縁層223上に配置したゲート電極225、前記ゲート電極225を覆うように基板210全体にかけて形成された層間絶縁層214と、前記層間絶縁層214上に配置したソース電極227及びドレイン電極228で構成されてもよい。
【0100】
そして、図面及び上述した説明では、駆動薄膜トランジスタが特定構造で構成されるが、本発明の駆動薄膜トランジスタが示された構造に限定されるものではなく、あらゆる構造の駆動薄膜トランジスタを適用することができる。
【0101】
前記駆動薄膜トランジスタが形成された第1基板210の表示領域(DA)及び画像非表示領域(NA)には第1保護層216が形成されて、表示領域(DA)の前記第1保護層216上には、第2のコンタクトホール216aを介して駆動薄膜トランジスタのドレイン電極128と電気的に接続される第1電極230が形成される。
【0102】
前記第1電極230上の各サブ画素(SP)の境界、及びサブ画素(SP)の表示領域(DA)と画像非表示領域(NA)との間の境界にはバンク層231が形成される。
【0103】
一方、画像非表示領域(NA)の第1保護層216上には異物捕集部材240が配置される。前記異物捕集部材240は、画素(P)の画像非表示領域(NA)の外郭に沿って設定した幅の帯状のパターンに形成される。前記異物捕集部材240は、スパッタリング法によって酸化物系又は窒化物系強磁性物質を積層することで構成されてもよい。酸化物系強磁性物質は、Co−O系物質又はFe−O物質を含んでおり、窒化物系強磁性物質は、Co−N系物質又はFe−N系物質を含んでいてもよい。
【0104】
前記第1基板210の上部の表示領域(DA)及び画像非表示領域(NA)には、R、G、B−有機発光層又は白色有機発光層で構成された有機発光層232が形成される。
【0105】
有機発光層232には、発光層のみならず、発光層に電子及び正孔をそれぞれ注入する電子注入層及び正孔注入層と、注入済みの電子及び正孔を有機層にそれぞれ輸送する電子輸送層及び正孔輸送層などが形成されてもよい。
【0106】
前記有機発光層232上には、ITOやIZOからなる第2電極234が形成されて、前記第2電極234上の表示領域(DA)及び画像非表示領域(NA)には、無機層及び/又は有機層からなる第2保護層218が形成される。
【0107】
前記第2保護層218の上部のサブ画素(SP)らの間の領域とサブ画素(SP)内の画像非表示領域(NA)には、ブラックマトリックス264が配置されて、前記第2保護層118の上部の表示領域(DA)には、それぞれR、G、Bカラーフィルター層266が配置される。
【0108】
前記ブラックマトリックス264は、隣接するサブ画素(SP)の間に他のカラーの光が混入することを防止して、画像非表示領域(NA)を介して光が透過することを遮断する。
【0109】
表示領域(DA)のカラーフィルター層266の上部及び画像非表示領域(NA)の第2保護層218の上部には第3保護層219が配置されてもよい。前記第3保護層219上には、接着層252が塗布され、接着層252上に第2基板260が配置して、前記第2基板260が表示装置に付着する。
【0110】
上記のように、本発明の第2実施形態による有機発光表示装置は、異なる面積のサブ画素で構成されて画像が表示される表示領域(DA)及びサブ画素が形成されず画像が表示されない画像非表示領域(NA)で構成されており、前記画像非表示領域(NA)には、有機発光層232及び第2電極234は形成されるものの、第1電極230が形成されない。従って、外部から信号が印加されても、画像非表示領域(NA)の有機発光層232には電流が印加されなくなるため、光が発光しなくなる。さらに、前記画像非表示領域(NA)にはブラックマトリックス264が形成されるため、前記画像非表示領域(NA)を介して光が漏洩しなくなる。
【0111】
また、本発明の第2実施形態による有機発光表示装置では、画像非表示領域(NA)に強磁性物質で構成された異物捕集部材240を備えており、工程中に発生する異物による点灯不良が発生することを防止できるようになる。
【0112】
上記の説明に多くの事項が具体的に記載されているが、これは、発明の範囲を限定するより、好ましい実施形態の例示として解釈すべきである。従って、本発明は、説明した実施形態によって定めるものではなく、特許請求の範囲と特許請求範囲に均等なものによって定めるべきである。
【符号の説明】
【0113】
122 半導体層
125 ゲート電極
127 ソース電極
128 ドレイン電極
130、134 電極
132 発光層
140 異物捕集部材


図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5
図6
図7