特許第6674406号(P6674406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674406
(24)【登録日】2020年3月10日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20200323BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20200323BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20200323BHJP
   H01L 27/11575 20170101ALI20200323BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20200323BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20200323BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   H01L21/90 B
   H01L27/11582
   H01L27/11575
   H01L29/78 371
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-57984(P2017-57984)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-160608(P2018-160608A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩一
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−035343(JP,A)
【文献】 特開平06−177259(JP,A)
【文献】 特開2015−138941(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0062469(US,A1)
【文献】 特開平11−287687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
H01L 21/336
H01L 23/522
H01L 27/11575
H01L 27/11582
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、それぞれ離れて積層された複数の電極膜を有し、端部の形状が前記複数の電極膜のそれぞれにテラスが形成された階段状である積層体と、
前記端部上に設けられた第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に設けられ、前記端部に沿って位置し、少なくとも一部が傾斜して延びている第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に設けられた第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜上に設けられ、前記端部に沿って傾斜して延びている第4絶縁膜と、
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜内を前記複数の電極膜の積層方向に延び、前記複数の電極膜のテラス上に位置する複数のコンタクトと、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第2絶縁膜は、前記端部に対して並行して位置する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2絶縁膜の傾斜方向は、前記基板の上面に沿った第1方向、及び、前記積層方向に対して傾斜した方向である請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁膜は、前記端部を覆っており、
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜の一部上に位置する請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜と異なる材料を含み、
前記第1絶縁膜は、シリコン酸化物を含み、
前記第2絶縁膜は、シリコン窒化物を含む請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元構造の半導体記憶装置は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、周辺回路と、を集積化した構造を有する。メモリセルアレイには、電極膜を複数積層した積層体が設けられ、積層体にメモリホールが形成される。積層体の端部は、階段状に加工され、コンタクトを介して各電極膜が積層体の外へと引き出される。このような階段状の端部では、電極膜の積層数の増加に伴って、浅穴側でコンタクトが突き抜けることで信頼性不良が発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−192646号公報
【特許文献2】特開2015−230909号公報
【特許文献3】特開平7−135183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、積層体の階段状の部分に、突き抜けが発生なく信頼性高くコンタクトを形成可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、基板と、積層体と、第1絶縁膜と、第2絶縁膜と、第3絶縁膜と、第4絶縁膜と、複数のコンタクトと、を備える半導体装置が提供される。前記積層体は、前記基板上に設けられ、それぞれ離れて積層された複数の電極膜を有する。前記積層体の端部の形状は、前記複数の電極膜のそれぞれにテラスが形成された階段状である。前記第1絶縁膜は、前記端部上に設けられる。前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜上に設けられ、前記端部に沿って位置する。前記第2絶縁膜の少なくとも一部が傾斜して延びている。前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜上に設けられる。前記第4絶縁膜は、前記第3絶縁膜上に設けられ、前記端部に沿って傾斜して延びている。前記複数のコンタクトは、前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜内を前記複数の電極膜の積層方向に延び、前記複数の電極膜のテラス上に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図3】第1実施形態に係る第1変形例の半導体装置を示す断面図である。
図4】第1実施形態に係る第2変形例の半導体装置を示す断面図である。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図11】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図12】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
一例として、半導体装置が3次元構造の半導体記憶装置である場合について説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、半導体装置1を示す断面図である。
図1に示すように、半導体装置1には、基板10が設けられている。基板10は、半導体基板であって、単結晶シリコン等のシリコン(Si)を含む。
なお、本明細書において、基板10の上面10aに対して平行な方向であって、相互に直交する2方向をX方向及びY方向とする。X方向及びY方向の双方に対して直交する方向をZ方向とする。
【0009】
半導体装置1には、メモリセル領域Rmと、階段領域Rcと、が設けられている。図1の例では、メモリセル領域Rm及び階段領域Rcは、X方向において隣り合うように配置されている。
【0010】
メモリセル領域Rmには、積層体15と、複数の柱状部CLと、が設けられている。積層体15は、基板10上に設けられ、複数の電極膜40と、複数の絶縁膜41と、を有する。積層体15の積層方向がZ方向に相当する。
【0011】
例えば、複数の電極膜40の内、最下層の電極膜40は、ソース側選択ゲートであって、最上層の電極膜40は、ドレイン側選択ゲートである。例えば、複数の電極膜40の内、最下層の電極膜40(ソース側選択ゲート)及び最上層の電極膜40(ドレイン側選択ゲート)の間に設けられた電極膜40は、ワード線である。積層体15の複数の電極膜40の内、最上層及び最下層の電極膜40は、配線に接続されていないダミーでも良い。電極膜40は、導電材料を含む。電極膜40は、例えば、タングステン(W)等の金属を含む。
【0012】
絶縁膜41は、電極膜40の間に設けられている。絶縁膜41は、例えば、シリコン酸化物(SiO)を含む。積層体15上には、絶縁膜42及び絶縁膜43がZ方向に順に設けられている。絶縁膜42、43は、例えば、シリコン酸化物を含む。
【0013】
柱状部CLは、積層体15内に複数設けられている。柱状部CLは、積層体15及び絶縁膜42内をZ方向に延びている。柱状部CLは、コア部25と、チャネル20と、メモリ膜24と、を有する。
【0014】
コア部25は、例えば、シリコン酸化物を含む。コア部25の形状は、例えば、円柱状である。コア部25の上端には、シリコン等によって形成されたコンタクトプラグ26が設けられている。コンタクトプラグ26は、周囲をチャネル20によって囲まれており、その上端はコンタクト30に接続されている。
【0015】
チャネル20は、コア部25の周囲に設けられている。チャネル20は、半導体部であって、例えば、シリコンを含む。チャネル20は、例えば、アモルファスシリコンを結晶化させたポリシリコンを含む。チャネル20の形状は、例えば、底を有する筒状である。
【0016】
メモリ膜24は、チャネル20の周囲に設けられている。メモリ膜24は、トンネル絶縁膜21、電荷蓄積膜22及びブロック絶縁膜23を有する。
トンネル絶縁膜21は、チャネル20の周囲に設けられている。トンネル絶縁膜21は、例えば、シリコン酸化物を含む。
電荷蓄積膜22は、トンネル絶縁膜21の周囲に設けられている。電荷蓄積膜22は、例えば、シリコン窒化物(SiN)を含む。チャネル20と電極膜40(ワード線)との交差部分に、電荷蓄積膜22を含むメモリセルが形成される。
ブロック絶縁膜23は、電荷蓄積膜22の周囲に設けられている。例えば、ブロック絶縁膜23は、シリコン酸化物を含むシリコン酸化膜、アルミニウム酸化物(AlO)を含むアルミニウム酸化膜、または、これらの積層膜である。
【0017】
柱状部CLの上方には、Y方向に延びる複数のビット線BLが設けられている。柱状部CLの上端は、コンタクト30を介して、ビット線BLの1つに接続されている。コンタクト30は、絶縁膜43内を延びており、金属等の導電材料を含む。
【0018】
階段領域Rcには、絶縁膜44と、絶縁膜50と、絶縁膜45と、コンタクト60が設けられている。階段領域Rcにおいて、積層体15の端部15tの形状は、電極膜40にテラスTが形成された階段状である。ここで、階段状の構造とは、水平面(テラス)及び垂直面(ステップ)が交互に配置された構造をいう。
【0019】
絶縁膜44は、階段状の端部15t上に設けられている。例えば、絶縁膜44は端部15tを覆う。絶縁膜44は、例えば、シリコン酸化物を含む。絶縁膜44は、例えば、TEOS(tetraethoxysilane)を含む。例えば、絶縁膜42上に位置する絶縁膜44のZ方向の厚さW1は、300ナノメートル程度である。
【0020】
絶縁膜50は、絶縁膜44上に設けられている。例えば、図1に示すように、絶縁膜50の上面50a及び下面50bは、絶縁膜44の上面44aに対して概ね平行になるように位置する。例えば、絶縁膜44の上面44aは、出来る限り凹凸を小さく(滑らかに)形成されても良く、この場合、絶縁膜50の下面50bにも凹凸が形成される。
【0021】
絶縁膜50は、一部が傾斜して延びるように階段状の端部15tに沿って位置する。絶縁膜50の傾斜方向は、基板10の上面10aに沿った方向(図1の例ではX方向)、及び、積層体15の積層方向(図1の例ではZ方向)に対して所定の角度傾斜した方向である。絶縁膜50は、端部15tに対して並行して位置する。
絶縁膜50は、絶縁膜44と異なる材料、例えば、シリコン窒化物を含む。例えば、絶縁膜50の厚さW2は、50ナノメートル以上100ナノメートル以下である。
【0022】
絶縁膜45は、絶縁膜50上に設けられている。絶縁膜45は、絶縁膜50と異なる材料、例えば、シリコン酸化物を含む。絶縁膜45は、例えば、TEOSを含む。
【0023】
コンタクト60は、階段状の端部15tにおいて、電極膜40のテラスT上に位置してZ方向に延びている。コンタクト60は、絶縁膜45、50、44、41を貫通している。なお、図1に示す例では、最上層の電極膜40のテラスT上には、コンタクト60が位置していない。
【0024】
コンタクト60において、その下端は電極膜40に接続され、その上端は、X方向に延びる上層配線(図示せず)に接続される。各電極膜40は引き出されて、コンタクト60及び上層配線を介して、後述する回路部70に接続される。コンタクト60は、例えば、タングステン等の導電材料を含む。コンタクト60の形状は、例えば、円柱状や多角柱状である。なお、コンタクト60の数、及び、テラスTに対するコンタクト60の位置は、任意である。
【0025】
次に、絶縁膜50の形成位置についてさらに説明する。
図2図4は、半導体装置1を示す断面図である。図2図4は、図1に示された領域をX方向片側(−X方向)に広げた領域を示しており、絶縁膜50が形成される位置の例を示している。
図2に示すように、半導体装置1には、周辺領域Rpがさらに設けられている。図2の例では、周辺領域Rpは、X方向において階段領域Rcに隣り合うように位置する。つまり、図1及び図2に示すように、周辺領域Rp、階段領域Rc及びメモリセル領域Rmは、X方向に向かって順に配置されている。
【0026】
周辺領域Rpには、回路部70及び絶縁膜71が設けられている。回路部70は、基板10上に設けられ、複数のトランジスタによって構成されている。トランジスタは、例えば、チャネル領域、ソース領域、ドレイン領域、ゲート絶縁膜及びゲート電極を有する。例えば、チャネル領域、ソース領域及びドレイン領域は、Y方向及びZ方向に延びるSTI(Shallow Trench Isolation)によって、基板10内の領域(N-well領域及びP-well領域)と分断される。
【0027】
絶縁膜71内には、回路部70の一部が位置する。絶縁膜71は、例えば、シリコン酸化物を含む。絶縁膜71は、例えば、TEOSを含む。
回路部70及び絶縁膜71上には、絶縁膜44が位置している。
【0028】
前述したように、絶縁膜50は、階段領域Rcにおいて、絶縁膜44上に設けられ、一部が傾斜して延びるように階段状の端部15tに沿って位置する。また、図2に示すように、絶縁膜50は、周辺領域Rpにおいて、絶縁膜44上に位置している。なお、周辺領域Rpにおいて、絶縁膜50上には、絶縁膜45が位置している。
【0029】
図2に示すように、絶縁膜50は、階段領域Rc及び周辺領域Rpにおいて、絶縁膜44上に位置しているが、絶縁膜50の形成位置はこれに限定するものではない。
例えば、図3に示すように、絶縁膜50は、階段領域Rcにおいて、絶縁膜44の一部上に位置するように、周辺領域Rpにおいては形成されなくても良い。つまり、絶縁膜50は、階段状の端部15tの下部に相当する階段領域Rcの一部と、周辺領域Rpとには形成されない。
【0030】
階段状の端部15tの下部に形成されるコンタクト60と比較して、階段状の端部15tの上部に形成されるコンタクト60のZ方向の幅は小さい。したがって、端部15tの上部でのコンタクトホールCHの形成時(図9参照)に、電極膜40のテラスT上に形成するコンタクトホールCHが、電極膜40と、その直下の絶縁膜41とを突き抜け易い。したがって、端部15tの上部に絶縁膜50を形成すると、コンタクトホールCHの突き抜けを部分的に抑制できる。なお、絶縁膜44、45と、絶縁膜50との間のエッチング選択比は、階段状の端部15tの下部に形成されるコンタクトホールCHが電極膜40のテラスTに到達するまでには、階段状の端部15tの上部に形成されるコンタクトホールCHが絶縁膜50を突き抜けている程度の選択比であることが望ましい。
【0031】
また、図4に示すように、絶縁膜50は、階段領域Rcにおいて、絶縁膜45内に絶縁膜50をさらに設けても良い。この場合、絶縁膜50Aが、階段領域Rc及び周辺領域Rpにおいて、絶縁膜44上に位置し、絶縁膜50Bが、階段領域Rcにおいて、絶縁膜45内に位置する。例えば、階段領域Rcにおいて、絶縁膜50Bは、絶縁膜50Aの一部と重なるように階段状の端部15tに沿って位置する。なお、図4のような絶縁膜50の形成位置は、絶縁膜44、45に対して絶縁膜50のエッチング選択比が大きくない場合に適用されることが望ましい。
【0032】
メモリセル領域Rmにおいては、多数のメモリセルが、X方向、Y方向及びZ方向に沿って三次元マトリクス状に配列されており、各メモリセルにデータを記憶することができる。一方、階段領域Rc及び周辺領域Rpにおいては、メモリセル領域Rmから各電極膜40を引き出し、コンタクト60及び上層配線を介して回路部70に接続する。
【0033】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図5図6(a)、図6(b)、図7図12は、半導体装置1の製造方法を示す断面図である。
図5及び図7図12に示された領域は、図2に示された領域に相当する。図6(a)及び図6(b)は、図5に示す工程の一部を説明する図である。図10及び図11は、図9に示す工程の一部を説明する図である。なお、以下において、階段領域Rc及び周辺領域Rpの製造工程について説明する。
【0034】
先ず、図5に示すように、周辺領域Rpにおいて、基板10上に回路部70及び絶縁膜71を形成する。回路部70及び絶縁膜71は、周知の方法により形成される。続いて、階段領域Rc及び周辺領域Rpにおいて、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、基板10上に、絶縁膜41及び犠牲膜80をZ方向に沿って交互に積層させて、積層体15aを形成する。絶縁膜41は、例えば、シリコン酸化物により形成される。犠牲膜80は絶縁膜41との間でエッチング選択比がとれる材料により形成し、例えば、シリコン窒化物により形成される。その後、積層体15a上に絶縁膜42を形成する。なお、積層体15a及び絶縁膜42は、メモリセル領域Rmにも形成される。
【0035】
続いて、階段領域Rcにおいて、基板10上に形成された積層体15aを階段状に加工する。このような階段状の部分は、積層体15aのエッチング量を制御するために積層体15a上のレジスト膜をエッチングした後、積層体15aを下方向にエッチングする工程を繰り返すことで形成される。これにより、基板10上に形成された積層体15aの端部15tが階段状に加工され、犠牲膜80毎にテラスが形成される。
【0036】
続いて、階段領域Rc及び周辺領域Rpにおいて、例えばCVD法により、積層体15aの端部15t、回路部70及び絶縁膜71上に、絶縁膜44を形成する。絶縁膜44は、例えば、TEOSにより形成される。絶縁膜44は、例えば、BPSG(Boro-phospho silicate glass)により形成されても良い。例えば、絶縁膜44の厚さW1は、300ナノメートル程度である。
【0037】
図6(a)に示すように、絶縁膜44をTEOSにより形成する場合、積層体15aの端部15tを覆うようにTEOSが成膜された後、ウェットエッチング等のエッチング処理を施すことで、絶縁膜44の上面44aの段差を低減できる。
【0038】
図6(b)に示すように、絶縁膜44をBPSGにより形成する場合、積層体15aの端部15tを覆うようにBPSGが成膜された後、リフロー処理を施すことで、絶縁膜44の上面44aの段差を低減できる。
【0039】
続いて、階段領域Rc及び周辺領域Rpにおいて、例えばCVD法により、絶縁膜44上に、絶縁膜50を形成する。絶縁膜50は、例えば、シリコン窒化物により形成する。階段領域Rcにおいて、絶縁膜50は、一部が傾斜して延びるように階段状の端部15tに沿って位置する。例えば、絶縁膜50の厚さW2は、50ナノメートル以上100ナノメートル以下である。
【0040】
次に、図7に示すように、階段領域Rc及び周辺領域Rpにおいて、例えばCVD法により、絶縁膜50のZ方向の最も厚い位置よりもさらに厚く絶縁膜45を形成する。絶縁膜45は、例えば、TEOSにより形成される。
次に、図8に示すように、階段領域Rcにおいて、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、絶縁膜45の一部を除去して上面を平坦化する。
【0041】
なお、メモリセル領域Rmにおいては、積層体15aに複数のメモリホールが形成された後、メモリホール内に、トンネル絶縁膜21、電荷蓄積膜22及びブロック絶縁膜23を有するメモリ膜24と、チャネル20と、コア部25と、が形成される。これにより、柱状部CLが形成される。
また、メモリセル領域Rm及び階段領域Rcにおいては、積層体15aにX方向及びZ方向に延びる複数のスリットが形成され、スリットを介してウェットエッチング等のエッチング処理を施すことにより、犠牲膜80を除去する。犠牲膜80を除去することで空洞が形成され、スリットを介してタングステン等の金属を堆積させて空洞内を埋め込むことで電極膜40を形成する。これにより、絶縁膜41及び電極膜40が交互に積層された積層体15が形成される。
なお、犠牲膜80の除去において、絶縁膜50は除去されない。
【0042】
次に、図9に示すように、階段領域Rcにおいて、例えばRIE等のエッチング処理により、積層体15の絶縁膜41、及び、絶縁膜44、50、45内にコンタクトホールCHを形成する。コンタクトホールCHは、絶縁膜45、50、44、41を貫通して電極膜40に達する。
【0043】
ここで、図10に示すように、絶縁膜45の下に、絶縁膜45と異なる材料で形成された絶縁膜50が位置するので、絶縁膜45(例えば、TEOS膜)と、絶縁膜50(例えば、シリコン窒化膜)との間のエッチング選択比によって、孔81は、絶縁膜50を貫通せずにエッチングを止めることができる。つまり、絶縁膜50は、エッチングを止める膜として機能する。続いて、図11に示すように、孔82が絶縁膜44に達するように絶縁膜50の一部を除去する。その後、図9に示すように、絶縁膜44、41の一部が除去されてコンタクトホールCHが電極膜40に達する。
【0044】
次に、図12に示すように、階段領域Rcにおいて、コンタクトホールCH内にタングステン等の金属を堆積させてコンタクト60を形成する。図1に示すように、コンタクト60は、積層体15の端部15tにおいて、電極膜40のテラスT上に位置し、絶縁膜45、50、44、41を貫通している。
このようにして、半導体装置1が製造される。
【0045】
次に、本実施形態の効果について説明する。
3次元構造の半導体記憶装置において、積層体の端部にコンタクトを形成する場合、電極膜の積層数が増加するにつれて、コンタクトホールのアスペクト比が高くなると共に各電極膜の厚さが薄くなる虞がある。また、積層体の端部の形状が階段状であるので、上層の電極膜と下層の電極膜との間ではコンタクトホールの高さが異なることになる。これにより、上層の電極膜から下層の電極膜まで複数のコンタクトホールを一度に形成する場合、電極膜の積層数が増加するにつれて、電極膜と、電極膜上の絶縁膜との間のエッチング選択比を確保し難くなる。電極膜及び絶縁膜の間のエッチング選択比が小さいと、電極膜のテラス上に形成するコンタクトホールが、電極膜と、その直下の絶縁膜とを突き抜けてしまうことで電極膜間の短絡が発生し易い。
【0046】
本実施形態の半導体装置1は、積層体15の階段状の端部15t上に設けられた絶縁膜44と、絶縁膜44上に設けられ、一部が傾斜して延びるように階段状の端部15tに沿って位置する絶縁膜50と、を有する。このような絶縁膜50は、図9に示すようにエッチングを止める膜として機能するので、絶縁膜50を設けない構造と比較して、コンタクトホールCHが電極膜40と、その直下の絶縁膜41とを突き抜けることを抑制できる。したがって、コンタクトホールCHが突き抜けることで発生する電極膜40間の短絡を抑制できる。
【0047】
また、本実施形態の半導体装置1は、一部が傾斜して延びるように階段状の端部15tに沿って位置する絶縁膜50を有するので、コンタクトホールCHに対して絶縁膜50の膜厚を概ね等しくすることができる。これにより、コンタクトホールCHに対して絶縁膜50の膜厚が異なることで生じるエッチングストップを抑制する。
【0048】
また、本実施形態の半導体装置1は、一部が傾斜して延びるように階段状の端部15tに沿って位置する絶縁膜50を有するので、電極膜40のテラスTの幅に影響を及ぼすことなく、電極膜40のテラスT上にコンタクトホールCHを形成できる。これにより、テラスTに対するコンタクトホールCHの位置ずれを抑制する。
本実施形態によれば、積層体の階段状の部分に、突き抜けが発生なく信頼性高くコンタクトを形成可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1:半導体装置、10:基板、10a、44a、50a:上面、15、15a:積層体、15t:端部、20:チャネル、21:トンネル絶縁膜、22:電荷蓄積膜、23:ブロック絶縁膜、24:メモリ膜、25:コア部、26:コンタクトプラグ、30、60:コンタクト、40:電極膜、41〜45、50、50A、50B、71:絶縁膜、50b:下面、70:回路部、80:犠牲膜、81、82:孔、BL:ビット線、CH:コンタクトホール、CL:柱状部、Rc:階段領域、Rm:メモリセル領域、Rp:周辺領域、W1、W2:厚さ
図1
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