(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長手方向の一部で、所定の長さにわたって被覆が非存在であることで導体が露出しており、この露出している導体の一部に、前記導体の素線同士が接合されている接合部位が、所定の長さにわたって形成されている電線と、
ワイヤバレル部を備え、このワイヤバレル部が前記接合部位の少なくとも一部を覆っている端子と、
を有し、前記ワイヤバレル部には、前記接合部位の応力を低減するための荷重逃がし部が設けられており、
前記荷重逃がし部は、前記ワイヤバレル部の、少なくとも一方の端部に設けられており、前記ワイヤバレル部の端に向かうにしたがって、径が次第に大きくなっていることを特徴とする端子付き電線。
長手方向の一部で所定の長さにわたって被覆が非存在であることで導体が露出している電線の、前記露出している導体の長手方向の一部で、前記導体の素線同士を接合して接合部位を形成する接合部位形成工程と、
前記接合部位形成工程で接合部位を形成した後、ワイヤバレル部を備えている端子を、前記ワイヤバレル部が前記接合部位の少なくとも一部を覆うように、前記電線に設置する端子設置工程と、
を有し、前記ワイヤバレル部には、前記接合部位の応力を低減するための荷重逃がし部が設けられており、
前記荷重逃がし部は、前記ワイヤバレル部の、少なくとも一方の端部に設けられており、前記ワイヤバレル部の端に向かうにしたがって、径が次第に大きくなっていることを特徴とする端子付き電線の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る端子付き電線1は、
図1、
図5で示すように、電線3と、端子5とを備えて構成されている。
【0024】
ここで、説明の便宜のために、端子付き電線1における所定の一方向を前後方向とし、この前後方向に対して直交する所定の一方向を高さ方向とし、前後方向と高さ方向とに対して直交する方向を幅方向とする。なお、前後方向と電線3の長手方向とはお互いが一致している。
【0025】
電線3では、長手方向(長さ方向)の一部(たとえば、一端部;先端部)で、所定の長さにわたって被覆7が非存在であることで(たとえば、被覆7の一部が除去されて)導体9が露出している。
【0026】
また、電線3では、露出している導体9(露出導体)9Aの一部に、接合部位11が、所定の長さにわたって形成されている。接合部位11は、導体9を構成している複数本の素線13同士が超音波接合(超音波処理)されたことで形成されている。
【0027】
さらに説明すると、電線3は、
図3等で示すように、複数本の素線13が集まって形成されている導体(芯線)9と、この導体9を覆っている(被覆している)被覆(絶縁体)7とを備えて構成されている。
【0028】
導体9の素線13は、銅、アルミニウム、もしくは、アルミニウム合金等の金属で細長い円柱状に形成されている。導体9は、複数本の素線13を撚った形態、もしくは、複数本の素線13がまとまって直線状に延びている形態で構成されている。
【0029】
また、電線3は可撓性を備えている。また、被覆7が存在している電線3の部位の断面(長手方向に対して直交する平面による断面)は、円形状等の所定形状に形成されている。
【0030】
被覆7が存在している電線3の部位における導体9の断面は、複数本の素線13がほとんど隙間の無い状態で束ねられていることで概ね円形状に形成されている。被覆7が存在している電線3の部位における被覆7の断面は、所定の幅(厚さ)を備えた円環状に形成されている。導体9の外周の全周に被覆7の内周の全周が接触している。
【0031】
接合部位3では、導体13を構成している複数本の素線15同士が、上述したように、超音波接合されたことで導体13がたとえば単線化している。
【0032】
なお、上記説明では、超音波接合によって素線13同士が接合されたことで、接合部位11が形成されているが、超音波接合以外の接合手段によって、素線13同士を接合することで接合部位11が形成されていてもよい。たとえば、素線13の再結晶温度以下の温度で素線13同士が冶金接合されていることで、超音波接合した場合と同様にして接合部位11が形成されていてもよい。
【0033】
さらに、接合部位103が、超音波処理以外の、冷間圧接、摩擦撹拌接合、摩擦圧接、電磁圧接、拡散接合、ろう付け、はんだ付け、抵抗溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接、光ビーム溶接等の処理で形成されていてもよい。
【0034】
なお、接合部位11と被覆7とは、
図3等で示すように、電線3の長手方向で、たとえば、所定の長さだけ離れている。これにより、接合部位11と被覆7との間では、お互いが接してはいるが非接合状態になっている複数本の素線(非接合状態の導体)13Aが露出している。
【0035】
すなわち、電線3の長手方向の一端から他端に向かって(前側から後側に向かって)、所定長さの接合部位11、非接合状態の導体13A、被覆7で覆われている導体9(被覆7が存在している電線3の部位)がこの順でならんでいる。
【0036】
端子5が設置される前の接合部位11の断面形状は、(長手方向に対して直交する平面による断面)は、円形状等もしくは矩形状等の所定形状に形成されている。
【0037】
端子5が設置される前の非接合状態の導体13Aの(長手方向に対して直交する平面による断面)は、接合部位11の断面形状から被覆7で覆われている導体9の断面形状に徐々に移行している。
【0038】
端子(端子金具)5は、
図1、
図2、
図5で示すように、ワイヤバレル部15を備えて構成されている。そして、端子5のワイヤバレル部15が接合部位11の少なくとも一部を(包み込んで)覆っている。
【0039】
端子5は、たとえば、厚さが一定である平板状の金属の素材を所定形状に形成した状態にしてから、この所定形状に形成したものを適宜折り曲げることで形成されている。したがって、端子5のほぼ総ての部位における肉部の厚さ(たとえば、
図1に参照符号tで示す厚さ)は一定になっている。
【0040】
また、端子5には、ワイヤバレル部15に加えて、相手側端子に接続される端子接続部(相手端子接続部)17と、インシュレーションバレル部19とが設けられている。相手端子接続部17、ワイヤバレル部15、インシュレーションバレル部19は、前側から後側にむかってこの順にならんでいる。
【0041】
また、端子5のワイヤバレル部15には、荷重逃がし部(応力緩和部)21が設けられている。荷重逃がし部21は、ワイヤバレル部15の一部を構成しており、ワイヤバレル部15の、前後方向の少なくとも一方の端部(たとえば、後端部)に設けられている。
【0042】
荷重逃がし部21は、導体9(素線13)の応力を低減するために設けられている。上記応力は、たとえば、ワイヤバレル部15が接合部位11を覆うように端子5が電線3に設置されていることで、導体9の、たとえば、接合部位11の端(後端;接合部位11と非接合状態の導体13Aとの境界)11Aで特に大きくなる。
【0043】
端子付き電線1では、上述したように、電線3や導体9の長手方向と、ワイヤバレル部15(端子5)の前後方向とがお互いに一致している。また、電線3の長手方向の一端が前側に位置しており、電線3の長手方向の他端が後側に位置している。
【0044】
カシメがされる前のワイヤバレル部15の断面(前後方向に対して直交する平面による断面)は、たとえば、厚さ方向がほぼ高さ方向になっている底板部(円弧状の底板部)23と、一対の側板部25とを備えて「U」字状に形成されている。一対の側板部25のそれぞれは、底板部23の幅方向の両端から、斜め上方に起立している。一対の側板部25間の寸法の値は、下側から上側に向かうにしたがって次第に大きくなっている。
【0045】
カシメがされる前のインシュレーションバレル部19の断面(前後方向に対して直交する平面による断面)も、ワイヤバレル部15の断面と同様な「U」字状に形成されている。
【0046】
端子付き電線1では、ワイヤバレル部15がカシメられたことで、接合部位11とワイヤバレル部15とが一体化しており、インシュレーションバレル部19がカシメられたことで、被覆7とインシュレーションバレル部19とが一体化している。また、カシメによりワイヤバレル部15の筒の内側の面のほぼすべてが接合部位11に付勢力をもって接している。
【0047】
ワイヤバレル部15やインシュレーションバレル部19のカシメは、主として、一対の側板部25が塑性変形し、ワイヤバレル部15やインシュレーションバレル部19が筒状になることでなされている。ワイヤバレル部15をカシメるときに、接合部位11も若干変形する。ワイヤバレル部15のカシメは、
図4で示すクリンパ(クリンパについても詳細は後述する)27を用いてなされる。これにより、ワイヤバレル部15の一部に、荷重逃がし部21が形成される。
【0048】
なお、前後方向では、たとえば、ワイヤバレル部15とインシュレーションバレル部19とは、僅かに離れているが(間に接続部29が設けられているが)、ワイヤバレル部15にインシュレーションバレル部19が接している場合もある。
【0049】
ここで、前後方向(電線3では長手方向)における電線3と端子5との関係についてさらに詳しく説明する。なお、
図1や
図5ではベルマウス部43が描かれているが、ここでは、説明の便宜のために、ベルマウス部43が設けられていないものとして説明する。
【0050】
上述したように電線3の長手方向では、一端(前側)から他端(後側)に向かって、所定の長さの接合部位11と、非接合状態の導体13Aと、被覆7で覆われている導体9がこの順でならんでいる。被覆7で覆われている導体9の長さは、接合部位11よりもずっと長くなっている。
【0051】
端子5の前後方向では、前側から後側に向かって、相手端子接続部17と、ワイヤバレル部15と、接続部29と、インシュレーションバレル部19とがこの順にならんでいる。なお、ワイヤバレル部15の前後方向の寸法の値は、接続部29やインシュレーションバレル部19の前後方向の寸法の値よりも大きくなっている。
【0052】
また、端子5には、荷重逃がし部21が、ワイヤバレル部15の後端部に設けられている。
【0053】
端子付き電線1では、接合部位11の、長手方向における被覆7側に位置している端(他端;後端)11Aが、ワイヤバレル部15の、前後方向における被覆7側に位置している端(後端;荷重逃がし部21の後端21B)15Aよりも、被覆7側(後側)に位置するようにして、ワイヤバレル部15が接合部位11を覆っている。
【0054】
また、長手方向において、たとえば、接合部位11の、被覆7とは反対側に位置している端(一端;前端)11Bが、ワイヤバレル部15の、被覆7とは反対側に位置している端(前端)15Bよりも、被覆7とは反対側(前側)に位置している。
【0055】
これにより、端子付き電線1では、前後方向で、接合部位11の内側にワイヤバレル部15が位置している。
【0056】
なお、端子付き電線1において、接合部位11の後端11Aが、ワイヤバレル部15の後端15Aよりも前側に位置していてもよいし、接合部位11の前端11Bが、ワイヤバレル部15の前端15Bよりも後側に位置していてもよい。これについての詳細は、
図7等を参照して後述する。
【0057】
端子付き電線1では、前後方向での、接合部位11の後端11Aとワイヤバレル部15の後端15Aとの間の寸法の値は、接合部位11の高さ寸法の値よりも小さくなっており、接合部位11の後端11Aと被覆7との間の寸法の値(非接合状態の導体13Aの寸法の値)も、接合部位11の高さ寸法の値よりも小さくなっている。
【0058】
また、端子付き電線1では、前後方向で荷重逃がし部21のところに位置している接合部位11の高さ方向の上端の位置は、前から後に向かうにしたがって次第に上側に移行している。また、接合部位11は、荷重逃がし部21の少なくとも天井部位25Aに接している。
【0059】
さらに説明すると、ワイヤバレル部15は、本体部33と、荷重逃がし部21と備えて構成されており、荷重逃がし部21は、前後方向(電線3の長手方向)で、本体部33の少なくとも一方の端部(たとえば、後端部)に設けられている。これにより、前後方向で前側から後側に向かって、本体部33、荷重逃がし部21がこの順にならんでいる。
【0060】
荷重逃がし部21は、たとえば、テーパ状に形成されており、荷重逃がし部21の内径は、荷重逃がし部21の前端(本体部33との境界)から、ワイヤバレル部15の後端15A(荷重逃がし部21の後端21B)に向かうにしたがって次第に大きくなっている。
【0061】
ただし、ワイヤバレル部15の底板部23の形状は前後方向ではほとんど変化せず、ほぼ直線状に延びている。したがって、荷重逃がし部21の内径の変化は、主として側板部25の形状が前後方向で変化している態様でなされている。
【0062】
さらに詳しく説明すると、端子付き電線1では、側板部25は、
図2で示すように、天井部位25Aと、起立部位25Bとを備えて構成されている。天井部位25Aは、上側に凸な円弧状になって底板部23に対向している。起立部位25Bは、厚さ方向が幅方向になるようにして、底板部23の両端から起立している。
【0063】
天井部位25Aは、
図1で示すように、前後方向に対して、角度θで交差している。角度θは鋭角であり、たとえば、0°よりも大きく60°以下の角度になっており、より好ましくは、10°〜45°の間の角度になっており、さらに好ましくは、25°〜35°の間の角度になっている。
【0064】
起立部位25Bは、この全体が、前後方向に対して所定の角度(角度θと等しいか角度θよりも小さい角度)で交差しているが、上側の部位(天井部位25A側の部位)のみが、前後方向に対して、上記所定の角度で交差していてもよい。なお、起立部位25B全体の前後方向に対する交差角度が0°になっていてもよい。
【0065】
また、起立部位25Bが前後方向に対して所定の角度で交差している場合、起立部位25Bでの所定の交差角度は、たとえば、下側(底板部23側)から上側(天井部位25A)側に向かうにしたがって次第に大きくなっている。この場合、起立部位25Bの交差角度が、天井部位25Aとの境界では、天井部位25Aの交差角度θと一致している。
【0066】
さらに、起立部位25Bの全体が前後方向に対して所定の角度で交差しており、起立部位25Bの交差角度が下側から上側側に向かうにしたがって次第に大きくなっている場合、起立部位25Bの交差角度は、底板部23との境界で0°になっている。
【0067】
また、端子付き電線1において、
図1で示すように、被覆7のところにおける導体9の直径(導体外径)を「d」とし、端子5の厚さ(端子板厚)を「t」とし、端子5のワイヤバレル部15の高さ(圧着クリンプハイト)を「Hc」とし、荷重逃がし部21の段差の高さ(荷重逃がし部21の段差高さ)を「A」とすると、端子付き電線1では、「0<A≦(d+2t)−Hc」の関係になっている。
【0068】
さらに、端子付き電線1において、端子5が設置される前の接合部位11の高さ(接合直後導体高さ)を「H」(
図3参照)とし、端子5が設置された後の、荷重逃がし部21を除くワイヤバレル部15の部位(ワイヤバレル部15の本体部33)おける接合部位11の高さを「Hw」とすると、「H−Hw<A」の関係になっている。
【0069】
なお、「d」、「t」、「Hc」、「A」、「H」、「Hw」の単位は、お互いが一致しており、たとえば、「mm」になっている。
【0070】
ここで、端子付き電線1の製造方法について説明する。
【0071】
端子付き電線1は、接合部位形成工程と、端子設置工程とを経て製造される。
【0072】
接合部位形成工程では、長手方向の一部で所定の長さにわたって被覆7が非存在であることで導体9が露出している電線3の、露出導体9Aの長手方向の一部で、導体9を構成している複数本の素線13同士が超音波接合することで導体9を接合して接合部位11を形成する(
図3参照)。
【0073】
端子設置工程では、上記接合部位形成工程で接合部位11を形成した後、ワイヤバレル部15を備えている端子5を、ワイヤバレル部15が接合部位11の少なくとも一部を包み込んで覆うように、電線3に設置する(
図1、
図2参照)。
【0074】
なお、荷重逃がし部21は、端子5を電線3に設置するときに形成される。すなわち、荷重逃がし部21は、詳しくは後述するクリンパ27(
図4参照)を用いてワイヤバレル部15をカシメて、ワイヤバレル部15で接合部位11を包み込んで覆うようにするときに形成される。
【0075】
端子付き電線1によれば、ワイヤバレル部15の後端部に導体9の応力を低減するための荷重逃がし部21が設けられているので、ワイヤバレル部15をカシメて接合部位11に設置するときもしくは設置したときに、導体9(特に、接合部位11と非接合状態の導体13Aとの境界)に発生する応力の値を小さくすることができ、導体9の素線切れの発生を抑制することができる。
【0076】
素線切れが抑制されることで、圧着部性能が安定し(電線3と端子5との機械的接合度および電気的接合度が安定し)、また、コンタミネーションの発生が抑制される。
【0077】
また、超音波接合処理で接合部位11を形成すると、接合部位11の素線13は、圧力と超音波の印加とによって、超音波処理前に比べて切れ易くなる。しかし、端子付き電線1は、荷重逃がし部21を設けてあるので、接合部位11での素線13が切れにくくなっている。
【0078】
また、端子付き電線1によれば、ワイヤバレル部15の本体部33から端(後端)に向かうにしたがって、荷重逃がし部21の径(内径)が次第に大きくなっている(テーパ状になっている)ので、荷重逃がし部21に係合している接合部位11は、この径が前から後に向かうにしたがって徐々に緩やかに変化している。
【0079】
これにより、簡素な構成で荷重逃がし部21を形成することができるとともに、導体9に発生する応力の値を小さくすることができる。
【0080】
また、端子付き電線1では、前後方向で、ワイヤバレル部15の荷重逃がし部21の後端21B(ワイヤバレル部15の後端15A)が、荷重逃がし部21の前端21Aと非接合状態の導体13Aの前端13Bとの間に存在している。
【0081】
そして、荷重逃がし部21がテーパ状になっていることで、荷重逃がし部21の前端21Aと非接合状態の導体13Aの前端13Bとの間の接合部位11は、前側から後側に向かって形状が徐々に変化している。これにより、接合部位11と非接合状態の導体13Aとの境界で導体9に発生する応力の値を小さくすることができる。
【0082】
次に、クリンパ27について、
図4を参照して詳しく説明する。
【0083】
クリンパ27は、電線3の露出している導体13Aの接合部位11に、端子5のワイヤバレル部15をカシメて設置するときに使用される圧着工具であり、本体部(ストレート部)35と、拡径部37とを備えて構成されている。
【0084】
本体部35によって、端子付き電線1におけるワイヤバレル部15の本体部33が形成され、拡径部37によって、端子付き電線1におけるワイヤバレル部15の荷重逃がし部21が形成されるようになっている。
【0085】
本体部35には、電線3の導体9の接合部位11の長手方向(端子5の前後方向)から見たときに一定の形状の凹部39が形成されている。
【0086】
拡径部37は、本体部35に隣接して設けられている。拡径部37は、長手方向の少なくとも一部で、長手方向で本体部35から離れるにしたがって拡径している。なお、
図4で示す態様では、長手方向における拡径部37の全長で、拡径部37が本体部35から離れるにしたがって拡径している。
【0087】
また、接合部位11の長手方向で見た拡径部37は、
図4(a)では図示していないが、本体部35の凹部39の縁41の少なくとも一部から本体部35の肉部側(縁41の上側)に食い込んでいる。
【0088】
さらに具体的は、拡径部37は、
図4(b)で示すように、本体部35の長手方向の開口部に面取りを施した態様で形成されている。
図4(b)で示す寸法「A」は、
図1で示す寸法「A」に対応している。
【0089】
なお、クリンパ27の拡径部37を、
図6(a)や
図6(b)で示すような形状にしてもよい。
【0090】
図6(a)で示す拡径部37は、第1の拡径部37Aと、第2の拡径部37Bとで構成されている。本体部35側の第1の拡径部37Aは、
図4(b)で示した拡径部37と同様にして、本体部35から離れるにしたがって次第に拡径している。第1の拡径部37Aを間にして本体部35とは反対側に位置している第2の拡径部37Bでは、径が一定になっている。
【0091】
図6(b)で示す拡径部37は、本体部35から離れるにしたがって、径が大きくなる割合も次第に大きくなっている。これにより、半径Rの円弧状部が形成されている。
【0092】
ところで上記説明では、ワイヤバレル部15の前後方向における両端部のベルマウス部が存在しないものとしているが、ワイヤバレル部15の前後方向における両端部にベルマウス部43が設けられている場合について説明する。
【0093】
図1等で示す端子付き電線1では、前後方向におけるワイヤバレル部15の両端部にベルマウス部43(前側ベルマウス部43Aと後側ベルマウス部43Bと)が形成されている。したがって、ワイヤバレル部15では、前側から後側に向かって、前側ベルマウス部43A、本体部33、荷重逃がし部21、後側ベルマウス部43Bがこの順にならんでいる。ベルマウス部43は、ワイヤバレル部15の一部を形成している。
【0094】
前後方向における長さ寸法の値は、本体部33の値が最も大きく、荷重逃がし部21の値が次に大きく、前側ベルマウス部43Aの値および後側ベルマウス部43Bの値が最も小さくなっている。
【0095】
端子付き電線1では、前側ベルマウス部43Aは、本体部33から離れるにしたがって(前側に向かうにしたがって)、径が次第に大きくなる筒状(テーパ状もしくは勾配をもった筒状)に形成されている。なお、前側ベルマウス部43Aの後端の径(本体部33との境界での径)は、本体部33の径と一致している。
【0096】
また、端子付き電線1では、後側ベルマウス部43Bは、荷重逃がし部21から離れるにしたがって(後側に向かうにしたがって)、径が次第に大きくなる筒状(テーパ状)に形成されている。なお、後側ベルマウス部43Bの前端の径(荷重逃がし部21との境界での径)は、荷重逃がし部21の後端21Bの径と一致している。
【0097】
さらに説明すると、前側ベルマウス部43Aや後側ベルマウス部43Bの径が大きくなる程度(前後方向に対する交差角度)は、荷重逃がし部21の径が大きくなる程度よりも大きくなっている。すなわち、
図1における交差角度θxの値は、交差角度θの値よりも大きくなっている。
【0098】
さらに、
図5で示すように、前側ベルマス部43Aの前端(前端の開口)では、導体9と前側ベルマス部43Aとの間に僅かな間隙45が形成されており、後側ベルマス部43Bの前端(後端の開口)でも、導体9と後側ベルマス部43Bとの間に僅かな間隙45が形成されている。
【0099】
なお、前側ベルマス部43Aの前端(前端の開口)で、前側ベルマス部43Aと導体9とが接しており、前側ベルマス部43Aが導体9を抑え込んでおり、後側ベルマス部43Bの後端(後端の開口)で、後側ベルマス部43Bと導体9とが接しており、後側ベルマス部43Bが導体9を抑え込んでいる構成であってもよい。
【0100】
ところで、
図1等で示す端子付き電線1では、前後方向で、ワイヤバレル部15から接合部位11がはみ出しているが、接合部位11の端をワイヤバレル部15内に収めてもよい。
【0101】
たとえば、
図7〜
図9で示すように、端子付き電線101(端子付き電線1)において、ワイヤバレル部107(ワイヤバレル部15)の、被覆111(被覆7)側に位置している端(後端)107Aが、接合部位103(接合部位11)の、被覆111側に位置している端(後端)103Aよりも、被覆111側に位置していてもよい。
【0102】
さらに、
図10、
図11で示すように、前後方向で、接合部位103がワイヤバレル部107の内側に位置していてもよい。
【0103】
なお、
図7〜
図11では、荷重逃がし部21の表示は省略してあり、
図7〜
図9で示すものには、ベルマウス部は設けられていない。
【0104】
ここで、
図7〜
図9で示す端子付き電線101について詳しく説明する。
【0105】
端子付き電線101は、接合部位103が形成されている電線105(電線3)と、ワイヤバレル部107(ワイヤバレル部15)を備えた端子(端子金具)109(端子5)とを備えて構成されている。
【0106】
上述したように、電線105では、長手方向(長さ方向)の一部(たとえば、一端部)で、所定の長さにわたって被覆111が非存在であることで(たとえば、被覆111の一部が除去されて)、導体113(導体9)が露出している。
【0107】
また、電線105では、露出している導体(露出導体)113Aの一部に、導体113が接合されている接合部位103が、所定の長さにわたって形成されている。接合部位103は、導体113を構成している複数本の素線115(素線13)同士が、たとえば、超音波接合されたことで形成されている。
【0108】
さらに説明すると、電線105は、複数本の素線115が集まって形成されている導体(芯線)113と、この導体113を覆っている(被覆している)被覆(絶縁体)111とを備えて構成されている。
【0109】
導体113の素線115は、銅、アルミニウム、もしくは、アルミニウム合金等の金属で細長い円柱状に形成されている。導体113は、複数本の素線115を撚った形態、もしくは、複数本の素線115がまとまって直線状に延びている形態で構成されている。
【0110】
また、電線105は可撓性を備えている。被覆111が存在している電線105の部位の断面(長手方向に対して直交する平面による断面)は、円形状等の所定形状に形成されている。
【0111】
被覆111が存在している電線105の部位における導体113の断面は、複数本の素線115がほとんど隙間の無い状態で束ねられていることで、たとえば、概ね円形状に形成されている。被覆111が存在している電線105の部位における被覆111の断面は、たとえば、所定の幅(厚さ)を備えた円環状に形成されている。導体113の外周の全周に被覆111の内周の全周が接触している。
【0112】
接合部位103では、導体113を構成している複数本の素線115同士が、上述したように、超音波接合されたことで導体113が接合されている。
【0113】
なお、上記説明では、超音波接合によって接合部位103が形成されているが、超音波接合以外の接合手段によって素線115同士を接合することで、接合部位103が形成されていてもよい。たとえば、素線115の再結晶温度以下の温度で素線115同士が冶金接合されていることで、超音波接合した場合と同様にして接合部位103が形成されていてもよい。
【0114】
なお、接合部位103と被覆111とは、電線105の長手方向で、たとえば、所定の長さだけ離れている。これにより、接合部位103と被覆111との間では、お互いが接してはいるが非接合状態になっている複数本の素線(非接合状態の導体)113Bが露出している。
【0115】
すなわち、電線105の長手方向の一端から他端に向かって、所定長さの接合部位103、非接合状態の導体113B、被覆111で覆われている導体113(被覆111が存在している電線105の部位)がこの順でならんでいる。
【0116】
端子109が設置される前の接合部位103の断面形状(長手方向に対して直交する平面による断面形状)は、矩形状等の所定形状に形成されている。
【0117】
また、端子109が設置される前の非接合状態の導体113Bの断面形状(長手方向に対して直交する平面による断面形状)は、接合部位103の断面形状から被覆111で覆われている導体113の断面形状に徐々に移行している。
【0118】
端子付き電線101では、電線105や導体113の長手方向とワイヤバレル部107(端子109)の前後方向とがお互いに一致している。また、電線105の長手方向の一端が前側に位置しており、電線105の長手方向の他端が後側に位置している。
【0119】
また、端子付き電線101では、端子109のワイヤバレル部107の端(後端;前後方向における被覆111側に位置している端)107Aが、接合部位103の端(後端;長手方向における被覆111側に位置している端)103Aよりも、被覆111側(後側)に位置している。そして、端子付き電線101では、ワイヤバレル部107を、たとえば、カシメることで、ワイヤバレル部107が接合部位103の少なくとも一部を包み込んで覆っている。
【0120】
端子109は、たとえば、平板状の金属の素材を所定形状に形成した状態にしてから、この所定形状に形成したものを折り曲げたことで形成されている。
【0121】
端子109は、前側から後側にむかって、たとえば、相手側端子に接続される端子接続部116(相手端子接続部17)、ワイヤバレル部107、インシュレーションバレル部117(インシュレーションバレル部19)がこの順にならんでいる。
【0122】
カシメがされる前のワイヤバレル部107の断面形状(前後方向に対して直交する平面による断面形状)は、たとえば、厚さ方向がほぼ高さ方向になっている底板部(円弧状の底板部)119と、一対の側板部121とを備えて「U」字状に形成されている。一対の側板部121のそれぞれは、底板部119の幅方向の両端から、斜め上方に起立している。一対の側板部121間の寸法の値(幅方向の寸法値)は、下側から上側に向かうにしたがって次第に大きくなっている。
【0123】
カシメがされる前のインシュレーションバレル部117の断面形状(前後方向に対して直交する平面による断面形状)も、ワイヤバレル部107の断面と同様な「U」字状に形成されている。
【0124】
端子付き電線101では、ワイヤバレル部107がカシメられたことで、接合部位103とワイヤバレル部107とが一体化しており、インシュレーションバレル部117がカシメられたことで、被覆111とインシュレーションバレル部117とが一体化している。
【0125】
ワイヤバレル部107やインシュレーションバレル部117のカシメは、主として、一対の側板部121が塑性変形して、ワイヤバレル部107やインシュレーションバレル部117が筒状になることでなされている。ワイヤバレル部107をカシメることで、接合部位103が変形する。
【0126】
また、前後方向では、たとえば、ワイヤバレル部107とインシュレーションバレル部117とは、僅かに離れているが(間に接続部123が設けられているが)、ワイヤバレル部107にインシュレーションバレル部117が接していてもよい。
【0127】
ここで、前後方向における電線105と端子109との関係についてさらに詳しく説明する。
【0128】
電線105の長手方向では、上述したように、前側から後側に向かって、所定の長さの接合部位103と、非接合状態の導体113Bと、被覆111で覆われている導体113がこの順でならんでいる。被覆111で覆われている導体113の長さは、接合部位103や非接合状態の導体113Bよりもはるかに長くなっている。
【0129】
端子109の前後方向では、上述したように、前側から後側に向かって、端子接続部116と、ワイヤバレル部107と、ワイヤバレル部107とインシュレーションバレル部117との間の接続部123と、インシュレーションバレル部117とがこの順にならんでいる。なお、ワイヤバレル部107の前後方向の寸法の値は、接続部123やインシュレーションバレル部117の前後方向の寸法の値よりも大きくなっている。
【0130】
端子付き電線101では、
図9で示すように、前後方向で、接合部位103の一端(前端)103Bが、ワイヤバレル部107の前端107Bよりも僅かに前側に位置している。これにより、接合部位103の一端部がワイヤバレル部107の前端107Bから前側に僅かに突出している。接合部位103のワイヤバレル部107からの突出寸法の値(前側への突出量)は、接合部位103の高さ寸法の値よりも小さくなっている。
【0131】
なお、接合部位103の一端(前端)103Bが、ワイヤバレル部107の前端107Bよりも僅かに後側に位置していてもよい。
【0132】
接合部位103の他端(後端)103Aは、ワイヤバレル部107の後端107Aよりも僅かに前側に位置していている。これにより、接合部位103と被覆111との間の非接合状態の導体113Bの前端部は、ワイヤバレル部107によって包み込まれている。
【0133】
なお、接合部位103の後端103Aとワイヤバレル部107の後端107Aとの間の寸法の値(前後方向での寸法の値)も、接合部位103の高さ寸法の値よりも小さくなっている。
【0134】
また、端子付き電線101では、非接合状態の導体113Bの高さ寸法の値は、前側から後側に向かうにしたがって、次第に大きくなっている。電線105の被覆111の前端(非接合状態の導体113Bの後端)は、インシュレーションバレル部117の前端よりも僅かに前側に位置している。
【0135】
ここで、
図8や
図9では示していない荷重逃がし部21について説明する。
図8や
図9で示す端子付き電線101に荷重逃がし部21を設ける場合、前後方向で、荷重逃がし部21の後端の位置は、ワイヤバレル部107の後端107Aの位置と一致しており、荷重逃がし部21の前端は、
図9に示す領域AE1内もしくは領域AE2内に存在している。
【0136】
前後方向で、領域AE1の後端の位置は、接合部位103の後端103Aの位置と一致しており、領域AE1の前端は、ワイヤバレル部107の中間部(接合部位103の後端103Aよりも前側の中間部)のところに位置している。
【0137】
前後方向で、領域AE2の前端の位置は、接合部位103の後端103Aの位置と一致しており、領域AE2の後端は、ワイヤバレル部107の後側(接合部位103の後端103Aと被覆111との中間部)のところに位置している。
【0138】
荷重逃がし部21の前端21Aが、領域AE1内に存在している場合には、接合部位103の後端103Aが、前後方向で荷重逃がし部21内に収まっている。
【0139】
荷重逃がし部21の前端21Aが、領域AE2内に存在している場合には、接合部位103の後端103Aが、前後方向で荷重逃がし部21よりも前側に位置している。
【0140】
端子付き電線101によれば、ワイヤバレル部107の後端107Aが接合部位103の後端103Aよりも後側に位置するようにして、ワイヤバレル部107が接合部位103を覆っているので、接合部位103の境界部分(接合部位103と非接合状態の導体113Bとの境界)103Aでの素線115切れの発生を抑制することができる。
【0141】
すなわち、接合部位103を形成した電線105にワイヤバレル部107をカシメて端子109を圧着するときに、接合部位103の後端(接合部位と非接合状態の導体との境界部分)103Aが、ワイヤバレル部107の内に位置しているので、端子109の圧着によって境界部分103Aが引っ張られることがほぼなくなり、境界部分103Aでの芯線切れ(非接合状態の導体113Bでも素線115の切れ;
図17に参照符号311A、311Bで示す素線切れ)の発生を抑制することができる。
【0142】
そして、素線切れが抑制されることで、圧着部性能が安定し(電線105と端子109との機械的接合度および電気的接合度が安定し)、また、コンタミネーションの発生が抑制される。
【0143】
なお、上記説明では、
図9等で示すように、ワイヤバレル部107の前端107Bから接合部位103が前側に僅かに突出しているが、
図10、
図11で示すように、ワイヤバレル部107の前端107Bが接合部位103の前端103Bよりも前側に位置していてもよい。すなわち、前後方向におけるワイヤバレル部107の寸法の値が、前後方向における接合部位103の寸法の値よりも大きくなっており、前後方向で、接合部位103がワイヤバレル部107の内側に位置していてもよい。
【0144】
ところで、
図11に示すものでは、ベルマウス部125(ベルマウス部43)が設けられている。この場合、ベルマウス部125は、
図7〜
図9で示す端子付き電線101のワイヤバレル部107の後端107Aから後側に突出している態様、
図7〜
図9で示す端子付き電線101のワイヤバレル部107の前端107Bから前側に突出している態様で設けられている。
【0145】
図10や
図11で示す端子付き電線101では、ワイヤバレル部107が、本体部127と、一対のベルマウス部125(後側ベルマウス部125Aおよび前側ベルマウス部125B)とを備えて構成されている。前後方向では、前側から後側に向かって、前側ベルマウス部125B、本体部127、後側ベルマウス部125Aがこの順にならんでいる。
【0146】
さらに説明すると、ワイヤバレル部107の、被覆111側に位置している端部(後端部)には、ベルマウス部125(後側ベルマウス部125A)が形成されている。
【0147】
そして、
図10や
図11で示す端子付き電線101では、後側ベルマウス部125Aの前端(前後方向における被覆111側に位置している後端とは反対側の端;後側ベルマウス部125Aとの本体部127との境界)が、接合部位103の後端(長手方向における被覆111側に位置している端)103Aよりも、被覆111側(後側)に位置している。
【0148】
図10や
図11で示す端子付き電線101では、ワイヤバレル部107の本体部127は前後方向で径がほぼ一定である筒状に形成されており、後側ベルマウス部125Aは本体部127から離れるにしたがって(前側から後側に向かうにしたがって)、径が次第に大きくなる筒状に形成されている。なお、後側ベルマウス部125Aの前端の径(本体部127との境界での径)は、本体部127の径と一致している。
【0149】
図10や
図11で示す端子付き電線101では、前側ベルマウス部125Bは、後側ベルマウス部125Aと同様にして、本体部127から離れるにしたがって(後側から前側に向かうにしたがって)、径が次第に大きくなる筒状に形成されている。
【0150】
図10や
図11で示す端子付き電線101では、前側ベルマウス部125Bの前後方向の寸法や、後側ベルマウス部125Aの前後方向の寸法は、接合部位103の高さ寸法の値よりも小さくなっており、ワイヤバレル部107の本体部127の前後方向の寸法は、接合部位103の高さ寸法の値よりも大きくなっている。
【0151】
また、
図10や
図11で示す端子付き電線101では、前後方向で、ワイヤバレル部107の本体部127と被覆111との間に存在している導体113(後側ベルマウス部125Aの前端と被覆111との間に位置している後側の非接合状態の導体113B)の高さ寸法や径の値は、後側に向かうにしたがって次第に大きくなっている。
【0152】
また、
図10や
図11で示す端子付き電線101では、電線105の接合部位103の前端からは、非接合状態の導体(前側の非接合状態の導体)113Bが、前側に所定の長さだけ突出している。
【0153】
これにより、
図10や
図11で示す端子付き電線101では、前後方向で、前側の非接合状態の導体113Bの後端(前側の非接合状態の導体113Bと接合部位103との境界)が、前側ベルマウス部125Bの後端よりも後側に位置しており、前側の非接合状態の導体113Bの前端が、前側ベルマウス部125Bの前端よりも前側に位置している。
【0154】
さらに、前側ベルマウス部125Bの前端(前端の開口)では、
図12で示すように、導体113(前側の非接合状態の導体113B)と前側ベルマウス部125Bとの間に僅かな間隙129(間隙45)が形成されており、後側ベルマウス部125Aの後端(後端の開口)でも、導体113と後側ベルマウス部125Aとの間に僅かな間隙129(間隙45)が形成されている。
【0155】
なお、前側ベルマウス部125Bの前端(前端の開口)で、前側ベルマウス部125Bと導体113とが接しており、前側ベルマウス部125Bが導体113を抑え込んでおり、後側ベルマウス部125Aの後端(後端の開口)で、後側ベルマウス部125Aと導体113とが接しており、後側ベルマウス部125Aが導体113を抑え込んでいる構成であってもよい。
【0156】
なお、
図1や
図5で示す端子付き電線1や
図11や
図12で示す端子付き電線101において、後側ベルマウス部43B、125A、前側ベルマウス部43A、125Bのいずれかが削除されていてもよい。たとえば、前側ベルマウス部43A、125Bを削除した構成であってもよい。
【0157】
図11や
図12で示す端子付き電線101によれば、ワイヤバレル部107の本体部(ベルマウス部125を除いた本体部)127の内側に接合部位103が位置しているので、端子109を電線105に設置するときの導体切れの発生を抑制することができる。
【0158】
また、
図11や
図12で示す端子付き電線101によれば、非接合状態の導体113Bの一部(接合部位103側の部位)がベルマウス部125内に収まっているので、接合部位103と非接合状態の導体113Bとの境界部分での導体切れの発生を一層抑制することができる。
【0159】
なお、ベルマウス部125が設けられている
図11や
図12で示す端子付き電線101では、接合部位103がワイヤバレル部107の本体部127の内側に位置しているのであるが、前後方向で、接合部位103の前端103Bが前側ベルマウス部125Bの中間部に位置しており、接合部位103の後端103Aが後側ベルマウス部125Aの中間部に位置していてもよい。
【0160】
さらに、
図13で示すように、前側の非接合状態の導体113Bを削除した構成であってもよい。
図13で示す端子付き電線101では、接合部位103の前端が、前側ベルマウス部125Bの前端よりも前側に位置しているが、接合部位103の前端が、前側ベルマウス部125Bの後端よりも後側に位置していてもよいし、接合部位103の前端が、前側ベルマウス部125Bのところに位置していてもよい。
【0161】
また、
図12では、接合部位103の前端103Bから非接合状態の導体113Bが僅かに前側に突出しているが、接合部位103の前端103Bから前側に突出している非接合状態の導体113Bが削除されていてもよい。
【0162】
図12に示す端子付き電線101によれば、前後方向で、接合部位103がワイヤバレル部107の内側に位置しているので、接合部位103の両端(後端103Aと前端103Bと)での素線切れの発生を抑制することができる。
【0163】
ここで、
図11や
図12では示していない荷重逃がし部21について説明する。
図11や
図12で示す端子付き電線101の端子109に設けられているワイヤバレル部107の後端部に荷重逃がし部21を設ける場合、前後方向で、荷重逃がし部21の後端21Bの位置は、後側ベルマウス部125Aの前端の位置と一致しており、荷重逃がし部21の前端21Aは、
図12に示す領域AE1内もしくは領域AE2内に存在している。
【0164】
図11や
図12で示す端子付き電線101の端子109に設けられているワイヤバレル部107の前端部に荷重逃がし部21を設ける場合、前後方向で、荷重逃がし部21の前端の位置は、前側ベルマウス部125Bの前端の位置と一致しており、荷重逃がし部21の後端は、領域AE3(AE1)内もしくは領域AE4(AE2)内に存在している。
【0165】
ところで、上記説明では、電線105の長手方向の一端部に接合部位103を形成し、そこに端子109を設置しているが、
図14で示すように、電線105の長手方向の中間部に接合部位103を形成し、そこに端子109を設置してもよい。
【0166】
さらに説明すると、電線105の長手方向の一方の側から他方の側に向かって、被覆111で覆われている導体113(被覆が存在している電線の一端側部位)、非接合状態の導体113B(一端側の非接合状態の導体)、接合部位103、非接合状態の導体113B(他端側の非接合状態の導体)、被覆111で覆われている導体113(被覆が存在している電線の他端側部位)がこの順にならんでいる電線の、接合部位103のところに端子109を設置してもよい。
【0167】
このような端子付き電線では、電線105の長手方向(端子109の前後方向)での、端子109のワイヤバレル部107(もしくはワイヤバレル部の本体部127)の長さ寸法の値が、接合部位103の長さ寸法の値よりも大きくなっており、電線105の長手方向(端子109の前後方向)で、端子109のワイヤバレル部107(もしくはワイヤバレル部の本体部127)の内側に接合部位103が位置している。
【0168】
さらに、上記説明では、1本の電線105に1つの端子109を設置しているが、
図15で示すように、複数本(たとえば、2本)の電線105に1つの端子109を設置してもよい。すなわち、上述した場合と同様にして、各電線105の接合部位103にワイヤバレル部107を設置してもよい。
【0169】
また、複数本の電線105に1つの端子109を設置する場合、各電線105の導体113のそれぞれに個別に接合部位103を形成しておいて、各電線105を1つの端子109を設置してもよいし、各電線105のうちの少なくとも2本の電線105の導体113をまとめて、このまとめたものに接合部位103を形成しておいて、各電線105を1つの端子109を設置してもよい。
【0170】
また、複数本の電線105に1つの端子109を設置する場合に、各電線105のうちの少なくとも1本の電線105で、電線105の長手方向の中間部に接合部位103が形成されている態様であってもよい。