特許第6674217号(P6674217)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674217
(24)【登録日】2020年3月10日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】耐火壁
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20200323BHJP
【FI】
   E04B1/94 K
   E04B1/94 L
   E04B1/94 W
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-191999(P2015-191999)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-66680(P2017-66680A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】針金 奏一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 良清
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 公江
(72)【発明者】
【氏名】井田 勇治
(72)【発明者】
【氏名】大藤 崇司
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭48−036615(JP,U)
【文献】 特開2006−138145(JP,A)
【文献】 特開2013−155574(JP,A)
【文献】 特開平10−252180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形に組まれた枠体に、加熱により伸長する特性を有する縦桟と横桟とを備える下地と、
前記縦桟及び前記横桟の室内側に配置され、前記下地に貼設される内装材と、を少なくとも備え、
前記内装材は、加熱により収縮する特性を有するとともに、前記横桟の部分を横桟部境界として上下に分割されており、
前記内装材は、前記縦桟に固定されるとともに、前記横桟部境界を境として上方に配設される上方内装材の下方端部と、下方に配設される下方内装材の上方端部と、が突き合わされた状態で前記横桟に固定されるものであり、
前記横桟において、前記内装材が貼設される側の面には、熱膨張性耐火材が配設されており、
前記内装材において、前記上方内装材の下方端部と前記下方内装材の上方端部とは、前記熱膨張性耐火材を介して前記横桟に固定されるとともに、前記横桟部境界と前記横桟との間には、前記熱膨張性耐火材が介在していることを特徴とする耐火壁。
【請求項2】
前記縦桟は、複数備えられており、
前記内装材は、前記縦桟の部分を縦桟部境界として水平方向に分割されており、
前記縦桟の部分においては、水平方向に並列する前記内装材の各々の端部が突き合わされた状態で前記縦桟に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の耐火壁。
【請求項3】
前記縦桟は、鋼製の長尺部材であり、前記内装材は、熱収縮性の板状体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐火壁。
【請求項4】
外壁として使用されるものであって
記熱膨張性耐火材は、前記横桟の室内側面と前記内装材の屋外側面との間に介在するように、前記横桟の室内側に固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の耐火壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁等に使用される、耐火性能を備えた耐火壁に係り、特に、複数の縦桟を備えるとともに、当該縦桟に複数の分割された内装材が貼設されてなる耐火壁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅においては、耐火対策を講じることが義務付けられることがある。
そして、このような耐火対策の一つとして、目地や間隙に対する耐火対策が講じられている。
例えば、目地や間隙には、熱を受けた際に膨張して、目地や間隙を閉塞する熱膨張材が配置されることがある(例えば、特許文献1及び特許文献2等参照)。
特許文献1には、間仕切り壁の耐火壁構造についての技術が開示されている。
当該技術においては、間仕切り壁の骨格となるランナーの上端部と天井面との間や、ランナーの下端部と床面との間に、熱膨張性耐火材を配置している。この構成により、火災時には、その熱により熱膨張性耐火材が膨張し、ランナーの上端部と天井面とで形成される間隙や、ランナーの下端部と床面とで形成される間隙を閉塞するように構成されている。
【0003】
また、特許文献2には、パネル式外断熱耐火外壁構造が開示されている。
左右の外壁パネル間には縦目地が形成されるとともに、これら左右の外壁の室内側には、外断熱材が各々配置されている。
そして、これら外断熱材間の間隙もまた、左右の外壁パネル間に形成される縦目地の位置に配置されている(左右の外断熱材間の離隔幅は、縦目地よりも小さい)。
また、これら外断熱材の室内側には、柱が配置されており、この柱の外側面は、縦目地及び外断熱材間の間隙に面している。
そして、柱の外側面と、外断熱材との間には、熱膨張性耐火材が介設されている。
つまり、縦目地と外断熱材間の間隙との連通部分と、柱の外側面との間は、熱膨張性耐火材により縁切りされている。
この技術においては、火災時の熱により、熱膨張性耐火材が膨張して、外断熱材間の間隙及び縦目地を塞ぎ、縦目地及び外断熱材間の間隙から熱が侵入することを防止し、柱を火災の熱から保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−052333号公報
【特許文献2】特開2007−297875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、建物の構造体(天井や床等)とランナーとの間に形成される間隙や、目地として形成される間隙のように、そもそも形成されている間隙ではなく、何らかの要因で形成されてしまう間隙に対する耐火措置の必要性が生じている。
特許文献1及び特許文献2の技術は、そもそも形成されている間隙に、熱膨張性耐火材を控えさせる構成である。特に、特許文献2の技術は、外側から縦目地を通って内部に侵入する熱を遮断して壁内部の柱を保護するものである。
このため、そもそも形成されている間隙ではなく、何らかの要因で形成されてしまう間隙に対する耐火措置を行う必要性が生じていた。
つまり、耐火外壁のように、火災に対する耐火性能が必要な外壁としては、内装下地桟が鋼製であり、表面に石膏ボード等の内装材を貼付しているものがある。
このような構造の耐火壁において、例えば、吹き抜け部等の高さが大きい耐火壁の場合には、上下方向に内装材を継ぎ足す必要があり、当該上下に隣接する内装材の境界部に継ぎ目が形成されることとなる。
このような場合、鋼製の縦桟と石膏ボード等の内装材とでは、熱特性が異なるため、火災時の熱により境界部に間隙が生じる可能性がある。
このような場合、この境界部に生じた間隙から火災の熱が噴出することとなるため、当該現象を防止する必要性が生じていた。
従来では、このような境界部分の耐火性能を高めるために、境目部分をずらすように、内装材の外側にもう一枚内装材を貼設置し、内側の内装材の境界部分に形成された間隙から火災の熱が噴出することを防止している。
しかしながら、このような従来の方法では、内装材が1枚多く必要であるため、製造コストが上昇するとともに、耐火壁の製造工数も多くなる。
このような状況下において、コストを抑えつつ簡易な構成で、内装材の境界部に生じた間隙から火災の熱が噴出する現象を防止する技術が求められていた。
【0006】
本発明の目的は、上記各問題点を解決することにあり、簡易な構成かつ低コストで、縦方向に継がれた内装材の継ぎ目に対して発生した間隙部分における耐火を実現できる耐火壁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、請求項1に係る耐火壁によれば、矩形に組まれた枠体に、加熱により伸長する特性を有する縦桟と横桟とを備える下地と、前記縦桟及び前記横桟の室内側に配置され、前記該下地に貼設される内装材と、を少なくとも備え、前記内装材は、加熱により収縮する特性を有するとともに、前記横桟の部分を横桟部境界として上下に分割されており、前記内装材は、前記縦桟に固定されるとともに、前記横桟部境界を境として上方に配設される上方内装材の下方端部と、下方に配設される下方内装材の上方端部と、が突き合わされた状態で前記横桟に固定されるものであり、前記横桟において、前記内装材が貼設される側の面には、熱膨張性耐火材が配設されており、前記内装材において、前記上方内装材の下方端部と前記下方内装材の上方端部とは、前記熱膨張性耐火材を介して前記横桟に固定されるとともに、前記横桟部境界と前記横桟との間には、前記熱膨張性耐火材が介在していることにより解決できる。
【0008】
このように、本発明に係る耐火壁では、横桟を境界(横桟部境界)として、内装材が上方内装材と下方内装材に分割されている。このため、この分割部分に境界部である横桟部境界が形成される。
また、上方内装材の下端と下方内装材の上端部とが横桟に固定されているとともに、これらはまた縦桟にも固定されることとなる。
そして、本発明においては、縦桟は加熱により伸長し、内装材(上方内装材及び下方内装材)は加熱により収縮することから、火災等で高い熱を受けると、この熱変形特性の相違から、突き合わされていた上方内装材の下端と下方内装材の上端部とが離れ、両者間に間隙が生じることとなる。
しかしながら、本発明においては、横桟部境界と横桟との間には、熱膨張性耐火材が介在しているため、熱により熱膨張性耐火材が膨張して、上方内装材の下端と下方内装材の上端部との間に発生した間隙を閉塞することができる。
よって、内装材とは反対側から受ける熱気が、上方内装材の下端と下方内装材の上端部との間に発生した間隙から噴出することを防止することができ、耐火性能が向上する。
また、このように、本発明に係る耐火壁では、内装材は縦桟及び横桟(内装下地桟を構成するものである)の室内側に配置される。
そして、熱膨張性耐火材は、横桟の室内側に固定される。つまり、横桟において、屋外側(加熱側)と反対方向側に固定される。
このため、加熱により、突き合わされていた上方内装材の下端と下方内装材の上端部とが離れ、両者間に間隙が生じることとなっても、熱膨張性耐火材の膨張により、この間隙が閉塞されて、室内側へと熱気が吹き出すことを有効に防止することができる。
【0009】
このとき、具体的な構成としては、請求項2に記載のように、前記縦桟は、複数備えられており、前記内装材は、前記縦桟の部分を縦桟部境界として水平方向に分割されており、前記縦桟の部分においては、水平方向に並列する前記内装材の各々の端部が突き合わされた状態で前記縦桟に固定されていると好適である。
通常、耐火壁の構造においては、縦桟が複数配設されることが多いが、熱を受けた際、伸長方向へと力を付加する縦枠の数が増加する程、上方内装材の下端と下方内装材の上端部との間には、間隙が発生しやすくなる。
しかしながら、本発明は、上方内装材の下端と下方内装材の上端部との間に発生する間隙を閉塞する構成をとるため、このような状況においても問題なく良好に適用されるものである。
【0010】
また、詳細な構成としては、請求項3に記載のように、前記縦桟は、鋼製の長尺部材であり、前記内装材は、熱収縮性の板状体であると好適である。
このように構成されていると、通常使用される鋼製の長尺部材(スタッド等)にて縦桟を形成し、通常使用される石膏ボード等を内装とすることができるため、耐火のための特別な部材等が不要であり、一般的に使用される部材にて簡易に耐火壁を構成することができるため好適である。
【0011】
更に、詳細な構成としては、外壁として使用されるものであって、前記熱膨張性耐火材は、前記横桟の室内側面と前記内装材の屋外側面との間に介在するように、前記横桟の室内側に固定されていると好適である
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る耐火壁では、熱を受けた際、横桟部分にて突き合わされていた上方内装材の下端と下方内装材の上端部とが離れ、両者間に間隙が生じた場合であっても、横桟部境界と横桟との間には、熱膨張性耐火材が介在しているため、熱により熱膨張性耐火材が膨張して、上方内装材の下端と下方内装材の上端部との間に発生した間隙を閉塞することができる。このため、内装材とは反対側から受ける熱気が、上方内装材の下端と下方内装材の上端部との間に発生した間隙から噴出することを防止することができ、耐火性能が向上する。
このように、本発明に係る耐火壁では、一枚余分に内装材を配設する必要もなく、簡易な構成かつ低コストで、縦方向に継がれた内装材の継ぎ目(横桟部境界)に対して発生した間隙部分における耐火を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る耐火壁の正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る耐火壁の内装下地桟を示す説明図である。
図3図1のA−A線断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る耐火壁の火災時の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、縦方向に継がれた内装材の継ぎ目に対して発生した間隙部分において、火災時に有効に耐火を行えるよう構成した耐火壁に関するものである。
【0015】
図1乃至図4は、本発明に係る一実施形態を示すものであり、図1は耐火壁の正面図、図2は耐火壁の内装下地桟を示す説明図、図3図1のA−A線断面図、図4は耐火壁の火災時の状態を示す説明図である。
【0016】
<耐火壁の構成について>
図1及び図2により、本実施形態に係る耐火壁1について説明する。
本実施形態に係る耐火壁1は、例えば、外壁等として使用される壁体である。
本実施形態においては、パネル状に形成されたものが使用されている。
また、図1(a)には、耐火壁1の外観平面図を示している。
本実施形態に係る耐火壁1は、図1(a)(b)に示すように、複数の内装材11が分割されて貼設されたものである。
【0017】
彼是区別するために、下方に配置される内装材11を「下方内装材11A」と記し、上方に配置される内装材11を「上方内装材11B」と記す。
また、本実施形態においては、下方内装材11A及び上方内装材11B共に3個に分割されている。
また、説明の便宜上、下方に配置される内装材を、図面向かって左から、「第一下方内装材11a」、「第二下方内装材11b」、「第三下方内装材11c」と記すこととし、上方に配置される内装材を、図面向かって左から、「第一上方内装材11d」、「第二上方内装材11e」、「第三上方内装材11f」と記す。
本例においては、第一下方内装材11aと、第二下方内装材11bと、第三下方内装材11cと、は同一形状の石膏ボードで構成されている。
また、同様に、第一上方内装材11dと、第二上方内装材11eと、第三上方内装材11fと、は同一形状の石膏ボードで形成されている。
【0018】
なお、第一下方内装材11aと第一上方内装材11dとの間には、横延第一境界K11が形成されることとなり、同様に、第二下方内装材11bと第二上方内装材11eとの間には横延第二境界K12が、第三下方内装材11cと第三上方内装材11fとの間には横延第三境界K13が形成される。
これら、横延第一境界K11と、横延第二境界K12と、横延第三境界K13と、は、横方向に水平繋がっており「横延境界K1」を構成するものとする。
この横延境界K1が、特許請求の範囲の「横桟部境界」に相当する。
【0019】
また、縦方向にも同様の境界部分が形成されることとなり、第一下方内装材11aと第二下方内装材11bとの間の境界を「下方縦延第一境界K21」と記し、第一上方内装材11dと第二上方内装材11eとの境界を「上方縦延第一境界K22」と記す。
この下方縦延第一境界K21と上方縦延第一境界K22とは、上下方向に繋がっており、「第一縦延境界K2」を構成する。
同様に第二下方内装材11bと第三下方内装材11cとの間の境界を「下方縦延第二境界K31」と記し、第二上方内装材11eと第三上方内装材11fとの境界を「上方縦延第二境界K32」と記す。
この下方縦延第二境界K31と上方縦延第二境界K32とは、上下方向に繋がっており、「第二縦延境界K3」を構成する。
これら第一縦延境界K2、第二縦延境界K3が、特許請求の範囲の「縦桟部境界」に相当する。
【0020】
次いで、耐火壁1の骨格となる下地構造を図2に示す。
本実施形態においては、鋼製の長尺部材を複数使用し、これらを矩形状に組み上げることにより、下地12を形成する。
具体的には、この下地12は、矩形の枠状に組まれた枠体12aと、この枠体12aの内空部分において上下方向に延びるように架設される5本の縦桟12bと、この枠体12aに対し、水平方向(横方向)に延びるように架設される横桟12cと、を有して構成されている。
そして、図2に向かって左側から2番目の縦桟12bに対面するように、第一縦延境界K2が配置されるとともに、向かって右側から2番目の縦桟12bに対面するように、第二縦延境界K3が配置される。
【0021】
換言すれば、第一縦延第一境界K2部分では、第一下方内装材11aの横方向端部と第二下方内装材11bの横方向端部とが突き合わされた(当接した)状態で、これら横方向端部が締結部材Tによって縦桟12bに留め付けられるとともに、第一上方内装材11dの横方向端部と第二上方内装材11eの横方向端部とが突き合わされた(当接した)状態で、これら端部が締結部材Tによって縦桟12bに留め付けられる。
このため、当然、第一下方内装材11aと第二下方内装材11bとの境界であるとともに、第一上方内装材11dと第二上方内装材11eとの境界である第一縦延境界K2は、縦桟12bの外側面に面することとなる。
第二縦延境界K3についても同様である。
【0022】
また、図2及び図3に示すように、横桟12cの外側面(内装材11が貼設される側の面)には、熱膨張性耐火材13が配設されており、横桟12cに配設された熱膨張性耐火材13と対面するように、横延境界K1が配置される。
つまり、第一下方内装材11aの上端部と第一上方内装材11dの下端部とが上下方向に突き合わされた(当接した)状態、第二下方内装材11bの上端部と第二上方内装材11eの下端部とが上下方向に突き合わされた(当接した)状態、第三下方内装材11cの上端部と第三上方内装材11fの下端部とが上下方向に突き合わされた(当接した)状態で、これら端部が締結部材Tによって、熱膨張性耐火材13を介して横桟12cに取付けられる。
【0023】
この熱膨張性耐火材13は、熱を受けると膨張して体積が増加するものであり、本実施形態では、シートタイプのものが使用されている。この熱膨張性耐火材13の材質としては、ゴム素材等公知のものが使用されている。
図3に示すように、横桟12cには、横桟12cの外側面(内装材11が貼設される側の面)を被覆するように、熱膨張性耐火材13が配設されている。
そして、この熱膨張性耐火材13に対面するように横延境界K1が配置されている。
換言すると、横桟12cと横延境界K1との間に、熱膨張性耐火材13が介在している構成となる。
ここで、図3に示すように、本実施形態に係る横延境界K1は、通常状態においては、隙間が形成されないように施工されている。少なくとも、意匠的にも、隙間が形成されることが予定されているものではない。
【0024】
<加熱時の状態>
図3及び図4により、上記のように構成された耐火壁1が加熱された状態を説明する。
図3の加熱方向から熱せられた場合(つまり、屋外側から熱せられた場合)、縦桟12bは、鋼製であるため、上下方向に伸長する。
しかしながら、石膏ボードである内装材11は、熱せられると収縮するため、横延境界K1部分は広がって、間隙Pとなる。
しかしながら、本実施形態においては、横延境界K1と横桟12cとの間に熱膨張性耐火材13が介在していることから、熱せられると、この熱膨張性耐火材13が膨張する。
このため、この熱膨張性耐火材13が間隙Pを閉塞し、よって、加熱方向と反対側へと熱気が吹き出すことを有効に防止することができるとともに、当該箇所での耐火性能を高く確保することができる。
つまり、室内側へと熱気が吹き出すことを有効に防止することができる。
【0025】
以上のように、上記実施形態に係る耐火壁1によれば、上下方向に継いだ内装材11の境界部分である横延境界K1が加熱により拡大して間隙Pとなった場合であっても、膨張した熱膨張性耐火材13により当該間隙Pを有効に閉塞することができる。
よって、加熱側と反対の方向側に熱気が噴出することを有効に防止することができるとともに、高い耐火性能を確保することができる。
このように、従来のように、外壁の外側目地に対して熱膨張性耐火材を配置するのではなく、本実施形態においては、外壁の室内側に配設される内装材11の継ぎ目部分に対して熱膨張性耐火材13を配置した。つまり、下地12を構成する横桟12cの室内側に熱膨張性耐火材13を配置し、熱により、内装材11の継ぎ目部分が開いても、室内へと熱気が吹き出すことを有効に防止することができるように構成した。よって、高い耐火性能を確保することができる。
なお、本実施形態においては、耐火壁1として外壁を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、内壁、間仕切り壁等においても、本実施形態に係る構造は有効に適用されるものである。
【符号の説明】
【0026】
1 耐火壁
11 内装材
11A 下方内装材
11a 第一下方内装材
11b 第二下方内装材
11c 第三下方内装材
11B 上方内装材
11d 第一上方内装材
11e 第二上方内装材
11f 第三上方内装材
12 下地
12a 枠体
12b 縦桟
12c 横桟
13 熱膨張性耐火材
K1 横延境界(横桟部境界)
K11 横延第一境界
K12 横延第二境界
K13 横延第三境界
K2 第一縦延境界(縦桟部境界)
K21 下方縦延第一境界
K22 上方縦延第一境界
K3 第二縦延境界(縦桟部境界)
K31 下方縦延第二境界
K32 上方縦延第二境界
P 間隙
T 締結部材

図1
図2
図3
図4