(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る送風装置を、実施例の送風装置51により説明する。
【0011】
図1は、送風装置51の右前斜め上方から見た外観斜視図である。内部構造の説明のため、天板1bは一部のみ記載してある。
また、前後左右上下の各方向を、
図1に示された矢印の方向で規定する。これらの方向は、送風装置51の姿勢を限定するものではなく、説明のために便宜的に規定した方向である。
図2及び
図3は、
図1におけるS2−S2位置での断面図である。
【0012】
送風装置51は、底板1a,天板1b,前板1c,後板1d,左側板1e,及び右側板1fなる六つの側壁を有して平行六面体の箱状に組まれた筐体1を有する。各板は、金属や樹脂で形成されている。
筐体1の内部には、回転軸線CL2を前後方向とする姿勢でクロスフローファン2が収容されている。回転軸線CL2は、底板1aと平行に前後方向に延びる仮想軸線として、筐体1の上下左右方向のほぼ中央に設定されている。
クロスフローファン2は、以下、単にファン2と称する。
【0013】
左側板1eは、下部に、ほぼ前後方向全領域にわたり開口した開口部1e1を有する(
図2及び
図3参照)。
右側板1fは、上部に、ほぼ前後方向の全領域にわたり開口した開口部1f1を有する。
【0014】
開口部1e1と開口部1f1とは、前後及び上下の開口寸法が同じとされている。従って、開口面積も同じである。
例えば、開口部1e1は、左側板1eの下半分とされ、開口部1f1は右側板1fの上半分とされる。上下は、クロスフローファン2の回転軸線CL2を含む仮想水平面の基準面Skで二分される。
すなわち、基準面Skは、筐体1を、上半分の空間領域と下半分の空間領域とに二分する。
例えば、底板1aは、一方(下半分)の空間領域に在り、天板1bは、他方(上半分)の空間領域に在る。
【0015】
筐体1は、実質的に、開口部1e1及び開口部1f1においてのみ、外部と内部空間とが連通しており、他の部分は閉じている。
【0016】
前板1cと後板1dとの間には、仕切り板11及び仕切り板12が掛け渡されている。仕切り板11,12は、金属や樹脂で形成される。
仕切り板11,12は、以下、固定ケーシングとも称する。
【0017】
仕切り板11は、前後左右方向に延在する板状部材であって、筐体1内の開口部1e1近傍の空間Veを基準面Skに沿う方向で上下に二分割して空間Ve1,Ve2とする。
仕切り板11の左側の端部11aは、開口部1e1の開口端位置とほぼ一致し、右側の端部11bは、ファン2の回転軸線CL2よりも左側に位置している。
仕切り板11の姿勢は、例えば底板1aにほぼ平行とされる。
【0018】
仕切り板12は、前後左右方向に延在する板状部材であって、筐体1内の開口部1f1近傍の空間Vfを基準面Skに沿う方向で上下に二分割して空間Vf1,Vf2とする。
仕切り板12の右側の端部12aは、開口部1f1の開口端位置とほぼ一致し、左側の端部12bは、ファン2の回転軸線CL2よりも右側に位置している。
仕切り板12の姿勢は、例えば天板1bにほぼ平行とされる。
【0019】
ファン2は、前方側は、前板1cに対し軸受け3によって回転軸線CL2まわりに回転自在に支持され、後方側は、後板1dに固定されたモータM1の出力軸に連結されている。
【0020】
ファン2は、いわゆるクロスフローファンとして、径方向の縁部側において前後方向に細長く延びる羽根部2aを、周方向に離隔して全周に亘るよう複数枚有している。
羽根部2aは、横断面形状において、内径側から外径側に向かうに従い、周方向位置が、
図2における時計回り方向にずれて外凸となる湾曲形状に形成されている。
【0021】
ファン2は、モータM1により、
図2における時計回り方向(矢印DR1)に回転する。すなわち、羽根部2aの大径側端部が先頭となる方向に回転する。
モータM1の動作は、例えば外部に配置された制御装置(図示せず)によって制御される。
【0022】
送風装置51は、ファン2を挟んで左方及び右方に、それぞれ可動ケーシング4及び可動ケーシング5を有している。
可動ケーシング4,5は、横断面形状を一定として前後方向に延びるフラップ状部材であり、金属や樹脂で形成されている。
【0023】
可動ケーシング4は、ファン2の左方側において、回動軸線CL4のまわりに回動可能に配設されている。ここで、回動軸線CL4は、基準面Sk(
図2参照)よりもわずかに上方に位置して前後方向に設定されている。
また、基準面Skは、既述のように、回転軸線CL2を含み底板1a及び天板1bと平行な面(左右前後に延在する面)として仮想設定しておく。
【0024】
可動ケーシング5は、ファン2の右方側において、回動軸線CL5のまわりに回動可能に配設されている。ここで、回動軸線CL5は、基準面Skよりもわずかに下方に位置して前後方向に設定されている。
【0025】
すなわち、回動軸線CL4と回動軸線CL5とは、回転軸線CL2に対し平行、かつ回転軸線CL2から等距離で、回転軸線CL2のまわりに180°ずれて設定されている。
【0026】
可動ケーシング4と可動ケーシング5とは、同じ部材である。
可動ケーシング4の形状は次の通りであり、可動ケーシング5も同じ形状である。
【0027】
すなわち、可動ケーシング4は、湾曲部4a,軸部4b,首部4b1,舌部4c,及びフランジ部4dを有する。
【0028】
湾曲部4aは、湾曲した横断面形状で前後方向に延在形成されており、回転軸線CL2とは反対側(外方)に凸となる外凸姿勢で配設されている。
軸部4bは、湾曲部4aの一方の端部側から外方に延出した首部4b1により連結し、湾曲部4aに対し、回転軸線CL2から離れる方向にずれた位置で前後方向に延びる軸として設けられている。
舌部4cは、湾曲部4aの一方の端部に接続し前後方向に延びる平板状に形成されている。
フランジ部4dは、舌部4cの先端から外方にほぼ直角に折れ曲がった平板状の部分として形成されている。
【0029】
可動ケーシング4の軸部4bは、左側板1eにおいて底板1aと平行に取り付けられた支持板部6によって、回動軸線CL4のまわりに回動自在に支持されている。従って、可動ケーシング4は、湾曲部4aが基準面Skよりも上方に位置している。
【0030】
可動ケーシング5も、可動ケーシング4と同様に、湾曲部5a,軸部5b,首部5b1,舌部5c,及びフランジ部5dを有する。
【0031】
可動ケーシング5の軸部5bは、右側板1fにおいて天板1bと平行に取り付けられた支持板部7によって、回動軸線CL5のまわりに回動自在に支持されている。可動ケーシング5は、湾曲部5aが基準面Skよりも下方に位置している。
【0032】
次に、可動ケーシング4,5の回動態様について説明する。
可動ケーシング4,5は、
図2に示される第1の回動位置と、
図3に示される第2の回動位置と、の間を回動する。
【0033】
第1の回動位置において、可動ケーシング4は、回動軸線CL4を中心とした
図2における時計回り方向(DR2)の回動端となる位置にある。
また、可動ケーシング5は、回動軸線CL5を中心とした
図2における反時計回り方向(DR3)の回動端となる位置にある。
【0034】
第2の回動位置において、可動ケーシング4は、回動軸線CL4を中心とした
図3におけると反時計回り方向(DR4)の回動端となる位置にある。
また、可動ケーシング5は、回動軸線CL5を中心とした
図3における時計回り方向(DR5)の回動端となる位置にある。
【0035】
可動ケーシング4と可動ケーシング5とは、リンク機構LK(
図1参照)によって、回動方向が互いに反対となるように連動回動する。リンク機構LKの詳細は後述し、先に、第1の回動位置(
図2)及び第2の回動位置(
図3)の詳細を説明する。
【0036】
図2に示される可動ケーシング4の第1の回動位置で、湾曲部4aの先端部4a1は、仕切り板12の左側の端部12bに対し微小隙間で対向し、仕切り板12と実質的に連続した壁W14を形成している。壁W14は、その内側空間の空気の流れを案内する案内壁である。
湾曲部4aは、根本端部4a2がファン2に最も接近しており、先端部4a1に向かうに従って、ファン2から徐々に離隔している。
【0037】
湾曲部4aの根本端部4a2は、上下方向において基準面Skとほぼ同じ位置にある。
舌部4cは、根本端部4a2から、左下方に傾斜して平板状に延びている。
フランジ部4dは、舌部4cの先端から左上方に傾斜して平板状に延びている。
これらの傾斜角度は、基準面Skに対し約45°である。
【0038】
図2に示される可動ケーシング5の第1の回動位置において、湾曲部5aの先端部5a1は、回動軸線CL5のほぼ真下の底板1aに近接した位置にあり、底板1aと実質的に連続した壁W15を形成している。壁W15は、その内側空間の空気の流れを案内する案内壁である。
舌部5cは、上下方向に起立した姿勢で基準面Skを跨ぐ位置にある。
フランジ部5dは、舌部5cの先端から右方に基準面Skと平行に延びている。
【0039】
図3に示される可動ケーシング4の第2の回動位置で、湾曲部4aの先端部4a1は、回動軸線CL4のほぼ真上の天板1bに近接した位置にあり、天板1bと実質的に連続した壁W24を形成している。壁W24は、その内側空間の空気の流れを案内する案内壁である。
舌部4cは、上下方向に起立した姿勢で基準面Skを跨ぐ位置にある。
フランジ部4dは、舌部4cの先端から左方に基準面Skと平行に延びている。
【0040】
図3に示される可動ケーシング5の第2の回動位置で、湾曲部5aの先端部5a1は、仕切り板11の右側の端部11bに対し微小隙間で対向し、仕切り板11と実質的に連続した壁W25を形成している。壁W25は、その内側空間の空気の流れを案内する案内壁である。
湾曲部5aは、根本端部5a2がファン2に最も接近しており、先端部5a1に向かうに従って、ファン2から徐々に離隔している。
【0041】
湾曲部5aの根本端部5a2は、上下方向において基準面Skとほぼ同じ位置にある。
舌部5cは、根本端部5a2から、右上方に傾斜して平板状に延びている。
フランジ部5dは、舌部5cの先端から右上方に傾斜して平板状に延びている。
これらの傾斜角度は、基準面Skに対し約45°である。
【0042】
可動ケーシング4と可動ケーシング5とは、
図1に示されるように、前板1cの外側に配設されたリンク機構LKによって、第1の回動位置と第2の回動位置との間で同期回動する。
【0043】
図1において、リンク機構LKは、軸プレート34,35と、連結プレート31と、モータM2と、を含んで構成されている。
【0044】
軸プレート34は、可動ケーシング4の軸部4bに固定され上下の一方向(下方)に向かって延びる部材であって、可動ケーシング4と一体に回動する。
軸プレート35は、可動ケーシング5の軸部5bに固定され上下の他方向(上方)に向かって部材であって、可動ケーシング5と一体に回動する。
連結プレート31は、軸プレート34の先端部と軸プレート35の先端部とをそれぞれ回動可能に連結している。
モータM2は、軸部4b及び軸部5bの一方(この例では軸部5b)を、所定の角度範囲で回動させる。モータM2の動作は制御装置によって制御される。
【0045】
このように、連結プレート31によって連結された軸プレート34及び軸プレート35が、軸部4b,5bに対しそれぞれ上下方向の逆向きに延びる姿勢で固定され、それぞれの先端が連結プレート31に対し回動自在に連結されている。これにより、軸部4b及び軸部5b、すなわち、可動ケーシング4及び可動ケーシング5は、モータM2によって一方の回動方向と他方の回動方向との逆の回動方向で、第1の回動位置と第2の回動位置との間を連動回動する。
【0046】
以上、詳述した構成の送風装置51は、ファン2を
図2における時計回り方向(矢印DR1)に回転させた状態で、可動ケーシング4,5を第1の回動位置にしたときに、上向きの貫流が生じて、
図2に白ヌキ矢印で示された流れ方向で送風を行うようになっている。
また、送風装置51は、可動ケーシング4,5を第2の回動位置にしたときに、下向きの貫流が生じて、
図3に白ヌキ矢印で示された、第1の回動位置の場合とは逆方向の流れ方向で送風を行うようになっている。
【0047】
図2に示される第1の回動位置では、可動ケーシング4の舌部4cの先端側がファン2から大きく離隔し、可動ケーシング5の舌部5cが基準面Skを上下に跨いでファン2に接近した状態となる。
これにより、舌部4c側の空間の気体としての空気がファン2に向かうよう誘導されて、ファン2に対し下方側の空気がファン2に吸い込まれ上方側へ抜ける貫流が生じる。
【0048】
また、外部の空気は、開口部1e1から仕切り板11の上下両側の空間Ve1,Ve2を通って筐体1内に流入する。
空間Ve1を通った空気は、主としてファン2の左側から進入して上方へ送り出される。
一方、空間Ve2を通った空気は、壁W15に案内されながらも、舌部5cによりファン2の内部右側に形成される偏心渦のため左側からの空気と合流しながらファン2に進入して上方へ送り出される。
【0049】
ファン2を通り上方へ送出された空気は、壁W14が形成されていることから空間Vf2には流入せず、壁W14と、舌部5c及びフランジ部5dと、に誘導された空間Vf1のみを通過して開口部1f1から筐体1の外へ送出される。
【0050】
図3に示される第2の回動位置では、可動ケーシング5の舌部5cの先端側がファン2から大きく離隔し、可動ケーシング4の舌部4cが基準面Skを上下に跨いでファン2に接近した状態となる。
これにより、舌部5c側の空間の空気がファン2に向かうように誘導されて、ファン2に対し上方側の空気がファン2に吸い込まれ下方側へ抜ける貫流が生じる。
【0051】
また、外部の空気は、開口部1f1から仕切り板12の上下両側の空間Vf1,Vf2を通って筐体1内に流入する。
空間Vf1を通った空気は、主としてファン2の右側から進入して下方へ送り出される。
一方、空間Vf2を通った空気は、壁W24に案内されながらも、舌部4cによりファン2の内部左側に形成される偏心渦のため右側からの空気と合流しながらファン2に進入して下方へ送り出される。
【0052】
ファン2を通り下方へ送出された空気は、壁W25が形成されていることから、空間Ve2には流入せず、壁W25と、舌部4c及びフランジ部4dと、空間Ve1のみを通過して開口部1e1から筐体1の外へ送出される。
【0053】
送風装置51は、可動ケーシング4,5の第1の回動位置と第2の回動位置とで、ファン2に対する可動ケーシング4,5の形状と位置が、回転軸線CL2まわりの180°線対称となっている。
また、固定ケーシングである仕切り板11,12の形状と位置も、回転軸線CL2まわりの180°線対称(2回対称)となっている。
【0054】
これにより、第1の回動位置と第2の回動位置とにおいて流れる空気流の流路面積及び流路形状も、流れ方向は反対であるが、回転軸線CL2まわりの2回対称となる。すなわち、送風装置51は、開口部1e1,1f1を通過する空気の流れ方向を反転可能であって、風向反転しても同じ送風特性が得られる。
【0055】
送風装置51は、固定ケーシングである仕切り板11,12を備えてなくてもよいが、備えることで送風特性が向上する。これについて、
図6を参照して説明する。
【0056】
図6は、送風装置51の送風特性として風量と静圧との関係を示したグラフである。横軸は、筐体1の開口部1e1,1f1のうちの出口側となった開口部での風量であり、縦軸は、開口部1e1と開口部1f1とでの圧力差(静圧)である。グラフの特性は、実測データに基づいており、流れの方向が反転しても送風特性がほぼ一致することを確認している。
【0057】
図6のグラフにおいて、送風装置51が、固定ケーシングである仕切り板11,12を両方備えていない場合の特性が破線で示されている。
また、送風装置51が、仕切り板11,12を両方備えてファン2に対する空気の入口側(上流側)と出口側(下流側)のいずれの側にも固定ケーシングが配置される場合の特性が実線で示されている。
また、送風装置51が、ファン2に対する入口側(上流側)のみ、及び出口側(下流側)のみに固定ケーシングを備える場合の特性が、それぞれ一点鎖線及び二点鎖線で示されている。
【0058】
図6から明らかなように、仕切り板11,12の両方を備えた場合(実線)、両方とも備えない場合(破線)と比較して、いずれの風量においても高い静圧が得られ、良好な送風特性が発揮される。
【0059】
また、ファン2に対する空気の入口側のみに固定ケーシングが配置された場合(一点鎖線)も、出口側のみに固定ケーシングが配置された場合(二点鎖線)も、いずれも両方とも備えない場合と比較して、いずれの風量においても高い静圧が得られている。
また、固定ケーシングを一方に配置する場合は、入口側よりも出口側に備えることで、広い風量範囲で高い静圧が得られ送風特性が向上することがわかる。
【0060】
これらにより、送風装置51としては、ファン2に対する空気の入口側(上流側)及び出口側(下流側)の少なくとも一方に固定ケーシングを配置することが、静圧が高く得られて送風特性が向上するので好ましい。
【0061】
また、送風装置51は風向反転が可能であるから、入口側及び出口側の一方の側にのみ固定ケーシングを配置する場合は、主たる流れ方向における下流側に固定ケーシングを配置することが望まれる。
【0062】
送風装置51は、内外の空気の出入り口となる開口部1e1と開口部1f1とを、それぞれ対向側面である左側面と右側面とに配置し、筐体1内の空気の流れを、壁W14,W15,W24,W25によって対向側面から出入りするように誘導している。
そのため、筐体1に出入りする空気の流れ方向が一方向(左右方向など)に揃い、送風装置51の設置に必要な空間がコンパクトになる。
【0063】
これにより、例えば
図7(a)に示されるように、既設の直状のダクト91に、強制送風すべく送風装置51を設置する場合、
図7(b)に示されるように、直状のダクト91をダクト91Aとダクト91Bとに分割し、両者の間に、送風装置51をダクト91としての直線性を維持したまま挿入設置することができる。
また、新たに送風装置51とダクト91A,91Bとを設置する場合も、直線性を維持し、横断面積が小さい省スペースで設置できる。
そのため、送風装置51の施工は容易である。
【0064】
送風装置51において、仕切り板11と仕切り板12とを、底板1a及び天板1bと平行、又は平行に近い姿勢で配置することにより、筐体1に出入りする空気の流れ方向を底板1a及び天板1bに平行な一方向に良好に揃えられる。
これにより、筐体1とダクトとの間の空気の流れがより低抵抗になる。
そのため、送風装置51は、筐体1にダクトを接続した場合も、風向によらず、損失の少ない良好な送風特性が得られる。
【0065】
また、送風装置51は、仕切り板11,12を備えることで、ファン2に流入する空気の量が周方向で平均化されており、送風特性が向上している。
【0066】
具体的には、例えば、可動ケーシング4,5が
図2に示される第1の回動位置にあって仕切り板11が空気の取り込み側となった場合、仕切り板11の上方側の空間Ve1から筐体1内に流入した空気は、ファン2の手前側(左方)に誘導される。一方、仕切り板11の下方側の空間Ve2から筐体1内に流入した空気は、仕切り板11によってファン2の奥の方(右方)へ誘導される。
このように、ファン2に流入する空気の量が、ファン2の周方向で偏りにくく平均化される。
特に、開口部1e1,1f1の
図2における上下方向の幅(開口高さ)が大きい場合、空気を筐体1の奥側にも良好に誘導でき、乱流の発生を抑制して送風特性が向上する。
【0067】
実施例の送風装置51は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0068】
可動ケーシング4及び可動ケーシング5、支持板部6及び支持板部7、並びに、仕切り板11及び仕切り板12のいずれかは、孔や切り込みのない板状でなくてもよい。実質的に空気の流れを規制又は誘導する機能を発揮すれば、一部に開口や切り込みを有していてもよい。
【0069】
送風装置51は、固定ケーシングである仕切り板11,12を入口側と出口側とに一枚ずつ備えたものとして説明したが、少なくとも一方側を複数枚にしてもよい。
仕切り板を複数枚備えた変形例として、仕切り板を二枚ずつ備えた送風装置52を、
図4及び
図5を参照して説明する。送風装置51は、送風装置51に対し、仕切り板のみ異なるので、仕切り板以外の部材の符号は共通とする。
【0070】
図4は、送風装置52における可動ケーシング4,5の第1の回動位置を示す図であり、
図2と比較可能な図である。
図5は、可動ケーシング4,5の第2の回動位置を示す図であり、
図3と比較可能な図である。
【0071】
送風装置52は、仕切り板11の替わりに上下方向に離隔配置された二枚の仕切り板11A,11Bと、仕切り板12の替わりに上下方向に離隔配置された二枚の仕切り板12A,12Bと、を有する。
仕切り板11A,11Bにより、開口部1e1近傍の内部空間は、上下方向に空間Ve1A〜Ve1Cの三つの空間に分割される。
仕切り板12A,12Bにより、開口部1f1近傍の内部空間は、上下方向に空間Vf1A〜Vf1Cの三つの空間に分割される。
【0072】
仕切り板11A及び仕切り板11B、並びに、仕切り板12A及び仕切り板12Bは、底板1a及び天板1bと平行に形成される。
【0073】
図4に示される、可動ケーシング4の第1の回動位置において、可動ケーシング4は、仕切り板12A,12Bの内の、ファン2に近い方の仕切り板12Aの左端部12Abに近接対向して実質的に連続した壁W34を形成する。
一方、
図5に示される、可動ケーシング5の第2の回動位置において、可動ケーシング5は、仕切り板11A,11Bの内の、ファン2に近い方の仕切り板11Aの右端部11Abに近接対向して実質的に連続した壁W45を形成する。
【0074】
開口部1e1,1f1の上下方向の幅(開口高さ)を大きくできる場合は、ファン2の下流側又は上流側に複数の仕切り板を備えて空間Ve又は空間Vfを出入りする空気の流路を複数形成する送風装置52にしてもよい。
送風装置52は、開口部1e1,1f1の開口高さが大きくても、仕切り板11A,11B及び仕切り板12A,12Bによる流路分割によって、開口部1e1,1f1から出入りする空気の流れが安定しスムースになるので、送風特性が向上した状態で維持される。
【0075】
送風装置51及び送風装置52は、可動ケーシング4,5の回動を、モータM2ではなく手動で行えるように構成してもよい。
【0076】
送風装置51及び送風装置52は、気体を筐体1の一方側から吸い込み対向する他方側から送出する装置であって、送出する気体は空気に限定されず、他の気体雰囲気内でも動作可能である。