【実施例】
【0070】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0071】
(実施例1−1〜1−15、1−17、比較例1−2〜1−7)
無機充填剤として、球状溶融シリカ78質量%、エポキシ樹脂として、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂10質量%、熱硬化剤として、フェノールノボラック型シアネート樹脂10質量%、硬化促進剤として、トリフェニルホスフィン1質量%、その他、カップリング剤、レベリング剤を加え、全量を100質量%としたものに、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンを媒体として混合し、液状樹脂組成物を得た。
【0072】
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)上に液状樹脂組成物を塗布した後、100℃で5分間乾燥して媒体を除去した。これによって、膜厚20μmで、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物からなる、Aステージの樹脂組成物層を形成した。
【0073】
続いて、厚み3μmの銅箔6と剥離層とキャリア箔とがこの順に積層された剥離可能な金属箔を準備し、銅箔6と上記樹脂組成物層4が接触するように両者を熱圧着させた後、剥離層及びキャリア箔を剥離して、銅箔6付き樹脂組成物層4を得た。
【0074】
エポキシ樹脂ガラス布基材銅張積層板1’(面積170mm×255mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.1mm)の一方の表面にある銅箔3’をエッチングによりパターニングし、導体パターンAが形成されたエポキシ樹脂ガラス布基材(回路基板1)を得た。次に、銅箔6付き樹脂組成物層4からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、導体パターンAが形成されたエポキシ樹脂ガラス布基材上に、真空加熱圧着式ラミネーターを使って、温度100℃、圧力1.0MPaで真空熱圧着した後、130℃で45分間加熱し、Bステージの樹脂組成物層4を形成した。
【0075】
続いて、樹脂組成物層4上の銅箔6をエッチングによりパターニングし、銅箔の所定の領域に開口部を形成し、エッチングレジスト5(金属マスク)付きの樹脂組成物層4を準備した。
【0076】
次に、エッチングレジスト5を介して、表1又は表2に記載したエッチング液によって、樹脂組成物層4に対して80℃で浸漬処理にてエッチング処理を行った。エッチング処理後、樹脂組成物層4の表面に残存付着したエッチング液を純水によるスプレー処理によって洗浄した。
【0077】
エッチング液処理時間について、
図3(III)及び(V)に記載されているエッチングレジスト5の開口長さaと樹脂組成物層4の膜厚bと樹脂組成物層4の開口部の底部長さcとにおいて、a+2b=cとなる処理時間を「標準処理時間」とした。具体的には、エッチングレジスト5の開口長さaが270μmで、樹脂組成物層4の膜厚bが20μmであるため、樹脂組成物層4の開口部の底部長さcが310μm±5μmとなる処理時間を「標準処理時間」とし、表1及び表2に示す。
【0078】
エッチングレジスト5の開口部において、樹脂組成物層4の除去が確実にできているかを「樹脂残りの有無」で評価した。また、樹脂組成物層4が安定的に除去できるかを、
図3(V)記載の評価部分7の残渣を評価し、「処理マージン」とした。さらに、樹脂組成物層4の開口形状における変形の評価として「アンダーカットの有無」を評価した。結果を表1及び表2に示す。各評価の基準を下記に示す。
【0079】
(樹脂残りの有無)
○:樹脂組成物が残っていない。
△:極微量の樹脂組成物が残っているが、プラズマ洗浄処理等の後処理で容易に除去できるレベル。
×:多くの樹脂組成物が残り、後処理で除去されないレベル。
【0080】
(処理マージン)
○:エッチング処理時間が「標準処理時間±30%」でも、エッチング後の表面に樹脂組成物が残っていない。
△:エッチング処理時間が「標準処理時間±30%」でも、エッチング後の表面に極微量の樹脂組成物が残っているが、プラズマ洗浄処理等の後処理で容易に除去できるレベルである。
×:エッチング処理時間が「標準処理時間±30%」で、エッチング後の表面に多くの樹脂組成物が残り、後処理で除去されないレベル。
【0081】
(アンダーカットの有無)
〇:樹脂組成物層にアンダーカットが見られない。
△:樹脂組成物層の底面に小さなアンダーカットが見られる。
×:樹脂組成物層の底面に実用上問題となる大きなアンダーカットが見られる。
【0082】
(実施例1−16)
球状溶融シリカの含有量を55質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を33質量%とした以外は、実施例1−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表2に示す。
【0083】
(比較例1−1)
球状溶融シリカの含有量を45質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を43質量%とした以外は、実施例1−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。エッチング時間を30分まで延長したが、導体パターン表面上及びエポキシ樹脂ガラス布基材上に大量の樹脂残りがあり、樹脂組成物層をエッチング加工することができなかった。結果を表2に示す。
【0084】
(比較例1−8)
実施例1−1と同様の方法により得られたエッチングレジスト5付きの樹脂組成物層4をウェットブラストによりエッチング処理し、その後、エッチングレジスト5を除去した。これを光学顕微鏡で観察した結果、樹脂組成物層4のエッチング量にばらつきがあり、エポキシ樹脂ガラス布基材上に樹脂組成物が残っている箇所があった。また、表面の一部又は全部が露出された導体パターンにはブラスト処理によって付けられた傷が多数確認された。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
表1及び表2の結果から判るように、本発明のエッチング液は、比較例と比べて、アンダーカットの発生が少なく、また、樹脂組成物の残渣が少なく、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物を安定的に除去することができる。
【0088】
(実施例2−1〜2−12、2−14、比較例2−2〜2−8)
表3又は表4に記載したエッチング液を使用した以外は、実施例1−1と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表3及び表4に示す。
【0089】
(実施例2−13)
球状溶融シリカの含有量を55質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を33質量%とした以外は、実施例2−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表4に示す。
【0090】
(比較例2−1)
球状溶融シリカの含有量を45質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を43質量%とし、エッチング時間を30分まで延長した以外は、実施例2−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。エッチング時間を30分まで延長したが、導体パターン表面上及びエポキシ樹脂ガラス布基材上に大量の樹脂残りがあり、樹脂組成物層をエッチング加工することができなかった。結果を表4に示す。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
表3及び表4の結果から判るように、本発明のエッチング液は、比較例と比べて、アンダーカットの発生が少なく、また、樹脂組成物の残渣が少なく、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物を安定的に除去することができる。
【0094】
(実施例3−1〜3−12、3−14、比較例3−2〜3−8)
表5又は表6に記載したエッチング液を使用した以外は、実施例1−1と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表5及び表6に示す。
【0095】
(実施例3−13)
球状溶融シリカの含有量を55質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を33質量%とした以外は、実施例3−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表6に示す。
【0096】
(比較例3−1)
球状溶融シリカの含有量を45質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を43質量%とし、エッチング時間を30分まで延長した以外は、実施例3−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。エッチング時間を30分まで延長したが、導体パターン表面上及びエポキシ樹脂ガラス布基材上に大量の樹脂残りがあり、樹脂組成物層をエッチング加工することができなかった。結果を表6に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
表5及び表6の結果から判るように、本発明のエッチング液は、比較例と比べて、アンダーカットの発生が少なく、また、樹脂組成物の残渣が少なく、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物を安定的に除去することができる。
【0100】
(実施例4−1〜4−7、比較例4−2〜4−3)
無機充填剤として、球状溶融シリカ78質量%、エポキシ樹脂として、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂10質量%、熱硬化剤として、フェノールノボラック型シアネート樹脂10質量%、硬化促進剤として、トリフェニルホスフィン1質量%、その他、カップリング剤、レベリング剤を加え、全量を100質量%としたものに、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンを媒体として混合し、液状樹脂組成物を得た。
【0101】
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)上に液状樹脂組成物を塗布した後、100℃で5分間乾燥して媒体を除去した。これによって、膜厚20μmで、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物からなる、Aステージの樹脂組成物層を形成した。
【0102】
続いて、厚み3μmの銅箔6と剥離層とキャリア箔とがこの順に積層された剥離可能な金属箔を準備し、銅箔と上記樹脂組成物層が接触するように両者を熱圧着させた後、剥離層及びキャリア箔を剥離して、銅箔6付き樹脂組成物層4を得た。
【0103】
エポキシ樹脂ガラス布基材銅張積層板1’(面積 横400mm×500mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.1mm)の一方の表面にある銅箔3’をエッチングによりパターニングし、導体パターンAが、面内に横方向に10個、縦方向に12個均等に配置形成されたエポキシ樹脂ガラス布基材(回路基板1)を得た。次に、銅箔6付き樹脂組成物層4からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、導体パターンAが形成されたエポキシ樹脂ガラス布基材上に、真空加熱圧着式ラミネーターを使って、温度100℃、圧力1.0MPaで真空熱圧着した後、130℃で45分間加熱し、Bステージの樹脂組成物層4を形成した。
【0104】
続いて、樹脂組成物層4上の銅箔6をエッチングによりパターニングし、銅箔の所定の領域に開口部を形成し、エッチングレジスト5(金属マスク)5付きの樹脂組成物層4を準備した。
【0105】
次に、エッチングレジスト5を介して、表7記載のエッチング液によって、樹脂組成物層4に対して80℃で浸漬処理を行い、引き続き、樹脂組成物層4を除去する目的で、25℃の水道水が満たされた槽にて浸漬処理を行った。この水道水による浸漬処理の際に、超音波照射の有無を変えた。その後、純水によるスプレー処理によって表面を洗浄した。エッチング液の組成、超音波照射の有無を表7に示す。
【0106】
エッチングレジスト5の開口部において、樹脂組成物層4の除去が確実にできているかを「樹脂残りの有無」で評価した。また、樹脂組成物層4の開口形状における変形の評価として「アンダーカット」を評価した。さらに、目標となる開口径(目標開口径)が同一であり、面内にある120か所の開口部dを観察し、開口径が最大となる開口の開口径を「最大値」、開口径が最小となる開口の開口径を「最小値」とし、「(最大値−最小値)/開口目標値×100」で変動値(%)を求め、「面内均一性」を評価した。結果を表7に示す。各評価の基準を下記に示す。
【0107】
(樹脂残りの有無)
○:樹脂組成物が残っていない。
○△:極微量の樹脂組成物が残っているが、問題とならないレベル。
△:微量の樹脂組成物が残っているが、プラズマ洗浄処理で容易に除去できるレベル。
×:多くの樹脂組成物が残り、プラズマ洗浄処理で除去されないレベル。
【0108】
(アンダーカット)
○:樹脂組成物層にアンダーカットが見られない。
○△:樹脂組成物層の底面に極小さなアンダーカットが見られる。
△:樹脂組成物層の底面に小さなアンダーカットが見られるが問題とならないレベル。
×:樹脂組成物層の底面に実用上問題となる大きなアンダーカットが見られる。
【0109】
(面内均一性)
○:非常に均一性が高い。変動値が3%未満。
○△:均一性が高い。変動値が3%以上5%未満。
△:均一。変動値が5%以上6%未満。
×:均一とは言えない。変動値が6%以上。
【0110】
(実施例4−8)
球状溶融シリカの含有量を55質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を33質量%とした以外は、実施例4−2と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表7に示す。
【0111】
(比較例4−1)
球状溶融シリカの含有量を45質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を43質量%とした以外は、実施例4−2と同様の方法により、エッチング処理を行った。エッチング時間を30分まで延長したが、導体パターン表面上及びエポキシ樹脂ガラス布基材上に大量の樹脂残りがあり、樹脂組成物層をエッチング加工することができなかった。結果を表7に示す。
【0112】
(実施例4−9〜4−13)
樹脂組成物層4を除去する浸漬処理の際に、超音波照射を行わない以外は、実施例4−1、4−2、4−4、4−6及び4−7と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表7に示す。
【0113】
(実施例4−14)
実施例4−10と同様の方法により得られたエッチング処理後(IV)のエッチングレジスト5(金属マスク)を、塩化第二鉄溶液を用いて除去し、その後の水洗する工程で超音波照射した。結果を表7に示す。
【0114】
【表7】
【0115】
表7の結果より判るように、樹脂組成物のエッチング液を用いたエッチング処理工程の後、超音波照射する工程を有することによって、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物を、アンダーカットの発生が少なく、該樹脂組成物の残渣無く、安定的に除去することができ、さらに、面内の均一性も高いことが判る。
【0116】
(実施例5−1〜5−7、比較例5−2〜5−3)
表8又は表9に記載したエッチング液を使用した以外は、実施例4−1と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表8及び表9に示す。
【0117】
(実施例5−8)
球状溶融シリカの含有量を55質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を33質量%とし、表9に記載したエッチング液を使用した以外は、実施例4−1と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表9に示す。
【0118】
(比較例5−1)
球状溶融シリカの含有量を45質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を43質量%とした以外は、実施例5−8と同様の方法により、エッチング処理を行った。エッチング時間を30分まで延長したが、導体パターン表面上及びエポキシ樹脂ガラス布基材上に大量の樹脂残りがあり、樹脂組成物層をエッチング加工することができなかった。結果を表9に示す。
【0119】
(実施例5−9〜5−13)
樹脂組成物層4を除去する浸漬処理の際に、超音波照射を行わない以外は、実施例5−1、5−3、5−4、5−5、5−7と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表9に示す。
【0120】
(実施例5−14)
実施例5−12と同様の方法により、エッチング処理を行った後、エッチングレジスト5(金属マスク)を、塩化第二鉄溶液を用いて除去し、その後の水洗する工程で超音波照射した。結果を表9に示す。
【0121】
【表8】
【0122】
【表9】
【0123】
表8及び表9の結果より判るように、樹脂組成物のエッチング液を用いたエッチング処理工程の後、超音波照射する工程を有することによって、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物を、アンダーカットの発生が少なく、該樹脂組成物の残渣無く、安定的に除去することができ、さらに、面内の均一性も高いことが判る。
【0124】
(実施例6−1〜6−11、比較例6−2〜6−7)
表10又は表11に記載したエッチング液を使用した以外は、実施例4−1と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表10及び表11に示す。
【0125】
(実施例6−12)
球状溶融シリカの含有量を55質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を33質量%とした以外は、実施例6−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表11に示す。
【0126】
(比較例6−1)
球状溶融シリカの含有量を45質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を43質量%とした以外は、実施例6−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。エッチング時間を30分まで延長したが、導体パターン表面上及びエポキシ樹脂ガラス布基材上に大量の樹脂残りがあり、樹脂組成物層をエッチング加工することができなかった。結果を表11に示す。
【0127】
(実施例6−13〜6−20)
樹脂組成物層4を除去する浸漬処理の際に、超音波照射を行わない以外は、実施例6−1〜6−8と同様の方法により、エッチング処理を行った。
【0128】
(実施例6−21)
実施例6−15と同様の方法により、エッチング処理を行った後、エッチングレジスト5(金属マスク)を、塩化第二鉄溶液を用いて除去し、その後の水洗する工程で超音波照射した。結果を表11に示す。
【0129】
【表10】
【0130】
【表11】
【0131】
表10及び表11の結果から判るように、樹脂組成物のエッチング液を用いたエッチング処理工程の後、超音波照射する工程を有することによって、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物を、アンダーカットの発生が少なく、該樹脂組成物の残渣無く、安定的に除去することができ、さらに、面内の均一性も高いことが判る。
【0132】
(前処理工程を有するエッチング方法)
無機充填剤として、球状溶融シリカ78質量%、エポキシ樹脂として、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂10質量%、熱硬化剤として、フェノールノボラック型シアネート樹脂10質量%、硬化促進剤として、トリフェニルホスフィン1質量%、その他、カップリング剤、レベリング剤を加え、全量を100質量%としたものに、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンを媒体として混合し、液状樹脂組成物を得た。
【0133】
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)上に液状樹脂組成物を塗布した後、100℃で5分間乾燥して媒体を除去した。これによって、膜厚20μmで、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物からなる、Aステージの樹脂組成物層を形成した。
【0134】
続いて、厚み3μmの銅箔6と剥離層とキャリア箔とがこの順に積層された剥離可能な金属箔を準備し、銅箔と上記樹脂組成物層が接触するように両者を熱圧着させた後、剥離層及びキャリア箔を剥離して、銅箔6付き樹脂組成物層4を得た。
【0135】
エポキシ樹脂ガラス布基材銅張積層板1’(面積170mm×255mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.1mm)の一方の表面にある銅箔3’をエッチングによりパターニングし、導体パターンAが形成されたエポキシ樹脂ガラス布基材(回路基板1)を得た。次に、銅箔6付き樹脂組成物層4からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、導体パターンAが形成されたエポキシ樹脂ガラス布基材上に、真空加熱圧着式ラミネーターを使って、温度100℃、圧力1.0MPaで真空熱圧着した後、130℃で45分間加熱し、Bステージの樹脂組成物層4を形成した。
【0136】
続いて、樹脂組成物層4上の銅箔6をエッチングによりパターニングし、銅箔6の所定の領域に開口部を形成し、エッチングレジスト5(金属マスク)付きの樹脂組成物層4を準備した。
【0137】
表12に記載した前処理液(30℃)を樹脂組成物層4とエッチングレジスト5に浸漬処理にて5分間接触させた後に、純水によるスプレー方式の水洗処理を1分行うことで、エッチング液と樹脂組成物層4の親和性を向上させた後、エッチングレジスト5を介して、表13に記載したエッチング液によって、樹脂組成物層4に対して80℃で浸漬処理にてエッチング処理を行った。なお、各前処理液のpHは硫酸又は水酸化カリウムを使用して調整した。エッチング処理後、樹脂組成物層4の表面に残存付着したエッチング液を純水によるスプレー処理によって洗浄した。
【0138】
図3に記載されているエッチングレジスト5の開口長さaと樹脂組成物層4の膜厚bと樹脂組成物層4の開口部の底部長さcとにおいて、a+2b=cとなる処理時間を「標準処理時間」とした。具体的には、エッチングレジスト5の開口長さaが160μmで、樹脂組成物層4の膜厚bが20μmであるため、樹脂組成物層4の開口部の底部長さcが200μm±5μmとなる処理時間を「標準処理時間」とした。
【0139】
【表12】
【0140】
【表13】
【0141】
エッチングレジスト5の開口長さaが50μm、樹脂組成物層4の膜厚bが20μmであるときの、エッチングレジスト5の開口部100箇所の確認から、樹脂組成物層4の開口部の底部長さcが90μm±5μmで、小径開口処理ができているかを「小径開口」で評価した。結果を表14に示した。
【0142】
(小径開口)
○:標準処理時間で小径開口100箇所の内、樹脂開口箇所が95箇所以上である。
△:標準処理時間で小径開口100箇所の内、樹脂開口箇所が85箇所以上95箇所未満である。
×:標準処理時間で小径開口100箇所の内、樹脂開口箇所が85箇所未満である。
【0143】
【表14】
【0144】
表14の結果から判るように、2.5〜7.5質量%の陰イオン界面活性剤を含有する酸性水溶液からなる前処理液で前処理した後に、樹脂組成物のエッチング液を用いてエッチング処理することによって、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物層における開口部の開口径がΦ100μm以下となるような小径開口処理でも未エッチング箇所を抑制してエッチング処理できる。
【0145】
(実施例7−1〜7−15、7−17、比較例7−2〜7−7)
無機充填剤として、球状溶融シリカ78質量%、エポキシ樹脂として、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂10質量%、熱硬化剤として、フェノールノボラック型シアネート樹脂10質量%、硬化促進剤として、トリフェニルホスフィン1質量%、その他、カップリング剤、レベリング剤を加え、全量を100質量%としたものに、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンを媒体として混合し、液状樹脂組成物を得た。
【0146】
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)上に液状樹脂組成物を塗布した後、100℃で5分間乾燥して媒体を除去した。これによって、膜厚20μmで、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物からなる、Aステージの樹脂組成物層を形成した。
【0147】
エポキシ樹脂ガラス布基材銅張積層板1’(面積170mm×255mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.1mm)の一方の表面にある銅箔3’をエッチングによりパターニングし、導体パターンAが形成されたエポキシ樹脂ガラス布基材(回路基板1)を得た。次に、導体パターンAが形成されたエポキシ樹脂ガラス布基材上に、真空加熱圧着式ラミネーターを使って、温度100℃、圧力1.0MPaで樹脂組成物層4を真空熱圧着した後、130℃で45分間加熱し、Bステージの樹脂組成物層4を形成した。
【0148】
続いて、樹脂組成物層4上にドライフィルムレジスト6(旭化成株式会社製、商品名:ASG−302)を熱圧着させた後、密着露光機によりフォトマスクを介して50mJ/cm
2のエネルギーにてドライフィルムレジスト6にパターン露光を行い、その後に25℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液にて現像を行うことで、ドライフィルムレジスト6の所定の領域に開口部を形成し、エッチングレジスト5(ドライフィルムレジストパターン)付きの樹脂組成物層4を準備した。
【0149】
次に、エッチングレジスト5を介して、表15に記載したエッチング液によって、樹脂組成物層4に対して80℃で浸漬処理にてエッチング処理を行った。エッチング処理後、樹脂組成物層4の表面に残存付着したエッチング液を純水によるスプレー処理によって洗浄した。エッチング液処理時間について、
図3(III)及び(V)に記載されているエッチングレジスト5の開口長さaと樹脂組成物層4の膜厚bと樹脂組成物層4の開口部の底部長さcとにおいて、a+2b=cとなる処理時間を「標準処理時間」とした。具体的には、エッチングレジスト5の開口長さaが270μmで、樹脂組成物層4の膜厚bが20μmであったため、樹脂組成物層4の開口部の底部長さcが310μm±5μmとなる処理時間を「標準処理時間」とし、表15及び表16に示す。
【0150】
エッチングレジスト5の開口部において、樹脂組成物層4の除去が確実にできているかを「樹脂残りの有無」で評価した。また、樹脂組成物層4が安定的に除去できるかを、
図3(V)記載の評価部分7の残渣を評価し、「処理マージン」とした。さらに、樹脂組成物層4の開口形状における変形の評価として「アンダーカットの有無」を評価した。結果を表15及び表16に示す。各評価の基準を下記に示す。
【0151】
(樹脂残りの有無)
○:樹脂組成物が残っていない。
△:極微量の樹脂組成物が残っているが、プラズマ洗浄処理等の後処理で容易に除去できるレベル。
×:多くの樹脂組成物が残り、後処理で除去されないレベル。
【0152】
(処理マージン)
○:エッチング処理時間が「標準処理時間±30%」でも、エッチング後の表面に樹脂組成物が残っていない。
△:エッチング処理時間が「標準処理時間±30%」でも、エッチング後の表面に極微量の樹脂組成物が残っているが、プラズマ洗浄処理等の後処理で容易に除去できるレベルである。
×:エッチング処理時間が「標準処理時間±30%」で、エッチング後の表面に多くの樹脂組成物が残り、後処理で除去されないレベル。
【0153】
(アンダーカットの有無)
〇:樹脂組成物層にアンダーカットが見られない。
△:樹脂組成物層の底面に小さなアンダーカットが見られる。
×:樹脂組成物層の底面に実用上問題となる大きなアンダーカットが見られる。
【0154】
(実施例7−16)
球状溶融シリカの含有量を55質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を33質量%とした以外は、実施例7−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表16に示す。
【0155】
(比較例7−1)
球状溶融シリカの含有量を45質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を43質量%とし、エッチング時間を30分まで延長した以外は、実施例7−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。エッチング時間を30分まで延長したが、導体パターン表面上及びエポキシ樹脂ガラス布基材上に大量の樹脂残りがあり、樹脂組成物層をエッチング加工することができなかった。結果を表16に示す。
【0156】
(比較例7−8)
実施例7−1と同様の方法により得られたエッチングレジスト5(ドライフィルムレジストパターン)付きの樹脂組成物層4をウェットブラストによりエッチング処理し、その後、エッチングレジスト5を除去した。これを光学顕微鏡で観察した結果、樹脂組成物層4のエッチング量にばらつきがあり、エポキシ樹脂ガラス布基材上に樹脂組成物が残っている箇所があった。また、表面の一部又は全部が露出された導体パターンにはウェットブラスト処理によって付けられた傷が多数確認された。
【0157】
【表15】
【0158】
【表16】
【0159】
表15及び16の結果より判るように、本発明は、比較例と比べて、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物を、アンダーカットの発生が少なく、該樹脂組成物の残渣無く、安定的に除去することができる。
【0160】
(実施例8−1〜8−12、8−14、比較例8−2〜8−8)
表17又は表18に記載したエッチング液を使用した以外は、実施例7−1と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表17及び表18に示す。
【0161】
(実施例8−13)
球状溶融シリカの含有量を55質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を33質量%とした以外は、実施例8−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表18に示す。
【0162】
(比較例8−1)
球状溶融シリカの含有量を45質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を43質量%とし、エッチング時間を30分まで延長した以外は、実施例8−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。エッチング時間を30分まで延長したが、導体パターン表面上及びエポキシ樹脂ガラス布基材上に大量の樹脂残りがあり、樹脂組成物層をエッチング加工することができなかった。結果を表18に示す。
【0163】
【表17】
【0164】
【表18】
【0165】
表17及び18の結果より判るように、本発明は、比較例と比べて、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物を、アンダーカットの発生が少なく、該樹脂組成物の残渣が少なく、安定的に除去することができる。
【0166】
(実施例9−1〜9−12、9−14、比較例9−2〜9−8)
表19又は表20に記載したエッチング液を使用した以外は、実施例7−1と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表19及び表20に示す。
【0167】
(実施例9−13)
球状溶融シリカの含有量を55質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を33質量%とした以外は、実施例9−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。結果を表20に示す。
【0168】
(比較例9−1)
球状溶融シリカの含有量を45質量%とし、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の含有量を43質量%とし、エッチング時間を30分まで延長した以外は、実施例9−3と同様の方法により、エッチング処理を行った。エッチング時間を30分まで延長したが、導体パターン表面上及びエポキシ樹脂ガラス布基材上に大量の樹脂残りがあり、樹脂組成物層をエッチング加工することができなかった。結果を表20に示す。
【0169】
【表19】
【0170】
【表20】
【0171】
表19及び20の結果より判るように、本発明は、比較例と比べて、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物を、アンダーカットの発生が少なく、該樹脂組成物の残渣無く、安定的に除去することができる。