(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674230
(24)【登録日】2020年3月10日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】ドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナ
(51)【国際特許分類】
F16D 65/097 20060101AFI20200323BHJP
【FI】
F16D65/097 E
F16D65/097 G
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-218119(P2015-218119)
(22)【出願日】2015年11月6日
(65)【公開番号】特開2016-125659(P2016-125659A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2018年11月2日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0001095
(32)【優先日】2015年1月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】申 周 勳
(72)【発明者】
【氏名】沈 材 環
【審査官】
大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−200409(JP,A)
【文献】
実開昭61−007632(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と共に回転するブレーキディスクの一部を収容するキャリパと、ブレーキペダルが操作されると前記キャリパの内部に前記ブレーキディスクの両面をそれぞれ加圧するように設けられるブレーキパッドと、を備えた車両のブレーキにおいて、前記キャリパの内部に設けられ、前記ブレーキパッドが離隔するように弾性力を提供するパッドライナであって、
前記パッドライナは、前記パッドライナから傾斜した状態で延びて形成され、前記ブレーキペダルの操作が完了すると、前記ブレーキパッドを前記ブレーキディスクから離隔するように、前記ブレーキパッドの端部に傾斜して接する弾性部を含み、
前記パッドライナは、本体と、前記本体から延びて形成され、前記本体と離隔して配置される延長部と、を有し、
前記弾性部は、前記延長部に形成され、
前記本体の上端と前記延長部の上端とを連結する連結部が設けられることを特徴とするドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナ。
【請求項2】
前記延長部は、
前記連結部において前記パッドライナの長手方向の両端に隣接した部位にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1に記載のドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナ。
【請求項3】
前記弾性部は、前記延長部から前記延長部と定められた角度で傾斜して形成されることを特徴とする請求項1に記載のドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナ。
【請求項4】
前記弾性部は、
前記延長部において前記パッドライナの外側から内側にいくほど、前記延長部とさらに離隔するように傾斜して形成されることを特徴とする請求項3に記載のドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナ。
【請求項5】
前記弾性部は、
前記延長部を前記パッドライナの幅方向に切開して形成されることを特徴とする請求項4に記載のドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナ。
【請求項6】
前記弾性部は、
前記延長部の中間に「U」字状の溝を形成し、その中心部分を傾斜するように曲げて形成されることを特徴とする請求項5に記載のドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナ。
【請求項7】
前記延長部は、前記延長部の上端から前記延長部の下端に向かって、前記本体と定められた間隔で離隔して設けられることを特徴とする請求項1に記載のドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナ。
【請求項8】
前記延長部は、
前記延長部が前記ブレーキパッドの側面を一定の荷重で加圧して離隔するように、ブレーキパッドの側面を支持するように設けられることを特徴とする請求項1に記載のドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナ。
【請求項9】
前記本体の中間部分には、「U」字に折曲げられて形成され、ブレーキパッドの側面に固定されるパッド固定部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナに係り、より詳しくは、車両のブレーキにおいて、ブレーキパッドをブレーキディスクと分離させるパッドライナに関するもので、制動後、ブレーキパッドがブレーキディスクと十分に分離できるように復元力を提供し、制動時に発生した異物が内部で堆積するのを防止するようにしたドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に適用されるブレーキのうち、
図1に示すように、車輪と共に回転するブレーキディスク12をブレーキパッド14が把持して車輪が停止されるようにするディスクタイプのブレーキがある。
すなわち、
図2に示すように、運転者がブレーキペダルを操作して発生する油圧が、キャリパ13の内部に装着されたピストン15を加圧し、ピストン15がキャリパ13の内部に設けられたブレーキパッド14をブレーキディスク12に押し出す。ピストン15によって作動したブレーキパッド14は、キャリパ13の内部で同じ車軸11に連結された車輪と共に回転するブレーキディスク12を把持することにより、ブレーキパッド14とブレーキディスク12との間の摩擦力によって車両の回転が停止するようにする。
【0003】
一方、制動が完了すると、ピストン15が元の位置に復元しながら、ブレーキパッド14がブレーキディスク12から十分に分離されて、ブレーキパッド14とブレーキディスク12との間にギャップが形成され、車輪がブレーキパッド14とブレーキディスク12との接触による抵抗を受けずに回転することができる。
しかし、ブレーキパッド14の復元力が十分でなく、ブレーキディスク12のランアウトまたは厚さの変化に応じたドラッグ(drag)、すなわち、ブレーキディスク12の回転をブレーキパッド14が妨害する現象が常に存在する。
このようなドラッグ現象を防止するために、キャリパ13の内部には、
図3または
図4に示すように、一種のスプリングのような役割を果たすパッドライナ121、122が設けられ、制動のための油圧が除去されると、ブレーキパッド14がブレーキディスク12から十分に分離できるようにする。
【0004】
しかし、このような従来技術に係るパッドライナ121、122は、キャリパ13から離脱してブレーキディスク12と干渉を引き起こし、あるいは、制動動作または腐食によって発生する異物を外部に排出することができない問題がある。
例えば、
図3に示すようなパッドライナ121は、ブレーキパッド14を一定の荷重で支持して、ブレーキパッド14に復元力を提供する。このために、キャリパ13の内部にクリップ形態で固定されるか、上部に固定突起が形成されてキャリパ13に結合されるが、組立が十分に行われない場合、離脱してブレーキディスク12と干渉を引き起こすことがある。
また、
図4に示すようなパッドライナ122は、キャリパ13のブレーキパッド14の復元力が倍加されるように、パッドライナ122に弾性部122aを形成しているが、このようなパッドライナ122は、弾性部122aに異物が堆積すると、制動時、パッド14がブレーキディスク12を加圧せず、制動力を十分に発揮することができない問題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−112424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、制動が完了すると、ブレーキパッドがブレーキディスクと十分に離隔するように復元力を提供して、ブレーキパッドとブレーキディスクとの干渉による駆動抵抗を減少できるドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、別の固定構造がなくても、ブレーキキャリパの内部に装着された後、キャリパから離脱するのを防止できるドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナを提供することである。
本発明のさらに他の目的は、制動によって発生する異物、または腐食によって発生する異物が外部に容易に排出できるようにしたドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明によるドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナは、車輪と共に回転するブレーキディスクの一部を収容するキャリパと、ブレーキペダルが操作されると前記キャリパの内部に前記ブレーキディスクの両面をそれぞれ加圧するように設けられるブレーキパッドと
、を備えた車両のブレーキにおいて、前記キャリパの内部に設けられ、前記ブレーキパッドが離隔するように弾性力を提供するパッドライナであって、前記パッドライナは、前記パッドライナから傾斜した状態で延びて形成され、前記ブレーキペダルの操作が完了すると、前記ブレーキパッドを前記ブレーキディスクから離隔するように、前記ブレーキパッドの端部に傾斜して接する弾性部を含
み、前記パッドライナは、本体と、前記本体から延びて形成され、前記本体と離隔して配置される延長部と、を有し、前記弾性部は、前記延長部に形成され、前記本体の上端と前記延長部の上端とを連結する連結部が設けられることを特徴とする。
【0010】
前記延長部は、前記連結部において前記パッドライナの長手方向の両端に隣接した部位にそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0011】
前記弾性部は、前記延長部から前記延長部と定められた角度で傾斜して形成されることを特徴とする。
【0012】
前記弾性部は、前記延長部において前記パッドライナの外側から内側にいくほど、前記延長部とさらに離隔するように傾斜して形成されることを特徴とする。
【0013】
前記弾性部は、前記延長部を前記パッドライナの幅方向に切開して形成されることを特徴とする。
【0014】
前記弾性部は、前記延長部の中間に「U」字状の溝を形成し、その中心部分を傾斜するように曲げて形成されることを特徴とする。
【0015】
前記延長部は、前記延長部の上端から前記延長部の下端に向かって、前記本体と定められた間隔で離隔して設けられることを特徴とする。
【0016】
前記延長部は、前記延長部が前記ブレーキパッドの側面を一定の荷重で加圧して離隔するように、ブレーキパッドの側面を支持するように設けられることを特徴とする。
【0017】
前記本体の中間部分には、「U」字に折曲げられて形成され、ブレーキパッドの側面に固定されるパッド固定部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このような構成を有する、本発明に係るドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナによれば、弾性部が常に、ブレーキパッドがブレーキディスクと離隔する方向にブレーキパッドに弾性力を提供するため、制動が完了した後、油圧が除去されると、ブレーキパッドをブレーキディスクと十分に離隔させることにより、ブレーキパッドとブレーキディスクとの干渉によるドラッグ現象を防止できる。
また、パッドライナにおいて、本体と延長部が間隔をおいて配置されており、その間に形成された空間が下部に開放されていて、走行や制動動作によって発生する異物、腐食によって発生した異物を外部に容易に排出させることにより、パッドライナの内部に異物が積もり、制動動作時に機能障害が発生するのを防止できる。
同時に、パッドライナの上側延長部は、パッドの側面を支持する構造を含んでいて、延長部がパッドの側面を支持する力の反力でパッドライナの離脱が防止される。これによって、別の固定構造を追加しなくても、パッドライナを固定することができ、組立不良時にディスクとの干渉を防止し、組立が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】通常のディスクタイプのブレーキを示す部分切開斜視図である。
【
図2】
図1のブレーキの作動原理を示す平面図である。
【
図3】従来技術の一例によるパッドライナを示す斜視図である。
【
図4】従来技術の他の例によるパッドライナを示す斜視図である。
【
図5】
図4のパッドライナとパッドの設置関係を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係るドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナを示す斜視図である。
【
図7】本発明に係るドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナの側面図である。
【
図8】本発明に係るドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナとパッドの設置関係を示す斜視図である。
【
図9】油圧の作動による復元力を示す概略図である。
【
図10】油圧の作動解除による復元力を示す概略図である。
【
図11】本発明に係るドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナがブレーキパッドを支持する構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係るドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナについて詳細に説明する。
本発明に係るドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナは、車輪と共に回転するブレーキディスク12の一部を収容するキャリパ13と、ブレーキペダルが操作されると、キャリパ13の内部にブレーキディスク12の両面をそれぞれ加圧するように設けられるブレーキパッド14と、キャリパ13の内部に設けられ、ブレーキパッド14が離隔するように弾性力を提供するパッドライナ20とを含む車両のブレーキにおいて、パッドライナ20は、パッドライナ20から傾斜した状態で延びて形成され、ブレーキペダルの操作が完了すると、ブレーキパッド14をブレーキディスク12から離隔するように、ブレーキパッド14の端部に傾斜して接する弾性部24を含む。
【0021】
図6に示すように、本発明に係るドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナは、本体21と、本体21から延びる延長部22と、端部が延長部22に傾斜した状態で取り付けられる弾性部24とからなる。
本体21には、ドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナにおいて、他の構成要素が形成される。例えば、本体21から延長部22が延びて形成される。本体21の中間には、ブレーキパッド14とパッドライナ20が結合されるように、「U」字状に折曲げられて形成されたパッド固定部21aなどが設けられてもよい。
延長部22は、本体21の上端から延び、本体21と定められた距離だけ離隔して配置される。
連結部両端の延長部22は、延長部22の上端が本体21の上端と連結部23を介して連結されている。本体21は「U」字断面をなし、連結部23、および延長部22は延長部22の上端は本体21の上端と連結部23を介して連結される。延長部22は、連結部23から本体21の1側で下向きに延びて、延長部22は本体21と定められた間隔だけ離隔して形成される。
【0022】
特に、延長部22と本体21は、配置された空間において下部は開放されており、延長部22と本体21との間に異物が流入しても直ちに排出されるようにして、異物の堆積が防止できるようになっている。
同時に、延長部22は、連結部23の長手方向の両端に隣接した部位にのみ形成され、中間部分には形成されない。本体21において中間部分は、ブレーキディスク12が設けられて回転する部位であるので、本体21の中間部分には延長部22が形成されないように、連結部23の両端に隣接した部位にのみ形成され、ブレーキパッド14の側面を支持するようにする。
延長部22は、制動および振動などによるパッドライナ20の離脱を防止できるように、パッドライナ20の上側でブレーキパッド14を支持してその反力を発生させる役割を果たす。
弾性部24は、延長部22の一側から傾斜した状態で延びて形成される。弾性部24は、一端は延長部22に連結され、他端は自由端で、延長部22に固定されない。したがって、弾性部24は、延長部22と定められた角度で傾斜して形成されることにより、弾性力を発揮することができる。
【0023】
弾性部24は、延長部22をパッドライナ20の幅方向に切開して形成されてもよい。すなわち、弾性部24は、延長部22の中間に「U」字状の溝を形成し、その中心部分を傾斜するように曲げて形成される。したがって、延長部22は、延長部22の上端から弾性部24を取り囲むように形成される。
弾性部24は、パッドライナ20の外側にその一端が位置し、パッドライナ20の内部にその他端が位置する。特に、弾性部24は、ブレーキパッド14の端部と傾斜した状態で接触するため、ブレーキパッド14に弾性力を作用させることができる。
弾性部24は、キャリパ13の内部に設けられた時、ブレーキパッド14がブレーキディスク12から離隔する弾性部24が形成される。
【0024】
このような、本発明に係るドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナは、中間にブレーキディスク12が回転できるように空間が形成され、空間を中心として左右対称構造に形成される。
また、パッドライナ20は、ブレーキパッド14の両端にそれぞれ設けられる。すなわち、車両のブレーキのキャリパ13の内部において、ブレーキディスク12の両面にそれぞれブレーキパッド14が摩擦面が互いに向き合うように配置され、摩擦面がブレーキディスク12に向かうように配置される。
したがって、1つのキャリパ13の内部には、2つのブレーキパッド14と、2つのパッドライナ20とが配置される。
【0025】
以下、このような構成を有する、本発明に係るドラッグが縮小するブレーキキャリパ用パッドライナの作用について説明する。
図9および
図10は、それぞれ制動動作時および制動解除時の状態を示すものである。
まず、
図9を参照して制動動作時の状態を説明する。運転者がブレーキペダルを操作すると、キャリパ13に油圧が伝達される。油圧は、ピストン15をブレーキディスク12に加圧して、ブレーキパッド14がブレーキディスク12を把持することにより、制動力が発生する。この時、弾性部24とブレーキパッド14との間にパッドライナ20がブレーキパッド14を復元させようとする復元力と、ピストン15とキャリパ13との間でシーリングするシーリング15aによる復元力が油圧と反対方向に作用するが、油圧の大きさがより大きいため、ブレーキパッド14をブレーキディスク12に圧着させて制動力が発生する。
【0026】
図10には、制動解除時の状態を示す。運転者がブレーキペダルを操作しなければ、ピストン15に油圧が作用しない。この時、パッドライナ20の弾性部24による弾性力が、ブレーキパッド14を復元させる復元力として作用して、ブレーキパッド14をブレーキディスク12から十分に離隔させる。同時に、シーリング15aが設けられた部位においても復元力が作用するので、パッド14がブレーキディスク12から十分に離隔して、ブレーキパッド14とブレーキディスク12との干渉によるドラッグ現象を防止する。
同時に、
図7に示すように、パッドライナ20において、延長部22は、上端を除いた部分、すなわち、延長部22の上端に隣接した部分から延長部22の下端まで本体21と間隔をおいて形成されているため、車両の走行中にブレーキの内部に異物が流入し、あるいは制動によってブレーキパッド14またはブレーキディスク12が摩耗しながら発生する異物が流入し、またはブレーキの部品の腐食によって発生する異物がパッドライナ20の内部で堆積するのを防止することができる。すなわち、
図7の矢印が示すように、パッドライナ20の内部に流入した異物は、パッドライナ20の外部に容易に排出されるため、パッドライナ20の内部に異物は堆積しない。
【0027】
パッドライナ20の内部に異物が堆積するのを防止することにより、流入した異物によってパッドライナ20がまともに作動しない機能障害を防止することができ、ブレーキの信頼性を向上させることができる。
図11には、パッドライナ20の離脱を防止する構造を示す。パッドライナ20の上端部に連結された延長部22は、パッドの側面を支持する荷重aを発生させ、これによって発生する反力bは、パッドライナ20の離脱を発生させるパッドスプリングの荷重cによる反力dで形成されるモーメントeを減衰させて、パッドライナ20が離脱するのを防止する。
【符号の説明】
【0028】
11:車軸
12:ブレーキディスク
13:キャリパ
14:ブレーキパッド
15:ピストン
15a:シーリング
20、121、122:パッドライナ
21:本体
21a:パッド固定部
22:延長部
23:連結部
24:弾性部