特許第6674042号(P6674042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6674042眼窩周囲色素異常症を改善するためのVICIA FABAを含む化粧品組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674042
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】眼窩周囲色素異常症を改善するためのVICIA FABAを含む化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20200323BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20200323BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20200323BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20200323BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20200323BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20200323BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20200323BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20200323BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   A61K8/9789
   A61K8/64
   A61Q1/10
   A61Q19/02
   A61K8/06
   A61K8/891
   A61K8/31
   A61K8/37
   A61K8/33
【請求項の数】1
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-552200(P2018-552200)
(86)(22)【出願日】2017年4月13日
(65)【公表番号】特表2019-513732(P2019-513732A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】US2017027290
(87)【国際公開番号】WO2017180799
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2018年10月4日
(31)【優先権主張番号】15/099,035
(32)【優先日】2016年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カレン マリー オソリオ
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−265343(JP,A)
【文献】 特開2000−007519(JP,A)
【文献】 特表2013−518911(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0125559(US,A1)
【文献】 特表2013−542970(JP,A)
【文献】 特開2006−232838(JP,A)
【文献】 特表2015−511211(JP,A)
【文献】 特表2008−512469(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102366358(CN,A)
【文献】 特表2019−510784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼窩周囲色素異常症の外観を改善するための化粧品組成物であって、
a)組成物の0.1重量%から5重量%のソラマメ(Vicia faba)抽出物と、
b)皮膚科学的に許容可能なキャリアと、
c)50,000〜200,000cpsの粘度と、
を含み、
前記ソラマメ(Vicia faba)抽出物はペプチド加水分解物であり、
前記皮膚科学的に許容可能なキャリアは、エマルションの形態であり、前記エマルションは、シリコーン油、非シリコーン油、エステル、エーテル、又はこれらの混合物を含む油相を含み、
前記組成物は、5〜40のコントラスト比を有する、
化粧品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、眼窩周囲色素異常症の外観を改善するための化粧品組成物を目的とする。より具体的には、本開示は、そのような処置を必要とする眼窩周囲皮膚の標的部分に塗布されるとき、1つ又は複数の特定のタイプの眼窩周囲色素異常症の外観を改善するために有効なソラマメ(Vicia faba)抽出物の量を含む化粧品組成物を目的とする。
【背景技術】
【0002】
時として眼の下のクマと呼ばれる眼窩周囲色素異常症は、概ね眼の周りの皮膚の望ましくない変色と認識され、一般に疲労及び/又は老化と関連付けられる。過去において、コンシーラーなどの従来のメイクアップ製品は、眼窩周囲色素異常症の外観を隠すために一般的に使用されたが、メイクアップ製品は、一時的な効果をもたらすだけである。従来のメイクアップ製品によってもたらされる化粧品の効果は、典型的にはその製品を毎日塗布することを必要とし、また場合によっては、1日を通して塗布しなおすことさえ必要とする場合がある。したがって、より永続的な解決策は、例えば、眼窩周囲色素異常症の根本的な原因(複数可)に対処することによって、眼の周りでよく見られる望ましくない美的特徴の一部を低減及び/又は除去することが望ましい。
【0003】
ごく最近では、長期的な活性成分の使用を通じて眼窩周囲色素異常症の外観を改善すると主張する組成物が販売されている。しかしながら、不満を抱いている消費者は、現在のクマの処置が、彼らの眼の下のクマの外観に好適な改善をもたらさないことを示している。一部の消費者は、クマを処置しようとするのを諦めるほど、疲れ切っている。したがって、眼窩周囲色素異常症の外観に改善をもたらす組成物の必要が存在する。
【0004】
眼窩周囲色素異常症の問題に対する長期的な処置の解決策を見つけるために、研究者らは、その状態の根本的な原因を特定しようとしてきた。それにもかかわらず、眼窩周囲色素異常症の生物学的基盤は、まだよく解明されておらず、異なるタイプの眼窩周囲色素異常症の定義は一般に認識されていない。異なるタイプの眼窩周囲色素異常症が存在すると認識している研究者らの間でさえ、何人かはまだ、「画一的な」タイプのアプローチで単一の組成物又は材料による、全てのタイプの眼窩周囲色素異常症の処置を提案している。このように、特定のタイプの眼窩周囲色素異常症の特性を長期的に処置するように調整した組成物を提供するニーズが残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、眼窩周囲色素異常症を長期的に処置するための、また眼窩周囲色素異常症の外観に改善をもたらす化粧品組成物を提供することが望ましいであろう。特定のタイプの眼窩周囲色素異常症を処置するために選択された長期的な活性成分を含み、特定のタイプの眼窩周囲色素異常症の外観に改善をもたらす化粧品組成物を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の化粧品組成物は、タイプII及び/又はタイプIII眼窩周囲色素異常症の外観を改善するために選択される有効量のソラマメ(Vicia faba)抽出物、並びに皮膚科学的に許容可能なキャリアを含む。本組成物は、タイプI眼窩周囲色素異常症の外観を悪化させないように配合されるべきである。本明細書でまた開示されるのは、タイプII又はタイプIII眼窩周囲色素異常症の外観を改善するための化粧品である。製品は、ソラマメ(Vicia faba)抽出物を約0.0001%〜約15%、及び皮膚科学的に許容可能なキャリアを含む化粧品組成物を含む。製品組成物は、タイプII又はタイプIII眼窩周囲色素異常症に対応する表示部を含む一次パッケージ内に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ヒトの顔の様々な部分の図である。
図2A】タイプI眼窩周囲色素異常症により影響を受ける眼窩周囲領域の部分の例を図示する。
図2B】タイプI眼窩周囲色素異常症により影響を受ける眼窩周囲領域の部分の例を図示する。
図3A】タイプII眼窩周囲色素異常症により影響を受ける眼窩周囲領域の部分の例を図示する。
図3B】タイプII眼窩周囲色素異常症により影響を受ける眼窩周囲領域の部分の例を図示する。
図4A】タイプIII眼窩周囲色素異常症により影響を受ける眼窩周囲領域の部分の例を図示する。
図4B】タイプIII眼窩周囲色素異常症により影響を受ける眼窩周囲領域の部分の例を図示する。
図5】例示の化粧品の包装上に配置される表示部を示す。
図6】例示の化粧品の包装上に配置される表示部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書中での「実施形態(単数又は複数)」等への参照は、その実施形態と関連付けて説明される、特定の材料、特徴、構造及び/又は特性が、少なくとも1つの実施形態、必要に応じていくつかの実施形態に含まれていることを意味するが、全ての実施形態が説明された材料、特徴、構造、及び/又は特性を組み入れることを意味するものではない。更に、材料、特徴、構造、及び/又は特性は、異なる実施形態にわたって、任意の好適な方法で組み合わせられてもよく、材料、特徴、構造、及び/又は特性は、説明されるものから除外されてもよいし、代用されてもよい。したがって、本明細書に記載されている実施形態及び態様は、別段明記しない限り又は不適合性が明示されてされない限り、組み合わせて明示的に例示されていなくても、他の実施態様及び/又は態様の要素又は構成成分を含むか又はこれらと組み合わされることが可能である。
【0009】
全ての実施形態において、別途記載のない限り、全ての百分率は組成物の重量を基準にした重量パーセントである。別途記載のない限り、全ての比は重量比である。全ての範囲は包括的かつ組み合わせ可能であり、より狭い範囲を含み、区切られた上下の範囲限界は互換性があり、明示的に区切られていない更なる範囲を作る。有効桁の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に別段の指示がない限り、全ての数量は、単語「約」によって修飾されるものと理解される。特に指示がない限り、全ての測定は、およそ25℃において周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約0.1メガパスカル(1気圧)及び相対湿度約50%における条件を意味する。
【0010】
本明細書の組成物は、本明細書に記載の必須構成成分並びに任意成分を含み得る、それらから本質的になり得る、又はそれらからなり得る。本明細書で使用するとき、「から本質的になる」とは、組成物又は構成成分が、追加成分を含み得ることを意味するが、追加成分が、特許請求される組成物又は方法の基本的かつ新規の特性を実質的に変えない場合に限る。明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数形も含むものとする。
【0011】
「長期的な活性成分」は、活性成分の使用を中止した後、所望される効果を提供し続ける局所的化粧品組成物で使用するのに好適な活性成分を意味する。長期的な活性成分は、認識される美容的欠陥を覆う又は隠すことを目的とする従来のメイクアップ製品でよく見られる即時的な活性成分(例えば、色素、染料、レーキ並びにファンデーション及びコンシーラーでよく見られる他の着色剤)と比べて比較的長続きする化粧品の効果を提供する。場合によっては、長期的な活性成分は、長期間にわたる活性成分の反復使用(例えば、1週間を超える活性成分の使用)によって効く。対照的に、即時的な活性成分は、皮膚への永続効果がなく、そしてひとたび即時的な活性成分が除去されると、皮膚は即時的な活性成分を塗布する前と同じ外観になる。長期的な活性成分を含有する組成物は、そのような長期間にわたって1日約1回のように塗布してもよい。場合によっては、使用程度は、1週間に約1回から1日に約3回又はその間のある程度まで異なり得る。長期的な活性成分は、所望される効果をほぼ直ちに、又は組成物のある最小限の反復使用の後(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、19、11、又は更には12週間)に提供し得る。長期的な活性成分によってもたらされる効果は、長期的な活性成分を含有する組成物の使用を中止した後、1日超(例えば、2、3、4、5、又は6日超)、1週間超(例えば、2、3、又は4週間超)又は更には1ヶ月超継続し得る。
【0012】
「美容」とは、人体の所定領域に所望の視覚的効果を与えることを意味する。視覚的な効果は、一時的、半永久的、又は永久的なものであり得る。「化粧品」のいくつかの非限定例としては、ファンデーション、マスカラ、コンシーラー、アイライナー、アイブロウ、アイシャドウ、頬紅、口紅、リップクリーム、フェイスパウダー、固形エマルションコンパクトなどといった、顔に色を乗せる製品が挙げられる。
【0013】
「化粧剤」とは、美容効果をもたらすために哺乳動物の身体又はその任意の部分に接触される(例えば、擦り込まれる、注がれる、振りかけられる、噴霧される、導入される、又は他の方法で塗布する)ことを目的とした局所的化粧品組成物で使用するのに好適な任意の物質及びその任意の成分を意味する。化粧剤は、長期的又は即時的であってもよく、化粧剤としては、米国食品医薬品局によって一般に安全と認められる(GRAS)物質、食品添加物、及び市販薬等の非化粧用消費者製品で使用される材料を挙げることができる。
【0014】
「化粧組成物」は、哺乳動物の皮膚への局所塗布に好適な化粧剤を含む任意の組成物を意味する。
【0015】
「配設された」は、別の要素に対する特定の場所又は位置に位置している要素を指す。
【0016】
「有効量」とは、明白な外観及び/又は触感的利益を顕著に誘導するには十分であるが、重篤な副作用を回避するほどに十分に低い、すなわち、当業者の適切な判断の範囲内で合理的な利益対危険性比を提供する、化合物又は組成物の量を意味する。本方法では、有効量のソラマメ抽出物は、処置期間中にタイプII及び/又はタイプIII眼窩周囲色素異常症の外観を改善するのに十分な量である。
【0017】
「の外観を改善する」は、眼窩周囲色素異常症の外観において望ましい変化又は効果をもたらすことを意味する。例えば、タイプII又はタイプIII眼窩周囲色素異常症の外観における改善は、視覚スケール(「VPS」)の正のスコア、血液潅流の減少、L値の増加、a値の減少及び/又はb値の増加に対応し得る。
【0018】
「L」は、国際照明委員会(「CIE」)によって規定された一般に認められている色空間を指す。3つの座標は、色の明るさ(L=0で黒を生じ、L=100は白の拡散を示す)、マゼンタと緑との間の位置(a、負の値は緑を示し、正の値はマゼンタを示す)、及び黄と青との間の位置(b、負の値は青を示し、正の値は黄を示す)を表している。
【0019】
「眼窩周囲」は、眼窩の周囲を意味する。人の眼窩周囲領域は、通常眼窩の周りに配置された、また典型的には、長手方向に眉の底部と頬の上部との間に、かつ横方向に鼻筋とこめかみとの間にある顔の区域である。
【0020】
「眼窩周囲色素異常症」は、人の眼窩周囲領域における皮膚の色調が頬、鼻、額、こめかみ及び/又は眼窩周囲領域の別の部分などの顔の近隣部分における皮膚の色調と著しく異なって見えるときに生じる状態である。眼窩周囲色素異常症は、概ね両側性である(すなわち、顔の両側の眼窩周囲領域で生じる)。眼窩周囲色素異常症は、顔及び/又は身体(例えば、頬、鼻、額、こめかみ、あご)の他の領域に対して眼窩周囲領域における皮膚色調の異なる外観として現れ得る。眼窩周囲色素異常症は、眼窩周囲領域における色素沈着過度又は色素沈着減少の皮膚の結果として現れ得る。場合によっては、眼窩周囲色素異常症は、専門の採点者(すなわち、眼窩周囲色素異常症を視覚的に分類するよう訓練を受けた人)によって、直接会って又は捕捉された画像からのどちらかにより視覚的に分離され得る。場合によっては、眼窩周囲色素異常症は、撮像技術を使用して眼窩周囲色素異常症を分類するように構成された診断装置を使用して分析及び/又は分類され得る。小売業環境では、例えば化粧用アイケア製品の近くにそのような診断装置及び/又は専門の採点者を置くことが望ましい場合がある。タイプI、タイプII及びタイプIII眼窩周囲色素異常症は、より詳細に後述される。
【0021】
「パーソナルケア組成物」は、ケラチン性組織又はそこでよく見られるあるタイプの細胞に即時的又は長期的な効果をもたらす哺乳類のケラチン性組織への局所塗布に好適な組成物を意味する。
【0022】
「局所塗布」は、本発明の組成物をケラチン組織の表面に塗布する又は広げることを意味する。
【0023】
異なる根本的な生物学的原因及び外観を有する異なるタイプの眼窩周囲色素異常症が存在するという発見は、異なるタイプの眼窩周囲色素異常症のそれぞれを処置するための目的に合わせた処置の解決策を提供することができる長期的な活性成分及び/又は活性成分の組み合わせを特定する必要につながった。意外にも、時としてソラマメ(fava bean)又はソラマメ(broad bean)と呼ばれるソラマメ(Vicia faba)抽出物は、眼窩周囲色素異常症、特にタイプII及び/又はタイプIII眼窩周囲色素異常症の外観を改善することができることがわかった。ソラマメ抽出物(INCI名:Vicia Faba Seed Extract;CAS番号89958−06−5)は、毛髪の健康及び成長促進に用いることで、また皮膚保湿剤として知られているが(例えば、Dal Farraらによって出願された米国特許公開第2013/0189381号を参照)、ソラマメ抽出物を使用して眼窩周囲色素異常症の外観を改善できることは、以前は知られていなかった。加えて、本研究はまた、ソラマメ抽出物がタイプI眼窩周囲色素異常症の外観に悪影響を与えない場合があることを示唆しており、このことは、消費者の眼窩周囲色素異常症タイプが誤認され、かつソラマメ抽出物がその処置に使用されるということが起こる場合に特に望ましい。
【0024】
人に生じる眼窩周囲色素異常症のタイプを識別及び/又は評価に好適な様々な評価技術が、存在する(例えば、視覚的評価、血液潅流、画像分析、組織学的分析、バイオマーカー解析、遺伝子発現特性分析、及び/又は遺伝子発現テーマ分析)。眼窩周囲色素異常症を分類するシステム及び方法の例、並びにタイプI、タイプ及びタイプIII眼窩周囲色素異常症の説明及び定義は、2014年3月17日にOsorioらによって出願された、「Methods of Classifying Periorbital Dyschromia and Systems Therefor」と題する米国特許第14/215,785号に記載されている。本方法において、人に生じる眼窩周囲色素異常症は、タイプI、タイプII、又はタイプIIIとして分類され得る。あるいは、人は、「色素異常症でない」状態を有し得る。
【0025】
図1は、3つのゾーン11、12、及び13に分割されたヒトの顔5の眼窩周囲領域を図示しており、異なるタイプの眼窩周囲色素異常症を識別するのに有用である。ゾーン1 11は、概ね眼の下の区域の内側部分に配置され、眼の内側角部4から眼の外側角部6への約半分の距離まで横方向に延在する。ゾーン2 12は、ゾーン1 11の遠位縁部から(すなわち、眼の下のほぼ中点から)眼の外側角部6まで延在する。ゾーン1 11及びゾーン2 12は、下眼瞼から頬骨の最上部まで長手方向に延在する。ゾーン3は、眼の上方に配置され、眼の内側角部4から眼の外側角部6まで横方向に延在する。ゾーン3 13はまた、眼の最上部から眉毛まで長手方向に延在する。
【0026】
タイプI眼窩周囲色素異常症は、上及び下眼瞼両方の皮膚の連続的な変色を視覚的な特徴とする。タイプI眼窩周囲色素異常症と関連する変色した眼窩周囲皮膚は、典型的には、眼窩周囲領域の皮膚において実質的に均一の茶色、黄色、及び/又はオレンジ色の色調を含み、これは日焼けした皮膚又は年齢によるしみの色に似ている場合がある。タイプI眼窩周囲色素異常症はまた、一部において、概ね顔の眼窩周囲領域の上部及び下部(例えば、下眼瞼及び上眼瞼の近く)におけるその位置によって定義され得る。換言すれば、タイプI眼窩周囲色素異常症は、ゾーン1及び3、並びに場合によっては、ゾーン2で典型的に見られる。タイプII眼窩周囲色素異常症は、下眼瞼皮膚の連続的な変色を特徴とする。タイプII眼窩周囲色素異常症と関連する変色した眼窩周囲皮膚は、典型的には、実質的に均一の紫色、ピンク色、及び/又は青みがかった色調を含み、これはあざのできた皮膚の色に似ている場合がある。タイプIIは、一部において、眼窩周囲領域の内側、下部(すなわち、ゾーン1)におけるその存在、並びに眼窩周囲領域の上部(すなわち、上眼瞼又はゾーン3)及び外側、下部(すなわち、ゾーン2)におけるその非存在によって概ね定義される。タイプIII眼窩周囲色素異常症は、小麦色に日焼けした皮膚に似ている皮膚色調の存在を特徴とする。タイプIIIは、一部において、眼窩周囲領域の眼の下及び眼の上の部分におけるその存在によって概ね定義される。色素異常症でない状態は、眼窩周囲領域において不均一又は不連続的な皮膚色調がないことを視覚的な特徴とし得る。
【0027】
図2A及び図2Bは、タイプI眼窩周囲色素異常症の例を図示しており、これは眼窩周囲領域のそれぞれ陰影部200及び201によって表現されている。図3A及び図3Bは、タイプII眼窩周囲色素異常症の例を図示している(すなわち、眼窩周囲領域のそれぞれ陰影部300及び301)。図4A及び図4Bは、タイプIII眼窩周囲色素異常症の例を図示している(すなわち、眼窩周囲領域のそれぞれ陰影部400及び401)。場合によっては、眼窩周囲色素異常症のタイプは、図2A図2B図3A図3B図4A、及び/又は図4Bに図示したように眼窩周囲領域における位置に基づいた本方法に従って識別することができる。
【0028】
異なるタイプの眼窩周囲色素異常症は、RGBカラー撮像などの周知の撮像技術を使用して、互いに区別することができる。例えば、タイプI眼窩周囲色素異常症は、タイプII及びIIIに対してより低いRGB値を概ね有することを特徴とし得る。タイプII眼窩周囲色素異常症は、タイプI及びIIIに比べてより高いRGB値を概ね有することを特徴とし得る。タイプIII眼窩周囲色素異常症は、タイプI及びタイプIIの両方の特性を含み得る。
【0029】
タイプI、タイプII、及びタイプIII眼窩周囲色素異常症はまた、例えば、薄片にし、染色してから、顕微鏡(例えば、光学又は電子)下で検査をすることを含む、組織学的評価技術を使用して互いに区別することもできる。具体的には、眼窩周囲皮膚から得られた皮膚生検試料内のある特定の細胞構造(例えば、メラニン)の存在量及び/又は位置が、タイプI、タイプII、及びタイプIII眼窩周囲色素異常症を互いに区別するために使用され得ることが判明した。例えば、タイプI眼窩周囲色素異常症は、皮膚試料の表皮における過剰なメラニン及び真皮におけるメラニンの予想外の存在を特徴とし得る。他方では、タイプII眼窩周囲色素異常症は、表皮におけるメラニンの不足及び真皮におけるメラニンの非存在を特徴とし得る。タイプIII眼窩周囲色素異常症は、タイプI及びタイプIIの特性の組み合わせを特徴とし得る。
【0030】
場合によっては、タイプI、タイプII、及びタイプIII眼窩周囲色素異常症は、眼窩周囲皮膚の表皮における、ユーメラニンの酸化的分解反応の結果として形成されるピロール−2,3,5−トリカルボン酸(「PTCA」)などのある特定の分子の不足及び/又は存在量によって、互いに区別することができる。タイプI及びタイプIII眼窩周囲色素異常症は、タイプIIより高いPTCAレベルを有すること、及びタイプIは、タイプIIIより高いPTCAレベルを示し得ることが判明した。
【0031】
組成物
本明細書の化粧品組成物は、皮膚科学的に許容可能なキャリアに配置された有効量のソラマメ抽出物を含む。本組成物中のソラマメ抽出物の量は、好適な処置の経過(例えば、2、4、又は8週間)の後で、眼窩周囲色素異常症、特にタイプII及び/又はタイプIIIの外観を改善するのに十分である必要がある。本明細書のソラマメ抽出物は、ソラマメのタンパク質の加水分解の結果生じるペプチド加水分解物であり得る。ペプチド加水分解物は、通常、主にペプチドによって表される化合物の混合物を含む。用語「ペプチド」は、ペプチド結合又は修飾ペプチド結合によって結合した2つ又はそれ以上のアミノ酸の配列を指すのに対して、用語「ポリペプチド」は、より大きなペプチド(例えば4を超える)を示す。ペプチド加水分解物、特に低分子量のペプチド加水分解物の使用は、化粧品において多くの利点を有する。開始タンパク質混合物にまだ存在していなかったペプチド性の化合物の生成に加えて、加水分解及び精製は、より安定した、より容易に標準化できる、かつアレルギー反応のより少ない化粧品組成物を提供することを可能にする。本明細書に用いるのに好適なソラマメ抽出物の例は、Ashland Specialty Ingredients(New Jersey)から入手可能なFOLLISYNCである。
【0032】
本明細書のソラマメ抽出物は、Vicia faba植物の種子からタンパク質を抽出すること、それらを加水分解すること、及び次に必要に応じて、ペプチドフラグメントを精製することによって得ることができる。追加的又は代替的に、全植物又は植物の特定部分(葉、茎、根など)からタンパク質を抽出することができる。場合によっては、タンパク質は、種子を破砕すること(又は植物の他の部分)、及び破砕した種子を、後続の加水分解及び精製作業を容易にする不溶性ポリビニルポリピロリドン(PVPP)吸着剤(0.01〜20%)を含有するアルカリ溶液に懸濁することによって抽出される。タンパク質及び炭水化物を含む可溶性画分を、遠心分離及び濾過の後に収集する。この粗溶液を次いで、管理された条件下で加水分解して可溶性ペプチドを生成する。加水分解をタンパク分解酵素によって化学的に及び/又は有利に実行する。ポリフェノール物質の除去のために、ある量のPVPPを、この管理された加水分解工程で反応培地に添加することができる。次に、溶液を濾過して酵素を除去する。得られた濾液(溶液)を所望されるように希釈し、滅菌して、例えば、1〜4g/L(例えば、1.5〜3.5g/L)のペプチド含有量を特徴とするペプチド抽出物を得ることができる。加水分解物を、限外濾過によって更に精製して、低分子量の画分を選択することができる(例えば、6kDa未満)。場合によっては、限外濾過抽出物中に存在するペプチド系化合物の少なくとも70%(例えば、少なくとも85%)は、6kDaより小さいサイズのペプチドである。抽出物は、4〜7(例えば、4〜5)のpH及び0.5〜1g/Lの砂糖含有量を有してもよい。ソラマメ抽出物を生成する非限定例は、Dal Farraらによって出願された米国特許公開第2013/0189381号に開示されている。
【0033】
本組成物は、眼窩周囲色素異常症、及び特にタイプII及び/又はタイプIII眼窩周囲色素異常症を処置するための有効量の長期的な活性成分(すなわち、ソラマメ抽出物)を含む局所的化粧品組成物である。ソラマメ抽出物は、全組成物の0.0001重量%〜15重量%、0.0002重量%〜10重量%、0.001重量%〜15重量%、0.025重量%〜10重量%、0.05重量%〜10重量%、0.05重量%〜5重量%、又は更には0.1重量%〜5重量%で存在し得る。「有効」であるソラマメ抽出物の量は、抽出物の具体的な供給元(例えば、製造業者)によって異なる場合があり、当業者であれば具体的な抽出物製品の活性レベル(例えば、存在する活性構成成分のレベル)に基づいて決定することができる。任意の抽出物と同様に、用いられる具体的な抽出物製品中の活性構成成分の濃度は、抽出物製品の最終希釈体積、使用される具体的な抽出方法、個々の植物間の固有のばらつき範囲等の要因、及び当業者に公知の他の一般的な要因に依存する。
【0034】
本明細書の化粧品組成物は、限定はされないが、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、化粧水、スティック、ペンシル、スプレー、エアゾール、軟膏、クレンジング洗剤液及びクレンジング棒状固形物、シャンプー及びヘアコンディショナー、パスタ、フォーム、パウダー、ムース、髭剃りクリーム、ワイプ、ストリップ、パッチ、電動パッチ、創傷被覆材及び粘着性包帯、ヒドロゲル、フィルム形成製品、顔及び皮膚マスク(不溶性シートを有する及び有さない)、ファンデーション、アイライナー及びアイシャドウなどのメイクアップ用品などの様々な製品形態であり得る。
【0035】
人の眼窩周囲領域内の皮膚は、顔又は身体の他の他の多くの皮膚より典型的には薄く、かつ繊細である。したがって、本組成物が製品の常用を促す粘度を有することが望ましい場合がある。製品粘度が低すぎる場合は、製品は皮膚に多くのび過ぎる又は広がり過ぎ、眼に入って、刺激を与える可能性さえあり得るので、小さく繊細な眼の区域への製品の塗布を調節することが困難な場合がある。他方では、粘度が高すぎる場合は、製品を塗るときに引きずられて、皮膚を引っ張り、塗布を困難にするか、又は更には繊細な眼窩周囲皮膚に損傷若しく刺激を与える場合がある。したがって、本明細書で使用するための製品は、50,000〜200,000cps(例えば、70,000〜150,000cps、90,000〜120,000cps、又はこれらの範囲内の任意の値)の粘度を有する。粘度は、ヘリオパス設定により5rpmのT−Cスピンドルと共にBROOKFIELD DV−II+ブランドの粘度計又は同等のものを使用して、20℃±2℃で測定した。
【0036】
本組成物は、眼の周りの皮膚に塗布されるので、この組成物が、自然な外見及び/又は製品の常用を促す即時的な効果を提供することが特に望ましい場合がある。例えば、組成物の不透明度が低すぎる場合は、処置しようとされる眼窩周囲色素異常症の外観を隠さないことがある。他方では、製品不透明度が高すぎる場合は、製品は、眼窩周囲色素異常症の外観を好適に隠し得るが、自然に見えない外観をもたらす。組成物の不透明度は、以下により詳細に記載するコントラスト比法によって測定することができる。本明細書の組成物は、5〜40(例えば、7〜30、8〜20)のコントラスト比を有する。
【0037】
皮膚科学的に許容されるキャリア
また、本明細書における組成物は、皮膚科学的に許容可能な担体(「担体」と称する場合もある)を含んでよい。「皮膚科学的に許容可能なキャリア」なる語句は、キャリアがケラチン性組織への局所塗布に適当であり、良好な審美特性を有し、組成物中の活性物質と相溶性を有し、安全性又は毒性について不当な問題をいっさい生じないことを意味する。一実施形態において、キャリアは、組成物の約50重量%〜約99重量%、約60重量%〜約98重量%、約70重量%〜約98重量%、又は代替的に約80重量%〜約95重量%の濃度で存在する。
【0038】
担体は、多種多様な形態であってよい。場合によっては、それら成分(例えば、抽出物、日焼け止め活性物質、追加成分)の溶解性又は分散性によって担体の形態及び特徴が決定され得る。非限定的な例としては、単純な溶液(例えば、水性又は無水)、分散液、エマルション、及び固体形態(例えば、ゲル、スティック、流動性固体、又は非晶質材料)が挙げられる。特定の実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体は、エマルションの形態である。乳濁液は、連続水相(例えば、水中油型及び水中油中水型)、又は連続油相(例えば、油中水型又は水中油型)を有するとして概ね分類され得る。本発明の油相は、シリコーン油、非シリコーン油(炭化水素油、エステル、エーテル等)、及びこれらの混合物を含んでもよい。水性相は、典型的には、水並びに水溶性成分(例えば、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他のスキンケア活性成分)を含む。
【0039】
任意成分。
本組成物は、本組成物によって提供される眼窩周囲色素異常症の外観改善効果を追加成分が好ましくない方法で変化させないことを条件として、任意追加的に、化粧品組成物に一般的に使用される1種以上の追加成分(例えば、着色剤、皮膚色調剤、皮膚老化防止剤、抗炎症剤、日焼け止め剤、これらの組み合わせなど)を含んでもよい。存在する場合、追加の成分は、組成物の0.0001重量%〜50重量%、0.001重量%〜20重量%、又は更には、0.01重量%〜10重量%の量で含まれ得る。組成物中に配合される場合、追加の成分は、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを示すことなく、ヒトの皮膚組織に接触させて用いるのに好適でなければならない。本明細書での使用に好適であり得る追加の成分のいくつかの非限定的な例は、米国特許出願公開第2006/0275237号及び同第2004/0175347号(両方ともBissettらにより出願された)に記載されている。
【0040】
いくつかの例において、本方法に従って使用される組成物は、即時的な外観及び/又は感触の効果を提供するために、0.001%〜40%(例えば、1%〜30%、又は2%〜20%)の、1つ若しくは2つ以上の粒子材料及び/又は化粧料用粉末を含む。これらの粒子は、例えば、小板形状、球状、細長形状若しくは針状、又は不規則形状であってよく、表面がコーティングされていてもされていなくてもよく(例えば、疎水性コーティング)、多孔質又は非多孔質であってよく、荷電又は非荷電であってよく、更に、粉末として又は前分散体として本組成物に加えることができる。例えば、顔料グレードの金属酸化物粒子(例えば、100nmを超える、又は100nm〜500nmの平均一次粒径を有するもの)が、外観の効果を提供するために所望により含まれ得る。本明細書で使用するための粒子材料のいくつかの非限定的な例は、米国特許出願公開第2012/0021027号、同第2010/0074928号、同第2010/0003205号、同第2010/0003293号、及び同第2013/0243835号に記述されている。
【0041】
別の例において、本方法に従って使用される組成物は、球状粒子の形態の粉末を含んでもよく、これは即時的な外観及び/又は感触の効果を提供する。球状粒子粉末は、製品が皮膚に吸収されるように見える速度を改善する傾向があり、これによって、製品塗布に対する制御性を改善するのに役立つ(例えば、眼に入ること及び刺激することが起こりにくい)。本明細書の球状粒子粉末は、2μm〜40μm(例えば、3μm〜25μm、又は更には5μm〜15μm)の中央粒径を有する。球状粒子粉末は更に、皮膚上の製品薄膜の滑らかな感触を高めることができる。したがって、べとつきを有さず、(JIS K6253で定義されるデュロメータAで測定される)ゴム硬度が、10〜90(例えば20〜80又は更には25〜75)の範囲である球状粒子を提供することが望ましいことがある。特に好適な一例において、この組成物は2%〜20%(例えば、4%〜12%)の球状シリコーンエラストマー粒子又は球状デンプン粒子を含む。組成物中のシリコーンエラストマー粉末の量は、整った(すなわち、溶剤中で膨張していない)形態の粒子材料に基づいて決定される。球状粒子粉末のいくつかの非限定的な例は、同時係属中の米国特許出願第14/596,360号及び同第14/596,374号(Jansenら、2015年1月14日出願)に記述されている。
【0042】
化粧品
場合によっては、本明細書の組成物は、小売業環境で化粧品として包装及び販売されることを目的としている。組成物は、当該技術分野において周知である任意の好適な一次パッケージ内に置かれてもよく(例えば、再密閉可能な瓶、ボトル、タブ型容器、又はチューブ)、この一次パッケージは、ユーザーが中に入っている組成物に繰り返してアクセスできるようにする。製品はまた、一次パッケージを少なくとも部分的に包み込む、当該技術分野において周知である任意の好適な二次パッケージを含んでもよい(例えば、箱及び/又はラップ)。製品包装は、従来の材料及びプロセスを使用して形成され得る。
【0043】
眼の下のクマを処置すると主張する様々な化粧品が現在販売されているが、これらの製品は、異なるタイプのクマを区別しておらず、このことは本組成物によって解決される問題である。しかしながら、潜在的消費者が、異なるタイプのクマが存在すること、及び本製品が特定のタイプの処置を目的としていること、を知っていることを確実にすることが重要である。製品組成物が特定のタイプの眼窩周囲色素異常症の処置を目的としていると消費者が認識することを確実にするのを支援するために、製品組成物が処置を目的としている特定のタイプの眼窩周囲色素異常症を消費者に迅速かつ効果的に伝える表示部を一次及び/又は二次パッケージ上に含むことが望ましい場合がある。例えば、表示部は、眼窩周囲色素異常症のタイプと関連する1つ又は複数の属性(例えば、色及び/又は位置)を視覚的に伝えることができる。この例を続けると、一次及び/又は二次パッケージは、眼窩周囲色素異常症のタイプの位置に対応するハイライト部を有する顔及び/又は眼の画像を含んでもよい。この例では、ハイライト部はまた、特定のタイプの眼窩周囲色素異常症と関連する色に対応するように着色されてもよい。
【0044】
図5は、タイプII眼窩周囲色素異常症の処置での使用を目的とする化粧品500の実施形態の例を示す。化粧品500は、包装540及び包装540に配置される化粧品組成物(図示せず)を含む。包装540は、一次又は二次パッケージであり得る。図5に示される例において、包装540は、個々に又は集合的に、製品組成物がタイプII眼窩周囲色素異常症の処置を目的としていると潜在的消費者に迅速かつ効果的に伝えることができる様々な表示部を含む。表示部は、言語的な構成要素(すなわち、言葉)及び非言語的な構成要素(例えば、言葉を含まない、画像、数、色、形状、デザイン、これらの組み合わせなど)を含んでもよい。いくつかの化粧品組成物は、比較的小さな一次及び/又は二次パッケージに包装されているので、パッケージ上で場所を広く取らない非言語的な表示部を選択することが特に望ましい場合がある。例えば、表示部は、ハイライト部530を有する顔の部分画像520を含んでもよい。ハイライト部530は、図1に示される、ゾーン1内にのみ配置されており、タイプII眼窩周囲色素異常症に関連する眼窩周囲領域内の位置に対応する。ハイライト部530は、必要に応じて、紫色、ピンク色、及び/又はあざのできた皮膚の色に似ている青みがかった色調で着色されていてもよく、典型的にはタイプII眼窩周囲色素異常症に関連する外観に対応する。この例における表示部はまた、製品組成物がタイプII眼窩周囲色素異常症の処置を目的としていることを示す、ローマ数字の2である535も含む。例における表示部はまた、3つの異なるタイプの眼窩周囲色素異常症(すなわち、タイプI、タイプII、及びタイプIII)を視覚的に示す一連の3点の画像515も含む。この一連のもの515内のタイプII眼窩周囲色素異常症に対応している中央の画像は、製品組成物が処置を目的としている眼窩周囲色素異常症のタイプであることを示すために円525によって強調されている。
【0045】
図5の例に示される表示部は、図6に示されるように製品組成物が異なるタイプの眼窩周囲色素異常症(例えば、タイプIII)の処置を目的としていることを、潜在的な消費者に迅速かつ効果的に伝えるように容易に適応できることを理解されたい。
【0046】
使用方法
本明細書の組成物は、眼窩周囲色素異常症を呈する人の眼窩周囲領域に配置された標的皮膚表面への局所塗布を対象としている。標的皮膚表面は、眼窩周囲色素異常症を呈する人(例えば、自己評価によって)、専門の採点者(例えば、直接会って、又はその人の画像から)、好適な診断方法と組み合わせた診断装置(例えば、好適な画像分析ソフトウェアと組み合わせたデジタルカメラ)、又はこれらの組み合わせによって識別され得る。組成物は、処置期間中、大体1日1回、1日2回、又は更にはそれ以上の頻度で皮膚の色素異常症の部分に塗布され得る。場合によっては、組成物は、週に1回又は複数回、ただし1日1回未満、例えば、週に2、3、4、5、又は6回塗布されてもよい。組成物を局所的に塗布することが望ましい場合がある。本明細書で使用するとき、「局所的な」、「局所」、及び「局所的に」は、処置を必要としない皮膚の部分への送達を最小にしながら組成物を皮膚の標的区域(すなわち、眼窩周囲色素異常症を呈する眼窩周囲皮膚の標的部分)に送達することを意味する。例えば、組成物を、処置される眼窩周囲色素異常症のタイプに応じて、ゾーン1、2、及び/又は3内の標的皮膚表面に塗布して、標的皮膚表面へと軽くマッサージしてもよい。あるいは、組成物を、眼窩周囲領域全体又は更には顔全体に塗布してもよい。あるいは、全体的塗布は、皮膚の標的区域及び標的区域以外の皮膚の1ヶ所又は複数ヶ所の区域に組成物を塗布することを指す。例えば、眼窩周囲領域内の皮膚の標的部分を含む顔全体に塗布されるスキンケア組成物は、全体的に塗布されている。目的どおりに利用すれば、本組成物は、視覚スケール(「VPS」)の正のスコア、血液潅流の減少、L値の増加、a値の減少、及び/又はb値の増加によって証明されるように、眼窩周囲色素異常症、特にタイプII及び/又はタイプIII眼窩周囲色素異常症の外観を改善する。
【0047】
組成物又は皮膚科学的に許容可能なキャリアの形態は、塗布が容易となるように選択されるべきである。場合によっては、組成物は、全体的な及び/又は局所的塗布に好適なアプリケータを用いて送達され得る。例えば、アプリケータは、1〜50μL/cmの組成物(例えば、1〜5μL/cm)を標的皮膚表面に好適に塗布するように構成され得る。当然のことながら、アプリケータは必要なく、本明細書のパーソナルケア組成物は、指を使用するか、又は他の従来の手段によって直接塗布することもできることが理解されよう。
【0048】
方法
視覚法
この方法は、視覚スケール(「VPS」)を使用して眼窩周囲色素異常症の外観の変化を定量的に評価する方法を提供する。本明細書に記載される視覚による採点は、訓練を受けた採点者によって被験者の捕捉された画像で行なわれるが、この方法はまた、眼窩周囲色素異常症を自己診断する際に消費者向けに、及び/又は別の人による人の眼窩周囲領域のin vivo検査向けに容易に適用され得る。例えば、小売業環境で消費者に接客する美容コンサルタントに、眼窩周囲色素異常症を分類するように訓練することが望ましい場合がある。0週目に収集された基準画像と後続の時点の画像の比較を実施する。変化度は、下の表1に示す−4〜+4等級尺度を使用して採点される。負の数字は、眼窩周囲色素異常症が基準時により良く見えたことを示し、一方で正の数字は、基準に対する被験者の外観の改善を反映している。採点される眼窩周囲領域の区域は、眼の内側角部から、頬骨に沿って、周って眼の外側角部まで、横方向の眼窩の周縁を含んで延在する、概ね眼の下の眼窩の区域を包含する。この方法で採点される眼窩周囲領域の区域は、下眼瞼の直下の区域(下睫毛によって画定される)、上眼瞼又は上の眼窩を含まない。採点者によって考慮される特徴としては以下が挙げられる:1)周囲の皮膚色調と比較した眼窩周囲色素異常症の変色の暗さの相対的な様子;2)眼窩周囲色素異常症の患部面積、フットプリント又はパターン;及び3)変色に伴う色素沈着の色相の様子及びその強度。
【0049】
【表1】
【0050】
血液潅流法
血液潅流は、一般に生物組織内の毛細血管床に血液を送達するプロセスとして認識されている。眼窩周囲領域の毛細血管床内の血管及び血液は、比較的薄い眼窩周囲皮膚を通して見える場合がある。したがって、眼窩周囲皮膚の毛細血管床内及びその周辺で血液があまり見えないとき、眼窩周囲色素異常症の外観における対応の改善が存在する。血液潅流法は、眼窩周囲皮膚の毛細血管床内に存在する血液量の変化を測定する好適な方法を提供する。
【0051】
血液潅流法は、レーザースペックルコントラスト分析(「LASCA」)技術に基づいている血液潅流撮像装置(例えば、PeriCam(商標)PSIブランドの撮像装置又は同等のもの)を、PIMsoft(商標)ブランドの専用アプリケーションソフトウェア又は同等のものと共に使用して、組織の血液潅流をリアルタイムで視覚化する。被験者は、撮像装置の10〜25cm以内に快適に着座し、眼を閉じるように指示される。製造業者の取扱い説明書に従い撮像装置によって被験者の顔の3点の画像(すなわち、潅流、強度及び標準色の画像)を捕捉し、記録する。専用アプリケーションソフトウェアを使用して、被験者の眼窩周囲領域をマスクして(すなわち、所望の領域として指定する)、所望の眼窩周囲領域内の潅流測定値を得る。マスキングを、撮像法で以下により詳細に記載する。
【0052】
画像化方法
本方法は、L値を判定するため及びVPS試験のための再現可能で分析可能な画像を捕捉するための手段を提供する。任意の好適な画像捕捉装置並びに画像化ソフトウェア及び他の付随する付属装置(例えば、コンピュータ及びライト)を使用することができる。特に好適な画像化システムは、Canfield Scientific(New Jersey)より入手可能なVisia−CR(登録商標)ブランドの画像化システムである。Visia(登録商標)ブランドの画像化システムは、Canon(登録商標)ブランドのEOS−1Ds Mk III SLRカメラを搭載しており、これはCMOSセンサを含み、21.1メガピクセル解像度(14ビットA/Dコンバータ)を提供する。
【0053】
画像は、標準光、UV、交差偏光、平行偏光又はこれらの組み合わせを使用して異なる照明様式の下で収集され得る。例えば、本明細書に記載される値及び範囲は、(D65/2)光源を使用して報告される。当業者には、これらの値が、良く知られている変換方法に従って広範囲の異なる照明(D50、D75、イルミナントA、F2、F7、F11、TL84など、又は2若しくは10度オブザーバ)で報告され得ること、及びそのような変換が生じると、色値は典型的にはそれに応じて変化することが理解されよう。換言すれば、実際の制限及び/又は範囲は、画像が捕捉される条件に基づいて変更し得るとしても、値と範囲の間の同様の関係は、依然として見られるだろう。例えば、カメラが赤チャネルで本明細書に記載したカメラより低いスペクトル感度を有する場合、Rチャネル応答は低くてもよく、対応のL色値は異なることになり、この場合それはより低いa値及び/又はより高いb値をもたらし得る。したがって、異なるカメラ感度、照明及び妥当な露光が想到され、また本明細書に開示される実際の制限及び/又は範囲は、画像が本明細書に記載されるシステム及び/又は方法の範囲から逸脱せずに捕捉される特定の状況によって異なり得る。
【0054】
画像を捕捉するための準備として、被験者は顔を洗い、顔を乾燥させるために少なくとも15分間待つことを求められる。被験者の毛髪をヘアネットで覆い、被験者の頭と肩を黒い布で覆う。関心対象の画像領域において見ることができる全ての宝石類は取り除かれる。被験者は、被験者のあごが画像化システムのあご当て上に快適に静止して、画像捕捉装置によって(左側又は右側画像と異なり)顔の正面画像を好適に捕捉することができるように位置付けられる。被験者が位置付けられた後、被験者の眼を開けた状態で1点又は複数の画像を捕捉する(例えば、1〜24、2〜20、又は更には3〜15)。画像を捕捉するときに被験者の眼が必ず開いているようにすることが重要になり得る。そうでなければ閉じた上眼瞼が、不正確な色素沈着の測定値の原因となる恐れがある。捕捉された画像(複数可)は、原画像を.jpgファイル形式に変換することによって処理される。
【0055】
次に、.jpg形式画像は、好適な画像解析ソフトウェアを備えたコンピュータによって分析される。場合によっては、画像の一部だけを分析することが望ましいことがある(例えば、眼窩周囲領域のゾーン1、2及び/又は3)。分析する画像の部分は、Photoshop(登録商標)又はImageJ(登録商標)ブランドのソフトウェアなどの画像編集ソフトウェアを使用して「マスクする」ことができる。次いで、マスクされた領域を分離し、別個の画像として分析することができる。好適な分析のために画像を必ずしもマスクする必要はなく、場合によっては、画像全体を分析してもよいことを理解されたい。いくつかの例では、シャドーイングが生じる可能性がある画像の外縁の周りの数ピクセル(例えば、5〜15ピクセル)だけ、画像、マスク、及び/又は関心領域のサイズを低減することが望ましい場合がある。
【0056】
デバイスに依存する画像のRGB値は、L値に変換される。L値は、D65光源及び2度オブザーバ(すなわち、D65/2)で好適なRGB変換ツール(例えば、コンピュータにインストールされたソフトウェア又はオンラインで見つけた好適な変換ツール)を使用して計算することができる。RGB値からL値への変換は、画像全体、その一部、又は1つ若しくは2つ以上の個々のピクセルで実行することができる。得られたL値は、画像、マスク、又は関心領域の平均値を得るために平均されてもよい。
【0057】
場合によっては、画素を個々に分析してもよく、それぞれの画素は、1つ又は複数のL値に基づいて眼窩周囲色素異常症の特定のタイプに対応すると分類される。個々に分析したときに、画素は、異なるタイプの眼窩周囲色素異常症間での画素の分布に従って分析され得る。例えば、どの機器及び/又は画像システムが使用されるかによって色が相対的であると知覚されることがあるので、好適な色補正技術を用いて各被験者についてマスクされた領域を色補正することが重要であり得(例えば、国際色彩コンソーシアムの規格及び実務による)、これはシステムによる色の判定を計器特有でなくするのに役立つ。場合によっては、所望の領域(例えば、マスクされた領域)内の色を、近隣領域(例えば、頬)の基本の皮膚色調に対して正規化することが望ましい場合がある。例えば、頬の基本の皮膚色調は、頬の所望の領域をマスクすること、及び上述のようにマスクされた領域内のRGB値をL値に変換することによって得ることができる。得られた頬の基本の皮膚色調値を、次に所望の領域の対応する値から減算して正規化された値を提供することができる。色の正規化は、所望の領域全体で(例えば、ROIの平均値)又は200,000画素以上であり得るROIの画素のいくつか若しくは全てについて画素ごとに実行することができる。
【0058】
コントラスト比法
本明細書で、「コントラスト比」は、組成物を不透明度チャート(Form N2A(Leneta Company(Manwah,NJ))又はその同等物)上に伸ばした後に決定される、組成物の不透明度(すなわち組成物が光透過を低減させるか、又は妨げる能力)を指す。コントラスト比は、正反射を除外するように選択した設定で、分光光度計を使用することにより測定される。組成物を不透明度チャートの上部に適用し、次いでフィルムアプリケータ(例えば、BYK Gardner(Columbia,Maryland)から市販されているもの、又はその同等物)を用いて、約25マイクロメートルの厚さを有するフィルムになるように伸ばす。フィルムは、22℃±1℃、0.1MPa(1気圧)の条件下で2時間乾燥させる。鏡面反射を除外するように選択される設定で分光光度計を用いて、製品フィルムのY三刺激値(すなわち、フィルムのXYZ色空間)を測定し、記録する。不透明度チャートの黒色セクション上の製品フィルムの3つの異なる領域で、測定し、また、不透明度チャートの白色セクション上の製品フィルムの3つの異なる領域で測定する。
【0059】
コントラスト比は、黒色領域上の3つのY三刺激値の数学的平均値を、白色領域上の3つのY三刺激値の数学的平均値で割り、100を掛けて算出される。
【0060】
【数1】
【実施例】
【0061】
実施例1−配合実施例
表2は、本方法によって使用するための5種の例示的な水中油型エマルションの化粧品組成物を示す。組成物A〜Eは、以下のとおり調製され得る。好適な容器中で水相成分を混和し、75℃まで加熱する。別の好適な容器中で油相成分を混和して75℃まで加熱する。油相を水相に加え、生じたエマルションを粉砕する(例えば、TEKMAR(商標)T−25又は同等物を使用)。そのエマルションに増粘剤を加え、撹拌しながら45℃まで冷却する。45℃で残りの成分を加える。生成物を30℃まで撹拌しながら冷却し、好適な容器に注入する。
【0062】
【表2】
Sederma(France)から入手可能な、パルミトイル−リジン−トレオニン−トレオニン−リジン−セリン
Kobo Products Inc.から入手可能な、二酸化チタンコーティング雲母
Akzo Nobelからの、タピオカデンプン及びポリメチルシルセスキオキサン
Ashland Specialty Ingredients(New Jersey)からのFOLLISYNC
【0063】
表3は、本方法によって使用するための5種の例示的な水中シリコーン型エマルションの化粧品組成物を示す。組成物F〜Jは、以下のとおり調製され得る。好適な容器中で水相成分を混和して均一になるまで混合する。別の好適な容器中でシリコーン/油相成分を混和し、均一になるまで混合する。増粘剤の半分を添加し、次いで、シリコーン/油相を水相に添加し、得られたエマルションを破砕する(例えば、Tekmar(商標)T−25を用いて)。残りの増粘剤を加え、次に、撹拌しながら残りの成分をエマルションに加える。組成物が均一になったら、生成物を好適な容器に注入する。
【0064】
【表3】
Sederma(France)から入手可能な、パルミトイル−リジン−トレオニン−トレオニン−リジン−セリン
Dow Corning Corp.からのシリコーンエラストマー分散体
Shin Etsuからのシリコーンエラストマー分散体
Shinetsuからの、ビニルジメチコン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
Kobo Products Inc.からの、二酸化チタンコーティング雲母
Eckartからの二酸化チタン及び酸化スズでコーティングされた雲母。
Engelhard Corporationからの酸化鉄コーティング雲母。
Akzo Nobelからの、タピオカデンプン及びポリメチルシルセスキオキサン
Ashland Specialty Ingredients(New Jersey)からのFOLLISYNC
【0065】
表4は、本方法によって使用するための2種の例示的なシリコーン中水型エマルションの化粧品組成物を示す。組成物K〜Lは、以下のとおり調製され得る。好適な容器中で、好適なミキサーを用いてA相の成分を、全ての成分が溶解するまでブレンドする。好適な容器中で、B相成分をブレンドし、均一になるまで混合する。A相をB相に混合しながらゆっくりと添加し、均一になるまで混合し続ける。適切なミル(例えば、TEKMAR T−25)を使用して、得られた生成物を約5分間粉砕する。次に、生成物を撹拌しながら、C相を添加する。生成物が均一になるまで混合し続け、生成物を好適な容器に注入する。
【0066】
【表4】
Sederma(France)から入手可能な、パルミトイル−リジン−トレオニン−トレオニン−リジン−セリン
KSG−21は、Shin Etsuから入手可能な乳化性シリコーンエラストマーである
Dow Corning Corpからのシリコーンエラストマー分散体
Goldschmidt Chemical Corporationから入手可能なAbil EM−97
Kobo Products Inc.からの、シラン表面処理二酸化チタンコーティング雲母
Ashland Specialty Ingredients(New Jersey)からのFOLLISYNC
【0067】
表5は、本方法に用いるためのパーソナルケア組成物の代表的な実施例を示す。組成物は、容器中で水相成分をまず混和し、〜75℃まで加熱しながら均一になるまで混合することによって調製される。一方、油相のパート1の成分は、別個の容器の中に計量し、〜75℃まで加熱しながら均一になるまで混合する。それぞれの相の両方が均一になったら、油相のパート1を水相に添加する。得られた混合物は、高剪断攪拌を受け(例えば、Flacktek Speedmixer、又はローターステーターミル)、次に撹拌しながら冷却される。次に増粘剤を撹拌し続けながら添加する。最後に、バッチが45℃に達すると、活性成分(すなわち、ソラマメ抽出物)を、油相のパート2の成分と共に添加し、撹拌しながら冷却を続ける。30Cで、得られた混合物は、再度高剪断攪拌を受け、次に生成物を好適な容器の中に注入する。
【0068】
【表5】
Seppic(France)からの、ポリアクリルアミド、C13〜14イソパラフィン、及びラウレス−7。
Dow Corning,Inc.(Midland,MI)からのジメチコン及びジメチコノール
Ashland Specialty Ingredients(New Jersey)からのFOLLISYNC
【0069】
実施例2:in vivo試験(VPS、血液潅流及び画像)
この実施例は、タイプII及びタイプIII眼窩周囲色素異常症の外観を改善するための本方法の能力を実証する。20〜60才の25人の白人女性の被験者は、9週間の、顔面分割、ラウンドロビンデザイン試験に参加して、タイプII及びタイプIII眼窩周囲色素異常症の外観を改善するためのソラマメ抽出物の能力を評価した。表5からの実施例Rの水中油型エマルションを、この試験で評価した。
【0070】
試験の間、被験者の顔の左側の眼窩周囲領域の眼の下の部分(すなわち、図4Aの陰影区域400)を試験組成物で処置した。そして被験者の顔の右側の眼窩周囲領域の眼の下の部分を溶媒対照で処置した(すなわち、ソラマメ抽出物がないことを除いて試験組成物と同じ組成物)。被験者は、支給されたクレンジングクロス及び顔用保湿剤を1日2回使用するように指示された。被験者はまた、試験の経過中にいかなるアイトリートメント製品の使用も控えるように、顔の日焼け又はタンニングにつながり得る過剰なUV照射を避けるように指示された。被験者は、眼の下の組成物の塗布5分後に通常のメイクアップ製品(例えば、ファンデーション、ブラシ、アイライナー及びリップライナー)を使用することを許可されたが、ブランドの変更をしないように依頼された。被験者は、対照及び試験組成物を1日2回、朝に1回、及び晩の少なくとも寝る30分前に1回塗布した。約0.04g又は40〜50μLの各組成物を、適切な眼の下の眼窩周囲皮膚に塗布した。視覚法、撮像法、及び血液潅流法で使用するために被験者の画像及び血液潅流データを0週目(基準)、2週目、4週目、及び8週目に収集した。基準値を、試験の開始時(0週目)に決定し、対照値を、全被験者にわたって平均化した。
【0071】
in vivo試験の結果は、以下に、タイプII眼窩周囲色素異常症を呈する被験者については表6、7、及び8に、またタイプIII眼窩周囲色素異常症を呈する被験者については表9、10、及び11に示されている。表6〜11に示される結果は、平均値の平均である。それぞれの一対比較について、変量効果(被験者)、処置効果、及び固定効果(顔の側部及び基準)を含んだ混合モデルを使用してそれぞれの終了点を分析した。この試験では、片側p値を使用して、対照と比べて処置の有効性を比較した。0.2以下及び0.8以上のP値を、統計的に有意であるとみなし、0.3未満であるが0.2超及び0.8未満であるが0.7超のp値を統計的にある傾向を見せるとみなす。この結果から、ソラマメ抽出物が眼窩周囲色素異常症の外観に改善をもたらしたと見ることができる。
【0072】
表6は、試験組成物及び溶媒対照によって処置されたタイプII被験者について基準値に対するVPSの変化を示す。
【0073】
【表6】
【0074】
表7は、試験組成物及び溶媒対照による、タイプII眼窩周囲色素異常症の処置について基準値に対する血液潅流値の変化を示す。
【0075】
【表7】
【0076】
表8は、試験組成物及び溶媒対照による、タイプII眼窩周囲色素異常症の処置について基準値に対する撮像値(すなわち、L値、a値、及びb値)の変化を示す。
【0077】
【表8】
【0078】
表9は、試験組成物及び溶媒対照による、タイプIII眼窩周囲色素異常症の処置について基準値に対するVPSスコアの変化を示す。
【0079】
【表9】
【0080】
表10は、試験組成物及び溶媒対照による、タイプIII眼窩周囲色素異常症の処置について基準値に対する血液潅流値の変化を示す。
【0081】
【表10】
【0082】
表11は、試験組成物及び溶媒対照による、タイプIII眼窩周囲色素異常症の処置について基準値に対する撮像値(すなわち、L値、a値、及びb値)の変化を示す。
【0083】
【表11】
【0084】
実施例3:in vitro試験(B16−メラニンアッセイ)
この実施例は、ソラマメ抽出物が、メラニン合成を阻害できないことを実証する。メラニン過多は、タイプI眼窩周囲色素異常症の外観の主な誘因であるが、タイプII眼窩周囲色素異常症については違うと考えられている。したがって、従来のB16アッセイでメラニン阻害活性の不足によって実証されるように、ソラマメ抽出物を用いたタイプI眼窩周囲色素異常症の処置は、その外観に何らかの改善を提供する必要はない。このことは、「画一的な」アプローチが全てのタイプの眼窩周囲色素異常症を処置する最良の方法ではない場合があることを示しているので、重要である。例えば、ソラマメ抽出物を利用する組成物は、タイプI眼窩周囲色素異常症の外観を改善しない場合がある。
【0085】
この実施例では、American Tissue Culture Collection(Virginia,USA)から市販されているB16−F1マウスメラノーマ細胞株を、従来のメラニン合成阻害アッセイで使用した。アッセイに使用する細胞培養培地は、500mLのDulbecco改変イーグル培地(DMEM)、50mLのウシ胎児血清(FBS)、及び5mLのペニシリン−ストレプトマイシン液である。この培地で培養し、集密度90%超まで増殖させたB16−F1細胞は、メラニンを合成することになる。任意の理論により束縛されるものではないが、メラニン合成は、培養液により及び/又は高培養密度まで増殖させることより誘導されるストレスにより刺激されるものと仮定される。DMEM及びFBSはAmerican Tissue culture Collectionから入手でき、ペニシリン−ストレプトマイシン液はInvitrogen,Inc.,California,USAから入手できる。アッセイで使用される装置としては、Therma Scientific(Massachusetts,USA)によるForma Series Model 3110などのCOインキュベータ;Hauser Scientific(Pennsylvania,USA)によるBright Line modelなどの血球計;及びMolecular Devices(California,USA)からのSpectraMax250などのUV可視スペクトルプレートリーダーが挙げられる。
【0086】
0日目:アッセイを開始するために、細胞培養培地を37℃まで加熱し、29mLの培地をT−150フラスコ中に置いた。継代数1のB16−F1のマウス細胞約1×10個をT−150フラスコに加え、37℃で3日間、5% CO、90%相対湿度で、集密度が〜80%になるまで培養する。
【0087】
3日目:T−150フラスコからの細胞をトリプシン処理し、血球計を使用して細胞の濃度を決定する。96ウェルプレートに、1ウェルあたり100μLの細胞培養培地を入れ、2,500個の細胞を用い培養を開始する。プレートを37℃、5% CO2、90%相対湿度で、少なくとも20%〜40%コンフルエント迄、2日間インキュベートする。
【0088】
5日目−プレートから細胞培養培地を除去し、新鮮な培養培地(100μL/ウェル)で置き換える。水溶媒で希釈した試験化合物1μLを添加する。複数の希釈比を試験して用量応答曲線を生成してもよく、好ましくは3つのウェルを各希釈比で処理する。陽性及び陰性対照は、細胞培養培地、B16−F1細胞、及び溶媒(陰性対照)を有するウェル、並びに細胞培養培地、B16−F1細胞、及び周知のメラニン阻害物質(例えば、デオキシアルブチン又はコウジ酸)を含むウェルを含んでもよい。
【0089】
7日目:細胞は〜90%超の集密度を有するべきである。そうでない場合、このデータ点は使用しない。各ウェルに100μLの0.75%水酸化ナトリウム溶液を加える。UV−Visプレートリーダーを使用して、96ウェルプレートを410nmにて読み取り、ソラマメ抽出物で処理されたウェルと、処理されなかった対照ウェルとの間で、生成されたメラニンの量を光学的に測定する。メラニンが生成されたウェルは、茶色がかって見える。メラニンがほとんど生成されなかったウェルは、透明から薄紫色に見える。メラニン合成阻害率(%)は、次式に
より計算する。
【0090】
【数2】
式中、OD410は、UV−Visスペクトルプレートリーダーで測定された410nmでの光学密度である。
【0091】
対照#3を使用する場合、メラニン合成阻害率(%)の式は、次のとおりである。
【0092】
【数3】
【0093】
IC 50を提供するために必要な試験薬の濃度を記録する。
【0094】
表12は、IC 50を提供するために必要なそれぞれの組成物の濃度を示す。この実施例に使用される陽性対照は、その両方がよく知られたメラニン合成の阻害物質であるデオキシアルブチン及びコウジ酸である。表12に示されるように、IC 50を得るために必要な試験組成物の濃度は、デオキシアルブチン又はコウジ酸のいずれかよりも更に高く、この実施例で試験されたソラマメ抽出物はメラニン合成の阻害物質が不足していることを示唆した。
【0095】
【表12】
Ashland Specialty Ingredients(New Jersey)からのFOLLISYNC
【0096】
実施例及び組み合わせ
12.眼窩周囲色素異常症の外観を改善するための化粧品組成物であって、
a)有効量のソラマメ(Vicia faba)抽出物と、
b)皮膚科学的に許容可能なキャリアと、
c)約50,000〜約200,000cpsの粘度と、を含む化粧品組成物。
13.ソラマメ(Vicia faba)抽出物の量は、タイプII眼窩周囲色素異常症の外観を改善するのに有効である、段落Aに記載の組成物。
14.ソラマメ(Vicia faba)抽出物は、約0.0001%〜約15%、又は約0.05%〜約10%、又は約0.1%〜約5%で存在する、段落A又はBに記載の組成物。
15.組成物は、約5〜約40のコントラスト比を有する、段落12〜14のいずれか一段落に記載の組成物。
16.ソラマメ(Vicia faba)抽出物は、ペプチド加水分解物である、段落12〜15のいずれか一段落に記載の組成物。
17.皮膚科学的に許容可能なキャリアは、エマルションである、段落1〜8のいずれか一段落に記載の組成物。
18.エマルションは、シリコーン油、非シリコーン油、エステル、エーテル、又はこれらの混合物を含む油相を含む、段落Fに記載の組成物。
19.エマルションは、保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、皮膚色調剤,皮膚老化防止剤、抗炎症剤、及びこれらの組み合わせから選択される水溶性皮膚活性成分を含む水相を含む、段落Fに記載の組成物。
20.眼窩周囲色素異常症の外観を改善するための化粧品であって、
a)ソラマメ(Vicia faba)抽出物を約0.0001%〜約15%と、皮膚科学的に許容可能なキャリアと、を含む化粧品組成物と、
2.化粧品組成物を含む一次パッケージであって、ユーザーが中に入っている化粧品組成物にアクセスできるようにする少なくとも1つの開口部を含む、一次パッケージと、を含む化粧品。
21.化粧品組成物は、約5〜約40のコントラスト比を有する、段落Iに記載の化粧品。
22.化粧品組成物は、1つ又は複数の色素を含む、段落I又はJに記載の化粧品。
23.組成物は、約50,000〜約200,000cpsの粘度を有する、段落12〜22のいずれか一段落に記載の化粧品。
24.一次パッケージ上に配置された表示部を更に含み、表示部はユーザーに、化粧品組成物がタイプII及びタイプIII眼窩周囲色素異常症の少なくとも1つを処置するためのものであるということを伝える、段落12〜23のいずれか一段落に記載の化粧品。
25.表示部は、言語的な構成要素及び非言語的な構成要素のうち少なくとも1つを含む、段落Mに記載の化粧品。
26.表示部は、眼の付近に配置された眼窩周囲色素異常症を描いた画像を含む、段落Mに記載の化粧品。
27.一次パッケージを少なくとも部分的に包み込む二次パッケージを更に含む、段落12〜26のいずれか一段落に記載の化粧品。
28.二次パッケージ上に配置された表示部を更に含み、表示部はユーザーに、化粧品組成物がタイプII及びタイプIII眼窩周囲色素異常症の少なくとも1つを処置するためのものであるということを伝える、段落Pに記載の化粧品。
【0097】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0098】
あらゆる相互参照される又は関連する特許若しくは出願を含む、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外される、又は別途限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、又はそれを単独で若しくは任意の他の参考文献と組み合わせたときに、そのような任意の発明を教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照として組み込まれた文献内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に付与された意味又は定義が優先される。
【0099】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6