(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記案内羽根は前記羽板の表面から突出するように配置された少なくとも一対の板状体で構成され、前記一対の板状体の間隙が空気の流れ方向に沿う下流側で次第に幅狭に形成されている請求項1記載の温風暖房機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された縦型電気温風機は、ルーバーを自動的に首振動作させることにより、局部的に異常に加熱されることが緩和されるように構成されているだけで、適度な温度に制御された温度ムラの小さい温風を、暖を得たい足元から腰あたりに送風するものとはなっていなかった。
【0008】
また、特許文献2に開示された電気温風機は、PTCヒータへの電力量を制御することにより、温風の風量を一定のままに、温風の温度制御が可能となっているが、PTCヒータへの電力量の制御方法は複雑で、また高価なものとなっていた。
【0009】
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、加熱機構を通過した温風に温度ムラが生じる場合であっても、シンプルな構造で均一な温度の温風を出力でき且つ安価な温風暖房機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による温風暖房機の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、ケーシングに備えた吸引口から外気を吸引し吹出口に向けて送風する送風機と、前記送風機によって吸引された空気の通流経路内に設けられており空気を加熱する加熱機構と、前記加熱機構を通過して前記吹出口から吹き出される空気を混合する混合機構と、を備えている点にある。
【0011】
送風機で吸引された外気が加熱機構を通過して加熱される際に、仮に温度ムラが生じるような場合でも、吹出口から吹き出される空気が混合機構によって均一な温度になるように混合調整されるので、利用者に不快感を与えるようなことがない。尚、吹出口から吹き出される前に混合機構によって混合されてもよいし、吹出口から吹き出された後に混合機構によって混合されてもよいし、吹出口から吹き出される際に混合機構によって混合されてもよい。
【0012】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記混合機構は、前記加熱機構を通過した端部側の空気を中央方向に案内する案内羽根で構成されている点にある。
【0013】
加熱機構を通過した端部側の空気の温度と他の部位の空気の温度が異なる場合であっても、加熱機構を通過した端部側の空気が案内羽根によって中央方向に案内されて、他の部位の空気と混合されて均一な温度に調整された温風として吹出口から吹き出されるようになる。加熱後の温度不均一な空気の流れを調整する案内羽根であればシンプルな構造で均一な温度の温風を出力でき且つ安価に構成できるようになる。
【0014】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記吹出口に複数の羽板を並設したルーバーが設けられ、前記案内羽根は前記羽板に設けられ、前記羽板を通過する空気を案内するように構成されている点にある。
【0015】
加熱機構で加熱された空気が羽板を通過して吹き出される際に、羽板に設けられた案内羽根によって均一な温度に混合調整されるようになる。温風の吹き出し方向に沿う羽板の幅内に案内羽根を配置すれば、温風の吹き出し方向に沿って装置全体を薄型に構成できるようになる。
【0016】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第三の特徴構成に加えて、前記案内羽根は前記羽板の表面から突出するように配置された少なくとも一対の板状体で構成され、前記一対の板状体の間隙が空気の流れ方向に沿う下流側で次第に幅狭に形成されている点にある。
【0017】
ルーバーから吹き出される空気が羽板に備えた一対の板状体に案内されて幅狭の下流側で次第に混合されて均一な温度に調整され、吹き出されるようになる。
【0018】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記加熱機構は通電により発熱する複数の発熱モジュールを備えて構成され、全ての発熱モジュールへの通電と、少なくとも一部の発熱モジュールへの通電とが選択的に切替可能に構成されている点にある。
【0019】
発熱モジュールへの通電状態の切替により消費電力を調整することが可能になる。しかし、一部の発熱モジュールへの通電状態では、発熱モジュールを通過した空気に温度ムラが生じ、そのまま吹き出されると利用者に不快感を与える虞がある。そのような場合でも上述した混合機構によって均一な温度に調整された温風が吹き出されるようになる。
【0020】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第五の特徴構成に加えて、前記発熱モジュールが前記吹出口の横幅方向に沿って左右に並設され、左右の発熱モジュールへの通電と、左右何れか一方の発熱モジュールへの通電とが選択的に切替可能に構成されている点にある。
【0021】
左右何れか一方の発熱モジュールへ通電された状態では、通電された発熱モジュールを通過した空気は加熱された暖かい空気となるが、通電されていない発熱モジュールを通過した空気は冷風のままとなる。そのような場合でも、上述した混合機構によって左右方向で均一な温度に調整された温風が吹き出されるようになる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明した通り、本発明によれば、加熱機構を通過した温風に温度ムラが生じる場合であっても、シンプルな構造で均一な温度の温風を出力でき且つ安価な温風暖房機を提供することができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を構成する温風暖房機1の一例を図面に基づいて説明する。
図1(a)〜(c)及び
図3(a),(b)に示すように、温風暖房機1は、上下2段のタワータイプで、ケーシング2と、ケーシング2の背面に設けられた上下2段の吸引口3と、同じく正面に設けられた上下2段の吹出口4とを備えている。
【0025】
各吸引口3から外気を吸引し各吹出口4に向けて送風する上下2段の送風機5が設けられ、各送風機5によって吸引された空気の通流経路内に夫々加熱機構6が設けられ、吸引された外気が加熱機構6により加熱された後に各吹出口4に備えたルーバー70から吐き出されるように構成されている。さらに、温風暖房機1には、加熱機構6を通過した空気を混合する混合機構7(
図3(b)参照)が設けられている。通流経路とは、吸引口3から吸引され、送風機5を経由して吹出口4に到るまでの空気の流れに沿った経路である。
【0026】
つまり、上段の吹出口4から吹き出される温風は、立ち作業をする人の腰回りや座り作業をする人の背中の辺りを温め、下段の吹出口4から吹き出される温風は、作業者の足元を温めるようになっている。すなわち、上下2段の吹出口4からの温風により、体全体が温まる上下2段のタワータイプに構成されている。
【0027】
人感センサ11が、ケーシング2の正面上部に設けられている。当該人感センサ11は、赤外線センサまたは超音波センサを用いて構成されたセンサである。人感センサ11による検知信号は後述する回路基板12aに出力され、回路基板12aはこの検知信号に基づいて温風の制御を行う。これにより、温風暖房機1の正面に人が近づくと、人の存在を人感センサ11が検知し、温風暖房機1を自動でONにすることができる。また、温風暖房機1をOFFにせずに、人の存在を検知しない状態が所定時間継続した場合には、温風暖房機1を自動でOFFにすることもできる。
【0028】
温風暖房機1を操作するための操作部12が、ケーシング2の上面に設けられている。
図2には、操作部12の操作ボタンの詳細が示されている。中央部の下側には、主電源ボタン12fが独立して配置されている。
【0029】
モード切替ボタン12bは、運転モードを切り替えるボタンである。上述の人感センサ11を作動させてON/OFFを自動で行う運転をするのか、あるいは人感センサ11を作動させずに連続運転をするのか、それとも室温に連動して運転をするのか、これら運転モードの選択が、モード切替ボタン12bにより可能になっている。尚、室温に連動した運転モードでは、温度切替ボタン12cにより、高温から低温までの4段階の室温設定が可能である。温風暖房機1には室温センサが備えられており、室温に連動した運転モードでは、設定室温になるよう運転が調整される。
【0030】
図3(b)に示すように、温風暖房機1には、加熱機構6である上下2段のPTCヒータ64が備えられており、夫々のPTCヒータ64は、独立した制御が可能となっている。
図2に戻って、すなわち、上段のPTCヒータ64は上ヒータ切替ボタン12dで、下段のPTCヒータ64は下ヒータ切替ボタン12eで、夫々制御モードの選択が可能となっている。尚、選択できる制御モードには、強、弱、切の3種類ある。
【0031】
図3(a),(b)及び
図4(a),(b)に示すように、ケーシング2は、正面パネル2aと背面パネル2bとに2分割されている。そして、ケーシング2の上面には、操作部12があり、その下方には、制御手段を構成する回路基板12aが設けられている。そして、ケーシング2の下面側には、脚部13が備えられている。脚部13は、略円板状で、ケーシング2の横断面より大きく、地震等による転倒防止の効果が高くなっている。
【0032】
背面パネル2bには、上下に2つの吸引口3がある。そして、背面パネル2bの外側には、吸引口3を覆うようにして防塵フィルタ2cが取り付けられている。正面パネル2aには、上下に2つの吹出口4が設けられている。そして、上下2つの吹出口4は、背面パネル2bの上下2つの吸引口3に対向するように夫々設けられている。
【0033】
既に説明した通り、送風機5とヒータユニット60とが、ケーシング2に内蔵されている。送風機5は軸流ファン51で2台備えられており、夫々背面側の上下2つの吸引口3に直接対向する位置に設置されている。送風機5の正面側には、ヒータユニット60が配置され、正面パネル2aの吹出口4に嵌め込むようにして取り付けられている。
【0034】
これにより、送風機5により吸引された外気は、防塵フィルタ2cにより塵や埃が除去された後、吸引口3よりケーシング2内に吸引され、ヒータユニット60で加熱等されて、吹出口4より温風となって吹き出される。
【0035】
図5(a),(b)に示すように、ヒータユニット60は、上段と下段の2つのヒータユニット60a,60bが連結部材60cで上下に連結されて構成されている。
【0036】
図6(a),(b)に示すように、上段のヒータユニット60aは、PTCヒータ64、ヒータケース6a、安全メッシュ6d、混合機構7としての案内羽根73を備えたルーバー70、及び外枠体71を備えて構成されている。尚、下段のヒータユニット60bも同様の構成になっている。
【0037】
PTCヒータ64は、ヒータケース6aに収納されるようになっている。そして、ヒータケース6aには、バイメタル式のサーモスタット6bが取り付けられており、PTCヒータ64の温度調節を行うようになっている。また、温度ヒューズ6cが、ヒータケース6aに取り付けられており、PTCヒータ64が異常発熱した場合に、PTCヒータ64に供給する電源を遮断するようになっている。
【0038】
さらに、ルーバー70の羽板72の隙間を介して高温のPTCヒータ64に手指が接触することを防止するため、ルーバー70とPTCヒータ64との間に安全メッシュ6dが設けられている。
【0039】
ヒータユニット60では、送風機5(
図3(b)参照)によって吸引された空気が、PTCヒータ64で加熱された後に案内羽根73で混合され吹き出される。
【0040】
図7(a)〜(c)に示すように、PTCヒータ64は、温度と共に抵抗値が大きくなる性質をもつPTCサーミスタ62を使用したヒータである。つまり、ヒータ自身が自己温度制御機能を有しているため、一旦温まると無駄な電力消費をしなくなり、また、異常な温度上昇の虞も少ないという特徴がPTCヒータ64にはある。
【0041】
当該PTCヒータ64は二つの発熱モジュール61で構成され、発熱モジュール61は吹出口4の横幅方向に沿って左右2列に配列されて構成されている(
図4(a)参照)。各発熱モジュール61は、PTCサーミスタ62とその両側に密着して配置されたフィン63とPTCサーミスタ62に通電するための電極端子T0〜T2を備えている。尚、中央の電極端子T0は、左右2つの発熱モジュール61の共通端子となっている。フィン63には、コルゲートフィンの他、オフセットフィン、ウェービングフィン等が用いられ、その材質は、熱伝導率の高いアルミ、銅等が使用されている。
【0042】
送風機5(
図4参照)によって吸引された空気は、フィン63の間隙を通過してPTCヒータ64の背面側から正面側に流れるようになっている。PTCサーミスタ62は通電により発熱すると、その熱は熱伝導により両側のフィン63に伝わり、フィン63が加熱される。そして、加熱され高温となったフィン63の間隙を空気が通過する際に、主としてフィン63からの熱伝達によって空気は温められるようになっている。尚、フィン63の間隙を通過する空気の流量、圧力損失、及び熱伝達率等を考慮してフィン構造を設計するのが好ましい。
【0043】
図8に示すように、PTCヒータ64の左右2列に配列された発熱モジュール61は、回路基板12a(
図4参照)からの信号に基づいて、夫々左右のスイッチS1,S2を切替えることで、通電の制御を独立して行うことができる。例えば、
図2に示した制御部2の上ヒータ切替ボタン12dを切にした場合、上段のヒータユニット60aに装着されたPTCヒータ64の左右2つの発熱モジュール61の両方のスイッチS1,S2がOFFとなる。また、上ヒータ切替ボタン12dを弱にした場合には、左右2つの発熱モジュール61の一方のスイッチS1はONとなり、他方のスイッチS2はOFFとなり、さらに、上ヒータ切替ボタン12dを強にした場合には、左右2つの発熱モジュール61の両方のスイッチS1,S2がONとなる。尚、スイッチS1,S2を回路基板12a内に一体的に構成してもよい。
【0044】
即ち、加熱機構6は通電により発熱する複数の発熱モジュール61を備えて構成され、全ての発熱モジュール61への通電と、少なくとも一部の発熱モジュール61への通電とが選択的に切替可能に構成されている。
【0045】
このように、夫々の発熱モジュール61の通電を独立して制御することができるため、夫々の発熱モジュール61のフィン63の間隙を通過する空気の温度を独立して変えることが可能となっている。尚、下ヒータ切替ボタン12eによる下段のヒータユニット60bに装着されたPTCヒータ64の左右2つの発熱モジュール61の通電の制御も同様である。
【0046】
左右2列に配列された発熱モジュール61の一方のみに通電された場合には、通電されている発熱モジュール61を通過する空気は加熱されるが、他方の非通電の発熱モジュール61を通過する空気は加熱されていないため、吹出口4から吹き出される空気に温度差が生じ、利用者に不快感を与える虞がある。
【0047】
そこで、そのような場合でも、略均一温度の温風を吹き出すことができるように、加熱機構を通過した空気を混合する混合機構7として機能する案内羽根73が設けられている。
【0048】
図9,
図10(a)〜(e)に示すように、ルーバー70は、左右2つの支柱72d(
図6参照)の間に複数の羽板72が略等間隔で縦方向に並設されて構成されている。
【0049】
羽板72は略台形状の板状で、長辺が空気の流れ方向に垂直になるよう配置されている。空気の下流側の長辺は、弧状で空気の下流側に凸となっている。空気の上流側の長辺の両端には空気の上流側に延出する延出部72aがあり、夫々の延出部72aの先端には長辺に平行に外方に突き出た突出部72bがある。
【0050】
夫々の突出部72bの先端には空気の下流側に所定量のオフセットをさせて先端部72cが設けられている。突出部72bは外枠体71(
図6参照)の溝部に係合し、左右の突出部72bを通る軸を中心にして、羽板72は回転自由となっている。先端部72cは左右の支柱72dに支持されている。そのため、いずれかの羽板72を、突出部72bを通る軸を中心にして回転させると、これに伴って先端部72cを支持する支柱72dが上下移動することで、並設された他の羽板72も、突出部72bを通る軸を中心に連動して回転することになる。
【0051】
これにより、空気の吹出方向を上下方向に調節することができ、また、空気の吹出流量の調節も可能となっている。
【0052】
案内羽根73が羽板72の下面側に設けられている。尚、案内羽根73は羽板72と一体成型されていても、また、別部材として構成されていてもよい。案内羽根73は羽板72の下面側の表面から突出するように配置された一対の板状体74である。板状体74は、略矩形状で、羽板72とは長辺の1辺で接し、羽板72と直交している。
【0053】
そして、板状体74の当該長辺の両端は、夫々羽板72の空気の上流側の長辺、及び羽板72の空気の下流側の長辺と接している。板状体74は、空気の流れ方向と角度をなしており、一対の板状体74の間隙が空気の流れ方向に沿う下流側で次第に幅狭になるように形成されている。
【0054】
これにより、羽板72の左右の両端部側に流入した空気は、並設された羽板72の間隙を通過する間に、案内羽根73により中央方向に案内され、羽板72の中央部に流入した空気と混合されることになる。尚、上述の空気の流れ方向と板状体74とがなす角度θは、30〜60度が好ましく、40〜50度がより好ましい。
【0055】
図11に示すように、PTCヒータ64の左の発熱モジュール61aが通電され、右の発熱モジュール61bが通電されていない場合には、送風機5(
図4参照)により吸引された空気がPTCヒータ64を通過する際に、左の発熱モジュール61aを通過する空気は加熱される一方、右の発熱モジュール61bを通過する空気は加熱されない。
【0056】
そのため、PTCヒータ64を通過した空気は、左の発熱モジュール61aを通過し加熱された温かい空気(図中の太線矢印)と、右の発熱モジュール61bを通過し加熱されなかった冷たい空気(図中の細線矢印)とに分かれて流出することになる。
【0057】
しかし、その後、温かい空気と冷たい空気とは、案内羽根73を備えた羽板72を通過する間に混合されることになる。すなわち、羽板72の左端部側に流入した温かい空気は、案内羽根73を構成する左の板状体74により流れ方向が変えられ、中央方向、すなわち左右方向の中央に向かって案内される。
【0058】
他方、羽板72の右端部側に流入した冷たい空気は、案内羽根73を構成する右の板状体74により流れ方向が変えられ、同じく中央方向に案内される。このようにして、羽板72の中央方向に案内された温かい空気と冷たい空気とは、共に羽板72の中央部付近で混合されることになる。
【0059】
そして、温かい空気と冷たい空気とがムラなく混合されることで、適度な温度に制御され、しかも温度ムラが小さくなった空気が、温風となって案内羽根73を備えたルーバー70から流出することになる。
【0060】
以下、別実施形態を説明する。
図12に示すように、PTCヒータ64には、上述の発熱モジュール61が左右に4列備えられ、また、ルーバー70の羽板72には、上述の一対の板状体74が左右に二対並設されて構成されている案内羽根73が形成されていてもよい。PTCヒータ64の夫々の発熱モジュール61は、独立した通電の制御が可能となっている。
【0061】
ここでは、PTCヒータ64の発熱モジュール61は、一つ置きに通電されるよう制御されている。そのため、送風機5(
図4参照)により吸引された後にPTCヒータ64を通過した空気は、通過した発熱モジュール61に対応して、温かい空気(図中の太線矢印)あるいは冷たい空気(図中の細線矢印)となる。
【0062】
その結果、温かい空気と冷たい空気とが、左右に一つ置きにPTCヒータ64から流出することになる。そして、PTCヒータ64の左側部を通過した温かい空気と冷たい空気とは、ルーバー70の羽板72に形成されている左の一対の板状体74により混合され、また、PTCヒータ64の右側部を通過した温かい空気と冷たい空気とは、ルーバー70の羽板72に形成されている右の一対の板状体74により混合される。こうして、温かい空気と冷たい空気とがムラなく混合されることで、適度な温度でしかも温度ムラの小さい空気が、温風となって案内羽根73を備えたルーバー70から流出することになる。
【0063】
上述のような発熱モジュール61が左右に配列されたPTCヒータ64ではなく、発熱モジュール61が上下に配列されたPTCヒータ64を用いてもよい。そして、それに伴い、ルーバー70の羽板72を縦姿勢にして、略等間隔で横方向に並設するように構成してもよい。この場合も羽板72に案内羽根73を一体に形成することで、上下方向の中央に向かって空気を案内して、上述と同様に温度ムラを低減することができる。
【0064】
また、複数の発熱モジュール61が配列されたPTCヒータ64を用いた場合に、ONまたはOFF状態の発熱モジュール61の比率を変えて、温風の温度を変えるようにしてもよい。さらに、ON状態の発熱モジュール61が多い領域と少ない領域とを敢えて形成することで、温風に温度勾配をつけることも可能である。
【0065】
また、温風暖房機1は、上下2段のタワータイプに限るものではなく、ヒータユニット60は1段であっても、あるいは3段以上あっても構わない。そして、複数段のヒータユニット60がある場合には、各ヒータユニット60は、独立して温度の制御ができるようにするのが好ましい。これにより、足元、腰回り、肩や頭等に対して、夫々の部位に適した温度の温風を当てることができるようになる。
【0066】
また、案内羽根73は、必ずしもルーバー70の羽板72に一体となって形成されていなくてもよい。すなわち、複数の案内羽根73は、隣接する上下の羽板72の間に羽板72から離隔して配置され、略等間隔で縦方向に並設されて構成されるようにしてもよい。また、ルーバー70と加熱機構6との間の空間に案内羽根73が配置され、或いはルーバー70を挟んで加熱機構6の反対側に案内羽根73が配置されていてもよい。
【0067】
また、案内羽根73は、上述の一対の板状体74と同様な一対の板状体74で、2つの板状体74の間隔が上述の一対の板状体74の間隔より狭い一対の板状体板状体74が、上述の一対の板状体74の内側に内包されるようにさらに形成されるように構成してもよい。こうすることで、二対の板状体74の間隙が空気の流れ方向に沿う下流側で次第に幅狭になるように形成されることになるため、温かい空気と冷たい空気との混合はさらに促進されることになる。
【0068】
また、案内羽根73は、平板状の板状体74で構成されたものに限るものではなく、湾曲した板状体やブロック状のもので構成してもよい。
【0069】
上述した実施形態では、加熱機構6がPTCヒータで構成された例を説明したが、PTCヒータ以外に他の発熱体等で加熱機構6が構成されていてもよく、例えばニクロム線が金属パイプに収容されたシーズヒータや、通流経路に沿った空気の流れを妨げないように平行配置された複数毎のパネルヒータ等で構成されていてもよい。また、電気抵抗体からの発熱を熱源とするもの以外に、灯油やガス等の燃焼熱を熱源とする場合であってもよい。
【0070】
以上説明した温風暖房機は、本発明の一実施形態に過ぎず、該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、本発明の作用効果を奏する範囲で各部の具体的な構造、形状、大きさ、材料等は適宜変更設計することができることはいうまでもない。