【文献】
D. Hernando et al.,Interventional MRI with sparse sampling: an application of compressed sensing,Proceedings of International Society for Magnetic Resonance in Medicine,2008年 5月 9日,#1482
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、撮像システムおよび/または撮像システムから画像データを受領する手段を含んでいてもよい、画像処理システムを使って画像を生成するために使用できる断層撮影再構成のための方法を提供する。本開示の諸側面を組み込むことのできるより具体的な撮像システムの例は、X線またはガンマ線断層撮影を使う計算機断層撮影(CTまたはCATスキャン)、共焦点レーザー走査顕微鏡法(LSCM: confocal laser scanning microscopy)、低温電子断層撮影(Cryo-ET: cryo-electron tomography)、静電容量断層撮影(ECT: electrical capacitance tomography)、電気抵抗率断層撮影(ERT: electrical resistivity tomography)、電気インピーダンス断層撮影(EIT: electrical impedance tomography)、機能的磁気共鳴撮像(fMRI: functional magnetic resonance imaging)、磁気誘導断層撮影(MIT: magnetic induction tomography)、磁気共鳴撮像(MRI: magnetic resonance imaging)(かつては磁気共鳴断層撮影(MRT: magnetic resonance tomography)または核磁気共鳴断層撮影として知られた)、中性子断層撮影、光コヒーレンス断層撮影(OCT: optical coherence tomography)、光投影断層撮影(OPT: optical projection tomography)、プロセス断層撮影(PT: process tomography)、陽電子放出断層撮影(PET: positron emission tomography)、陽電子放出断層撮影‐計算機断層撮影(PET-CT)、量子断層撮影、単一光子放出計算機断層撮影(SPECT: single photon emission computed tomography)、地震波断層撮影(seismic tomography)、超音波撮像(US: ultrasound imaging)、超音波支援光断層撮影(UAOT: ultrasound assisted optical tomography)、超音波透過断層撮影(ultrasound transmission tomography)、光学音響断層撮影(OAT: optoacoustic tomography)もしくは熱音響断層撮影(TAT: thermoacoustic tomography)としても知られる光音響断層撮影(PAT: photoacoustic tomography)および回転する星の磁気的な幾何構造を再構成するために使われるゼーマン・ドップラー撮像のためのシステムを含む。このリストは長いが、網羅的なものではなく、本願は、当業者に知られているあらゆる同様の断層撮影再構成方法に適用可能である。
【0031】
開示されるプロセスは、1)画像再構成のためのモデル;2)モデルの高速数値解法のためのアルゴリズム;および3)再構成の忠実度を改善するためのk空間サンプリング・パターンおよび戦略を伴う。
【0032】
本願は、オブジェクトの画像の断層撮影再構成を、そのオブジェクトの不完全な測定された周波数サンプルから実行するプロセスを開示する。ここで、オブジェクトも該オブジェクトのフーリエ変換も疎ではない。すなわち、変換の散在性は仮定も要求もされず、実際、必ずしも厳密に成り立たないことが知られている。開示される方法は、好ましくは不完全な測定された周波数サンプルとの整合性のための備えをしつつ、撮像対象のオブジェクトを示すと先験的にわかっている物理的属性を最適に示す画像を生成するために、圧縮センシングにおいて使用されるのと同様の最適化方法を提供することを含む。しかしながら、従来の圧縮センシング技法は、アルゴリズムにおいて何らかの圧縮項を伴う。対照的に、本開示は、そのような従来のアルゴリズムに見出される圧縮項をなしですます方法を提示する。開示される方法を使えば、画像を生成するために必要とされる周波数サンプリングの量を減らすことによって、画像取得のスピードを高めることができる。人間の被験者またはデリケートなオブジェクトの撮像において組織の電離放射線照射や加熱が起こりうる応用では、吸収される線量またはエネルギーも減らすことができる。それにより、撮像されるオブジェクトまたは被験者へのリスクを最小にできる。
【0033】
開示されるプロセスの実施形態は、測定されている根底にあるオブジェクトによって生成される信号がしばしば、ピクセル/ボクセル・サイズと画像視野(FOV: field of view)のサイズの中間の何らかの中間スケールでのノイズのない区分ごとに一定の強度のオブジェクトによってよく近似されることができるという先験的な知識を適用することを含むモデルを用いることができる。本プロセスは、再構成されたオブジェクトのフーリエ変換と測定されたフーリエ・データとの間の最小二乗の意味での一致を得るよう同時に試みながら、対応する信号強度のこれらの属性を最適化することを含むことができる。このようにして、最適化が、疎なフーリエ・データからオブジェクトを再構成するという不足決定問題を取り上げ、その物理的属性の先験的な知識に関して測定されたデータと整合する最適な解を選択する。
【0034】
開示されるプロセスは、たいていの撮像アプリケーションでは、生体を撮像するにしても製造物を撮像するにしても、撮像される根底にあるオブジェクトは、ノイズのない区分ごとに一定の強度のオブジェクトによってよく表現されるという観察が動機となっている。たとえば、人体は、脂肪または脂肪組織、筋肉、骨、軟組織、脳組織、肺および空気の集合として見ることができる。これらの組織は互いに当接し、画像中に不連続を引き起こす。これは、種々の解剖学的または生理学的構造を同定するために使われるコントラストを生じる。
【0035】
本開示は、画像再構成のための一般的モデルを提起する。本モデルは、二つの項をもつことができる。第一の項は、撮像されるオブジェクトの先験的な属性を強制するためのものであり、第二の項は、重要度因子によって重み付けられた最小二乗の意味で画像のフーリエ変換と測定されたフーリエ・データとの不一致にペナルティを与えるためのものである。本モデルの第一の項は、区分ごとに一定であるが、同時に、オブジェクトに存在していることがわかっている大きな不連続にペナルティを与えないような画像を生成するよう設計された画像の変動にわたるノルム(a norm over the variation of the image)であることができる。画像再構成のための開示されるモデルは、画像における変動の疎さ〔散在性〕を最大にする制約されない凸最適化モデルを用いることができる。
【0036】
【数1】
式(1)において、αは撮像されるオブジェクトの先験的属性についての重要度重み付け因子であり、u(ベクトルx)は位置「ベクトルx」における画像強度である。M
lは大きな不連続にペナルティを与えることを防ぐためのノルム重み付け因子であり、たとえば
【0038】
【数3】
はu(ベクトルx)の平滑化されたバージョンであり(これは、たとえば分散σ
Gをもつガウシアン・カーネルGを用いてなど、多くの方法で達成できる。)、εは、
【0039】
【数4】
のときにゼロによる除算を防止するために含められる小さな定数である。
【0040】
【数5】
はu(ベクトルx)のn次元の局所的な有限差分であり、n次元の空間座標「ベクトルx」はn次元の空間領域X内にある。よって、
【0041】
【数6】
は画像uの画像強度の全変動(TV: total variation)の離散化のl
0、l
1またはl
2ノルムである。また、式(1)において、
【0043】
【数8】
はn次元離散フーリエ変換演算子であり、Pはn次元フーリエ領域Kにおける選択された座標点「ベクトルp」に対応するn次元選択演算子である。値
【0044】
【数9】
は画像uのフーリエ変換の測定された値である。ノルム重み付け因子M
lは、大きな画像強度について変動の重要度を減らすことにおいて重要な役割を演じ、
【0045】
【数10】
とともに単調減少するいかなる関数でもよい。また、K領域における制約が、重み付け因子
【0046】
【数11】
による最小二乗ペナルティに緩和されていることを注意されたい。これは、各測定点の重要度の推定を許容するためである。このアプローチは、より高い品質またはより少ないノイズをもつ測定データにより高い重要度を与えることを許容する。それはまた、測定データにおける種々の周波数における特徴の重要度を強調するために使われることもできる。たとえば、周波数の関数としての既知のまたは期待されるノイズ属性が、
【0047】
【数12】
に組み込まれることができる。
【0048】
本稿に開示されるのは、式(1)において提供されるモデルを解くための非常に効率的なアルゴリズムである。本開示は、l=0ノルムの場合についてのアルゴリズムの実施形態およびl=1または2ノルムの場合についてのアルゴリズムの実施形態を含む。
【0049】
最初に、l=0ノルムを使う実施形態についてアルゴリズムを記載する。l=0のときの式(1)において明示的に述べられるモデルに関する困難は、その解が通例、手に負えない(intractable)組み合わせ探索を必要とするので、直接解くのが数値的に非効率であるということである。この問題を克服するため、たとえば非特許文献3で提案されるl
0ノルムについての近似のような近似を使うことができる。この文献は参照によってここに組み込まれ、以下では「チャスコ論文」と称する。チャスコ論文は、l
0準ノルム(quasi-norm)のホモトピック最小化によるl
0ノルムの近似を開示する。本アルゴリズムへのそのような近似の適用は、次の式(2)のようなモデルを導く。
【0050】
【数13】
式(2)において、σは、σ≫0をもって開始されるホモトピック・パラメータである。式(2)は、uの値が収束するまで各解法後にσを減少させつつ、uについて解かれる。前記近似は、l=0の解を近似するためにl=1または2ノルムを使うことができる。チャスコ論文によって提案されたこのモデルを解くための諸アルゴリズムは、リアルタイムの画像再構成を要求する応用については、非効率で、問題があることがある。数値的な非効率が、それでもたいしたものではあるのだが、劣るからである。測定データは典型的には複素画像を生成するので、前記アルゴリズムを、式(3)によって下記に示されるように、複素周波数データおよび複素画像データ両方を扱うよう拡張する。
【0051】
【数14】
式(3)において、R(.)は実成分演算子、I(.)は虚成分演算子、l′は前記近似のためにl=1ノルムが使われるかl=2ノルムが使われるかに依存して1または2である。
【0052】
【数15】
は今やuについての周期的境界条件のもとにあると定義される。よって、
【0054】
【数17】
の成分であり、離散フーリエ変換
【0055】
【数18】
によって対角化されることができる巡回行列である。緩和変数(relaxation variable)wおよび二次緩和パラメータ(quadratic relaxation parameter)βが導入されている。式(3)を直接解こうとするアルゴリズムの素朴な実装では、実装の際に少なくとも三つのループが期待される。第一のループはσ→0についてであり、第二のループはβ→∞についてであり、第三のループは所与のσおよびβについてuとwの間で交互するためのものである。しかしながら、本開示は、同時にモデルの使用をリアルタイム撮像用途まで拡大しつつ、σおよびβについてのループを組み合わせる効率的な技法を提起する。
【0056】
本願で開示される代替的なアプローチによれば、所与の初期uについてuおよびwを解くためには、式(4)および(5)として下記に示される縮小公式によってwを解くことができる。
【0057】
【数19】
次いで、更新されたwが固定されることができ、更新されたuが下記の式(6)に従って決定される。
【0059】
【数21】
はそれぞれ有限差分演算子
【0060】
【数22】
のフーリエ変換またはカーネルである。
【0061】
所与のσおよびβの各セットについて、解が収束するまで、式(4)および(5)は(6)とともに逐次反復される。次いで、σおよびβを緩和する。(4)および(5)を有効なものにするためには式(7)として下記に示す不等式に従う条件を達成することが望ましい。
【0063】
【数24】
なので、式(7)のさらなる緩和、つまり(7)を満たす十分条件は、式(8)のように書くことができる。
【0064】
σ
2β≧4 (8)
不等式(8)は、本実装の際に、σおよびβを同時に更新するためのガイドを明示的に提供する。つまり、非常に小さな正のβ=1ではじめて、次いで式(9)に従ってσを設定する:
何らかのC≧4についてσ=√(C/β) (9)
こうして、l=0ノルムの場合についての再構成アルゴリズムは、
図1に示されるフローチャートに従って進行できる。ブロック100では、さまざまな入力データが設定される。たとえば、ブロック100は、
【0065】
【数25】
についての値を設定することを含むことができる。
【0066】
重み付け因子η
pは、構築される結果がサンプリングされたデータにどのぐらい近く追随するかを制御するために設定される値のベクトルであることができる。K空間におけるサンプリング線(単数または複数)に沿った異なるサンプリング点について異なる重みを割り当てることができる。重み付け因子η
pは、サンプリング・デバイスのノイズ・パワー・スペクトルに関する既知の先験的情報に従って、あるいは再構成される画像中の異なる周波数の重要度に重み付けするために設定できる。たとえば、比較的高い重み、よって重要度が、k空間の中心または中心近くおよび/またはk空間における期待される山(ridges)の近くのサンプリング点について割り当てられることができる。ここで、比較的重要な周波数データは一般に、MRIのようないくつかの撮像アプリケーションのために位置特定される。
【0067】
値Pはk空間におけるサンプリング・パターンの代表である。値f
pは、値Pに従うパターンに沿ってサンプリングされたk空間データを表す。値αは、構築される画像の全体的ななめらかさを制御するための重み付け因子を与えるスカラーである。αについてのより大きな値は、構築される結果とサンプリングされたデータとの間のより大きな差を許容することによって、よりなめらかな画像に導く傾向がある。このように、αおよびM{x}について設定された値は、画像中の所望されるコントラストを失いすぎることなく、画像のなめらかさを制御するために調整できる。
【0068】
値u
0は、構築された画像の初期値を表す。最初、大まかな画像が、パターンPに沿ってk空間からサンプリングされる周波数データを使って、生成できる。これはたとえば、逆フーリエ変換を適用してサンプリングされたk空間データから画像空間データを生成することによる。一般に、たとえば逆投影のような任意の再構成技法からの結果が、初期画像データu
0として使用できる。
【0069】
値β
0は二次緩和に対する初期重みを表し、これは小さな値、たとえば1.0未満として始まることができる。アルゴリズムが進行するにつれて、二次緩和重みβがレートβ
rateに従って増大し、最大β
maxは超えない。このように、値β
maxは二次緩和重みについて許容される最大値である;β
rateは1より大きな何らかの値であり、二次緩和重みβが本プロセスの外側反復工程毎に増大するレートである。値β
maxは最大処理時間(レートβ
rateに依存する)および最終的な画像の品質に影響することができる。値β
maxは、反復工程の最大数が数十、数百、数千またはそれ以上であることを許容するよう十分大きく設定されることができる。よって、たとえば、いくつかの実装では、値β
maxは2
16に設定されることができ、β
rateは2または4に設定されることができる。
【0070】
値ε
innerおよびε
outerは、後述するようなそれぞれ内側(inner)および外側(outer)ループ停止基準のために使われる公差閾値である。たとえば、いくつかの実装では、閾値ε
innerおよびε
outerはゼロよりずっと小さい値、たとえば1e−4に設定されることができる。最後に、値Cは、式(9)に基づくσとβの間の所望される関係を維持するために、何らかの値、たとえばC≧4に設定されることができる。
【0071】
次に、ブロック102において、緩和パラメータ
【0072】
【数26】
および画像データuがブロック100で入力された
【0073】
【数27】
およびu
0についての初期値に従って初期化される。
【0074】
第一の、外側の逐次反復プロセスはブロック104で始まり、ブロック104〜124を含む。この外側の逐次反復プロセスは、ブロック108〜118にまたがる第二の、内側の逐次反復プロセスを含む。外側の逐次反復プロセスは、ブロック104でホモトピック・パラメータσを更新し、ブロック106で外側画像データ変数u
outerを、画像データuの現在の値に等しく設定し、ブロック107で、再構成された画像における大きな不連続にペナルティを与えるのを防ぐためにノルム重み付け因子Mを設定することを含む。ノルム重み付け因子Mに関する追加的な詳細は、
図2との関連で後述する。
【0075】
次に、内側の逐次反復プロセスの反復工程が何回か実行される。内側の逐次反復プロセスは、ブロック108で、内側画像データ変数u
innerを、画像データuの現在の値に等しく設定することを含む。内側の逐次反復プロセスは次いで、ブロック110で式(4)に従って緩和変数wの実部を更新し、ブロック112で式(5)に従って緩和変数wの虚部を更新することを含む。次いで、ブロック114で、ブロック110および112で修正された緩和変数wを使って、式(6)に従って画像データuとして修正された画像データが生成される。
【0076】
次に、ブロック116で、内側公差(tolerance)値tol
innerが式(10)に従って設定される。
【0077】
tol
inner=|u−u
inner|/|u
inner| (10)
このように、内側公差値tol
innerは、内側の逐次反復プロセスの現在の反復工程の間に作成された画像データにおける差を表す。内側公差値tol
innerは次いで、内側の逐次反復プロセスのさらなる反復工程が望ましいかどうかを判定するために使用できる。よって、ブロック118において、内側の逐次反復プロセスのもう一回の反復工程が実行されるべきかどうかについての判定が、公差値tol
innerが、ブロック100で入力された公差閾値ε
innerより小さいかどうかを判定することによって、なされる。もしそうでない場合には、プロセスはブロック108に戻り、内側逐次反復プロセスが反復される。それ以外の場合には、プロセスは外側の逐次反復プロセスを続ける。また、ブロック118において、内側逐次反復プロセスの反復工程数を追跡し、無限ループを防ぐために、カウンタ「iter」が使用されることができる。反復工程数「iter」が最大反復工程数「iterMax」を超える場合、内側の逐次反復プロセスを打ち切ることができ、プロセスは外側の逐次反復プロセスを続けることができる。
【0078】
ブロック120では、外側公差値tol
outerが式(11)に従って設定される。
【0079】
tol
outer=|u−u
outer|/|u
outer| (11)
このように、外側公差値tol
outerは、外側の逐次反復プロセスの現在の反復工程の間に、すなわち内側の逐次反復プロセスについての緩和パラメータおよびホモトピック・パラメータβおよびσの現在の値を使って作成された画像データにおける差を表す。外側公差値tol
outerは次いで、外側の逐次反復プロセスのさらなる反復工程が望ましいかどうかを判定するために使用できる。
【0080】
ブロック122において、緩和パラメータ
【0081】
【数28】
の値が、ブロック100で緩和レート
【0082】
【数29】
として設定されたレートを使って、
【0084】
ブロック124で、外側の逐次反復プロセスのもう一回の反復工程が実行されるべきかどうかについての判定が、外側公差値tol
outerが、ブロック100で入力された外側公差閾値ε
outerより小さいかどうかを判定することによって、なされる。もしそうでない場合には、プロセスはブロック104に戻り、外側逐次反復プロセスが反復される。それ以外の場合には、プロセスは完了となる。
【0085】
次に、l=1または2ノルムを使う実施形態についてのアルゴリズムを述べる。そのような実施形態については、式(1)の緩和は、下記に式(12)として示される。
【0086】
【数31】
次いで、所与の画像uについて、緩和変数wについて解くために、縮小公式を使うことができる。l=1ノルムについては式(13)および(14)に基づき、l=2ノルムについては式(15)および(16)に基づく。
【0087】
【数32】
巡回境界条件のもとで、l=1または2の両方の場合について、結果として式(17)を得る。
【0088】
【数33】
このように、l=1または2ノルムの場合についての再構成アルゴリズムは、
図2に示されるフローチャートに従って進行できる。ブロック200では、さまざまな入力データが設定される。たとえば、ブロック200は、
【0089】
【数34】
についての値を設定することを含むことができる。
【0090】
重み付け因子η
pは、構築される結果がサンプリングされたデータにどのぐらい近く追随するかを制御するために設定される値のベクトルであることができる。K空間におけるサンプリング線(単数または複数)に沿った異なるサンプリング点について異なる重みを割り当てることができる。重み付け因子η
pは、サンプリング・デバイスのノイズ・パワー・スペクトルに関する先験的情報に従って、あるいは再構成される画像中の異なる周波数の重要度に重み付けするために設定できる。たとえば、比較的高い重み、よって重要度が、k空間の中心または中心近くおよび/またはk空間における期待される山(ridges)の近くのサンプリング点について割り当てられることができる。ここで、比較的重要な周波数データは一般に、MRIのようないくつかの撮像アプリケーションのために位置特定される。
【0091】
値σ
Gはガウシアン・カーネルGについての標準偏差である(たとえば式(18),(18''))。値Pはk空間におけるサンプリング・パターンである。値f
pは、値Pに基づくパターンに沿ってサンプリングされたk空間データを表す。値αは、構築される画像の全体的ななめらかさを制御するための重み付け因子を与えるスカラーである。αについてのより大きな値は、構築される結果とサンプリングされたデータとの間のより大きな差を許容することによって、よりなめらかな画像に導く傾向がある。このように、αについて設定された値は、画像中の所望されるコントラストを失いすぎることなく、画像のなめらかさを制御するために調整できる。
【0092】
値u
0は、構築された画像の初期値を表す。最初、大まかな画像が、パターンPに沿ってk空間からサンプリングされる周波数データを使って、生成できる。これはたとえば、逆フーリエ変換を適用してサンプリングされたk空間データから画像空間データを生成することによる。一般に、たとえば逆投影のような任意の再構成技法からの結果が、初期画像データu
0として使用できる。
【0093】
値β
0は二次緩和に対する初期重みを表し、これは小さな値、たとえば1.0未満として始まることができる。アルゴリズムが進行するにつれて、二次緩和重みβがレートβ
rateに従って増大し、最大β
maxは超えない。このように、値β
maxは二次緩和重みについて許容される最大値である;β
rateは1より大きな何らかの値であり、二次緩和重みβが本プロセスの反復工程毎に増大するレートである。値β
maxは最大処理時間(レートβ
rateに依存する)および最終的な画像の品質に影響することができる。値β
maxは、反復工程の最大数が数十、数百、数千またはそれ以上であることを許容するよう十分大きく設定されることができる。よって、たとえば、いくつかの実装では、値β
maxは2
16に設定されることができ、β
rateは2または4に設定されることができる。
【0094】
値ε
innerおよびε
outerは、後述するようなそれぞれ内側(inner)および外側(outer)ループ停止基準のために使われる公差閾値である。たとえば、いくつかの実装では、値ε
innerおよびε
outerはゼロよりずっと小さい値、たとえば1e−4に設定されることができる。
【0096】
【数35】
のときにゼロによる除算を防止するために含められる小さな定数である。
【0097】
次に、ブロック202において、緩和パラメータ
【0098】
【数36】
および画像データuがブロック200で入力された
【0099】
【数37】
およびu
0についての初期値に従って初期化される。
【0100】
第一の、外側の逐次反復プロセスはブロック204で始まり、ブロック204〜224を含む。この外側の逐次反復プロセスは、ブロック208〜218にまたがる第二の、内側の逐次反復プロセスを含む。外側の逐次反復プロセスは、ブロック204で外側画像データ変数u
outerを、画像データuの現在の値に等しく設定し、ブロック206で、再構成された画像における大きな不連続にペナルティを与えるのを防ぐためにノルム重み付け因子Mを設定することを含む。この実施形態では、ノルム重み付け因子Mは下記の式(18)に従うガウシアン・カーネルGを使って設定される。
【0101】
【数38】
しかしながら、たとえば次の式(18')および(18'')に示されるような他の方法を使うこともできる。
【0102】
【数39】
一般に、正でありかつ区間[0,+∞)で減少する任意の関数が潜在的に使用可能である。
【0103】
次に、第二のプロセスの反復工程が何回か実行される。第二の逐次反復プロセスは、ブロック208で、外側画像データ変数u
outerを、画像データuの現在の値に等しく設定することを含む。ブロック210で、l=1ノルムについては式(13)に従って、l=2ノルムについては式(15)に従ってwの実部が更新される。ブロック212で、l=1ノルムについては式(14)に従って、l=2ノルムについては式(16)に従ってwの虚部が更新される。次いで、ブロック214で、ブロック210および212で修正された緩和変数wを使って、式(17)に従って画像データuとして修正された画像データが生成される。
【0104】
次に、ブロック216で、内側公差(tolerance)値tol
innerが式(10)に従って設定される。内側公差値tol
innerは、内側の逐次反復プロセスの現在の反復工程の間に作成された画像データにおける差を表す。内側公差値tol
innerは次いで、内側の逐次反復プロセスのさらなる反復工程が望ましいかどうかを判定するために使用できる。よって、ブロック218において、内側の逐次反復プロセスのもう一回の反復工程が実行されるべきかどうかについての判定が、公差値tol
innerが、ブロック200で入力された公差閾値ε
innerより小さいかどうかを判定することによって、なされる。もしそうでない場合には、プロセスはブロック208に戻り、内側逐次反復プロセスが反復される。それ以外の場合には、プロセスは外側の逐次反復プロセスを続ける。また、ブロック218において、内側逐次反復プロセスの反復工程数を追跡し、無限ループを防ぐために、カウンタ「iter」が使用されることができる。反復工程数「iter」が最大反復工程数「iterMax」を超える場合、内側の逐次反復プロセスは打ち切られることができ、プロセスは外側の逐次反復プロセスを続けることができる。
【0105】
ブロック220では、外側公差値tol
outerが式(11)に従って設定される。外側公差値tol
outerは、外側の逐次反復プロセスの現在の反復工程の間に、すなわちノルム重み付け因子Mおよび緩和パラメータβの現在の値を使って作成された画像データにおける差を表す。外側公差値tol
outerは次いで、外側の逐次反復プロセスのさらなる反復工程が望ましいかどうかを判定するために使用できる。
【0106】
ブロック222において、緩和パラメータ
【0107】
【数40】
の値が、ブロック200で緩和レート
【0108】
【数41】
として設定されたレートを使って、
【0110】
ブロック224で、外側の逐次反復プロセスのもう一回の反復工程が実行されるべきかどうかについての判定が、外側公差値tol
outerが、ブロック200で入力された外側公差閾値ε
outerより小さいかどうかを判定することによって、なされる。もしそうでない場合には、プロセスはブロック204に戻り、外側逐次反復プロセスが反復される。それ以外の場合には、プロセスは完了となる。
【0111】
図1および
図2に示し、上記で説明したプロセスのいくつかの実施形態では、式(6)および(17)における分母は効率のために事前計算できる。これらの式の分子は、uによって生成される密なk空間の補間または疎なk空間サンプルのsinc補間を介したデカルト格子上へのグリッド化によって評価できる。
【0112】
画像再構成のもう一つの重要な側面は、画像データのk空間またはk領域バージョンをサンプリングするために使われるサンプリング・パターンPに関わる。k空間またはk領域のサンプリングは、再構成される画像の品質に重要な影響をもつ。多くの撮像技法(たとえば、計算機断層撮影法)では、オブジェクトを通る信号の投影が測定され、そのフーリエ変換がk空間において放射状の中心スライス定理(central-slice theorem)プロファイルを生成する。磁気共鳴(MR)撮像に類似する撮像技法では、たとえば、k空間軌跡は、勾配システムおよびエンコード軸によって操作される連続経路に沿って測定される。
【0113】
k空間中の真の撮像されるオブジェクトのパターンは、原点でピークとなり、中心から放射状に突出する強度の山をもつ傾向がある。一般に、最良の再構成のためには、突出する山を単一の連続的なサンプリング経路でもって数回サンプリングすることが望ましい。できるだけ短時間で単一の励起をもってできるだけ多くのk空間をカバーするために、渦巻き状の軌跡が当初開発された。渦巻き状の軌跡はk空間の中心のまわりを複数回まわるので、本稿に記載される再構成技法のための優れた疎サンプリング・パターンを提供できる。また、k空間の中心のよりよい知識がよりよい画像再構成につながることが当技術分野で知られている。2Dまたは3D空間をカバーするために渦巻き状の軌跡を使うことは、k空間の中心における、より密な、あるいは繰り返されたサンプリング情報につながり、画像再構成が改善される。繰り返されるサンプリングは、測定されたk空間データについての我々の先験的知識を改善し、これは我々のモデルでは
【0114】
【数43】
を介して受け入れられている。
【0115】
非渦巻き状のサンプリング・パターンを含むさまざまなサンプリング・パターンが本開示の諸側面とともに用いることができるものの、以下の記述は、渦巻き状のk空間サンプリングのいくつかの好ましい実施形態の説明を与える。中心(Cx,Cz)のある2D渦巻きについて、aが正の定数、ξが軌跡がどの葉(leaf)を通るかを決定するための定数シフト・パラメータ(constant shifting parameter)として与えられているとして、アルキメデスのらせんは、一般に下記の式(19)によって示される系に従って原点から作成できる。
【0116】
r=aθ (極座標)
x=rcos(θ+ξ)+Cx (デカルト座標のx) (19)
y=rsin(θ+ξ)+Cz (デカルト座標のz)
この軌跡に沿ったサンプリングは変化させることができる。k空間の中心付近でのより密なサンプリングが渦巻き状の軌跡によって得ることができ、これは全体的な再構成の品質を改善する。渦巻き状のパターンは、ξだけ回転させることによって、k空間を充填またはタイリングするよう生成できる。ここで、該角度は一様にまたは確率論的に分布されることができる。シネ撮像が実行される場合、反復される画像の取得はこれら異なるパターンを通じて巡回することができる。さらに、再構成データの重要度に時間的に重み付けするよう重み付け因子
【0117】
【数44】
を設定して、前のまたは後のスキャンからk空間データが含められることができる。
【0118】
これらの2D渦巻きパターンは、読み取り軸に沿って3Dで取得されることができる。これは3Dでの非常に高速な取得技法を提供する。これらは、一様にまたは確率論的に分布したデカルトまたは放射状の軌跡と組み合わせることもできる。2Dパターンは、平面上の渦巻き状軌跡を平面内のある軸のまわりに回転させることによって、3Dのk空間をサンプリングするためにも使用できる。これを数学的に表現すると、z軸のまわりの角度φ
iの回転のためには、一つの3Dらせんのために次の式(20)が得られる。
【0119】
r=aθ (極座標)
x=rcos(θ+ξ)cosφ
i+Cx (デカルト座標のx) (20)
y=rcos(θ+ξ)sinφ
i+Cy (デカルト座標のy)
z=rsin(θ+ξ)+Cz (デカルト座標のz)
回転φ
iを変えれば、3Dのk空間をカバーする異なる平面状の渦巻きを生成できる。たとえば、α=4/π、ξ=0として、式(21)に従って10の均等に分布した回転角を使うと、
図3に示される渦巻き状の軌跡が達成できる。
【0120】
φ
i=2πi/10 i=0,1,2,…,9 (21)
図4は離散的な3Dサンプリング・マスクである。これは、均等に分布した回転角の数をたとえば50まで増やし、軌跡マスクを異なる複数のz値でスライスすることによって達成できる一組のパターンを含む。
図4に示したマスクは、9.13%のk空間サンプリング比を許容する。
【0121】
図3および
図4に示される渦巻き状パターンは非常に疎であるが、それでいてk空間の突出する(projecting)特徴を横断してサンプリングしている。同時に、これはk空間の中心の反復されたサンプリングおよび原点付近での密なパターンを提供する。開示される画像再構成検知技法は、k空間における突出する特徴をカバーするために、高度のインコヒーレンスをもつサンプリングを好む。この高度のインコヒーレンスはランダム・サンプリングまたはポワソン・サンプリングによって達成できるものの、これは、たとえ2Dまたは3Dのk空間の疎なサンプリングを生じるためであっても、多くの軌跡を必要とする。開示される3D渦巻き状サンプリング・パターン中に若干のインコヒーレンスを組み込むために、いくつかの実施形態では、擬似ランダムなシフトが、上記の回転された2D渦巻きパターンの軌跡平面中に導入されることができる。そのような擬似ランダム・シフトは、サンプリング中のより少数のギャップをもつ、3Dのk空間の改善されたカバー率を提供する。
【0122】
この新たなアプローチでは、渦巻き平面はそれでも3Dのk空間をカバーするために擬似ランダムな量だけ回転させられる。最も一般的な場合では、サンプリング平面に対する法線ベクトルの配向がランダムに生成されることができ、渦巻きへのランダムな位相シフトが含められることができる。平面原点もシフトできるが、k空間の原点の反復された、密なサンプリングが望まれるので、大きなシフトは好ましくない。渦巻き状の軌跡に、サンプリング面を出入りしてわずかに逸脱するよう摂動を加えることもできる。
【0123】
たとえば、いくつかの実施形態では、初期渦巻き平面が該平面を含む軸に沿って、種々の回転角φ
i i=0,1,…,N−1だけ回転させられる。回転された各平面におけるシフト角は異なる値ξ
i i=0,…,N−1に関わっていてもよい。よって、新たな軌跡は次の式(22)に示されるようにより柔軟な定式化をもつ。
【0124】
r=aθ (極座標)
x=rcos(θ+ξ
i)cosφ
i+Cx (デカルト座標のx) (22)
y=rcos(θ+ξ
i)sinφ
i+Cy (デカルト座標のy)
z=rsin(θ+ξ
i)+Cz (デカルト座標のz)
ξ
iおよびφ
iの値は自由に変えて異なるパターンを生じることができる。サンプリング・パターンは擬似ランダムな性質であるが、画像取得のために固定したパターンを使ったり、あるいは測定時に擬似ランダム・シフトを実装する取得方式を用いたりしてもよい。
【0125】
画像取得および再構成の開示される組み合わされたプロセスは、本稿では、シフトされたハイブリッド・アルキメデス型ランダム・パターンらせん(shifted hybrid Archimedean random pattern spiral)、すなわちSHARPS技法と称される。
図5および
図6に示される画像では、固定されたシフト角をもって一組の渦巻きパターンが生成され、もう一組がシフト角ξ
iを変えることによって生成されている。再構成のための画像再構成パラメータ設定は、すべての実験について同じであった。
【0126】
たとえば、対称的な回転方式が式(23)に従って選ばれることができる。
【0127】
φ
i=2πi/N i=0,…,N−1 (23)
ξ
i=iΦ i=0,…,N−1
あるいは、非対称な回転方式が式(24)に従って選ばれることができる。
【0128】
φ
i=πi/N i=0,…,N−1 (24)
ξ
i=iΦ i=0,…,N−1
NおよびΦを適切に選ぶことによって、式(22)の軌跡に対応するマスクは、本画像再構成プロセスのためにより好適にされることができる。たとえば、
図5に示されるマスクは、α=4/π、N=50およびΦ=(9/16)πと設定することにより式(23)に基づく対称的な回転方式を使って達成できる。
図5に示されるマスクは、9.86%のk空間サンプリング比を許容する。
図6に示されるマスクは、α=4/π、N=50およびΦ=(9/16)πと設定することにより式(24)に基づく非対称な回転方式を使って達成できる。
図6に示されるマスクは、10.37%のk空間サンプリング比を許容する。
【0129】
図7〜
図11は、もとの画像(
図7)と、逆投影再構成を使って生成された画像(
図8、
図9)と、本願で開示される再構成プロセスを使って生成された画像(
図10、
図11)との間の違いを例解する画像を示している。より具体的には、
図7に示される一連の画像は、種々の再構成技法の比較のためのベースラインとして使われる元の画像である。
図7に示される画像についての画像データは、フーリエ変換によってk空間に変換され、次いで逆投影を使って再構成された(
図8および
図9)、また、本願で開示される再構成技法を使っても再構成された(
図10および
図11)。
【0130】
図8および
図9に示される画像は逆投影再構成アルゴリズムを使って生成された。より具体的には、
図8に示される画像は
図5に示される対称マスクを使って得られたものであり、
図9に示される画像は
図6に示される非対称マスクを使って得られたものである。
【0131】
対照的に、
図10および
図11に示される画像が、本稿に開示されるアルゴリズムを使って生成された。
図10に示される画像は、
図5に示される対称マスクを使って得られたものであり、
図11に示される画像は
図6に示される非対称マスクを使って得られたものである。従来の逆投影再構成プロセスを使って生成された画像に比べて、本願のプロセスを使って生成された画像は著しい改善を示した。逆投影再構成プロセスを使って生成された
図8および
図9に示される画像は、それぞれ相対誤差42.16%および40.36%を含んでいた。対照的に、本願の再構成プロセスを使って生成された
図10および
図11に示される画像が含んでいた相対誤差は、それぞれたった15.81%、15.00%であった。
【0132】
同様に、シフトなしで回転のみを使う3Dらせんを使って本プロセスが実行されることもできる。すなわち、式(23)および(24)においてΦ=0と設定するのである。下記の表1は、64×64×64立方体体積に基づく、対称回転(式(23))および非対称回転(式(24))を使った、シフトあり(Φ≠0)およびシフトなし(Φ=0)のサンプリング・パターンの比較を示している。
【0133】
【表1】
表1から、葉間(interleaf)シフトのある3Dらせんを使うと、シフトなしの場合よりあらゆる側面でよりよい結果が得られることが観察できる。シフトを使う二つのマスクの間では、非対称な回転を使う結果のほうが、対称的な回転を使った場合よりも、あらゆる側面においてわずかによい。
【0134】
本願の画像取得および再構成プロセスのためのk空間サンプリング・パターンの生成のための本願で開示されるアプローチがこれで実証された。この新たなアプローチは、渦巻き平面の回転の際にシフト角を変化させ、たとえ同数の渦巻きを使う場合であってもk空間サンプリング比をより高いレベルに改善する。
【0135】
本稿で開示されるモデルおよびアルゴリズムを使ったさらなる2D結果が以下で記述される。関連付けられた図示された再構成は128×128ピクセル画像についてであり、必要な計算時間はMatlabにおける実装について2秒未満である。
【0136】
図12ないし
図15は、k空間の渦巻きサンプリングによる画像再構成の例を与える。
図12〜
図14に示される例では、k空間サンプリングはk領域の13%をカバーする。これは臨床スキャナで約11msで取得できる。
図15に示される例では、k空間サンプリングはk領域の54.29%をカバーする。
【0137】
より具体的には、
図12は頭部および頸部のアキシャル0.35テスラ(T)MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図12のAは、もとのベースライン画像を示す。
図12のBは、
図12のDに示される画像を生成するために
図12のAに示される画像のk空間のサンプリングのために使われた疎な渦巻き線を示す。
図12のCは、逆投影技法を使って生成されたときの結果として得られる画像を示す。これは79.29%の相対誤差をもつ。
図12のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、これはずっと低い6.68%の相対誤差をもつ。
【0138】
図13は前立腺のアキシャル0.35T MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図13のAは、もとのベースライン画像を示す。
図13のBは、
図13のDに示される画像を生成するために
図13のAに示される画像のk空間のサンプリングのために使われた疎な渦巻き線を示す。
図13のCは、逆投影技法を使って生成されたときの結果として得られる画像を示す。これは62.93%の相対誤差をもつ。
図13のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、これはずっと低い7.40%の相対誤差をもつ。
【0139】
図14は胸郭のアキシャル0.35T MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図14のAは、もとのベースライン画像を示す。
図14のBは、
図14のDに示される画像を生成するために
図14のAに示される画像のk空間のサンプリングのために使われた疎な渦巻き線を示す。
図14のCは、逆投影技法を使って生成されたときの結果として得られる画像を示す。これは70.74%の相対誤差をもつ。
図14のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、これはずっと低い8.41%の相対誤差をもつ。
【0140】
図15は、複素画像データおよび二つの等間隔の渦巻き線を使った、脳のアキシャル0.35T MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図15のAは、もとのベースライン画像を示す。
図15のBは、
図15のDに示される画像を生成するために
図15のAに示される画像のk空間のサンプリングのために使われた二つの疎な渦巻き線を示す。
図15のCは、逆投影技法を使って生成されたときの結果として得られる画像を示す。これは7.74%の相対誤差をもつ。
図15のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、これはより低い5.93%の相対誤差をもつ。
【0141】
図16は、k領域の25%未満しかカバーしないk空間の疎な放射状サンプリングによる画像再構成の例を示している。改善された相対誤差に加え、
図16のC、D、
図17のC、D、
図18のC、D、
図19のC、Dにおける画像生成における本願で開示されるアルゴリズムの使用は、4倍強の画像取得速度の増加を実証した。
【0142】
図16は頭部および頸部のアキシャル0.35T MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図16のAは、もとのベースライン画像を示す。
図16のBは、
図16のCおよびDに示される画像を生成するために29本の軌跡を使って
図16のAに示される画像のk空間のサンプリングのために使われた疎な放射状パターンを示す。
図16のCは、l=0ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、
図16のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示す。
図16のCおよびDの画像はそれぞれ8.47%および6.78%の相対誤差をもつ。
【0143】
図17は前立腺のレベルにおける骨盤のアキシャル0.35T MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図17のAは、もとのベースライン画像を示す。
図17のBは、
図17のCおよびDに示される画像を生成するために29本の軌跡を使って
図17のAに示される画像のk空間のサンプリングのために使われた疎な放射状パターンを示す。
図17のCは、l=0ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、
図17のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示す。
図17のCおよびDの画像はそれぞれ6.62%および5.75%の相対誤差をもつ。
【0144】
図18は肺のレベルでの胸郭のアキシャル0.35T MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図18のAは、もとのベースライン画像を示す。
図18のBは、
図18のCおよびDに示される画像を生成するために29本の軌跡を使って
図18のAに示される画像のk空間のサンプリングのために使われた疎な放射状パターンを示す。
図18のCは、l=0ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、
図18のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示す。
図18のCおよびDの画像はそれぞれ8.57%および6.43%の相対誤差をもつ。
【0145】
図19は脳のアキシャル0.35T MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図19のAは、もとのベースライン画像を示す。
図19のBは、
図19のCおよびDに示される画像を生成するために29本の軌跡を使って
図19のAに示される画像のk空間のサンプリングのために使われた疎な放射状パターンを示す。
図19のCは、l=0ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、
図19のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示す。
図19のCおよびDの画像はそれぞれ9.70%および8.30%の相対誤差をもつ。
【0146】
次に、
図20〜
図22は、ハーフフーリエ技法の使用を含む例を示している。ここで、当技術分野で知られている諸方法により位相補正が決定され、よって複素画像ではなく、実画像が再構成できる。
図20のC、D、
図21のC、D、
図22のC、D、
図23のC、Dに示される再構成画像は、領域のたった25%未満をカバーするk空間の疎な放射状サンプリングを使って生成されており、4倍強の画像取得速度の増加を実証している。
【0147】
図20は、ハーフフーリエ技法を使った、頭部および頸部のアキシャル0.35T MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図20のAは、もとのベースライン画像を示す。
図20のBは、
図20のCおよびDに示される画像を生成するためにk空間の半分を通る22本の軌跡を使って
図20のAに示される画像のk空間のサンプリングのために使われた疎な放射状パターンを示す。
図20のCは、l=0ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、
図20のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示す。
図20のCおよびDの画像はそれぞれ36.80%および16.05%の相対誤差をもつ。このように、部分フーリエ技法と組み合わせたときは、l=2ノルムのほうがよい再構成を与えた。
【0148】
図21は、ハーフフーリエ技法を使った、前立腺のレベルでの骨盤のアキシャル0.35T MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図21のAは、もとのベースライン画像を示す。
図21のBは、
図21のCおよびDに示される画像を生成するために
図21のAに示される画像のk空間の半分を通る22本の軌跡を使ってk空間のサンプリングのために使われた疎な放射状パターンを示す。
図21のCは、l=0ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、
図21のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示す。
図21のCおよびDの画像はそれぞれ28.58%および10.31%の相対誤差をもつ。このように、部分フーリエ技法と組み合わせたときは、またもやl=2ノルムのほうがよい再構成を与えた。
【0149】
図22は、ハーフフーリエ技法を使った、肺のレベルにおける胸郭のアキシャル0.35T MR画像のための画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図22のAは、もとのベースライン画像を示す。
図22のBは、
図22のCおよびDに示される画像を生成するために
図22のAに示される画像のk空間の半分を通る22本の軌跡を使ってk空間のサンプリングのために使われた疎な放射状パターンを示す。
図22のCは、l=0ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示し、
図22のDは、l=2ノルムをもつ開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示す。
図22のCおよびDの画像はそれぞれ45.62%および11.75%の相対誤差をもつ。
【0150】
部分フーリエ技法と組み合わされるとき、重み付けされたl
2ノルムが最良の再構成を与える。どちらの技法ももとのオブジェクトに似た再構成されたオブジェクトを生じるが、l
2ノルムは、コントラストを保持し、大きな不連続性にペナルティを与えないことにおいてよりすぐれた性能をもつ。l
0ノルムにおけるホモトピック緩和は、収束に難があるようであり、フルk空間の疎なサンプリングに対して、より好適である。
【0151】
一般に、本願で開示される再構成プロセスは、複素または実のオブジェクトの再構成で機能できる。測定されたデータは典型的には複素オブジェクトと整合する情報を提供する。実際には、撮像されるオブジェクトは実であり、実オブジェクトと整合するよう測定されたデータを修正できる位相シフトが存在する。本願で開示されるアルゴリズムは典型的には、実オブジェクトを再構成するときによりよい性能を発揮する。複素オブジェクトと整合する測定データから位相因子を決定するための既知の諸方法が当技術分野に存在する。k空間の原点を通過する放射状および渦巻き状の軌跡はいずれも、測定されたオブジェクトを実オブジェクトと整合させるための位相マップを決定または推定するために使用できる、共役な対称k空間データ
【0153】
本願で開示される画像再構成技法は、MR撮像におけるパラレルイメージング技法の場合のような追加的な取得電子系チャンネルを必要とすることなく、画像取得を加速するプロセスを提供する。パラレルイメージング技法とは対照的に、本願の方法は、似たような加速において、より少ないアーチファクトおよびよりよい信号対雑音特性とともに、よりすぐれた画像忠実度を実証した。均等な理想的条件のもとで、画像の信号対雑音比は約2倍よくなった。
【0154】
たとえば、
図23は、加速因子約R=3での、平均信号中に組み合わされたシミュレートされた8チャンネル・コイルのk空間からの脳の画像についての画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図23のAはもとのベースライン画像を示す。
図23のBは、
図23のDに示される画像を生成するための
図23のAに示される画像のk空間の33%のサンプリングのために使われる、疎な放射状パターンを示している。
図23のCは、逆投影技法を使った場合の結果として得られる画像を示しており、これは13.95%の相対誤差をもつ。
図23のDは開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示す。これは相対誤差が1.83%とより低く、信号対雑音比は11.1である。
【0155】
図24は、加速因子約R=3での、4本の自己較正信号(ACS: autocalibration signal)ラインをもつGRAPPA(GeneRalized Autocalibrating Partially Parallel Acquisitions[一般化自己較正式部分パラレル取得])(すなわち、ACSラインを含めてk空間の33%)を使ったシミュレートされた8チャンネル・コイルのk空間からの脳の画像についての画像再構成プロセスに関連する画像の例を示している。
図24のAはもとのベースライン画像を示す。
図24のBは、
図24のDに示される画像を生成するためのk空間のサンプリングのために使われる、平行線からなる疎なパターンを示している。
図24のCは、逆投影技法を使った場合の結果として得られる画像を示しており、これは18.35%の相対誤差をもつ。
図24のDは開示されるアルゴリズムを使った場合の結果として得られる画像を示す。これは相対誤差が7.82%とより低く、信号対雑音比は11.1である。
【0156】
このように、本開示は、撮像されるオブジェクトの先験的な物理的属性の多基準最適化および測定された周波数サンプルとの最小二乗での一致を実行することによる、不完全な測定された周波数サンプルからの画像再構成のための一般的モデルを提供する。オブジェクトに存在していると知られている先験的な物理的属性は、画像の変動にわたる画像強度の全変動(TV)の離散化のl=0、l=1またはl=2ノルムを介して最適化されることができる。それにより、区分ごとに一定だが、同時にノルム重み付け因子M
lを介して大きな不連続性にペナルティを与えない画像が生成される。最小二乗項は重み付け因子
【0157】
【数46】
を含む。これにより、取得の周波数および時間をもって調整されることのできる、各測定された点の重要度の推定が許容される。
【0158】
本開示は、ノルムの選択(l=0、l=1またはl=2)に依存する、モデルの高速な数値解法のためのアルゴリズムを提供する。l=0ノルムについては、本解法は、l=0の準ノルムのホモトピック最小化によって近似できる。本アルゴリズムは、明示的に、MRIで遭遇されるような虚オブジェクトの再構成を含むことができる。最小二乗項は、格子上で、あるいは直接的なsinc補間によって評価されることができる。
【0159】
また、再構成忠実度を改善するためのk空間サンプリング・パターンおよび戦略が開示される。本開示は、2Dおよび3Dのk空間疎サンプリング・パターンを含む。放射状の疎k空間パターンは、いかなる型の断層撮影画像を再構成するために使用されることもできる。デカルト式の疎k空間パターンは多様な画像、たとえばMR画像を再構成するために使用されることができる。渦巻き状のパターンは、多様な画像、たとえばMR画像を再構成するために、k空間において一様にまたは確率論的に配置されることができる。画像品質を改善するために、k空間の中心においてより密なサンプリングが実行できる。反復される取得またはシネ取得では、各取得毎にパターンを変えたり、置換(permute)したりしてもよい。いくつかの型の画像再構成、たとえばMR画像再構成については、渦巻き状のパターンは、一様にまたは確率論的に配置されたデカルト式または放射状の軌跡と組み合わされることができる。
【0160】
図25は、撮像システム300のブロック図を示している。
図1および
図2に示されるような画像再構成アルゴリズムは、
図3〜
図5および
図12〜
図24に示されるようなk空間サンプリング・パターンと組み合わされて、画像捕捉システム302によって生成されるk空間データから画像または一連の画像を生成するために使用できる。画像捕捉システム302は、撮像システム300と一体であってもよいし、あるいは画像捕捉システム302とは別個であってもよい。画像捕捉システム302は、2Dおよび/または3D画像を含むことのできる画像を取得し、取得された画像の対応するk空間データを提供することのできる装置を含んでいてもよい。画像捕捉システム302として使用されることのできる、あるいは構成要素が画像捕捉システム302の構成要素として使用されることのできる従来システムの例は、これに限られないが、X線またはガンマ線断層撮影を使う計算機断層撮影(CTまたはCATスキャン)、共焦点レーザー走査顕微鏡法(LSCM: confocal laser scanning microscopy)、低温電子断層撮影(Cryo-ET: cryo-electron tomography)、静電容量断層撮影(ECT: electrical capacitance tomography)、電気抵抗率断層撮影(ERT: electrical resistivity tomography)、電気インピーダンス断層撮影(EIT: electrical impedance tomography)、機能的磁気共鳴撮像(fMRI: functional magnetic resonance imaging)、磁気誘導断層撮影(MIT: magnetic induction tomography)、磁気共鳴撮像(MRI: magnetic resonance imaging)(かつては磁気共鳴断層撮影(MRT: magnetic resonance tomography)または核磁気共鳴断層撮影として知られた)、中性子断層撮影、光コヒーレンス断層撮影(OCT: optical coherence tomography)、光投影断層撮影(OPT: optical projection tomography)、プロセス断層撮影(PT: process tomography)、陽電子放出断層撮影(PET: positron emission tomography)、陽電子放出断層撮影‐計算機断層撮影(PET-CT)、量子断層撮影、単一光子放出計算機断層撮影(SPECT: single photon emission computed tomography)、地震波断層撮影(seismic tomography)、超音波撮像(US: ultrasound imaging)、超音波支援光断層撮影(UAOT: ultrasound assisted optical tomography)、超音波透過断層撮影(ultrasound transmission tomography)、光学音響断層撮影(OAT: optoacoustic tomography)としても知られる光音響断層撮影(PAT: photoacoustic tomography)もしくは熱音響断層撮影(TAT: thermoacoustic tomography)およびゼーマン・ドップラー撮像のためのシステムを含む。
【0161】
撮像システム300は、画像の再構成のための命令304を含む。命令304は、メモリ306内に記憶されたソフトウェア命令を含むことができる。命令304が記憶されるメモリ306は、リムーバブル・メモリ、たとえばコンパクト・ディスク(CD)またはデジタル・ビデオ・ディスク(DVD)および/または固定メモリ、たとえば読み出し専用メモリ(ROM)チップまたはハード・ドライブを含むことができる。メモリ306は撮像システム300にローカルであるように示されているが、代替的に、命令304を記憶するメモリ306の一部または全部が撮像システム300の外部である、たとえば外付けハード・ドライブまたは撮像システム300にネットワークおよび/またはインターネットを介して接続されたリモート・システムの形であることもできる。
【0162】
撮像システム300は、中央処理装置(CPU: central processing unit)またはグラフィック処理装置(GPU: Graphic Processing Unit)であることのできるコンピューティング・ユニット308と、ユーザー・インターフェース310と、入出力(I/O)インターフェース312とを含む。コンピューティング・ユニット308は、命令302に従って動作を実行するよう動作できる。コンピューティング・ユニット308は、撮像システム300にローカルであってもよいし、および/または一つまたは複数のローカルおよび/またはリモートにネットワーク接続されたコンピュータ・システムの間に分散されていてもよい、一つまたは複数のプロセッサを含むことができる。コンピューティング・ユニット308は、ユーザー・インターフェース310、入出力(I/O)インターフェース312および/または画像捕捉システム302の一つまたは複数の動作を制御することもできる。ユーザー・インターフェース310はユーザーへの出力情報のための装置、たとえばディスプレイおよび/またはプリンタや、ユーザーから入力を受け取るための装置、たとえばキーボード、タッチスクリーンおよび/またはマウスを含むことができる。I/Oインターフェース312は、外部画像捕捉システム302を含むことができる外部装置との通信を許容するために、一つまたは複数の通信ポート、たとえばユニバーサル・シリアル・バス(USB)ポートおよび/またはネットワーク接続装置、たとえばネットワーク・アダプターおよび/またはモデムを含むことができる。
【0163】
たとえば、撮像システム300のいくつかの実施形態は、たとえばここに参照によって組み込まれるDempseyへの米国特許出願公開第2005/0197564号に開示される、治療モニタリング、制御および検証のための実質的に同時な撮像ができるMRIシステムを含むことができる。開示される技法の画像案内放射線療法との組み合わせは、患者セットアップのためのより高速な画像を生成することができる。また、開示される技法の画像案内放射線療法との組み合わせは、MVおよびX線CTのための患者へのより少ない電離放射線線量で画像を生成することができる。
【0164】
開示される原理に基づくさまざまな実施形態が上記で記述されているが、これらはあくまでも例として呈示されているのであって、限定するものではないことを理解しておくべきである。よって、本発明の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、請求項および本開示から出てくるその等価物に基づいてのみ定義されるべきである。さらに、記載される実施形態において上記の利点および特徴が与えられているが、これらは特許された発明の適用を、上記の利点のいずれかまたは全部を達成するプロセスおよび構造に限定するものではない。
【0165】
さらに、連邦規則集37第1.77節のもとでの示唆に合わせるためまたは他の理由で編成上の手がかりを与えるために、本稿ではセクション見出しが与えられている。これらの見出しは本開示から発しうるいかなる請求項に述べられる発明も限定したり、特徴付けたりするものではない。具体的には、たとえば、見出しが「技術分野」を述べていても、請求項は、いわゆる技術分野を記述するためにこの見出しのもとで選ばれている言辞によって限定されるべきではない。さらに、「背景技術」における技術の説明は、その技術が本開示におけるいかなる発明に対する従来技術であるとの自認とも解釈するべきではない。「概要」も発行された特許に記載される発明の特徴付けと考えるべきではない。さらに、本開示において単数形で「発明」という言い方がされていたとしても、本開示に新規性のある点が一つだけであると論じるために使うべきではない。本開示から出てくる複数の請求項の限定に従って、複数の発明が規定されうるのであって、そのような請求項は、しかるべく、保護される発明(単数または複数)およびその等価物を定義する。あらゆる事例において、そのような請求項の範囲は、本開示に照らして請求項自身の価値において考えるべきであって、本稿に記載される見出しによって制約されるべきではない。
【0166】
いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
画像を生成する方法であって:
撮像されるオブジェクトのk空間データ・セットを取得する段階と;
前記k空間データ・セットの一部を収集する段階と;
前記k空間データ・セットの収集された一部から凸最適化モデルに従って画像を再構成する段階とを含む、
方法。
〔態様2〕
前記凸最適化モデルが、前記k空間データ・セット内の期待されるノイズ属性を表す重み付け因子を含む、態様1記載の方法。
〔態様3〕
前記凸最適化モデルが、撮像されるオブジェクトの先験的属性を表す重み付け因子を含む、態様1記載の方法。
〔態様4〕
前記k空間データ・セットの一部を収集する前記段階は、データ収集パターンに従ってデータを収集することを含む、態様1記載の方法。
〔態様5〕
前記データ収集パターンが渦巻きパターンを含む、態様4記載の方法。
〔態様6〕
前記データ収集パターンが放射状パターンを含む、態様4記載の方法。
〔態様7〕
前記データ収集パターンが複数の平行なサンプリング線を含む、態様4記載の方法。
〔態様8〕
凸最適化モデルに従って画像を再構成する前記段階が、画像強度の全変動の離散化のl=0ノルムの近似を使って画像データを生成することを含む、態様1記載の方法。
〔態様9〕
画像データを生成する前記段階が、対話的なプロセスを実行することを含み、該逐次反復プロセスの反復工程は、ホモトピック・パラメータの値を更新し、二次緩和パラメータの値を更新することを含む、態様8記載の方法。
〔態様10〕
前記ホモトピック・パラメータおよび前記二次緩和パラメータのそれぞれの値は、所定の関係に従って互いとの関係において固定されている、態様9記載の方法。
〔態様11〕
態様10記載の方法であって、前記逐次反復プロセスの各反復工程は、
所定のレートに従って前記二次緩和パラメータの値を大きくし、
前記二次緩和パラメータの値および前記二次緩和パラメータと前記ホモトピック・パラメータの間の前記所定の関係に従って前記ホモトピック・パラメータの値を小さくすることを含む、
方法。
〔態様12〕
前記逐次反復プロセスが外側の逐次反復プロセスであり、前記外側の逐次反復プロセスの各反復工程は、内側の逐次反復プロセスの一回または複数回の反復工程を含む、態様9記載の方法。
〔態様13〕
前記内側の逐次反復プロセスの各反復工程は、前記ホモトピック・パラメータの値および前記二次緩和パラメータの値に少なくとも部分的に基づいて、緩和変数の値を更新することを含む,態様12記載の方法。
〔態様14〕
前記内側の逐次反復プロセスの各反復工程は、前記緩和変数の値に少なくとも部分的に基づいて画像データを更新することを含む、態様13記載の方法。
〔態様15〕
凸最適化モデルに従って画像を再構成する前記段階が、画像強度の全変動の離散化のl=1ノルムまたは画像強度の全変動の離散化のl=2ノルムのうちの一方を使って画像データを生成することを含む、態様1記載の方法。
〔態様16〕
画像データを生成する前記段階が対話的なプロセスを実行することを含み、該逐次反復プロセスの反復工程は、再構成された画像における不連続にペナルティを与えることを防ぐため、ノルム重み付け因子の値を更新することを含む、態様15記載の方法。
〔態様17〕
前記ノルム重み付け因子は、平滑化された画像データに少なくとも部分的に基づく、態様16記載の方法。
〔態様18〕
前記ノルム重み付け因子の値の更新は、ガウシアン・カーネルを使って平滑化された画像データを生成することを含む、態様17記載の方法。
〔態様19〕
前記逐次反復プロセスは外側の逐次反復プロセスであり、前記外側の逐次反復プロセスの各反復工程は、内側の逐次反復プロセスの一回または複数回の反復工程を含む、態様16記載の方法。
〔態様20〕
前記内側の逐次反復プロセスの各反復工程は、前記ホモトピック・パラメータの値および前記二次緩和パラメータの値に少なくとも部分的に基づいて、緩和変数の値を更新することを含む、態様19記載の方法。
〔態様21〕
前記内側の逐次反復プロセスの各反復工程は、前記緩和変数の値に少なくとも部分的に基づいて画像データを更新することを含む、態様20記載の方法。
〔態様22〕
画像を再構成する前記段階は、撮像されたオブジェクトを表す画像データを生成することを含む、態様1記載の方法。
〔態様23〕
画像を再構成する前記段階は、ディスプレイ、プリンタおよびメモリ・デバイスのうちの少なくとも一つに画像データを出力することを含む、態様22記載の方法。
〔態様24〕
画像を生成する方法であって:
撮像されるオブジェクトのk空間データ・セットを取得する段階と;
所定のデータ収集パターンに従って前記k空間データ・セットのサブセットを収集し、それによりサンプリングされたk空間データ・セットを生成する段階と;
前記サンプリングされたk空間データ・セットを使って画像データの第一の集合を生成する段階と;
画像データの前記第一の集合を使って逐次反復プロセスを実行して画像データの第二の集合を生成する段階とを含み、
前記逐次反復プロセスは、画像データの前記第一の集合からの画像データを、複数の重み付け因子に従って、前記サンプリングされたk空間データ・セットからのk空間データと組み合わせることを含む最適化モデルに従って、画像データの前記第一の集合を修正することを含む、
方法。
〔態様25〕
画像データの前記第一の集合を、前記k空間データ・セットの前記一部の逆フーリエ変換に少なくとも部分的に基づいて生成することをさらに含む、態様24記載の方法。
〔態様26〕
前記複数の重み付け因子は、前記画像データの諸属性についての重要度重み付け因子を含む、態様24記載の方法。
〔態様27〕
前記複数の重み付け因子は、前記画像データの異なる属性にそれぞれの重みを適用するための重み付け因子を含む、態様24記載の方法。
〔態様28〕
前記複数の重み付け因子は、前記画像データ中の大きな不連続にペナルティを与えるのを防ぐために、ノルム重み付け因子を含む、態様24記載の方法。
〔態様29〕
画像を生成する方法であって:
磁気共鳴撮像システムからk空間データ・セットを受領する段階と;
所定のデータ収集パターンに従って前記k空間データ・セットのサブセットを収集する段階であって、前記所定のデータ収集パターンは渦巻きパターンを含む、段階と;
前記サンプリングされたk空間データ・セットを使って画像データの第一の集合を生成する段階と;
画像データの前記第一の集合を使って逐次反復プロセスを実行して画像データの第二の集合を生成する段階とを含み、
前記逐次反復プロセスは、画像データの前記第一の集合からの画像データを、複数の重み付け因子に従って、前記サンプリングされたk空間データ・セットからのk空間データと組み合わせることを含む最適化モデルに従って、画像データの前記第一の集合を修正することを含む、
方法。
〔態様30〕
画像データの前記第一の集合を、前記k空間データ・セットの前記一部の逆フーリエ変換に少なくとも部分的に基づいて生成することをさらに含む、態様29記載の方法。
〔態様31〕
前記複数の重み付け因子は、前記画像データの諸属性についての重要度重み付け因子を含む、態様29記載の方法。
〔態様32〕
前記複数の重み付け因子は、前記画像データの異なる属性にそれぞれの重みを適用するための重み付け因子を含む、態様29記載の方法。
〔態様33〕
前記複数の重み付け因子は、前記画像データ中の大きな不連続にペナルティを与えるのを防ぐために、ノルム重み付け因子を含む、態様29記載の方法。
〔態様34〕
画像を生成する撮像システムであって:
撮像されるオブジェクトのk空間データ・セットを受領し、記憶するメモリと;
前記k空間データ・セットの一部を収集し、凸最適化モデルに従って前記k空間データ・セットの収集された一部から画像を再構成するコンピューティング・ユニットとを有する、
システム。
〔態様35〕
前記凸最適化モデルは、前記k空間データ・セット内の期待されるノイズ属性を表す重み付け因子を含む、態様34記載のシステム。
〔態様36〕
前記凸最適化モデルは、撮像されるオブジェクトの先験的属性を表す重み付け因子を含む、態様34記載のシステム。
〔態様37〕
前記コンピューティング・ユニットは、画像強度の全変動の離散化のl=0ノルムの近似を使って画像データを生成する、態様34記載のシステム。
〔態様38〕
前記コンピューティング・ユニットは、対話的なプロセスを使って前記画像データを生成し、該逐次反復プロセスの反復工程は、ホモトピック・パラメータの値を更新し、二次緩和パラメータの値を更新することを含む、態様37記載のシステム。
〔態様39〕
前記ホモトピック・パラメータおよび前記二次緩和パラメータのそれぞれの値は、所定の関係に従って互いとの関係において固定されている、態様38記載のシステム。
〔態様40〕
前記コンピューティング・ユニットは、画像強度の全変動の離散化のl=1ノルムまたは画像強度の全変動の離散化のl=2ノルムのうちの一方を使って前記画像データを生成する、態様34記載のシステム。
〔態様41〕
前記コンピューティング・ユニットは、対話的なプロセスを使って前記画像データを生成し、該逐次反復プロセスの反復工程は、再構成された画像における不連続にペナルティを与えることを防ぐため、ノルム重み付け因子の値を更新することを含む、態様40記載のシステム。
〔態様42〕
前記ノルム重み付け因子は、平滑化された画像データに少なくとも部分的に基づく、態様41記載のシステム。
〔態様43〕
前記コンピューティング・ユニットは、撮像されるオブジェクトを表す画像データを生成する、態様34記載のシステム。
〔態様44〕
前記コンピューティング・ユニットは、ディスプレイ、プリンタおよびメモリ・デバイスのうちの少なくとも一つに前記画像データを出力する、態様43記載のシステム。
〔態様45〕
前記k空間データ・セットは、磁気共鳴撮像(MRI)システムによって生成される、態様34記載のシステム。
〔態様46〕
画像を生成する撮像システムであって:
撮像されるオブジェクトのk空間データ・セットを受領し、記憶するメモリと;
所定のデータ収集パターンに従って前記k空間データ・セットのサブセットを収集し、それによりサンプリングされたk空間データ・セットを生成し、
前記サンプリングされたk空間データ・セットを使って画像データの第一の集合を生成し、
画像データの前記第一の集合を使って逐次反復プロセスを実行して画像データの第二の集合を生成する
コンピューティング・ユニットとを有しており、
前記逐次反復プロセスは、画像データの前記第一の集合からの画像データを、複数の重み付け因子に従って、前記サンプリングされたk空間データ・セットからのk空間データと組み合わせることを含む最適化モデルに従って、画像データの前記第一の集合を修正することを含む、
システム。
〔態様47〕
画像捕捉システムから前記k空間データ・セットを受領するためのインターフェースをさらに有する、態様46記載のシステム。
〔態様48〕
画像捕捉システムをさらに有する、態様46記載のシステム。
〔態様49〕
前記所定のデータ収集パターンが渦巻きパターンを含む、態様46記載のシステム。
〔態様50〕
前記k空間データ・セットは、磁気共鳴撮像(MRI)システムによって生成される、態様49記載のシステム。