特許第6674243号(P6674243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674243
(24)【登録日】2020年3月10日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】変速機及び支持構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 3/58 20060101AFI20200323BHJP
   F16H 3/60 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   F16H3/58
   F16H3/60
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-240557(P2015-240557)
(22)【出願日】2015年12月9日
(65)【公開番号】特開2017-106548(P2017-106548A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 穏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 功
(72)【発明者】
【氏名】椎野 司
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/137798(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リングギヤを有する遊星歯車機構を備える変速機であって、
前記リングギヤに支持され前記リングギヤと一体に回転するハブと、
前記ハブとケースとを締結及び解放する摩擦要素と、
を備え、
前記ハブは支持部を有し、
前記リングギヤは内歯車を備え、
前記支持部は、前記内歯車の外周側に形成される肩部により径方向内側から支持されると共に、前記肩部が、前記ハブに軸方向で接し、
前記支持部は、前記ハブから前記リングギヤ側へと突起する突起構造を有する
ことを特徴とする変速機。
【請求項2】
リングギヤを有する遊星歯車機構を備える変速機であって、
前記リングギヤに支持され前記リングギヤと一体に回転するハブと、
前記ハブとケースとを締結及び解放する摩擦要素と、
を備え、
前記ハブは支持部を有し、
前記リングギヤは内歯車を備え、
前記支持部は、前記内歯車の外周側に形成される肩部により径方向内側から支持されると共に、前記肩部が、前記ハブに軸方向で接し、
前記支持部と前記肩部との隙間を所定の隙間とした
ことを特徴とする変速機。
【請求項3】
リングギヤを有する遊星歯車機構を備え、前記リングギヤに支持され前記リングギヤと一体に回転するハブと、前記ハブとケースとを締結及び解放する摩擦要素と、を備え、前記ハブは複数の支持部を有し、前記支持部は前記リングギヤにより径方向の内側から支持される変速機における、前記ハブの支持構造の製造方法であって、
前記支持部を、前記ハブに対して半抜き加工を行なうことにより形成することを特徴とする支持構造の製造方法。
【請求項4】
請求項に記載の支持構造の製造方法であって、
前記リングギヤに備えられる内歯車の外周側に形成される肩部を研削し、
研削された前記肩部を前記支持部及び前記ハブの軸方向へと当接させることで、前記ハブを前記リングギヤによりセンタリングする
ことを特徴とする支持構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
変速機には、例えば前後進機構など、摩擦締結要素の締結及び解放により、遊星歯車機構の伝達経路を切り換える構成を備えるものがある。
【0003】
このような構成において、遊星歯車機構のリングギヤとハブ等の回転体とは、一般的にクラッチハブ等にスプライン嵌合により連結される。
【0004】
引用文献1には、インプットシャフトに連結されるリングギヤが、クラッチドラムにスプライン嵌合すると共にクリップによって保持されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−55150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の従来技術のように、遊星歯車機構のリングギヤをクラッチドラムにスプライン嵌合する構成は、クラッチドラムがリングギヤのみによりセンタリングされている。このような構成において、歯車反力により回転のアンバランスが発生し、リングギヤとクラッチドラム等の構成部品との間でスプライン結合部が衝突を繰り返すことで摩耗が発生する。摩耗の発生により、クラッチドラムのアンバランスが更に増加するという問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ハブ(ブレーキハブ)の摩耗を防止して、回転のアンバランスの発生を防止する変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様及び他の実施態様によると、リングギヤを有する遊星歯車機構を備える変速機はリングギヤと一体に回転するハブと、ハブとケースとを締結及び解放する摩擦要素と、を備える。ハブは支持部を有し、リングギヤは内歯車を備える。支持部は、内歯車の外周側に形成される肩部により径方向内側から支持されると共に、肩部が、ハブに軸方向で接する。本発明の一実施態様において、支持部は、ハブからリングギヤ側へと突起する突起構造を有する。本発明の他の実施態様において、支持部と肩部との隙間は所定の隙間とされる。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によると、ハブは、支持部リングギヤにより径方向の内側から支持されるので、ハブがリングギヤへと支持されると共にセンタリングされて、回転時のアンバランスを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の変速機を搭載した車両の構成を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態の前後進機構の構成を示す説明図である。
図3】本発明の実施形態のブレーキハブとインターナルギヤとの接合部の説明図である。
図4】本発明の実施形態のブレーキハブとインターナルギヤとの接合部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の自動変速機4を搭載した車両の構成を示す説明図である。
【0013】
車両は駆動源としてエンジン1を備える。エンジン1の出力回転は、ロックアップ付きトルクコンバータ2、前後進切換機構3、変速機4、終減速機構5を介して駆動輪へと伝達される。
【0014】
前後進切換機構3は、エンジン1と変速機4との間に備えられる。前後進切換機構3は、回転軸13から入力される回転を、正転方向(前進走行)又は逆転方向(後退走行)に切り替え、回転軸15を介して変速機4へと入力する。
【0015】
前後進切換機構3は、ダブルピニオン式の遊星歯車機構30と、前進クラッチ31と、後退ブレーキ32とを備え、前進クラッチ31を締結した場合に正転方向に、後退ブレーキ32が締結されたときに逆転方向に切り替えられる。前後進切換機構3の前進クラッチ31及び後退ブレーキ32は、油圧制御回路11から供給される油圧により、締結及び解放が制御される。
【0016】
変速機4は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プーリ21、22に掛け渡されるベルト23とで構成され、プライマリプーリ21とセカンダリプーリ22との溝幅をそれぞれ変更することでベルト23の巻掛け径を変更して変速を行うベルト式無段変速機構(バリエータ20)を備える。
【0017】
プライマリプーリ21は、固定プーリと可動プーリとを備え、プライマリ油圧室23aに供給されるプライマリ油圧により可動プーリが可動することにより、プライマリプーリ21の溝幅が変更される。
【0018】
セカンダリプーリ22は、固定プーリと可動プーリとを備え、セカンダリ油圧室23bに供給されるセカンダリ油圧により可動プーリが可動することにより、セカンダリプーリ22の溝幅が変更される。
【0019】
ベルト23は、プライマリプーリ21の固定プーリと可動プーリとにより形成されるV字形状をなすシーブ面と、セカンダリプーリ22の固定プーリと可動プーリとにより形成されるV字形状をなすシーブ面に掛け渡される。
【0020】
終減速機構5は、バリエータ20の出力回転を、複数の歯車列及びディファレンシャルギヤを介して、駆動輪に伝達する。
【0021】
コントローラ12は、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ41の出力信号、自動変速機4の入力回転速度を検出する回転速度センサ42の出力信号、車両速度を検出する車速センサ43の出力信号、自動変速機4の油温を検出する油温センサ44の出力信号、セレクトレバー45のレンジ位置を検出するインヒビタスイッチ46の出力信号、ブレーキペダルが踏み込まれていることを検出するブレーキスイッチ47の出力信号などが入力される。
【0022】
コントローラ12は、入力された信号に基づいて、目標変速比を決定し、目標変速比に変速機4の実変速比が追従するように、予め記録されている変速マップ等を参照して、バリエータ20の変速比を制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号を油圧制御回路11に出力する。
【0023】
また、コントローラ12は、入力された信号に基づいて、前後進切換機構3を前進走行とするか後進走行とするかを決定し、前後進切換機構3の前進クラッチ31及び後退ブレーキ32を制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号を油圧制御回路11に出力する。
【0024】
油圧制御回路11はコントローラ12からの制御信号に基づき、オイルポンプ10で発生した油圧から必要な油圧を調整し、調整した油圧を、自動変速機4の各部位に供給する。これにより、バリエータ20の変速比が変更され、自動変速機4の変速が行われる。また、前後進切換機構3が前進走行となるか後進走行となるかが変更され、車両が前進又は後進可能となる。
【0025】
次に、前後進切換機構3の構成について説明する。
【0026】
図2は、本発明の実施形態の前後進切換機構3の構成を示す説明図である。
【0027】
前後進切換機構3は、ダブルピニオン式の遊星歯車機構30と、前進クラッチ31と、後退ブレーキ32とを備える。
【0028】
遊星歯車機構30は、サンギヤ81、ピニオン82、83、インターナルギヤ84及びキャリア55を備える。
【0029】
前進クラッチ31及び後退ブレーキ32は、遊星歯車機構30の伝達経路を切り換えて、回転軸13から入力された回転を正転又は逆転して、サンギヤ81に連結される回転軸15を介して、バリエータ20へと伝達する。
【0030】
前進クラッチ31は、クラッチドラム51と、クラッチハブ52と、ドリブンプレート53と、ドライブプレート54と、油圧ピストン61と、仕切りプレート66と、を備える。
【0031】
クラッチドラム51には、回転軸13が連結されると共にキャリア55がスプライン結合される。クラッチハブ52には、サンギヤ81が連結される。
【0032】
クラッチドラム51には、スプライン結合によって軸方向に摺動自在にドリブンプレート53が取り付けられる。クラッチハブ52には、スプライン結合によって軸方向に摺動自在にドライブプレート54が取り付けられる。ドリブンプレート53とドライブプレート54とは交互に配置される。ドライブプレート54の両側には、摩擦面としてクラッチフェーシングが備えられる。ドリブンプレート53とドライブプレート54とが締結状態のときに、クラッチドラム51の回転とクラッチハブ52の回転とが同期される。
【0033】
油圧ピストン61は、軸方向に変位可能に配置される。クラッチドラム51と油圧ピストン61との間の空間に油圧室62が画成される。油圧室62は、供給された作動油の油圧により油圧ピストン61を可動する。
【0034】
仕切りプレート66と油圧ピストン61との間の空間にはキャンセラ室63が画成される。キャンセラ室63は、油圧室62の油圧が遠心力で変動することを防止するために作動油が満たされる。
【0035】
後退ブレーキ32は、ブレーキハブ68と、ドリブンプレート75と、ドライブプレート74と、リテーナプレート73と、スナップリング72と、油圧ピストン77と、を備える。
【0036】
ブレーキハブ68は、回転軸15にベアリングを介して回転自在に支持される。ブレーキハブ68は、回転軸15の径方向に延設される壁部68aと、壁部68aの径方向端部から軸方向に延設される軸方向延設部68bとを有する。
【0037】
軸方向延設部68bの内周側にはスプラインが形成されており、遊星歯車機構30のインターナルギヤ84がスプライン結合される。インターナルギヤ84は、スナップリング71により軸方向に対して固定される。
【0038】
軸方向延設部68bの外周側にもスプラインが形成されており、ドライブプレート74が軸方向に移動自在にスプライン結合される。自動変速機4のケース14には、スプライン結合によって軸方向に摺動自在にドリブンプレート75が取り付けられる。ドリブンプレート75とドライブプレート74とは交互に配置される。ドライブプレート74の両側には、摩擦面としてクラッチフェーシングが備えられる。
【0039】
油圧ピストン77は、軸方向に変位可能に配置される。油圧ピストン77は、ケース14に形成された油圧室79に供給された作動油の油圧により可動して、ドリブンプレート75とドライブプレート74とを押圧する。ドリブンプレート75とドライブプレート74とが締結状態のときに、ブレーキハブ68がケース14に対して固定され、ブレーキハブ68の回転を停止させる。
【0040】
リテーナプレート73は、油圧ピストン77とは反対側の端部に配置されるドライブプレート74と、ケース14に固定されたスナップリング72との間に介装され、ドリブンプレート75及びドライブプレート74を支持する。
【0041】
回転軸15は、ボールベアリング88を介してケース14に支持される。
【0042】
このように構成された前後進切換機構3において、従来、次のような問題が発生していた。
【0043】
ブレーキハブ68は、回転軸13及び回転軸15に対してベアリング(ニードルベアリング)等により回転自在に支持される。ブレーキハブ68は、インターナルギヤ84とでスプライン結合される。従って、ブレーキハブ68は、インターナルギヤ84によりセンタリングされる。
【0044】
スプライン結合は公差や遊びを有するので、ブレーキハブ68及びインターナルギヤ84が回転すると、歯車反力等により回転のアンバランスが発生し、振動によりインターナルギヤ84とのブレーキハブ68とのスプライン結合部が摩耗が発生する場合がある。摩耗の発生により、ブレーキハブ68の軸芯のぶれが大きくなって回転のアンバランスが増加し、ブレーキハブ68がドリブンプレート75に接触し、ブレーキハブ68の外周部分が摩耗するという問題があった。
【0045】
従来はこのような問題に対し、ブレーキハブ68の摩耗を防止するための窒化処理等により硬度を増加したり、ドリブンプレート75への接触を防止ための外周の切削処理を行なっていた。しかし、このような処理を行なうことにより、工数が増加して自動変速機4の製造コストが上昇するという問題があった。
【0046】
本発明の実施形態は、この問題に対して、次のように構成することで、ブレーキハブ68のアンバランスを防止した。
【0047】
図3及び図4は、ブレーキハブ68とインターナルギヤ84との支持構造の説明図である。図3は径方向の断面図を示し、図4は、軸方向から観察した場合を示す。
【0048】
インターナルギヤ84は、内周側に内歯車84bを備え、内歯車84bを形成する環状の構成の外周側に円筒状の面を有すると共にブレーキハブ68に当接する略直角状の頂点を有する肩部84aを備える。
【0049】
インターナルギヤ84は、肩部84aから軸方向に縮小して径方向へと延設されその外周側にスプライン84cが形成される。スプライン84cは、ブレーキハブ68の軸方向延設部68bの内周側に形成されたスプラインと嵌合して周方向に固定される。
【0050】
ブレーキハブ68には、支持部101が形成される。支持部101は、インターナルギヤ84の肩部84aの径方向外側に当接する。インターナルギヤ84の肩部84aは、ブレーキハブ68の壁部68aにも当接する。
【0051】
支持部101は、ブレーキハブ68の周方向に所定の間隔で複数形成される。図4 では、8つの支持部101が形成されている例を示す。ブレーキハブ68は、インターナルギヤ84の肩部84aにより複数の支持部101周方向の内側から支持され、インターナルギヤ84に固定される。これにより、ブレーキハブ68はインターナルギヤ84により回転軸芯が支持される。なお、図4では、8つの支持部101インターナルギヤ84の内周側から支持される例を示したが、支持部101の数はこれに限られず、例えば3つであっても、より更に多くの支持部101を備えてもよい。またさらに、一つの円筒状の支持部101を形成して周方向の全てから肩部84aにより支持されるような構成であってもよい。
【0052】
支持部101は、ブレーキハブ68に半抜き加工を行なうことで形成される。具体的には、ブレーキハブ68の壁部68aに対して工具等によりプレス加工を行なうことで、インターナルギヤ84側に突設した突起構造を形成する。
【0053】
支持部101の内周側及びインターナルギヤ84の肩部84aは、これらが精度良く当接する形状となるように、その表面が切削や研磨等によって加工される。この加工により、支持部101と肩部84aとが接している状態で、これらの間が所定の隙間となるように調整することができる。例えば、支持部101と肩部84aとの隙間を、組み立て時の容易さと、回転時のアンバランスの防止とを両立させた適切な隙間とすることが好適である。さらに、肩部84aの面粗さを制御することで、支持部101と肩部84aとの摩擦係数を高めて、回転方向への振動を抑制することで摩耗を防止できる。
【0054】
このように、ブレーキハブ68をインターナルギヤ84の肩部84aで支持するように構成したので、スプライン結合のみでブレーキハブ68とインターナルギヤ84とを結合する構成と比較して、スプラインの遊びによる振動がなくなり、回転のアンバランスの発生が防止される。
【0055】
さらに、支持部101と肩部84aとが接する部分の工作精度を高めることにより、ブレーキハブ68がインターナルギヤ84に対して確実にセンタリングされると共に、軸芯の精度が高められ、回転のアンバランスの発生が防止される。
【0056】
以上のように、本発明の実施形態の変速機4は、インターナルギヤ84(リングギヤ)を有する遊星歯車機構30を備える変速機4であって、インターナルギヤ84と一体に回転するブレーキハブ68と、ブレーキハブ68とケース14とを締結及び解放する摩擦要素(後退ブレーキ32)と、を備え、ブレーキハブ68は、支持部101を有し、支持部101インターナルギヤ84により径方向の内側から支持される
【0057】
このように構成することで、ブレーキハブ68がインターナルギヤ84に対して、径方向(ラジアル方向)の外側から支持部101によって支持されるので、ブレーキハブがインターナルギヤ84に確実にセンタリングされて、回転時のアンバランスが防止される。特に、スプライン結合と比較して遊びを少なくすることができるので、摩耗を防止することができる。この効果は請求項1に対応する。
【0058】
また、本発明の実施形態の変速機4は、支持部101は、ブレーキハブ68からインターナルギヤ84側へと突起する突起構造を有する。このような構成により、支持部101を形成する場合に半抜き構造とする等、形成が容易となりコストを低減できる。この効果は請求項に対応する。
【0059】
また、本発明の実施形態の変速機4は、インターナルギヤ84は内歯車84bを備え、内歯車84bの外周側に形成される肩部84aにより、支持部101径方向内側から支持されると共に、ブレーキハブ68に軸方向で接する。このような構成により、ブレーキハブ68が、インターナルギヤ84の肩部84aにより径方向から支持部101支持れると共に、ブレーキハブ68の壁部68aとインターナルギヤ84の肩部84aとが当接して軸方向に接するので、ラジアル側とスラスト側との両方でインターナルギヤ84に支持されて、ブレーキハブ68が、より軸芯へと支持されるので、回転時のアンバランスを防止できる。この効果は請求項に対応する。
【0060】
また、本発明の実施形態の変速機4は、ブレーキハブ68の支持部101がインターナルギヤ84により支持されているときに、支持部101と肩部84aとの隙間を所定の隙間とする。このような構成により、隙間間隔を管理することで、回転時のアンバランスを防止できる。この効果は請求項に対応する。
【0061】
また、本発明の実施形態の変速機4は、前述の構成において、支持部101は、ブレーキハブ68に対してプレス等による半抜き加工を行なうことにより形成されるので、形成が容易となりコストを低減できる。この効果は請求項に対応する。
【0062】
また、本発明の実施形態の変速機4は、インターナルギヤ84に備えられる内歯車84bの外周側に形成される肩部84aを研削し、研削された肩部84aを支持部1 01及びブレーキハブの軸方向( 壁部68a)へと当接させて、ブレーキハブ68がインターナルギヤ84にセンタリングされる。このような構成により、インターナルギヤ84の肩部84aと支持部101との隙間間隔を管理することができると共に、肩部84aの外周部の面粗さを管理してブレーキハブ68をセンタリングすることができるので、回転時のアンバランスを防止でき、支持部101と肩部84aとの接触部分の摩耗を防止できる。この効果は請求項に対応する。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0064】
上記実施形態では、無段変速機構を備える変速機における前後進機構での構成例を示したが、これに限られない。例えば有段変速機構に備えられる遊星歯車機構であっても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 エンジン
3 前後進切換機構
4 変速機
14 ケース
20 バリエータ
30 遊星歯車機構
31 前進クラッチ
32 後退ブレーキ
68 ブレーキハブ
68a 壁部
68b 軸方向延設部
74 ドライブプレート
75 ドリブンプレート
77 油圧ピストン
79 油圧室
81 サンギヤ
82 ピニオン
83 ピニオン
84 インターナルギヤ
84a 肩部
84b 内歯車
101 支持部
図1
図2
図3
図4