特許第6674429号(P6674429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6674429エアロゾル生成が改善されたエアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674429
(24)【登録日】2020年3月10日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】エアロゾル生成が改善されたエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20200323BHJP
【FI】
   A24F47/00
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-195844(P2017-195844)
(22)【出願日】2017年10月6日
(62)【分割の表示】特願2014-537615(P2014-537615)の分割
【原出願日】2012年10月25日
(65)【公開番号】特開2018-15004(P2018-15004A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年11月6日
(31)【優先権主張番号】11250875.9
(32)【優先日】2011年10月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】フリック ジャン−マルク
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−515093(JP,A)
【文献】 特表2010−506594(JP,A)
【文献】 特表2001−502542(JP,A)
【文献】 特表2006−524494(JP,A)
【文献】 特開2008−079378(JP,A)
【文献】 特開2003−334168(JP,A)
【文献】 特開2001−128462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気加熱式喫煙装置におけるエアロゾル生成を制御する方法であって、
前記装置が、
少なくとも1つの加熱要素を含む加熱器と、
前記加熱要素に電力を提供するための電源と、
を備え、前記方法が、
前記加熱要素の温度を決定する段階と、
前記加熱要素の温度を単一の所望温度に又は許容可能な温度範囲内に維持するように前記加熱要素への電力を調整する段階と、
を含み、前記単一の所望温度又は前記許容可能な温度範囲が、前記装置を通る又は通過する気体の測定された流量に基づいて設定され、
前記単一の所望温度又は前記許容可能な温度範囲は、前記加熱要素の作動後の一定時間にて測定された流量に、又は、前の加熱サイクルを通じて算出された平均流量に、又は、前記加熱要素の作動後の一定期間を通じて算出された累積流量に基づく、方法。
【請求項2】
前記単一の所望温度又は前記許容可能な温度範囲が、前記装置に受けられるエアロゾル形成基材の組成に依存する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電力を調整する段階が、前記加熱要素が前記単一の所望温度又は前記許容可能な温度範囲内の特定温度に達したときにのみ実行される、請求項1から2の何れかに記載の方法。
【請求項4】
前記電力を調整する段階が、予め定められた閾値流量を超える気体の前記装置を通る流れの検出の後に指定時間が経過した後のみ実行される、請求項1から3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記調整段階の後に、流量に関連して算出されたパラメータに基づいて、前記加熱要素への電力を遮断又は低減させる段階を更に含む、請求項1から4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記加熱要素への電力を調整する段階が、パルス状電力信号の周波数変調又はパルス幅変調を調整する段階を含む、請求項1から5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
前記加熱要素は、エアロゾル形成チャンバ内に収容されている、請求項1から6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
電気加熱式喫煙装置であって、
基材からエアロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱要素と、
前記加熱要素に電力を供給するための電源と、
前記電源から前記少なくとも1つの加熱要素への電力供給を制御するための電気回路と、
を備え、前記電気回路が、前記加熱要素の温度を決定し、前記加熱要素の温度を単一の所望温度に又は許容可能な温度範囲内に維持するように前記加熱要素への電力を調整するように構成され、前記単一の所望温度又は前記許容可能な温度範囲が、前記装置を通る又は通過する気体の測定された流量に基づいて設定され、
前記単一の所望温度又は前記許容可能な温度範囲は、前記加熱要素の作動後の一定時間にて測定された流量に、又は、前の加熱サイクルを通じて算出された平均流量に、又は、前記加熱要素の作動後の一定期間を通じて算出された累積流量に基づく、電気加熱式喫煙装置。
【請求項9】
前記喫煙装置が、気体の流れが前記基材を通過できるように構成され、前記基材を通過する気体の流れを検出するための流量センサを備え、前記電気回路が、前記流量センサの出力に基づいて前記加熱要素への電力の供給を制御するように構成される、請求項8に記載の電気加熱式喫煙装置。
【請求項10】
前記加熱要素は、エアロゾル形成チャンバに収容されている、請求項8又は9に記載の電気加熱式喫煙装置。
【請求項11】
請求項1の方法を実行するように構成された、電気作動式エアロゾル発生装置のための電気回路。
【請求項12】
電気作動式エアロゾル発生装置のためのプログラム可能な電気回路で実行されたときに、前記プログラム可能な電気回路が請求項1からの何れかの方法を実行するようにする、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12のコンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成を制御するための方法に関する。本発明は更に、エアロゾル発生システムに関し、より詳細には電気作動式エアロゾル発生システムに関する。本発明は、特に、電気作動式喫煙システムの少なくとも1つの電気要素によってエアロゾル発生システムにおけるエアロゾル生成を制御する方法に適用される。
【0002】
国際公開特許第2009/132793号では、電気加熱式喫煙システムを開示している。液体は、液体貯蔵部に貯蔵され、毛細管芯は、液体貯蔵部内に延びて内部の液体と接触する第1の端部と、液体貯蔵部から外に延びた第2の端部と、を有する。加熱要素は、毛細管芯の第2の端部を加熱する。加熱要素は、電源と電気的に接続された螺旋巻き電気加熱要素の形態であり、毛細管芯の第2の端部を囲む。使用時には、加熱要素は、ユーザが電源のスイッチを入れることによって作動させることができる。ユーザがマウスピースを吸引することにより、空気が毛細管芯及び加熱要素を介して電気加熱式喫煙システム内に吸い込まれ、その後ユーザの口腔に入る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開特許第2009/132793号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、このような電気加熱式エアロゾル発生システムの電気加熱要素に提供される電力量を制御する、改善された方法を提供することである。
【0005】
エアロゾル発生装置に関する特定の問題の1つは、装置を通る流量の変動があっても一貫した特性を有するエアロゾルを発生させることである。例えば、ユーザの吸入によって空気流量が発生する装置において、装置を通る流量の変動は、ユーザによる単一の吸入の過程で、又はある吸入から次の吸入までの間に生じる可能性がある。
【0006】
装置を通る空気などの気体の空気流量の変動に関係なく、常に同じ液滴直径及び密度を有するエアロゾルを発生させることが有利となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、エアロゾル発生装置におけるエアロゾル生成を制御する方法が提供され、本装置は、
少なくとも1つの加熱要素を含む加熱器と、
加熱要素に電力を与えるための電源と、を備え、本方法が、
加熱要素の温度を決定する段階と、
加熱要素の温度を所望温度範囲内に維持するように加熱要素への電力を調整する段階と、を含み、所望温度範囲は、装置を通る又は通過する気体の測定された流量に基づいて動的に算出される。
【0008】
本装置は、ユーザ吸入によって空気流を発生できるように構成されるのが好ましい。また、本装置は、電気加熱式喫煙システムとすることができる。
【0009】
エアロゾルは、空気などの気体中の固体粒子又は液滴の懸濁体である。基材を気化させるための加熱要素を用いてエアロゾルを生成する場合には、エアロゾル生成の速度、及び生成されるエアロゾルの特性は、加熱要素の温度に依存する。加熱要素の温度は、加熱要素に供給される電力だけでなく、環境要因によっても決定される。詳細には、加熱要素を通過する気体の流量は、加熱要素の冷却に大きな影響を及ぼす。
【0010】
空気流量が変動するシステムの1つの実施例は、電気作動式喫煙システムのような、ユーザの吸入によって空気流が発生するシステムである。装置を通る流量の変動は、ユーザによる単一の吸入の過程で、又はある吸入から次の吸入までの間に生じる可能性がある。ユーザが異なれば吸入動作も異なり、一人のユーザでも時間が異なれば吸入動作が異なる可能性がある。吸入動作の相違は、単一の吸入中に発生することがあるが、吸入毎でも発生する可能性がある。従って、異なるユーザ及び異なる吸入動作を補正する制御方法を有することが望ましい。
【0011】
加熱要素の所望温度範囲は、単一の所望温度からなることができる。代替として、加熱要素の所望温度範囲は、例えば数十°Cの範囲に及ぶ場合がある。温度の許容可能範囲は、所望特性を有するエアロゾルを形成できる温度である。温度が高すぎるとエアロゾル内に望ましくない化学物質が形成される可能性があり、温度が低すぎると、基材が十分に気化されず、エアロゾル内の液滴直径が大きくなりすぎる可能性がある。
【0012】
所望温度範囲は、エアロゾル形成基材の組成に依存することができる。基材が異なれば気化のエンタルピーが異なり、異なる温度で化学分解する問題が生じることになる。従って、本方法は更に、エアロゾル形成基材の特性又は識別情報を決定し、特性又は識別情報に基づいて所望温度範囲を算出又は選択する段階を含むことができる。例えば、エアロゾル形成基材の特性を決定する段階は、エアロゾル形成基材のハウジング内又はハウジング上に形成されたエアロゾル形成基材の識別情報の指標を読み取る段階を含むことができる。基材の識別情報が決定されると、エアロゾル基材の特定の識別情報に関する温度範囲のデータベースから所望温度範囲を選択することができる。エアロゾル形成基材の識別情報の指標は、例えば、バーコード又は他の表面指標、基材ハウジングの形状又はサイズなどの特性とすることができ、或いは、基材ハウジングと関連する特性抵抗又は電気的応答とすることができる。
【0013】
電気作動式喫煙システムにおいて、例えば、長く緩慢な吸入をするユーザにとっては、加熱要素の温度が低く、低速度でエアロゾルを生成することが望ましいとすることができる。これは、着火端可燃式シガレットの動作にある程度似ている。しかしながら、加熱要素の温度は、所望特性を有するエアロゾルが確実に形成されるように、低い閾値レベルよりも高く維持される。装置を通る又は通過する気体の流量に基づく加熱器温度のこの調整は、指定の基材組成について記憶された温度範囲と共に使用することができる。従って、流量に基づく温度の調整は、基材組成によって設定された温度範囲内で行うことができる。
【0014】
電力を調整する段階は、加熱要素が所望温度範囲内の指定温度に達した後にのみ実行するのが好ましい。例えば、調整段階は、加熱要素の温度が予め定めた温度範囲の中間点に達した後にのみ開始することができる。
【0015】
代替として、又はこれに加えて、電力を調整する段階は、装置を通る予め定めた閾値流量を超えた気体の流れの検出に続いて、指定時間が経過した後のみ実行することができる。利用可能な電源が与えられると、加熱要素をできる限り迅速に加熱するのが好ましい。これは、所望の特性を有するエアロゾルをできる限り直ぐに生成されるようにするものである。従って、ユーザ吸入の開始の検出に続いて、最大電力を指定時間にわたり送給することができる。
【0016】
また、本方法は、加熱要素の温度を維持するように電力を調整する段階に続いて、加熱要素への電力を遮断又は低減させる段階を含む。これは、加熱要素の作動後の予め定めた時間、検出した流量、又は流量に関連した算出されたパラメータに基づいて行うことができる。これにより、ユーザの吸入が終了したときのエアロゾル生成の停止が確実になる。
【0017】
電力を調整する段階は、パルス状電力信号の周波数変調又はパルス幅変調を調整する段階を含むことができる。電力がパルス状信号として加熱要素に供給された場合、パルスの周波数又はパルスのデューティサイクルの調整は、加熱要素の温度を所望の範囲内に維持する有効な方法となる。
【0018】
加熱要素の温度を決定する段階は、加熱要素の電気抵抗を決定する段階を含むことができる。これは、温度に関する好都合で正確な指標をもたらす。代替として、別個の温度センサを用いることもできる。
【0019】
本発明の別の態様によれば、電気作動式エアロゾル発生装置が提供され、本装置は、基材からエアロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱要素と、加熱要素に電力を供給するための電源と、電源から少なくとも1つのエアロゾル発生要素への電力の供給を制御するための電気回路と、を備え、電気回路は、
加熱要素の温度を決定して、加熱要素の温度を所望温度範囲内に維持するよう加熱要素への電力を調整するように配置され、所望温度範囲は、装置を通る又は通過する気体の測定された流量に基づいて動的に算出される。
【0020】
本装置は、ユーザ吸入によって空気流を発生できるように構成されるのが好ましい。
【0021】
所望温度範囲は、単一の所望温度から成ることができる。
【0022】
本装置は、エアロゾル形成基材を受けるように構成することができる。所望温度範囲は、エアロゾル形成基材の組成に依存することができる。基材が異なれば気化温度が異なり、異なる温度で化学分解する問題が生じることになる。従って、本装置は更に、エアロゾル形成基材の特性又は識別情報を決定し、特性又は識別情報に基づいて所望温度範囲を算出又は選択する手段を備えることができる。例えば、本装置は、エアロゾル形成基材のハウジング内又はハウジング上に形成されたエアロゾル形成基材の識別情報の指標を読み取る手段を備えることができ、その結果、所望温度範囲は、エアロゾル形成基材の識別情報に基づいて温度範囲のデータベースから選択することができる。エアロゾル形成基材の識別情報の指標は、例えば、バーコード又は他の表面指標、基材ハウジングの形状又はサイズなどの特性、或いは基材ハウジングと関連する特性抵抗又は電気的応答とすることができる。
【0023】
電気回路は、加熱要素の電気抵抗の決定に基づいて加熱要素の温度を決定するように構成することができる。代替として、本装置は、別個の温度センサを含むことができる。
【0024】
電気回路はマイクロコントローラを備えることができる。マイクロコントローラは、加熱要素に供給される電力を制御するためのPIDレギュレータを含むことができる。
【0025】
好ましくは、電気回路は、本発明の他の態様の方法段階を実行するように配置される。本発明の他の態様の方法段階を実行するために、電気回路は配線接続することができる。しかしながら、より好ましくは、電気回路は、本発明の他の態様の方法段階を実行するためにプログラム可能である。
【0026】
加熱器は単一の加熱要素を備えることができる。代替として、加熱器は1つの加熱要素を備える電気加熱器とすることができる。代替として、電気加熱器は、1つよりも多くの加熱要素、例えば、2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つ、又はそれ以上の加熱要素を含むことができる。代替として、電気加熱器は、基材を加熱するための少なくとも1つの加熱要素を備えることができる。1つ又は複数の加熱要素は、エアロゾル形成基材を最も効果的に加熱するように適切に構成することができる。
【0027】
少なくとも1つの電気加熱要素は、好ましくは、電気抵抗材料を備える。好適な電気抵抗材料には、限定ではないが、ドープセラミックスのような半導体、電気的に「伝導性の」セラミックス(例えば、二ケイ化モリブデンのような)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、及びセラミック材料と金属材料で作製された複合材料が挙げられる。このような複合材料は、ドープセラミックス又は非ドープセラミックスを含むことができる。好適なドープセラミックスの実施例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。好適な金属の実施例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、及び白金族の金属が挙げられる。好適な金属合金の実施例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有合金、コバルト含有合金、クロム含有合金、アルミニウム含有合金、チタン含有合金、ジルコニウム含有合金、ハフニウム含有合金、ニオブ含有合金、モリブデン含有合金、タンタル含有合金、タングステン含有合金、スズ含有合金、ガリウム含有合金、マンガン含有合金、及び鉄含有合金、並びにニッケル基超合金、鉄基超合金、コバルト基超合金、ステンレス鋼、Timetal(登録商標)、鉄−アルミニウム基合金、及び鉄−マンガン−アルミニウム基合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、コロラド州デンバー市Broadway Suite 4300所在のTitanium Metals Corporationの登録商標である。複合材料では、任意選択的に、電気抵抗材料は、エネルギ伝達の動力学及び要求される外部物理化学特性に応じて、絶縁材料に埋め込まれ、カプセル封入され、又はコーティングすることができ、逆もまた同様である。加熱要素は、不活性材料の2つの層の間で絶縁された金属エッチング箔を含むことができる。この場合、不活性材料は、Kapton(登録商標)、全ポリイミド箔又はマイカ箔を含むことができる。Kapton(登録商標)は、米国デラウェア州 19898 Wilmingtonの1007 Market Streetに所在のE.I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標である。
【0028】
代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、赤外線加熱要素、光子源、又は誘電加熱要素を含むことができる。
【0029】
少なくとも1つの電気加熱要素は、あらゆる好適な形態とすることができる。例えば、少なくとも1つの電気加熱要素は、加熱ブレードの形態とすることができる。代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、異なる導電部を有するケーシング又は基板、もしくは電気抵抗性金属管体の形態とすることができる。エアロゾル形成基材が容器内に設けられた液体である場合、容器は、使い捨ての加熱要素を組み込むことができる。代替として、エアロゾル形成基材の中心を通って延びる1つ又はそれ以上の加熱ニードル又はロッドも好適とすることができる。代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、ディスク(エンド)加熱要素、或いはディスク加熱要素と加熱ニードル又はロッドとの組み合わせとすることができる。代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、エアロゾル形成基材を囲む又は部分的に囲むように配置された可撓性のシート材料を含むことができる。他の代替形態は、加熱ワイヤ又はフィラメント、例えば、Ni−Cr(ニッケル−クロム)、白金、タングステン又は合金ワイヤ、或いは加熱プレートを含む。任意選択的に、加熱要素は、剛性担体材料中又はその上に堆積させることができる。
【0030】
少なくとも1つの電気加熱要素は、吸熱及び蓄熱して、その後エアロゾル形成基材に経時的に放熱することができる材料を含む、ヒートシンク又はヒートリザーバを備えることができる。ヒートシンクは、好適な金属又はセラミック材料等のあらゆる好適な材料から形成することができる。好ましくは、材料は、高い熱容量を有する(顕熱蓄熱材料)か、又は吸熱後に高温相変化のような可逆プロセスによって放熱することができる材料である。好適な顕熱蓄熱材料には、シルカゲル、アルミナ、炭素、ガラスマット、ガラス繊維、無機物、及びアルミニウム、銀、もしくは鉛等の金属又は合金、並びに紙などのセルロース材料が挙げられる。可逆的相変化によって放熱する他の好適な材料には、パラフィン、酢酸ナトリウム、ナフタレン、ワックス、ポリエチレンオキシド、金属、金属塩、共晶塩の混合物、又は合金が挙げられる。
【0031】
ヒートシンク又はヒートリザーバは、エアロゾル形成基材と直接接触して、蓄熱を直接エアロゾル形成基材に伝達できるように配置することができる。代替として、ヒートシンク又はヒートリザーバに蓄えられた熱は、金属管体のような熱伝導体によってエアロゾル形成基材に伝達することができる。
【0032】
少なくとも1つの加熱要素は、熱伝導によってエアロゾル形成基材を加熱することができる。加熱要素は、基材又は基材がその上に堆積された担体と少なくとも部分的に接触することができる。代替として、加熱要素からの熱は、熱伝導要素によって基材に伝導することができる。
【0033】
代替として、少なくとも1つの加熱要素は、使用時にエアロゾル発生装置を通じて引き込まれた流入周囲空気に熱を伝達することができ、この空気が、対流によってエアロゾル形成基材を加熱する。周囲空気は、エアロゾル形成基材を通過する前に加熱することができる。代替として、エアロゾル形成基材が液体基材である場合、周囲空気は、最初に基材を通って引き込まれた後に加熱することもできる。
【0034】
エアロゾル形成基材は、固体エアロゾル形成基材とすることができる。エアロゾル形成基材は、加熱時に基材から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むのが好ましい。エアロゾル形成基材は、非タバコ材料を含むことができる。エアロゾル形成基材は、タバコ含有材料及び非タバコ含有材料を含むことができる。エアロゾル形成基材は更に、エアロゾルフォーマを含むのが好ましい。好適なエアロゾルフォーマの実施例は、グリセリン及びプロピレングリコールである。
【0035】
代替として、エアロゾル形成基材は、液体エアロゾル形成基材とすることができる。1つの実施形態において、電気加熱式エアロゾル発生装置は更に、液体貯蔵部を備える。液体エアロゾル形成基材は、液体貯蔵部に貯蔵するのが好ましい。1つの実施形態において、電気加熱式エアロゾル発生装置は更に、液体貯蔵部と連通する毛細管芯を備える。また、液体を保持するための毛細管芯を液体貯蔵部なしで設けることも可能である。当該実施形態では、毛細管芯は液体を予め組み込むことができる。
【0036】
好ましくは、毛細管芯は、液体貯蔵部内の液体と接触するように構成される。この場合、使用時には、液体は、毛細管芯の毛細管作用によって液体貯蔵部から少なくとも1つの電気加熱要素に向けて移送される。1つの実施形態において、毛細管芯は、第1の端部及び第2の端部を有し、該第1の端部は液体貯蔵部内に延びて内部の液体と接触し、第2の端部において少なくとも1つの電気加熱要素が液体を加熱するように配置される。加熱要素が作動されると、毛細管芯の第2の端部の液体は、加熱要素によって気化されて過飽和蒸気を形成する。過飽和蒸気は、空気流と混合されて運ばれる。流れる間に、蒸気は凝縮してエアロゾルが形成され、エアロゾルはユーザの口腔に向けて運ばれる。毛細管芯と組み合わせた加熱要素は、この構成により液体の加熱要素に対する表面積が大きくなるので、迅速な応答が可能になる。従って、本発明による加熱要素の制御は、毛細管芯構成の構造に依存することができる。
【0037】
液体基材は、多孔性担持材料内に吸収することができ、該多孔性担持材料は、例えば、発泡金属又はプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維又はセラミックである、あらゆる好適な吸収性プラグ又はボディから作ることができる。液体基材は、電気加熱式エアロゾル発生装置を使用する前に多孔性担持材料内に貯留することができ、或いは、液体基材材料は、使用中又は使用直前に多孔性担持材料に放出することができる。例えば、液体基材は、カプセル内に設けることができる。カプセルのシェルは、好ましくは、加熱すると溶けて、液体基材を多孔性担持材料に放出する。カプセルは、任意選択的に液体と組み合わせて固体を収容することができる。
【0038】
エアロゾル形成基材が液体基材である場合、液体は物理的特性を有する。これらの物理的特性には、例えば、エアロゾル発生装置での使用を好適にするための沸点、蒸気圧、及び表面張力特性が挙げられる。少なくとも1つの電気加熱要素の制御は、液体基材の特性に依存することができる。液体は、好ましくは、加熱時に液体から放出される揮発性タバコ香味化合物を有するタバコ含有材料を含む。代替として、又はこれに加えて、液体は、非タバコ材料を含むことができる。液体は、水、溶剤、エタノール、植物エキス、及び天然又は人工香味料を含むことができる。好ましくは、液体は、エアロゾルフォーマを更に含む。好適なエアロゾルフォーマの実施例は、グリセリン及びプロピレングリコールである。
【0039】
液体貯蔵部を備える利点は、高レベルの衛生状態を維持できることである。液体と電気加熱要素との間に延びる毛細管芯を使用することにより、装置の構造を比較的簡単にすることができる。液体は、該液体を毛細管作用によって毛細管芯を通って運ぶことができる粘度及び表面張力を含む物理的特性を有する。液体貯蔵部は、容器であるのが好ましい。液体貯蔵部は、詰め替え可能でなくても良い。従って、液体貯蔵部内の液体が使い尽くされると、エアロゾル発生装置が交換される。代替として、液体貯蔵部は詰め替え可能であっても良い。この場合には、エアロゾル発生装置は、液体貯蔵部の何回かの詰め替え後に交換することができる。好ましくは、液体貯蔵部は、所定数の吸煙の間エアロゾル形成基材を保持するよう配置される。
【0040】
毛細管芯は、繊維構造又はスポンジ構造を有することができる。毛細管芯は、毛細管の束を備えるのが好ましい。例えば、毛細管芯は、複数の繊維又は線条、或いは、他の微細ボア管体を含むことができる。繊維又は線条は、エアロゾル発生装置の略長手方向に整列することができる。代替として、毛細管芯は、ロッド形状に形成されたスポンジ状材料又は発泡状材料を含むことができる。ロッド形状は、エアロゾル発生装置の長手方向に沿って延びることができる。芯の構造は複数の小さなボア又は管体を形成し、ここを通って毛細管現象により液体を電気加熱要素に移送することができる。毛細管芯は、あらゆる好適な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。好適な材料の実施例は、繊維又は焼結粉体の形態のセラミックベース又はグラファイトベースの材料である。毛細管芯は、密度、粘度、表面張力及び蒸気圧などの異なる液体物理的特性で使用されるように、あらゆる好適な毛細管現象及び多孔率を有することができる。毛細管芯の毛細管特性は、液体の特性と組み合わされて、毛細管芯が加熱領域で常に湿潤しているのを保証する。
【0041】
代替として、エアロゾル形成基材は、例えば、ガス状基材である他の何れかの種類の基材、又は種々のタイプの基材の何らかの組み合わせとすることができる。作動中、基材は、電気加熱式エアロゾル発生装置内に完全に収容することができる。この場合、ユーザは、電気加熱式エアロゾル発生装置のマウスピースで吸煙することができる。代替として、使用中、基材は、電気加熱式エアロゾル発生装置内に部分的に収容することができる。この場合、基材は、別個の物品の一部を形成することができ、ユーザは別個の物品で直接吸煙することができる。
【0042】
本装置は、装置を通る気体の流量を検出する流量センサを含むことができる。センサは、ユーザの吸入を示す空気流などの空気流を検出できるあらゆるセンサとすることができる。センサは、電気機械装置とすることができる。代替として、センサは、機械装置、光学装置、光学機械装置、マイクロ電気機械デバイス(MEMS)ベースのセンサ、及び音響センサの何れかとすることができる。センサは、熱伝導流量センサ、圧力センサ、流速計とすることができ、空気流を検出できるだけでなく、空気流を測定できるはずである。従って、センサは、空気流の振幅を表すアナログ電気信号又はデジタル情報を供給できるはずである。
【0043】
電気加熱式エアロゾル発生装置は、過飽和蒸気からエアロゾルが形成されるエアロゾル形成チャンバを備えることができ、その後、エアロゾルはユーザの口腔内に運ばれる。好ましくは、空気入口、空気出口及びチャンバは、空気入口からエアロゾル形成チャンバを介して空気出口に延びる空気流通路を定め、これによりエアロゾルが空気出口及びユーザの口腔内に運ばれるように配置される。
【0044】
好ましくは、エアロゾル発生装置はハウジングを備える。好ましくは、ハウジングは細長である。凝縮物の形成に利用できる表面区域を含むハウジング構造は、エアロゾル特性、及び装置からの液体漏洩の有無に影響を及ぼす。ハウジングは、シェル及びマウスピースを備えることができる。この場合、全ての構成要素は、シェル又はマウスピースの何れかに収容することができる。ハウジングは、あらゆる好適な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。好適な材料の実施例には、金属、合金、プラスチック又はこれらの材料のうちの1つ又はそれ以上を含有する複合材料、もしくは食品又は製薬用途に好適な熱可塑性物質、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びポリエチレンが挙げられる。材料は軽量で非脆性であるのが好ましい。ハウジングの材料は、ハウジング上に形成される凝縮物の量に影響を及ぼす可能性があり、これはまた、装置からの液体の漏洩に影響を及ぼすことになる。
【0045】
エアロゾル発生装置は携行可能であるのが好ましい。エアロゾル発生装置は、喫煙装置とすることができ、従来のシガー又はシガレットに相当するサイズを有することができる。喫煙装置は、約30mmと約150mmとの間の全長を有することができる。喫煙装置は、約5mmと約30mmの間の外径を有することができる。
【0046】
本発明による方法及び電気加熱式エアロゾル発生装置は、加熱要素の温度が制御され、これによりユーザ又は装置のどのような追加の動作も必要とすることなく、ユーザに一貫した望ましい体験を提供する利点をもたらす。
【0047】
本発明の別の態様によれば、電気作動式エアロゾル発生システムのための電気回路が提供され、該電気回路は、本発明の他の態様の方法を実行するように構成される。
【0048】
好ましくは、電気回路は、本発明の他の態様の方法を実行するようプログラム可能である。代替として、電気回路は、本発明の他の態様の方法を実行するよう配線接続することができる。
【0049】
本発明の別の態様によれば、電気作動式エアロゾル発生システムのためのプログラム可能な電気回路上で実行されたときに、プログラム可能な電気回路が本発明の他の態様の方法を実行させるコンピュータプログラムが提供される。
【0050】
本発明の別の態様によれば、本発明の上記の態様によるコンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0051】
本発明のある態様に関して説明された特徴は、本発明の別の態様にも適用可能とすることができる。
【0052】
ここで、添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明の実施形態による、電気加熱式エアロゾル発生システムの1つの実施例を示す図である。
図2図1に示したタイプのシステムにおける典型的な加熱要素温度プロファイル及び典型的な流量プロファイルを示す図である。
図3図2に例示した吸煙中に加熱要素に供給される電力を調整する方法を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態による、加熱要素の温度を制御するための電気回路を示す図である。
図5】電気抵抗を測定することによって電気加熱要素の温度を決定する技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、電気加熱式エアロゾル発生システムの1つの実施例を示す。図1において、システムは、液体貯蔵部を有する喫煙システムである。図1の喫煙システム100は、マウスピース端部103及び本体端部105を有するハウジング101を備える。本体端部には、バッテリ107の形態の電力供給源と、ハードウェア109の形態の電気回路と、吸煙検出システム111とが設けられる。マウスピース端部には、液体115を収容するカートリッジ113の形態の液体貯蔵部、毛細管芯117、及び少なくとも1つの加熱要素を含む加熱器119が設けられる。加熱要素は、図1においては概略的にのみ示されている点に留意されたい。毛細管芯117の一方端は、カートリッジ113内に延び、毛細管芯117の他方端は、加熱要素119により囲まれる。加熱要素は、接続部121を介して電気回路に接続される。また、ハウジング101は、空気入口123と、マウスピース端部の空気出口125と、エアロゾル形成チャンバ127と、を含む。
【0055】
使用時には、以下のように作動する。液体115は、液体貯蔵部内に延びた毛細管芯117の端部から、加熱要素119により囲まれる毛細管芯の他方の端部まで毛細管作用により液体貯蔵部114から移送又は運ばれる。ユーザが空気出口125にて装置を吸い込むと、周囲空気が空気入口123を通って吸い込まれる。図1に示す構成において、吸煙検出システム111が吸煙を検知し、加熱要素119を作動させる。バッテリ107は、エネルギを加熱要素119に供給し、加熱要素により囲まれる毛細管芯117の端部を加熱する。加熱要素119により毛細管芯117の当該端部において液体が気化し、過飽和蒸気を生成する。これと同時に、気化した液体に代わって、毛細管作用により毛細管芯117に沿って移動する別の液体が置き換わる(これは「ポンプ作動」と呼ばれることがある)。生成された過飽和蒸気は、空気入口123からの空気流と混合されて該空気流内に運ばれる。エアロゾル形成チャンバ127において、蒸気が凝縮して吸入可能エアロゾルを形成し、出口125に向けて、更にユーザの口腔内に運ばれる。
【0056】
毛細管芯は、種々の多孔性又は毛細管材料から作ることができ、好ましくは公知の予め定められた毛細管現象を有する。実施例として、繊維又は焼結粉体の形態のセラミックベース又はグラファイトベースの材料が含まれる。異なる多孔率の芯を使用して、密度、粘度、表面張力及び蒸気圧などの異なる液体物理的特性に対応することができる。芯は、必要量の液体を加熱要素に送給することができるように好適でなければならない。芯及び加熱要素は、必要量のエアロゾルをユーザに運ぶことができるように好適でなければならない。
【0057】
図1に示した実施形態において、ハードウェア109及び吸煙検出システム111は、プログラム可能であるのが好ましい。ハードウェア109及び吸煙検出システム111は、装置の作動を管理するのに用いることができる。これは、エアロゾルの粒径の制御を支援する。
【0058】
図1は、本発明と共に使用できる電気加熱式エアロゾル発生システムの1つの実施例を示す。しかしながら、他の多数の実施例が本発明で使用可能である。電気加熱式エアロゾル発生システムでは、単に、電気回路の制御下で少なくとも1つの電気加熱要素によって加熱され且つ電源により給電することができるエアロゾル形成基材を含むか、又は受けることだけが必要となる。例えば、システムは喫煙システムでなくともよい。例えば、エアロゾル形成基材は、液体基材ではなく、固体基材であってもよい。代替として、エアロゾル形成基材は、ガス状基材のような別の形態の基材であってもよい。加熱要素は、あらゆる適切な形態をとることができる。ハウジングの全体の形状及びサイズは変更可能であり、ハウジングは、別個のシェル及びマウスピースを備えることができる。もちろん、他の変形も実施可能である。
【0059】
上述のように、ハードウェア109及び吸煙検出システム111を備える電気回路は、加熱要素への電力の供給を制御するためにプログラム可能であるのが好ましい。これにより、生成されるエアロゾルの量及び密度に影響を及ぼす温度プロファイルが制御される。用語「温度プロファイル」は、図2に示すように、喫煙に要する時間にわたる加熱要素の温度(又は、例えば加熱要素によって発生した熱などの別の同様の指標)のグラフ表現を意味する。代替として、ハードウェア109及び吸煙検出システム111は、加熱要素への電力の供給を制御するために配線接続することができる。この場合も同様に、これにより、生成エアロゾルの量及び密度に影響を及ぼす温度プロファイルが制御される。
【0060】
図2の線200は、ユーザの吸煙の過程でシステムを通る空気の流量をプロットしたものである。吸煙は約2秒間続き、流量は、ゼロから約1秒で最大流量に上昇した後、再度ゼロに低下する。これは、典型的な吸煙プロファイルであり、吸煙時の最大流量及び流量の漸進的変化の両方において吸煙毎及びユーザ毎に大きく変動する可能性があることは明らかである。
【0061】
図中の線210は、ユーザ吸煙中の加熱要素の温度を示したものである。温度プロファイル210は3つの段階に分けられ、すなわち、加熱要素に最大電力が加えられて温度が急激に上昇する初期段階215と、加熱要素の温度が一定(又は少なくとも許容可能な温度域内)に維持される調節段階215と、加熱器への電力が遮断又は低下される吸煙終了段階220とがある。
【0062】
図3は、図2に示すユーザ吸煙の間に加熱要素に供給される電力を示している。電力は、パルス状信号300の形態で加熱要素に供給される。加熱要素の温度を調節するために、パルス状信号は変調される。図3に示すように、加熱要素に供給される平均電力は、加熱要素の温度が一定に保たれるように、電力信号の変調の周波数(すなわち、「PFM」−パルス周波数変調)を一定のデューティサイクルで変化させることによって変化させることができる。
【0063】
供給される電力を変える他の方法は、PWM(パルス幅変調)であり、デューティサイクルを一定の周波数で変えることから成る。デューティサイクルは、電力がオンされる時間と電力がオフされる時間との比である。換言すれば、電圧パルスの幅と電圧パルス間の時間との比である。5%の低デューティサイクルは、95%のデューティサイクルよりも遙かに低い電力を与えることになる。
【0064】
図3に示すように、初期段階215の間、所望の温度に迅速に達するようにするために、電力パルス300が高周波で供給される。所望温度に達すると、調節段階200が始まる。調節段階が始まるときに小さな極大がある。これは、温度を調節するのに使用するPID制御方式の特性に起因する。所望温度に達したことの検知と、電力信号の変調との間に少しの遅延があり、これが極大を生じさせる。
【0065】
所望温度は、加熱要素を通過する気体の流量に応じて動的に算出される。少ない流量では、低温であるのが好ましい。例えば、所望温度は、加熱要素の作動後の一定時間にて測定された流量に基づいて設定することができ、又は前の加熱サイクルを通じて算出された平均流量に基づくことができ、或いは、加熱要素の作動後の一定期間を通じて算出された累積流量に基づくことができる。
【0066】
調節段階220において、電力パルスは、所望温度を維持するのに十分な頻度で加熱要素に供給される。これは、初期段階ではパルスは低周波数で供給されることを意味する。しかしながら、空気流量がその最大値に向けて増大し続けると、空気冷却効果もまた向上する。これは、電力パルスの周波数は、最大流量に到達するまで上昇し、流量の低下につれて下降することを意味する。
【0067】
吸煙段階220の終了時には、電力は完全に遮断される。全ての発生したエアロゾルが吸煙の最後の部分によって確実にシステムから流出されるようにするために、吸煙の終了の前に電力を遮断する決定を行う。従って、温度は、この期間中にエアロゾル生成物が減少するにつれて低下する。電力が遮断又は低減され、吸煙段階の終わりが始まる時点は、例えば、作動からの単純な時間、検知した流量、又は吸煙プロファイルを考慮したより高度な算出に基づくことができる。
【0068】
図4は、本発明の1つの実施形態による、説明した温度調節を提供するのに使用される制御回路を示す。システムは2つの部分、すなわち、液体基材115、毛細管芯117及び加熱器119を収容する消耗カートリッジ113と、図1を参照して説明されたバッテリ及び電気回路109を収容する装置部分とを有する。図3には電気回路要素のみが例示されている。
【0069】
電力は、バッテリ接続部405から測定抵抗R1及びトランジスタT1を通って加熱要素119に供給される。PWM電力信号の周波数変調は、マイクロコントローラ420によって制御され、そのアナログ出力部425を介して単純なスイッチとして機能するトランジスタT1に供給される。
【0070】
調節は、マイクロコントローラ420において一体化されたソフトウェアの一部であるPIDレギュレータに基づいて行う。加熱要素の温度(又は温度の指示値)は、加熱要素の電気抵抗を測定することによって求められる。
【0071】
マイクロコントローラ420のアナログ入力部430は、抵抗R1の両端の電圧を集めるのに使用され、加熱要素を流れる電流のイメージを提供する。バッテリ電圧V+及びR1の両端の電圧は、図5を参照して説明するように、加熱要素の抵抗変動及び/又はその温度を算出するのに使用される。
【0072】
消耗部品における抵抗R3は、基材組成を識別するのに使用される。抵抗R3及びR2は、単純な分圧器であり、トランジスタT2を作動させることにより、アナログ入力部435を介してマイクロコントローラ420によって電圧レベルが収集される。変換された電圧は、抵抗R3に比例することになる。R3の抵抗値のルックアップテーブル、並びに加熱要素の対応する温度範囲及び抵抗範囲は、マイクロコントローラにおけるアドレスメモリ内に置かれ、PIDレギュレータ及び加熱要素が作動する温度レベルを設定するのに使用される。
【0073】
図5は、図4に示したタイプのシステムにおいて加熱要素抵抗をどのように測定できるかを示す、概略電気回路図である。図5において、加熱器501は、電圧V2を供給するバッテリ503に接続される。特定の温度で測定されることになる加熱器抵抗はRheaterである。加熱器501と直列に、図4のR1に相当し、既知の抵抗rを有する追加抵抗505が挿入され、接地と電圧V2の中間の電圧V1に接続される。マイクロプロセッサ507が加熱器501の抵抗Rheaterを測定するために、加熱器501を流れる電流及び加熱器501の両端の電圧の両方を求めることができる。次に、以下に示す公知の式を使用して、抵抗値を求めることができる。
【0074】
図5において、加熱器の両端の電圧はV1−V2であり、加熱器を流れる電流はIである。従って、
となる。
【0075】
抵抗値がrである追加抵抗505は、再度上記(1)を用いて電流Iを決定するために使用される。抵抗器505を流れる電流はIであり、抵抗器505の両端の電圧はV1である。従って、
となる。
【0076】
よって、式(2)と式(3)を組み合わせると次式が得られる。
【0077】
以上のように、マイクロプロセッサ507は、エアロゾル発生システムが使用中であるときにV1及びV2を測定することができ、rの値が分かると、特定温度における加熱器の抵抗Rheaterを決定することができる。
【0078】
以下の式を用いて、温度Tを温度Tにおける測定抵抗Rheaterに関連付けることができる。
ここで、Aは加熱要素材料の熱抵抗係数であり、R0は室温T0における加熱要素の抵抗である。
【0079】
この実施形態の利点は、大きく且つ高価な可能性がある温度センサが必要とされないことである。また、温度の代わりに、PIDレギュレータによって抵抗値を直接使用することができる。抵抗値が所望範囲内に保持された場合、加熱要素の温度もまた所望範囲内に保持される。従って、加熱要素の実際の温度を算出する必要はない。しかしながら、別個の温度センサを使用してマイクロコントローラに接続し、必要な温度情報を提供することができる。
【0080】
説明した実施形態は、消耗部分及び装置部分を備えるが、本発明は、他の構造のエアロゾル発生装置にも適用可能である。また、加熱要素の温度又は抵抗は、必ずしも直接測定される必要はない点は明らかにすべきである。例えば、加熱要素の温度は、システムを通る流量などの他の測定パラメータに基づいて推定することができ、又はシステム内のある点での空気温度の測定値に基づいて推定することができる。
【符号の説明】
【0081】
100 喫煙装置
101 ハウジング
103 マウスピース端部
105 本体端部
107 バッテリ
109 ハードウェア
111 吸煙検出装置
115 液体
117 毛細管芯
119 加熱器
123 空気入口
125 空気出口
図1
図2
図3
図4
図5