(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674046
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】電気刺激中のインピーダンスのモニタリング
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20200323BHJP
A61N 1/08 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/08
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-555316(P2018-555316)
(86)(22)【出願日】2017年1月10日
(65)【公表番号】特表2019-501003(P2019-501003A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】IL2017050028
(87)【国際公開番号】WO2017122195
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2020年1月7日
(31)【優先権主張番号】14/992,046
(32)【優先日】2016年1月11日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517244548
【氏名又は名称】セラニカ バイオ‐エレクトロニックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハルパック,アムノン
(72)【発明者】
【氏名】ヒツィ,ウツィ
【審査官】
白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0296934(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0264171(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0257970(US,A1)
【文献】
特公昭62−44950(JP,B2)
【文献】
国際公開第2011/155089(WO,A1)
【文献】
特表2012−532672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00−1/44
A61B 5/00−5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)一対の電極(26a、26b)を含む刺激回路(24)、(ii)測定回路(28)、および(iii)電圧源(36)を伴う使用のための装置であって、前記装置がコントローラ(22)を備え、前記コントローラ(22)が、
前記コントローラ(22)を前記刺激回路(24)および前記測定回路(28)に結合するように構成された少なくとも1つのインタフェース(62)と、
前記一対の電極(26a、26b)が対象者の皮膚に結合された状態で、刺激処置を、
前記刺激回路(24)を駆動して前記一対の電極(26a、26b)間に複数の刺激パルスを流すことと、
前記刺激回路(24)を駆動して前記一対の電極(26a、26b)間に1つ以上の処置中基準パルスを流し、前記処置中基準パルスが前記刺激パルスのそれぞれと異なることと、
前記測定回路(28)から、前記処置中基準パルスを用いて測定される前記一対の電極(26a、26b)間の処置中インピーダンスを受信することと、
前記刺激パルスを用いて測定されたいずれのインピーダンスにも応じないが、前記処置中基準パルスを用いて測定されたインピーダンスに応じて、前記刺激処置を制御することと、
によって行うように構成された制御回路(64)と、
を備える、装置であり、
前記制御回路(64)が、前記一対の電極(26a、26b)が前記対象者の皮膚に結合された状態で、前記刺激処置に先立って補正手順を、
前記刺激回路(24)を駆動して前記一対の電極(26a、26b)を介して補正基準パルスを流すことと、
前記一対の電極(26a、26b)間のベースラインインピーダンスを測定することと、
前記電圧源(36)を、測定されたベースラインインピーダンスおよび最大所望刺激電流の積よりわずかに高い電圧に設定することと、
によって行うように構成されていることと、
前記制御回路(64)が、前記刺激処置を行うために、わずかにより高い電圧に設定された電圧源(36)を用いるように構成されていることと、
を特徴とする、装置。
【請求項2】
前記制御回路(64)が、前記刺激回路(24)を駆動して1つ以上の対称処置中基準パルスを流すことによって、前記刺激回路(24)を駆動して前記一対の電極(26a、26b)間に前記1つ以上の処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御回路(64)が、前記刺激回路(24)を駆動して1つ以上の非対称処置中基準パルスを流すことによって、前記刺激回路(24)を駆動して前記一対の電極(26a、26b)間に前記1つ以上の処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御回路(64)が、前記刺激回路(24)を駆動して前記刺激処置の少なくとも1つのパルスを前記処置中基準パルスのうち1つで置換することによって、前記刺激回路(24)を駆動して前記一対の電極(26a、26b)間に前記1つ以上の処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記制御回路(64)が、前記刺激処置のいずれのパルスも前記処置中基準パルスのうち1つで置換することなしに、前記刺激回路(24)を駆動して前記1つ以上の処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記制御回路(64)が、前記刺激回路(24)を駆動して前記刺激パルスのうち少なくとも1つの振幅より小さく変動する振幅を有する少なくとも1つの処置中基準パルスを流すことによって、前記刺激回路(24)を駆動して前記一対の電極(26a、26b)間に前記1つ以上の処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記制御回路(64)が、前記刺激処置を中止することによって、測定された処置中インピーダンスに応じて前記刺激処置を制御するように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記制御回路(64)が、前記刺激回路(24)を駆動してそれぞれの対の前記刺激パルスのそれぞれの対の間に複数の処置中基準パルスを流すことによって、前記刺激回路(24)を駆動して前記一対の電極(26a、26b)間に前記1つ以上の処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記制御回路(64)が、
前記測定回路(28)から、前記一対の電極(26a、26b)間の処置中インピーダンスを受信する前に前記一対の電極(26a、26b)間のベースラインインピーダンスを受信し、
前記処置中インピーダンスを前記ベースラインインピーダンスに基づく閾値と比較することに応じて、前記刺激処置を制御する
ように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記制御回路(64)が、さらに、前記刺激処置中に前記閾値を適応的に調整するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記制御回路(64)が、前記刺激回路(24)を駆動して前記刺激パルスのうち少なくとも1つの振幅より低い振幅を有する少なくとも1つの処置中基準パルスを流すことによって、前記刺激回路(24)を駆動して前記一対の電極(26a、26b)間に前記1つ以上の処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記制御回路(64)が、前記刺激回路(24)を駆動して15mA未満の電流を有する少なくとも1つの処置中基準パルスを流すことによって、前記刺激回路(24)を駆動して前記少なくとも1つの処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記制御回路(64)が、前記刺激回路(24)を駆動して10mA未満の電流を有する少なくとも1つの処置中基準パルスを流すことによって、前記刺激回路(24)を駆動して前記少なくとも1つの処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記制御回路(64)が、前記刺激回路(24)を駆動して15V未満の電圧を有する少なくとも1つの処置中基準パルスを流すことによって、前記刺激回路(24)を駆動して前記少なくとも1つの処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記制御回路(64)が、前記刺激回路(24)を駆動して前記刺激パルスのうち少なくとも1つの持続時間より短い持続時間を有する少なくとも1つの処置中基準パルスを流すことによって、前記刺激回路(24)を駆動して前記一対の電極(26a、26b)間に前記1つ以上の処置中基準パルスを流すように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年1月11日に出願された「電気刺激中のインピーダンスのモニタリング」と題する、Harpakの米国特許出願第14/992,046号の優先権を主張するものであり、その一部継続出願である。
【0002】
上記出願は、参照により本明細書中に援用される。
【0003】
本発明は、医療処置に関し、具体的には、組織の電気刺激に関する。
【背景技術】
【0004】
経皮的電気神経刺激(TENS)は、装置により生成される電流を用いて神経を治療目的で刺激する。神経筋電気刺激(NMES)または電気的筋刺激としても知られる電気的筋肉刺激(EMS)は、電気インパルスを用いて筋収縮を導出する。
【0005】
参照によってその開示が本明細書中に援用される米国特許8,620,434は、電極を介して経皮的電気神経刺激を加える装置および方法を記載する。装置は、皮膚インピーダンスの変化を検出するように配置され、かつ、神経を刺激する刺激モードの動作から、変化した皮膚インピーダンスを検出した際の再補正モードの動作へと切り替えるように構成された電極を含む。装置は、複数の電極を含んでもよく、これらの電極は、皮膚インピーダンスの変化を検出するように構成され、かつ、複数の電極を介して皮膚に流れる電流を調整するように構成されている。
【0006】
参照によってその開示が本明細書中に援用される米国特許出願公開第2004/0015212号は、装置の動作をモニタリングし適切な場合は必要な修正アクションをもたらす剥離検出システムを用いることにより提供される、電気治療装置の改良された動作特徴を記載する。より具体的には、電気治療装置は、患者に対して許容範囲の接続が維持されているか否かを判定するために、電極の接続特性をモニタリングする。これらの接続をモニタリングするために、システムが最初に開始されたときベースライン信号測定値が作成される。次いで、後続の測定値は、このベースライン測定値と比較されて、大きさが許容範囲内に収まることを確保する。測定値が許容範囲外の接続状況を示す場合、電気治療装置はシャットダウンされ、適切な警告信号がユーザに提供される。複数の出力チャネルが使用される場合、信号結合が存在しないことを確保するために、分離回路はフィードバックネットワークに包含される。
【0007】
参照によって本明細書中に援用される、2007年のIEEE EMBSの第29回国際年次大会の議事録において発表された「An improved Method to continuously monitor the Electrode−Skin Impedance during Bioelectric Measurements,(生体電気測定中の電極−皮膚インピーダンスを連続してモニタリングするための改良された方法)」と題するDegenおよびLoeligerによる論文は、生体電気記録中の電極−皮膚インピーダンスを、増幅器の同相除去比(CMRR)を低減させることなく連続的にモニタリングすることを可能にする方法を記載する。方法は、生体電気信号に重畳されたさらなる同相信号に基づくものである。
【0008】
参照によってその開示が本明細書中に援用される米国特許6,217,574は、灌注式分割形先端電極カテーテル、RFジェネレータおよび信号プロセッサを備えるRFアブレーションシステムを記載する。カテーテルは、遠位端に4つの直交配置された電極を備える。カテーテルは、心腔の電気的活動をマッピングして、切除される異常電気経路の場所(複数可)を決めるのに用いられる。切除場所が決められると、信号プロセッサは、RFジェネレータをアクティブにして、低レベルのRF電流を分割形先端電極の各電極部材に送る。信号プロセッサは、各電極部材と1つ以上の表面不関電極の間のインピーダンスを示す信号を受信し、どの電極部材が最も高いインピーダンスに関連するかを判定する。そのような電極部材は、心筋と最も大きく接触しているものである。次いで、信号プロセッサはRFジェネレータを自動的にアクティブにして、RFアブレーション電流を、病変を作成するために心筋と接触している電極部材に送る。
【発明の概要】
【0009】
本発明のいくつかの適用による、(i)一対の電極を含む刺激回路、および(ii)測定回路とともに用いる装置であって、
コントローラであって、
コントローラを刺激回路および測定回路に結合させるように構成された少なくとも1つのインタフェースと、
電極が対象者の皮膚に結合された状態で、
刺激回路を駆動して対の電極間に複数の刺激パルスを流すことによって刺激処置を実行し、
刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の、刺激パルスのそれぞれと異なる基準パルスを流し、
測定回路から、基準パルスを用いて測定された電極間のインピーダンスを受信し、
刺激パルスを用いて測定されたいずれのインピーダンスにも応じないが、基準パルスを用いて測定されたインピーダンスに応じて、刺激処置を制御するように構成された制御回路とを含むコントローラを含む装置が提供される。
【0010】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激パルスの振幅を調整することによって、測定されたインピーダンスに応じて刺激処置を制御するように構成されている。
【0011】
いくつかの適用では、制御回路は、電極と皮膚の結合に対する所要の調整を示す警告を生成することによって、測定されたインピーダンスに応じて刺激処置を制御するように構成されている。
【0012】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して1つ以上の対称基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の基準パルスを流すように構成されている。
【0013】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して1つ以上の非対称基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の基準パルスを流すように構成されている。
【0014】
いくつかの適用では、制御回路は、基準パルスが流れている間に対の電極間の電圧を測定回路から受信することによって、基準パルスを用いて測定された電極間のインピーダンスを測定回路から受信するように構成されている。
【0015】
いくつかの適用では、制御回路は、基準パルスが流れている間に対の電極間の電流を測定回路から受信することによって、基準パルスを用いて測定された電極間のインピーダンスを測定回路から受信するように構成されている。
【0016】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して複数の電流安定化された刺激パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して対の電極間に複数の刺激パルスを流すように構成されている。
【0017】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して複数の電圧安定化された刺激パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して対の電極間に複数の刺激パルスを流すように構成されている。
【0018】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激パルスを対の電極間に流すのに用いられる供給電圧を制御することによって、測定されたインピーダンスに応じて刺激処置を制御するように構成されている。
【0019】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して刺激処置の少なくとも1つのパルスを基準パルスの1つで置換することによって、刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の基準パルスを流すように構成されている。
【0020】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激処置のいずれのパルスも基準パルスの1つで置換することなしに、刺激回路を駆動して1つ以上の基準パルスを流すように構成されている。
【0021】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して刺激パルスのうち少なくとも1つの振幅より小さく変動する振幅を有する少なくとも1つの基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の基準パルスを流すように構成されている。
【0022】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して、刺激処置中、電極間に1つ以上の基準パルスを流すように構成されている。
【0023】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激処置を中止することによって、測定されたインピーダンスに応じて刺激処置を制御するように構成されている。
【0024】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動してそれぞれの対の刺激パルスの間に複数の基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の基準パルスを流すように構成されている。
【0025】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して一定間隔で複数の基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の基準パルスを流すように構成されている。
【0026】
いくつかの適用では、制御回路は、
電極間のベースラインインピーダンスおよび電極間の後続のインピーダンスを測定回路から受信し、
後続のインピーダンスと、ベースラインインピーダンスに基づく閾値の比較に応じて刺激処置を制御するように構成されている。
【0027】
いくつかの適用では、制御回路はさらに、刺激処置中、閾値を適応的に調整するように構成されている。
【0028】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して刺激処置の前に基準パルスの1つを流すように構成されており、ベースラインインピーダンスは、刺激処置の前に流された基準パルスを用いて測定されるものである。
【0029】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して、対の電極間に刺激パルスを流すのに用いられる第2の供給電圧より低い第1の供給電圧を用いて、刺激処置の前に基準パルスを流すように構成されている。
【0030】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して刺激パルスのうち少なくとも1つの振幅よりも低い振幅を有する少なくとも1つの基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の基準パルスを流すように構成されている。
【0031】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して15mA未満の電流を有する少なくとも1つの基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して少なくとも1つの基準パルスを流すように構成されている。
【0032】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して10mA未満の電流を有する少なくとも1つの基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して少なくとも1つの基準パルスを流すように構成されている。
【0033】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して5mA未満の電流を有する少なくとも1つの基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して少なくとも1つの基準パルスを流すように構成されている。
【0034】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して15V未満の電圧を有する少なくとも1つの基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して少なくとも1つの基準パルスを流すように構成されている。
【0035】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して9V未満の電圧を有する少なくとも1つの基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して少なくとも1つの基準パルスを流すように構成されている。
【0036】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して刺激パルスのうち少なくとも1つの持続時間より短い持続時間を有する少なくとも1つの基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の基準パルスを流すように構成されている。
【0037】
いくつかの適用では、制御回路は、刺激回路を駆動して25マイクロ秒未満の持続時間を有する少なくとも1つの基準パルスを流すことによって、刺激回路を駆動して少なくとも1つの基準パルスを流すように構成されている。
【0038】
本発明のいくつかの適用による、
対象者の皮膚に結合された一対の電極間に複数の刺激パルスを流すことによって刺激処置を実行することと、
対の電極間に1つ以上の、刺激パルスのそれぞれと異なる基準パルスを流すことと、
基準パルスを用いて電極間のインピーダンスを測定することと、
刺激パルスを用いて測定されたいずれのインピーダンスにも応じないが、基準パルスを用いて測定されたインピーダンスに応じて、刺激処置を制御することとを含む方法がさらに提供される。
【0039】
本発明のいくつかの適用による、(i)一対の電極を含む刺激回路、および(ii)測定回路と共に用いるコントローラであって、
コントローラを刺激回路および測定回路に結合するように構成された少なくとも1つのインタフェースと、
電極が対象者の皮膚に結合された状態で、
インタフェースを介して、
刺激回路を駆動して対の電極間に複数の刺激パルスを流すことによって刺激処置を実行し、
刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の、刺激パルスのそれぞれと異なる基準パルスを流し、
測定回路から、基準パルスを用いて測定された電極間のインピーダンスを受信し、
刺激パルスを用いて測定されたいずれのインピーダンスにも応じないが、基準パルスを用いて測定されたインピーダンスに応じて、刺激処置を制御するように構成された制御回路とを含むコントローラがさらに提供される。
【0040】
本発明のいくつかの適用による、
一対の電極を備える刺激回路、
測定回路、および
コントローラであって、
コントローラを刺激回路および測定回路に結合させるように構成された少なくとも1つのインタフェースと、
電極が対象者の皮膚に結合された状態で、
刺激回路を駆動して対の電極間に複数の刺激パルスを流すことによって刺激処置を実行し、
刺激回路を駆動して対の電極間に1つ以上の、刺激パルスのそれぞれと異なる基準パルスを流し、
測定回路から、基準パルスを用いて測定された電極間のインピーダンスを受信し、
刺激パルスを用いて測定されたいずれのインピーダンスにも応じないが、基準パルスを用いて測定されたインピーダンスに応じて、刺激処置を制御するように構成された制御回路とを備えるコントローラを含む装置がさらに提供される。
【0041】
本発明は、図面と併せて、その実施形態の以下の詳細な説明からより詳細に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の一部の実施形態による、電気刺激を加え、その電気刺激中のインピーダンスをモニタリングするシステムのブロック図である。
【
図2】本発明の一部の実施形態による、電極間に流され得る様々なパルスシーケンスの概略図である。
【
図3】本発明の一部の実施形態による、対象者の皮膚に結合(例えば装着)された刺激回路の概略回路図である。
【
図4】本発明の一部の実施形態により実施される電気刺激の方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
電気刺激処置では、少なくとも2つの電極が対象者の皮膚に結合(例えば装着)され、その後、複数の刺激パルスが電極間に流される。電流安定化された刺激では、予め定義された電流量が、各刺激パルスのたびに電極間に流される。電圧安定化された刺激では、予め定義された電圧量が、各刺激パルスのたびに電極間に印加される。
【0044】
一部の例では、電極は、処置の前、皮膚に適切に結合(例えば装着)されていない場合もある。代替として、または、追加して、電極は、例えば対象者が動くことにより、または、電極を皮膚に結合させたままとする接着材の劣化により、処置中皮膚から少なくとも部分的に結合解除され得、または、電極同士が互いに短絡され得る。そうしたシナリオは非効率な電力消費につながり得、かつ/または、刺激の有効性を低下させ得る。例えば、電極間のインピーダンスが、電極と皮膚の不適切な結合により正常より高い場合、電流安定化された刺激の場合、刺激電流を供給する供給電圧を上昇させることが要され得、したがってそうでない場合必要である電力より多くの電力が消費される。電圧安定化された刺激の場合、インピーダンスの増加により電極間を流れる電流量は少なくなり得、したがって刺激の有効性は低下する。
【0045】
上記に照らすと、刺激処置の前にかつ/または最中に、測定されたインピーダンスが特定の閾値から外れている場合は電極と皮膚の結合(例えば装着)が調整され得るように、電極間のインピーダンスを測定することは有利であり得る。インピーダンスを測定するには、既知の振幅の電流が電極間に流れている状態で、電極間の電圧が測定されてもよい。代替として、既知の振幅の電圧が電極間に印加されている状態で、電極間の電流が測定されてもよい。
【0046】
上記のインピーダンス測定の1つの実装は、刺激パルスが電極間を流れる状態で、電極間の電圧または電流を測定するものである。しかしながら、刺激に適したパルスパラメータは、必ずしもインピーダンス測定に適したものではなく、その逆もしかりである。例えば、多くの場合、刺激パルスの振幅は、「パルス中」かつ/または「パルス間」に経時的に変動し、したがって、インピーダンスを正確に測定するのに刺激パルスを用いることは難しくなる。すなわち、刺激パルスの少なくともいくつかは、変動振幅を有し得、かつ/または、刺激パルスのそれぞれの振幅は、刺激処置中、対象者が自らの「快適な領域」を見つけようとしたとき変動し得る。
【0047】
上記に照らして、本発明の実施形態は、刺激パルスに加えて、1つ以上の基準パルスが電極間に流される改良された実装を提供する。通常基準パルスでなく刺激パルスが刺激のために用いられ、一方、刺激パルスでなく基準パルスがインピーダンス測定のために用いられる。パルスの振幅、持続時間および周波数などのパラメータは、パルスのタイプごとに別々に「あつらえられ」、したがって、有効な刺激およびインピーダンスのモニタリングを容易にし得る。例えば、本発明の一部の実施形態では、基準パルスの振幅は、刺激パルスの時変性より小さい時変性を有し(実際のところ、一定値に設定されることが多い)、したがって、基準パルスは、電極間のインピーダンスを正確に測定するのに用いられることが可能になる。
【0048】
システム説明
本発明の一部の実施形態による、電気刺激を印加しその電気刺激中のインピーダンスをモニタリングするシステム20のブロック図である
図1をまず参照する。システム20は、コントローラ22(例えば、例えばマイクロコードを実行するように構成されたプログラマブルコントローラ)と、少なくとも一対の電極26aおよび26bを備える刺激回路24と、測定回路28とを備える。コントローラ22は、コントローラを刺激回路24および測定回路28に結合する少なくとも1つのインタフェース62(例えば、プラグまたはソケットなどの電気的インタフェース)を備え、さらに制御回路64を備える。
【0049】
電極26aおよび26bは、電気刺激を受ける対象者の皮膚に結合される(例えば装着される)。その後、刺激処置を実行するために、制御回路64は、刺激回路24を駆動して、電極間に複数の刺激パルスを流す。本明細書中以下でさらに記載されるように、制御回路64はまた、刺激回路を駆動して、電気刺激処置の前にかつ/または最中に、対の電極間に1つ以上の、刺激パルスのそれぞれと異なる基準パルスを流してもよい。刺激パルスの印加中ではなく基準パルスの印加中に、制御回路は、測定回路28を駆動して電極間の電圧または電流を測定する。測定回路は、測定された電圧または電流を制御回路に渡し、次いで、制御回路は、測定回路からのその量を用いて、電極間のインピーダンスを測定する。このようにして、刺激パルスではなく基準パルスが、インピーダンスを測定するのに用いられる。いずれにせよ、いくつかのインピーダンスが刺激パルスを用いて測定されたとしても、制御回路は、刺激パルスを用いて測定されたいずれのインピーダンスにも応じないが、基準パルスを用いて測定されたインピーダンス(複数可)に応じて、刺激処置を制御する。
【0050】
通常、基準パルスの少なくとも1つを用いて、電極間のベースラインインピーダンスを測定する。この基準パルスは、刺激処置の前に(電極を皮膚に結合した後)、または処置中に(例えば処置の開始近く)流れてもよい。その後、処置中に、電極間の後続のインピーダンスを測定するのに少なくとも1つの基準パルスが用いられ、これは、説明をしやすくするために以下で「処置中インピーダンス」と称される。処置中インピーダンスは、ベースラインインピーダンスに基づく閾値と比較され得、それに応じて、刺激処置は制御され得る。例えば、処置中インピーダンスが閾値から外れている場合、制御回路は、電極と皮膚の結合が調整される必要があることを示す警告を生成し得る(一部の実施形態では、制御回路は、対象者のスマートフォン66を無線でまたは有線で駆動して適切なメッセージを対象者に表示することによって警告を生成する)。警告の受信に引き続き、対象者は、例えば電極の少なくとも1つにおける電極−皮膚の接触面で接着材を再塗布することによって、電極と皮膚の結合(例えば接着)を調整してもよい。
【0051】
一部の実施形態では、処置中インピーダンスが閾値から外れている場合、制御回路は、警告を生成することの代替として、または、それに追加して、刺激処置を中止する。刺激処置を中止した状態で、電極と皮膚の結合(例えば接着)は調整され得、その後、刺激処置は再スタートされ得る。
【0052】
上記の閾値は、例えば、ベースラインインピーダンスよりわずかに小さい下限およびベースラインインピーダンスよりわずかに大きい上限を有する一定範囲の値であってもよく、したがって処置中インピーダンスは、上限より大きいときも下限より小さいときも閾値から外れていると考えられる。代替として、閾値は、単一の値(例えばベースラインインピーダンスにいくらかの差をプラスしたものまたはマイナスしたもの)であってもよく、処置中インピーダンスは、閾値より大きい場合、または代替として、閾値より小さい場合、閾値から外れていると考えられ得る。
【0053】
一部の実施形態では、閾値は、刺激処置中、適応的に調整される。例えば、一部の実施形態では、閾値は、刺激処置中、周期的に下げられて、対象者の発汗により引き起こされる処置中のインピーダンスの予測される低下を説明する。代替として、または、追加して、閾値は、任意の他の関連要因に応じて調整され得る。
【0054】
代替として、または、追加して、電極間のベースラインインピーダンスおよび/または処置中インピーダンスの測定に応じて、刺激パルスの振幅は調整され得る。例えば、より高いインピーダンスは対象者の体脂肪量がより多いことを示し得、これは、ひいては、対象者の神経または筋肉に到達するのにより強い電流が必要とされることを示すので、刺激電流の振幅は、測定されたインピーダンスの増加関数として設定され得る。通常、制御回路は、安定した、高いが正常であるインピーダンスを、異常に高いかつ/または増加しているインピーダンスと区別するように構成されている。前者のタイプのインピーダンスの場合、制御回路は通常、直前に記載したように、刺激パルスの振幅を調整する。一方、後者のタイプのインピーダンスの場合、制御回路は通常、上述のように、警告を生成し、かつ/または、処置を中止する。
【0055】
ここで、本発明の一部の実施形態による、電極26aと26bの間に流され得る様々なパルスシーケンスの概略図である
図2を参照する。
図2に示すパルスは、電圧安定化された刺激に用いられる電圧パルスであってもよく、または代替として、電流安定化された刺激に用いられる電流パルスであってもよい(したがって、縦軸の単位は、電圧または電流に対する任意の適切な単位であり得る)。
【0056】
第1のシーケンス30aは、刺激処置を実行しながら電極間に流され得る刺激パルス32のシーケンスである。図に示すように、刺激パルス32は、電極間のインピーダンスを測定するのに刺激パルスを用いることを難しくし得るような、パルス中変動振幅を有する。(前述のように、刺激パルスはまた、パルス間でも変動し得、特定のパルスが隣接パルスの振幅とは異なる振幅を有し得る)。したがって、本発明の実施形態では、それぞれの対の刺激パルスの間に複数の基準パルス34をそれぞれが含む第2のシーケンス30bまたは第3のシーケンス30cなどのシーケンスが、第1のシーケンス30aの代わりに用いられる。
【0057】
基準パルス34は、通常、刺激パルスの振幅よりも小さく変動する振幅を有する。例えば、
図2に示すように、各基準パルスは、一定の(すなわち「フラットな」)正の(「+ve」)振幅、および一定の負の(「−ve」)振幅を有し得る。したがって、前述のように、刺激パルス32よりも基準パルス34の方が、インピーダンスを測定するのに、より用い易い場合がある。通常、
図2に示すように、基準パルスの少なくともいくつかは、インピーダンスが一定間隔で測定され得るように、一定間隔で(すなわち周期的に)流される。
【0058】
一部の実施形態では、刺激処置の少なくとも1つのパルスは、基準パルスの1つで置換される。例えば、シーケンス30cでは、シーケンス30aの刺激パルスのうち2つが、それぞれ基準パルスで置換されている。他の実施形態では、刺激処置のいずれのパルスも基準パルスで置換されない。例えば、シーケンス30bでは、2つの基準パルスが、刺激パルスのいずれかを置換することなく、シーケンス30aに追加されている。通常、基準パルスは、刺激パルスの供給の頻度が基準パルスの追加に対応するには高すぎる場合を除いて、刺激パルスと置換される(シーケンス30cのように)よりも、刺激パルスシーケンスに追加される(シーケンス30bのように)。
【0059】
一部の実施形態では、
図2に示すように、基準パルスの1つ以上は対称である。すなわち、基準パルスの1つ以上において、パルスの正の部分の持続時間および振幅は、それぞれ、パルスの負の部分の持続時間及び振幅と等しい。代替として、または、追加して、基準パルスの1つ以上は非対称であってもよい(非対称パルス上の積分が通常ゼロではあっても、非対称パルスの正の部分の振幅および持続時間が、パルスの負の部分の振幅および持続時間と異なる)。
【0060】
通常、
図2に示すように、基準パルスは、刺激パルスの振幅より低い振幅、および/または刺激パルスの持続時間より短い持続時間を有する。したがって、基準パルスは対象者に刺激を与える可能性は低く、実際のところ、対象者が全く気付かなくてもよい。例えば、一部の実施形態では、基準パルスの電流の振幅は15mA未満、例えば10mA未満、例えば5mA未満であり、かつ/または、基準パルスの電圧は15V未満、例えば9V未満である。代替として、または、追加して、基準パルスの持続時間は、25マイクロ秒未満、例えば20マイクロ秒未満であってもよい。
【0061】
ここで、本発明の一部の実施形態による、対象者の皮膚60に結合された(例えば装着された)刺激回路24の概略図である
図3を参照する。
図3に示す特定の構成は、単に例として提供されることに留意されたい。実際上、電流安定化された印加または電圧安定化された印加のいずれにおいても、本明細書中で記載された刺激パルスおよび基準パルスを印加するのに任意の適切な回路が用いられてもよい。
【0062】
電流安定化された刺激の一部の実施形態では、刺激回路24は、
図3に示すハーフブリッジ回路を備える。そうした回路では、電流源38は、電極26aと26bの間に流れる電流を供給し、電極間の電圧は、電圧源36が供給する電圧に制限される(言い換えると、電極間を流れる電流は、「I」および「V/R」の最小値であり、ここで「I」は、電流源38が供給する電流であり、「V」は電圧源36が供給する電圧であり、「R」は組織のインピーダンスである)。
図2に示す刺激パルスおよび基準パルスなどの電流のパルスを生成するには、コントローラは、スイッチ(例えばトランジスタスイッチ)40a、40b、40cおよび40dを制御する。特に、電流を電極26aから電極26bに流すには、コントローラは、スイッチ40aおよび40dを閉じ、したがって、スイッチ40bおよび40cは開いたままの状態で、電極26aを電圧源36に、電極26bを電流源38に接続する。逆に、電極26bから電極26aに電流を流すには、コントローラは、スイッチ40bおよび40cを閉じ、したがって、スイッチ40aおよび40dは開いたままの状態で、電極26bを電圧源36に、電極26aを電流源38に接続する。
【0063】
電流の方向により、パルスの極性は決定付けられる。例えば、
図2に示すパルスのそれぞれの正の部分は、電極26aから電極26bに電流を流すことによって取得されてもよく、それぞれの負の部分は、電極26bから電極26aに電流を流すことによって取得されてもよい。スイッチの閉じられている程度により、パルスの振幅は決定付けられる。
【0064】
一部の実施形態では、電圧源36が供給する電圧は、測定されたインピーダンスに応じて制御される。例えば、一部の実施形態では、「補正手順」が行われる。刺激処置に先立って電極間を流れる少なくとも1つの基準パルスが、電極間のベースラインインピーダンスを測定するのに用いられる。その後、電圧源36は、測定されたベースラインインピーダンスと最大所望刺激電流の積よりわずかに高い電圧に設定されてもよい。
【0065】
上記の補正手順は、対象者の刺激に対応するのには十分高いが比較的大量の余計な電力を消費することに関しては高すぎない電圧制限の設定を容易にする点で有利である。言い換えると、電圧源がベースラインインピーダンスに関係なく設定される場合、電圧源は、対象者ごとに、「最悪のケースのシナリオ」すなわち最も高い予測皮膚インピーダンスに対応するのに必要とされる高さに設定される必要があろう。しかしながら、一部の対象者は、最も高い予測皮膚インピーダンスより有意に低い皮膚インピーダンスを有し得る。そうした対象者の場合、電圧源は高くなりすぎ、したがって、余計な電力が不必要に消費されるであろう。したがって、測定されたベースラインインピーダンスに応じて電圧源を設定することによって、適切な電圧制限が対象者ごとに設定され得、したがって、より効率的な電力消費を容易にする。
【0066】
通常、ベースラインインピーダンスを測定するのに用いられる基準パルスを流すとき、電圧源は、刺激処置のためにその後設定される電圧より低い電圧に設定される。例えば、電圧源は、最大推定インピーダンスと所望基準電流の積よりわずかに高い電圧に設定され得る。その後、測定されたベースラインインピーダンスに応じて、電圧源は、上述のように、刺激に対応するために増加され得る。測定回路28(
図1)の精度は、供給電圧が大きい場合よりも供給電圧が小さい場合の方が通常高いので、上記の技術は、ベースラインインピーダンスのより正確な測定を容易にし得る(しかしながら、刺激処置中、電圧源は通常、基準パルスの印加中であっても、刺激に対応するより高い値に保たれる)。
【0067】
例えば、
図2に示すもののような基準パルスは、10mAの振幅を有してもよく、一方、対象の人間の皮膚インピーダンスは通常1500Ohmより高くない。したがって、補正手順中、電圧源は、10mAと1500Ohmの積よりわずかに高い18Vに設定されてもよい。
図2に示すもののような刺激パルスは、30mAの最大振幅を有してもよい。したがって、例えば測定されたベースラインインピーダンスが1000Ohmだった場合、刺激処置の電圧源は、30mAと1000Ohmの積よりわずかに高い35Vに設定されてもよい。
【0068】
ここで、本発明の一部の実施形態により実施される方法58を示す流れ図である
図4を参照する。方法58におけるステップの大部分は既に上述されているが、明確にするために、
図4を参照して本明細書中以下で再度説明する。
【0069】
方法58は、電圧源36が、基準パルスに対応するのに十分に高いがその後刺激処置中に用いられる電圧より低い電圧に設定される第1の電圧設定ステップ42で開始する(上述のように、そうした低い電圧は、ベースラインインピーダンスのより正確な測定を容易にし得る)。その後、ベースラインインピーダンス測定ステップ44で、少なくとも1つの基準パルスが電極間に流されることによって対象者に印加され、基準パルスの印加中、ベースラインインピーダンスは、電極間の電圧を測定することによって測定される。第1の判定ステップ45で、コントローラは、測定されたベースラインインピーダンスが合理的であるかどうか、すなわち、正常な人間の皮膚のインピーダンスの予測範囲、例えば300〜1500Ohm内に収まるかどうかを評価する。ベースラインインピーダンスが合理的でない場合(すなわち、予測より高い、したがって、電極が皮膚に適切に結合されていない可能性を示す、または、予測より低い、したがって、電極同士の短絡の可能性を示す)、警告が生成され得、その後、警告に応じて、第1の調節ステップ47で電極と皮膚の結合(例えば装着)が調整され得る。その後、ステップ44および45は繰り返される(ステップ42、44、45および47は、上述した補正手順の一部を集合的に形成する)。
【0070】
ベースラインインピーダンスが合理的であるとの評価を受けて、第2の電圧設定ステップ46で、電圧源36は、ベースラインインピーダンスに応じて、刺激に対応するのに十分に高いものであるより高い電圧に設定される。次いで、刺激ステップ48で、1つ以上の刺激パルスが電極間に流されることによって対象者に印加される。第2の判定ステップ50で、コントローラまたは対象者は、刺激処置が終わったかどうか、すなわち十分な刺激パルスが対象者に印加されたかどうかを判定する。応答が肯定である場合、刺激処置は終了する。そうでなければ、刺激処置の電流状態次第で、(i)刺激ステップ48でさらなる刺激パルスが対象者に印加されるか、または(ii)処置中インピーダンス測定ステップ52で、少なくとも1つの基準パルスが対象者に印加され、基準パルスの印加中、電極間の処置中インピーダンスが測定されるか、のいずれかが行われる。(ii)に続いて、第3の判定ステップ54で、コントローラは、処置中インピーダンスを、ベースラインインピーダンスに基づく閾値と比較する。処置中インピーダンスが閾値から外れている場合(すなわち、閾値より高い、したがって、電極が皮膚から結合解除されている可能性を示す、または、閾値より低い、したがって、電極同士の短絡の可能性を示す)、警告が生成され得、その後、警告に応じて、電極と皮膚の結合(例えば装着)が、第2の調整ステップ56で調整され得る。調整に続き、刺激ステップ48で、刺激は継続し得る。
【0071】
一部の実施形態では、制御回路64は、中央処理装置(CPU)およびランダムアクセスメモリ(RAM)を備えるプログラマブルデジタルコンピューティングデバイスとして具現化される。ソフトウェアプログラムを含むプログラムコードおよび/またはデータは、CPUによって実行され処理されるためにRAM内にロードされる。プログラムコードおよび/またはデータは、例えばネットワークを介して電子的形式でコントローラにダウンロードされ得、または、代替として、または、追加して、磁気、光学または電子メモリなどの非一時的な有形媒体に提供かつ/または格納され得る。そうしたプログラムコードおよび/またはデータは、コントローラに提供されると、本明細書中で記載されたタスクを実行するように構成された機械または特別な目的のコンピュータを作成する。コンピュータは通常、特別な目的のコンピュータを作成するコンピュータプログラム命令でプログラムされたハードウェアデバイスである。通常、コンピュータによって実行される動作は、用いられるメモリの技術次第で、異なる磁極性、電荷などを有する現実の物理的商品であるメモリの物理的状態を変化させる。
【0072】
本発明は、本明細書中上記の具体的に示され記載されたものに限定されないことが当業者に理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、前述の説明を閲読した当業者が思い付くであろう、従来技術にはない、本明細書中に上述された様々な特徴の組み合わせおよびサブコンビネーションの両方、ならびにその変形形態および変更形態を含む。