特許第6674259号(P6674259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6674259熱電変換材料分散液及び熱電変換材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674259
(24)【登録日】2020年3月10日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】熱電変換材料分散液及び熱電変換材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/34 20060101AFI20200323BHJP
   H01L 35/22 20060101ALI20200323BHJP
   H01L 35/26 20060101ALI20200323BHJP
   H01L 51/00 20060101ALI20200323BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20200323BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20200323BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20200323BHJP
【FI】
   H01L35/34
   H01L35/22
   H01L35/26
   H01L29/28 100Z
   H01L29/28 220A
   H01L29/28 250E
   B82Y30/00
   B82Y40/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-379(P2016-379)
(22)【出願日】2016年1月5日
(65)【公開番号】特開2017-123369(P2017-123369A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野々口 斐之
(72)【発明者】
【氏名】河合 壯
【審査官】 柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−035599(JP,A)
【文献】 特開2015−029030(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/198621(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 35/34
B82Y 30/00
B82Y 40/00
H01L 35/22
H01L 35/26
H01L 51/00
H01L 51/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブと、分散媒とを含み、
前記カーボンナノチューブが前記分散媒中に分散されており、
前記分散媒は、1−クロロナフタレン又はブロモベンゼンである、熱電変換材料分散液。
【請求項2】
請求項1に記載の熱電変換材料分散液を、基材上に塗布する塗布工程と、
乾燥を行い、熱電変換材料を得る乾燥工程とを備える、熱電変換材料の製造方法。
【請求項3】
前記塗布工程において、前記基材として、前記熱電変換材料分散液中の前記分散媒が通過可能な基材を用い、前記熱電変換材料分散液の塗布時に、前記熱電変換材料分散液に含まれる前記分散媒を、前記基材を通過させ、前記熱電変換材料分散液に含まれる前記カーボンナノチューブを前記基材上に堆積させる、請求項に記載の熱電変換材料の製造方法。
【請求項4】
シート状の熱電変換材料を得る、請求項又はに記載の熱電変換材料の製造方法。
【請求項5】
前記熱電変換材料100重量%中、前記カーボンナノチューブの含有量が70重量%以上である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の熱電変換材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブを含む熱電変換材料分散液に関する。また、本発明は、上記熱電変換材料分散液を用いた熱電変換材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー問題への取り組みが活発化しており、熱エネルギーの回収技術への期待が高まっている。熱は、体温、太陽熱、エンジン及び工業排熱など様々な場面から回収することができ、最も一般的なエネルギー源である。また、エネルギー効率の高い低炭素社会を実現するために、熱エネルギーの回収技術の必要性は増大している。
【0003】
熱エネルギーの回収技術としては、ゼーベック効果(又はペルチェ効果)に基づく熱電変換デバイスが、温度差発電、熱センサ及び冷却などの様々な場面で既に活用されている。熱電変換デバイスは、例えば、p型半導体とn型半導体との組み合わせである熱電対を多数直列に接続したモジュール構造を有する。このような熱電変換デバイスは、可動部がないことから騒音及び振動が無く、スケール効果が無く、小さな温度差でも発電でき、様々な機器及び環境に組み込めるという多くの利点を有する。
【0004】
上記のような熱電変換デバイスの一例が、下記の特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の熱電変換デバイスは、応力緩和層と、フレキシブル基材と、熱電変換素子とをこの積層順で備える。上記熱電変換素子は、第1の電極と、有機材料を含む熱電変換層と、第2の電極とをこの積層順で有する。上記応力緩和層は、上記フレキシブル基材の反りを調整する。上記熱電変換層では、例えば、上記有機材料として、導電性高分子と導電性ナノ材料(特に、CNT)とを組み合わせて用いてもよい。
【0005】
また、特許文献1には、熱電変換デバイスの製造工程において、熱電変換材料の組成物が分散媒中に分散された分散液を塗工し、乾燥することにより、熱電変換材料を得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−092557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の分散液を用いて熱電変換材料を得た場合には、得られる熱電変換材料の導電性が十分に高くならないことがある。
【0008】
また、熱電変換材料の組成物を分散液に充分に分散させるため、分散補助剤等が用いられることがある。しかしながら、分散補助剤を用いると、分散補助剤が異物として残留することで、熱電変換材料の導電性が十分に高くならないことがある。
【0009】
本発明の目的は、熱電変換材料の導電性を高くすることができる熱電変換材料分散液を提供することである。また、本発明は、上記熱電変換材料分散液を用いた熱電変換材料の製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の広い局面によれば、カーボンナノチューブと、分散媒とを含み、前記カーボンナノチューブが前記分散媒中に分散されており、前記分散媒は、芳香族炭化水素骨格を有し、かつ前記芳香族炭化水素骨格における芳香環に結合したハロゲン原子を有する、熱電変換材料分散液が提供される。
【0011】
本発明に係る熱電変換材料分散液のある特定の局面では、前記ハロゲン原子が、塩素原子又は臭素原子である。
【0012】
本発明に係る熱電変換材料分散液のある特定の局面では、前記芳香族炭化水素骨格が、ベンゼン環又はナフタレン環である。
【0013】
本発明に係る熱電変換材料分散液のある特定の局面では、前記カーボンナノチューブの含有量が70重量%以上である。
【0014】
本発明の広い局面によれば、上記熱電変換材料分散液を、基材上に塗布する塗布工程と、乾燥を行い、熱電変換材料を得る乾燥工程とを備える、熱電変換材料の製造方法が提供される。
【0015】
本発明に係る熱電変換材料の製造方法のある特定の局面では、前記塗布工程において、前記基材として、前記熱電変換材料分散液中の前記分散媒が通過可能な基材を用い、前記熱電変換材料分散液の塗布時に、前記熱電変換材料分散液に含まれる前記分散媒を、前記基材を通過させ、前記熱電変換材料分散液に含まれる前記カーボンナノチューブを前記基材上に堆積させる。
【0016】
本発明に係る熱電変換材料の製造方法のある特定の局面では、シート状の熱電変換材料を得る。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る熱電変換材料分散液では、カーボンナノチューブが分散媒中に分散されており、上記分散媒が、芳香族炭化水素骨格を有し、かつ上記芳香族炭化水素骨格における芳香環に結合したハロゲン原子を有するため、熱電変換材料の導電性を高くすることができる。
【0018】
本発明に係る熱電変換材料の製造方法では、上記熱電変換材料分散液を用いるため、熱電変換材料の導電性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱電変換材料分散液を用いて得られる熱電変換デバイスの断面図である。
図2図2は、参考例1〜3、実施例4〜9及び比較例1〜5の熱電変換材料の作製に用いた分散媒及びカーボンナノチューブの種類と、熱電変換材料の導電率との関係を示す図である。
図3図3は、参考例1〜3、実施例4〜9及び比較例1〜5の導電率を相対評価した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明に係る熱電変換材料分散液は、カーボンナノチューブと、分散媒とを含む。上記カーボンナノチューブは、上記分散媒中に分散されている。上記分散媒は、芳香族炭化水素骨格を有し、上記芳香族炭化水素骨格における芳香環に結合したハロゲン原子を有する。上記分散媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0022】
本発明者らは、熱電変換材料の導電性を効果的に高めるために検討を行った。本発明者らは、特定の分散媒を用いることで、熱電変換材料の導電性を効果的に高めることを見出した。また、本発明者らは、特定の分散媒を用いることで、熱電変換材料の分散性を適度に高めることができ、結果として、熱電変換材料の均一性を高めることができ、熱電変換材料の導電性を効果的に高めることができることを見出した。本発明では、特定の分散媒を用いているので、分散補助剤を用いなくても、熱電変換材料の分散性を十分に高めることができる。分散補助剤を用いない場合には、分散液中におけるカーボンナノチューブ以外の物質の濃度を低くすることができ、熱電変換材料に導電性を低くする物質が混入することを抑制することができる。但し、本発明では、分散補助剤を用いてもよい。
【0023】
上記分散媒は、芳香族炭化水素骨格を有し、上記芳香族炭化水素骨格における芳香環に結合したハロゲン原子を有するため、有機材料の中でも特にカーボンナノチューブの分散性を高めることができる。
【0024】
上記分散媒における上記ハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子であり、好ましくは塩素原子又は臭素原子である。
【0025】
分散媒を除去し易くし、導電性を効果的に高める観点からは、上記分散媒の沸点は好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下である。過度の揮発を抑える観点からは、上記分散媒の沸点は、好ましくは200℃以上である。また、上記熱電変換材料を、塗布プロセスを用いて製造する場合は、上記分散媒の沸点は150℃以下であることが好ましい。
【0026】
上記分散媒における上記芳香族炭化水素骨格としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環及びピレン環等が挙げられる。
【0027】
分散媒を除去し易くし、導電性を効果的に高める観点からは、上記芳香族炭化水素骨格は、ベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましい。
【0028】
導電性を効果的に高める観点からは、上記熱電変換材料100重量%中において、上記カーボンナノチューブの含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、好ましくは100重量%以下である。
【0029】
本発明に係る熱電変換材料の製造方法は、上記熱電変換材料分散液を、基材上に塗布する塗布工程と、乾燥を行い、熱電変換材料を得る乾燥工程とを備える。
【0030】
本発明に係る熱電変換材料の製造方法では、上記の構成が備えられているので、熱電変換材料の導電性を効果的に高めることができる。
【0031】
上記塗布工程においては、上記基材として、例えば、上記熱電変換材料分散液中の上記分散媒が通過可能な基材を好適に用いることができる。上記基材としては、例えば、メンブレンフィルタ等を用いることができる。上記熱電変換材料分散液の塗布時に、上記熱電変換材料分散液に含まれる上記分散媒を、上記基材を通過させ、上記熱電変換材料分散液に含まれる上記カーボンナノチューブを上記基材上に堆積させ、カーボンナノチューブ堆積物を得ることが好ましい。その後に、上記乾燥工程において、得られたカーボンナノチューブ堆積物を乾燥させ、シート状の熱電変換材料を得ることが好ましい。熱電変換材料は、シート状であることが好ましい。なお、熱電変換材料はシート状以外の形状であってもよい。また、上記熱電変換材料は不織布状であってもよい。
【0032】
上記塗布工程において、上記基材が、電極が設けられた基板であってもよい。上記電極上に熱電変換材料分散液を塗工し、乾燥することにより、電極上に直接熱電変換材料を設けてもよい。
【0033】
上記熱電変換材料分散液又は上記熱電変換材料を用いて、熱電変換デバイスを得ることができる。熱電変換デバイスは、上記熱電変換材料と、上記熱電変換材料の表面上に配置された第1の電極と、上記第1の電極と離れた位置において、上記熱電変換材料の表面上に配置された第2の電極とを備えることが好ましい。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱電変換材料分散液を用いて得られる熱電変換デバイスの断面図である。
【0035】
なお、実施形態において参照する図面は、模式的に記載されており、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。具体的な物体の寸法の比率などは、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0036】
図1に示す熱電変換デバイス10は、シート状の熱電変換材料1と、熱電変換材料1の厚み方向の一方側に配置されている第1の電極2aと、熱電変換材料1の厚み方向の一方側とは反対の他方側に配置されている第2の電極2bとを備える。第2の電極2bは、第1の電極2aと離れている。
【0037】
1つの第1の電極2aと、1つの熱電変換材料1と、1つの第2の電極2bとで、1つの熱電変換素子が構成されている。
【0038】
第1の電極2aの熱電変換材料1側とは反対側には、第1の基板3aが設けられている。第2の電極2bの熱電変換材料1側とは反対側には、第2の基板3bが設けられている。第1,第2の基板3a,3bの材料は、ポリイミドなどの樹脂材料や、適宜のセラミック材料などである。
【0039】
なお、熱電変換デバイスでは、複数の熱電変換材料が積層されて用いられてもよい。熱電変換デバイスは、複数の熱電変換素子を備えていてもよい。
【0040】
図1に示す熱電変換デバイス10では、熱電変換材料1の厚み方向の一方側に、第1の電極2aが配置されており、熱電変換材料1の厚み方向の上記一方側とは反対の他方側に、第2の電極2bが配置されている。なお、第1の電極2a及び第2の電極2bの配置は、上記の配置に限定されず、適宜変更することができる。
【0041】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。
【0042】
参考例1)
熱電変換材料の作製:
参考例1では、o−ジクロロベンゼン(沸点180.5℃)を分散媒として用いた。o−ジクロロベンゼン100mL中に、シングルウォールカーボンナノチューブ(KH社製)25mgを入れ、マグネチックスターラーを用いて撹拌を行った。その後、超音波ホモジナイザー(QSonica社製「Q125」)を用いて、超音波照射により分散処理を行い、熱電変換材料分散液を得た。
【0043】
得られた熱電変換材料分散液を、孔径0.2μmのメンブレンフィルタを用いて減圧濾過し、熱電変換材料組成物の堆積物を得た。得られた熱電変換材料組成物の堆積物を乾燥させることにより、シート状の熱電変換材料を得た。
【0044】
なお、以下において、シングルウォールカーボンナノチューブ(KH社製)をSWCNT1と略称する。
【0045】
参考例2)
SWCNT1をシングルウォールカーボンナノチューブ(OCSiAl社製「TUBALL」)に変更したこと以外は、参考例1と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0046】
なお、以下において、シングルウォールカーボンナノチューブ(OCSiAl社製「TUBALL」)をSWCNT2と略称する。
【0047】
参考例3)
SWCNT1をシングルウォールカーボンナノチューブ(名城ナノカーボン社製「EC2.0」)に変更したこと以外は、参考例1と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0048】
なお、以下において、シングルウォールカーボンナノチューブ(名城ナノカーボン社製「EC2.0」)をSWCNT3と略称する。
【0049】
(実施例4)
分散媒を1−クロロナフタレン(沸点263℃)に変更したこと以外は、参考例1と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0050】
(実施例5)
SWCNT1をSWCNT2に変更したこと以外は、実施例4と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0051】
(実施例6)
SWCNT1をSWCNT3に変更したこと以外は、実施例4と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0052】
(実施例7)
分散媒をブロモベンゼン(沸点156℃)に変更したこと以外は、参考例1と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0053】
(実施例8)
SWCNT1をSWCNT2に変更したこと以外は、実施例7と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0054】
(実施例9)
SWCNT1をSWCNT3に変更したこと以外は、実施例7と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0055】
(比較例1)
分散媒をシクロヘキサノン(沸点155.65℃)に変更したこと以外は、参考例1と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0056】
(比較例2)
SWCNT1をSWCNT2に変更したこと以外は、比較例1と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0057】
(比較例3)
SWCNT1をSWCNT3に変更したこと以外は、比較例1と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0058】
(比較例4)
分散媒をメチルイソブチルケトン(沸点79.64℃)に変更し、SWCNT1をSWCNT2に変更したこと以外は、参考例1と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0059】
(比較例5)
SWCNT2をSWCNT3に変更したこと以外は、比較例4と同様にして熱電変換材料を作製した。
【0060】
参考例1〜3、実施例4〜9及び比較例1〜5において作製した各熱電変換材料の導電率を測定し、導電性を評価した。参考例1〜3、実施例4〜9及び比較例1〜5において、同種のカーボンナノチューブを用いて得られた各熱電変換材料の導電率の内の最大値を「100%(STD)」として、参考例1〜3、実施例4〜9及び比較例1〜5の導電率を相対評価した。測定及び相対評価の結果を表1、図2及び図3に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
図2は、参考例1〜3、実施例4〜9及び比較例1〜5の熱電変換材料の作製に用いた分散媒及びカーボンナノチューブの種類と、熱電変換材料の導電率との関係を示す図である。図3は、参考例1〜3、実施例4〜9及び比較例1〜5の導電率を相対評価した結果を示す図である。
【0063】
表1、図2及び図3に示すように、SWCNT1を用いた参考例1及び実施例4,7のいずれにおいても、SWCNT1を用いた比較例1より導電率が高い。SWCNT2を用いた参考例2及び実施例5,8のいずれにおいても、SWCNT2を用いた比較例2,4よりも導電率が高い。さらに、SWCNT3を用いた参考例3及び実施例6,9のいずれにおいても、SWCNT3を用いた比較例3,5よりも導電率が高い。このように、本発明によれば、熱電変換材料の導電性を高めることができる。
【符号の説明】
【0064】
1…熱電変換材料
2a,2b…第1,第2の電極
3a,3b…第1,第2の基板
10…熱電変換デバイス
図1
図2
図3