(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加熱機構は、前記液体受部又は前記受部側エアロゾル形成部材の周囲に配置されて、前記液体受部の前記液体及び前記受部側エアロゾル形成部材内の前記液体を部材外側から間接的に加熱することを特徴とする、請求項1又は2に記載の加湿装置。
前記加熱機構は、水平方向に開閉する一対のヒータ部材を備えており、前記ヒータ部材が前記液体受部に対して両側面から挟み込むように設置されることを特徴とする、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の加湿装置。
前記液体受部は、前記液体を貯める貯留空間の一部を区画する部分貯留部を有しており、前記加熱機構は、少なくとも、前記部分貯留部の前記液体を加熱し、前記受部側エアロゾル形成部材の前記吸液口は、前記部分貯留部の前記液体を吸引するように配置されることを特徴とする、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の加湿装置。
前記判定装置は、前記ヒータの出力を増大させておらず、かつ、前記ヒータの温度が上昇する場合に、前記液体受部内の前記液体の液面が低下していると判定することを特徴とする、請求項17に記載の加湿装置。
前記エアロゾルによって加湿された気体の温度を計測する気体用温度センサを更に備え、前記判定装置は、前記加湿された気体の温度が設定温度からずれており、かつ、前記ヒータの温度が上昇する場合に、前記液体受部内の前記液体の液面が低下していると判定することを特徴とする、請求項17に記載の加湿装置。
前記容器に着脱可能に装着されるアダプタを備え、前記アダプタは、少なくとも、前記受部側エアロゾル形成部材と、前記液体受部と、前記液体移送機構とを有することを特徴とする、請求項1から19のうちのいずれか一項に記載の加湿装置。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下本発明の各実施形態に係るネブライザーについて図を用いて説明する。
【0037】
[第一実施形態]まず、
図1〜
図15を用いて第一実施形態に係るネブライザーXA1について説明する。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化している。
【0038】
図1に示すネブライザー(加湿装置)XA1は、ネブライザーアダプタXB1と水ボトル(容器)1とヒータ装置(加熱機構)60によって構成される。水ボトル1には滅菌水等の液体2で満たされている。該水ボトル1には上部に開口部1aが配設される。開口部1aは、使用前はフィルム1cで覆われている。使用時は、ネブライザーアダプタXB1側の配管を突き刺してフィルム1cを破る構造になっている。配管によってフィルム1cに形成された孔は、自ずと穴径が収縮して配管に密着する構造となっている。開口部1aの外周側面にはネブライザーアダプタXB1と結合する為の容器側接続部1bが配設されている。容器側接続部1bは、半径方向外側に延びるリング状の係合突起であり、相手側と係合して結合する。なお、ここでは水ボトル1が液体2によって完全に満たされている場合を例示しているが、空気が入っていても良い。
【0039】
ネブライザーアダプタXB1には、下部に前述の水ボトル1と結合させる為のアダプタ側接続部3が配設されている。アダプタ側接続部3は、開口部1aの周囲を取り囲む円筒部3aと、円筒部3aの外側に配置される一対の係合アーム3bと、係合アーム3bの先端突起3cを円筒部3aの外周面に付勢させるばね部材3dと、係合アーム3bを操作するためのリング部材3eを備える。円筒部3aの下端は、容器側接続部1bに当接して、互いの位置決めが行われる。係合アーム3bは揺動軸3g回りに揺動可能となっており、円筒部3aに対して半径方向に揺動して先端(下端)の突起3cを容器側接続部1bに係合させる。リング部材3eは、上昇すると係合アーム3bの操作レバー3fに当接し、ばね部材3dの力に抗して係合アーム3bを、下端突起3cと容器側接続部1bとの係合を解く方向に揺動軸3g回りに揺動させ、係合アーム3bを強制的に開放できるようになっている。
【0040】
アダプタ側接続部3と容器側接続部1bを接続する際は、
図2(A)及び(B)に示すように、両者を接近させて、移送路13bの下端をフィルム1cに突き刺しながら、容器側接続部1bに対して係合アーム3bの下端突起3cを接触させる。係合アーム3bの下端突起3cにはテーパー面が形成されており、容器側接続部1bによって係合アーム3bの下端突起3cが自然に押し広げられて、
図2(C)に示すように下端突起3cと容器側接続部1bが軸方向に係合して、両者が結合する。アダプタ側接続部3と容器側接続部1bを分離させる際は、
図2(D)に示すように、リング部材3eを上昇させて係合アーム3bの下端突起3cと容器側接続部1bの係合状態を開放すれば良い。従って、本構造によれば、一回の動作で接続及び開放が簡単に行えるので、作業性が大幅に高められる。なお、従来の通り、ねじ構造によってアダプタ側接続部3と容器側接続部1bを結合させても良い。また、ここでは特に図示しないが、アダプタ側接続部3の内側にパッキンを備えても良い。容器側接続部1bと
アダプタ側接続部3が結合した時に、パッキンの作用によって結合部からの液体漏れを抑制することができる。
【0041】
図1に戻って、ネブライザーアダプタXB1にはネブライザーXA1を直立させたときに縦方向となる方向(垂直方向)に円筒状の起立突起部5が形成されており、この起立突起部5に酸素ガスの供給系が構成されている。またネブライザーアダプタXB1の起立突起部5から離隔した側には、ネブライザーXA1を直立させたときに横方向となる方向(水平方向)に円筒状の水平突起部6が形成されており、この水平突起部6から患者に対し空気と酸素ガスとエアロゾルとの混合気を送出し得るように構成されている。即ち、この水平突起部6は混合気排出系となる。
【0042】
起立突起部5の外側には回動可能な調整ダイヤル7が配設されている。また起立突起部5の頂部は天板8によって閉塞されている。従って、起立突起部5の内部には、該突起部5と天板8によって構成される閉塞空間9が形成されている。
【0043】
また天板8にはナット10を備えたターミナル11が嵌め込まれており、該ナット10を
図7に示すような酸素流量計XC1の出口部材17に接続することで、酸素ガスが供給されるように構成されている。
【0044】
すなわち、ナット10に配設された雌ねじ部10aと酸素流量計XC1の出口部材17に配設された雄ねじ部17aとを螺合させることによって、酸素流量計XC1の出口部材17とターミナル11が密着する。そして酸素流量計XC1の出口部材17に配設された流通孔とターミナル11に配設された流通孔が連通することによって酸素流量計XC1からターミナル11へと酸素ガスが供給される。
【0045】
図3に拡大して示す如く、調整ダイヤル7の側面には窓7aが形成されている。また、起立突起部5の側面には窓7aと対向する位置に窓5aが形成されている。そして該窓7aと窓5aとによって形成された開口が空気吸引孔としての機能を有している。
【0046】
従って、調整ダイヤル7を回動させて窓7aを窓5aに対向させることによって、閉塞空間9と連通する開口が形成される。即ち、調整ダイヤル7の回動位置を調整することによって閉塞空間9に対する開口面積を調整することが可能であり、これにより、空気の取り入れ量を調整することが可能である。
【0047】
図1に戻って説明する。円筒状の起立突起部5の内部にノズル状のデフューザー14が配置されている。このデフューザー14は末広がり状に形成されたものではなく、上端部分が広がるようにテーパー状に形成され、該テーパー状部分から下方が直管状に形成されている。そして、デフューザー14のテーパー状の部分の上方にノズル部材12が配置されている。
【0048】
上記の如く配置されたノズル部材12及びデフューザー14では、ノズル部材12のオリフィス12aから噴射された酸素ガスはデフューザー14を高速で通過するため、閉塞空間9に存在する空気が吸引されてデフューザー14側に流れる。このとき、調整ダイヤル7の回動位置に対応して形成された窓7aと窓5aとからなる開口の面積に応じて空気が吸引され、デフューザー14を通過する。
【0049】
ノズル部材12には、先端にオリフィス12a(ガス噴射部)が形成されている。またノズル部材12のオリフィス12aの近傍に、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口(エアロゾル生成ノズル)16a及び容器側エアロゾル形成部材13の噴出口(エアロゾル生成ノズル)13aが設けられている。なお、容器側エアロゾル形成部材13は、加湿用の液体(滅菌水等)を水ボトル1からネブライザーアダプタXB1の液体受部15aまで移送する機構(液体移送機構)の役割を兼ねている。
【0050】
ノズル部材12、受部側エアロゾル形成部材16及び容器側エアロゾル形成部材13は、それぞれ異なる機能を有するため、夫々の部材を互いに独立した部材とし、これらの三つの部材を組み合わせて構成している。
【0051】
一方で、ノズル部材12のオリフィス12aから噴射される酸素ガスと、液体2を噴出する噴出口16a及び噴出口13aとの位置関係が微妙でその調整が難しいため、点線Rで示すように、ノズル部材12と受部側エアロゾル形成部材16と容器側エアロゾル形成部材13から任意に選択された少なくとも二つの部材、好ましくは三つの部材を一体的に構成することが好ましい。
【0052】
容器側エアロゾル形成部材13は、ネブライザーアダプタXB1の筐体15内に設けられたデフューザー14の内側に設けられ、ノズル部材12のオリフィス12aの近傍に液体2の噴出口13aが形成されている。該噴出口13aに連続して、液体2を吸い上げる移送路13bが形成されている。該移送路13bの下端は水ボトル1内部まで伸びており、滅菌水等の液体2の中に挿入されていて、該滅菌水等の液体2を効率良く吸い上げることが可能となっている。
【0053】
ネブライザーアダプタXB1の筐体15の下部には液体受部15aが配設されている。ノズル部材12のオリフィス12aから噴射された酸素ガスによる負圧によって、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aから噴出する液体2の一部はエアロゾル状となって、当該酸素ガスを加湿する。空気と酸素ガスとエアロゾルの混合気は水平突起部6から患者に向かって送出される。一方、噴出口13aから噴出する液体2の一部は、滴となって、液体受部15aに落下して液体2を一時的に溜める。とりわけ、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aは、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aよりもオリフィス12aから酸素噴射方向に離れた位置に配置されており、吸い上げた液体2がエアロゾル状となる量よりも、滴下する量が多くなるように調整される。即ち、この容器側エアロゾル形成部材13は、主として水ボトル1内の液体2を吸い上げて、ネブライザーアダプタXB1の筐体15の液体受部15aまで移送することを目的としている。
【0054】
なお、本実施形態では、水ボトル1が、ボトル内の負圧によって収縮するようになっており、移送路13bを介して水ボトル1の内部の気体及び液体2が吸い上げられると、水ボトル1が収縮して、余分な気体及び液体が水ボトル1に逆流しない構造となっている。結果、水ボトル1内の液体2に雑菌が進入しにくく、また、移送路13bの下端を水ボトル1の底面まで延ばす必要もなくなる。勿論、水ボトル1が非収縮構造の場合は、移送路13bの下端をボトル底部近傍まで延ばしておくことが好ましい。
【0055】
受部側エアロゾル形成部材16は、ネブライザーアダプタXB1の筐体15に設けられたデフューザー14の内側に形成される。ノズル部材12のオリフィス12aの近傍に受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aが形成されており該受部側エアロゾル形成部材16の下端は、液体受部15aまで伸びる。吸液口16bは規定水位の液面近傍に配設される。この吸液口16bは、噴出口16aの鉛直真下に対して、水平方向にずれた位置に配置される。なお、例えば吸液口16bは液体受部15aの底面から5mm以上、上方に離れた位置に配設されており、より好ましくは10mm以上、上方に配置される。
【0056】
液体受部15aに溜まった液体2は、該吸液口16bから吸引されて受部側エアロゾル形成部材16の液体2の噴出口16aからエアロゾルとなって噴出され、空気と酸素ガスとエアロゾルとの混合気となって、水平突起部6から患者に対し送出される。この際、前述の容器側エアロゾル形成部材13からエアロゾル状となって噴出した液体2も混合されることになる。
【0057】
容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aと受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aの位置関係は、後述する液面制御機構Vの遮断部材31が退避位置に存在する場合に、受部側エアロゾル形成部材16と容器側エアロゾル形成部材13によって外部に排出される液体2の消費量に対して、容器側エアロゾル形成部材13によって液体2を液体受部15aまで移送する量が上回るように設定する。その一例が、
図1に示すように、オリフィス12aを基準にして、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aを、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aよりも、酸素噴射方向(
図5の符号h参照)に沿って離れた位置に配置しつつも、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aを、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aと比較して、酸素噴射の半径方向(
図6の符号s参照)に接近するように配置することである。このようにすると、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aに生じる負圧が、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aに生じる負圧よりも大きくなり、水ボトル1内の液体2の吸い上げ力を確保できる。
【0058】
容器側エアロゾル形成部材13は、噴出口13aに繋がった液体2を吸い上げる移送路13bの下端が水ボトル1まで伸びており、水ボトル1の下部から液体2を吸い上げることを最優先機能とする。勿論、噴出した液体2がエアロゾル状となって酸素ガスを加湿し、水平突起部6から患者に対し空気と酸素ガスとエアロゾルとの混合気を送出する事を同時に行っても構わない。
【0059】
一方、受部側エアロゾル形成部材16の役目は、容器側エアロゾル形成部材13によって汲み上げられて、液体受部15aに溜まった液体2を、エアロゾル状として受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aから噴出させることを最優先機能とする。従って、受部側エアロゾル形成部材16は、液体受部15aの規定水位以下で且つ水面近傍まで伸びる。受部側エアロゾル形成部材16は、下端に配設された吸液口16bから、液体2の噴出口16aまでの距離が短くなり、液体2を吸い上げる為に受部側エアロゾル形成部材16に必要な負圧は小さくて済む。
【0060】
受部側エアロゾル形成部材16の吸液口16bを、液体受部15aの底面近傍ではなく、水面近傍としているのは、後述するヒータ装置60で加熱された高温水は、水面側に上昇することから、加熱された水を優先的に吸液するためである。また、同吸液口16bを、噴出口16aの鉛直真下に対して水平方向にずれた位置とするのは、噴出口16aの鉛直真下は、オリフィス12aからの酸素によって水面が波打ちやすく、液体受部15aの底側の低温水と水面側の高温水が混合しやすい場所だからである。即ち、吸液口16bを水平方向にずらすことで、水面が静かな領域で高温の液体2のみを効率的に吸引する。
【0061】
しかるに、
図5及び
図6に示した負圧のグラフの中で、比較的負圧の小さい位置に受部側エアロゾル形成部材16の水の噴出口16aを配設し、比較的負圧の大きい位置に容器側エアロゾル形成部材13の液体2の噴出口13aを配設することが理に適っている。
【0062】
なお、
図1では受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aと容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aが上下方向に離れており、かつ、同一方向に噴出するように配置する場合を例示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図4の(A)のように、オリフィス12aを基準にして、酸素噴射方向に沿って、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aを、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aよりも離れた位置に配設してもよい。この際、酸素噴射の半径方向に沿って、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aと容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aを略同じ位置に配置することも好ましい。
図4の(B)のように、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aと対向する位置に受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aを配設してもよい。この際、酸素噴射の半径方向に沿って、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aを、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aよりも離れた位置に配置することも好ましい。
図4の(C)のように、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aと受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aとは高さ位置は同じだが、下部から見るとノズル部材12のオリフィス12aの中心からある角度回転した位置に配設してもよい。この際、酸素噴射の半径方向に沿って、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aを、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aよりも離れた位置に配置することも好ましい。もちろん、この3例に限られず、容器側エアロゾル形成部材13の液体2の噴出口13a及び受部側エアロゾル形成部材16の液体2の噴出口16aに必要な負圧の条件を満たす配置であれば、他の構成でも可能である。
【0063】
図16乃至
図19に示すように、ネブライザーアダプタXB1は液面制御機構Vが設置される。液面制御機構Vは、液体受部15aに貯留される液体2を規定水位に維持する機能を有する。具体的には、液体受部15aの液体2が規定水位に到達したら、
容器側エアロゾル形成部材13の吸い上げ能力を低下させる。一方、液体受部15aの液体2が規定水位より少なくなったら、
容器側エアロゾル形成部材13の吸い上げ能力を向上させる。
【0064】
詳細に説明すると、液面制御機構Vは、噴出口13aの鉛直上方における開閉動作によって、オリフィス12aから噴射される酸素が、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aに当たらないようにする弁30を備える。弁30は、遮断部材31と、浮動部材32と、連結部材33と、ストッパ35を備えている。
【0065】
遮断部材31は、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aをノズル部材12のオリフィス12aから遮断する遮断位置(
図18において実線で示す位置)と、該遮断位置から退避した退避位置(
図18において一点鎖線で示す位置)との間を揺動軸34回りに揺動する。この遮断部材31は、遮断位置に位置する場合に、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aをノズル部材12のオリフィス12aから遮断して、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能を停止させる。そして、遮断部材31は、退避位置に位置する場合に、容器側エアロゾル形成部材13における噴出口13aのノズル部材12におけるオリフィス12aからの遮断を解除して、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能を復帰させる。
【0066】
浮動部材32は、液体受部15aに溜められた液体2の液面に浮かび、該液面の上昇又は低下に伴って上下に浮動する。連結部材33は、浮動部材32と遮断部材31を連結する部材であり途中でL字状に屈曲している。連結部材の途中に揺動軸34が配置されており、該浮動部材32の浮動によって、揺動軸34に回転モーメントが作用し、結果として該遮断部材31が揺動する。
【0067】
図18に示すように、ストッパ35は
連結部材33に配置されており、遮断部材31が遮断方向に揺動する際に、
容器側エアロゾル形成部材13の側面に当接して、遮断部材31の位置決めを行う。なお、遮断部材31が退避方向に揺動する際は、遮断部材31自身が
容器側エアロゾル形成部材13に当接して、自らの位置決めを行う。
【0068】
以上のようにすると、ネブライザーアダプタXB1では、容器側エアロゾル形成部材13が水ボトル内の液体2を吸い上げ続け液体受部15aに溜められた液体2の液面が上昇することで浮動部材32が上方に浮動し、遮断部材31が揺動し遮断位置に位置することとなり、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能が停止する。これにより、液体受部15aに溜まった液体2が水平突起部6(
図1参照)に溢れ出てしまうことが防止される。受部側エアロゾル形成部材16が液体受部15aに溜められた液体2を吸い上げることで該液体2の液面が低下すると、浮動部材32が下方に浮動して遮断部材31が揺動し退避位置に位置することとなり、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能が復帰する。なお、本実施形態では、遮断部材31による遮断位置は、遮断部材31と揺動軸34を結んだ仮想線が、オリフィス12aからの酸素の噴射方向と平行又は一致させている。このようにすると、オリフィス12aからの酸素を受け止めた際に、酸素ガスの圧力を、遮断部材31を介して揺動軸34で半径方向に受け止めるので、回転モーメントが作用しにくい。結果、液体2の液位の変化に伴った浮動部材32の浮力による遮蔽部材31の回動に、酸素ガスの圧力が悪影響を与えにくいといえる。
【0069】
次にヒータ装置60について説明する。ヒータ装置60は、ネブライザーアダプタXB1の筐体15の外側から、液体受部15aの液体2又は受部側エアロゾル形成部材16内の液体2を加熱するものである。
【0070】
図8(A)に示すように、ヒータ装置60は、液体受部15aの筐体15の側面を取り囲むように配置される一対のプレートヒータ62a、62bと、このプレートヒータ62a、62bを収容するケース64と、ケース64の側面に形成される操作パネル70と、ロック機構80を備える。ケース64は、主ケース65と、この主ケース65に対してヒンジ65aによって水平方向に揺動自在に配置される揺動ケース66を備える。
【0071】
主ケース65は、ネブライザーアダプタXB1の下側を保持する底面65bと、液体受部15aの側面の半分を保持する内周面65cを有しており、この内周面65cにプレートヒータ62aが配置される。また特に図示しないが、この主ケース65内には、電源装置やコントローラ(制御装置)等が収容される。主ケース65の底面65bには、開口65dが形成されており、ネブライザーアダプタXB1のアダプタ側接続部3が下側に露出できる構造となっている。即ち、この開口65dの空間を利用して、ネブライザーアダプタXB1と水ボトル1を直接接続できる(
図1参照)。揺動ケース66は、液体受部15aの側面の半分を保持する内周面66aを有しており、この内周面66aにプレートヒータ62bが配置される。
【0072】
図11(A)に示すように、プレートヒータ62a、62bは、ネブライザーアダプタXB1の筐体15と対向する面の反対側の面(背面)に弾性部材68を備える。この弾性部材68は例えばバネであり、プレートヒータ62a、62bを筐体15に押し付けて密着させる。なお、
図11(B)に示すように、弾性部材68として、プレートヒータ62a、62bの背面側に、断熱性のクッション材を配置しても良い。
【0073】
以上の構造により、本ヒータ装置60は、一対のプレートヒータ62a、62bを水平方向に開閉させることができる。結果、一対のプレートヒータ62a、62bによって、液体受部15aを両側面から挟み込み、更に弾性部材68の押し付け力によって、プレートヒータ62a、62bと液体受部15aに密着させる。
【0074】
図8(B)に示すように、操作パネル70は主ケース65の側面に形成される。この操作パネル70は、ネブライザーアダプタXB1から供給される混合気の温度を設定する温度設定部72と、温度設定部72によって設定された温度を表示する設定温度表示部73と、ヒータスイッチ74と、液体受部15a内の水が空になったことを示す水切れ表示部75と、プレートヒータ62a、62bの温度を表示するヒータ温度表示部76と、ロック機構80を解除する解除ボタン77を有する。温度設定部72は、上下一対のボタンとなっており、上のボタンを押すと設定温度が上昇し、下のボタンを押すと設定温度が下がるようになっている。設定温度表示部72は、5つのランプが直接配置されており、各々が28度、31度、34度、37度、40度の5段階の設定温度を表示する。ヒータスイッチ74は、プレートヒータ62a、62bのON・OFFを切り替える。ヒータ温度表示部76は、2色のランプを備えており、プレートヒータ62a、62bの実際の温度が例えば30度以下であれば青ランプ、30度を超えた場合は赤ランプとすることができる。このヒータ温度表示部76によって、プレートヒータ62a、62bに手を触れても安全な温度か否かを確認できる。換言すれば、このヒータ温度表示部76は、揺動ケース66を開放しても良いか否かを表示することになる。
【0075】
図12(A)に示すように、ロック機構80は、揺動ケース66側に配置される固定係合部81と、主ケース65側に配置される揺動係合部82と、揺動係合部82をロック側に付勢するロック用バネ83と、揺動係合部82を開放する方向に限って揺動係合部82と連動する操作アーム84と、この操作アーム84を介して揺動係合部82を電気的に強制揺動させる駆動部材85を備える。固定係合部81と揺動係合部82は、先端を互いに係合させて、揺動ケース66と主ケース65を閉じた状態に維持する。揺動係合部82は揺動軸
82bを中心に揺動自在に配置される。操作アーム84は、揺動軸82bを中心に揺動自在に配置され、揺動係合部82と当接する押し部84aを有する。駆動部材85は例えば電磁プランジャであり、揺動部82と連動する操作アーム84と接続されて操作アーム84を強制揺動させる。
【0076】
図8(B)に示す解除ボタン77を押すと、
図12(B)のように駆動部材85によって操作アーム84が開放側に揺動する。結果、押し部84aが揺動係合部82と当接して、ロック用バネ83の付勢力に抗して揺動係合部82が開放側に揺動し、固定係合部81との係合が外れて、ロック機構80が解除される。これにより揺動ケース66を開くことができる。しかし、プレートヒータ62a、62bが所定温度を超えている場合(ヒータ温度表示部76が赤色ランプの時)は、解除ボタン77を押しても駆動部材85はロック機構80を解除しない。作業者がプレートヒータ62a、62bに手を触れて火傷することを防止するためである。
【0077】
一方、揺動ケース66を閉める時は、主ケース65に対して揺動ケース66を手作業で押し付ける。その結果、
図12(C)のように、固定係合部81と揺動係合部82は互いに押し付けられる。両者は互いに干渉するが、固定係合部81に揺動係合部82が押し付けられると、ロック用バネ83の付勢力に抗して揺動係合部82が揺動し、自ずと
図12(A)のロック状態に移行できるようになっている。
【0078】
なお、
図12(D)(E)(F)に示すように、駆動部材85に代えて、開閉ボタン86によって、手動で操作アーム84を揺動させて、開閉することも可能である。この場合、プレートヒータ62a、62bが所定温度を超えている場合、ロック用プランジャ89を操作アーム84に係合させて、操作アーム84の開放側の揺動を規制することが好ましい。
【0079】
図8〜
図10に示すように、揺動ケース66の上面には、気体用温度センサ90が配置される。この気体用温度センサ90は、揺動ケース66と一緒に揺動して、
図9(B)に示すように、ネブライザーアダプタXB1の水平突起部6の外周面に形成されるセンサ収容凹部6aに収容される。センサ収容凹部6aは水平突起部6の中心方向に向かって凹んでおり、その結果、気体用温度センサ90が水平突起部6の中心に接近できる。このようにすると、センサ収容凹部6aの部材温度と、供給される混合気体の温度が近似する。結果、気体用温度センサ90がセンサ収容凹部6aの温度を計測することで、混合気体の温度を間接的に計測する。なお、コントローラでは、気体用温度センサ90によって計測される温度に対して、筐体(センサ収容凹部6a)を介在させることで生じ得る計測誤差を補正して混合気体の温度とする。このようにすると、気体用温度センサ90が混合気体に直接触れないので、患者毎に気体用温度センサ90を交換したり、滅菌処理をしたりすることが不要となる。また、
図10に示すように、揺動ケース66の揺動動作に連動して、気体用温度センサ90がセンサ収容凹部6aに対して進退するので、揺動ケース66を開いて、ネブライザーアダプタXB1とヒータ装置60を分離させるときも、気体用温度センサ90が邪魔にならないで済む。
【0080】
図13には、ヒータ装置60の制御構成が示されている。本制御構成は、加湿気体の温度を設定温度に制御する機能と同時に、液体受部15a内の液体2の有無を判定して、間接的に水ボトル1内の水切れを判定する水切れ判定装置を兼ねている。このヒータ装置60は、マイコンM及びソリッドステートリレーSSRによって制御される。マイコンMには、気体用温度センサ90の他、一対のプレートヒータ62a、62bに設置されるヒータ用(温度)センサ91a、91b、周囲温度を測定する外気用温度センサ92、異常を知らせるブザー93が接続される。更にマイコンMには、コンセントCにつながる電源P、操作パネル70のLED群や設定ボタン群、ロック機構80の駆動部材(プランジャ)85、メモリR、ソリッドステートリレーSSR等が接続される。なお、電源Pは、コンセントCの100Vの電源を5Vに変換してマイコンMに供給する。
【0081】
コンセントCの一方の端子は、温度ヒューズ61a、61bを経由して直列にプレートヒータ62a、62bに接続される。コンセントCの他方の端子は、ソリッドステートリレーSSRを介してプレートヒータ62a、62bに接続される。従って、ヒータ用(温度)センサ91a、91bやSSR、マイコンM等の不具合によって、プレートヒータ62a、62bが異常加熱し、それがあらかじめ設定した温度以上になると、温度ヒューズ61a、61bが自ら断線してプレートヒータ62a、62bへの電源供給を停止する。
【0082】
ソリッドステートリレーSSRは、マイコンMからのPWM信号に基づいて、プレートヒータ62a、62bに供給される電力を制御する。マイコンMは、気体用温度センサ90が、操作パネル70で設定された設定温度で安定するように、ソリッドステートリレーSSRに対してPWM信号を発する。なお、ヒータ用(温度)センサ91a、91bから得られる値は、プレートヒータ62a、62bの制御用途の他、異常加熱の監視等に用いる。外気用温度センサ92から得られる値は、気体用温度センサ90の補正量に対して更に補正をかけるようになっている。
【0083】
図14には、ヒータ装置60の基本制御フローが示されている。ステップS10でコンセントCから電源が供給されると、ステップS12でイニシャル処理として各変数を初期化し、ステップS14に進んで待機モードとしてヒータ出力を0に保持する。次いでステップS16で、操作パネル70でヒータ加熱をONにすると、各温度センサの動作確認を行ってから、ステップS18に進んでヒータ制御を行う。その後、ステップS20でヒータ加熱をOFFにすると、ヒータ出力を0にして、ステップS22に進んでネブライザー取出し処理を行う。ステップ
S24でコンセントCへの電源の供給が断たれて終了となる。
【0084】
図15には、ステップS18のヒータ制御において一定周期(例えば10秒)で繰り返される詳細フローが示されている。まず、ステップS30においてヒータ状態を監視し、温度異常やヒータ断線、ネブライザーアダプタXB1の未装着(特に図示しないメカニカルスイッチ等を用いる)をチェックする。仮にヒータ状態が異常であれば、ステップS32でヒータ出力を0に更新してステップS30に戻る。一方、ステップS30で
ヒータ状態が正常であれば、ステップS34に進んで初期加熱処理を行う。
【0085】
初期加熱処理は、プレートヒータ62a、62bの出力をOFFからONにした時に限って行う処理となる(初期フラグがONの時に限って行う処理となる)。まずプレートヒータ62a、62bの出力を段階的に高めて行き、その後、プレートヒータ62a、62bを第1出力に設定して一定時間待機して温度の安定を待ち、ヒータ温度(第一ヒータ温度)、混合気体の温度(第一気体温度)及び周囲温度(第一周囲温度)を計測する。その後、プレートヒータ62a、62bを第2出力に設定して再度待機して温度の安定を待ち、ヒータ温度(第二ヒータ温度)、混合気体の温度(第二気体温度)及び周囲温度(第二周囲温度)を計測する。これらの第一出力の各種温度と第二出力の各種温度の差分から、単位出力変化量あたりの混合気体の温度変化量(あるいは単位気体温度変化量に要する出力変化量)を第一制御基準値として算出し、更に、単位出力変化量あたりのヒータの温度変化量(あるいは単位ヒータ温度変化量に対する出力変化量)を第二制御基準値として算出してから、初期フラグをOFFにする。その後、第一制御基準値を利用して、実際のネブライザーXA1から排出される混合気体の温度が設定温度となるようにプレートヒータ62a、62bを制御する。
【0086】
なお、具体的には第一及び第二出力としては、予め設定した固定値を用いても良いが、例えば、フィードバック制御等によって混合気体の温度が第一温度目標値で安定した時のプレートヒータ62a、62bの出力値を第一出力、混合気体の温度が第二温度目標値で安定した時のプレートヒータ62a、62bの出力値を第二出力とすることもできる。また例えば、フィードバック制御等によって混合気体の温度が第一温度目標値(例えば設定温度)で安定した時のプレートヒータ62a、62bの出力値を第一出力とし、この第一出力に対して固定量加算又は減算した値を第二出力とすることもできる。いずれにしろ、混合気体の温度が互いに異なる少なくとも2つの条件で各々が安定した値を検出すれば、上記第一及び第二制御基準値を算出することができる。
【0087】
次いで、ステップS36において混合気体温度確認を行う。混合気体温度確認は、気体用温度センサ90によって計測される混合気体の温度と設定温度の差が、所定閾値(例えば±0.5度)以内(安定)か、そうではない(不安定)かについて判定する処理である。所定閾値以内であれば、現状の制御を維持すれば良いので、ステップS30に戻る。なお、ステップS36では、ヒータ温度及びヒータ出力をメモリRに記録する。このヒータ温度及びヒータ出力は、後述する水切れ判定モードの制御や、水切れ状態から復帰する時(即ち、初期フラグがOFFの状態のまま復帰する時)の初期値として利用する。
【0088】
一方、混合気体の温度と設定温度の差が所定閾値を超えている場合は、ステップS38に進んで、ヒータ温度安定確認を行う。ヒータ温度安定確認は、プレートヒータ62a、62bのヒータ温度が所定時間にどの程度変化しているか評価して行う。例えば1分単位でヒータ温度を計測し、直前の温度と今回の温度の変化量が所定閾値以内に収まっていれば安定と判断し、所定閾値を超える場合は不安定と判断する。その他にも、変化量を更に微分した値を判定値としても用いたり、移動平均値を判定値として用いたりすることができる。
【0089】
ヒータ温度が安定している場合、ステップS40のヒータ出力変更処理に進み、混合気体の温度と設定温度の差を解消するように、プレートヒータ62a、62bの出力を変更する。この出力変更値は、既に算出済みの第一制御基準値を利用して、混合気体の温度と設定温度の温度差を解消するために必要な出力変化量を算出し、これを現在出力に加算又は減算することによって決定する。なお、算出結果が、予め設定しているヒータ温度上限値又は/及びヒータ出力上限値を超える場合は、その上限値を超えない範囲の最大出力に決定する。勿論、混合気体の温度と設定温度の差が無い場合は、出力変更値は現在出力値と同じになる。
【0090】
次いで、ステップS42の一時待機処理で、出力変更後のプレートヒータ62a、62bの温度及び混合気体の温度が変化するまで一定時間(例えば20秒)待機してから、ステップS43に進んで、ヒータ温度及び混合気体温度の安定確認を行う。ヒータ温度及び混合気体温度の双方が安定している場合は、ステップS60に進んで、出力変更前と出力変更後の混合気体の温度変化量やヒータの温度変化量を利用して、既に述べた第一及び第二制御基準値を更新し、最新の混合気体温度及びヒータ温度と共にメモリRに記憶させて、ステップS30に戻る。このようにすると、外部環境の変化(気温や湿度変化)や流量変化に対して、最適な制御基準値を常に保持することができる。
【0091】
一方、ステップS43において、ヒータ温度及び混合気体温度のいずれか一方でも不安定であると判断された場合、ステップS62に進んで過剰応答確認を行う。具体的には、プレートヒータ62a、62bの出力を増加させた際に、混合気体の温度が設定温度よりも所定量(例えば+0.5度)超えてしまっているか、又は、プレートヒータ62a、62bの出力を減少させた際に、混合気体の温度が、設定温度よりも所定量(例えば−0.5度)下回っているかを確認する。プレートヒータ62a、62bの出力制御に対して、混合気体温度が過剰応答している場合は、水切れの可能性が存在するからである。従って、ステップS62で過剰応答と判断した場合は、ステップS44に進んで、水切れ判定モードMに移行する。一方、ステップS62で過剰応答でないと判断した場合は、再びステップS43のヒータ温度及び混合気体温度の安定確認を繰り返す。
【0092】
水切れ判定モードMについて説明する。ステップS38でヒータ温度が安定しない場合、又は、ステップS62で過剰応答の場合、ステップS44のヒータ温度安定制御処理に進み、ヒータの温度を安定させるよう出力制御すると共に、連続回数カウンタに1を加える。具体的には、ステップS36等において直前にメモリRに記録されているヒータ温度を安定化目標温度として、現在のヒータ温度がその安定化目標温度となるように、第二制御基準値に基づいて、プレートヒータ62a、62bの出力値を変更する。その後、ステップS46の一時待機処理で、出力変更後のプレートヒータ62a、62bの温度が安定するまで一定時間(例えば数分)待機してから、ステップS48で水切れ判定を行う。ちなみに、ステップS48水切れ判定は、ステップS44の連続回数カウンタの数で行うようになっており、本実施形態では連続回数カウンタが6回以内であれば、まだ水が存在すると判断して、ステップS38に戻ってヒータ温度安定確認を行う。ヒータ温度が安定しない場合は、ステップS44のヒータ温度安定制御処理を繰り返すことになる。
【0093】
ステップS44によるヒータ温度安定制御を6回繰り返しても、ステップS38のヒータ温度安定確認でヒータ温度が安定化目標値に収束しない場合は、ステップS48の連続回数カウンタが7回に到達する。その結果、ヒータの外部環境に異常変化が生じた、即ち水が切れたと判定して、ステップS50で水切れ警報処理を行う。水切れ警報処理では、プレートヒータ62a、62bの出力を0に更新し、更に操作パネル70の水切れ表示部75を点灯させると共に、ブザー93で警報を発して、利用者の聴覚又は視覚に訴えてから、基本制御フローのステップS14に戻って待機する。
【0094】
このように、本実施形態では、混合気体の温度の目標値(設定温度)からのずれ量の判定と、ヒータ温度の
不安定レベルの判定の双方を評価し、混合気体温度が目標値からずれているが、ヒータ温度が安定している場合は、設定温度の変更や混合気体の流量が変動したと判断して、混合気体温度が目標値に追従するようにヒータ出力を制御する。一方、ヒータ温度が不安定であって、ヒータ温度自体を目標値としてヒータ出力を制御しても、依然としてヒータ温度が不安定の場合は、水切れ判定を行う。特に本実施形態では、混合気体温度が目標値からずれている場合に限って、水切れ判定モードMに移行することで、高精度かつ高効率に水切れ判定を行うことができる。なお、本実施形態では、ヒータ出力を制御する過程で、自動的に水切れを判定する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ヒータ出力を一定(固定)とする場合は、混合気体の温度とヒータ温度を常に監視して、混合気体の温度とヒータ温度が一定期間、上昇し続ける場合は水切れと判定し、混合気体の温度とヒータ温度が一時的に上昇したとしても、その後、両温度が安定した場合は、混合気体の流量変化に起因した変動であって、水切れではないと判定する。即ち、ヒータ温度の一時的な変化は許容しつつも、一定期間以上の継続的な温度上昇の場合は、水が無くなったことによる影響と考えて水切れ判定すればよい。
【0095】
以上説明したネブライザーXA1では、ノズル部材12のオリフィス12aから噴射された酸素ガスによる負圧を利用して、容器側エアロゾル形成部材13が加湿用の液体2を収容する水ボトル1から液体2を吸引して液体受部15aに溜める。更に、同じ負圧を利用して、受部側エアロゾル形成部材16によって液体受部15aから液体2を吸引して液体2をエアロゾル化する。従って、液体受部15aに溜まった滅菌水等の液体2を水ボトル1等の容器へ戻す為のドレンチューブを設ける必要がなく、水ボトル1等の容器の交換が容易となり、従来の様に容器の交換時にドレンチューブから液体2が垂れる事も解決される。
【0096】
また、ネブライザーXA1では、室内の雑菌の混じったドレンとなる滅菌水等の液体2が水ボトル1等の容器に戻る事がないので、容器内の液体に雑菌が混じってしまうという欠点を解決できる。
【0097】
更にネブライザーXA1では、液体受部15aに溜められる液体2を、ヒータ装置60によって加熱して、受部側エアロゾル形成部材16によってエアロゾル化している。従って、従来のように水ボトル1の液体2を吸い上げる途中で液体2を急加熱する場合と比較して、溜まっている液体2を安定的に加熱することができるので、消費電力を低減することが可能となる。また、液体受部15aで加熱された後、受部側エアロゾル形成部材16で吸い上げられて噴出された液体2の一部は、液体受部15aに還流するが、その液体2は水ボトル(容器)1側に逆流させずに優先的にエアロゾルとして再利用されるので、極めて衛生的である。更に、受部側エアロゾル形成部材16の吸液口16bを、液体受部15aの底面近傍ではなく規定水位近傍に配置することで、水面に集まり易い高温水を優先的に吸液できる。また、吸液口16bを噴出口16aの鉛直真下から水平方向にずらすことで、波の少ない静かな水面で、効率的に高温水のみを吸引できる。
【0098】
また更に、このネブライザーXA1では、液体受部15aの液面低下を検知することにより、水ボトル1内の水切れを間接的に検知できる。従って、液体受部15aの液面低下を早めに検知すれば、水ボトル1内の液体2が完全に切れていても、液体受部15a内の液体2がバッファとして作用するので、加湿機能を維持したまま、水ボトル1を交換することが可能になる。特に本実施形態では、液体受部15a内の液面が低下すると、プレートヒータ62a、62bの温度が継続的に上昇する傾向を利用して、このプレートヒータ62a、62bの温度変化から液体受部15aの液面低下を間接的に検知している。従って、特別な水切れ検出装置を用意することなく、水ボトル1の水切れを正確に判定できることになる。
【0099】
[第二実施形態]次に、
図20を用いて第二実施形態に係るネブライザーXD1の構成について説明する。なお、ここでは、ネブライザーXD1の特徴部分を中心に説明し、上記第一実施形態と同様の構成及び作用についての説明は、図面に同一の符号を付す等して適宜省略することもある。図面の複雑化を防ぐために、液面制御機構の説明及び図示は省略している。
【0100】
このネブライザー(加湿装置)XD1はネブライザーアダプタXE1とヒータ装置60と水ボトル(容器)1とによって構成される。
【0101】
このネブライザーアダプタXE1は、受部側エアロゾル生成ノズル16aの鉛直真下且つ液体受部15aの水面より上方に、ノズル部材12のオリフィス12aから噴射されたガスが水面に衝突することを規制する規制部材110が配置される。この規制部材110は、受部側エアロゾル形成部材16又は容器側エアロゾル形成部材13に固定された水平方向に延びるプレート材であって、オリフィス12aから噴射されたガスを受け止める。結果、ガスの噴射によって液体受部15a水面が波打つことを抑制される。このようにすると、ヒータ装置60によって加熱された液体受部15a内の温水を、水面近傍に静かに滞留させることができるので、受部側エアロゾル形成部材16の吸液口16bから、安定した温水のみを効率的に吸液できる。
【0102】
更にこのネブライザーアダプタXE1は、液体受部15aにおいて、液体2を貯める貯留空間の一部が区画された部分貯留部120を備えている。即ちこの部分貯留部120は、液体2の一部を取り囲む部分周壁121を有することになる。なお、本実施形態では、液体受部15a内に仕切り壁125が立設されており、この仕切り壁125によって貯留空間が部分貯留部120と残部に区画される。貯留空間おける部分貯留部120と残部の間は、液体2が移動可能な何らかの通路が必要となるが、本実施形態では、仕切り壁125の高さを規定水位よりも低く設定し、水面を介して液体2が移動する。ここでは特に、部分貯留部120の体積が、残部の体積よりも小さくなるように設定される。
【0103】
ヒータ装置60は、少なくともこの部分貯留部120内の液体2に対して、部分周壁121を介して外部から液体2を加熱する。受部側エアロゾル形成部材16の吸液口16bは、部分貯留部120の液体2を優先的に吸引する。このようにすると、
ヒータ装置60によって部分貯留部120内で加熱された液体2が、この部分貯留部120内に滞留しやすくなる。従って、素早く水温を上昇させることができるので、効率的に混合気体を加熱することができる。なお、ここでは特に図示しないが、仕切り壁125内にヒータ装置60のヒータを進入させて、仕切り壁125も加熱すれば、一層効率的に部分貯留部120を加熱できることになる。
【0104】
例えば
図21の応用例に示すように、仕切り壁125によって区画される部分貯留部120には蓋部材126を配置し(あるいは仕切り壁125の高さを規定水位よりも高く設定し)、部分貯留部120の上側(水面側)から液体2が進入しないようにしても良い。液体受部15aには、貯留空間における部分貯留部120と残部を繋ぐ連通路130を配置する。連通路130における残部側の開口132は、液体受部15aの底面よりも上方に配置され、部分貯留部120側の開口134は部分貯留部120の底面側に配置される。結果、連通路130における残部側の開口132は、部分貯留部側の開口134よりも高い位置に配置されることになる。このようにすると、部分貯留部120内で加熱された温水は、部分貯留部120内で上昇してそのまま滞留させることができる。従って、受部側エアロゾル形成部材16の吸液口16bは、加熱された温水のみを優先的に吸引できる。更に、部分貯留部120内の水位が下がると、連通路130を介して残部側の液体2が部分貯留部120側に移動するが、連通路130における残部側の開口132が、規定水位近傍に配置されるので、残部側で加熱されて水面に滞留している温水のみを、限定的に部分貯留
部120側に移送できる。連通路130における部分貯留部120側の開口134は、部分貯留部120の底面近傍に配置されるので、部分貯留部120に移動した液体2は、ヒータ装置60によって加熱されて上昇し、受部側エアロゾル形成部材16の吸液口16bから吸液される。なお、本応用例のように、液面の波打ちの影響が受けにくい構造の場合は、規制部材を省略することも可能である。
【0105】
[第三実施形態]次に、
図22を用いて第三実施形態に係るネブライザーXF1の構成について説明する。なお、ここでは、ネブライザーXF1の特徴部分を中心に説明し、上記第一及び第二実施形態と同様の構成及び作用についての説明は、図面に同一の符号を付す等して適宜省略することもある。図面の複雑化を防ぐために、液面制御機構の説明及び図示は省略している。
【0106】
このネブライザー(加湿装置)XF1はネブライザーアダプタXG1とヒータ装置60と水ボトル(容器)1とによって構成される。
【0107】
このネブライザーアダプタXG1は、液体受部15aにおいて、液体2を貯める貯留空間の底面が部分的に低くなっており、この深底の部分によって部分貯留部120が構成される。即ちこの部分貯留部120は、液体2の
貯留空間を高さ方向に区画することによって形成される。部分貯留部120の深底の周面が部分周壁121となる。貯留空間おける部分貯留部120と残部の間は、液体2が移動可能な何らかの通路が必要となるが、本実施形態では、部分貯留部120の上方が解放されているので、液体2は自在に移動できる。
【0108】
ヒータ装置60は、部分貯留部120の周囲又は底面を取り囲むように配置される部分加熱ヒータ62cを備える。従って、部分貯留部120内の液体2を集中的に加熱することができる。受部側エアロゾル形成部材16の吸液口16bは、部分貯留部120近傍に配置されて、部分貯留部120で集中加熱される液体2を優先的に吸引する。なお、点線で示すように、部分貯留部120と残部の間に、第二実施形態と同様の仕切り壁125を追加配置しても良い。この仕切り壁125によって、部分貯留部120と残部の間の液体2の移動を一層制限することができる。
【0109】
なお、例えば
図23の応用例に示すように、深底空間によって区画される部分貯留部120に蓋部材126を配置し、部分貯留部120の上側(水面側)から液体2が進入しないようにしても良い。この場合、液体受部15aには、貯留空間における部分貯留部120と残部を繋ぐ連通路130を配置する。連通路130における残部側の開口132は、液体受部15aの底面よりも上方に配置される。結果、連通路130における残部側の開口132は、部分貯留部側の開口134よりも高い位置に配置されることになる。このようにすると、部分貯留部120内で加熱された温水は、部分貯留部120内に滞留させることができる。また、部分貯留部120内の水位が下がると、連通路130を介して残部側の液体2が部分貯留部120側に移動するが、連通路130における残部側の開口132が、規定水位近傍に配置されるので、残部側で加熱されて水面に滞留している温水のみを、限定的に
部分貯留部120側に移送できる。
【0110】
更に
図24の応用例に示すように、
液体受部15aの底面の少なくとも一部に傾斜面140を配置することもできる。この傾斜面140の存在によって、液体受部15aの深さ(水深)を変化させることができ、また、冷たい水はこの傾斜面140に沿って深い方へ移動し、温かい水は水深の浅い方に滞留させることができる。従って、連通路130における残部側の開口132を、水深の浅い部分に配置すれば、一層、効率的に暖かい水を部分貯留部120に移送できる。なお、傾斜面140に沿って深い方に移動する冷たい水が、部分貯留部120に進入しないように、仕切り壁125や蓋等を配置することが好ましい。勿論、第一実施形態で示した構成においても、このような傾斜面140を形成して、水深の浅い部分の液体2を受部側エアロゾル形成部材16で優先的に吸液すれば、効率的に混合気体を加熱することができる。
【0111】
なお、上記第一から第三実施形態では、アダプタ側接続部3の鉛直上方にノズル部材12のオリフィス12aか配置される構造を例示しているが、本発明はこれに限定されない。
図25に示す更なる応用例のように、部分貯留部120の鉛直上方にノズル部材12のオリフィス12aを配置することも可能である。この場合、部分貯留部120の蓋を配置することによって、水面の波の影響を抑制することもできる。
【0112】
更に上記第一から第三実施形態では、ヒータ装置60の構成として、一対のプレートヒータ62a、62bによってネブライザーアダプタの
液体受部15aを挟み込む構造を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば
図26に示すヒータ装置60の応用例のように、柔軟性を有する一つのプレートヒータ62を自動又は手動で巻き付けるようにし、その端部を、バネ性を有する固定治具63で固定することで、ヒータを液体受部に密着固定することが可能である。なお、この場合においても、主ケース65と揺動ケース66によってヒータ62を覆い隠すことで、作業者の火傷等を防止することが好ましい。また、ヒータ装置60の構成として液体受部の側面を加熱する場合を例示しているが、底面又は上面側から液体受部を加熱しても良い。
【0113】
[第四実施形態]次に、
図27を用いて第四実施形態に係るネブライザーXH1の構成について説明する。
図27(A)は、ネブライザーXH1を構成するネブライザーアダプタXI1が備える液面制御機構Vの弁40の構造を説明する概念図である。
図27(B)は、
図27(A)に示す構造の要部を示す拡大図である。
【0114】
図27(A)及び
図27(B)に示すネブライザー(加湿装置)XH1はネブライザーアダプタXI1と図示を省略するヒータ装置及び水ボトル(容器)とによって構成される。
【0115】
ネブライザーアダプタXI1は、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aの鉛直上方を開閉して、オリフィス12aから噴射する酸素ガスが噴出口13aに当たることを阻害する弁40を備えている。弁40は、オリフィス12aから噴射する酸素ガスを遮断する「斜めスライド方式」である。具体的に、弁40は、遮断部材41と、浮動部材42と、連結部材43とを備えている。
【0116】
遮断部材41は、噴出口13aをオリフィス12aから遮断する遮断位置(
図27(A)において一点鎖線で示す位置)と、該遮断位置から退避した退避位置(
図28(A)において実線で示す位置)との間を斜めにスライド移動する。この遮断部材41は、遮断位置に位置する場合に、噴出口13aをオリフィス12aから遮断して、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能を停止させる。そして、遮断部材41は、退避位置に位置する場合に、噴出口13aのオリフィス12aからの遮断を解除して、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能を復帰させる。
【0117】
浮動部材42は、液体受部15aに溜められた液体2の液面に浮かび、該液面の上昇又は低下に伴って上下に浮動する。連結部材43には、ネブライザーアダプタXI1の筐体(図示省略)に設けられたガイドピン44によってガイドされるガイド溝43aが形成されている。この連結部材43は、浮動部材42を遮断部材41に連結し、該浮動部材42の浮動と共に該遮断部材41をスライド移動させる。
【0118】
[第五実施形態]次に、
図28を用いて第五実施形態に係るネブライザーXJ1の構成について説明する。
【0119】
図28(A)及び
図28(B)に示すネブライザー(加湿装置)XJ1はネブライザーアダプタXK1と図示を省略するヒータ装置及び水ボトル(容器)とによって構成される。
【0120】
ネブライザーアダプタXK1は、液面制御機構Vとして、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aを開閉する弁50を備えている。弁50は、噴出口13aを塞ぐ「上下スライド方式」である。具体的に、弁50は、遮断板51と、浮動部材であるフロートリング52とを備えている。
【0121】
遮断板51は、フロートリング52と一体的に構成され該フロートリング52と一体となってスライド移動する。これにより、遮断板51は、噴出口13aを塞ぐ遮断位置(
図28(A)において一点鎖線で示す位置)と、該遮断位置から退避した退避位置(
図28(A)において実線で示す位置)との間を上下にスライド移動する。この遮断板51は、遮断位置に位置する場合に、噴出口13aを塞いで、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能を停止させる。そして、遮断板51は、退避位置に位置する場合に、噴出口13aを塞ぐことを解除して、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能を復帰させる。
【0122】
フロートリング52は、一体的に構成された容器側エアロゾル形成部材13と受部側エアロゾル形成部材16とにスライド可能に嵌め込まれている。このフロートリング52は、液体受部15aに溜められた液体2の液面に浮かび、該液面の上昇又は低下に伴って上下に浮動する。これにより、フロートリング52は、遮断板51を上下にスライド移動させる。
【0123】
[第六実施形態]次に、
図29を用いて第六実施形態に係るネブライザーXL1の構成について説明する。
【0124】
図29(A)及び
図29(B)に示すネブライザー(加湿装置)XL1はネブライザーアダプタXM1と図示を省略するヒータ装置及び水ボトル(容器)とによって構成される。
【0125】
ネブライザーアダプタXM1は、液面制御機構Vとして、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aが規定水位と略同じ高さに配置されている。即ち、液体2の液面によって噴出口13aを塞ぐ「水没方式」である。
【0126】
図29(A)に示す状態では、液体2の水面が噴出口13aよりも低いので、噴出口13aが露出して水ボトル内の液体2を吸い上げることができる。一方、
図29(B)のように、液体2の水位が上昇して噴出口13aを水没する状態になると、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能が停止する。そして、液体2がエアロゾルとして消費されて液面が低下すると、再び
図29(A)の状態に戻って噴出口13aが露出し、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能が復帰する。
【0127】
なお、本実施形態では、容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aが液面側に近寄る結果、オリフィス12aから遠くなるので、負圧が不足する可能性がある。その場合は、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aに対応するオリフィス12aとは別に、酸素ガスの流れを分岐させて第二オリフィスを形成し、第二オリフィスと、規定水位近傍に配置される容器側エアロゾル形成部材13の噴出口13aを接近させるようにしても良い。
【0128】
[第七実施形態]次に、
図30を用いて第七実施形態に係るネブライザーXN1の構成について説明する。
【0129】
図30(A)及び
図30(B)に示すネブライザー(加湿装置)XN1はネブライザーアダプタXO1と図示を省略するヒータ装置及び水ボトル(容器)とによって構成される。
【0130】
ネブライザーアダプタXO1は、液面制御機構Vとして、容器側エアロゾル形成部材13の移送路13bの途中に配置される弁56と、液体2の上昇又は低下に伴って浮力を利用して揺動して弁56をON・OFFする駆動部材57を有する。弁56は、移送路13bに対して進退して、移送路13bの流路を閉鎖したり、解放したりする。従って、
図30(A)のように、液体2の水位が低い場合は、弁56によって移送路13bは開放された状態となり、容器側エアロゾル形成部材13によって液体2を吸い上げることができるようにする。一方、
図30(B)のように、液体2の水位が規定水位に到達すると、駆動部材57が揺動して弁56を押し込み、移送路13bを閉鎖する。結果、容器側エアロゾル形成部材13による液体2を吸い上げる機能が停止する。
【0131】
なお、上記第一乃至第七実施形態では、液面制御機構Vとして、液体2の浮力や液体自体を利用して、容器側エアロゾル形成部材13の吸い上げ機能を切り替える場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、液体2の液面(水位)を電気的に計測し、その計測結果を利用して、電気的な弁によって移送路13bの流れをON・OFFすることも可能である。また、電気的なポンプによって水ボトルから液体を吸い上げる場合は、液面の計測結果を利用して、ポンプの機能をON・OFFして液面を制御することも可能である。
【0132】
[第八実施形態]次に、
図31を用いて第八実施形態に係るネブライザーXP1の構成について説明する。なお、ここでは、ネブライザーXP1の特徴部分を中心に説明し、第一実施形態と類似しており、これと同様の構成及び作用についての説明は、図面に同一の符号を付す等して適宜省略することもある。
【0133】
このネブライザー(加湿装置)XP1はネブライザーアダプタXQ1とヒータ装置60と水ボトル(容器)1とによって構成される。
【0134】
このネブライザーアダプタXQ1では、受部側エアロゾル形成部材16における液路の一部を、液体受部15aの外側又は壁面内に配置してヒータ装置60で加熱する。ヒータ装置60は、液路加熱用ヒータ62dを備えており、受部側エアロゾル形成部16の外側から、内部を通過する液体2を間接的に加熱する。この結果、受部側エアロゾル形成部材16における吸液口16bから噴出口16aまでの間の液体2を効率的に加熱することができる。勿論、液体受部15a内の液体2も加熱しておくことが好ましい。
【0135】
なお、上記第一から第八実施形態では、液体受部15aに一旦溜めた液体2に限定して、ヒータ装置6で加熱する場合を例示したが、これに加えて、容器側エアロゾル形成部材13によって水ボトル1から吸い上げる途中の液体2を加熱しても良い。
【0136】
更に上記第一から第八実施形態では、液体移送機構として、容器側エアロゾル形成部材13を利用して水ボトル1から液体2を吸い上げて、液体受部15aまで移送する機構を例示したが、ポンプ機構などの他の手段を用いて、水ボトル1から液体2を液体受部15aまで移送することも可能である。
【0137】
[ネブライザーアダプタの状況判断処理] 次に、第一実施形態のネブライザーXA1について、
図14で示したヒータ装置60の基本制御フローに対して、ネブライザーアダプタXB1の状況判定処理を追加する場合を例示する。なお、ここでは第一実施形態と異なる部分について説明し、同一又は類似する部分の説明を省略する。
【0138】
図32(A)に示すヒータ装置60の基本制御フローは、ステップS14の待機モードと、ステップS16のヒータONの間に、ステップS15としてネブライザーアダプタ
XB1の状況判定処理が追加される。ステップS15の状況判定処理は、
図32(B)に示すように、ステップS15−1の気化熱判定処理と、ステップS15−2の比熱判定処理を有する。
【0139】
ステップS15−1の気化熱判定処理は、プレートヒータ62a、62bの出力をOFFにしたままの状態で、気体用温度センサ90における温度変化と、プレートヒータ62a、62bのヒータ用(温度)センサ91a、91bの温度変化を計測する。本ネブライザーXA1は、作業者による使用方法として、プレートヒータ62a、62bをONにする前に、受部側エアロゾル形成部材16の噴出口16aからエアロゾルを噴出させておくことが前提となる。噴出口16aからエアロゾルが噴出されると、気化熱によって、液体受部15aに溜まった液体2の温度が下がり、同時に、空気と酸素ガスとエアロゾルとの混合気の温度も下がる。従って、気化熱判定処理では、液体2の温度降下をヒータ用(温度)センサ91a、91bで検知し、混合気の温度降下を気体用温度センサ90で検知することにより、ヒータをONにする前に、エアロゾルが噴霧状態であることを自動判定する。仮に、温度降下が生じていない場合は、(1)ネブライザーアダプタ
XB1自体が未装着となっている、(2)ネブライザーアダプタ
XB1は装着されているが液体受部15aの液体2が空となっている、(3)液体受部15aに液体2は溜まっているが、酸素ガスがオリフィス12aから噴射されていない等の理由で噴出口16aからエアロゾルが噴出されていない、のいずれかの状況と判定できる。結果、いずれにしろエラー
となってステップS16のヒータONに進まないように制御する。
【0140】
ステップS15−2の比熱判定は、プレートヒータ62a、62bの出力をONにして、プレートヒータ62a、62bと接触している対象物(ネブライザーアダプタXB1及びその中の液体2)の比熱(又は熱容量)を判定する。具体的な比熱判定には、次の(手法A)と(手法B)の2つの方法がある。
【0141】
(手法A)プレートヒータ62a、62bの出力を一定となるように制御して、ヒータ用(温度)センサ91a、91bの温度上昇の速度を検出する。温度上昇が遅い場合は、対象物の比熱又は熱量量が大きいと判定し、温度上昇が速い場合は、対象物の比熱又は熱量量が小さいと判定する。
【0142】
従って、(1)ネブライザーアダプタ
XB1自体が未装着となっている場合の温度上昇速度が一番早くなり、(2)ネブライザーアダプタ
XB1は装着されているが液体受部15aの液体2が空となっている場合は(1)より遅くなり、(3)液体受部15aに液体2は溜まっているが、酸素ガスがオリフィス12aから噴射されていない等の理由で噴出口16aからエアロゾルが噴出されていない場合が(2)より更に遅くなり、(4)液体受部15aに液体2は溜まっており噴出口16aからエアロゾルが噴出されている場合が最も遅い。従って、これらの(1)乃至(4)の比熱の差を検知することで、例えば(3)又は(4)の時は正常と判断して、次のステップS16に進むことを許容すれば良い。なお、対象物の比熱が小さい場合はプレートヒータ62a、62bが急激に温度上昇し、周囲に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、次の手順Bを採用することが現実的となる。
【0143】
(手法B)プレートヒータ62a、62bの温度を、周囲温度よりも高温かつ通常加熱よりも低温の範囲(例えば火傷しない程度)で一定となるようにフィードバック制御し、温度安定時のプレートヒータ62a、62bの出力を検知する。出力が大きい場合は、対象物の比熱又は
熱容量が大きいと判定し、プレートヒータ62a、62bの出力が小さい場合は、対象物の比熱又は
熱容量が小さいと判定する。
【0144】
対象物の比熱又は熱容量は、(1)ネブライザーアダプタ
XB1自体が未装着となっている場合が一番小さく、(2)ネブライザーアダプタ
XB1は装着されているが液体受部15aの液体2が空となっている場合は(1)より大きく、(3)液体受部15aに液体2は溜まっているが、酸素ガスがオリフィス12aから噴射されていない等の理由で噴出口16aからエアロゾルが噴出されていない場合が(2)より大きく、(4)液体受部15aに液体2は溜まっており噴出口16aからエアロゾルが噴出されている場合が最も大きい。従って、これらの(1)乃至(4)の比熱の差を検知することで、各種状態を判断できる。例えば(3)又は(4)の時は正常と判断して、次のステップS16に進むことを許容すれば良い。各種判定閾値を用いれば、ネブライザーアダプタの状況を詳細に判別できる。
【0145】
以上の結果、ステップS15の状況判定処理の存在により、作業者による設置ミスや、プレートヒータ62a、62bによる、いわゆる空焚きを抑制することが可能となる。
【0146】
なお、ここではステップS15の状況判定処理として、ステップS15−1の気化熱判定と、ステップS15−2の比熱判定の双方を有する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、どちらか一方でも良い。また、状況判定処理を行うタイミングも、適宜変更することができる。例えば、ステップS15−2の比熱判定は、
図15のステップS34の初期加熱処理において、プレートヒータ62a、62bを第1出力に設定して一定時間待機して温度の安定を待つ際に、併せて上記判定を行うことも好ましい。
【0147】
[気体用温度センサの温度補正] 次に、第一実施形態のネブライザーXA1において、気体用温度センサ90によって計測される温度に対して、混合気体の温度を高精度に推測する応用手順を例示する。
図33に示すように、気体用温度センサ90よりも揺動ケース66に近い側又は揺動ケース66内に、伝熱計測用温度センサ94を追加配置する。この伝熱計測用温度センサ94は、水平突起部6を通過する混合気体の温度変化の影響を受けない場所であって、且つ、プレートヒータ62a、62bの熱が気体用温度センサ90まで伝達する伝熱経路の途中に位置させる。プレートヒータ62a、62bの熱は、揺動ケース66を経由して気体用温度センサ90まで伝達し、気体用温度センサ90に計測誤差を生じさせる。本発明者らは、伝熱計測用温度センサ94を利用して、プレートヒータ62a、62bの熱が、気体用温度センサ90にどの程度伝達しているかを検知し、気体用温度センサ90の温度検出結果から、伝熱計測用温度センサ94の温度値の所定割合を差し引くことで、混合気体の温度を高精度で推測することができることを明らかにしている。なお、この所定
割合は、伝熱計測用温度センサ94の設置位置、揺動ケースの材質、外気温、噴霧流量等によって変化させても良い。結果、混合気体の温度の検出精度を高めることが可能となる。
【0148】
[手動式ロック機構の構成及び制御] 次に、第一実施形態のネブライザーXA1のロック機構80の応用構成について例示する。
図34(A)に示すように、ロック機構80は、揺動ケース66側に配置される固定係合部81と、主ケース65側に揺動軸82aを中心に揺動自在に配置される揺動係合部82と、揺動係合部82をロック側に付勢するロック用バネ83と、揺動係合部82を開放する方向に強制揺動させる操作アーム84と、この操作アーム84を手動で上下動させる開閉ボタン86と、操作アーム84と揺動係合部82の係合/非係合を切り替えるロック用プランジャ89と、ロック用プランジャ89によって往復移動する制御ロッド87を備える。固定係合部81と揺動係合部82は、先端を互いに係合させて、揺動ケース66と主ケース65を閉じた状態に維持する。開閉ボタン86には、主ケース65の内部側において筒状部86Aを有しており、操作アーム84の下端が収容される。筒状部86Aの内部空間は、操作アーム84よりも大きく設定されており、後述するように、操作アーム84の下端が、筒状部86Aの内側で揺動できるようになっている。
【0149】
ロック用プランジャ89は、いわゆるラッチタイプであり、供給電力がOFFになると直前の姿勢が保持される。具体的には
図36(A)及び(B)に示すように、筒状の本体部89Aと、本体部89Aによって軸方向に移動自在に配置されるスライド軸89Bと、本体部89Aに設けられるヨーク部89Cと、ヨーク部89Cに隣接配置されてスライド軸89Bを駆動する磁力を生み出す励磁コイル89Fと、スライド軸89
Bが収縮状態となる位置で、このスライド軸89
Bを保持する吸引力を生み出す固定磁石89Dと、スライド軸89
Bを伸長状態となる方向に付勢するコイルばね89Eを有する。ヨーク部89Cは、スライド軸89Bの奥側端部を取り囲むようなU字形状となっており、このヨーク部89Cの底部に、固定磁石89Dが配置される。
【0150】
従って、
図36(A)に示すように、励磁コイル89Fに通電させると、ヨーク部89Cに沿って生じる磁力線と、固定磁石89Dの磁力線とが同方向となって、固定磁石89D近傍の吸着力が増大し、コイルばね89Eの付勢力に抗してスライド軸89Bが磁力吸引され、スライド軸89Bの奥側端部と固定磁石89Dが接近する。結果、この収縮状態で励磁コイル89Fへの通電がOFFとなっても、コイルばね89Eの付勢力よりも、互いに接近するスライド軸89Bと固定磁石89Dの吸引力が上回り、収縮状態が保持される。
【0151】
一方、
図36(B)に示すように、励磁コイル89Fに収縮状態と反対方向に通電させると、ヨーク部89Cに沿って生じる磁力線と固定磁石89Dの磁力線が反対方向となって相殺され、固定磁石89D近傍の吸引力が低減する。結果、コイルばね89Eの付勢力が上回ってスライド軸89Bが伸長する。結果、この伸長状態で励磁コイル89Fにへの通電がOFFとなっても、コイルばね89Eの付勢力によって、スライド軸89Bの伸長状態が保持される。
【0152】
図34(A)に戻って、ロック用プランジャ89のスライド軸89Bには制御ロッド87が連結される。この制御ロッド87は、操作アーム84と係合する。従って、ロック用プランジャ89によって制御ロッド87が変位すると、操作アーム84が揺動又は移動し、操作アーム84と揺動係合部82が係合可能な状態(ロック解除可能状態/
図34参照)と、操作アーム84と揺動係合部82が係合不能な状態(ロック解除不可状態/
図35参照)を切り替えることができる。
【0153】
開閉ボタン86は、主ケース65の底面側に配置され、開閉ボタン86を上面側に押し込むと、
図34(B)に示すように、主ケース65内部の操作アーム84が上昇して、ロック用バネ83の付勢力に抗して揺動係合部82が開放側に揺動し、固定係合部81との係合が外れて、ロック機構80が解除される。なお、開閉ボタン86を底面側に配置すると、作業者は、主ケース65を手で掴みながら開閉ボタン86を押すので、主ケース65と揺動ケース66が突然開放されたとしても、ヒータ装置を落下させることが無い。
【0154】
ロック用プランジャ89が伸長状態になると、
図35(A)に示すように、制御ロッド87を介して、操作アーム84が下端を支点として揺動する。結果、操作アーム84の上端が、揺動係合部82から退避する。この状態で、作業者が開閉ボタン86を上面側に押し込むと、
図35(B)に示すように、上昇する操作アーム84と揺動係合部82がすれ違う。結果、揺動係合部82が揺動しないので、ロック機構80のロックが解除されない。
【0155】
以上の構成から判るように、このロック機構80によれば、ロック用プランジャ89を伸長状態にするか、収縮状態にするかによって、ロック解除可能な状態と、ロックが解除不能な状態を自在に切り替えることができる。
【0156】
図37には、ロック用プランジャ89の制御パターンが示されている。なお、ここでは、ネブライザーXA1のヒータ装置が、底面側に主電源スイッチを有する場合を例示する。
【0157】
制御パターンEは、電源PとコンセントCが接続され、主電源スイッチがONとなり、ヒータスイッチがONとなり、ヒータが高温(所定の閾値より大きい)となる場合となる。この際は、ロック用プランジャ89は、
図35の伸長状態に制御され、ロック機構80がロック解除不可となる。ヒータによって作業者が火傷する恐れがあるからである。
【0158】
制御パターンFは、制御パターンEと比較して、ヒータが低温(所定の閾値より小さい)となる場合となる。この際も、ロック用プランジャ89は、
図35の伸長状態に制御され、ロック機構80がロック解除不可となる。ヒータが低温であっても、ヒータが加熱しているので、その後のヒータの温度上昇によって作業者が火傷する恐れがあるからである。
【0159】
制御パターンGは、制御パターンEと比較して、ヒータスイッチがOFFとなる場合である。ヒータがOFFであっても、ヒータ温度が高温となっているので、この際もロック用プランジャ89は、
図35の伸長状態に制御され、ロック機構80がロック解除不可となる。冷却不足と判断されるからである。
【0160】
制御パターンHは、制御パターンEと比較して、ヒータスイッチがOFFであって、かつ、ヒータが低温となる場合である。このパターンに限って、ロック用プランジャ89は、
図34の収縮状態に制御され、ロック機構80がロック解除可能となる。
【0161】
制御パターンCは、制御パターンHの状態で、主電源をOFFにした態様となる。既に述べたように、ロック機構80のロック用プランジャ89は、通電がOFFとなっても直前の状態が保持されるので、ロック用プランジャ89が、
図34の収縮状態に保持され、ロック機構80がロック解除可能となる。
【0162】
制御パターンDは、制御パターンE、F、Gの状態で、主電源をOFFにした態様となる。ロック機構80のロック用プランジャ89は、通電がOFFとなっても直前の状態が保持されるので、ロック用プランジャ89が、
図35の伸長状態に保持され、ロック機構80がロック解除不可となる。この状態でロック解除可能にするためには、ヒータが十分に低温になった状態で、主電源を一旦ONにして、制御パターンHに遷移すれば良い。
【0163】
制御パターンAは、制御パターンC又はHの状態で、電源PとコンセントCを分断した態様となる。ロック機構80のロック用プランジャ89は、通電がOFFとなっても直前の状態が保持されるので、ロック用プランジャ89が、
図34の収縮状態に保持され、ロック機構80がロック解除可能となる。
【0164】
制御パターンBは、制御パターンD、E、F、Gの状態で、電源PとコンセントCを分断した態様となる。ロック機構80のロック用プランジャ89は、通電がOFFとなっても直前の状態が保持されるので、ロック用プランジャ89が、
図35の伸長状態に保持され、ロック機構80がロック解除不可となる。この状態でロック解除可能にするためには、ヒータが十分に低温になった状態で、主電源をONにして、制御パターンHに遷移すれば良い。
【0165】
本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、各実施形態及び各変形例の構成は、可能な範囲で他の実施形態及び他の変形例に適用できる。
【0166】
すなわち、上記各実施形態において、各構成の位置、大きさ(寸法)、形状、材質、向き、数量などは適宜変更できる。